JP7256432B1 - 回転子、モータ、圧縮機および空気調和装置 - Google Patents

回転子、モータ、圧縮機および空気調和装置 Download PDF

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Abstract

【課題】減磁の影響を低減しつつ、磁石から発生する磁束量の低下を抑制できる、モータの回転子を提供する。【解決手段】回転子10は、回転軸Cの周りに回転可能に設けられ、永久磁石40と回転子コア20とを備える。永久磁石40は、回転軸Cに沿って見た場合に回転子10の外周面の近傍に配置される減磁部40aを有する。回転子コア20は、回転軸Cに沿って見た場合に減磁部40aの近傍に配置される孔または切り欠きである磁束バリア24を形成する。減磁部40aの磁化方向は、回転子10の周方向を向いている。回転子10は、半径Rの円筒形状を有する。回転軸Cに沿って見た場合に減磁部40aが延びる方向における磁束バリア24の寸法をLとする場合、0<L/R≦0.08の関係式を満たす。【選択図】図5

Description

回転子、モータ、圧縮機および空気調和装置に関する。
特許文献1(特開2015-119547号公報)には、複数の永久磁石が内部に埋め込まれている、モータの回転子が記載されている。この回転子の永久磁石は、回転子の回転軸に沿って見た場合に、永久磁石の一方の端部が回転子の表面付近に位置するように配置されている。回転子の表面付近、かつ、永久磁石が挿入される孔の近傍には、永久磁石から発生した磁束が漏洩することを抑制するための空隙が形成されている。
特許文献1(特開2015-119547号公報)に記載の構成において、永久磁石の長手方向における空隙の寸法が十分でないと、永久磁石は、モータの固定子から発生する磁界による減磁の影響を受けやすくなるおそれがある。
第1観点の回転子は、回転軸の周りに回転可能に設けられる、モータの回転子である。回転子は、磁石とコアとを備える。磁石は、回転軸に沿って見た場合に回転子の外周面の近傍に配置される第1部を有する。コアは、回転軸に沿って見た場合に第1部の近傍に配置される孔または切り欠きである第1空間を形成する。第1部の磁化方向は、回転子の周方向を向いている。回転子は、半径Rの円筒形状を有する。回転軸に沿って見た場合に第1部が延びる方向における第1空間の寸法をLとする場合、0<L/R≦0.08の関係式を満たす。
この回転子では、回転子の表面付近の磁石の近傍において減磁の影響を低減するために形成される孔または切り欠きの寸法が所定範囲内にあるので、減磁の影響を低減しつつ、磁石から発生する磁束量の低下を抑制できる。
第2観点の回転子は、第1観点の回転子であって、磁石は、回転軸に沿って見た場合に回転子の内側に向かって凸となる形状を有する。第1空間は、磁石の両端部である一対の第1部の間に位置している。
この回転子では、減磁の影響を低減しつつ、磁石から発生する磁束量の低下を抑制できる。
第3観点の回転子は、第1観点の回転子であって、磁石は、第1磁石、第2磁石、および第3磁石を有する。第1磁石および第2磁石は、回転軸に沿って見た場合に回転子の内側から外側に向かって延び、かつ、平板状である。第3磁石は、第1磁石の内側の端部と、第2磁石の内側の端部との間に配置され、かつ、回転軸に沿って見た場合に内側に向かって凸となる形状を有する。第1空間は、第1磁石および第2磁石の外周面側の端部である一対の第1部の間に位置している。
この回転子では、減磁の影響を低減しつつ、磁石から発生する磁束量の低下を抑制できる。
第4観点の回転子は、第1乃至第3観点のいずれか1つの回転子であって、磁石は、フェライト磁石である。
この回転子では、減磁の影響を低減しつつ、磁石から発生する磁束量の低下を抑制できる。
第5観点の回転子は、第1乃至第4観点のいずれか1つの回転子であって、回転軸に沿って見た場合に、回転子の外側における第1空間の周方向の寸法は、回転子の内側における第1空間の周方向の寸法よりも長い。
この回転子では、減磁の影響を低減しつつ、磁石から発生する磁束量の低下を抑制できる。
第6観点の回転子は、第1乃至第5観点のいずれか1つの回転子であって、コアは、回転軸に沿って見た場合に、磁石が挿入される第2空間を形成する。回転軸に沿って見た場合に、第1空間と第2空間との間の距離は、ゼロより大きい。
この回転子では、減磁の影響を低減しつつ、磁石から発生する磁束量の低下を抑制できる。
第7観点の回転子は、第6観点の回転子であって、回転軸に沿って見た場合に、回転子の径方向において、第1空間の外側の端部の位置は、第2空間の外側の端部の位置と同じである。
第8観点のモータは、固定子と、第1乃至第7観点のいずれか1つの回転子とを備える。
このモータでは、固定子による減磁の影響を低減しつつ、回転子の磁石から発生する磁束量の低下を抑制することで、効率を向上させることができる。
第9観点の圧縮機は、第8観点のモータを備える。
この圧縮機では、モータの効率を向上させることで、圧縮効率を向上させることができる。
第10観点の空気調和装置は、第9観点の圧縮機を備える。
この空気調和装置では、モータの効率を向上させることで、運転効率を向上させることができる。
実施形態の回転子10の平面図である。 端板30および締結具50を外した状態の回転子10の平面図である。 回転子10の端板30の平面図である。 図1のIV-IV線における断面図である。 回転軸Cに沿って見た場合における、磁石収容孔22に収容される永久磁石40の平面図である。 第1磁石41および第2磁石42の外観図である。 第3磁石43の外観図である。 モータ100の横断面図である。 圧縮機200の縦断面図である。 比較例としての、磁石収容孔22に収容される永久磁石140の横断面図である。 L/Rと、磁束量および減磁耐力との関係を示すグラフである。 第1変形例における、回転軸Cに沿って見た場合における、磁石収容孔22に収容される永久磁石40の平面図である。 第2変形例における、回転軸Cに沿って見た場合における、磁石収容孔22に収容される永久磁石40の平面図である。 第2変形例における、回転軸Cに沿って見た場合における、磁石収容孔22に収容される永久磁石40の平面図である。
本開示の一実施形態の回転子、回転子を備えるモータ、および、モータを備える圧縮機について、図面を参照しながら説明する。
(1)回転子10の構成
図1~図4に示されるように、回転子10は、主として、回転子コア20、端板30、永久磁石40、および締結具50を有する。図1では、永久磁石40が省略されている。回転子10には、シャフト60を取り付けるためのシャフト貫通孔11が形成されている。
(1-1)回転子コア20
回転子コア20は、複数の電磁鋼板が積層して形成されている。回転子コア20は、円柱形状を有する。回転子コア20は、その円柱形状の円形の2つの面の中心を通る回転軸Cを有する。回転子コア20には、主として、1つのシャフト収容孔21、複数の磁石収容孔22、複数の締結具収容孔23、および、複数の磁束バリア24が形成されている。シャフト収容孔21、磁石収容孔22、および締結具収容孔23は、回転軸Cに沿って回転子コア20を貫く。
シャフト収容孔21は、シャフト60が貫通し、シャフト60を保持するための孔である。回転軸Cに沿って見た場合、シャフト収容孔21は、円形状を有する。シャフト収容孔21の円形状の中心は、回転軸Cにある。
磁石収容孔22は、永久磁石40が収容され、永久磁石40を保持するための孔である。回転軸Cに沿って見た場合、磁石収容孔22は、略U字形状を有する。回転軸Cに沿って見た場合に、磁石収容孔22は、回転子10の内側に向かって凸となる形状を有する。本実施形態では、回転子コア20は、6個の磁石収容孔22を有する。図1および図2に示されるように、6個の磁石収容孔22は、回転軸Cを中心に6回対称となる位置に配置されている。言い換えると、回転軸Cに沿って見た場合に、隣接する2個の磁石収容孔22は、回転子10の周方向に沿って60°離れている。磁石収容孔22は、図1に示されるIV-IV線に対して対称となる形状を有する。
締結具収容孔23は、締結具50が収容され、締結具50を保持するための孔である。回転軸Cに沿って見た場合、締結具収容孔23は、円形状を有する。本実施形態では、回転子コア20は、6個の締結具収容孔23を有する。図1および図2に示されるように、6個の締結具収容孔23は、回転軸Cを中心に6回対称となる位置に配置されている。言い換えると、回転軸Cに沿って見た場合に、隣接する2個の締結具収容孔23は、回転子10の周方向に沿って60°離れている。締結具収容孔23は、図1に示されるIV-IV線上において、磁石収容孔22よりも、回転子10の外側に位置する。
磁束バリア24は、回転軸Cに沿って見た場合に、回転子10の外側の表面である外周面10aの近傍、かつ、磁石収容孔22の近傍に形成される、孔または切り欠きである。磁束バリア24が孔である場合、磁束バリア24は、回転軸Cに沿って回転子コア20を貫く。磁束バリア24が切り欠きである場合、磁束バリア24は、回転軸Cに沿って回転子コア20の外側の表面に形成される溝である。本実施形態では、磁束バリア24は、孔である。磁束バリア24の詳細については後述する。
(1-2)端板30
端板30は、永久磁石40が磁石収容孔22から外れることを抑制するための部材である。図4に示されるように、回転子コア20の上面25および下面26に、それぞれ、1枚の端板30が取り付けられている。端板30の材質は、ステンレス鋼やアルミニウム等の非磁性体である。
図3に示されるように、端板30は円板形状を有する。端板30には、1つのシャフト開口31、および、複数の締結具開口33が形成されている。
シャフト開口31は、シャフト60が通過する孔である。回転軸Cに沿って見た場合、シャフト開口31は、円形状を有する。シャフト開口31の円形状の中心は、回転軸Cにある。端板30が回転子コア20に取り付けられた状態では、回転軸Cに沿って見た場合、シャフト開口31は、シャフト収容孔21と重なり合う。シャフト開口31の外径は、シャフト収容孔21の外径より大きい。シャフト貫通孔11は、シャフト収容孔21およびシャフト開口31から構成される。
締結具開口33は、締結具50が通過する孔である。回転軸Cに沿って見た場合、締結具開口33は、円形状を有する。端板30が回転子コア20に取り付けられた状態では、回転軸Cに沿って見た場合、締結具開口33は、締結具収容孔23と重なり合う。締結具開口33の外径は、締結具収容孔23の外径より小さい。
図4に示されるように、回転軸Cの方向における磁石収容孔22の両端は、それぞれ端板30によって塞がれている。これにより、磁石収容孔22に収容される永久磁石40が磁石収容孔22から外れることが抑制される。また、回転軸Cの方向における磁束バリア24の両端は、それぞれ端板30によって塞がれている。
(1-3)永久磁石40
永久磁石40は、回転子コア20を着磁する。永久磁石40は、回転軸Cに沿って見た場合に、全体として、回転子10の内側に向かって凸となるU字形状を有する。以下において、回転軸Cに沿って見た場合に、永久磁石40の長手方向における両端部を減磁部40aと呼ぶ。永久磁石40は、一対の減磁部40aを有する。減磁部40aは、回転子10の外周面10aの近傍に位置し、回転子10の外側からの磁界による減磁の影響を受けやすい箇所である。
永久磁石40は、第1磁石41と第2磁石42と第3磁石43とから構成される。第1磁石41、第2磁石42および第3磁石43は、フェライト磁石である。第1磁石41、第2磁石42および第3磁石43は、ボンド磁石であってもよい。
図5に示されるように、各磁石収容孔22には、1個の第1磁石41と、1個の第2磁石42と、1個の第3磁石43とが収容されている。図5に示される矢印Mは、永久磁石40の磁化方向を表す。
第1磁石41および第2磁石42は、図6に示されるように、略平板状を有する。第1磁石41および第2磁石42の角部は、面取りされている。回転軸Cに沿って見た場合、第1磁石41および第2磁石42は、回転子10の内側から外側に向かって延びるように配置される。図6には、第1磁石41および第2磁石42に関して、回転軸Cに沿う方向の寸法L1、回転子10の内側から外側に向かう方向の寸法L2、および、回転子10の周方向の寸法L3が示されている。図4に示されるように、寸法L1は、回転軸Cの方向における磁石収容孔22の寸法と等しいか、わずかに短い。寸法L2は、回転子コア20の外側の表面と内側の表面との間の距離K(図2)の20%~80%である。寸法L3は、寸法L2の10%~100%である。寸法L3は、第1磁石41および第2磁石42の面取りされている角部を除いて、回転子10の内側から外側に向かう方向において一定である。
第1磁石41および第2磁石42は、それぞれ、1つの減磁部40aを有する。減磁部40aは、回転軸Cに沿って見た場合に、磁石収容孔22に収容される第1磁石41および第2磁石42の外周面10a側の端部に相当する。回転軸Cに沿って見た場合に、外周面10aと減磁部40aとの間の距離は、回転子10の外側からの磁界の大きさに応じて設定される。例えば、外周面10aと減磁部40aとの間の距離は、回転子コア20を構成する鋼板の厚みの1倍~4倍である。減磁部40aの磁化方向は、回転子10の周方向と略平行である。
第3磁石43は、図7に示されるように、回転軸Cに沿って見た場合に湾曲している形状を有する。第3磁石43の角部は、面取りされている。第3磁石43は、回転子10の内側における第1磁石41の第1端部41aと、回転子10の内側における第2磁石42の第2端部42aとの間に配置される。第3磁石43は、第1磁石41の第1端部41aと接触する第3端部43aと、第2磁石42の第2端部42aと接触する第4端部43bとを有する。図7には、第3磁石43に関して、回転軸Cに沿う方向の寸法L4が示されている。寸法L4は、寸法L1と同じである。
回転軸Cに沿って見た場合に、第3磁石43は、回転子10の内側に向かって凸となる形状を有する。図5に示されるように、回転軸Cに沿って見た場合に、回転子10の内側における第3磁石43の縁である内縁43c、および、回転子10の外側における第3磁石43の縁である外縁43dは、円弧形状を有する。
本実施形態の回転子10は、6個の磁石収容孔22のそれぞれに永久磁石40が保持される、6極回転子である。回転子10の極数は、6極に限られない。例えば、回転子10の極数は、4極、8極または10極であってもよい。この場合、回転子コア20は、回転子10の極数と同じ数の磁石収容孔22を有する。
(1-4)締結具50
締結具50は、回転子コア20と、2枚の端板30とを相互に固定する。締結具50は、例えば、リベット、ボルト、およびナットである。締結具50は、回転子コア20の上面25側の端板30の締結具開口33、回転子コア20の締結具収容孔23、および、回転子コア20の下面26側の端板30の締結具開口33、を通るように配置される。その後、締結具50の下端をかしめる等の方法によって、回転子コア20と、2枚の端板30とが相互に固定される。
(1-5)磁束バリア24
磁束バリア24は、回転軸Cに沿って見た場合に、永久磁石40の一対の減磁部40aの間に位置している。具体的には、回転軸Cに沿って見た場合に、それぞれの永久磁石40において、第1磁石41の減磁部40aの近傍に1つの磁束バリア24が形成され、第2磁石42の減磁部40aの近傍に1つの磁束バリア24が形成されている。それぞれの永久磁石40において、第1磁石41の減磁部40aと、第2磁石42の減磁部40aとの間には、2つの磁束バリア24が形成されている。
磁束バリア24は、減磁部40aの近傍に位置している。具体的には、回転軸Cに沿って見た場合に、磁束バリア24と、減磁部40aが収容される磁石収容孔22との間の距離は、ゼロより大きい。言い換えると、磁束バリア24は、磁石収容孔22と連通しておらず、図5に示されるように、磁束バリア24と磁石収容孔22との間にはブリッジ27が形成されている。回転軸Cに沿って見た場合、ブリッジ27の幅Wは、回転子コア20を構成する鋼板の厚みの1倍~2倍である。ブリッジ27の幅Wは、磁束バリア24と、減磁部40aが収容される磁石収容孔22との間の距離に相当する。
図5に示されるように、磁束バリア24が孔である場合、磁束バリア24の外周側端部24aの径方向位置は、磁石収納孔22の外周側端部22aの径方向位置と、ほぼ同じ位置にある。具体的には、回転子10の径方向において、磁束バリア24の外周側端部24aと回転軸Cとの間の距離は、磁石収納孔22の外周側端部22aと回転軸Cとの間の距離の95%~105%である。回転子10の径方向とは、円筒形状の回転子10を回転軸Cに沿って見た場合における、回転子10の半径方向に相当する。磁束バリア24が孔である場合、回転子10の径方向において、磁束バリア24の外周側端部24aは、磁石収納孔22の外周側端部22aと同じ位置にあることが好ましい。
以下、半径R、寸法L、および寸法Hを次のように定義する。
・半径R:回転子10の円筒形状の半径、言い換えると、回転軸Cと外周面10aとの間の距離(図1)。
・寸法L:回転軸Cに沿って見た場合に、減磁部40aが延びる第1方向Dにおける磁束バリア24の寸法(図5)。
・寸法H:回転軸Cに沿って見た場合に、減磁部40aの磁化方向(回転子10の周方向)における磁束バリア24の寸法(図5)。
第1方向Dは、回転軸Cに沿って見た場合、第1磁石41または第2磁石42が回転子10の内側から外側に向かって延びる方向に相当する。第1方向Dは、ブリッジ27の長手方向である。
本実施形態では、磁束バリア24は、第1方向Dを長手方向とする略長方形の形状を有する。具体的には、磁束バリア24は、0<L/R≦0.08の関係式を満たす形状を有する。好ましくは、磁束バリア24は、0.04≦L/R≦0.08の関係式を満たす形状を有する。これにより、磁束バリア24の第1方向Dの寸法の下限値および上限値が規制される。また、磁束バリア24は、0.1≦H/L≦0.8の関係式を満たす形状を有する。
(2)モータ100の構成
図8に示されるように、モータ100は、主として、回転子10と、固定子70とを有する。回転子10は、回転軸Cの周りに回転可能に設けられる。回転子10のシャフト貫通孔11には、円柱形状のシャフト60が焼き嵌めによって固定されている。固定子70は、回転子10の外側において、回転子10を囲むように配置される。回転子10と固定子70との間には隙間が形成される。固定子70は、主として、固定子コア71と、コイル72とを有する。
固定子コア71は、例えば、電磁鋼板等の強磁性体の材料から形成される。固定子コア71は、バックヨーク71aと、複数のティース71bとを有する。バックヨーク71aは、略円筒形状を有する。ティース71bは、バックヨーク71aの内周面から、バックヨーク71aの径方向に突出する。固定子コア71では、9個のティース71bが、バックヨーク71aの周方向において、等間隔に配置される。
コイル72は、例えば、それぞれのティース71bに巻線が巻かれることによって形成される。周方向において隣接する2つのティース71bの間には、コイル72の巻線が収容される空間が形成されている。ティース71bとコイル72との間には、絶縁フィルム等の絶縁部材が配置される。固定子コア71は、9個のコイル72を有する。しかし、コイル72の数は特に限定されない。
モータ100が駆動すると、固定子70のそれぞれのコイル72が所定のシーケンスに従って順次選択的に励磁されることにより、回転子10が、回転軸Cの周りをシャフト60と共に回転する。
(3)圧縮機200の構成
圧縮機200は、冷凍装置に用いられる。冷凍装置は、例えば、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房および暖房を行うことが可能な空気調和装置である。空気調和装置は、例えば、本実施形態の圧縮機200と、四方切替弁と、室外熱交換器と、膨張機構と、室内熱交換器とが接続される冷媒回路を備える。この場合、圧縮機200、四方切替弁、室外熱交換器および膨張機構は、空気調和装置の室外機に搭載され、室内熱交換器は、空気調和装置の室内機に搭載される。四方切替弁は、冷房運転時の冷媒回路と、暖房運転時の冷媒回路とを切り替える。冷房運転時では、室外熱交換器は放熱器(凝縮器)として機能し、室内熱交換器6は吸熱器(蒸発器)として機能する。暖房運転時では、室外熱交換器4は吸熱器として機能し、室内熱交換器6は放熱器として機能する。圧縮機200は、空気調和装置のような冷凍装置の冷媒回路を循環する冷媒を圧縮する。圧縮機200は、例えば、回転式の圧縮機、または、スクロール式の圧縮機である。
図9に示されるように、圧縮機200は、主として、ケーシング210と、圧縮機構215と、モータ100と、シャフト60と、吸入管219と、吐出管220とを備える。ケーシング210は、圧縮機構215、モータ100およびシャフト60が収容される密閉容器である。吸入管219および吐出管220は、ケーシング210を貫通し、ケーシング210と気密状に連結される。
圧縮機構215は、外部の冷媒回路から吸入管219を介して供給された低圧の冷媒を圧縮する。圧縮機構215によって圧縮された冷媒は、ケーシング210内部の高圧空間S1に吐出され、吐出管220を介して外部の冷媒回路に供給される。圧縮機構215の内部には、圧縮室215aが形成される。圧縮機構215は、シャフト60に連結される。圧縮機構215は、回転するシャフト60によって供給される動力を利用して圧縮室215aの容積を増減させることにより、冷媒を圧縮する。
モータ100は、圧縮機構215の上方または下方に配置される。モータ100の固定子70は、ケーシング210の内壁面に固定される。モータ100の回転子10は、固定子70の内側において回転自在に配置される。
シャフト60は、その軸方向が鉛直方向に沿うように配置される。シャフト60は、モータ100の回転子10、および、圧縮機構215の圧縮室215aを形成する部材に連結される。モータ100の駆動によって回転子10が回転軸C周りに回転すると、シャフト60が回転して、圧縮機構215によって冷媒が圧縮される。
(4)特徴
永久磁石が回転子の内部に埋め込まれているモータ(IPMモータ)では、永久磁石として、例えば、フェライト磁石または希土類磁石が用いられる。しかし、フェライト磁石は、希土類磁石と比較して磁力が小さい。そのため、フェライト磁石を用いる場合、モータの性能を向上させるために、図10に示されるように、磁石の表面積が大きくなるような電磁構造が採用される。図10は、図5と同様の断面図であり、回転子10の磁石収容孔22に収容され、略U字形状を有する永久磁石140が示されている。永久磁石140は、2つの平板状磁石141と、1つの湾曲磁石142とから構成される。平板状磁石141は、回転子10の外側から内側に向かって延びる。湾曲磁石142は、回転子10の内側に向かって凸となる形状を有する。湾曲磁石142の両端部は、各平板状磁石141の内側の端部と接触している。
図10において、回転子10の外周面10a付近は、固定子70からの距離が短いので、平板状磁石141の外周面10a側の端部は、コイル72から発生する磁界(外部磁界)による減磁の影響を受けやすい。特に、図10に示される、平板状磁石141の外周面10a側の角部141aは、外部磁界による減磁の影響を受けやすい箇所である。
実施形態では、図5に示されるように、回転軸Cに沿って見た場合に、第1磁石41および第2磁石42の減磁部40aの近傍に、磁束バリア24が形成されている。磁束バリア24は、回転子コア20に形成される孔または切り欠きである。外部磁界の磁束は磁束バリア24を通過しにくいので、減磁部40aにおける外部磁界による減磁の影響が低減される。従って、磁束バリア24は、永久磁石40の減磁耐力を向上させる効果を有する。永久磁石40の減磁耐力が高いほど減磁の影響が低減されるので、永久磁石40の容積を小さくして、永久磁石40の使用量を低減することができる。そのため、回転子コア20に磁束バリア24を形成することで、回転子10のコストダウンを図ることができる。
本実施形態では、磁束バリア24は、0<L/R≦0.08の関係式を満たす形状を有する。図11には、L/Rと、永久磁石40の磁束量との関係が実線で示され、L/Rと、永久磁石40の減磁耐力との関係が鎖線で示されている。図11では、L/Rがゼロの場合、言い換えると、磁束バリア24が存在しない場合の磁束量および減磁耐力を基準とするデータが示されている。図11に示されるように、L/Rが0.04以上になると、減磁耐力が飽和し始め、かつ、L/Rが0.08を超えると、磁束量の低下が顕著になる。従って、永久磁石40の磁束量および減磁耐力を十分に確保するためには、L/Rは0.04から0.08までの値であることが好ましい。
磁束バリア24が磁石収容孔22と連通して減磁部40aの近傍に空間が形成されている場合、減磁部40aの近傍において磁束が流れにくくなり磁気抵抗が増加して、モータ100の効率が低下する。本実施形態では、磁束バリア24は、磁石収容孔22と連通しておらず、磁束バリア24と磁石収容孔22との間にはブリッジ27が形成されている。そのため、ブリッジ27を磁束が流れることにより、減磁部40aの近傍における磁気抵抗の増加が抑制されるので、モータ100の効率の低下が抑制される。また、ブリッジ27の幅Wが大きいほど、外部磁界が減磁部40aに到達しやすくなり減磁の影響が大きくなるので、ブリッジ27の幅Wは、小さいほど好ましい。しかし、回転子コア20の鋼板を打ち抜いて磁束バリア24を形成する場合、鋼板の加工性を考慮すると、ブリッジ27の幅Wは、回転子コア20の鋼板の厚み以上であることが好ましい。
(5)変形例
(5-1)第1変形例
磁束バリア24の変形例について、図面を参照しながら説明する。本変形例では、磁束バリア24は孔である。図12に示されるように、回転軸Cに沿って見た場合に、回転子10の外側における磁束バリア24の周方向の寸法H1は、回転子10の内側における磁束バリア24の周方向の寸法H2よりも長い。言い換えると、磁束バリア24の周方向の寸法は、第1方向Dにおいて一定ではなく、回転子10の外側から内側に向かって徐々に短くなる。
本変形例では、磁束バリア24は、0<L/R≦0.08の関係式を満たす形状を有する。好ましくは、磁束バリア24は、0.04≦L/R≦0.08の関係式を満たす形状を有する。これにより、磁束バリア24の第1方向Dの寸法の下限値および上限値が規制される。また、磁束バリア24は、0.1≦H2/L<H1/L≦0.8の関係式を満たす形状を有する。本変形例の磁束バリア24は、実施形態の磁束バリア24と同様の効果を有する。
(5-2)第2変形例
実施形態および第1変形例では、磁束バリア24は孔であるが、磁束バリア24は、切り欠きであってもよい。磁束バリア24が切り欠きである場合、図13および図14に示されるように、磁束バリア24は、第1方向Dにおいて、回転子コア20の外側の表面まで延びている。図13に示される磁束バリア24は、図5に示される実施形態の磁束バリア24を、回転子コア20の外側の表面まで延長することで形成される切り欠きである。図14に示される磁束バリア24は、図12に示される第1変形例の磁束バリア24を、回転子コア20の外側の表面まで延長することで形成される切り欠きである。本変形例の磁束バリア24も、実施形態および第1変形例の磁束バリア24と同じ関係式を満たす。本変形例の磁束バリア24は、実施形態の磁束バリア24と同様の効果を有する。
(5-3)第3変形例
実施形態では、永久磁石40は、第1磁石41と第2磁石42と第3磁石43とから構成される。しかし、永久磁石40は、第1磁石41と第2磁石42と第3磁石43とが一体となった1つの磁石から構成されてもよい。
―むすび―
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
10 :回転子
10a :回転子の外周面
20 :回転子コア(コア)
22 :磁石収容孔(第2空間)
24 :磁束バリア(第1空間)
40 :永久磁石(磁石)
40a :減磁部(第1部)
41 :第1磁石
42 :第2磁石
43 :第3磁石
70 :固定子
100 :モータ
200 :圧縮機
C :回転軸
特開2015-119547号公報

Claims (10)

  1. 回転軸(C)の周りに回転可能に設けられる、モータの回転子であって、
    前記回転軸に沿って見た場合に前記回転子の外周面(10a)の近傍に配置される第1部(40a)を有する磁石(40)と、
    前記回転軸に沿って見た場合に前記第1部の近傍に配置される孔または切り欠きである第1空間(24)を形成するコア(20)と、
    を備え、
    前記第1部の磁化方向は、前記回転子の周方向を向いており、
    前記回転子は、半径Rの円筒形状を有し、
    前記回転軸に沿って見た場合に前記第1部が延びる第1方向における前記第1空間の寸法をLとする場合、0<L/R≦0.08の関係式を満たし、
    前記第1空間の長手方向は、前記第1方向であり、
    前記回転軸に沿って見た場合に、前記回転子の径方向において、前記第1空間の前記外周面の側の端部の位置は、前記第1部の前記外周面の側の端部の位置と同じである、
    回転子(10)。
  2. 前記磁石は、前記回転軸に沿って見た場合に前記回転子の内側に向かって凸となる形状を有し、
    前記第1空間は、前記磁石の両端部である一対の前記第1部の間に位置している、
    請求項1に記載の回転子。
  3. 前記磁石は、
    前記回転軸に沿って見た場合に前記回転子の内側から外側に向かって延び、かつ、平板状である、第1磁石(41)および第2磁石(42)と、
    前記第1磁石の前記内側の端部と、前記第2磁石の前記内側の端部との間に配置され、かつ、前記回転軸に沿って見た場合に前記内側に向かって凸となる形状を有する第3磁石(43)と、
    を有し、
    前記第1空間は、前記第1磁石および前記第2磁石の前記外周面の側の端部である一対の前記第1部の間に位置している、
    請求項1に記載の回転子。
  4. 前記磁石は、フェライト磁石である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子。
  5. 前記回転軸に沿って見た場合に、前記回転子の外側における前記第1空間の前記周方向の寸法は、前記回転子の内側における前記第1空間の前記周方向の寸法よりも長い、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子。
  6. 前記コアは、前記回転軸に沿って見た場合に、前記磁石が挿入される第2空間(22)を形成し、
    前記回転軸に沿って見た場合に、前記第1空間と前記第2空間との間の距離は、ゼロより大きい、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子。
  7. 前記回転軸に沿って見た場合に、前記回転子の径方向において、前記第1空間の前記外周面の側の端部の位置は、前記第2空間の前記外周面の側の端部の位置と同じである、
    請求項6に記載の回転子。
  8. 固定子(70)と、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子と、
    を備える、
    モータ(100)。
  9. 請求項8に記載のモータを備える、
    圧縮機(200)。
  10. 請求項9に記載の圧縮機を備える、
    空気調和装置。
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