JP7253128B2 - デプシペプチド系抗生物質を含有する外用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、デプシペプチド系抗生物質(好ましくはロチリブシン又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体)を含有する細菌感染症の予防又は治療のための局所外用組成物に関する。
細菌感染症治療に有効な抗菌薬の歴史は、ペニシリンが臨床において初めてその効果を示した1941年から今日に至るまでおよそ80年近くである。その黎明期にあたる1940年代から1960年代にかけては15種類以上もの抗菌薬(抗生物質)が天然物から見出されてきた。1960年代初頭以降、新薬の開発は既存化合物を基にした合成法による創薬が主流となって、天然物からの新規抗生物質の開発件数は極端に減少する結果となり、1980年代から2000年代にかけての開発成功例は僅か2例であった。
他方、臨床においては抗菌薬の登場以来、使用頻度・量ともに急激な増加に伴い、抗生物質が効かない薬剤耐性菌が出現し世界的に蔓延するようになり、1980年代以降、化学療法及び医療技術の進んだ先進国を中心にその規模は今なお拡大を続けている。
更に耐性菌は今日では微生物学的進化により多くの国で多剤耐性菌へと進化を遂げ、世界的に新規抗菌薬が不足する概況と相まって各国の医療上における重大な問題となっている。
また、感染症の種類についても、古くは医療施設における入院患者の院内感染事例ばかりが問題視されてきたが、2000年以降には市中感染による発症事例も数多く報告されるようになり新たな脅威を生み出している。このような感染症拡大の要因には、細菌が接触感染により容易に宿主を乗り換え皮膚に定着する性質が関与する。従って、有効な解決策の一つとして、従来から抗菌治療に多用される経口薬や注射薬に加え、いまだ古い抗菌薬への依存度が高く、選択肢が圧倒的に少ない外用抗菌薬の領域に、優れた薬効を示す薬剤を提供することも有用である。
グラム陽性球菌、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染症に有効な抗菌薬として、12アミノ酸残基からなるデプシペプチド系抗生物質であるロチリブシンが見出された。ロチリブシンは、Lysobacter sp. WAP-8294株が産生する一連の抗菌活性成分から単離されたものである(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。
ロチリブシンは、これまでに天然物から発見された従来の抗生物質と異なり、非常に限られた細菌、通常はグラム陽性菌のみに対して強い抗菌活性を示すという、特殊な性質を持ち、特にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、MRSE(メチシリン耐性表皮ブドウ球菌)等の薬剤耐性ブドウ球菌に対しては2時間以内に殺菌的抗菌作用を示すことから、狭域抗菌スペクトルかつ強力な抗菌性能を有する抗MRSA抗生物質として、今日まで開発が鋭意進められてきている。(非特許文献1)
ロチリブシンの医薬品実用化に関する技法については、特許文献1の実施例13に、従来技法による注射剤、経口剤(錠剤)及び外用剤(軟膏剤、点眼剤)の一般的、代表的な処方が記載されている。
また、特許文献2は、ロチリブシンの注射用点滴用途に関し、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを用いることにより安全性を飛躍的に高めることができ、薬剤耐性菌、特にMRSAによる全身感染症の治療に有効である処方について記載している。しかし、局所細菌感染症に対する適用方法については何ら開示されていない。
本発明者は、ロチリブシンについて局所細菌感染症に対する治療薬としての可能性を探る検討を行った。その結果、外用剤の一般的な処方が開示されるに留まる特許文献1,注射用点滴用途に関する特許文献2、あるいは従来の技術を用いた場合、以下の点で局所感染症の治療用に用いるための外用剤としての医薬品実用化は困難であった。
すなわち、ロチリブシンは非特許文献1に特徴の一つとして示される如く、血清成分が存在する生理的環境において抗菌力がより強力となることが知られている。ほぼすべての抗生物質は血清アルブミンの存在下で相互作用が起こると細菌に対する活性が低くなる。従って、ロチリブシンは、動物を用いた感染モデルにおいて従来の抗菌薬を上回る有効性を示す。しかし、特許文献1が開示するような従来技術による処方などで既存抗菌薬と同等あるいはそれ以上の用量を投与した場合、従来の抗菌薬相当の薬効を期待できるものの、薬液濃度を維持するがために生じる毒性、とりわけ刺激性の反応や組織学的変化を伴う毒性反応が現れるため、有効性に対し安全性を担保できないことがわかった。
加えて、過去長年にわたり医療や畜産業、農林水産業などの幅広い分野で途方もない量の抗菌薬が世界的に使用され続けてきた結果、近年では、これらの曝露を受けてきた細菌側の微生物学的進化が加速し、高度に多剤耐性化した薬剤耐性菌に変異している事実がある。従って、20年以上前に見出された化合物であるロチリブシンについては、外用用途を目的とした局所細菌感染症治療薬として、現在の高度薬剤耐性菌に対し既存薬をはるかに上回る有効性を科学的に示すことは予想されていなかった。
そこで、本発明者は、ロチリブシンを外用用途に特化して有効且つ安全に適用するための新しい製剤処方を見出すべく検討を行った。
特許第3339235号公報 特許第5272126号公報
JACS Vol.119:No.28,6680-6681(1997) J.Antibiotics Vol.51:No.10,929-935(1998)
本発明が解決しようとする課題は、狭域抗菌スペクトルかつ強力な抗菌性能を有する天然物由来のデプシペプチド系抗生物質(好ましくはロチリブシン)を含有し、有効性かつ安全性の高い外用製剤処方組成物を提供することである。この組成物はロチリブシンの抗菌作用を相乗効果的に高める添加物質を含有する。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、単独では防腐若しくは抗菌効果をもたない添加剤相当の低濃度のホウ酸を用いることにより、有効性かつ安全性の高いデプシペプチド系抗生物質含有外用組成物を製造しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は有効量のデプシペプチド系抗生物質、特にロチリブシン又はその薬学的に許容される塩及び/若しくは立体異性体、を含有する外用組成物において、ホウ酸を0.01質量%以上含有することを特徴とする、細菌感染症予防・治療用の外用組成物である。デプシペプチド系抗生物質の量は好ましくは0.03μg/mL(=0.000003質量%)以上である。
本発明によれば、各種外用局所処方組成物においてデプシペプチド系抗生物質、特にロチリブシンに低濃度のホウ酸を含有させることにより、既存の局所細菌感染症用の抗菌薬に比べて優れた抗菌活性を示す相乗効果を得ることが可能になる。この新規な組成物は、デプシペプチド系抗生物質の有効濃度を顕著に低下させることができるので、高度の有効性と安全性とが両立した外用処方組成物となる。
マウスの実験的メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)皮膚感染モデルを用いた単回投与による薬効評価試験(プレ試験)の結果を示す図である。縦軸は1×106 CFU(colony forming unit)の菌が接種された皮膚に被験物質を塗布により単回投与し、24時間が経過した後にこれを採取して菌数を測定し、その増減を比較することにより有効性を評価した結果である。横軸は個別の検体を表している。 マウスの実験的メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)皮膚感染モデルを用いた単回投与による薬効評価試験(メイン試験)の結果を示す図である。図1同様、縦軸は1×106 CFUの菌が接種された皮膚に被験物質を塗布により単回投与し、24時間が経過した後にこれを採取して菌数を測定、増減を比較することにより有効性を評価した結果である。横軸は個別の検体を表している。 マウスの実験的メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)皮膚感染モデルを用いた単回投与による薬効評価試験(追加試験)の結果を示す図である。図1同様、縦軸は1×106 CFUの菌が接種された皮膚に被験物質を塗布により単回投与し、24時間が経過した後にこれを採取して菌数を測定、増減を比較することにより有効性を評価した結果である。横軸は個別の検体を表している。
以下に、本発明の詳細について説明する。以下の説明において%は特に指定しない限り質量%である。濃度(例、μg/mL、mg/mLなど)も本発明の説明に使用する。
以下の用語を本明細書を通じて本発明の説明に使用する。用語が本明細書に具体的に定義されていない場合は、当業者による使用と同様の意味で使用されていると解するべきである。
「有効」なる用語は、特に指定のない限り、ある化合物をその使用目的の範囲内で使用した場合に所期の結果を生ずる量であることを意味する。この結果は感染及び/又は疾患状態の予防及び/又は治療に関し、特にMRSA及び他の本明細書に記載の感染症に関するものであり、場合によっては相乗効果を奏するものである。感染症疾患の治療における通常の使用条件下では、その抗生物質で処置された細菌が感染部位から死滅又は消失した場合に、その抗生物質は有効であると考えられる。十分な時間にわたって使用した有効な抗生物質は、組織又は全身の健全性の改善も生ずる。有効なる用語は、本発明で特に説明又は使用されていない他の全ての有効量又は有効濃度の用語(「治療有効」なる用語も含む)を包含する。「治療有効濃度」なる用語は、処置部位又は症状の処置における予防、治癒、治療、安定化、改善を生ずる抗生物質の濃度又は量であると定義される。
従って、ここに提供されるのは、本発明で提供される抗菌性組成物と接触させることによる細菌の死滅方法である。1例において、死滅させる細菌はブドウ球菌である。一部の例では、細菌の死滅は、それを本抗菌性組成物と接触させてから10分以内、15分以内、20分以内、又は30分以内(例えば、10~30分、10~20分又は10~15分以内)に起こる。一部の例では、本組成物と接触した細菌の全てが死滅しなくてもよく、それでも本組成物は抗菌性組成物である。例えば、一部の例では、本抗菌性組成物と接触させてから10分以内、15分以内、20分以内、又は30分以内(例えば、10~30分、10~20分又は10~15分以内)に死滅した微生物が、90%以上、95%以上、99%以上、99.9%以上、99.99%以上、又は99.999%以上(例えば、菌が1/10以下、1/20以下、1/30以下、1/40以下、1/50以下、又は1/100以下に減少)である。
「化合物」なる用語は、本明細書に開示した特定の化合物又は生活性の薬剤を記述するために使用し、その全ての立体異性体(ジアステレオマー、個々の光学異性体/エナンチオマー又はラセミ混合物並びに幾何異性体を含む)を包含する。本明細書における化合物なる用語は安定な化合物を意味する。化合物は、説明に応じて、単一化合物でも、2種以上の化合物の混合物でもよい。
本明細書で用いた「薬学的に許容される」なる用語は、その化合物又は組成物が、疾患の重篤性及び処置の必要性を考慮して過度の副作用を生ぜずに本書記載の処置目的を達成するために被験者に投与するのに適していることを意味する。
「外用組成物」とは、外用用途に用いる医薬組成物の意味である。外用用途とは、皮膚の外面(粘膜を含む)に用いる医薬を意味し、塗布、うがい、湿布、点眼・点鼻・点耳、散布、噴霧、注入、挿入などにより投与される。外用組成物は局所組成物を包含する意味である。
「局所組成物」なる用語は、局所剤形で外用投与される組成物を意味する。局所投与用の一般的な処方組成物はRemington's Pharmaceutical Sciences, 18版, Mack Publishing, p.1288-1300 (1990)に記載されている。従って一部の態様では、組成物の剤形は、水性ゲル若しくはペースト、軟膏、クリーム(無水若しくは含水)、ローション(無水若しくは含水)、エマルジョン、スプレイ、溶液、エアゾール、スティック(固体クリーム)、液体バンドエイド、粉末、吸入スプレイ、点鼻スプレイ、基礎的滴剤(ドロップ)、頬ドロップ、舌下ドロップ、点眼液又はスプレイ、点耳液又はスプレイ、及び経皮パッチとなる。
治療への用途は、感染症、多くは細菌感染症、特に薬剤耐性細菌感染症の治療用である。一部の態様では、上記組成物は皮膚又は身体の他の表皮表面に直接塗布されるものである。本組成物は症状に応じて1日に1、2、3又はそれ以上の適宜の回数で塗布しうる。塗布量は一般に重要ではないが、多くは1日当たり約0.001mg~5.0g又はそれ以上(多くは約1mg以上~約2gまで)を含む組成物を身体の所定の表面に複数回に分けて塗布するのでよい。後述するように、局所組成物は、防腐剤、界面活性剤、アジュバント、担体、他の有効成分などの他の成分を含有でき、とりわけゲル、クリーム、軟膏、ローション又は液体の形態をとりうる。軟膏は油脂性、水溶性、乳剤性のいずれであってもよい。
「抗菌」なる用語は、化合物が細菌を死滅させるか、又は細菌の増殖を阻害することを説明する意味で本明細書では使用する。このような化合物は抗生物質又は静菌物質と呼ばれることもある。
「防腐剤」なる用語は、患者の表面に局所適用されうる抗微生物性物質であると定義される。本態様において、ホウ酸はたいてい防腐性物質に分類される。本発明の新知見によれば、防腐性のホウ酸を、薬剤としての作用が認められない低濃度で、デプシペプチド類、特にロチリブシンのような抗生物質と併用することにより、ブドウ球菌のような或る種の細菌に対する抗菌活性の相乗効果的な改善と効力増大とが達成されうる。
本明細書で用いた「ざ瘡(又はアクネ)」なる用語は、尋常性ざ瘡、毒物性ざ瘡、嚢胞性ざ瘡、閃光状アクネ、丘疹性ざ瘡、膿疱性ざ瘡、MRSA起因ざ瘡、及び結節嚢胞性ざ瘡よりなる群から選ばれた症状を意味する。ざ瘡の治療に使用する場合、本発明の局所処方組成物は、抗ざ瘡治療に既に使用されている追加の処方成分をさらに含有しうる。本組成物に使用する場合、デプシペプチド系抗生物質及び防腐性のホウ酸との併用に有用な抗ざ瘡剤は、過酸化ベンゾイル、サリチル酸及びレチノイドよりなる群から選ぶことができる。
本明細書で用いた「創傷」とは組織の損傷であると定義され、「感染創傷」又は「創傷感染」とは、通常は組織損傷の結果として起こる感染であると定義される。この組織損傷としては、熱傷(火傷)、裂傷、擦過傷、咬傷、手術創、刺創、潰瘍が挙げられ、それらに限られないが、複雑皮膚・軟部組織感染(cSSTI)由来の急性及び慢性創傷、皮膚・皮膚構造感染(SSSI)由来の急性及び慢性創傷、静脈うっ血性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍、手術後潰瘍、外傷後潰瘍及び自然潰瘍を包含する。
本明細書で用いた「相乗」、「相乗効果」、「相乗作用」及び「相乗的活性」とは、医学において特定目的に併用された2種類の物質の或る種の相互作用を意味する。この用語は相加効果と対比して使用される。相乗効果では、2種類の物質の併用により得られる有益な作用が2種類の各物質の作用を加算した合計値より大きくなる。一般的な相乗効果では、作用が上記合計値の2倍以上であり、実際には合計値の4倍以上~10倍以上である。
本発明は、細菌感染症、より高頻度には細菌創傷感染症の予防又は治療に使用するための有効量のデプシペプチド系抗生物質を含有する外用組成物であって、ホウ酸を0.01質量%以上さらに含有する組成物に関する。以下では、外用薬剤組成物又は外用組成物をを単に外用剤と表記することもある。
特定の好適態様において、ホウ酸の濃度は約313μg/mL(=0.03%)以上、約2500μg/mL(=0.25%)以下の範囲であり、デプシペプチド系抗生物質の濃度は約0.03μg/mL(=0.000003%)以上又は約0.25μg/mL(=0.000025%)以上、約8.0μg/mL(=0.0008%)以下の範囲である。
本発明の対象となるデプシペプチド系抗生物質とは、一般的にペプチド構造中のアミノ酸残基どうしがアミド結合(-CONHR-、Rはアミノ酸の側鎖)によりその分子が構成されるところ、少なくとも一つ以上のアミド結合がエステル結合(-COOR-)に置換された構造を有する化合物を指す。本発明で使用するデプシペプチド系抗生物質としては、12個のアミノ酸残基によって構成される分子構造をもつものが好ましく、特に下記化学構造式(1)で示されるロチリブシン又はその薬学的に許容される塩及び/若しくは立体異性体が好ましい。
Figure 0007253128000001
ロチリブシンは、その薬学的に許容される塩の形態で使用することもできる。ロチリブシンの薬学的に許容される塩の例としては、無機酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等、並びに有機酸塩、例えば、酒石酸塩、クエン酸塩、トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。特に好ましい塩はロチリブシンの二塩酸塩である。
デプシペプチド系抗生物質の本外用組成物中の含有量は、標的対象とする細菌の種類や感染症の種類と重篤度、疾患の部位、治療・予防の使用用途別や薬剤の剤形等によりそれぞれ異なるものであるが、ホウ酸との併用により、0.000003%(=0.03μg/mL)以上、有利には0.01%(=100μg/mL)以上であれば抗菌力を発揮できる。デプシペプチド系抗生物質の含有量の下限は好ましくは0.05%(=500μg/mL)、さらに好ましくは0.1%(=1mg/mL)であり、上限は好ましくは約5.0%(50mg/mL)、より好ましくは2.5%(25mg/mL)、さらにより好ましくは2.0%(20mg/mL)、最も好ましくは1.0%(10mg/mL)である。より具体的には、ロチリブシン又は他のデプシペプチド系抗生物質の最終外用組成物中の含有量は、好ましくは0.01~5.0%(=100μg/mL~50mg/mL)、より好ましくは0.05~2.5%(500μg/mL~25mg/mL)、さらに好ましくは0.05~2.0%(500μg/mL~20mg/mL)、さらにより好ましくは0.1~1.0%(1~10mg/mL)である。
本発明により抗菌力増強の目的で配合するホウ酸は、製剤中に配合することが許容されているホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、ホウ酸アンモニウムなどのホウ酸塩又はホウ酸エステル(以下ではホウ酸誘導体と総称する)の形態で使用することもできる。その場合には、ホウ酸に換算したホウ酸誘導体の化学当量(モル当量)が本明細書に記載の量となるように配合する。
ホウ酸の添加量については、ロチリブシンに対して抗菌活性を増強し得ることが確認された0.01%以上とする。ホウ酸の添加量の下限は好ましくは0.05%、さらに好ましくは0.1%であり、上限は好ましくは5.0%、より好ましくは2.5%、さらにより好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%である。より具体的には、ホウ酸の添加量は、好ましくは0.01~5.0%、より好ましくは0.05~2.5%、さらに好ましくは0.05~2.0%、さらにより好ましくは0.1~1.0%である。
ホウ酸は、医療の場で用いられる化合物としての歴史が非常に古い。1702年にオランダの化学者Wilhelm Hombergによってその結晶化合物が初めて硫酸鉄とホウ砂の蒸留から取り出された。その後、1875年代後半には英国の外科医Joseph Listerによってホウ酸を沸騰させ布に染み込ませた後に乾燥したもの(boracic lint)を外科医療における消毒用に用いる事が提唱された。
日本国内では、ホウ酸は過去に10%(w/v)の高濃度に配合されたホウ酸軟膏及びホウ酸亜鉛華軟膏が日本薬局方医薬品として収載され、医療用に用いられてきた。しかし、国内外におけるホウ酸による中毒事例や、経皮吸収による安全性面の問題が取り沙汰されるに至り、1985年の医薬品再評価-医療用その24(昭和60年7月30日,薬発第755号)において、10%ホウ酸軟膏、10%ホウ酸亜鉛華軟膏はそれぞれ「有用性がない」、「配合意義が認められない」と判定された。その結果、これらのホウ酸軟膏、ホウ酸亜鉛華軟膏、更にホウ砂グリセリンについても日本薬局方及び薬価基準から削除された。 従って、今日ではホウ酸は、2%以下の低濃度のホウ酸に限り、眼科領域の適用として「結膜嚢の洗浄・消毒」のみに有用性が認められ、使用が認められている。その他、この2%以下の薬効を発揮しない低濃度ホウ酸は、安定化剤、緩衝剤、等張化剤、pH調節剤、防腐剤、保存剤、溶解補助剤の目的で使用する医薬品添加剤として、日本国内では外用用途(経皮)で18mg/g(1.8%(w/w))、眼科用途で20mg/mL(2.0%(w/v))、耳鼻科用途で20mg/mL(2.0%(w/v))までの使用が認められている。
すなわち、ホウ酸は10%程度の高濃度にあっては医療用途においてある程度の有用性が認められた過去があるものの、このような高濃度においては有効性以上に安全性の問題を生じることが明らかとなって以降、医療の場での有用性は医薬品当局により認められず、単体での産業実用化には適さないこととなった。一方、2%以下の低濃度では、ホウ酸は医薬品成分相当の有効性が示されることはなく、眼科用途の洗浄用の他に、外用用途での医薬品安定化作用、緩衝作用、等張化作用、溶解補助作用、pH調節、防腐・保存の目的で代替選択肢が存在する添加剤としてのみ使用されるに過ぎない。
好ましい1態様において、本薬剤組成物は50又は100グラムのチューブに充填され、患者又は被験者の患部に組成物の有効量(多くは約1~2グラム)を1日に4~5回擦り込むことにより投与される。典型的には、このような組成物は、患者又は被験者の患部に1日当たり約100~500mg又はそれ以上、好ましくは約250mgまでのホウ酸と、約2.5~15mg、好ましくは約10mgまでのデプシペプチド系抗生物質(好ましくはロチリブシン)とを投与することになる。
本発明の外用組成物は、薬剤耐性型の菌を含む黄色ブドウ球菌属、表皮ブドウ球菌属、プロピオニバクテリウム属、バシラス属などのグラム陽性菌(薬剤耐性細菌(例、MRSAと略称されるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を含む)であって、ロチリブシンで代表されるデプシペプチド系抗生物質が抗菌活性を示す菌をその対象細菌とする。
黄色ブドウ球菌は、ヒトや動物の皮膚、鼻孔などに常在する菌であるが、皮膚の切創や刺創などに起因する局所感染症の他、目や耳、鼻にも各種感染症を引き起こす。症状が進行した場合、肺炎、腹膜炎、敗血症、髄膜炎などの生死に係わる重篤な感染症に至る場合もある。該菌、特にメチシリン耐性などの薬剤耐性菌は医療施設での院内感染に加え、市中感染の拡大も問題となっているため、この菌による皮膚などの局所感染症や、術創感染症の予防及び治療、また公衆衛生の側面から重要とされる医療施設内などにおける感染拡大防止策としての使用用途にも本外用組成物は有用である。
プロピオニバクテリウム属に属するアクネ菌(Propionibacterium acnes)については、ニキビ(尋常性ざ瘡)の発生に関与しており、本発明の外用薬剤組成物は該菌に対しても有効である。従って、本発明の外用組成物はざ瘡一般の治療にも使用でき、ここでざ瘡とは、尋常性ざ瘡、毒物性ざ瘡、嚢胞性ざ瘡、閃光状アクネ、丘疹性ざ瘡、膿疱性ざ瘡、MRSA起因ざ瘡、及び結節嚢胞性ざ瘡よりなる群から選ばれた症状である。この場合、本外用組成物は、有効量のホウ酸又はその誘導体とロチリブシンに加えて、有効量の過酸化ベンゾイル、サリチル酸及び/又はレチノイドをさらに含有することが好ましい。
バシラス属の菌については、とりわけ炭疽菌が人畜(獣)共通感染症の原因菌として重要であり、通常の接触感染経路以外に飛沫感染を起こす種類の菌であることから、該菌による不測の感染を未然に防止する用途としても本発明による外用組成物の利用が有用である。
本発明の外用組成物による治療・予防の対象となる細菌感染症については、ヒトのみならずイヌ、ネコ、家畜等の哺乳動物の感染症もその対象に含まれる。
本発明の外用組成物は、前記の細菌類に因る感染症治療・予防のための皮膚、眼、耳、鼻への局所投与(例、塗布剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤として)、含嗽用製剤として口内への適用、さらには吸入製剤として呼吸器への投与に有効である。本外用組成物は、被験者又は患者の肛門/直腸又は膣に投与される剤形に製剤化してもよい。
剤形としては、液体状(溶液、懸濁液、エマルジョン若しくは分散液)、軟膏、ゲル、エアゾール、固体、クリームなど、さまざまな態様として使用することができる。
製剤上の必要に応じて、界面活性剤、賦形剤、油性剤、増粘剤、防腐剤、ビタミン剤、pH調整剤、抗酸化剤、着色剤、香料等の薬学的に許容される1種又は2種以上の補助添加成分を適宜に含有させることができる。これらは、例えば、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、炭化水素、天然油脂、脂肪酸、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル類、エステル類、シリコーン油類、多価アルコール、低級アルコール、糖類、高分子化合物、血清成分、粉体類、塩類、有機酸類、水等を包含する。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、脂肪酸モノカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート等のアニオン界面活性剤、アルキルアミノベタイン、イミダゾリン型、グリシン型等の両性界面活性剤等が挙げられる。
賦形剤としては、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、ソルビトール、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、デンプン、デキストリン、α-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、沈降シリカ等が挙げられる。油性剤としては、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、オレイン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。防腐剤としては、安息香酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、塩化ベンザルコニウム、オキシ安息香酸アルキルエステル等が挙げられる。ビタミン剤としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE等が挙げられる。
(この後の元の請求項21、22に対応する説明は削除しました。)
本発明の外用組成物は、従来から知られる一般的な製剤の製造方法によって製造することができる。
投与頻度又は回数は限定的ではないが、多くの場合、処置すべき適応症又は症状に応じて適宜1日に1、2、3又はそれ以上の回数で投与又は塗布が行われる。有効量が供給される限り、所期の治療結果を達成するための本外用組成物の塗布量は一般に限定されない。多くの場合、疾病状態及び/又は症状の処置において所期の結果を達成するのに身体の所定表面に0.001mg~1.0グラムの組成物を塗布しうる。上述したように、本外用組成物は防腐剤、界面活性剤、賦形剤、担体、他の有効成分などを含有しうる。本剤は毎日1回又は複数回投与することができるが、より長い投与間隔も可能である。
以下の試験例において、ホウ酸併用によるデプシペプチド系抗生物質の抗菌活性を増強する効果を実証する。試験例では、デプシペプチド系抗生物質として、その代表例であるロチリブシンを用いた場合について説明する。なお、試験に実際に用いた化合物はロチリブシン二塩酸塩である。
(試験例1)
ロチリブシンの抗菌力に及ぼすホウ酸の影響評価
ロチリブシンの抗菌力に及ぼすホウ酸の影響を評価するため、マウスのMRSA皮膚感染モデルを用いて、これに単回投与実験を行い、薬効評価を検討した。当試験における比較対照(陽性対照)用検体には、実際に医薬品用途として臨床で汎用されている外用抗菌剤ムピロシンを用いた。
(1-1)in vitro試験
マウスでの検討に先立ち、当該薬効評価試験で用いる被験菌を用いて各化合物の抗菌活性を測定した。測定方法は日本化学療法学会の定める標準法(微量液体希釈法)に準じた。培地にはCation-adjusted Mueller-Hinton培地(CAMHB)を使用した。
その結果、表1に示すように、ロチリブシンの抗菌力は血清成分(FBS)が存在しない条件ではムピロシンより弱いことが明らかとなり、血清成分存在下の条件ではムピロシンとほぼ同程度の抗菌力を示した。ホウ酸単独では0.25%(2500μg/mL)相当で抗菌力を示し、血清成分添加の有無はその抗菌力に影響を与えなかった。
Figure 0007253128000002
(1-2)マウスにおける薬効評価試験
上記抗菌活性の測定結果を踏まえて、マウスのMRSA皮膚感染モデルを用いた単回投与による薬効評価試験を行った。
試験では、一般的に知られる水溶性軟膏基剤(グリセリン、以下溶剤ともいう)に被験体を混合、溶解させ、pH調節剤を適宜加えてpH5前後付近に調節した低刺激性の処方を調製し、試験に供した。
当試験は、プレ試験とメイン試験に分けて実施した。
プレ試験
プレ試験では、表2に示すように、各種濃度のロチリブシンあるいはホウ酸単独に加え、ムピロシン2%(陽性対照検体)を単回投与し、有効性について用量-反応性を確認した。
プレ試験の実施方法は、次の通りである。すなわちマウスの背部に実験的熱創傷部位を作成した後、1匹あたり1×106CFUのMRSAを患部皮下に接種して皮膚感染を起こさせ、これに翌日、被験物質各種を3匹/群ずつ単回、経皮投与し、更に1日経過した感染部位から皮膚組織を採取して菌数の増減を細菌学的手法により測定し、有効性を評価した。
Figure 0007253128000003
当試験においてはホウ酸の被験濃度として0.1%及び1.0%の濃度を評価対象とした。ホウ酸の用量設定に際しては、前に詳しく説明したような、ホウ酸の歴史的背景を考慮した。すなわち、ホウ酸は10%以上の高濃度にあっては、有効性以上に安全性の問題を生じることが明らかとなった。一方、2%以下の低濃度では、医薬品成分相当の有効性が示されることはなく、眼科用途の洗浄用の他に、外用用途での医薬品安定化作用、緩衝作用、等張化作用、溶解補助作用、pH調節、防腐・保存の目的で代替選択肢が存在する添加剤として使用されるにすぎない。
プレ試験の結果、図1に示すように、ロチリブシン単独投与は、0.02%、0.2%、0.5%の3種類の濃度について、濃度に依存して有効性が確認され、0.5%の濃度については比較対照検体であるムピロシン2%に相当する薬効を示すことが明らかとなった。
一方、ホウ酸は、in vitroにおいて被験菌に対する発育阻止濃度が0.25%(2500μg/mL)相当であったが、動物感染モデルにおける薬効評価ではこの濃度の4倍に相当する1%(10000μg/mL)の濃度を投与しても、陰性対照検体と同程度以下の菌数変化を示すのみであった。すなわち、ホウ酸自体の菌の発育を阻止する抗菌力については、0.1~1%の範囲では動物感染モデルの場合には全く効果が無いことがわかった。
メイン試験
メイン試験では、ロチリブシン0.5%に、プレ試験で抗菌力を認めない1%ホウ酸を配合した処方を準備し、これを陽性対照検体であるムピロシン2%と比較する形でマウスMRSA皮膚感染モデルに単回塗布投与し、薬効評価を行った。
Figure 0007253128000004
結果を図2に示す。驚くべきことに、ロチリブシン0.5%に、抗菌力を有しない低濃度のホウ酸1%を配合した処方を単回経皮投与した群では、ムピロシン2%と比較して、100倍にも及ぶ菌数の減少を認め、当処方が非常に強い薬効を示すことを確認した。
追加試験
本発明者は、メイン試験で得られた全く新しい知見を踏まえ、追加試験を実施した。すなわち、ロチリブシン、ホウ酸の濃度を更に1/2に下げ、ロチリブシン0.25%にホウ酸0.5%を加えた処方を準備し、ムピロシン2%との薬効比較を行った。
Figure 0007253128000005
その結果、図3に示したとおり、やはりロチリブシン0.25%にホウ酸0.5%を配合した処方においても、ムピロシン2%と比較して有意に菌を減少させる抗菌力を示した。
以上の一連の評価検討から明らかなように、本発明者は、デプシペプチド系抗生物質であるロチリブシンに低濃度のホウ酸を配合する事により、化合物の有効性プロファイルを飛躍的に高めることに成功した。
本発明による処方を用いれば、抗生物質ロチリブシンをヒトや動物類の各種細菌感染症治療のために外用抗菌薬として用いる際に、治療効果あるいは予防目的としての感染防御効果を飛躍的に高めることが可能である。また、この効果により治療自体に要する期間全体を大幅に短縮することも可能であり、結果的に投与量・頻度の低減をもたらす安全性の高い抗菌薬として、更には抗菌薬曝露の全体の著しい量的低減による耐性菌抑止にも貢献し得る外用剤として医療の場に提供することが可能である。
(試験例2)
in vitroの抗菌活性測定試験と動物を用いた薬効評価試験との関連
本発明者は、上記試験例1に示すように、動物を用いた薬効評価試験の結果、ホウ酸を併用することは外用用途を目的とするデプシペプチド系抗生物質ロチリブシンの医薬品としての実用性について驚くほどのプラスの影響をもたらすという新規の知見を得た。しかし一方で、当結果が得られたことにより本発明者は、新たに副次的に生じた課題とも向き合わなければならなくなった。それはすなわち、動物の薬効評価試験から得られる有効性データを、薬剤感受性試験のような簡便なin vitroの抗菌活性測定試験において、再現しなければならないことである。
医療用抗菌薬は、一般的に病院などの医療施設の臨床検査部においては簡便なin vitroの試験が実施され、この得られた数値の結果から、人体に投与する場合の有効性を予測し、抗菌治療のための実際の処方投与がなされるプロセスを経るものである。
本発明者が予め実施した、動物を使用しない一連のin vitroでの検討においては、ロチリブシンにホウ酸が加えられても、併用による抗菌力の著しい上昇を確認するまでには至らなかった。
(2-1)in vitro MIC試験
そこで、当課題を解決すべく、追加検討として、in vitroの条件でロチリブシンに対するホウ酸の抗菌力増強作用の用量-反応性を明らかにするための検討も行った。すなわち、各種濃度のホウ酸を配合した条件においてロチリブシンのMRSA臨床分離株に対する抗菌力を測定した。測定方法は日本化学療法学会の定める標準法(微量液体希釈法)に準じ、培地にはCation-adjusted Mueller-Hinton培地(CAMHB)を使用した。当検討では旧来よりロチリブシンの抗菌活性を増強させることが知られる血清成分FBSを陽性対照検体とした。予め、当試験で用いる被験菌に対するホウ酸単独の抗菌活性を予め評価したところ、抗MRSA活性は2500μg/mL(0.25%に相当)であった。
検討試験の結果を表5に示す。この結果より、ホウ酸添加条件については、当化合物が菌発育を阻止する0.25%以上の濃度では、ホウ酸自体の抗菌作用による、見かけ上のMIC値の低下が認められた。但し、前記のマウス薬効評価試験の結果からは図1に示す如く、ホウ酸単独条件では1%の比較的高い濃度条件であっても抗菌作用(薬効)が何ら確認されなかったので、当in vitro検討における結果は動物で確認された薬効(ホウ酸併用による相乗効果)にそのまま当てはめることができないことが明らかとなった。
ホウ酸濃度が0.1%以下の条件ではロチリブシン抗菌力の増強作用は全く認められなかった。ホウ酸濃度0.2%の条件は、ロチリブシンの抗菌力(MIC値)の増強を弱く認めたが、当然ながら、動物での検討結果(ホウ酸併用によるロチリブシン薬効の著しい増強)を説明するものではなかった。
Figure 0007253128000006
(2-2)交差MIC試験
上記検討から、動物試験におけるホウ酸併用によるロチリブシン抗菌作用の著しい増強を十分に説明し得る結果は得られなかったので、本発明者は、ロチリブシンに対するホウ酸の併用効果の詳細について更に評価検討をおこなった。すなわち、MRSAに対する抗菌活性を、2種被験体の各種濃度を交差させる形で抗菌力を測定評価した(交差MIC試験)。測定方法については日本化学療法学会の定める標準法(微量液体希釈法)に準じ、培地にはCation-adjusted Mueller-Hinton培地(CAMHB)を使用した。MRSAの接種菌量は2×105 CFU/wellとし、培養温度37℃の条件で20時間培養後、各種濃度を組み合わせた条件下での菌発育有無を確認した。試験結果を次の表6に示す。
Figure 0007253128000007
表6に示した結果から、各被検物質の交差MIC値(他方の化合物の存在下での最小発育阻止濃度)を読み取り、その結果を基に下記のFIC (Fractional Inhibitory Concentration) indexの計算式を用いて2つの物質の相互作用の評価を行った。
Figure 0007253128000008
当検討の結果、上記計算式により算出されるロチリブシンとホウ酸の併用効果については、両化合物のFIC indexが1であることが明らかとなり、併用効果は殆ど不関か非常に弱い相加効果が確認されるのみであった。
(2-3)5%FBSを用いた交差MIC試験
本発明者は、in vitroにおけるホウ酸併用時のロチリブシン抗菌力が動物薬効評価試験で得られたデータと相関しない点について、その要因を明らかにすべく、より生体に投与した場合に近い条件で評価する目的で、血清成分FBS(Fetal Bovine Serum、ウシ胎仔血清)を予め基礎培地に添加した条件設定を与え、ホウ酸併用のロチリブシン抗菌力に及ぼす影響について再度評価検討を行った。具体的には、in vitro試験用培地であるCation-adjusted Mueller-Hinton培地(CAMHB)に予め5%FBSを含有させた後、ロチリブシン、ホウ酸の併用効果を調べる交差MIC試験を実施した。測定方法は日本化学療法学会の定める標準法(微量液体希釈法)に準じた。
その結果、驚くべきことに併用効果の評価指標となるFIC indexは0.25となり、本発明者は、ロチリブシン抗菌力のホウ酸併用による非常に強い相乗効果を確認することに成功した。当結果は、動物薬効評価試験で得られた知見とも相関するものであった。評価結果を表7に示す。表7において、ホウ酸の相乗効果が得られる最小濃度は313μg/mLであり、ロチリブシンのそれは0.03μg/mLである。
Figure 0007253128000009
上記in vitroでの検討結果から、予め一定量のFBS等の血清成分を含有させた基礎培地を用いて、ホウ酸配合ロチリブシンの抗菌力測定試験を行うことにより、動物などの薬効予測に投影可能であって、且つ濃度依存的にロチリブシン有効濃度の劇的な低減を確認する方法を明らかにすることができた。
(試験例3)
本発明者は、当該血清成分存在下におけるロチリブシン抗菌力に影響を与えるホウ酸の併用効果について、より定量的に評価する為の検討も行った。すなわち、5%FBSを含有させた試験培地(CAMHB)に被験菌及び各種濃度の検体化合物を添加した後、24時間経過後に培地中の菌数を測定し、ホウ酸併用条件におけるロチリブシン抗菌作用の強度の評価を行った。測定結果を表8に示す。
Figure 0007253128000010
菌数の24時間後の変化(減少)を指標に評価したところ、5%FBS存在下でロチリブシンにホウ酸を併用した場合には、ホウ酸濃度が、本来は菌増殖を抑制しないホウ酸のMICに達しない低濃度(1250μg/mL)であっても、ロチリブシン単独条件の場合の24時間後の菌数変化と比較して1000倍ほどもロチリブシンの抗菌力が増強されることを確認した。
一方、ホウ酸を単独で評価した場合には、菌のMICに相当する2500μg/mL の濃度でも24時間後に菌数が減少することがなかった。当結果から、ホウ酸自体の抗菌性能は高くないことがわかった。
(試験例4)
本発明者は更に、ロチリブシンの抗菌力を増強し得るホウ酸の最小必要量(濃度)を明らかにする目的でin vitroの検討を行った。すなわち、試験培地であるCation-adjusted Mueller-Hinton培地(CAMHB)には5%FBSを含有させ、0.015~8μg/mLの範囲で倍々希釈されたロチリブシンに10μg/mL(0.001%)、100μg/mL(0.01%)、300μg/mL(0.03%)の3種類の低濃度のホウ酸を加えたものを各被検体とし、MRSAに対する抗菌力を測定した。測定方法は日本化学療法学会の定める標準法(微量液体希釈法)に準じた。
その結果、ロチリブシンの抗MRSA活性を上昇させるために必要なホウ酸の最小濃度は、100μg/mL(0.01%)であることが明らかとなり、ホウ酸単独条件でのMICに相当する2500μg/mLの濃度と比較して1/25程度であることがわかった。測定結果を表9に示す。
Figure 0007253128000011
(試験例5)
試験例2~4のin vitroの検討結果を基に、ロチリブシンのホウ酸併用による有用性を探る一環として、菌の耐性化に与える影響について、増量継代培養法によるMRSAの耐性獲得性の評価検討を行った。すなわち、試験培地Cation-adjusted Mueller-Hinton培地(CAMHB)に5%FBSを含有させ、被験菌(第1世代)に対する常法に則りMICを測定した後、1/4 MICに相当する濃度の被験液から一部を採取し、これを寒天培地等に培養して第2世代の菌として分離し、再び被験菌液を調製してMICの測定を行った。同様の菌採取プロセス及び抗菌力測定を更に反復し、第3世代までMICの測定を行った。抗菌力(MIC)の測定方法については日本化学療法学会の定める標準法(微量液体希釈法)に準じた。結果の評価指標については仮にMIC値の上昇がみられた場合、これを菌の耐性化と判断し、その度合い(数値)を評価した。また、MICが上昇した場合には、1/4 MICに相当する濃度の被験液から微量を検体として採取し寒天培地に培養後、そのコロニーの形態学特徴を併せて評価した。
その結果、第3世代の菌では、ロチリブシン単独の場合MIC値が32μg/mLまで上昇したが、ホウ酸を併用した条件ではMIC値の上昇は8μg/mLまでの上昇に留まった。すなわち、ロチリブシンはホウ酸の併用により耐性菌誘導を遅延させる効果が明らかとなった。第3世代の菌のコロニーの形状については、ロチリブシン単独、ホウ酸配合ロチリブシンの別を問わず、第1世代の菌のコロニーと比較して生育が遅く、直径がより小さいコロニーが確認され、Small Colony Variant (SCV)であることがわかった。測定結果を表10に示す。
Figure 0007253128000012
(試験例6)
本発明者は、ロチリブシンの抗MRSA活性におけるホウ酸併用の有用性を確認したので、MRSA以外の他の菌についても同様の有用性が確認されるかどうか、in vitroにおけるスクリーニングの検討を行った。すなわち、グラム陽性球菌各種についてそれぞれ適切に選択された試験培地を用いて5%FBS添加あるいは非添加の2種類の条件による抗菌力測定試験を行い、血清の添加によりロチリブシン抗菌活性が増強されるような菌種を探索、評価した。なお、当スクリーニング検討についてはホウ酸は併用しなかった。検討測定方法は日本化学療法学会の定める標準法(微量液体希釈法)に準じた。
その結果、グラム陽性桿菌に分類されるバシラス属からBacillus subtilis、Bacillus anthracis)、及びニキビの原因菌となるPropionibacterium acnesを含むプロピオニバクテリウム属の菌は5%FBSの添加によりロチリブシン抗菌活性が増強されることがわかり、ホウ酸併用により更に抗菌力を増強せしめる条件を満たす菌種であることが明らかとなった。評価結果を表11に示す。
Figure 0007253128000013
(試験例7)
前記の検討結果から見出された菌種については、ロチリブシンが抗菌活性を示し、且つ血清成分添加により抗菌力が増強される条件を満たすので、ホウ酸を併用する事により更に抗菌力が一段と増強されることが考えられる。
そこで、本発明者は、これを確認するため、ニキビや膿皮症の原因菌であり耐性菌としても臨床上重要であるPropionibacterium acnesについて、MRSAで既に実施済みの、血清成分存在下におけるロチリブシン抗菌力に影響を与えるホウ酸の併用効果の定量的評価検討を行った。すなわち、5%FBSを含有させた試験培地(CAMHB)に被験菌Propionibacterium acnes及び各種濃度の検体化合物を添加した後、一定時間経過後に培地中の菌数を測定し、ホウ酸併用条件におけるロチリブシン抗菌作用の強度についての評価を行った。なお、Propionibacterium acnesは、MRSAとは異なり嫌気性菌であるため、培地はGAM培地を使用し、培養は嫌気培養し(酸素吸収・炭酸ガス発生剤を使用)、培養時間は48時間とした。また、ロチリブシンに併用するホウ酸濃度については、予め当試験で用いる被験菌に対するホウ酸単独の抗菌活性を評価したところ、抗菌活性が1250μg/mL(0.125%に相当)であったことから併用ホウ酸の濃度を625μg/mL(0.0625%に相当)とした。
その結果、菌数の48時間後の変化(減少)を指標に評価したところ、5%FBS存在下では、ロチリブシンは、本来菌増殖を抑制しないホウ酸のMICに達しない低濃度(625μg/mL)を併用した場合でも、ロチリブシン単独条件の場合の48時間後の菌数変化と比較して10000倍ほどもその抗菌力が増強されることを確認した。測定結果を表12に示す。
Figure 0007253128000014
以上、本発明者が鋭意検討を行った結果、デプシペプチド系抗生物質ロチリブシンに、薬理活性(本発明においては抗菌活性)を有しない低濃度ホウ酸を配合させることにより、外用用途のための有効性プロファイルを飛躍的に高める事に成功した。
また、ヒト医薬品として実用化を図る上で重要となる、動物感染モデルの薬効データと相関するin vitro抗菌力測定試験上の設定条件についても明らかにすることができた。
ロチリブシンは、MRSAに対し通常のin vitro抗菌力測定試験では1.0μg/mLより高い濃度で抗菌力を示すが、試験培地に予めFBSを含有させる前記方法を採用すれば、ホウ酸併用により、0.015~1.0μg/mLあるいは更に低い濃度で抗菌力を示すことを確認することが可能である、当該in vitro測定で得られた結果はそのまま動物やヒトでの有効性予測に当てはめることが可能である。
ホウ酸の添加量については、ホウ酸単独で被験菌に対して示す発育阻止濃度の半分以下の濃度に抑えることが望ましく、100~1250μg/mL(0.01~0.125質量%)、好ましくは100~625μg/mL(0.01~0.0625質量%)程度が望ましい。前述したように、ホウ酸の代わりに、その同じ化学当量(モル当量)に相当する量を含有するホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩化合物を使用しても良い。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[外用剤の処方例1]
下記表13に示す組成(単位:質量%)となるように各成分を均一に溶解し攪拌混合させることによりゲル軟膏処方1A及び処方1Bを得た。pH調節液としては、100 mMリン酸水素二ナトリウム39容と100mMリン酸二水素一ナトリウム61容からなるリン酸緩衝液に0.1 N水酸化ナトリウム溶液を最終で0.02 Nになるように加えたものを使用した。
Figure 0007253128000015
当該処方1A及び処方1Bについて25℃で1ヶ月間、外観の安定性を評価した結果、いずれも製剤上の問題となる色調、性状の変化を認めなかった。モルモットを用いた皮膚刺激性試験では、刺激性が十分に低いものであった。
[外用剤の処方例2]
下記表14に示す組成(単位:質量%)となるように各成分を均一に溶解し攪拌混合させることによりクリーム処方2A及び処方2Bを得た。
Figure 0007253128000016
当該処方2A及び処方2Bについて25℃で1ヶ月間、外観の安定性を評価した結果、いずれも製剤上の問題となる色調、性状の変化を認めなかった。モルモットを用いた皮膚刺激性試験では、刺激性が十分に低いものであった。
[外用剤の処方例3]
下記表15に示す組成(単位:質量%)となるように各成分を均一に溶解させ攪拌することにより点耳液、点鼻液の用途を兼ねる点眼剤処方3A及び処方3Bを得た。
Figure 0007253128000017
当該処方3A及び処方3Bについて25℃で1ヶ月間、外観の安定性を評価した結果、いずれも製剤上の問題となる色調、性状の変化を認めなかった。ウサギを用いた眼粘膜刺激性試験では、異常を認めず良好な忍容性を示すものであった。
[外用剤の処方例4]
下記表16に示す組成(単位:質量%)となるように各成分を均一に溶解させ攪拌することにより水性の吸入剤処方4A及び処方4Bを得た。
Figure 0007253128000018
当該処方4A及び処方4Bについて25℃で1ヶ月間、外観の安定性を評価した結果、いずれも製剤上の問題となる色調、性状の変化を認めなかった。モルモットを用いた口腔粘膜刺激性試験では、異常を認めず良好な忍容性を示すものであった。
[外用剤の処方例5]
下記表17に示す組成(単位:質量%)となるように各成分を均一に溶解させ攪拌することによりローション剤処方5A及び処方5Bを得た。
Figure 0007253128000019
当該処方5A及び処方5Bについて25℃で1カ月間、外観の安定性を評価した結果、いずれも製剤上の問題となる色調、性状の変化を認めなかった。モルモットを用いた皮膚刺激性試験では、刺激性が十分に低いものであった。
表18に示す組成の外用ローション剤処方6A及び6Bを、各成分を均一に混合し、均質な組成物とすることにより調製した。
Figure 0007253128000020
この処方組成物は患者又は被験者の皮膚又は創傷の感染症に対して適用しうる。実際には、このローション剤約0.5~1.5グラムを患部に毎日4~5回投与する。本処方組成物は、MRSAを含む細菌感染症に対して相乗的な抗菌活性を与える。
本発明により開示されるデプシペプチド系抗生物質のための外用製剤の処方を用いれば、デプシペプチド系抗生物質、特にロチリブシンをヒトや動物類の各種細菌感染症治療のために外用抗菌薬として用いる際に、標的とする細菌に因る局所感染症において治療有効性・感染予防の効果が強力で且つ菌の耐性化も抑制し得るような、新しく有用な抗菌治療を担う新規医薬品を医療の場に提供することができる。
また、この効果により治療自体に要する期間全体を大幅に短縮することも可能であり、結果的に投与量・頻度の低減をもたらす安全性の高い外用抗菌薬として、更には抗菌薬曝露の全体の著しい量的低減による耐性菌抑止にも貢献し得る外用抗菌薬を医療の場に提供することが可能である。引いては、今世紀に入り依然として世界的に拡大化が懸念されている耐性菌の問題に対し、有効な解決手段を与えることが可能である。

Claims (10)

  1. 少なくとも0.03μg/mL(0.000003質量%)の濃度のデプシペプチド系抗生物質と少なくとも0.01質量%以上の量のホウ酸とを含む、グラム陽性菌による細菌感染症の予防及び/又は治療用抗菌性外用組成物であって、前記デプシペプチド系抗生物質が下記化学構造式(1)で表されるロチリブシン又はその薬学的に許容される塩及び/若しくは立体異性体である外用組成物
    Figure 0007253128000021
  2. 前記細菌がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含む黄色ブドウ球菌である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記細菌感染症が、複雑皮膚・軟部組織感染(cSSTI)由来の急性及び慢性創傷、皮膚・皮膚構造感染(SSSI)由来の急性及び慢性創傷、静脈うっ血性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍、手術後潰瘍、外傷後潰瘍及び自然潰瘍を包含する、熱傷、裂傷、擦過傷、咬傷、手術創、刺創、及び潰瘍を含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記デプシペプチド系抗生物質を100μg/mL~50mg/mLの濃度で含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記ホウ酸を0.01~5.0質量%含有する請求項に記載の組成物。
  6. 薬剤耐性又は多剤耐性細菌に起因する創傷又は体表面感染症の治療に用いる、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 油脂性を含む軟膏、クリーム、ローション、又は液状組成物として製剤化された請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 局所投与剤形の請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 吸入投与剤形の請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 眼用投与剤形の請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
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