<<1実施形態>>
以下、本発明の第1実施形態について図1~図7を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の建具である玄関ドア1(以下、「ドア1」ともいう。)は、所謂片開きドアであり、建物の外壁開口部に固定される建具枠であるドア枠2と、このドア枠2に開閉可能に支持された戸体である扉10とを備えている。なお、ドア1の左右方向、上下方向、及び屋内外方向は、互いに直交している。屋内外方向は、見込み方向ともいう。図3~図5は、扉10の上端部のうち、図2に示すX部分を説明する図である。
扉10は、縦長の矩形状であり、骨材20、芯材30、面材40、及びカバー部材70を備え、芯材30の屋内側及び屋外側にそれぞれ面材40を配置した所謂フラッシュドアである。
骨材20は、上骨21、下骨22、及び一対の縦骨23を備え、扉10の周囲に沿って四周枠組みされている。上骨21及び下骨22は、硬質PVC(Poly Viniyl Chloride)等の硬質樹脂で成形されており、縦骨23は、金属製の型材である。上骨21及び下骨22を樹脂製の樹脂骨部とすることにより、断熱性を向上させることが好ましく、縦骨23を金属製の金属骨部とすることにより、扉10の強度を向上させることが好ましい。なお、上骨21及び下骨22を樹脂骨部に金属骨部を加えてより強固な骨材としてもよく、縦骨23を金属骨部に樹脂骨部を加えて、より断熱性を向上させた骨材としてもよい。
芯材30は、予め所定形状に成型されたEPS(発泡ビーズポリスチレン)製の断熱材を例示できる。なお、芯材30には、フェノール樹脂系、ハニカム材(水酸化アルミハニカム、セラミックハニカム、ペーパーハニカム)、フォーム材(イソシアヌレートフォーム、ウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム)等の断熱材を用いてもよい。芯材30には、予め所定の形状に成形された固形状の芯材30に限らず、例えば、成形された複数の断熱材を組み合わせた芯材30を用いてもよく、組み合わされた骨材20と面材40とで囲まれた領域に、液体状の発泡ウレタン樹脂を注入した芯材30を用いてもよい。図3において、芯材30の上面は、断面ではないが、便宜上、左右方向の断面部分と同じ砂地のハッチングを加えている。
面材40は、芯材30の屋外側に設けられた屋外側面材41と、芯材30の屋内側に設けられた屋内側面材42を備え、それぞれ鋼板等の金属によって成形された薄板状部材である。図3において、便宜上、屋外側面材41及び屋内側面材42を着色して示している。屋外側面材41は、曲げ加工によって形成された、芯材30の屋外側の面に沿った屋外側面部41aと、扉10の上面に沿った屋外側上面部41bを有している。屋内側面材42は、曲げ加工によって形成された、芯材30の屋内側の面に沿った屋内側面部(不図示)と、扉10の上面に沿った屋内側上面部42bを有している。
屋外側面材41の屋外側面部41aは、扉10の屋外側の面の装飾のために、溝部(凹部)45を備えている。溝部45は、屋外側面材41に曲げ加工を施すことで形成されている。具体的には、本実施形態において、溝部45は、屋外側から屋内側に向かって窪み、屋外側面部41aの上端部から下端部まで細長く連続した凹部であり、左右方向に沿って複数設けられている。左右方向に沿って複数の溝部45が設けられることで、扉10を屋外側から見たときに、複数の縦長矩形状の板材が複数枚左右方向に並べられて形成されたドアのように見えるため、扉10のデザイン性を向上させることができる。
従来は、複数枚の板材の組み合わせによって構成されているように見せたいなど、扉に装飾を加える場合には、例えば、平坦な屋外側面材の表面に、アルミ材から成る金属部材等の別部材を複数枚貼り合わせ、貼り合わせた別部材を複数枚の板材として見せることで実現していた。
この点、本実施形態では、屋外側面部41aの屋外側の面に別部材を貼り合わせるのではなく、屋外側面材41を折り曲げることで、直接、屋外側面部41aに、装飾としての溝部45を形成している。そのため、従来のように、別部材を加工する必要がないため、別部材を加工する工程を削減し、別部材の形成に要するコストも削減することができる。さらに、別部材を屋外側面部41aの屋外側の面に貼り合わせないため、扉10の厚み(屋内外方向の長さ)が過度に厚くなるのを防ぐことができる。
通常、屋外側面材41の上端部、下端部、又は側端部のいずれかに、折り曲げ加工で溝部45を形成すると、溝部45の窪んだ部分と骨材20とが干渉してしまう。そこで、骨材20に溝部45に対応する部分に、溝部45との干渉を避けるための切欠き部を設けて、溝部45が骨材20と干渉することを防いでいる。本実施形態は、屋外側面材41の上端部から下端部まで連続した溝部45を有しているため、上骨21と下骨22の溝部45と対応する部分に、溝部45との干渉を避けるための上骨切欠き部21nと下骨切欠き部(不図示)が設けられている。以下、扉10の上端部の構成(上骨切欠き部21n及びカバー部材70等)について説明する。扉10の下端部の構成(下骨切欠き部及びカバー部材70等)は、扉10の上端部と同様の構成を上下反転させたものであるため、詳細な説明は省略する。
図6は、図3に示す斜視図から屋外側面材41及び屋内側面材42を除いた状態を示している。上骨21は、上面21aと側面21bを備える。上面21aと側面21bは、溝部45と対応する部分に、溝部45との干渉を避けるための上骨切欠き部21nを備えている。上骨切欠き部21nは、上骨21の一部を切り落とした部分である。上骨21のうち、上骨切欠き部21nに沿った部分を上骨切欠き端部21neという。また、上骨21には上下方向に貫通した穴部21hが設けられている。「溝部と対応する部分」とは、上骨21に上骨切欠き部21nを設けない場合に、上骨21と溝部45とが接触してしまう等の干渉が生じ得る部分をいう。上骨切欠き部21nによって、屋外側面材41と上骨21との干渉によって溝部45が変形したり、溝部45を備えた屋外側面材41の配置を妨げたりすることを防ぐため、溝部45の形状を維持することができ、溝部45による扉10のデザイン性を向上できる。
同様に、芯材30は、溝部45と対応する部分に、溝部45との干渉を避けるための芯材切欠き部30nを備えることが好ましい。芯材切欠き部30nを設けることで、溝部45が芯材と干渉してしまうことを防ぎ、溝部45による扉10のデザイン性を向上させることができる。
また、図7に示すように、溝部45が設けられた屋外側面材41は、その小口面が凸凹している。また、上骨21の上面21aの上骨切欠き部21nも露出している。そのため、扉10の上面の見栄えが悪いだけでなく、扉10の上面に触れた利用者が、溝部45の小口面の凸凹や、上骨21の上骨切欠き端部21neで怪我をしてしまう恐れがある。そこで、扉10は、上骨切欠き部21nの少なくとも一部と溝部45とを覆うカバー部材70を設けている。図7に示すように、上骨21の上方からカバー部材70を上骨21に、カバー部材70の挿入部72、73を差し込んで装着させることが好ましい。なお、本実施形態において、カバー部材70の挿入方向は、上下方向に沿う方向である。カバー部材70が溝部45の上方から小口面が露出することを防ぐため、より安全な扉10とすることができる。カバー部材70を、上骨21の上方から上骨21に挿入可能な構成とすることで、容易に上骨切欠き部21nを覆うことができる。また、カバー部材70が溝部45と上骨切欠き端部21neを覆うことで、扉10の上面の溝部45の小口面の露出だけでなく、上骨切欠き部21nをも覆うため、より安全性を向上させ、扉の美観性をより向上させることができる。
本実施形態のカバー部材70は、ASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂で形成されている。カバー部材70は、上面70aと、上面70aより下側に設けられた、挿入部である係止部72と位置決め部73を備えることが好ましい。係止部72及び位置決め部73は、それぞれ上骨21に挿入される部分である。係止部72及び位置決め部73は、それぞれ一対設けられ、図4及び図7に示すように、係止部72は、上骨21と屋外側面材41によって形成された上下方向に貫通した貫通部(「上端貫通部」ともいう。)Hに挿入され、位置決め部73は、上骨21の穴部(「上端貫通部」ともいう。)21hに挿入される。
係止部72は、先端部に屈曲部と自由端に係止端部72tを備えた略V字状の部材である。一旦、カバー部材70が上骨21の貫通部Hに挿入されると、係止端部72tが上骨21の上骨切欠き端部21neに係止された状態となる。具体的には、挿入された状態のカバー部材70を上骨21から引き抜こうとすると、係止端部72tが上骨切欠き端部21neに引っ掛かるため、使用者が意図しない状態でカバー部材70が上骨21から抜けないようにすることができる。本実施形態では、1つのカバー部材70に対して一対の係止部72を設けたが、1つにカバー部材70に対して1つの係止部72を設けてもよいし、3つ以上の係止部72を設けてもよい。
位置決め部73は、略角柱状の部材である。位置決め部73は、カバー部材70の挿入する位置を決めるための部材であり、挿入後には、挿入状態の位置を維持するための部材である。カバー部材70を上骨21に挿入する際には、上骨21の穴部21hに位置決め部73を挿入することで、カバー部材70を上骨21の正しい位置に装着できる。また、上骨21にカバー部材70が挿入された状態においては、位置決め部73が穴部21hによってその位置が規制されているため、カバー部材70が水平方向(左右方向)に動くことを防ぎ、カバー部材70が水平方向に動いて係止部72が破損してしまう恐れを軽減できる。本実施形態では、1つのカバー部材70に対して一対の位置決め部73を設けたが、1つにカバー部材70に対して1つの位置決め部73でもよいし、3つ以上の位置決め部73を設けてもよい。
さらに、カバー部材70の挿入方向(上下方向)において、位置決め部73の先端73cが、係止部72の先端72cより突出していることが好ましい。具体的には、図5に示すように、位置決め部の下端である先端73cが、係止部72の下端である先端72cより下側に設けられているとよい。このようにすることで、図7に示すように、上骨21にカバー部材70を挿入する場合には、まず、より下側に先端73cを有する位置決め部73を穴部21hに挿入して、続いて、係止部72を挿入する。そのため、位置決め部73がカバー部材70を正しい装着位置に位置決めした状態で、係止部72を挿入することができるため、作業者は、容易にカバー部材70を正しい位置に装着することができる。また、正しい位置にカバー部材70を装着することで、係止部72及び位置決め部73に余計な力が加えられないため、係止部72及び位置決め部73の破損を防ぐことができる。
なお、図3等に示すように、扉10の上面が、カバー部材70の上面70aと面材40(屋外側面材41の屋外側上面部41b、屋内側面材42の屋内側上面部42b)で覆われていることが好ましい。扉10の上面を、屋外側面部41a及び屋内側面部と同じ材質で覆うため、扉10の美観を向上させることができる。さらに、溝部45の小口面や上骨切欠き部21nが設けられた部分は、カバー部材70を設けることで、溝部45の小口面や上骨切欠き部21nを容易に、且つ、確実に覆うことができるため、扉10の安全性と美観性を確保することができる。
カバー部材70は、カバー切欠き部71を備えることが好ましい。カバー切欠き部71は、カバー部材70の一部を切り落とした部分であり、溝部45を延長した領域と重なる部分を有する。溝部45を延長した領域とは、図7に示す斜視図において、溝部45の上端から上方に延長した仮想線L1、L2、L3、L4とで囲まれた領域である。つまり、カバー切欠き部71を備えることで、仮想線L1~L4によって囲まれた領域が、上下方向に覆われていない部分を備えるため、扉10の上端部まで溝部45が連続した部分を備えることができ、扉10のデザイン性を向上させることができる。
<<2実施形態>>
本発明の第2実施形骸について、図8~図12を参照して説明する。第2実施形態における扉10の基本構成は、第1実施例の扉10と同じであるが、第2実施例は、カバー部材70に代えてカバー部材80を備えている。以下の説明において、第1実施形態の扉10と同じ部材等は同じ符号とし、第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。また、第2実施形態に係る扉10の外観は、図1に示す第1実施形態に係る扉10の外観と同じである。図8~図10は、それぞれ、第2実施形態に係る扉10について図2中のX部分を説明する上面図、正面図、斜視図から屋外側面材41及び屋内側面材42を除いた状態を説明する図である。図11は、カバー部材80を取り付ける様子を説明する図である。図12Aは、カバー部材80の正面図、図12Bは、カバー部材80の底面図、図12Cは、カバー部材80の側面図である。
図8~図10に示すように、第2実施形態の扉10は、骨材20、芯材30、面材40、及びカバー部材80を備える。芯材30、及び面材40は、第1実施形態に係る各部材と同じ構成である。
扉10の周囲に沿って四周枠組みされた骨材20について、第1実施形態と同様に、上骨21及び下骨22は、樹脂製の樹脂骨部であり、縦骨23は、金属製の型材である。以下、扉10の上端部について説明するが、扉10の下端部の構成は、扉10の上端部を上下反転させた構成と同様である。
第1実施形態と同様に、屋外側面材41の屋外側面部41aは、扉10の屋外側の面の装飾のために、溝部(凹部)45を備えている(図8及び図9)。溝部45は、屋外側面材41に曲げ加工によって、屋外側から屋内側に向かって窪んでおり、屋外側面部41aの上端部から下端部まで細長く連続した凹部であり、左右方向に沿って複数設けられている。溝部45を、屋外側面材41の折り曲げで形成することで、従来のように、別部材を加工する必要がなく、別部材を加工する工程を削減し、別部材の形成に要するコストも削減することができる。さらに、別部材を屋外側面部41aの屋外側の面に貼り合わせないため、扉10の厚み(屋内外方向の長さ)が過度に厚くなるのを防ぐことができる。
また、図10等に示すように、第1実施形態と同様に、溝部45に対応する上骨21の部分に、溝部45との干渉を避けるための上骨切欠き部21nを備える。上骨切欠き部21nは、上骨21の一部を切り落とした部分である。上骨21のうち、上骨切欠き部21nに沿った部分を上骨切欠き端部21neという。上骨切欠き部21nによって、屋外側面材41と上骨21との干渉によって溝部45が変形したり、溝部45を備えた屋外側面材41の配置を妨げたりすることを防ぐため、溝部45の形状を維持することができ、溝部45による扉10のデザイン性を向上できる。なお、本実施形態の上骨21は、第1実施形態において、上骨21が備えていた穴部21hを備えていない。
本実施形態の扉10は、上骨切欠き部21nの少なくとも一部と溝部45とを覆うカバー部材80を備えている。図11に示すように、上骨21の上方からカバー部材80を上骨21に、カバー部材80の挿入部85を差し込んで装着させることが好ましい。本実施形態において、カバー部材80の挿入方向は、上下方向に沿う方向である。カバー部材80が溝部45の上方から小口面が露出することを防ぐため、より安全な扉10とすることができる。カバー部材80を、上骨21の上方から上骨21に挿入可能な構成とすることで、容易に上骨切欠き部21nを覆うことができる。また、カバー部材80が溝部45と上骨切欠き端部21neを覆うことで、扉10の上面の溝部45の小口面の露出だけでなく、上骨切欠き部21nをも覆うため、より安全性を向上させ、扉の美観性をより向上させることができる。
本実施形態のカバー部材80は、第1実施形態のカバー部材70と同様に、ASA、ABS、PE、PP等の合成樹脂で形成されている。図12A~図12Cは、扉10に取り付けた状態のカバー部材80の方向で示している。
カバー部材80は、上面80aと、上面80aより下側に設けられた、挿入部85を備える。カバー部材80は一対の挿入部85を備えている。図8及び図11等に示すように、挿入部85は、上骨21と屋外側面材41によって形成された上下方向に貫通した貫通部Hに挿入される。貫通部Hは、具体的には、上骨切欠き部21nの一部であり、上骨21と屋外側面材41とで囲まれた領域である。
挿入部85は、係止部86と位置決め部87を備えている。挿入部85は、先端部に屈曲部と自由端に係止端部86tを備えた略V字状の部材である。挿入部85のうち、上面80aと連続する部分が位置決め部87であり、屈曲部より自由端側の部分が係止部86である。
一旦、カバー部材80が上骨21の貫通部Hに挿入されると、係止端部86tが上骨21の上骨切欠き端部21neに係止された状態となる。具体的には、挿入された状態のカバー部材80を上骨21から引き抜こうとすると、係止端部86tが上骨切欠き端部21neに引っ掛かるため、使用者が意図しない状態でカバー部材80が上骨21から抜けないようにすることができる。
また、図12Bに示すように、カバー部材80の上面80aの裏側で、挿入部85が設けられていない平らな部分に、両面テープ88を貼付している。これによって、係止部86だけでなく、両面テープ88による接着でカバー部材80を上骨21に固定することができるため、カバー部材80が動いたり、外れてしまったりするのを防ぐことができる。なお、両面テープ88に代えて、液状の接着剤等を用いてもよい。
位置決め部87は、カバー部材80の挿入する位置を決めるための部材であり、挿入後には、挿入状態の位置を維持するための部材である。図11に示すように、カバー部材80を取り付ける際には、屋外側面部41aと反対側の面のうち、溝部45の側面に対応する部分に位置決め部87が沿うように挿入部85を貫通部Hに挿入することで、カバー部材80を適切な位置に、適切な角度で挿入することができる。図12A及び図12Bに示すように、位置決め部87の形状が、溝部45の側面に対応する部分の形状に沿う形状であることが好ましい。また、カバー部材80を取り付けた後においては、位置決め部87によって水平方向(左右方向)にカバー部材80が動くことを防ぐことができ、カバー部材80が水平方向に動いて挿入部85の自由端側に設けられた係止部86が破損してしまう恐れを軽減することができる。
また、カバー部材70と同様に、カバー部材80が、カバー切欠き部81を備えることが好ましい。カバー切欠き部81は、カバー部材80の一部を切り落とした部分であり、溝部45を延長した領域と重なる部分を有する。カバー部材80がカバー切欠き部81を備えることで、扉10の上端部まで溝部45が連続した部分を備えることができ、扉10のデザイン性を向上させることができる。
本実施形態のカバー部材80は、係止部86と位置決め部87とが一体となっており、挿入部85を貫通部Hに挿入することでカバー部材80の位置を制限しつつ、カバー部材80を上骨21に係止することができる。これによって、上骨21自体に、カバー部材80を挿入させるための上下方向に貫通する穴部を設ける必要がないため、上骨21の加工工程を削減することができ、上骨21の強度の低下を防ぐことができる。
<<3実施形態>>
本発明の第3実施形骸について、図13~図17を参照して説明する。第1実施形態及び第2実施形態では、扉10の屋外側面材41が溝部(凹部)45を備えたが、第3実施形態では、扉10の屋外側面材41が凸部46を備える。以下の説明において、第1実施形態の扉10と同じ部材等は同じ符号とし、第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。図13~図15は、それぞれ、第3実施形態に係る扉10の上端部を説明する斜視図、上面図、正面図である。図16は、カバー部材90を取り付ける様子を説明する図である。図17Aは、カバー部材90の背面図、図17Bは、カバー部材90の底面図、図17Cは、カバー部材90の側面図である。
図13~図15に示すように、第3実施形態の扉10は、骨材20、芯材30、面材40、及びカバー部材90を備える。
扉10の周囲に沿って四周枠組みされた骨材20について、第1実施形態と同様に、上骨21及び下骨22は、樹脂製の樹脂骨部であり、縦骨23は、金属製の型材である。以下、扉10の上端部について説明するが、扉10の下端部の構成は、扉10の上端部を上下反転させた構成と同様である。
図13等に示すように、屋外側面材41の屋外側面部41aは、扉10の屋外側の面の装飾のために、凸部46を備えている。凸部46は、屋外側面材41に曲げ加工を施すことによって、屋内側から屋外側に向かって突出している。凸部46は、屋外側面部41aの上端部から下端部まで細長く連続した突起部であり、左右方向に沿って複数設けられている(不図示)。この凸部46によって、屋外側から見た扉10のデザイン性を向上させることができる。凸部を屋外側面材41の折り曲げで形成することで、従来のように、別部材を加工する必要がなく、別部材を加工する工程を削減し、別部材の形成に要するコストも削減することができる。
図16に示すように、凸部46が設けられた屋外側面材41は、その小口面が凸凹している。そのため、扉10の上面の見栄えが悪かったり、扉10の上端部に触れた利用者が凸部46の小口面の凸凹に触れて怪我をしてしまう恐れがある。これに対し、本実施形態の扉10は、上骨21の上方から配置するカバー部材90を備えることで、カバー部材90が凸部46の上方から小口面が露出することを防ぐため、扉10の美観を向上させて、扉10の安全性を向上させている。
本実施形態のカバー部材90は、第1実施形態のカバー部材70と同様に、ASA、ABS、PE、PP等の合成樹脂で形成されている。図17A~図17Cは、扉10に取り付けた状態のカバー部材90の方向で示している。
カバー部材90は、上面90aと、上面90aより下側に設けられた、挿入部95を備える。カバー部材90は1つの挿入部95を備えている。図15及び図16等に示すように、挿入部85は、上骨21と屋外側面材41によって形成された上下方向に貫通した貫通部Hに挿入される。貫通部Hは、具体的には、上骨21の側面21bと屋外側面材41の屋内側の面とで囲まれた領域である。
挿入部95は、係止部96と位置決め部97を備えている。挿入部95の上下方向の長さは、上骨21の側面21bの上下方向の長さより長い。挿入部95は、屋内側の面の先端部に係止部96を備え、屋外側の面及び両側面に位置決め部97を備えている。貫通部Hにカバー部材90を挿入する際には、位置決め部97の屋外側の面及び両側面を、屋外側面材41の凸部46が設けられた部分の屋内側の面に当接させながら挿入する。これによって、カバー部材90の取り付け位置を正確に定めることができつつ、取り付け後にカバー部材90が動いてしまう恐れを軽減させることができる。なお、位置決め部97を屋外側面材41の凸部46が設けられた部分の屋内側の面に当接した状態とするために、貫通部Hにカバー部材90を挿入する際に所定の圧力を加えて挿入させる。
一旦、カバー部材90を貫通部Hに挿入すると、係止部96が上骨21の側面21bより下方に位置し、係止部96が側面21bの下端部に係止された状態となる。具体的には、挿入された状態のカバー部材90を上骨21より上方に引き抜こうとすると、係止部96の先端が上骨21の側面21bの下端部に引っ掛かる。これによって、使用者が意図しない状態でカバー部材80が扉10の上端部から抜けないようにすることができる。
また、図17Bに示すように、カバー部材90の上面90aの裏側で、挿入部95が設けられていない平らな部分に、両面テープ98を貼付している。これによって、係止部96だけでなく、両面テープ98による接着でカバー部材90を上骨21に固定することができるため、カバー部材90が動いたり、外れてしまったりするのを防ぐことができる。なお、両面テープ98に代えて、液状の接着剤等を用いてもよい。
さらに、カバー部材90が、カバー凸部91を備えることが好ましい。カバー凸部91は、カバー部材90のうち、屋外側面材41の凸部46に対応する部分について、突出させた部分であり、凸部46を延長した領域と重なる部分である。カバー部材90がカバー凸部91を備えることで、扉10の上端部まで凸部46が連続した部分を備えることができ、扉10のデザイン性を向上させることができる。
カバー部材90は、係止部96と位置決め部97とを一体として、貫通部Hに挿入部95を挿入する構成とすることで、より容易に貫通部Hにカバー部材90を挿入させやすくなる。また、上骨21に上下方向に貫通した穴部を設ける必要がないため、上骨21の加工工程を削減し、上骨21の強度の低下を防ぐことができる。
なお、上骨21に貫通部Hを設けて、カバー部材90の挿入部95を挿入するものであってもよい。さらに、カバー部材90が複数の挿入部95を備え、上面21の側面21bと屋外側面材41の屋内側の面とで囲まれた貫通部Hと、上骨21に設けられた貫通部Hに、それぞれ挿入する構成としてもよい。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
上述の実施形態では、カバー部材70、80、90をASA、ABS、PE、PP等の合成樹脂で形成されたものとしたが、これに限られない。例えば、アルミニウム等の金属部材など、任意の素材を用いることができる。
上述の実施形態では、上下方向に沿った溝部45又は凸部46を有する扉10について説明したが、これに限られない。例えば、図18に示すように、左右方向に沿った、屋外側面材41の両側端部間を連続する溝部45(又は凸部(不図示))を有する扉10でもよい。図18は、他の実施形態にかかる扉10について説明する図であり、第1実施形態の扉10と同じ部材等は同じ符号としている。縦骨23の、屋外側面材41の側端部に設けられた溝部45に対応する部分に、溝部45との干渉を避けるための縦骨切欠き部(不図示)を設け、溝部45の小口面を覆うカバー部材(不図示)を備えることで、扉10のデザイン性を向上させつつ、溝部45の小口面が露出するのを防ぎ、より安全な扉10とすることができる。なお、縦骨23に縦骨切欠き部を設ける場合には、縦骨23を切り欠くことで扉の強度が落ちてしまうことを防ぐために、アルミニウム等の金属部材で形成されたカバー部材70を用いて、縦骨23の剛性を向上させることが好ましい。
さらに、溝部45又は凸部46は、屋外側面材41の上端部から下端部の間や、両側端部間に連続するものに限らない。例えば、屋外側面材41の上端部から左右方向における一方側の側端部まで連続した溝部又は凸部であってもよく、屋外側面材41の上端部に設けられた溝部又は凸部が下端部まで連続しない構成であってもよい。さらに、溝部45及び凸部46がそれぞれ細長い形状でなくてもよい。任意の幅を有する凹部又は凸部であってもよい。
上述の実施形態では、上骨21における1つの溝部45又は凸部46に対して、1つのカバー部材70、80、90をそれぞれ上骨21の上方から配置する形態としたが、これに限られない。例えば、屋外側面材41の上端部が複数の溝部45を備え、上骨21が複数の上骨切欠き部21nを備える場合に、1つのカバー部材70が複数の溝部45の小口面を覆う構成としてもよい。この場合、各溝部45に対応する複数のカバー切欠き部71を備えることが好ましい。
また、上述の実施形態では、屋外側面材41に溝部45及び凸部46を設けたが、屋内側面材42に溝部又は凸部を設けてもよく、屋外側面材41と屋内側面材42の両方に溝部又は凸部を設けてもよい。
さらに、上述の実施形態では、扉10が溝部(凹部)45又は凸部46を備え、カバー部材70、80、90のいずれかを備える構成としたが、これに限られない。扉10が溝部(凹部)45と凸部46の両方を備え、それぞれ溝部45と凸部46に応じた複数のカバー部材70、80、90を備える扉10であってもよい。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
枠組みされた複数の骨材と、芯材と、前記芯材の屋外側及び屋内側にそれぞれ設けられた面材と、を備えた戸体であって、前記面材のうち、少なくとも一方の面材は、上端部、下端部、又は側端部のいずれかに、曲げ加工によって形成された凹部又は凸部を有し、前記凹部又は前記凸部の小口面を覆うカバー部材を備えることを特徴とする戸体である。
このような戸体によれば、別部材を貼り付ける等の加工を行わないことにより、低コストで戸体のデザイン性を向上させつつ、カバー部材が凹部又は凸部の小口面を覆うことにより、凹部又は凸部の小口面が露出することを防ぎ、より安全な戸体とすることができる。
かかる戸体であって、前記一方の面材が前記凹部を有し、前記骨材は、前記凹部に対応する部分に、前記凹部との干渉を避けるための切欠き部を有し、前記カバー部材が前記切欠き部の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
このような戸体によれば、骨材に設けられた切欠き部によって、面材の凹部形状を維持することができるため、戸体の厚みを過度に厚くすることなく、戸体のデザイン性を向上させることができる。
かかる戸体であって、前記芯材は、前記凹部に対応する部分に、前記凹部との干渉を避けるための芯材切欠き部を有することを特徴とする。
このような戸体によれば、芯材に設けられた芯材切欠き部によって、面材の溝部形状を維持することができるため、戸体のデザイン性を向上させることができる。
かかる戸体であって、前記カバー部材は、カバー切欠き部又はカバー凸部を有し、前記カバー切欠き部又はカバー凸部は、前記凹部又は前記凸部を延長した領域と重なる部分を有することを特徴とする。
このような戸体によれば、カバー部材の挿入部を上骨の上方又は下骨の下方から挿入することで、凹部又は凸部の小口面を覆う状態を維持することができるため、凹部又は凸部の小口面が露出することを防ぎ、より安全な戸体とすることができる。
かかる戸体であって、複数の前記骨材は、上骨、下骨、及び一対の縦骨を有し、前記凹部又は前記凸部が、前記戸体の上端部又は前記戸体の下端部に設けられており、前記戸体の上端部又は前記戸体の下端部は、上端貫通部又は下端貫通部を有し、前記上端貫通部は、前記上骨に設けられた上下方向に貫通した部分又は前記上骨と前記面材とで形成された上下方向に貫通した部分であり、前記下端貫通部は、前記下骨に設けられた上下方向に貫通した部分又は前記下骨と前記面材とで形成された上下方向に貫通した部分であり、前記カバー部材が、前記上骨の上方から、前記上端貫通部に挿入可能、又は前記下骨の下方から、前記下端貫通部に挿入可能な挿入部を備えることを特徴とする。
このような戸体によれば、戸体の端部まで凹部又は凸部を備えた構成とすることで、戸体のデザイン性を向上させつつ、カバー部材が凹部又は凸部の小口面を覆うことにより、凹部又は凸部の小口面が露出することを防ぎ、より安全な戸体とすることができる。
かかる戸体であって、前記挿入部は、前記上骨又は前記下骨に対して係止可能な係止部を備えることを特徴とする。
このような戸体によれば、係止部によって、使用者の意図しない状態で、カバー部材が上骨又は下骨から抜けないように係止することができる。
かかる戸体であって、前記挿入部は、前記戸体における前記カバー部材の位置を定めるための位置決め部を備えることを特徴とする。
このような戸体によれば、位置決め部によって、挿入状態の位置を保持し続けることができるため、カバー部材が動くことによって、係止部が破損することを防ぐことができる。
かかる戸体であって、前記カバー部材の挿入方向において、前記位置決め部の先端が、前記係止部の先端より突出していることを特徴とする。
このような戸体によれば、カバー部材を上骨又は下骨に挿入する際に、まず位置決め部を上骨の穴部に挿入し、カバー部材の設置位置を決めた状態で、係止部を挿入することができるため、カバー部材を正しい位置に挿入することができる。
かかる戸体であって、複数の前記骨材は、上骨、下骨、及び一対の縦骨を有し、前記凹部又は前記凸部が、前記側端部に設けられており、前記カバー部材が、金属部材であることを特徴とする。
このような戸体によれば、より強度が求められる縦骨に切欠きを設けた場合であっても、金属部材によるカバー部材が縦骨の剛性を向上させることができる。
上述の戸体と、前記戸体を開閉可能に支持する建具枠とを備えることを特徴とする建具である。
このような建具によれば、別部材を貼り付ける等の加工を行わないことにより、低コストで戸体のデザイン性を向上させつつ、カバー部材が溝部の小口面を覆うことにより、溝部の小口面が露出することを防ぎ、より安全な建具とすることができる。