JP7255287B2 - 炭素工具鋼鋼帯の製造方法 - Google Patents
炭素工具鋼鋼帯の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7255287B2 JP7255287B2 JP2019064274A JP2019064274A JP7255287B2 JP 7255287 B2 JP7255287 B2 JP 7255287B2 JP 2019064274 A JP2019064274 A JP 2019064274A JP 2019064274 A JP2019064274 A JP 2019064274A JP 7255287 B2 JP7255287 B2 JP 7255287B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel strip
- curved surface
- tempering
- quenching
- processing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Milling, Broaching, Filing, Reaming, And Others (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Description
よって本発明の目的は、被接触物と鋼帯の端部との接触抵抗を低減させ、良好な鋼帯端部の耐久性を有する炭素工具鋼鋼帯の製造方法を提供することである。
前記焼入れ工程後の炭素工具鋼鋼帯を焼戻し炉に通板して焼戻しする焼戻し工程と、を連続して行い、
前記焼戻し工程後の炭素工具鋼鋼帯の幅方向両端部を湾曲度10%~50%、かつ前記鋼帯の端部と平面との稜部付近に、前記鋼帯の板厚の2.0%以上の高さの突起部が存在しない曲面状に加工する端部曲面加工工程を備える、炭素工具鋼鋼帯の製造方法である。
好ましくは前記端部曲面加工工程において、所望の湾曲度を有する旋削工具を鋼帯の幅方向両端部側に設置し、前記旋削工具の設置区間に前記鋼帯を2回以上通板して前記鋼帯の幅方向両端部を曲面状に加工する。
まず本実施形態は、焼入れ炉に通板して変態点以上の温度まで加熱した後、急冷する焼入れ工程を行う。この焼入れ炉の温度は850~1200℃であることが好ましい。850℃未満の場合、炭化物の固溶が不十分となり、強度特性が低下する。1200℃超の場合、炭化物の固溶量が大きくなり、焼戻し時の硬さが低下する傾向にある。焼入れ炉の温度の下限は900℃がより好ましく、930℃がさらに好ましい。焼入れ炉の温度の上限は1150℃がより好ましく、1120℃がさらに好ましい。なお、焼入れ工程における通板速度が過度に速すぎると、上述した温度範囲に到達しない可能性があるため、鋼帯のある部位が焼入れ炉を通過する時間(加熱される時間)を50~120秒と設定することが好ましい。また焼入れ炉内の雰囲気は、窒素、アルゴン、水素混合ガス等の非酸化性ガスを選択することが出来る。なお焼入れ焼戻しを連続して行うために、巻出し機より圧延済みの鋼帯を巻出し、巻き出した鋼帯を連続して焼入れ炉に通板することが好ましい。なお本実施形態ではさらに生産効率を向上させるために、巻出し工程と焼入れ工程との間に予熱工程を設けてもよい。予熱炉には既存の加熱装置を適用することができ、例えば鋼帯の急速昇温を可能とする誘導加熱装置を使用することが好ましい。
また、焼入れ工程の急冷は、圧縮空気と浄水を用いた噴霧装置によって鋼帯をMs点を超えて350℃以下に冷却する第一冷却工程の後、鋼帯を挟みこむように水冷定盤で拘束し、形状を矯正しながらMs点以下に冷却する第二冷却工程を行ってマルテンサイト組織とするのが好ましい。冷却を二段階とするのは、第一冷却工程でパーライトノーズを避けつつ、且つ、鋼帯の焼入れ時に生じる歪を軽減し、次の第二冷却工程でマルテンサイト変態を行わせつつ、鋼帯の形状を整えることができるためである。 本実施形態で用いる水冷定盤は水により冷却しつつ、更に、複数個を連続して配置することが好ましい。これは、水冷定盤内で拘束する時間を長くすることができるため、より確実にMs点以下まで冷却することができる。これにより、鋼帯の変形の防止や矯正をより確実に行うことが期待できる。なお本実施形態の鋼帯の場合、Ms点は組成によって多少変動するが、概ね180~200℃の値となる。
焼き入れ工程後、焼戻し炉にて鋼帯を焼戻し、鋼帯を所望の硬さに調整する。この焼戻し炉の温度は300~450℃に設定することが良い。焼戻しの温度が300℃未満の場合、鋼帯の硬度が高くなり過ぎ、焼戻しの温度が450℃を超える場合、硬度が低くなる。なお、焼戻し工程における通板速度が過度に速すぎると、上述した温度範囲に到達しない可能性があるため、鋼帯のある部位が焼戻し炉を通過する時間(加熱される時間)を30~90秒と設定することが好ましい。また焼戻し炉内の雰囲気は、窒素、アルゴン、水素混合ガス等の非酸化性ガスを選択することができる。なおこの焼戻し工程の後には、表層に形成されるスケールを除去する、スケール除去工程を連続して導入してもよい。スケール除去装置には、従来から使用されている装置を適用すればよく、例えばバフ研磨によりスケールを除去してもよい。焼戻し工程後、またはスケール除去工程後の鋼帯は、巻取り機によって一旦巻取ってもよく、後述する端部曲面加工工程に連続して移行してもよい。上述したように、巻出し工程から巻取り工程までの各工程を鋼帯コイルから巻き出した鋼帯を再び鋼帯コイルに巻き取るまでを連続で行うことが可能なため、高い生産性を有する。
本実施形態では、上記の焼戻し工程後に、鋼帯の幅方向両端部を曲面(ラウンド)形状に加工する端部曲面加工工程を有する。図1に本実施形態における端部曲面加工工程の装置概略図を、図2に旋削工具近傍の拡大模式図を示す。図1または図2に示すように、鋼帯コイル2から巻出された鋼帯1は、F方向に向かって搬送され、鋼帯1の幅方向両端部側に設置された旋削工具4(以下、加工チップとも記載する)によって鋼帯の両端部1aを曲面状に加工(端部1b)した後、ワイパー5、赤外線幅計6を通過して再びコイル状に巻き取られる(鋼帯コイル3)。この端部曲面加工工程を導入することにより、鋼帯端部の強度を向上させ、被接触材との干渉時の接触抵抗も低減させ、鋼帯および被接触物の破損を低減させることができる。端部曲面加工工程を焼戻し工程後に行う理由は、スケールによる影響を回避するためである。即ち、焼入れまたは焼戻し工程を行うことで、鋼帯の平面および側面にはスケールが不可避に形成される。そのため焼入れまたは焼戻し工程よりも前に端部曲面加工を行った場合、加工後の側面に付着したスケールにより望ましい曲面形状が得られず、被接触材との接触抵抗増大が懸念される。また、側面部に形成されたスケールは、鋼帯の表面に形成されたスケールよりも除去し難く、余分なスケール除去工程を追加することで生産効率を低下させる要因となる可能性がある。この端部曲面加工工程は、良好な生産性を保つために前述した焼戻し工程やスケール除去工程に連続して行ってもよく、焼戻し工程またスケール除去工程後に一旦巻き取った鋼帯コイルを、再度巻き出し加工してもよい。
なお本実施形態において、端部曲面加工にはサーメットまたはセラミック製で、所望の湾曲度を有する加工チップを使用することが好ましい。
1a 加工前の鋼帯端部
1b 加工後の鋼帯端部
2 鋼帯コイル(巻出し側)
3 鋼帯コイル(巻取り側)
4 加工チップ
5 ワイパー
6 赤外線幅計
7 突起部
Claims (1)
- 炭素を質量%で0.8%以上含む炭素工具鋼鋼帯を焼入れ炉に通板し、変態点以上の温度まで加熱した後、急冷する焼入れ工程と、
前記焼入れ工程後の炭素工具鋼鋼帯を焼戻し炉に通板して焼戻しする焼戻し工程と、を連続して行い、
前記焼戻し工程後の炭素工具鋼鋼帯の幅方向両端部を湾曲度10%~50%、かつ前記鋼帯の端部と平面との稜部付近に、前記鋼帯の板厚の2.0%以上の高さの突起部が存在しない曲面状に加工する端部曲面加工工程を備え、
前記端部曲面加工工程において、所望の湾曲度を有する加工チップを前記鋼帯の幅方向両端部側に設置し、前記加工チップの設置区間に前記鋼帯を2回以上通板して前記鋼帯の幅方向両端部を30μm~100μm除去して曲面状に加工する、炭素工具鋼鋼帯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019064274A JP7255287B2 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 炭素工具鋼鋼帯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019064274A JP7255287B2 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 炭素工具鋼鋼帯の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020163494A JP2020163494A (ja) | 2020-10-08 |
JP7255287B2 true JP7255287B2 (ja) | 2023-04-11 |
Family
ID=72715618
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019064274A Active JP7255287B2 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 炭素工具鋼鋼帯の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7255287B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003145397A (ja) | 2001-11-12 | 2003-05-20 | Daido Steel Co Ltd | 帯材の端面仕上方法および端面仕上装置 |
JP2004034269A (ja) | 2002-07-08 | 2004-02-05 | Jfe Steel Kk | 鋼帯幅方向両端の切削装置 |
JP2007260845A (ja) | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Jfe Steel Kk | 鋼板の端面機械加工方法及び装置 |
JP2008506844A (ja) | 2004-07-19 | 2008-03-06 | ベーラー・ウッデホルム・プレシジョン・ストリップ・ゲーエムベーハー・ウント・ツェーオー・カーゲー | ドクターブレード、コータブレード及びクレーピングブレード用のスチールバンド、並びにこれらを製造するための粉末冶金方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3172331A (en) * | 1963-08-26 | 1965-03-09 | Chase Brass & Copper Co | Scarfing apparatus |
-
2019
- 2019-03-28 JP JP2019064274A patent/JP7255287B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003145397A (ja) | 2001-11-12 | 2003-05-20 | Daido Steel Co Ltd | 帯材の端面仕上方法および端面仕上装置 |
JP2004034269A (ja) | 2002-07-08 | 2004-02-05 | Jfe Steel Kk | 鋼帯幅方向両端の切削装置 |
JP2008506844A (ja) | 2004-07-19 | 2008-03-06 | ベーラー・ウッデホルム・プレシジョン・ストリップ・ゲーエムベーハー・ウント・ツェーオー・カーゲー | ドクターブレード、コータブレード及びクレーピングブレード用のスチールバンド、並びにこれらを製造するための粉末冶金方法 |
JP2007260845A (ja) | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Jfe Steel Kk | 鋼板の端面機械加工方法及び装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020163494A (ja) | 2020-10-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10744600B2 (en) | Metal plate for laser processing and method for producing stainless steel plate for laser processing | |
EP2412832B1 (en) | Grain-oriented electrical steel sheet and producing method therefor | |
WO2021153549A1 (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法およびマルテンサイト系ステンレス鋼帯 | |
JP2009270196A (ja) | 刃物用帯鋼の製造方法 | |
JP7255287B2 (ja) | 炭素工具鋼鋼帯の製造方法 | |
US11008637B2 (en) | Method of producing martensitic stainless steel strip | |
EP3822380B1 (en) | Martensitic stainless steel strip and method for producing same | |
JP6070616B2 (ja) | 熱延鋼板の製造方法 | |
WO2020158017A1 (ja) | 炭素合金鋼板および炭素合金鋼板の製造方法 | |
JP3819255B2 (ja) | 打ち抜き性にすぐれたマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法 | |
JP2959384B2 (ja) | Idブレード用高強度ステンレス鋼薄板およびその製造方法 | |
JPH11264049A (ja) | 高炭素鋼帯およびその製造方法 | |
JP7472992B2 (ja) | 冷延鋼板および冷延鋼板の製造方法 | |
JPH11229031A (ja) | 高速度工具鋼工具の製造方法 | |
JPS6259167B2 (ja) | ||
KR101620711B1 (ko) | 표면품질이 우수한 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조방법 | |
JPH0576904A (ja) | 珪素鋼板の冷間圧延における耳割れ防止方法 | |
JPH0578741A (ja) | 珪素鋼板の冷間圧延における耳割れ防止方法 | |
JPH04172110A (ja) | 難加工材の狭幅コイル作成法 | |
JP2005334614A (ja) | 替刃用鋼帯及びその製造方法 | |
JPH10219349A (ja) | 鋼帯の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220215 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221115 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221129 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230126 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230228 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230313 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7255287 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |