JP7256985B2 - 時計 - Google Patents

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Description

この発明は、文字板を備えた腕時計などの時計に関する。
例えば、腕時計の文字板においては、特許文献1に記載されているように、金属板上にペーストを塗布して焼成した後、この焼成されたペーストの上面を研磨することにより、貴石感をもたせたものが知られている。
特開昭54-98882号公報
このような腕時計では、文字板の金属板上に焼成されたペーストが脆性素材であるから、文字板を腕時計ケース内に組み込んだ状態で、腕時計ケースが外部から衝撃を受けた際に、その衝撃によってペーストが腕時計ケースに当接して破損し易いため、耐衝撃性に欠けるという問題がある。
この発明が解決しようとする課題は、文字板の耐衝撃性を向上させることができる時計を提供することである。
この発明は、ベース部材上に装飾部材が設けられた文字板と、前記文字板を収容するケースと、を備え、前記文字板は、前記装飾部材が前記文字板の面方向の全周囲において、前記装飾部材の外周側の端面に対向配置された第1部材の内周側の端面と前記装飾部材の外周側の端面との間の間隔のほうが、前記ベース部材の外周側の端面に対向配置された第2部材の内周側の端面と前記ベース部材の外周側の端面との間の間隔よりも大きくなる位置に配置されるよう前記ケース内に収容されていることを特徴とする時計である。
この発明によれば、文字板の耐衝撃性を向上させることができる。
この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した拡大正面図である。 図1に示された腕時計のA-A矢視における要部を示した拡大断面図である。 図2に示された文字板を示し、(a)はその拡大斜視図、(b)はその拡大正面図である 図3に示された文字板のベース板と装飾板とを示し、(a)はベース板を示した拡大正面図、(b)は装飾板を示した拡大正面図である。
以下、図1~図4を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部2がそれぞれ設けられている。また、この腕時計ケース1の2時側、3時側、および4時側には、スイッチ部3がそれぞれ設けられている。
この腕時計ケース1は、図1および図2に示すように、第1ケース4と第2ケース5とを備えている。第1ケース4は、本体ケースであり、金属または硬質の合成樹脂によって形成されている。第2ケース5は、ベゼルであり、第1ケース4と同様、金属または硬質の合成樹脂によって形成され、第1ケース4の上部に一体的に設けられている。
この腕時計ケース1の上部開口部、つまり第2ケース5の上部開口部には、図1および図2に示すように、時計ガラス6がバッキン6aを介して取り付けられている。この腕時計ケース1の下部、つまり第1ケース4の下部には、裏蓋7が防水リング7aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール8が収容されている。
この時計モジュール8は、図2に示すように、ハウジング10を備えている。このハウジング10は、図示されていないが、複数の指針を個別に運針させて時刻などの情報をそれぞれ指示表示させる複数の時計ムーブメント、時刻や日付などの情報を電気光学的に表示する表示部、これらを駆動して制御する回路基板などの時計機能に必要な各種の部品が搭載されている。
ハウジング10は、図2に示すように、その外周に合成樹脂製の中枠11が設けられ、この中枠11によって腕時計ケース1の第1ケース4内に組み込まれるように構成されている。このハウジング10の上面には、文字板12が設けられている。この文字板12は、ベース部材であるベース板13と装飾部材である装飾板14とを備え、ベース板13の上面に装飾板14が両面粘着テープや液体接着剤などの接着材(図示せず)によって貼り付けられた構造になっている。
この場合、文字板12は、図1に示すように、主表示領域および第1~第4副表示領域15a~15dを備えている。主表示領域は、指針(図示せず)が文字板12全体の上方を運針する領域であり、文字板12の中心に指針軸(図示せず)が挿入する軸挿入孔12aが文字板12の上下に貫通して設けられている。
第1副表示領域15aは、図1に示すように、文字板12の12時側に設けられて第1副針(図示せず)が運針する円形状の領域であり、その円形状の領域の中心に位置する箇所のベース板13に第1副針軸(図示せず)が挿入する第1挿入孔13bが設けられている。
第2副表示領域15bは、図1に示すように、文字板12の6時側に設けられて2つの第2副針(図示せず)がそれぞれ運針する大きさの異なる2つの円形の一部が重なり合った形状の領域であり、その一部が重なり合う2つの円形状の領域の各中心に位置する箇所のベース板13に第2副針軸(図示せず)が挿入する第2挿入孔13cがそれぞれ設けられている。
第3副表示領域15cは、図1に示すように、文字板12の9時側に設けられて第3副針(図示せず)が運針する円形状の領域であり、その円形状の領域の中心に位置する箇所のベース板13に第3副針軸(図示せず)が挿入する第3挿入孔13dが設けられている。第4副表示領域15dは、文字板12の3時側に設けられた四角形状の領域であり、その下側に配置された時計モジュール8の表示部(図示せず)が対応し、この表示部に表示された時刻や日付などの情報が上方から見えるように、文字板12に四角形状の表示開口部12bが設けられている。
文字板12のベース板13は、図3および図4に示すように、合成樹脂または金属によって円板状に形成されていても良いが、時計モジュール8が文字板12の下側にソーラーパネル(図示せず)を備えている場合には、透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂によって円板状に形成されていても良い。
このベース板13には、図3および図4に示すように、主表示領域の軸挿入孔12a、第1副表示領域15aの第1挿入孔13b、第2副表示領域15bの2つの第2挿入孔13c、第3副表示領域15cの第3挿入孔13d、および第4副表示領域15dの表示開口部12bが設けられている。
一方、文字板12の装飾板14は、図2~図4に示すように、アヴェンチュリン、サファイア、ヒスイなどの天然または人工の貴石、あるいは夜光貝、鮑貝などの貝で、装飾性の高い脆性素材によって板状に形成されている。この場合、この実施形態では、装飾板14がアヴェンチュリンによってベース板13とほぼ同じ外形の円板状に形成されている。
この装飾板14には、図3および図4(b)に示すように、主表示領域の軸挿入孔12a、第1副表示領域15aに対応する第1円形孔14a、第2副表示領域15に対応する大きさの異なる2つの第2円形孔14b、第3副表示領域15cに対応する第3円形孔14c、および第4副表示領域15dの表示開口部12bが、それぞれ上下に開放されて設けられている。
この場合、これら第1~第3円形孔14a~14cのうち、例えば第1副表示領域15aの第1円形孔14a内には、図3および図4(a)に示すように、アルミニウムなどの金属製の装飾リング16が配置されている。この装飾リング16は、円形のリング状に形成されていても良いが、本実施形態においては、不連続な円形のリング状つまりC字形状のリング状に形成されている。
この装飾リング16は、図3および図4(a)に示すように、ベース板13上に設けられて、第1円形孔14aの内周面に非接触状態で第1円形孔14a内に配置されている。この場合、装飾リング16は、必ずしも第1円形孔14aのみに設けられている必要はなく、第2、第3副表示領域15b、15cの第2、第3円形孔14b、14cに設けられていても良い。
また、文字板12の装飾板14は、図2に示すように、脆性素材であることにより、強度と全体の薄型化の相関関係から、その厚みが0.4mm~2.0mmの範囲で形成可能であり、本実施形態においては0.7mm程度に形成されている。すなわち、この装飾板14は、厚みが厚いと加工し易いが、文字板12全体の厚みが厚くなり、時計モジュール8全体の厚みが厚くなる。このため、時計モジュール8を薄型化する際には、この装飾板14は、脆性素材であっても、厚みの薄い方が望ましい。
この場合、装飾板14として、アヴェンチュリン、サファイア、ヒスイなどの天然または人工の貴石を0.7mm程度の厚みの薄い板状に形成した場合には、貴石の素材そのものデザインが表現される。また、夜光貝、鮑貝などの貝を薄い板状に形成した場合には、螺鈿としてのデザインが表現される。これにより、文字板12は、装飾板14によってデザイン性が高められるように構成されている。
また、この文字板12は、図2に示すように、耐衝撃性を確保するために、装飾板14が腕時計ケース1に対して非接触状態で、腕時計ケース1内に設けられるように構成されている。すなわち、ベース板13の外周には、図2~図4に示すように、複数の突起部13aが装飾板14の外周よりも面方向に突出して設けられている。この場合、文字板12は、ベース板13がハウジング10の上面に配置された際に、ベース板13および装飾板14が中枠11の上端部よりも上方に位置して配置される。
これにより、この文字板12は、図2~図4に示すように、中枠11を介してハウジング10が腕時計ケース1の第1ケース4内に配置された状態で、ベース板13の複数の突起部13aの各上面が第2ケース5の内周面の下部に設けられたリング状の鍔部5aの下面に、ベース板13の面方向と直交する厚み方向(上下方向)における下側から押し当てられた状態で、腕時計ケース1内に保持されるように構成されている。
この場合、装飾板14は、図2~図4に示すように、その外周面の全周囲が第2ケース5の鍔部5aの内周面に対向して配置され、且つ装飾板14の外周面と鍔部5aの内周面との間に、装飾板14の面方向の第1の間隔S1(第1の距離)以上離間して配置されるように構成されている。また、ベース板13は、ハウジング10上に配置されて保持された状態で、外周部に設けられた複数の突起部13aの各先端部が、第1ケース4の内周面に設けられてベース板13の面方向への位置ずれを規制する合成樹脂製の押えリング17の配置される方向に延びるように形成されている。
すなわち、ベース板13は、図2~図4に示すように、複数の突起部13aの各先端面と第1ケース4の内周面に設けられた押えリング17の内周面との間に、ベース板13の面方向の第2の間隔S2(第2の距離)離間するように第1ケース4内に配置されるように構成されている。この第2の間隔S2は、装飾板14の外周面と鍔部5aの内周面との間の第1の間隔S1よりも狭い間隔(S2<S1)、例えば第1の間隔S1の約半分の間隔(S2≒(1/2)・S1)に設定されている。すなわち、ベース板13は、第1の間隔S1(第1の距離)より接近して第1ケース4内に配置されるように構成されている。
これにより、文字板12は、図2~図4に示すように、腕時計ケース1が外部からの衝撃を受けた際に、その衝撃によってベース板13が面方向に位置ずれして、ベース板13の複数の突起部13aの各先端部が腕時計ケース1の第1ケース4の内周面に設けられた押えリング17に当接して、ベース板13の面方向の位置ずれが規制されることにより、装飾板14の面方向の位置ずれも大きく制限されるため、装飾板14の外周面が第2ケース5の鍔部5aの内周面に接触しないように構成されている。
また、装飾板14の外周部は、図1および図2に示すように、第2ケース5の内周面に設けられたカバー部材であるリング状の見切り部材18によって非接触状態で覆われている。この見切り部材18は、内周側に向けて傾斜する傾斜面18aが設けられ、この傾斜面18a上に主表示領域の時字(図示せず)が設けられた構造になっている。この見切り部材18は、装飾板14の外周部を覆う長さが、見切り部材18の面方向における中心部の上方から装飾板14の外周部側を見た際に、第1の間隔S1が隠れて見えない程度の長さに形成されている。
また、この見切り部材18は、図1および図2に示すように、その下面とこれに対向する装飾板14の外周部の上面との間に、装飾板14の厚み方向(上下方向)の第3の間隔S3をもって配置されている。見切り部材18は、ベース板13の複数の突起部13aの上面が第2ケース5の鍔部5aの下面に押し当てられてベース板13が保持されていることにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、見切り部材18の下面が装飾板14の上面に接触しないように構成されている。
次に、この腕時計の動作について説明する。
この腕時計は、通常、文字板12の装飾板14が時計ガラス6を通して腕時計ケース1の外部から見える。この状態では、主表示領域において指針(図示せず)が文字板12全体の上方を運針することにより、時刻を指示表示する。
また、第1副表示領域15aでは、複数のスイッチ部3のいずれかのスイッチ操作によって選択された第1モードに応じて、第1副針(図示せず)が文字板12の第1円形孔14a内で運針することにより、その選択された第1モードに応じた機能情報を指示する。
同様に、第2副表示領域15bでは、複数のスイッチ部3のいずれかのスイッチ操作によって選択された第2モードに応じて、2つの第2副針(図示せず)が文字板12の大きさの異なる2つの第2円形孔14b内でそれぞれ運針することにより、その選択された第2モードに応じた機能情報を指示する。
第3副表示領域15cでは、複数のスイッチ部3のいずれかのスイッチ操作によって選択された第3モードに応じて、第3副針(図示せず)が文字板12の第3円形孔14c内で運針することにより、その選択された第3モードに応じた機能情報を指示する。また、第4副表示領域15dでは、時計モジュール8の表示部(図示せず)に表示された時刻や日付などの情報が表示開口部12bから見える。
これにより、この腕時計では、主表示領域の指針の運針、第1副表示領域15aの第1副針の運針、第2副表示領域15bの2つの第2副針の運針、および第3副表示領域15cの第3副針の運針に応じて、それぞれ時刻や第1~第3の機能情報などの各種の情報が指示表示され、この指示表示された情報および時計モジュール8の表示部(図示せず)に表示された時刻や日付などの情報が、時計ガラス6を通して腕時計ケース1の外部から視認される。
また、この腕時計は、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃が時計モジュール8のハウジング10の外周に設けられた中枠11によって多少緩衝されても、一部の衝撃が腕時計ケース1内の時計モジュール8に伝わる。このため、ハウジング10上に設けられた文字板12は、中枠11によって緩衝しきれなかった衝撃を受ける。
このときには、文字板12のベース板13の外周部に設けられて、装飾板14の外周よりも面方向に突出する複数の突起部13aの各上面が、腕時計ケース1の第2ケース5の鍔部5aの下面に下側から押し当てられた状態で、文字板12が第1ケース4内に保持されていても、中枠11によって緩衝しきれなかった衝撃によって、文字板12が面方向に位置ずれする。
このときには、ベース板13の複数の突起部13aの各先端部が第1ケース4の内周面に設けられた押えリング17に当接して、ベース板13の面方向への位置ずれが規制される。このため、文字板12の装飾板14の外周部が第2ケース5の鍔部5aの内周部に接触することがない。これにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃によって装飾板14が傷付いたり破損したりすることを防ぐことができる。
すなわち、文字板12の装飾板14は、その外周面と第2ケース5の鍔部5aの内周面との間に、装飾板14の面方向の第1の間隔S1をもって腕時計ケース1内に配置されており、ベース板13は、その外周部に設けられた複数の突起部13aの各先端部と押えリング17の内周面との間に、ベース板13の面方向の第2の間隔S2をもって腕時計ケース1内に配置されている。
この場合、第2の間隔S2は、装飾板14の外周面と鍔部5aの内周面との間の第1の間隔S1よりも狭い間隔(S2<S1)に設定されている。このため、腕時計ケース1が衝撃を受け、その衝撃によってベース板13が面方向に位置ずれして、ベース板13の複数の突起部13aの各先端部が第1ケース4の押えリング17の内周面に当接することにより、ベース板13の面方向への位置ずれが規制される。
このときには、装飾板14の外周面と鍔部5aの内周面との間の第1の間隔S1が、ベース板13の複数の突起部13aの各先端部と押えリング17の内周面との間の第2の間隔S2よりも広い(S1>S2)ので、ベース板13の複数の突起部13aの各先端部が第1ケース4の押えリング17の内周面に当接しても、装飾板14の外周部が第2ケース5の鍔部5aの内周面に接触することがない。このため、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃によって装飾板14が傷付いたり破損したりするのを確実に防ぐことができる。
また、この腕時計では、装飾板14の外周部が第2ケース5の内周面に設けられたリング状の見切り部材18によって非接触状態で覆われているので、装飾板14の外周面と鍔部5aの内周面との間に第1の間隔S1が設けられていても、この第1の間隔S1を見切り部材18によって覆い隠すことができる。これにより、外観的もデザイン的に好ましいものを提供することができる。
すなわち、見切り部材18は、装飾板14の外周部を覆う長さが、見切り部材18の面方向における中心部の上方から装飾板14の外周部側を見た際に、第1の間隔S1が隠れて見えない程度の長さに形成されているので、装飾板14の外周面と鍔部5aの内周面との間の第1の間隔S1を確実に且つ良好に覆い隠すことができると共に、装飾板14の外周端をも良好に覆い隠すことができる。これにより、腕時計の外観性およびデザイン性を向上させることができる。
この場合、ベース板13の複数の突起部13aの各上面が第2ケース5の鍔部5aの下面に押し当てられて、ベース板13が腕時計ケース1内に保持され、このベース板13上に設けられた装飾板14が、その上面と見切り部材18の下面との間に第3の間隔S3をもって配置されていることにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、装飾板14の上面が見切り部材18の下面に接触することがない。このため、これによっても装飾板14が傷付いたり破損したりすることがない。
このように、この腕時計によれば、ベース板13上に装飾板14が設けられた文字板12と、この文字板12を収容する腕時計ケース1と、を備え、文字板12は、装飾板14が腕時計ケース1に対して非接触状態で、腕時計ケース1内に収容されていることにより、文字板12の耐衝撃性を向上させることができる。
すなわち、この腕時計では、文字板12の装飾板14が腕時計ケース1に対して非接触状態で腕時計ケース1内に収容されているので、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、装飾板14が腕時計ケース1に接触することがない。このため、腕時計ケース1が受けた衝撃によって装飾板14が傷付いたり破損したりすることがないので、耐衝撃性を向上させることができる。
この場合、装飾板14は、脆性素材によって板状に形成されていることにより、衝撃を受けて腕時計ケース1の内周面に当接した際に、傷付いたり破損したりし易い素材であっても、腕時計ケース1に対して非接触状態で腕時計ケース1内に収容されているので、装飾板14が脆性素材によって形成されていても、衝撃によって傷付いたり破損したりしないようにすることができる。
また、装飾板14は、脆性素材として、アヴェンチュリン、サファイア、ヒスイなどの天然または人工の貴石、あるいは夜光貝、鮑貝などの貝であることにより、デザイン性を高めることができるため、商品価値を高めることができる。この場合、この実施形態の装飾板14は、脆性素材として、アヴェンチュリン、サファイア、ヒスイなどの天然または人工の貴石のうち、好ましくはアヴェンチュリンであることにより、より一層、デザイン性を高めて、商品価値を高めることができる。
すなわち、この装飾板14は、貴石の素材そのもののデザインを表現することができるので、確実にかつ良好にデザイン性を高めることができ、これにより、より一層、商品価値を高めることができる。また、この装飾板14が、脆性素材として、夜光貝、鮑貝などの貝であれば、螺鈿としてのデザインを表現することができ、これによっても商品価値を高めることができる。
また、この装飾板14は、その厚みが0.4mm~2.0mmの範囲で、0.7mm程度に形成されていることにより、装飾板14が脆性素材であっても、厚みを薄く形成して、文字板12全体の厚みを薄くすることができ、これにより時計モジュール8の厚みを薄くして、腕時計全体の薄型化を図ることができる。
また、この文字板12は、ベース板13が腕時計ケース1にベース板13の面方向と直交する厚み方向(上下方向)に押し当てられて保持されていることにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、ベース板13によって装飾板14を腕時計ケース1に接触させないように保持することができ、これにより腕時計ケース1が受けた衝撃によって装飾板14が腕時計ケース1に接触して傷付いたり破損したりしないようにすることができる。
すなわち、ベース板13は、時計モジュール8のハウジング10上に配置された状態で、ベース板13の外周部に設けられて装飾板14の外周よりも面方向に突出する複数の突起部13aの各上面が、腕時計ケース1の第2ケース5の鍔部5aの下面に下側から押し当てられていることにより、ベース板13を腕時計ケース1内に確実にかつ良好に保持することができ、これにより装飾板14を腕時計ケース1に対して非接触状態で腕時計ケース1内に良好に配置させることができる。
また、この腕時計では、装飾板14の外周部と腕時計ケース1の内周部との間に、第1の間隔S1が装飾板14の面方向に設けられていることにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、装飾板14が腕時計ケース1内で装飾板14の面方向に位置ずれしても、第1の間隔S1によって、装飾板14を腕時計ケース1に接触させないようにすることができる。
この場合、この腕時計では、ベース板13の外周部に対応して腕時計ケース1の内周部に設けられて、ベース板13の面方向への位置ずれを規制する押えリング17を備えていることにより、腕時計ケース1が衝撃を受けた際に、ベース板13が面方向に位置ずれしても、ベース板13の外周部に設けられた複数の突起部13aの各先端部を押えリング17に押し当てることができ、これによりベース板13の面方向の位置ずれを規制して、装飾板14が腕時計ケース1に接触するのを防ぐことができる。
また、この腕時計では、装飾板14の外周よりも面方向に突出したベース板13の外周側の端部である複数の突起部13aの各先端部と押えリング17の内周部との間に、第1の間隔S1よりも狭い第2の間隔S2がベース板13の面方向に設けられていることにより、腕時計ケース1が衝撃を受けて、ベース板13が面方向に位置ずれした際に、ベース板13の外周部に設けられた複数の突起部13aの各先端部を押えリング17に当接させて、ベース板13の面方向への位置ずれを確実に規制することができ、これにより装飾板14が腕時計ケース1に接触するのを確実に防ぐことができる。
すなわち、この腕時計では、ベース板13の外周部に設けられて装飾板14の外周よりも面方向に突出する複数の突起部13aの各先端面と押えリング17の内周部との間に、第1の間隔S1よりも狭い第2の間隔S2が設けられているので、腕時計ケース1が受けた衝撃によってベース板13が面方向に位置ずれして、ベース板13の複数の突起部13aの各先端部が押えリング17に当接しても、腕時計ケース1の内周面と装飾板14の外周面との間の第1の間隔S1が第2の間隔S2よりも広い(S1>S2)ため、装飾板14が腕時計ケース1に接触するのを確実に防ぐことができる。
さらに、この腕時計では、装飾板14の外周面と腕時計ケース1の内周面との間の第1の間隔S1を覆って装飾板14の外周部を隠す見切り部材18を備えていることにより、装飾板14の外周面と腕時計ケース1の内周面との間に第1の間隔S1が設けられても、この第1の間隔S1を見切り部材18によって覆い隠すことができ、これにより外観的もデザイン的に好ましいものを提供することができる。
すなわち、見切り部材18は、装飾板14の外周部を覆う長さが、見切り部材18の面方向における中心部の上方から装飾板14の外周部側を見た際に、第1の間隔S1が隠れて見えない程度の長さに形成されていることにより、装飾板14の外周面と腕時計ケース1の内周面との間の第1の間隔S1を確実に且つ良好に覆い隠すことができると共に、装飾板14の外周端をも良好に覆い隠すことができるので、外観性およびデザイン性を向上させることができる。
この場合、ベース板13の複数の突起部13aの各上面が第2ケース5の鍔部5aの下面に押し当てられて、ベース板13が腕時計ケース1内に保持され、このベース板13上に設けられた装飾板14が、その外周部の上面と見切り部材18の下面との間に第3の間隔S3をもって配置されていることにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、装飾板14が見切り部材18に接触することがないため、これによっても装飾板14が傷付いたり破損したりするのを防ぐことができる。
なお、上述した実施形態では、装飾板14が、アヴェンチュリン、サファイア、ヒスイなどの天然または人工の貴石、あるいは夜光貝、鮑貝などの貝を用いた脆性素材である場合について述べたが、この発明は必ずしも脆性素材である必要はなく、装飾性を有するものであれば、金属や合成樹脂などの素材を用いても良い。また、この発明は、装飾板14は必ずしも円形の板状である必要はなく、指針の運針を妨げない形状であれば、どのような形状であっても良い。
また、上述した実施形態では、文字板12のベース板13の外周に対応する押えリング17と、ハウジング10を腕時計ケース1内に組み付けるためにハウジング10の外周に設けられた中枠11とを、個別に形成した場合について述べたが、この発明はこれに限らず、押えリング17を中枠11の上部に一体に形成した構造であっても良い。この場合には、押えリングが必ずしもリング状である必要はなく、部分的に設けられたものであっても良い。また、押えリング17を例えば第2ケース5のベゼルと一体に形成するなどして、腕時計ケース1と一体に形成した構造であっても良い。
さらに、上述した実施形態では、ベース板13の外周部に複数の突起部13aを装飾板14の外周よりも面方向に突出させて設けた場合について述べたが、この発明は必ずしも複数の突起部13aを設ける必要はなく、円板状のベース板13の直径を装飾板14の直径よりも大きく形成して、ベース板13の外周部を装飾板14の外周部よりも面方向に突出させた構造であっても良い。
また、上述した実施形態では、腕時計ケース1の第2ケース5の内周面に見切り部材18を設け、この見切り部材18によって装飾板14と腕時計ケース1との間の第1の間隔S1を覆って隠した場合について述べたが、この発明は必ずしも見切り部材18である必要はなく、腕時計ケース1の第2ケース5の内周面に単純なカバー部材を設けて、装飾板14と腕時計ケース1との間の第1の間隔S1を覆い隠すようにしても良い。
なおまた、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、ベース部材上に装飾部材が設けられた文字板と、前記文字板を収容するケースと、を備え、前記文字板は、前記装飾部材が前記文字板の面方向の全周囲において、前記ケースから第1の距離以上離間した位置に配置され、且つ前記ベース部材が前記文字板の面方向の全周囲において、前記ケースから前記第1の距離より接近した位置に配置されるよう前記ケース内に収容されていることを特徴とする時計である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の時計において、前記装飾部材は、脆性素材によって板状に形成されていることを特徴とする時計である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の時計において、前記装飾部材は、前記脆性素材として、アヴェンチュリン、サファイア、ヒスイなどの天然または人工の貴石、あるいは夜光貝、鮑貝などの貝の素材を含むことを特徴とする時計である。
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の時計において、前記文字板は、前記ベース部材が前記ケースに前記ベース部材の面方向と直交する厚み方向に押し当てられて保持されていることを特徴とする時計である。
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載の時計において、前記ベース部材の外周に対応して前記ケースの内周部に設けられ、前記ベース部材の面方向の位置ずれを規制する押え部材を備えていることを特徴とする時計である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の時計において、前記装飾部材の外周よりも突出する前記ベース部材の外周側の端面と前記押え部材の内周面とが、前記第1の距離よりも短い第2の距離だけ面方向において離間して配置されることを特徴とする時計である。
請求項7に記載の発明は、請求項1~請求項6のいずれかに記載の時計において、前記装飾部材と前記ケースとの間の間隔を覆って前記装飾部材の外周部を隠すカバー部材を備えていることを特徴とする時計である。
1 腕時計ケース
4 第1ケース
5 第2ケース
5a 鍔部
8 時計モジュール
10 ハウジング
11 中枠
12 文字板
13 ベース板
13a 突起部
14 装飾板
14a~14c 第1~第3円形孔
14d 開口部
16 装飾リング
17 押えリング
18 見切り部材

Claims (7)

  1. ベース部材上に装飾部材が設けられた文字板と、
    前記文字板を収容するケースと、
    を備え、
    前記文字板は、前記装飾部材が前記文字板の面方向の全周囲において、前記装飾部材の外周側の端面に対向配置された第1部材の内周側の端面と前記装飾部材の外周側の端面との間の間隔のほうが、前記ベース部材の外周側の端面に対向配置された第2部材の内周側の端面と前記ベース部材の外周側の端面との間の間隔よりも大きくなる位置に配置されるよう前記ケース内に収容されていることを特徴とする時計。
  2. 請求項1に記載の時計において、前記装飾部材は、脆性素材によって板状に形成されていることを特徴とする時計。
  3. 請求項2に記載の時計において、前記装飾部材は、前記脆性素材として、アヴェンチュリン、サファイア、ヒスイなどの天然または人工の貴石、あるいは夜光貝、鮑貝などの貝の素材を含むことを特徴とする時計。
  4. 請求項1~請求項3のいずれかに記載の時計において、前記文字板は、前記ベース部材が前記ケースに前記ベース部材の面方向と直交する厚み方向に押し当てられて保持されていることを特徴とする時計。
  5. 請求項1~請求項4のいずれかに記載の時計において、前記ベース部材の外周に対応して前記ケースの内周部に設けられ、前記ベース部材の面方向の位置ずれを規制する押え部材を備えていることを特徴とする時計。
  6. 請求項5に記載の時計において、前記第2部材は前記押え部材であることを特徴とする時計。
  7. 請求項1~請求項6のいずれかに記載の時計において、前記装飾部材と前記ケースとの間の間隔を覆って前記装飾部材の外周部を隠すカバー部材を備えていることを特徴とする時計。
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