JP7256075B2 - 照明用電源およびその保護回路 - Google Patents
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Description
これらのLEDランプを駆動する電源は、電源回路内の部品故障時や異物混入などによる短絡時に、電源は発煙や発火を発生させてはならず、対策の為に保護部品または保護回路が設けられている。
過電流保護のために使用される部品の一つに温度ヒューズがある。
この半導体素子と温度ヒューズは放熱フィンを介して熱的に結合され、具体的には半導体素子および温度ヒューズ本体がネジにより放熱フィンに直接取り付けられている。
この照明用電源は、位相制御(トライアック)方式の調光器を備え、保持電流回路の電源に、MOSFET、抵抗、ツェナーダイオードを使用したレギュレータが使用されている。さらに、レギュレータにはLED照明のチラツキを防止するための保持電流回路が接続されている。
また、ダイオードブリッジで整流された脈流電圧をDC/DC変換回路に供給し、脈流電圧を平滑しLEDを点灯させる電流・電圧に変換する。
ブリーダー抵抗やその他の保持電流回路内の部品が短絡となった場合は、レギュレータのMOSFETのソースと直列に接続された温度ヒューズが溶断することにより短絡保護が可能である。
そのため、温度ヒューズを用いる替わりに、ヒューズ抵抗を使用することにより取り付けや信頼性の課題を解決することが行われている。
すなわち、本発明は、照明負荷に対応した直流電力を出力する照明用電源であって、レギュレータと、そのレギュレータの出力に応じて動作する保持電流回路およびヒューズ抵抗とを備え、保持電流回路が過電流状態となる異常時に、保持電流回路の出力信号に基づきヒューズ抵抗を強制的に溶断させる保護回路を設けたことを特徴とする。
照明用電源1は、調光器3、ダイオードブリッジ4、抵抗5、スイッチング素子6、ヒューズ抵抗7、ツェナーダイオード8、DC/DC変換回路10、保護回路11および保持電流回路12より構成され、その照明用電源1に商用電源2およびLED(照明負荷)9が接続されている。
スイッチング素子6のドレイン-ゲート間に電流制限用の抵抗5、ゲート-GND間に、ツェナーダイオード8を介装する。
抵抗5、スイッチング素子6、ツェナーダイオード8およびヒューズ抵抗7で構成されるシリーズレギュレータは、抵抗5とツェナーダイオード8の直列接続によりツェナーダイオード8のツェナー電圧から、スイッチング素子6のゲート閾値電圧を差し引いた電圧V1を方形波電圧として出力する。
さらに、照明用電源1は、保持電流回路12を構成する部品等が故障して発生する回路の焼損等を防止するための保護回路11を備える。
なお、図1中の電圧V2は、ヒューズ抵抗7の下流側の電圧、保持電流回路12および保護回路11への入力電圧である。
図2は、保持電流回路の詳細回路である。保持電流回路12は、スイッチング素子(第1のスイッチング素子)21、スイッチング素子22、オペアンプ23、ダイオード24、抵抗25(第1の抵抗)、抵抗26~28、コンデンサ30および設定電圧源31により構成される。
また、この抵抗25は、通常ヒューズ抵抗7より抵抗値は大きい。保持電流回路12のスイッチング素子21が故障により短絡状態となっても、ヒューズ抵抗7は溶断しないことがあるため、後述する保護回路11の機能によりヒューズ抵抗7を溶断させないと、ブリーダー抵抗25やスイッチング素子6は異常な温度が継続してしまう。
図3は、保持電流回路の動作を説明する図であり、(A)設定電圧(低)および(B)設定電圧(高)の2つのケースの、各々について3つの波形を示す。上から順に、ダイオードブリッジ4出力の脈流電圧Vdc、スイッチング素子21のドレインーソース間電圧Vm1dおよび抵抗25の消費電力Prを示す。横軸は時間であり、商用電源2の2サイクル分の40[ms]を示す。
抵抗25の消費電力Prがパルス状の波形を示すのは、脈流電圧Vdcが低くなったときには、シリーズレギュレータの動作もオフするため電源が供給されないことによる。よって、設定電圧V31の低い時の抵抗25の消費電力Prは非常に少なく約20[mW]である。
よって、設定電圧V31は、短時間であっても保持電流が流れる設定値とし、かつ消費電力が小さくなるような設定値とする。
図4は、保護回路11の詳細回路である。スイッチング素子(第2のスイッチング素子)51、スイッチング素子52、トランジスタ53(第1のトランジスタ)、トランジスタ54(第2のトランジスタ)、ダイオード55、コンデンサ56(第1のコンデンサ)、コンデンサ57(第2のコンデンサ)、抵抗58(第2の抵抗)、抵抗59(第3の抵抗)、抵抗60(第4の抵抗)、抵抗61(第5の抵抗)、抵抗62および抵抗63から構成される。
なお、本実施形態ではトランジスタ53およびトランジスタ54はPNP型を使用する。
保持電流回路12からの入力は抵抗63の一端に接続され、抵抗63の他端はトランジスタ53のエミッタおよびトランジスタ54のベースに接続される。トランジスタ53のコレクタはスイッチング素子52のゲートおよび抵抗62の一端に接続され、スイッチング素子52のソースおよび抵抗62の他端はGNDに接続される。
保持電流回路12のスイッチング素子21のドレインーソース間の電圧Va(Vm1d)と、トランジスタ53のベース電圧およびトランジスタ54のエミッタ電圧との関係によって、保護回路は動作する。
なお、電圧Vaはスイッチング素子21のオンオフ動作の信号であることから、スイッチング素子21のオンオフ動作の信号が保持電流回路の出力信号として保護回路に出力されることにより、保護回路が動作すると言える。
抵抗58と抵抗59の接続点の電圧、すなわちトランジスタ53のベース電圧Vq1bは、
Vq1b=((抵抗59+抵抗60)/(抵抗58+抵抗59+抵抗60))*Vc2・・・(1)
で決定される。これらの抵抗により分圧されたトランジスタ53のベース電圧Vq1bは、基準電圧Va(H)とする。ここでVc2はコンデンサ57の電圧である。
Vq2e=(抵抗60/(抵抗58+抵抗59+抵抗60))*Vc2 ・・・(2)
で決定される。これらの抵抗により分圧されたトランジスタ54のエミッタ電圧Vq2eは、基準電圧Va(L)とする。
ここで、保持電流回路12のスイッチング素子21がオン状態では、電圧Vaは0[V]である。また、スイッチング素子21がオフの状態では、Va=Vm1dとなる。この時スイッチング素子21には電流が流れないため、電圧Vm1dは、電圧V2とほぼ同じになる。
Va>Vq1b+Vbe ・・・(3)
になると、トランジスタ53がオンし、抵抗62に電流が流れ、スイッチング素子52がオンする。スイッチング素子52がオンすると、コンデンサ56の電荷を放電させ、スイッチング素子51のゲート電圧が低下する。
電圧Vaが、基準電圧Va(H)にトランジスタ53のベース―エミッタ間電圧Vbe加算した電圧を超えるとトランジスタ53はオンすることになる。
Va<Vq2e-Vbe ・・・(4)
になると、トランジスタ54がオンし、抵抗61を介してコンデンサ56を充電する。コンデンサ56の電圧Vc1がスイッチング素子51のゲート閾値電圧を超えるとスイッチング素子51がオンする。電圧Vaが、基準電圧Va(L)からトランジスタ54のベース―エミッタ間電圧Vbeを減じた電圧未満になるとトランジスタ54はオンすることになる。
すなわち、正常時はスイッチング素子51のゲート―ソース間に並列接続されたコンデンサ56にトランジスタ54のオン動作によって充電され、トランジスタ53のオン動作によって放電される。正常時にはこの充電と放電が繰り返され、スイッチング素子51がオン動作となることはない。
Va(L)未満の期間が長く継続すると、すなわち保持電流回路12が過電流状態となって保持電流回路のスイッチング素子21が短絡したままの場合は、トランジスタ53がオン動作しないで、トランジスタ54がオン動作を継続する。
さらに、本実施形態ではトランジスタ53および54はバイポーラトランジスタ(PNP型)を使用しているが、MOSFET等のスイッチング素子であってもよい。またスイッチング素子51および52、保持電流回路のスイッチング素子21はバイポーラトランジスタを使用してもよい。なお、抵抗63は電流制限抵抗である。
図5は、調光器による光量が最大時の保護回路11の各波形を示す図であり、図6は光量が最小時の同様の図である。図5および図6は共に、保護回路11が、正常の期間(a)から保持電流回路11のスイッチング素子21が短絡して過電流が流れ始める期間(b)および過電流が継続して流れる期間(c)を示している。
なお、図5および図6は、シミュレーションによる波形であり、上述の図3、以下の図7および図8も同様である。
なお、(D)トランジスタ54のエミッタ電圧Vq2eおよび(E)トランジスタ53のベース電圧Vq1bは、上記式(1)および(2)によって決定される。
また、スイッチング素子51のドレイン―ソース間電圧Vm2dは、上記図1中の電圧V2と同じである。
図5(B)の電圧Vm2dは、レギュレータの出力に接続されたヒューズ抵抗7の下流側電圧V2と同じである。保持電流回路12が正常に動作しているときには、スイッチング素子51はオン動作しないため、電圧Vm2dの波形は、レギュレータの出力波形とほぼ同様で、ピーク電圧は約20[V]となる。脈流電圧Vdcが低下したときには、0[V]になる。
図3で説明したように、脈流電圧Vdcが設定電圧V31以下のときにスイッチング素子21が短時間オン動作し、その後レギュレータの出力停止とともに0[V]になる。
なお、図5(D)および(E)に示す波形の抵抗比は、抵抗58:抵抗59:抵抗60=1:1:14.2である。
図5(D)のトランジスタ54のエミッタ電圧Vq2eは、上記の抵抗比から高い電圧値となるように設定されているが、この電圧値が高ければ、スイッチング素子51が確実に異常時にオン動作する。
よって、(D)トランジスタ54のエミッタ電圧Vq2eおよび(E)トランジスタ53のベース電圧Vq1bの波形も、脈流電圧Vdcが0[V]になる間は低下し、レギュレータが動作を開始すればすぐに元に戻る波形になっている。
電圧Vaがハイレベル(約20[V])の間は、トランジスタ53のベース電圧Vq1b+ベース―エミッタ間電圧Vbeより高くなり、トランジスタ53がオン動作し、コンデンサ56は放電される。
また、電圧Vaがローレベル(0[V])になると、エミッタ電圧Vq2e-ベース―エミッタ間電圧Vbeより低くなって、トランジスタ54がオン動作し、コンデンサ56に充電される。
なお、正常な期間(a)は、ヒューズ抵抗7の消費電力Pfrも保持電流が流れるのみで約2[mW]と少ない。
この時、脈流電圧Vdcは、正常時と比べて変化はない。電圧Vm2dは、短絡が発生したと同時に、電圧のピーク値が低下している。これは、スイッチング素子21が短絡し、脈流電圧Vdcが設定電圧V31より高くても、抵抗25に電流が流れヒューズ抵抗7に流れる電流も増加するため、正常時よりヒューズ抵抗7の電圧降下分が増加し、電圧V2は正常時より低下する。
また、電圧Vaは、スイッチング素子21が短絡しているため、0[V]になる。
しかし、トランジスタ54のエミッタ電圧Vq2eは徐々に低下しているが、電圧Vaは、0[V]となっており、トランジスタ54はオン動作が継続し、抵抗61を介してコンデンサ56を充電し続ける。このコンデンサ56の電圧Vc1は、徐々に上昇し、スイッチング素子51のゲート閾値電圧を超えるとスイッチング素子51がオン動作する。
さらに、スイッチング素子51のゲート電圧は徐々に上昇し、短絡してから商用電源の約4サイクルで、スイッチング素子51は完全にオン動作となっている。
よって、図5(B)に示す電圧Vm2dは、スイッチング素子51に流れる電流が徐々に増加するため低下し、スイッチング素子51が完全にオン動作になると0[V]になる。
なお、期間(c)では、ヒューズ抵抗7は溶断するが、図5に示すシミュレーションは、ヒューズ抵抗7が最大の電流が流れる状態を継続した図となっており、溶断後の波形は示していない。
期間(b)の保持電流回路12のスイッチング素子21が短絡の状態では、電圧Vaは0[V]となっているため、トランジスタ54のオン動作は継続する。スイッチング素子51がオンし始める時間および完全にオンする時間は、図5に示す光量が最大の場合と同じである。このとき、光量が最大の場合と比べてレギュレータのオンする期間が短いため、期間(c)のヒューズ抵抗7の消費電力Pfrは約4[W]である。
なお、正常の期間(a)でも、光量が最小時の場合、商用電源2の0.5サイクルの期間で電圧Vaが0[V]になる時間が調光の光量が最大のときに比べて長いため、トランジスタ54のオン動作が継続し、この期間にコンデンサ56が充電されて、スイッチング素子51のゲート電圧が上昇する。しかし、抵抗61とコンデンサ56の時定数は、商用電源2の0.5サイクルと比べて十分長く設定されているため、正常時にスイッチング素子51がオン動作することはない。
これは、図5のシミュレーションでは、時定数220[ms]でスイッチング素子51が動作し始めるのは商用電源の2サイクル(40[ms])後である。このことから少なくとも調光量の光量が最小となるときにもスイッチング素子51を0.5サイクル(10[ms])でもオン動作させないとするためには、10[ms]の5.5倍(220[ms]/40[ms])とした。
横軸の時間100[ms]の時点でスイッチング素子21の短絡故障が発生し、その後脈流電圧Vdcが設定電圧V31より大きい期間も抵抗25に保持電流が流れるが、保護回路11がある場合と比べてヒューズ抵抗7に流れる電流値は少ない。この結果、本発明の保護回路12がないとした場合では、ヒューズ抵抗7の消費電力Pfrは約185[mW]となる。
この場合ヒューズ抵抗7は溶断しないため、スイッチング素子6やブリーダー抵抗25が異常発熱し、回路の焼損につながる。
なお、ヒューズ抵抗7の定格電力は、照明用電源1や保護回路11によって異なるが、ヒューズ抵抗7の消費電力Pfrの1/4~1/8であればよい。
Claims (3)
- 調光器を介して入力された交流電力を整流回路により整流し、整流された脈流電圧を変換して照明負荷に対応した直流電力を出力する照明用電源であって、
ヒューズ抵抗を含むレギュレータと、
該レギュレータの出力に応じて動作する保持電流回路と、
前記保持電流回路が過電流状態となる異常時に前記ヒューズ抵抗を強制的に溶断させる保護回路とを備え、
前記保持電流回路は、前記レギュレータおよび前記整流回路を介して接続される前記調光器に保持電流を流すための第1の抵抗と第1のスイッチング素子とを直列に接続した回路を有し、前記脈流電圧が所定値以下のときに前記第1のスイッチング素子をオン動作させて前記保持電流を流し、
前記保護回路は、前記ヒューズ抵抗とGND間に介装された第2のスイッチング素子を有し、
前記保護回路は、前記保持電流回路の正常時は前記第2のスイッチング素子がオン動作しないように保持し、前記保持電流回路が前記第1のスイッチング素子の故障により前記第1の抵抗に過電流が流れても前記ヒューズ抵抗が溶断しない異常時は、前記第1のスイッチング素子のオン動作時の前記第1のスイッチング素子のドレイン-ソース間の電圧に基づき前記第2のスイッチング素子をオン動作させて前記ヒューズ抵抗を溶断させる
ことを特徴とする照明用電源。
- 前記保護回路は、第1と第2のトランジスタ、前記第2のスイッチング素子のゲートとGND間に並列接続したコンデンサをさらに備え、
前記第2のトランジスタのオン動作により前記コンデンサに充電して第2のスイッチング素子のゲート電圧を上昇させる一方、前記第1のトランジスタのオン動作により、前記コンデンサから放電させてゲート電圧を低下させる回路であって、
前記保持電流回路の正常時は前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタを交互にオン動作させることによって、前記第2のスイッチング素子がオン動作しないゲート電圧に保持し、前記保持電流回路の異常時は前記第1のトランジスタをオン動作させないで、前記第2のトランジスタのオン動作を継続させることにより、前記第2のスイッチング素子のゲート電圧を上昇させ、前記第2のスイッチング素子をオン動作させて前記ヒューズ抵抗を強制的に溶断させることを特徴とする請求項1に記載の照明用電源。 - 前記保護回路は、前記第2のトランジスタと前記コンデンサとに接続された抵抗をさらに備え、該抵抗と前記コンデンサとの時定数によって、前記第2のスイッチング素子のゲート電圧を徐々に上昇させ、前記時定数は前記調光器による光量が最小であっても前記第2のスイッチング素子がオン動作しないように設定されていることを特徴とする請求項2に記載された照明用電源。
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