JP7256576B1 - 杭施工方法および杭計測装置 - Google Patents
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Abstract
Description
[構成1]
GNSS衛星からの信号を受信する固定局を設置する固定局設置工程と、
杭を施工する敷地の現場座標系での座標が既知の第1の地点にGNSS衛星からの信号を受信する移動局を設置し、その移動局が受信するGNSS衛星からの信号と、前記固定局が受信するGNSS衛星からの信号とに基づいて、前記第1の地点の前記固定局に対する公共座標系での相対位置を測位する第1の相対測位工程と、
前記敷地の現場座標系での座標が既知の第2の地点に前記移動局を設置し、その移動局が受信するGNSS衛星からの信号と、前記固定局が受信するGNSS衛星からの信号とに基づいて、前記第2の地点の前記固定局に対する公共座標系での相対位置を測位する第2の相対測位工程と、
前記第1の相対測位工程で得た前記第1の地点の前記固定局に対する公共座標系での相対位置と、前記第2の相対測位工程で得た前記第2の地点の前記固定局に対する公共座標系での相対位置と、前記第1の地点および前記第2の地点の現場座標系での既知の各座標とに基づいて、前記固定局に対する公共座標系での相対位置と現場座標系での座標との対応関係を設定する対応関係設定工程と、
本体フレームと、前記本体フレームにそれぞれ取り付けられた第1のGNSSアンテナと第2のGNSSアンテナとレーザープロファイラーとを有し、前記第1のGNSSアンテナと前記第2のGNSSアンテナが、GNSS衛星からの信号を水平方向に所定の間隔をおいた2箇所で受信するように前記本体フレームに取り付けられている杭計測装置を、前記敷地の設計上の杭の中心位置となる地点の近傍に設置する杭計測装置設置工程と、
前記敷地に杭を沈設する杭沈設工程と、
前記第1のGNSSアンテナおよび前記第2のGNSSアンテナがそれぞれ受信するGNSS衛星からの信号と、前記固定局が受信するGNSS衛星からの信号とに基づいて、第1のGNSSアンテナおよび前記第2のGNSSアンテナの前記固定局に対する公共座標系での各相対位置を測位するGNSSアンテナ測位工程と、
前記レーザープロファイラーからレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設中の前記杭の外周からの反射光に基づいて、沈設中の前記杭の中心の前記レーザープロファイラーからの距離および方向を測定する杭心測定工程と、
前記GNSSアンテナ測位工程で測位される第1のGNSSアンテナおよび前記第2のGNSSアンテナの前記固定局に対する公共座標系での各相対位置と、前記対応関係設定工程で設定した前記対応関係と、前記杭心測定工程で測定される沈設中の前記杭の中心の前記レーザープロファイラーからの距離および方向とに基づいて、沈設中の前記杭の中心位置の現場座標系での座標を取得する杭心座標取得工程と、
前記杭心座標取得工程で取得される前記杭の中心位置の現場座標系での座標に基づいて、沈設中の前記杭の位置を逐次修正する杭心ずれ修正工程と、を有する杭施工方法。
前記杭心ずれ修正工程で沈設中の杭の位置を逐次修正するときに、前記杭心座標取得工程は、前記GNSSアンテナ測位工程で測位される前記第1のGNSSアンテナおよび前記第2のGNSSアンテナの前記固定局に対する公共座標系での各相対位置と、前記杭心測定工程で測定される沈設中の前記杭の中心の前記レーザープロファイラーからの距離および方向とのうち、前者の情報は更新せずに固定し、後者の情報のみを逐次更新することで、沈設中の前記杭の中心位置の現場座標系での座標を逐次更新する構成1に記載の杭施工方法。
前記杭心座標取得工程で取得される沈設中の前記杭の中心位置の現場座標系での座標と、設計上の杭の中心位置の現場座標系での座標との差をリアルタイムで表示するディスプレイ装置を、杭施工重機のオペレータ室に設置し、前記杭施工重機のオペレータが、前記杭心ずれ修正工程において沈設中の前記杭の位置修正を行なうときに前記ディスプレイ装置を視認可能とした構成1または2に記載の杭施工方法。
前記杭沈設工程の前に、前記敷地の設計上の杭の中心位置となる地点の上方に前記杭を待機させる杭待機工程と、
前記レーザープロファイラーからレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設前の前記杭の外周からの反射光に基づいて沈設前の前記杭の中心の前記レーザープロファイラーからの距離および方向を測定する沈設前杭心測定工程と、
前記GNSSアンテナ測位工程で測位される第1のGNSSアンテナおよび前記第2のGNSSアンテナの前記固定局に対する公共座標系での各相対位置と、前記対応関係設定工程で設定した前記対応関係と、前記沈設前杭心測定工程で測定される沈設前の前記杭の中心の前記レーザープロファイラーからの距離および方向とに基づいて、沈設前の前記杭の中心位置の現場座標系での座標を取得する沈設前杭心座標取得工程と、
前記沈設前杭心座標取得工程で取得される沈設前の前記杭の中心位置の現場座標系での座標と、あらかじめ設定された設計上の前記杭の中心位置の現場座標系での座標とを比較し、両者の差がしきい値よりも大きいときは、沈設前の前記杭の待機位置が誤っている旨の異常を報知する杭心間違い検知工程と、を更に有する構成1から3のいずれかに記載の杭施工方法。
前記杭沈設工程の前に、前記敷地の設計上の杭の中心位置となる地点の上方に前記杭を待機させる杭待機工程と、
前記レーザープロファイラーからレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設前の前記杭の外周からの反射光に基づいて沈設前の前記杭の杭径を測定する杭径測定工程と、
前記杭径測定工程で測定した沈設前の前記杭の杭径とあらかじめ設定された設計上の杭径とを比較し、両者の差がしきい値よりも大きいときは、沈設前の前記杭の杭径が誤っている旨の異常を報知する杭径間違い検知工程と、を更に有する構成1から4のいずれかに記載の杭施工方法。
[構成6]
本体フレームと、前記本体フレームにそれぞれ取り付けられた第1のGNSSアンテナと第2のGNSSアンテナとレーザープロファイラーとを有し、
前記レーザープロファイラーは、レーザープロファイラーから水平に離れて配置された杭の中心のレーザープロファイラーからの距離および方向を測定することができるように、レーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光するように構成され、
前記第1のGNSSアンテナと前記第2のGNSSアンテナは、GNSS衛星からの信号を水平方向に所定の間隔をおいた2箇所で受信するように前記本体フレームに取り付けられている杭計測装置。
前記第1のGNSSアンテナおよび前記第2のGNSSアンテナは、GNSS衛星からの信号を水平方向に600mm以上の間隔をおいた2箇所で受信するように前記本体フレームに取り付けられている構成6に記載の杭計測装置。
前記第1のGNSSアンテナ、前記第2のGNSSアンテナ、前記レーザープロファイラーの各信号を携帯情報端末に無線送信する無線モジュールを有する構成6または7に記載の杭計測装置。
図3に示す携帯情報端末13に、図4に示す敷地Gに施工予定の各杭P1~P15の杭番号、施工予定の各杭P1~P15の中心位置の現場座標系でのXY座標、施工予定の各杭P1~P15の杭径、掘削ロッドR(図8参照)の直径等の情報を入力する。現場座標系は、敷地Gにおける杭の施工位置、杭径、杭長等を記載した杭伏図で使用されるXY座標系である。現場座標系は、GNSS衛星S(図3参照)からの信号による測位で使用される公共座標系(緯度および経度に基づく座標系)とは、座標の原点や座標軸の方向が異なる。
図4に示すように、杭P1~P15を施工する敷地Gに固定局14を設置する。敷地Gはあらかじめ測量が行われ、その敷地Gの設計上の各杭P1~P15の中心位置となる地点に、目印としての杭心棒が打たれている。固定局14は、杭P1~P15を施工する期間中、杭P1~P15の施工の邪魔とならない地点に設置する。固定局14を設置する地点は、現場座標系でのXY座標が既知の地点である必要はなく、現場座標系でのXY座標が未知の任意の地点でよい。
次に、敷地Gにおける現場座標系でのXY座標が既知の第1の地点に移動局15を設置する。例えば、杭P2の杭心棒のある地点(現場座標系でのXY座標が、10000,-10000の地点)に移動局15を設置する。そして、図3に示すように、移動局15が受信するGNSS衛星Sからの信号と、固定局14が受信するGNSS衛星Sからの信号とに基づいて、第1の地点(図4の杭P2の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対位置を測位する。すなわち、4機以上のGNSS衛星Sからの電波信号を、図4に示すように、第1の地点(杭P2の杭心棒のある地点)にある移動局15と、固定局14とで同時に受信し、その電波信号の位相差に基づいて、第1の地点(杭P2の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対的な位置関係(基線ベクトル)を測位する。
次に、敷地Gにおける現場座標系でのXY座標が既知の第2の地点に移動局15を移動して設置する。例えば、杭P14の杭心棒のある地点(現場座標系でのXY座標が、-10000,10000の地点)に移動局15を移動して設置する。そして、図3に示すように、移動局15が受信するGNSS衛星Sからの信号と、固定局14が受信するGNSS衛星Sからの信号とに基づいて、第2の地点(図4の杭P14の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対位置を測位する。すなわち、4機以上のGNSS衛星Sからの電波信号を、図4に示すように、第2の地点(杭P14の杭心棒のある地点)にある移動局15と、固定局14とで同時に受信し、その電波信号の位相差に基づいて、第2の地点(杭P14の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対的な位置関係を測位する。
次に、第1の相対測位工程で得た第1の地点(杭P2の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対位置と、第2の相対測位工程で得た第2の地点(杭P14の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対位置と、第1の地点(杭P2の杭心棒のある地点)の現場座標系での既知のXY座標(10000,-10000)と、第2の地点(杭P14の杭心棒のある地点)の現場座標系での既知のXY座標(-10000,10000)とに基づいて、固定局14に対する公共座標系での相対位置と現場座標系でのXY座標との対応関係を設定する。すなわち、第1の地点(杭P2の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対的な位置関係と、第2の地点(杭P14の杭心棒のある地点)の固定局14に対する公共座標系での相対的な位置関係とを取得すれば、第1の地点(杭P2の杭心棒のある地点)の現場座標系でのXY座標(10000,-10000)と第2の地点(杭P14の杭心棒のある地点)の現場座標系でのXY座標(-10000,10000)とが既に判明しているので、固定局14に対する公共座標系での相対位置と、現場座標系でのXY座標との対応関係が一義的に定まり、その結果、敷地Gの任意の地点について、その地点の固定局14に対する公共座標系での相対位置を、現場座標系でのXY座標に変換することが可能となる。この変換を行なうための対応関係を設定する。
杭P1~P15のいずれか(以下、単に「杭P」という)を沈設する掘削孔を敷地Gに形成するための掘削ロッドR(図5参照)の芯出しを行なう。具体的には、図5、図6に示すように、設計上の杭Pの中心位置となる地点Oから、現場座標系のX方向とY方向とに所定距離だけ離れた地点に2本の逃げ棒16を立てた状態で、設計上の杭Pの中心位置となる地点Oから杭心棒を抜き取り、その地点Oの上方に掘削ロッドRを誘導する。次に、2本の逃げ棒16から掘削ロッドRの外周に向けて2本の検尺棒17を水平に延ばし、その2本の検尺棒17の先端をそれぞれ掘削ロッドRの外周に当て、2本の逃げ棒16から掘削ロッドRの外周までの距離が所定距離に一致するように(つまり掘削ロッドRの中心位置が、設計上の杭Pの中心位置に一致するように)掘削ロッドRを位置決めする。
その後、図7に示すように、杭Pの中心位置となる地点Oの近傍に杭計測装置1を設置する。具体的には、杭Pの中心位置となる地点Oからレーザープロファイラー4までの距離が、5m以内(好ましくは3m以内)となる程度の近傍位置に杭計測装置1を設置する。杭計測装置1を設置する向きは、第1のGNSSアンテナ2と第2のGNSSアンテナ3とを結ぶ方向が、杭Pの中心位置となる地点Oとレーザープロファイラー4とを結ぶ方向と直角となるような向きとする。
次に、図3に示すように、第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3がそれぞれ受信するGNSS衛星Sからの信号と、固定局14が受信するGNSS衛星Sからの信号とに基づいて、第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置を測位する。すなわち、4機以上のGNSS衛星Sからの電波信号を、杭Pの中心位置となる地点Oの近傍に設置した杭計測装置1の第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3と、固定局14とで同時に受信し、その電波信号の位相差に基づいて、第1のGNSSアンテナ2の固定局14に対する公共座標系での相対的な位置関係と、第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での相対的な位置関係とを測位する。
図7に示すように、レーザープロファイラー4からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、掘削前の掘削ロッドRの外周からの反射光に基づいて、掘削前の掘削ロッドRの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向を測定する。掘削ロッドRの中心の位置は、例えば、掘削ロッドRの外周の各点からの反射光に基づいて、レーザープロファイラー4から掘削ロッドRの外周の各点までの距離を取得し、その各点のうちレーザープロファイラー4からの距離が最も近い点の位置から掘削ロッドRの直径(上記の杭情報入力工程で図3の携帯情報端末13に入力された値)の半分に相当する分だけレーザープロファイラー4から遠い側にオフセットすることで求めることができる。また、例えば、掘削ロッドRの外周の各点からの反射光に基づいて、レーザープロファイラー4から掘削ロッドRの外周の各点までの距離を取得し、その各点にフィットする円を最小二乗法等で算出し、その円の中心位置を掘削ロッドRの中心位置としてもよい。
GNSSアンテナ測位工程で取得される第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置と、上述の対応関係設定工程で設定した対応関係と、掘削前ロッド中心測定工程で測定される掘削前の掘削ロッドRの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向とに基づいて、掘削前の掘削ロッドRの中心位置の現場座標系でのXY座標を取得する。すなわち、第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置は、上述の対応関係設定工程で設定される対応関係に基づいて、第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の現場座標系での各XY座標に変換することができる。また、第1のGNSSアンテナ2と第2のGNSSアンテナ3とレーザープロファイラー4の相対的な位置関係があらかじめ判明しているので、図7に示すように、杭計測装置1を敷地Gに設置したときの第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の現場座標系での各XY座標が分かれば、レーザープロファイラー4の現場座標系でのXY座標と、レーザープロファイラー4の現場座標系での向きとが特定される。そのため、レーザープロファイラー4で測定される掘削前の掘削ロッドRの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向に基づいて、掘削前の掘削ロッドRの中心位置の現場座標系でのXY座標を取得することができる。
その後、図8に示すように、掘削ロッドRで地面に掘削孔18を形成する。ここで、掘削ロッドRで地面に掘削孔18を形成する間、杭計測装置1と携帯情報端末13とを用いて、以下のロッド中心測定工程とロッド中心座標取得工程と掘削ずれ修正工程とを行なう。
上記の掘削前ロッド中心測定工程と同様に、レーザープロファイラー4からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、掘削中の掘削ロッドRの外周からの反射光に基づいて、掘削中の掘削ロッドRの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向を測定する。
上記の掘削前ロッド中心座標取得工程と同様に、
GNSSアンテナ測位工程で取得される第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置と、上述の対応関係設定工程で設定した対応関係と、ロッド中心測定工程で測定される掘削中の掘削ロッドRの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向とに基づいて、掘削中の掘削ロッドRの中心位置の現場座標系でのXY座標を取得する。
上記のロッド中心座標取得工程で取得される掘削中の掘削ロッドRの中心位置の現場座標系でのXY座標に基づいて、掘削中の掘削ロッドRの位置を逐次修正する。すなわち、ロッド中心座標取得工程で取得される掘削中の掘削ロッドRの中心位置の現場座標系でのXY座標と、設計上の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標との差を、図3の携帯情報端末13のディスプレイ画面にリアルタイムで表示する。携帯情報端末13は、掘削ロッドRで掘削作業をする杭施工重機のオペレータ室に設置し、杭施工重機のオペレータが、ディスプレイ装置を視認しながら掘削中の掘削ロッドRの位置を逐次修正する。このとき、GNSSアンテナ測位工程で測位される第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置と、ロッド中心測定工程で測定される掘削中の掘削ロッドRの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向とのうち、前者の情報は更新せずに固定し、後者の情報のみを逐次更新することで、掘削中の掘削ロッドRの中心位置の現場座標系でのXY座標を逐次更新する。更新は一定時間ごと(例えば0.5秒ごと)に行なう。
地面に掘削孔18を形成した後、図9に示すように、敷地Gの設計上の杭Pの中心位置となる地点Oの上方(掘削孔18の上方)に杭施工重機で杭Pを保持し、待機させる。そして、2本の逃げ棒16から杭Pの外周に向けて2本の検尺棒17を水平に延ばし、その2本の検尺棒17の先端をそれぞれ杭Pの外周に当て、2本の逃げ棒16から杭Pの外周までの距離が所定距離に一致するように(つまり杭Pの中心位置が、設計上の杭Pの中心位置に一致するように)、杭施工重機で杭Pを位置決めする。この位置決めした杭Pに対し、杭計測装置1と携帯情報端末13とを用いて、以下の沈設前杭心測定工程と沈設前杭心座標取得工程と杭心間違い検知工程と杭径測定工程と杭径間違い検知工程とを行なう。
図10、図11に示すように、レーザープロファイラー4からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設前の杭Pの外周からの反射光に基づいて、沈設前の杭Pの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向を測定する。ここで、杭Pの中心の位置は、杭Pの外周の各点からの反射光に基づいて、レーザープロファイラー4から杭Pの外周の各点までの距離を取得し、その各点のうちレーザープロファイラー4からの距離が最も近い点の位置から杭Pの直径(上記の杭情報入力工程で図3の携帯情報端末13に入力された値)の半分に相当する分だけレーザープロファイラー4から遠い側にオフセットすることで求めることができる。また、例えば、杭Pの外周の各点からの反射光に基づいて、レーザープロファイラー4から杭Pの外周の各点までの距離を取得し、その各点にフィットする円を最小二乗法等で算出し、その円の中心位置を杭Pの中心位置としてもよい。
GNSSアンテナ測位工程で取得される第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置と、上述の対応関係設定工程で設定した対応関係と、沈設前杭心測定工程で測定される沈設前の杭Pの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向とに基づいて、沈設前の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標を取得する。
沈設前杭心座標取得工程で取得される沈設前の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標と、あらかじめ設定された設計上の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標(杭情報入力工程で図3の携帯情報端末13に入力された値)とを比較する。そして、両者の差があらかじめ設定されたしきい値よりも大きいときは、図3の携帯情報端末13のディスプレイ画面に杭心間違いのエラー表示を出し、沈設前の杭Pの待機位置が誤っている旨の異常を杭施工重機のオペレータに報知する。
また、上記の沈設前杭心測定工程において、レーザープロファイラー4からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光するとき、沈設前の杭Pの外周からの反射光に基づいて、沈設前の杭Pの杭径の測定を行なう。杭径の測定は、例えば、図10、図11に示すように、杭Pの外周の各点からの反射光に基づいて、レーザープロファイラー4から杭Pの外周の各点までの距離および方向を取得し、その各点にフィットする円を最小二乗法等で算出し、その円の直径を杭Pの杭径とすることで行なうことができる。
杭径測定工程で測定した沈設前の杭Pの杭径とあらかじめ設定された設計上の杭径(杭情報入力工程で図3の携帯情報端末13に入力された値)とを比較し、両者の差があらかじめ設定されたしきい値よりも大きいときは、図3の携帯情報端末13のディスプレイ画面に杭径間違いのエラー表示を出し、沈設前の杭Pの杭径が誤っている旨の異常を杭施工重機のオペレータに報知する。
上記の杭心間違い検知工程と杭径間違い検知工程で杭心間違いや杭径間違いが無いことを確認した後、図12に示すように、杭Pを掘削孔18に沈設する。ここで、杭Pの沈設を行なう間、杭計測装置1と携帯情報端末13とを用いて、以下の杭心測定工程と杭心座標取得工程と杭心ずれ修正工程とを行なう。
レーザープロファイラー4からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設中の杭Pの外周からの反射光に基づいて、沈設中の杭Pの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向を測定する。杭Pの中心の位置は、上記の沈設前杭心測定工程と同様にして求めることができる。
GNSSアンテナ測位工程で取得される第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置と、上述の対応関係設定工程で設定した対応関係と、杭心測定工程で測定される沈設中の杭Pの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向とに基づいて、沈設中の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標を取得する。
杭心座標取得工程で取得される沈設中の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標に基づいて、杭Pが掘削孔18の孔底に到達するまでの間、沈設中の杭Pの位置を逐次修正する。すなわち、杭心座標取得工程で取得される沈設中の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標と、設計上の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標との差を、図3の携帯情報端末13のディスプレイ画面にリアルタイムで表示する。携帯情報端末13は、杭Pの沈設をする杭施工重機のオペレータ室に設置し、杭施工重機のオペレータが、ディスプレイ装置を視認しながら、沈設中の杭Pの位置を逐次修正する。このとき、GNSSアンテナ測位工程で測位される第1のGNSSアンテナ2および第2のGNSSアンテナ3の固定局14に対する公共座標系での各相対位置と、杭心測定工程で測定される沈設中の杭Pの中心のレーザープロファイラー4からの距離および方向とのうち、前者の情報は更新せずに固定し、後者の情報のみを逐次更新することで、沈設中の杭Pの中心位置の現場座標系でのXY座標を逐次更新する。更新は一定時間ごと(例えば0.5秒ごと)に行なう。
2 第1のGNSSアンテナ
3 第2のGNSSアンテナ
4 レーザープロファイラー
5 本体フレーム
6 制御部(無線モジュール)
13 携帯情報端末
14 固定局
15 移動局
G 敷地
S GNSS衛星
P 杭
O 杭の中心位置となる地点
Claims (5)
- GNSS衛星(S)からの信号を受信する固定局(14)を設置する固定局設置工程と、
杭(P)を施工する敷地(G)の現場座標系での座標が既知の第1の地点にGNSS衛星(S)からの信号を受信する移動局(15)を設置し、その移動局(15)が受信するGNSS衛星(S)からの信号と、前記固定局(14)が受信するGNSS衛星(S)からの信号とに基づいて、前記第1の地点の前記固定局(14)に対する公共座標系での相対位置を測位する第1の相対測位工程と、
前記敷地(G)の現場座標系での座標が既知の第2の地点に前記移動局(15)を設置し、その移動局(15)が受信するGNSS衛星(S)からの信号と、前記固定局(14)が受信するGNSS衛星(S)からの信号とに基づいて、前記第2の地点の前記固定局(14)に対する公共座標系での相対位置を測位する第2の相対測位工程と、
前記第1の相対測位工程で得た前記第1の地点の前記固定局(14)に対する公共座標系での相対位置と、前記第2の相対測位工程で得た前記第2の地点の前記固定局(14)に対する公共座標系での相対位置と、前記第1の地点および前記第2の地点の現場座標系での既知の各座標とに基づいて、前記固定局(14)に対する公共座標系での相対位置と現場座標系での座標との対応関係を設定する対応関係設定工程と、
本体フレーム(5)と、前記本体フレーム(5)にそれぞれ取り付けられた第1のGNSSアンテナ(2)と第2のGNSSアンテナ(3)とレーザープロファイラー(4)とを有し、前記第1のGNSSアンテナ(2)と前記第2のGNSSアンテナ(3)が、GNSS衛星(S)からの信号を水平方向に所定の間隔をおいた2箇所で受信するように前記本体フレーム(5)に取り付けられている杭計測装置(1)を、前記敷地(G)の設計上の杭(P)の中心位置となる地点(O)の近傍に設置する杭計測装置設置工程と、
前記敷地(G)に杭(P)を沈設する杭沈設工程と、
前記第1のGNSSアンテナ(2)および前記第2のGNSSアンテナ(3)がそれぞれ受信するGNSS衛星(S)からの信号と、前記固定局(14)が受信するGNSS衛星(S)からの信号とに基づいて、第1のGNSSアンテナ(2)および前記第2のGNSSアンテナ(3)の前記固定局(14)に対する公共座標系での各相対位置を測位するGNSSアンテナ測位工程と、
前記レーザープロファイラー(4)からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設中の前記杭(P)の外周からの反射光に基づいて、沈設中の前記杭(P)の中心の前記レーザープロファイラー(4)からの距離および方向を測定する杭心測定工程と、
前記GNSSアンテナ測位工程で測位される第1のGNSSアンテナ(2)および前記第2のGNSSアンテナ(3)の前記固定局(14)に対する公共座標系での各相対位置と、前記対応関係設定工程で設定した前記対応関係と、前記杭心測定工程で測定される沈設中の前記杭(P)の中心の前記レーザープロファイラー(4)からの距離および方向とに基づいて、沈設中の前記杭(P)の中心位置の現場座標系での座標を取得する杭心座標取得工程と、
前記杭心座標取得工程で取得される前記杭(P)の中心位置の現場座標系での座標に基づいて、沈設中の前記杭(P)の位置を逐次修正する杭心ずれ修正工程と、を有する杭施工方法。 - 前記杭心ずれ修正工程で沈設中の杭(P)の位置を逐次修正するときに、前記杭心座標取得工程は、前記GNSSアンテナ測位工程で測位される前記第1のGNSSアンテナ(2)および前記第2のGNSSアンテナ(3)の前記固定局(14)に対する公共座標系での各相対位置と、前記杭心測定工程で測定される沈設中の前記杭(P)の中心の前記レーザープロファイラー(4)からの距離および方向とのうち、前者の情報は更新せずに固定し、後者の情報のみを逐次更新することで、沈設中の前記杭(P)の中心位置の現場座標系での座標を逐次更新する請求項1に記載の杭施工方法。
- 前記杭心座標取得工程で取得される沈設中の前記杭(P)の中心位置の現場座標系での座標と、設計上の杭(P)の中心位置の現場座標系での座標との差をリアルタイムで表示するディスプレイ装置(13)を、杭施工重機のオペレータ室に設置し、前記杭施工重機のオペレータが、前記杭心ずれ修正工程において沈設中の前記杭(P)の位置修正を行なうときに前記ディスプレイ装置(13)を視認可能とした請求項1または2に記載の杭施工方法。
- 前記杭沈設工程の前に、前記敷地(G)の設計上の杭(P)の中心位置となる地点(O)の上方に前記杭(P)を待機させる杭待機工程と、
前記レーザープロファイラー(4)からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設前の前記杭(P)の外周からの反射光に基づいて沈設前の前記杭(P)の中心の前記レーザープロファイラー(4)からの距離および方向を測定する沈設前杭心測定工程と、
前記GNSSアンテナ測位工程で測位される第1のGNSSアンテナ(2)および前記第2のGNSSアンテナ(3)の前記固定局(14)に対する公共座標系での各相対位置と、前記対応関係設定工程で設定した前記対応関係と、前記沈設前杭心測定工程で測定される沈設前の前記杭(P)の中心の前記レーザープロファイラー(4)からの距離および方向とに基づいて、沈設前の前記杭(P)の中心位置の現場座標系での座標を取得する沈設前杭心座標取得工程と、
前記沈設前杭心座標取得工程で取得される沈設前の前記杭(P)の中心位置の現場座標系での座標と、あらかじめ設定された設計上の前記杭(P)の中心位置の現場座標系での座標とを比較し、両者の差がしきい値よりも大きいときは、沈設前の前記杭(P)の待機位置が誤っている旨の異常を報知する杭心間違い検知工程と、を更に有する請求項1または2に記載の杭施工方法。 - 前記杭沈設工程の前に、前記敷地(G)の設計上の杭(P)の中心位置となる地点(O)の上方に前記杭(P)を待機させる杭待機工程と、
前記レーザープロファイラー(4)からレーザー光を水平に走査しながら照射するとともにその反射光を受光し、沈設前の前記杭(P)の外周からの反射光に基づいて沈設前の前記杭(P)の杭径を測定する杭径測定工程と、
前記杭径測定工程で測定した沈設前の前記杭(P)の杭径とあらかじめ設定された設計上の杭径とを比較し、両者の差がしきい値よりも大きいときは、沈設前の前記杭(P)の杭径が誤っている旨の異常を報知する杭径間違い検知工程と、を更に有する請求項1または2に記載の杭施工方法。
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