JP7267845B2 - 照明用電源およびその保護回路 - Google Patents
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Description
このLEDを駆動する電源は、電源回路内の部品故障時や、異物混入などによる部品の短絡時、電源は発煙・発火を生じさせてはならず、対策のために保護回路が設けられている。電源回路の異常電流保護として電流ヒューズが使用されているが、スイッチング素子等の動作異常により回路の損失が増加した場合に、電流ヒューズの保護電流値に達していなくとも、損失増加により発煙・発火に至ることがある。
この従来の照明用電源100は、商用電源2から調光器3を介してダイオードブリッジ4で整流し、その出力をDC/DC変換回路11に供給し、照明負荷に対応した直流電圧および電流に変換しLED10に出力する。
また、ダイオードブリッジ4の出力を、抵抗5、半導体素子Q5およびツェナーダイオード7より構成されるレギュレータにより降圧し、抵抗8および半導体素子Q3より構成され保持電流を流す保持電流回路および保持電流を流す半導体素子Q3を制御する矩形波生成回路70に必要な電源を供給する。
また、照明用電源の従来回路に使用される温度ヒューズF1はその材料にもよるが、概して照明など1日に何度もオン/オフすることが想定される環境の温度変動に弱く、照明用途には不適となる課題がある。
この構成によれば、保護回路により、保持電流制御素子の短絡時に定電圧素子をショートさせて、レギュレータ動作を安全に停止させることができる。
第2の半導体素子のオフ動作により、第1のコンデンサが抵抗を介して充電され、第1のコンデンサの電圧が第1の半導体素子がオンする制御端子電圧の閾値に達するまでの時間を、第1のコンデンサと抵抗による時定数により決定することを特徴とする。
この構成によれば、抵抗とコンデンサ(第1のコンデンサ)による時定数を選定することにより、過電流となって焼損が拡大する前に保護回路を動作させることができる。
また、温度ヒューズを熱的に結合させる必要がなく保護回路を構成する部品はチップ部品で構成できるため、工数削減・コスト低減が可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る照明用電源の概略図である。照明用電源1は、調光器3、ダイオードブリッジ4、抵抗5、半導体素子6、ツェナーダイオード7、抵抗8、半導体素子9、DC/DC変換回路11、矩形波生成回路12および保護回路13を備え、この照明用電源1に、商用電源2および照明負荷としてLED10が接続される。
ここで、抵抗8と半導体素子9は調光器3の誤動作を防ぐ保持電流を流す保持電流回路15として機能する。また、半導体素子6および9には、例えばMOSFET(N型)が用いられる。
本実施形態では、例えば、ツェナーダイオード7のツェナー電圧を24[V]とすると、レギュレータ14は約20[V]の方形波を出力する。
さらに、ダイオードブリッジ4の出力電圧Vdcは、DC/DC変換回路11に接続され、DC/DC変換回路11はLED10の照明負荷に対応した直流電力(直流電圧および直流電流)に変換する。
この全波整流された出力電圧Vdcをレギュレータ14により、トライアックの保持電流をオン/オフする矩形波生成回路12や保護回路13に直流の電源として供給する。
さらに、この出力電圧VdcをDC/DC変換回路11により変換してLED10に出力する。
図2は、矩形波生成回路12の詳細な回路図であり、レギュレータ14および保持電流回路15も併せて示す。
矩形波生成回路12は、半導体素子21、オペアンプ22、ダイオード23、コンデンサ24、抵抗25~28および設定電圧源29により構成される。レギュレータ14からダイオード23を介して電源が供給され、コンデンサ24により平滑されて半導体素子21およびオペアンプ22の駆動電源として利用される。
なお、本実施形態の半導体素子21はMOSFET(N型)である。
また、矩形波生成回路12の平滑電圧は、信号TRM1として保護回路13にも供給される。
図3は、3つの波形が示されており、上から順に(A)ダイオードブリッジ4の出力電圧Vdc、(B)半導体素子9のドレイン―ソース間電圧Q3Vds、(C)抵抗8の消費電力RPである。縦軸は、(A)および(B)が電圧、(C)が電力を示す。横軸は時間を示し、全体では商用電源2の2サイクル分の40[ms]である。
(以下、設定電圧V29と、出力電圧Vdcを基に抵抗27と抵抗28とで分圧した電圧とを比較するとき、説明の煩雑さを避けるため、分圧した電圧に代えて出力電圧Vdcを用いる。)
出力電圧Vdcが、設定電圧V29以下のときは、半導体素子9のゲート電圧が高くなって、半導体素子9がオンする。その結果、電圧Q3Vdsは0[V]になる(同図(B))。
しかし、保持電流が流れるのは短時間である。半導体素子9はオンするものの、出力電圧Vdcが低下するとレギュレータ14の出力も停止し、0[V]となるため、電圧Q3Vdsも0[V]のままである(同図(B))。
よって、抵抗8を流れる電流も矩形波生成回路12の動作電流を除けば、0[mA]となるから、抵抗8の電流波形は短時間のパルス状となる。
ここで、設定電圧V29は、調光器3の保持電流が確実に流れるように設定されるが、設定値を高くすれば抵抗8による消費電力が増加するため、消費電力RPが多くならないように設定される。
図4は、保護回路の詳細な回路図である。保護回路13は、半導体素子51(第1の半導体素子、Q1))および52(第2の半導体素子、Q2)、ダイオード53、コンデンサ54(第1のコンデンサ)および55(第2のコンデンサ)、抵抗56~60から構成される。
なお、本実施形態の半導体素子51はMOSFET(N型)であり、半導体素子52はバイポーラトランジスタ(NPN型)である。
ダイオード53のカソードには、抵抗56の一端が接続され、抵抗56の他端は、抵抗57および抵抗58の一端、コンデンサ55の一端と接続され、抵抗57およびコンデンサ55の他端はGNDに接続される。
抵抗58の他端は半導体素子52のベースに接続され、半導体素子52のコレクタは抵抗59の一端に接続され、抵抗59の他端は矩形波生成回路12から入力される信号TRM1(ダイオード23のカソードとコンデンサ24の接続点の電圧)に接続される。
なお、信号TRM1は保持電流回路15の抵抗8を介するレギュレータ14出力の平滑電圧の信号であり、信号TRM1を使用しないで保護回路13内に平滑回路を設けてもよい。その場合、レギュレータ14の出力が保護回路13と接続される。
具体的には、半導体素子9の短絡時に半導体素子9の出力信号(電圧Q3Vds)がローレベル(0[V])に変化すると、ツェナーダイオード7と並列に接続された半導体素子51をオンさせることで、ツェナーダイオード7の両端子間を、オン状態とされた半導体素子51によりショートさせる。これにより、ツェナーダイオード7のツェナー電圧を0[V]にして、レギュレータ14の出力を停止させ、部品の保護を図るものである。
図5は、調光器3の光量が最大時の保護回路13の動作を説明する波形図であり、図6は、調光器3の光量が最小時の同様の波形図である。図5および図6は、共に上から順に、(A)半導体素子6のドレイン―ソース間電圧Q5Vds(以下、単に電圧Q5Vdsという)、(B)半導体素子6に流れる電流Q5Id(同、電流Q5Id)、(C)半導体素子6の消費電力Q5P(同、消費電力Q5P)、(D)半導体素子52のベース―エミッタ間電圧Q2Vbe(同、電圧Q2Vbe)、(E)半導体素子51のゲート―ソース間電圧Q1Vgs(同、電圧Q1Vgs)、(F)保持電流回路15の半導体素子9のドレイン―ソース間電圧Q3Vds(同、電圧Q3Vds)、(G)半導体素子51のドレイン―ソース間電圧Q1Vds(同、電圧Q1Vds)である。
なお、図5および図6は、シミュレーション結果であり、消費電力もシミュレーションによる算出値である。また、半導体素子9のドレイン―ソース間電圧Q3Vdsは、保持電流回路15の半導体素子9の出力信号TRM2である。
A期間の電圧Q5Vdsは、ダイオードブリッジ4の出力電圧Vdcからレギュレータ14の出力の約20[V]を減じた電圧波形となっている(同図(A))。この期間は、半導体素子9の動作は正常なため、電流Q5Idは、出力電圧Vdcが設定電圧V29以下のときは短時間保持電流が流れ、出力電圧Vdcが設定電圧V29より高いときは、保持電流は流れず矩形波生成回路12に供給される電流のみ流れる(同図(B))。よって、半導体素子6の消費電力Q5Pは保持電流と矩形波生成回路12による消費電力となる(同図(C))。
電圧Q2Vbe(同図(D))は、電圧Q3Vds(同図(F))がハイレベル(約20[V])の間は半導体素子52がオンしているため、約0.7[V]でほぼ一定である。出力電圧Vdcが0[V]になる間は、電圧Q3Vdsがローレベル(0[V])になっても、コンデンサ55によりほとんど電圧は低下していない。また、電圧Q1Vgs(同図(E))は、半導体素子52がオン動作を継続しているため、コンデンサ54には充電されず、ほぼ0[V]である。
なお、このA期間のシミュレーションによる消費電力Q5Pは194[mW]である。
半導体素子51は、レギュレータ14のツェナーダイオード7と並列に接続されているため、半導体素子51がオンするとツェナー電圧が0[V]になり、レギュレータ14の動作が停止する。半導体素子6はオフし、オフ状態の半導体素子6に出力電圧Vdcが印加された状態で(同図(A))、半導体素子6の電流Q5Idは0[mA]になり(同図(B))、この期間の消費電力Q5Pも、0[W]である(同図(C))。
また、この期間の電圧Q5Vdsは、ほぼ出力電圧Vdcがそのまま印加されており、A期間およびB期間とは異なり、ツェナー電圧分だけ電圧のピーク値が高くなっている(同図(A))。
このC期間は、この保護回路13の動作により、半導体素子9が短絡故障し半導体素子6および抵抗8が過電流によって加熱また焼損するのを防止していることを示す。
しかし、A期間では電圧Q2Vbe(同図(D))は、電圧Q3Vdsのハイレベルの期間が短いため(同図(F))、放電による電圧低下があり、電圧Q1Vgsは、コンデンサ54は充電されるが、放電も行われるため電圧値が変動する(同図(E))。
なお、B期間になればコンデンサ54は、光量の違いに関わらず同じように充電されるため、同様な時間で半導体素子51はオンし、保護回路13が動作する。
コンデンサ55は、正常動作時調光器3の光量が最大でも最小でも、第2の半導体素子52がオフしないように定数(静電容量)を選定する。また、電源投入時は、第1の半導体素子51が先にオンすると照明用電源1が動作しないため、第2の半導体素子52が先にオンして第1の半導体素子51のゲートに接続されているコンデンサ54を放電させるように、コンデンサ55の定数を決定する。
上記観点からコンデンサ55の定数として、0.47[μF]~4.7[μF]が望ましい。なお、本実施形態では、コンデンサ55の定数を1.0[μF]とした。
本実施形態では、コンデンサ54の定数は2.2[μF]とし、抵抗59との時定数は220[ms]である。コンデンサ54の定数は4.4[μF]以下が望ましい。
コンデンサ54がないと、商用電源2投入後、すぐに保護回路13の半導体素子51がオンしてレギュレータ14の動作を停止させてしまい、照明用電源は動作が開始できないことになる。コンデンサ54は、商用電源2投入時の意図しない半導体素子51のオン動作を防ぐことにもなる。
よって、コンデンサ54の定数は、少なくとも1.0[μF]以上が望ましい。以上より、コンデンサ54の定数範囲としては、1.0[μF]~4.4[μF]が望ましい。
第2の半導体素子52がMOSFETになれば、ゲート電圧がトランジスタのベースーエミッタ間電圧のようにクランプされることもなく、ゲート電圧が高く設定できるので、第2の半導体素子52のオンからオフするまでの時間を、第2のコンデンサ55の定数で設定することもできる。
また、矩形波生成回路12は、LEDドライバICなどのコントロールICから出力される信号を利用することができる場合(コントロールICが矩形波を出力する端子を有している場合)には、コントロールICを用いることで本実施形態と同様の効果を得ることができる。
Claims (1)
- 調光器を介して入力された商用電源電圧を整流回路により整流した脈流電圧を照明負荷に対応した直流電力に変換して出力する照明用電源であって、
前記脈流電圧を定電圧化する定電圧素子を有するレギュレータと、
前記調光器の保持電流の通流/停止を制御する保持電流制御素子を有し、前記脈流電圧が所定値以下のときに前記保持電流制御素子をオンさせて前記保持電流を流す保持電流回路と、
前記レギュレ-タにより安定化された電圧が出力され、前記保持電流制御素子の短絡時に、前記定電圧素子をショートさせることにより前記レギュレータの出力を停止させる保護回路とを備え、
前記保護回路は、前記定電圧素子と並列に接続された第1の半導体素子と、前記第1の半導体素子のオン/オフを制御する第2の半導体素子と、前記第2の半導体素子の出力端子に電気的に接続されるとともに前記第1の半導体素子の制御端子電圧を保持可能な第1のコンデンサと、前記第1のコンデンサの充電経路上に介装された抵抗とを有し、
前記保持電流制御素子の正常時は、前記第2の半導体素子はオン動作を継続して前記第1のコンデンサを放電させて第1の半導体素子のオフ状態を保持し、前記保持電流制御素子の短絡時は、前記第2の半導体素子のオフ動作により、前記抵抗を介して前記第1のコンデンサを充電させ前記第1の半導体素子の制御端子電圧を上昇させて該第1の半導体素子をオンすることで前記定電圧素子をショートさせ、
前記第1のコンデンサの電圧が第1の半導体素子がオンする制御端子電圧の閾値に達するまでの時間を、前記商用電源電圧の波形周期が所定の1~2サイクル以内に前記レギュレータの出力を停止させるように前記第1のコンデンサと前記抵抗による時定数により決定することを特徴とする照明用電源。
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