JP7252918B2 - 軟化組織検出方法 - Google Patents

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Description

本開示は、金属部材に存在する軟化組織の検出方法に関する。
近年、例えば火力発電プラントで使用される高温蒸気配管(高クロム鋼配管)の溶接部や母材の熱影響部(HAZ部:Heat Affected Zone)に軟化組織が生じる事例が報告されている(例えば非特許文献1参照)。このような高温・高圧条件下で使用される金属部材に生じる軟化組織は、通常領域(母材および溶接金属)より硬さが顕著に低下しており、その結晶粒も粗大化する。よって、この軟化組織の存在によって金属部材の強度低下の可能性があり、軟化組織を非破壊で検出するニーズが今後高まることが予想される。
なお、金属部材を非破壊で検査する方法としては超音波探傷(UT:Ultrasonic Testing)が従来から知られている(特許文献1参照)。超音波探傷では、例えば高温蒸気配管の溶接部などとなる検査の検査対象に探傷器から超音波の短パルス信号を送信(送波)すると共に、その反射波(エコー信号)を受信して分析する。これによって、検査対象内における欠陥の有無や位置の推定が可能となる。
特開2018-205033号公報
張聖徳 他6名、「9Cr鋼長期使用材の溶接継手のクリープ強度に及ぼす軟化組織の影響」、第57回高温強度シンポジウム 前刷集、2019年12月5~6日、p.46-50
しかしながら、金属組織の内部に析出した軟化組織を非破壊で検出する技術の報告は現状では存在していない。ミクロなき裂やクリープボイド(空洞)などの欠陥を検出するための研究事例は数多く存在するが(特許文献1など)、軟化組織のような非空洞の材料組織の検出を目的とした研究事例はないのが現状である。
この点、本発明者らは、鋭意研究により、超音波探傷による軟化組織の検出を可能にするためには、軟化組織を形成する結晶粒の粒径に応じた波長の超音波を用いる必要があり、そうしないと、照射した超音波の軟化組織からの反射波(エコー信号の時間推移)の信号値が小さく、軟化組織を検出できないことを見出した(後述する図5A~図5B参照)。つまり、超音波探傷により軟化組織を検出するのに際して、検出できる軟化組織を形成する結晶粒の粒径と、超音波の波長(周波数)との間に強い相関があることを見出した。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、金属の内部に存在する軟化組織を検出するための軟化組織検出方法を提供することを目的とする。
本発明の少なくとも一実施形態に係る軟化組織検出方法は、
金属部材の検査対象内の軟化組織を超音波探傷により検出するための軟化組織検出方法であって、
前記軟化組織を形成する結晶粒の想定粒径を設定する設定ステップと、
前記想定粒径と前記超音波探傷に用いる超音波の周波数である設定周波数との関係を定めた超音波条件を満たすように、前記設定周波数を決定する決定ステップと、
前記設定周波数を有する前記超音波により、前記検査対象に対する前記超音波探傷を実行する探傷ステップと、
前記超音波探傷の実行結果に基づいて、前記検査対象内における前記軟化組織の有無を判定する判定ステップと、を備える。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、金属の内部に存在する軟化組織を検出するための軟化組織検出方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る超音波探傷システムの構成を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波探傷を肉厚方向に断続した軟化組織に行う場合を示す図である。 本発明の一実施形態に係る軟化組織検出方法を示す図である。 本発明の一実施形態に係る複数の結晶粒で形成された軟化組織を示すイメージ図である。 本発明の一実施形態に係る超音波の波長と軟化組織からのエコー信号高さとの関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波の設定周波数と軟化組織からのエコー信号高さとの関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波の反射波の周波数特性を示す図であり、実線が軟化組織の場合、破線が欠陥の場合を示す。 本発明の一実施形態に係る判定ステップを示す図であり、高周波数側シフトの有無に基づく判定フローを示す。 本発明の一実施形態に係る判定ステップを示す図であり、周波数特性の形状に基づく判定フローを示す。 本発明の一実施形態に係る判定ステップを示す図であり、せん断波の伝搬速度に基づく判定フローを示す。 本発明の一実施形態に係る判定ステップを示す図であり、超音波探傷の使用周波数に応じた応答特性に基づく判定フローを示す。 本発明の一実施形態に係る反射源が軟化組織である場合のエコー信号の反射方向を例示する図であり、指向性を有しない。 本発明の一実施形態に係る反射源が欠陥である場合のエコー信号の反射方向を例示する図であり、指向性を有する。 本発明の一実施形態に係る判定ステップを示す図であり、エコー信号の指向性の有無に基づく判定フローを示す。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷システム1の構成を概略的に示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷を肉厚方向に断続した軟化組織Tに行う場合を示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係る軟化組織検出方法を示す図である。図4は、本発明の一実施形態に係る複数の結晶粒Gで形成された軟化組織Tを示すイメージ図である。図5Aは、本発明の一実施形態に係る超音波の波長λと軟化組織Tからのエコー信号高さとの関係を示す図である。また、図5Bは、本発明の一実施形態に係る超音波の設定周波数Fと軟化組織Tからのエコー信号高さとの関係を示す図である。
軟化組織検出方法は、金属材料に存在する軟化組織Tを検出するための方法である。より具体的には、軟化組織検出方法は、例えば金属部材における検査対象9の部位(以下、単に検査対象9)内の軟化組織Tを超音波探傷(UT:Ultrasonic Testing)により検出するための方法である。上記の金属部材は、例えば高クロム鋼配管などの配管であっても良い。また、検査対象9は、配管の溶接部(溶接金属)またはその母材の熱影響部(HAZ部:Heat Affected Zone)の少なくとも一方を含んでも良い。
まず、上記の超音波探傷システム1および測定条件について説明すると、図1に示すように、超音波探傷システム1は、超音波を送信するための送信器2sおよび超音波のエコー信号(反射波)を受信するための受信器2rを有する探傷器2と、上記の送信器2sから超音波(超音波パルス)を送信した後に、受信器2rを用いてエコー信号の信号レベル(以下、エコー信号レベル)を測定(観測)することにより、反射波の信号データsを生成する測定装置3と、検査対象9の複数の測定位置pでそれぞれ測定される複数の信号データsに基づいて、例えば開口合成処理を行うなど、周知の探傷原理に基づいて音響画像Iを生成する処理装置4と、を備える。
より詳細には、上記の送信器2sおよび受信器2rには、超音波を発生又は受信するための探触子(センサ)が組み込まれている。また、測定装置3は、送信器2sから超音波(超音波パルス)を送信した後に、受信器2rを用いて超音波の反射波の信号レベルを測定することにより、送信器2sからの超音波の送信時から所定期間の間に観測されるエコー信号レベルの時間推移である信号データs(t)(時系列データ。以下、適宜、s)を生成する。また、このような測定を、検査対象9の複数(M個)の測定位置p(m=1、2、・・・、M。以下同様。)の各々へ探傷器2の設置(移動)を通して、これらの測定位置p毎に行うことで、図1に示すような、M個の信号データsを得る。また、処理装置4は、生成した音響画像Iをディスプレイ(図1)やプリンタなどの視覚化することが可能な表示装置12に出力することで、音響画像Iが表示されるようになっている。
なお、図1の例示は、検査対象9に軟化組織Tが存在する場合を示している。軟化組織Tは、検査対象9の母材とは物性が異なっており、超音波の反射源となる。よって、送信器2sから送信された超音波がその反射源で反射され、その反射波を受信器2rで受信しているため、信号レベルの変化が大きい箇所(反射源エコー)が存在している。また、各信号データsは互いに異なる測定位置で測定されているため、各信号データsにおける反射源エコーの位置にはずれが生じている。反射源が欠陥hである場合でも同様である。また、上記のtは、例えば、超音波の送信時からの経過時間である。
このような超音波探傷システム1において、軟化組織Tの検出では、上記の送信器2sおよび受信器2rに組み込まれる探触子(センサ)は、周知な探触子で良いが、組み込まれる探触子の数は1つであっても良いし、複数が組み込まれたアレイ探触子であっても良い。ただし、小さな領域の軟化組織Tを検出するためには、音圧が強い(感度が高い)集束ビームBを用いて探傷するのが良く、集束型探触子やアレイ探触子を用いても良い。探傷原理は、一般的なパルスエコー法、ピッチキャッチ法、フェーズドアレイ法、開口合成法、FMC/TFM(フルマトリックスキャプチャ/トータルフォーカシングメソッド)、PWI(プレーンウェーブイメージング)等を適用すれば良い。なお、上記の通り、パルスエコー法やピッチキャッチ法では集束探触子を用いるとより良い。また、フェーズドアレイ法、開口合成法、FMC/TFM、PWI法ではアレイ探触子を用いるとより良い。
また、集束探触子は金属材料内部全域を高感度で検査することが困難との課題があるため、肉初方向の検査範囲に応じた集束探触子を設計/適用したり、屈折率可変型の遅延材を用いて任意位置に集束ビームBを送信したりして探傷しても良い。ここで、検出感度を高めるため、探触子の長軸方向に曲率を付与して集束させるとより良い。なお、屈折率可変型の遅延材を用いて集束深さを任意に変更しても良い。
また、近年、溶接金属内や開先面において、肉厚方向(図1のz方向。以下同様)に断続的または連続的に軟化組織Tが検出する可能性が報告されている(図2参照)。しかし、そのような軟化組織Tは、溶接部検査に一般的に用いられる斜角超音波探傷法では検出が困難である。この斜角超音波探傷法は、検査対象9に対して斜めに超音波を入射し、溶接部を検査する。そこで、溶接金属内や開先面などとなる検査対象9の上面(外表面)から超音波を垂直に送信して検査する方法や、例えば金属部材が配管の場合にはその周方向に超音波を入射して軟化組織Tを検出する方法で行うのが良い。超音波を溶接の上から送信する場合、溶接余盛を研削して平らにしてから探傷を行っても良いし、アダプティブ超音波探傷を用いても良い。アダプティブ超音波探傷は、溶接余盛のままの状態で超音波を入射し、余盛形状の屈折影響を補正する波形処理を組み合わせた探傷方法である。
そして、上記の肉厚方向に断続(連続)した軟化組織T(図2参照)を、表層から深層部まで全域を検出するためには、強力な超音波ビームを深層部へ入射して検査する必要がある。このため、幾つかの実施形態では、超音波探傷の探傷器2は、検査対象9の表面から深さ方向(図1のz方向)に沿って超音波を照射するように構成される。より詳細には、点集束型垂直探触子を用い、溶接上から集束ビームBを入射する。この際、検査する深さとビーム集束深さとを一致させて探傷する。検査深さを任意に変更して全域を探傷するために、集束深さが異なる集束探触子を用いても良いし、もしくは屈折率可変型の遅延材を用いて任意位置に集束ビームBを与えて探傷しても良い。
また、アレイ探触子を用いる映像化手法では、PWIがより良い。アレイ探触子は微小振動子が複数配列して構成されるが、PWIは全ての微小振動子から同時励起した波形を送信し、その波形を再構築して検査対象9の内部をイメージングする手法である。ここで、アダプティブ超音波探傷ロジックと組み合わせ、溶接余盛ままからPWIイメージングすることで、余盛研削の手間を省くことができる。これによって、軟化組織Tが深さ方向に沿って層状に発生しているような場合であっても、軟化組織Tを精度良く検出することが可能となる。
上述したような超音波探傷システム1および測定条件下などで実行される軟化組織検出方法は、図3に示すように、設定ステップS1と、決定ステップS2と、探傷ステップS3と、判定ステップS4と、を備えており、この順番で実行される。
軟化組織検出方法を図3のステップ順に説明する。
設定ステップS1は、検査対象9の内部に軟化組織Tが存在すると仮定した場合に、その軟化組織Tを形成する結晶粒Gが有するであろう粒径の想定値(以下、想定粒径d)を設定するステップである。図4に示すように、通常、軟化組織Tは複数の結晶粒Gで形成されている。この結晶粒Gの粒径(以下、結晶粒径)は、この時点では定かではないが、任意の環境下に置かれた検査対象9に発生し得る軟化組織Tの結晶粒径は、同様の環境に置かれた同種の検査対象の過去事例や、シミュレーション(数値解析)などから想定することが可能である。そして、このような過去事例などから、仮に検査対象9内に軟化組織Tが存在していると仮定した場合に想定される結晶粒径を、上記の想定粒径dとして設定する。一実施形態では、想定粒径dは100μm以上であっても良い。
図4の例示では、相対的に大きい複数の結晶粒Gが集まっている領域(部分)が軟化組織Tであり、軟化組織Tに隣接(図4の下部)して存在する、相対的に小さい結晶粒が集まっている領域が、軟化組織Tが存在していない検査対象9の母材部分(以下、通常組織Tm)である。そして、軟化組織Tを形成する結晶粒Gの結晶粒径は、100μm~200μm程度(平均で150μm程度)となっている。よって、図4に示す金属組織が検査対象9と同種の部位に関する過去事例あるいはシミュレーション結果であるとすると、上記の想定粒径dを、100μm~200μmの間のいずれかの値に設定しても良いし、この数値範囲外の近傍の値に設定しても良い。
決定ステップS2は、予め定められたものである、想定粒径dと超音波探傷に用いる超音波の周波数である設定周波数Fとの関係を定めた超音波条件Cを満たすように、上述した想定粒径dに応じた設定周波数Fを決定するステップである。これは、本発明者らが、鋭意研究により、超音波探傷による軟化組織Tの検出を可能にするためには、軟化組織Tを形成する結晶粒Gの粒径に応じた波長の超音波を用いる必要があり、そうしないと、照射した超音波が検査対象9内の反射源から反射することで観測(受信)されるエコー信号の時間推移(以下、反射波)が軟化組織Tからのエコー信号を含む場合であってもその信号レベルが小さく、軟化組織Tを検出できないことを見出したことによる(図5A~図5B参照)。つまり、超音波探傷により軟化組織Tを検出するのに際して、検出できる軟化組織Tを形成する結晶粒の粒径と、超音波の波長(周波数)との間に強い相関があることを見出したことによる。
具体的には、幾つかの実施形態では、上記の超音波条件Cは、上記の設定周波数Fに対応する超音波の波長λ(λ=V/F)(V:超音波の音速)が想定粒径dの2倍以下(λ≦2d)である。よって、決定ステップS2では、この超音波条件Cを満たすように、想定粒径dに基づいて、設定周波数Fを決定する。例えば、定数αを、任意に定めることが可能な0以上の値を有する定数とすると、λ=2d-αといった計算式を用いて、超音波の波長λを算出し、設定周波数Fを算出しても良い。
例えば、図5A~図5Bでは、横軸は超音波の波長λであり、縦軸は、エコー信号レベルの最大のエコー信号レベルに対する割合であるエコー信号高さを示す。図5Aの例示では、超音波探傷で使用する超音波の波長λ(横軸)が概ね2d程度よりも大きい場合(λ>2d)には、縦軸で示すエコー信号のエコー信号高さは0付近だが、波長λが概ね2d以下になるとエコー信号高さがベースエコー(ノイズ)から判別可能な程度に上昇している。さらに、波長λが短くなるほど、エコー信号高さは大きくなる傾向を示している。
また、図5Bの例示は、図5Aの波長λを周波数に変換(周波数=1/λ)したものであるが、図5Aと同様に、概ね2dに相当する周波数である1/2dを境に、低周波数側では0%であったエコー信号高さが、高周波数側でベースエコー(ノイズ)から判別可能な程度に上昇している。さらに、周波数が高くなるほど、エコー信号高さは高くなる傾向を示している。なお、図5A~図5Bでは、2d=300~400μmとしており、観測されたエコー信号レベルがベースエコー(ノイズ)以下を、評価不能な場合として、0%としている。
このように、設定周波数Fに対応する波長λが上記の超音波条件Cを満たすことで、検査対象9内に存在する軟化組織Tをより確実に検出することが可能となる。図4の例示では、複数の結晶粒Gのうちの結晶粒径が小さい方の値(具体的には100μmなど)を想定粒径dに設定すれば、軟化組織Tの全体がより精度良く検出することが可能となる。
探傷ステップS3は、上記の決定ステップS2で決定した上記の設定周波数Fを有する超音波により、検査対象9に対する超音波探傷を実行するステップである。すなわち、図1~図2に示すような超音波探傷システム1を用いて、検査対象9の複数の位置の各々から設定周波数F(波長λ)を有する超音波を探傷器2から照射(送信)すると共に、照射した超音波の反射源からの反射信号(エコー信号)の時間推移(反射波)を示す信号データsに基づいて、検査対象9内に存在する軟化組織Tや、き裂やクリープボイド(空洞)などの欠陥h(内部欠陥)と母材との界面の存在を検出する。
なお、探触子の中心周波数を上記の超音波条件Cを満足するように設定しても良いし、広帯域周波数センサの帯域全体が上記の超音波条件Cを満たすようにも良い。波長への換算は、超音波探傷に用いる縦波または横波の違いを考慮する。
判定ステップS4は、上記の探傷ステップS3で実行した超音波探傷の実行結果に基づいて、検査対象9内における軟化組織の有無を判定するステップである。設定周波数Fを有する超音波を用いて超音波探傷を実行することで、検査対象9内に軟化組織Tが存在している場合には、既に説明した通り、通常組織Tmとの異種界面を有する軟化組織Tからのエコー信号レベルが、探傷器2により検出可能な程度に高くなるので、その存在を検出することが可能となる。
図3に示す実施形態では、軟化組織検出方法は、軟化組織Tのサイズまたは検査対象9内における位置の少なくとも一方を含む評価指標を算出する評価ステップS5をさらに備えている。そして、表示装置12に音響画像Iを表示する際に、この評価ステップS5で算出した評価指標を一緒に表示するようになっている。
より具体的には、この評価ステップS5では、超音波探傷イメージングを実施し、任意のエコー信号高さを超えた反射源である軟化組織Tを画像化した断面マッピング画像を得る。そして、この画像に基づいて軟化組織Tのサイズ(高さ、幅、奥行き)を得る。例えば、画像から軟化組織Tを抽出あるいは2値化することで、サイズや体積を得ることができる。なお、探傷器2が集束型探触子を用いる場合には前後左右に走査し、屈折率可変型ウェッジによってビームスキャンを行い、任意の基準を満たしたエコー信号高さのもののみを記録することにより、軟化組織Tのサイズの特定が可能である。
また、評価指標は、検査対象9内での軟化組織Tの割合(検査対象9の肉厚に対する軟化組織Tの割合)を含んでも良い。具体的には、アレイ探触子を用い、上記したイメージング手法で軟化組織Tの部分を得た範囲を記録することにより、上記の割合を得ることが可能である。より具体的には、検査対象9から垂直超音波探傷を実施することにより、肉厚方向における波形を取得することができるので、その波形情報から、軟化組織Tに特有の波形が含まれる割合を求めることにより、肉厚に対する軟化組織Tの生成割合を求めることができる。また、後述するように、軟化組織Tによるせん断波の伝搬速度の変化を観測することによっておも上記の割合を求めることができる。具体的には、板厚方向に対する伝搬速度の変化量を計測し、板厚で除することによって、軟化組織Tの生成割合を求めることができる。
上記の構成によれば、超音波探傷に用いる超音波の周波数(設定周波数F)を、金属部材の検査対象9内に軟化組織Tが発生した場合に想定される軟化組織Tを形成する結晶粒の粒径(想定粒径d)に基づいて、超音波条件Cを満たすように決定する。そして、決定した設定周波数Fを用いた超音波探傷により検査対象9を測定し、その結果に基づいて軟化組織の有無を判定する。これによって、検査対象9内に存在する軟化組織Tを非破壊で検出することができる。
次に、上述した判定ステップS4に関する幾つかの実施形態について説明する。
上記の設定周波数Fを用いた超音波探傷によって軟化組織T(非空洞の組織)の検出が可能となったが、この方法では、軟化組織Tの他にも欠陥h(内部欠陥)も検出され得る。つまり、超音波探傷によって検出された超音波の反射源は、実際には、軟化組織Tである場合もあれば、欠陥hである場合もあり得る。このため、検出された反射源が、軟化組織Tであるか否かを識別するための識別方法が必要となる。
以下、この識別方法に関する5つの実施形態を、図6~図11Bを用いて順に説明する。なお、下記の5つの実施形態は、それぞれ単独で用いても良いし、そのうちの複数をそれぞれ実施し、例えば実施した全ての識別方法の結果が同じである場合にその識別結果を採用したり、品質工学手法(例えば、MT法)を用いて最終的な識別結果を出すなど、組合せても良い。
(1.超音波の反射波の周波数特性の分析を通した識別方法)
図6は、本発明の一実施形態に係る超音波の反射波の周波数特性を示す図であり、実線が軟化組織Tの場合、破線が欠陥の場合を示す。また、図7は、本発明の一実施形態に係る判定ステップS4を示す図であり、高周波数側シフトの有無に基づく判定フローを示す。
本発明者らは、鋭意研究により、超音波を反射した検査対象9内の反射源が軟化組織Tであるか否かに応じて、超音波の反射波の周波数特性(周波数スペクトル)に差異が生じることを見出した(図6参照)。具体的には、図6に示すように、軟化組織Tが存在している場合には、それ存在していない場合に比べて、周波数特性におけるピーク(強度ピーク)が全体的に高周波数側にシフトする(以下、これを高周波数側シフトと呼ぶ)。また、軟化組織Tは通常複数の結晶粒Gで構成されることから、図6に示すように、軟化組織T由来の周波数特性の形状は林状であり、複数のピークが存在するのに対し、欠陥由来の周波数特性の形状は山なり状であり、そのピーク数は概ね1つ程度になる。
このため、幾つかの実施形態では、上述したような周波数特性の高周波数側シフト(図6参照)の有無を判定することで上記の識別を行っても良い。具体的には、図7に示すように、判定ステップS4は、検査対象9に対して照射した超音波の反射波の周波数特性(以下、対象周波数特性Dt)を取得する対象特性取得ステップS71と、この対象周波数特性Dtにおけるピークが存在する周波数の位置(ピーク位置)の評価値(以下、対象ピーク位置Vp)を求める第1解析ステップS72と、対象周波数特性Dtの原因となる反射源が欠陥hである場合に得られる超音波の反射波の周波数特性(以下、参照周波数特性Dr。図6参照)のピーク位置の評価値(以下、参照ピーク位置Vr)を取得すると共に、対象ピーク位置Vpが、参照ピーク位置Vrよりも大きい値を有する第1閾値La以上の場合(Vp>La>Vr)に、上記の反射源が軟化組織Tであると識別する第1識別ステップS73(S73a~S73c)と、を有しても良い。
上記の対象周波数特性Dtは、反射波に対してFFT(Fast Fourier Transform)などのフーリエ変換を行うことで得られる。上記の対象ピーク位置Vpは、上記の高周波数側シフトの有無を判定するための指標である。対象ピーク位置Vpおよび参照ピーク位置Vrの各々のピーク位置は、例えば中心周波数であっても良いし、最大の強度を有するピーク位置などであっても良い。また、上記の第1閾値Laは、例えば参照ピーク位置Vrに所定の係数β(β>1)を乗算あるいは加算するなどして定めても良い。
また、上記の参照ピーク位置Vrは、シミュレーションや、内部欠陥を有する標準試験片に対する超音波探傷を実行することで求めることが可能である。具体的には、上記のシミュレーションについては、上記の探傷ステップS3によって検査対象9における反射源の位置や大きさが分かるので、超音波探傷のシミュレーションが可能な検査対象9の数値モデルに、実際に行った上記の超音波探傷の測定条件を反映(設定)すると共に、実際に行った超音波探傷によって検出された反射源の位置(実位置)に欠陥hを設定して、数値解析を行っても良い。標準試験片については、探傷器2と実位置との相対的な位置関係が同様となるような試験片に対して超音波探傷を実行しても良い。あるいは、内部欠陥の位置が分かっている標準試験片に対する超音波探傷の実行結果に基づいて、参照ピーク位置Vrを推定し、その推定値を参照ピーク位置Vrとしても良い。
図7に示す実施形態では、ステップS71において対象周波数特性Dtを取得し、ステップS72おいて、取得した対象周波数特性Dtの対象ピーク位置Vpとして中心周波数を算出する。そして、ステップS73において第1識別ステップS73を実行する。具体的には、ステップS73aにおいて、対象ピーク位置Vpが第1閾値La以上であるか否かを判定する。本実施形態では第1閾値Laを、上記の係数βは1.2(β=1.2)として、1.2×βと定めている(La=β×Vr)。そして、ステップS73aにおいてVp<TLaである場合には、ステップS73bにおいて超音波の反射源を欠陥hと識別する。逆に、ステップS73aにおいてVp≧Taである場合には、ステップS73cにおいて超音波の反射源を軟化組織Tと識別する。
つまり、図7に示す実施形態では、参照ピーク位置Vr(この場合は中心周波数)から、βに相当する割合(図7では20%)以上高周波数側にシフトしている場合を有意な差とみなし、この条件を満たした場合に、その反射源を軟化組織Tと判定する。本発明者らは、係数βを1.2として定めた第1閾値Laにより、反射源の識別を適切に行えることを確認している。
上記の構成によれば、超音波の反射波(反射波の信号)の周波数特性の、例えば中心周波数などとなる対象ピーク位置Vpを算出する。また、この対象ピーク位置Vpと比較する第1閾値Laを、反射源が軟化組織Tではなく欠陥hである場合に得られるであろう参照ピーク位置Vrに基づいて定め、対象ピーク位置Vpが第1閾値La以上である場合(Vp≧La>Vr)に、超音波探傷によって検出された反射源が軟化組織Tであると識別する。これによって、上記の反射源が、非空洞の軟化組織Tであるか、欠陥hであるかを適切に識別することができ、検査対象9内に存在する軟化組織Tを適切に検出することができる。
他の幾つかの実施形態では、上述したような反射波の周波数特性が林状エコーの様相を呈しているか否かを判定することで上記の識別を行っても良い。
図8は、本発明の一実施形態に係る判定ステップS4を示す図であり、周波数特性の形状に基づく判定フローを示す。
具体的には、図8に示すように、判定ステップS4は、検査対象9に対して照射した超音波の反射波の対象周波数特性Dtを取得する対象特性取得ステップS81(S71と同じ)と、この対象周波数特性Dtの形状評価を行う第2解析ステップS82と、この形状評価の結果に基づいて、対象周波数特性Dtの原因となる反射源が軟化組織Tであるか否かを識別する第2識別ステップS83(S83a~S83c)と、を有しても良い。すなわち、第2識別ステップS83では、形状評価の結果、対象周波数特性の形状が林状である場合には反射源は軟化組織Tであると識別し、例えば山なり状など林状ではない場合には反射源は軟化組織Tではない例えば欠陥hであると識別する。
上記の形状評価の具体的な評価方法については、様々な方法が考えられる。例えば、幾つかの実施形態では、対象周波数特性Dtにおけるピーク数を集計しても良い。ピーク数の集計にあたっては、例えば最大の強度の所定割合(例えば50%など)以上の強度を持つピークの数を集計しても良い。そして、ピーク数が、2以上の所定数となる第2閾値以上の場合に、対象周波数特性の形状が林状であると判定しても良い。例えば、欠陥由来の反射波の周波数特性に存在するピーク数は概ね1程度であるため、2となる可能性を考慮して、上記の第2閾値は例えば3であっても良い。また、例えば検査対象9が溶接部を含む場合には、溶接条件によって再結晶由来のノイズエコーが生じるので、反射波にはこのノイズエコーも含まれる。このような場合を考慮して、検査対象9でのノイズエコーの状態(溶接条件)に応じて、第2閾値は3よりも大きい数にしても良い。
他の幾つかの実施形態では、対象周波数特性Dtに対して平滑化処理を行うことで平滑化された分布(平滑化周波数特性)を生成すると共に、この平滑化周波数特性の強度が第3閾値以上の点を集計することで、対象周波数特性Dtが林状か否かを判定しても良い。この場合においても、第3閾値は、検査対象9でのノイズエコーの状態(溶接条件)に応じて設定しても良い。平滑化処理は、例えば移動平均など、周知な手法を用いれば良い。
その他の幾つかの実施形態では、反射波に、軟化組織T由来のエコー信号と欠陥由来のエコー信号とが含まれる場合に、前者のみを抽出した後に、先に説明したような評価方法により形状評価を行っても良い。具体的には、幾つかの実施形態では、例えばガウス関数やローレンツ関数、フォークト関数などの釣鐘型の形状を有する複数の関数(以下、釣り鐘型関数)を用いて対象周波数特性Dtに近似した形状を作成し、これを用いて、対象周波数特性Dtから軟化組織T由来のエコー信号を抽出しても良い。
例えば、対象周波数特性Dtのピーク数をNとした場合に、N+1個の釣り鐘型関数を用意する。そして、そのうちのN個の釣り鐘型関数の線幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)は同じとし、残りの釣り鐘型関数の線幅のみ、他と異ならせる。そして、N+1個の釣り鐘型関数のパラメータ(線幅、ピーク高さ)を、対象周波数特性Dtとの差が規定値以下になるように調整する。その結果、規定値以下となった場合における、上記の線幅が同じとなるN個の釣り鐘型関数の合成波形が軟化組織Tに由来し、残りの1個の釣り鐘型関数が欠陥hに由来するものと判断する。他の幾つかの実施形態では、線幅の狭い釣り鐘型関数のみの合成波形で対象周波数特性Dtの形状に近似させても良い。
図8に示す実施形態では、ステップS81において対象周波数特性Dtを取得し、ステップS82おいて、上述した複数の実施形態のうちの少なくとも1つにより、取得した対象周波数特性Dtの形状評価を実行する。そして、ステップS83において第2識別ステップS83を実行する。具体的には、ステップS83aにおいて、対象周波数特性Dtの形状が林状か否かを判定し、その形状が林状ではない場合(山なり状の場合)には、ステップS83bにおいて超音波の反射源を欠陥hと識別する。逆に、ステップS83aにおいて、その形状が林状である場合には、ステップS83cにおいて超音波の反射源を軟化組織Tと識別する。
上記の構成によれば、対象周波数特性Dtの形状を評価すると共に、この評価結果に基づいて、超音波探傷によって検出された反射源が軟化組織Tであるか否かを識別する。これによって、対象周波数特性Dtの形状に基づいて、検査対象9内に存在する軟化組織Tを適切に検出することができる。
なお、その他の幾つかの実施形態では、高周波数側シフトによる識別方法と、周波数特性の形状に基づく識別方法とを組み合わせても良く、いずれの手法においても、同じ結果が得られた場合に、その結果を採用して良い。また、軟化組織Tから直接反射したエコーだけでなく、軟化組織Tを透過した後の形状による反射エコー(底面エコーなど)に本手法を採用してもよい。さらに、パルス電圧やパルス幅などの超音波探傷時の設定パラメータを掃引し、複数の波形を用いて再現性を確認したり、応答性の違いによる識別を実施したりしても良い。これによって、判定ステップS4による判定精度を高めることが可能となる。
(2.軟化組織Tにおける超音波の伝搬速度v(伝搬時間)に基づく識別方法)
図9は、本発明の一実施形態に係る判定ステップS4を示す図であり、せん断波の伝搬速度vに基づく判定フローを示す。
軟化組織Tの機械的性質は、その周囲にある母材(金属組織)に比べて、硬さ(ヤング率)や、弾性率、密度ρなどの物性値が異なり、その結果として音響インピーダンスが異なる。また、他の技術分野となる医療分野では、生体組織内でせん断波(弾性波)を発生させ、そのせん断波の伝搬速度vを計測することで、生体組織の硬さを計測する手法が実用化されている。そこで、本発明者らは、超音波探傷によって検出された超音波の反射源に対して超音波パルスを照射することによって反射源からせん断波を発生さると共に、そのせん断波の伝搬速度vの計測結果に基づいて、反射源が軟化組織Tであるか否かを識別することを考えた。
具体的には、定性的には、密度ρが同じ仮定すると、硬い組織であるほど伝搬速度vが速く、やわらかい速度であるほど伝搬速度vが遅いので、反射源から生じさせたせん断波の計測速度との比較に基づいて、上記の識別を行う。あるいは、せん断波の伝搬速度vと、密度ρと、ヤング率あるいは剛性率との理論的な関係式に基づいて、ヤング率または剛性、率あるいは密度ρを算出し、これと母材または軟化組織Tの物性値との一致度に基づいて、上記の識別を行う。
このため、幾つかの実施形態では、図9に示すように、上述した判定ステップS4は、超音波探傷により検出された超音波の反射源で生じたせん断波の伝搬速度vを取得する伝搬速度取得ステップS91と、これによって取得した伝搬速度vに基づいて、反射源が軟化組織Tであるか否かを識別する第3識別ステップS92と、を有する。より詳細には、上記の伝搬速度取得ステップS91は、超音波探傷によって検出された反射源に向けて集束超音波(集束ビームB。以下同様)を照射するせん断波生成ステップS91aと、ステップS91aの実行により反射源から生じたせん断波の伝搬速度vを計測する速度計測ステップ91bと、を有する。
上記のこの集束超音波を与える具体的な手法としては周知な手法のいずれでも良いが、例えば、フェーズドアレイ法やPWIなどでも良いし、探触子に曲率を与えた集束型探触子を用いても良い。反射源に対して集束ビーム(フォーカスビーム)を与えても良いし、遅延時間補正や屈折率可変遅延材などによって、深さ方向にフォーカス位置を断続的に変化させた集束ビームBを与えても良い。
そして、集束超音波を反射源へ照射すると、その超音波によって反射源が励起されてせん断波が発生する。このせん断波の伝搬経路上の2以上の複数の位置でそれぞれせん断波を検出し、これら複数の位置で検出されたせん断波の検出時間の差と、伝搬距離の差に基づいて、せん断波の伝搬速度vを計測する。せん断波の変位計測では、ドプラ法などで用いる自己相関法などが利用可能である。また、各位置での局所的なせん断波を計測するためには、サンプリング間隔を狭める、または時間シフトトラックを行って高速周期で計測しても良い。
また、例えば、第3識別ステップS92は、取得した伝搬速度vに基づいて、反射源の硬さを算出すると共に、算出した反射源の硬さに基づいて、反射源が軟化組織Tであるか否かを識別しても良い。せん断波の伝搬速度vは、せん断弾性係数(剛性率)÷密度ρの平方根に等しいことが知られている。また、ヤング率は、3×ρ×伝搬速度vで近似できることが知られている。あるいは、第3識別ステップS92では、取得した伝搬速度vが、反射源が軟化組織Tではなく欠陥hである場合に得られるであろう参照伝搬速度よりも遅い場合に、超音波探傷によって検出された反射源が軟化組織Tであると識別しても良い。参照伝搬速度は、超音波探傷によって反射源が検出されていない位置に集束超音波を照射し、これによって生じたせん断波の伝搬速度vを上述したようにして計測すること取得しても良い。
図9に示す実施形態では、ステップS91において、伝搬速度取得ステップS91を実行する。具体的には、ステップS91aにおいて、上記の反射源に集束超音波を照射する。ステップS91bにおいて、ステップS91aの実行によって反射源から生じたせん断波の伝搬速度vを計測する。これによって、計測対象の伝搬速度vが取得できたので、その後、ステップS92において、取得した伝搬速度vに基づく反射源の識別を行う。
上記の構成によれば、超音波探傷により検出された超音波の反射源に超音波を照射することで生じるせん断波の伝搬速度vを計測すると共に、計測した伝搬速度vに基づいて、反射源が軟化組織であるか否かの識別を行う。これによって、検査対象9内に存在する軟化組織Tを適切に検出することができる。
(3.軟化組織Tの検出感度が異なる複数の周波数を用いた識別方法)
図10は、本発明の一実施形態に係る判定ステップS4を示す図であり、超音波探傷の使用周波数に応じた応答特性に基づく判定フローを示す。
既に説明した通り、超音波探傷に用いる超音波の周波数は超音波条件C(例えば、λ≦2d)を満たす必要があるなど、軟化組織Tに対する検出感度を有する必要がある。逆に考えると、超音波探傷によって反射源が検出された場合に、この反射源に対して、軟化組織Tに対する検出感度が無い周波数(λ>2d)を用いた超音波探傷を実行すると、反射源が軟化組織Tである場合には検出されなくなる。よって、本発明者らは、このよう超音波探傷に使用する周波数に対する応答特性の変化に基づいて、反射源が軟化組織Tであるか否かを識別することを考えた。
このため、幾つかの実施形態では、図10に示すように、軟化組織検出方法は、上述した探傷ステップS3によって超音波の反射源が検出された場合に、例えばλ≦2dなどとなる上記の超音波条件Cを満たさない周波数(つまり、λ>2dを満たす周波数)を有する超音波(以下、参照超音波)により、同じ検査対象9に対して超音波探傷を実行する参照探傷ステップS101と、上記の探傷ステップS3で検出された反射源が、上記の参照探傷ステップS101で検出されない場合に、その反射源が軟化組織Tであると識別する第4識別ステップS102(S102a~S102c)を有する。この参照探傷ステップS101では、上記の超音波条件Cを満たさない周波数範囲における複数の周波数をそれぞれ用いて超音波探傷を実行しても良い。また、評価する反射源として、軟化組織Tを透過した後の形状エコー(底面エコーなど)を対象としても良い。
図10に示す実施形態では、ステップS100において、上述した探傷ステップS3で反射源が検出されたか否かを判定し、検出されていない場合にはそのままフローを終了する。逆に、ステップS100において反射源が検出された場合には、ステップS101において、上記の参照探傷ステップS101を実行する。その後、上述した第4識別ステップS102を実行する。すなわち、ステップS102aにおいて、参照超音波を用いた超音波探傷の結果、探傷ステップS3で検出されたのと同一の反射源が検出されたか否かを判定する。この判定の結果、検出されなかった反射源については、ステップS102bにおいて例えば欠陥hなどと識別する。逆に、ステップS102aにおいて、同一の反射源が検出されたものについては、ステップS102cにおいて軟化組織Tと識別する。
上記の構成によれば、超音波条件Cを満たす超音波と、超音波条件Cを満たさない超音波とをそれぞれ用いた超音波探傷を別個に実行し、超音波条件Cを満たす超音波を用いた場合に検出できた反射源が、超音波条件Cを満たさない超音波を用いた場合に検出できない場合に、反射源が軟化組織Tであると識別する。これは、検出可能な軟化組織Tを形成する結晶粒Gの粒径と、検査に用いる超音波の波長(周波数)に強い相関があり、超音波条件Cを満たさない超音波で超音波探傷を行っても、軟化組織Tの検出は困難であることを利用したものである。これによって、検査対象9内に存在する軟化組織Tを適切に検出することができる。
(4.軟化組織T特有の散乱波/回折波に基づく識別方法)
図11Aは、本発明の一実施形態に係る反射源が軟化組織Tである場合のエコー信号の反射方向を例示する図であり、指向性を有しない。また、図11Bは、本発明の一実施形態に係る反射源が欠陥hである場合のエコー信号の反射方向を例示する図であり、指向性を有する。また、図12は、本発明の一実施形態に係る判定ステップS4を示す図であり、エコー信号の指向性の有無に基づく判定フローを示す。
図11Aに示すように、軟化組織T由来のエコー信号は粒界散乱に近い反射挙動を示し、無指向性の反射波が発生する。このため、ノイズレベルを無視すれば、エコー信号レベルの例えば最大値は、エコー信号の測定位置pによらず、どの測定位置pでも大差はない。例えば図11Aには、検査対象9における複数の位置の各々で受信器2rを用いてエコー信号を観測した様子を示しているが(後述の図11Bでも同様)、いずれの測定位置pでも観測されるエコー信号レベルの最大値は概ね類似している。
これに対して、図11Bに示すように、欠陥由来のエコー信号は空隙面(異種界面)での反射による指向性を持っている。このため、エコー信号レベルの例えば最大値は、エコー信号の測定位置pによって異なる。例えば図11Bでは、エコー信号レベルの最大値は、反射波の指向性の影響に応じて、測定位置pによって異なったものとなっている。
よって、反射源が軟化組織T(指向性有り)か欠陥h(指向性なし)かに応じて定まるエコー信号の指向性の有無に基づいて、反射源が軟化組織Tであるか否かを識別することを考えた。
このため、幾つかの実施形態では、図12に示すように、上述した判定ステップS4は、探傷ステップS3での超音波探傷により検出された反射源からの超音波の反射波の指向性の有無を判定する指向性判定ステップS121と、この判定の結果、反射波の指向性が有りと判定された場合に、反射源が軟化組織であると識別する第5識別ステップS122と、を有する。
より詳細には、本実施形態では、探傷器2として、アレイ探触子を用い、フルマトリックスキャプチャ(FMC)、トータルフォーカシングメソッド(TFM)等の開口合成法を用いても良い。若しくは、TOFD法のように、送受信素子を分割して2個以上複数個配置して超音波送受信を行っても良い。送信振動子と受信器との位置関係と、送受信時間、エコー高さにより、反射源から反射されたエコー信号の伝播指向性を評価し、反射源での反射・散乱・回折特性を得ることが可能である。また、指向性の有無をエコー高さだけで判別する場合には、互いに異なる任意の位置にある2つの振動子で計測した2つのエコー高さをそれぞれEL1、EL2(EL2<EL1)とした場合、EL1/EL2>判定閾値の場合に、そのエコー信号が欠陥由来と判別しても良い。この判定閾値は、例えば2など、1よりも大きい値となる。
図12に示す実施形態では、ステップS120において、上述した探傷ステップS3で反射源が検出されたか否かを判定し、検出されていない場合にはそのままフローを終了する。逆に、ステップS120において反射源が検出された場合には、ステップS121において上記の指向性判定ステップS121を実行する。例えば、上述した探傷ステップS3での超音波探傷の実行により得られる、検査対象9の複数の測定位置pでそれぞれ測定される複数の信号データsに基づいて、上記の指向性の有無を判定しても良い。その後、上述した第5識別ステップS122を実行する。すなわち、ステップS122aにおいて、反射源から反射波(エコー信号)に指向性が有る反射源については、ステップS122bにおいては例えば欠陥hなどと識別する。逆に、ステップS122aにおいて、その指向性が無い反射源については、ステップS122cにおいて軟化組織Tと識別する。
上記の構成によれば、超音波の反射波(エコー信号)の指向性を求め、指向性が無いと判断される場合に、反射源が軟化組織Tであると識別する。本発明者らは、軟化組織Tに超音波を照射した場合の反射波は指向性を有しないのに対し(図11A参照)、軟化組織Tとは異なる欠陥hに超音波を照射した場合の反射波は指向性を有する(図11B参照)ことを見出している。これによって、検査対象9内に存在する軟化組織Tを、反射波の指向性の有無によって適切に検出することができる。
(5.学習を利用した識別方法)
例えば上述した1~4の識別方法のように、反射源が軟化組織Tであるか否かの識別方法として複数の識別手法が考えられるが、軟化組織Tの性状等によっては判定に最も有効な識別方法や閾値などのパラメータの選定が容易ではない場合があるなど、識別基準が属人的になる可能性がある。このため、機械学習などの学習手法を利用することを考えた。この学習による識別方法によれば、属人的な判定から脱却した高信頼性の識別が実現できるだけでなく、人が認識できないような微小な信号でも評価に用いることが可能となる。
このため、幾つかの実施形態では、上述した判定ステップS4は、検査対象9に対する超音波探傷の実行結果から、この超音波探傷により検出された反射源が軟化組織Tであるか否かの識別結果を出力することが可能な学習モデルを用いて、その反射源が軟化組織Tであるか否かを識別する第6識別ステップを有しても良い。換言すれば、この学習モデルは、検査対象9に対する超音波探傷の実行により得られる上述した信号データsあるいは対象周波数特性Dtなどの実行結果が入力されると、反射源が軟化組織Tであるか否かの識別結果を出力する。また、学習モデルは、上記の識別によって、その検査対象9に軟化組織Tが存在するか否かが分かるので、この判定結果を出力しても良い。
より詳細には、軟化組織Tが存在する複数の金属部材あるいは検査対象のサンプルならびに欠陥hが存在する上記のサンプルに対して、例えば上述した1~4の識別方法のうちの少なくとも1つの識別方法を実行する。このサンプルには、軟化組織Tおよび欠陥hが存在しないサンプルを含んでも良い。そして、各サンプルから得られる識別方法に応じた特徴量と、識別対象の反射源が軟化組織Tであるか、軟化組織Tでないか(欠陥hか)といった識別結果との関係性を学習(機械学習)することで、学習モデルを作成する。より具体的には、各サンプルについての特徴量と識別結果とを関連付けた複数の学習データ(教師データ)を学習(機械学習)することで学習モデルを作成する。
また、上記の特徴量は、具体的には、反射源からの反射波の周波数特性、この周波数特性から得られる対象ピーク位置やその形状、せん断波の伝搬速度、探傷ステップS3および参照探傷ステップS101の各々の検出結果、エコー信号(反射波)の指向性の有無などとなる。これらの特徴量は、計測データから抽出しても良いが、周波数特性の画像データの画像処理により、抽出しても良い。
なお、機械学習モデルには、Random Forest、ニューラルネットワーク、ロジスティック回帰、SVM(Support Vector Machine)など、周知な手法を適用すれば良いが、Random Forestを用いれば、識別に有効なパラメータの選定も実施できる。このため、識別に必要なデータ取得方法(検査方法)の最適化や、軟化組織Tの識別に有効な物理現象の解明にも役立てることが期待できる。すなわち、機械学習を用いて最適な検査手法をフィードバックして構築することが可能となる。
上記の構成によれば、複数のサンプルに基づいて、超音波探傷により得られる特徴量と、その超音波探傷により検出された反射源が軟化組織Tであるか否かの識別結果との関係性を学習した学習モデルを用いて、検査対象9に対する超音波探傷の実行結果(特徴量)から、検査対象9内で検出された反射源が軟化組織Tであるか否かを識別する。このように、学習(機械学習)手法を利用することで高信頼性の識別を行うことができ、検査対象9内に存在する軟化組織Tを適切に検出することができる。
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。機械学習モデルではなく、上記した実施形態1~4の結果を組み合わせてマッピングし、品質工学手法(例えば、MT法)を用いて、上記の反射源が軟化組織Tであるか否か(軟化組織Tか欠陥hか)を識別しても良い。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜み合わせた形態も含む。
(付記)
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る軟化組織検出方法は、
金属部材の検査対象(9)内の軟化組織(T)を超音波探傷により検出するための軟化組織検出方法であって、
前記軟化組織(T)を形成する結晶粒(G)の想定粒径(d)を設定する設定ステップ(S1)と、
前記想定粒径(d)と前記超音波探傷に用いる超音波の周波数である設定周波数(F)との関係を定めた超音波条件(C)を満たすように、前記設定周波数(F)を決定する決定ステップ(S2)と、
前記設定周波数(F)を有する前記超音波により、前記検査対象(9)に対する前記超音波探傷を実行する探傷ステップ(S3)と、
前記超音波探傷の実行結果に基づいて、前記検査対象(9)内における前記軟化組織(T)の有無を判定する判定ステップ(S4)と、を備える。
上記(1)の構成によれば、超音波探傷に用いる超音波の周波数(設定周波数(F))を、金属部材の検査対象(9)内に軟化組織(T)が発生した場合に想定される軟化組織(T)を形成する結晶粒(G)の粒径(想定粒径(d))に基づいて、超音波条件(C)を満たすように決定する。そして、決定した設定周波数(F)を用いた超音波探傷により検査対象(9)を測定し、その結果に基づいて軟化組織(T)の有無を判定する。これによって、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)を非破壊で検出することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記超音波条件(C)は、前記設定周波数(F)に対応する前記超音波の波長をλ、前記想定粒径(d)をdとすると、λ≦2×dである。
上記(2)の構成によれば、設定周波数(F)に対応する波長は上記の関係式を満たすように決定される。これによって、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)をより確実に検出することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)~(2)の構成において、
前記判定ステップ(S4)は、
前記超音波の反射波の周波数特性である対象周波数特性(Dt)を取得する対象分布取得ステップと、
前記対象周波数特性(Dt)におけるピークが存在する周波数の評価値である対象ピーク位置(Vp)を求める第1解析ステップ(S72)と、
前記対象周波数特性(Dt)の原因となる反射源が欠陥(h)である場合の前記評価値である参照ピーク位置(Vr)を取得すると共に、前記対象ピーク位置(Vp)が、前記参照ピーク位置(Vr)よりも大きい値を有する第1閾値(La)以上の場合に、前記反射源が前記軟化組織(T)であると識別する第1識別ステップ(S73)と、を有する。
上記の設定周波数(F)を用いた超音波探傷により、軟化組織(T)(非空洞の組織)の他にも、き裂やクリープボイド(空洞)などの欠陥(h)(内部欠陥)が検出され得る。そして、本発明者らは、鋭意研究により、超音波を反射した検査対象(9)内で反射源が軟化組織(T)であるか否かに応じて、超音波の反射波の周波数特性に差異が生じることを見出した(図6参照)。具体的には、軟化組織(T)が存在している場合には、それが存在していない場合に比べて、周波数特性におけるピーク(強度ピーク)が全体的に高周波数側にシフトする。また、軟化組織(T)を透過した後の超音波は、周波数特性における高周波成分が減衰し、軟化組織(T)を透過した後の形状エコーを分析することによって軟化組織(T)の存在を識別できる。
上記(3)の構成によれば、超音波の反射波の周波数特性の、例えば中心周波数などとなる対象ピーク位置(Vp)を算出する。また、この対象ピーク位置(Vp)と比較する第1閾値(La)を、反射源が軟化組織(T)ではなく欠陥(h)である場合に得られるであろう参照ピーク位置(Vr)に基づいて定め、対象ピーク位置(Vp)が第1閾値(La)以上である場合に、超音波探傷によって検出された反射源が軟化組織(T)であると識別する。これによって、上記の反射源が、非空洞の軟化組織(T)であるか、欠陥(h)であるかを適切に識別することができ、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)を適切に検出することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の構成において、
前記判定ステップ(S4)は、
前記超音波の反射波の周波数特性である対象周波数特性(Dt)を取得する対象分布取得ステップと、
前記対象周波数特性(Dt)の形状評価を行う第2解析ステップ(S82)と、
前記形状評価の結果に基づいて、前記対象周波数特性(Dt)の原因となる反射源が前記軟化組織(T)であるか否かを識別する第2識別ステップ(S83)と、を有する。
本発明者らが見出した上記の知見によれば、軟化組織(T)は通常複数の結晶粒(G)で構成されることから、軟化組織(T)由来の周波数特性の形状は林状であり、複数のピークが存在すするのに対し、欠陥(h)由来の周波数特性の形状は山なり状であり、そのピーク数は概ね1つ程度になる。
上記(4)の構成によれば、対象周波数特性(Dt)の形状を評価すると共に、この評価結果に基づいて、超音波探傷によって検出された反射源が軟化組織(T)であるか否かを識別する。これによって、対象周波数特性(Dt)の形状に基づいて、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)を適切に検出することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の構成において、
前記判定ステップ(S4)は、
前記超音波探傷により検出された前記超音波の反射源で生じたせん断波の伝搬速度(v)を取得する伝搬速度(v)取得ステップ(S91)と、
取得した前記伝搬速度(v)に基づいて、前記反射源が前記軟化組織(T)であるか否かを識別する第3識別ステップ(S92)と、を有する。
軟化組織(T)の機械的性質は、その周囲にある母材(金属組織)に比べて、硬さや、弾性率、密度などの物性値が異なり、その結果として音響インピーダンスが異なる。また、医療分野では、生体組織内でせん断波(弾性波)を発生させ、そのせん断波の伝搬速度(v)を計測することで、生体組織の硬さ(ヤング率)を計測する手法が実用化されている。そこで、本発明者らは、超音波探傷によって検出された超音波の反射源に対して超音波パルスを照射することによって反射源からせん断波を発生さると共に、そのせん断波の伝搬速度(v)の計測結果に基づいて、反射源が軟化組織(T)であるか否かを識別することを考えた。
具体的には、定性的には、密度が同じ仮定すると、硬い組織であるほど伝搬速度(v)が速く、やわらかい速度であるほど伝搬速度(v)が遅いので、欠陥(h)から生じさせたせん断波の計測速度との比較に基づいて、上記の識別を行う。あるいは、せん断波の伝搬速度(v)と、密度と、ヤング率あるいは剛性率との理論的な関係式に基づいて、ヤング率または剛性、率あるいは密度を算出し、これと母材または軟化組織(T)Tの物性値との一致度に基づいて、上記の識別を行う。
上記(5)の構成によれば、超音波探傷により検出された超音波の反射源に超音波を照射することで生じるせん断波の伝搬速度(v)を計測すると共に、計測した伝搬速度(v)に基づいて、反射源が軟化組織(T)であるか否かの識別を行う。これによって、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)を適切に検出することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)~(5)の構成において、
前記判定ステップ(S4)は、
前記探傷ステップ(S3)によって前記超音波の反射源が検出された場合に、前記超音波条件(C)を満たさない周波数を有する参照超音波により、前記検査対象(9)に対して前記超音波探傷を実行する参照探傷ステップ(S101)と、
前記探傷ステップ(S3)で検出された前記反射源が、前記参照探傷ステップ(S101)で検出されない場合に、前記反射源が前記軟化組織(T)であると識別する第4識別ステップ(S102)と、を有する。
上記(6)の構成によれば、超音波条件(C)を満たす超音波と、超音波条件(C)を満たさない超音波とをそれぞれ用いた超音波探傷を別個に実行し、超音波条件(C)を満たす超音波を用いた場合に検出できた反射源が、超音波条件(C)を満たさない超音波を用いた場合に検出できない場合に、反射源が軟化組織(T)であると識別する。これは、検出可能な軟化組織(T)を形成する結晶粒(G)の粒径と、検査に用いる超音波の波長(周波数)に強い相関があり、超音波条件(C)を満たさない超音波で超音波探傷を行っても、軟化組織(T)の検出は困難であることを利用したものである。これによって、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)を適切に検出することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)~(6)の構成において、
前記判定ステップ(S4)は、
前記超音波探傷により検出された反射源からの前記超音波の反射波の指向性の有無を判定する指向性判定ステップ(S121)と、
前記反射波の指向性が有りと判定された場合に、前記反射源が前記軟化組織(T)であると識別する第5識別ステップ(S122)と、を有する。
上記(7)の構成によれば、超音波の反射波(エコー信号)の指向性を求め、指向性が無いと判断される場合に、反射源が軟化組織(T)であると識別する。本発明者らは、軟化組織(T)に超音波を照射した場合の反射波は指向性を有しないのに対し(図11A参照)、軟化組織(T)とは異なる欠陥(h)に超音波を照射した場合の反射波は指向性を有する(図11B参照)ことを見出している。これによって、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)を、反射波の指向性の有無によって適切に検出することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)~(7)の構成において、
前記判定ステップ(S4)は、
前記検査対象(9)に対する前記超音波探傷の実行結果から、前記超音波探傷により検出された反射源が前記軟化組織(T)であるか否かの識別結果を出力することが可能な学習モデルを用いて、前記反射源が前記軟化組織(T)であるか否かを識別する第6識別ステップを有する。
上記(8)の構成によれば、複数のサンプルに基づいて、超音波探傷により得られる特徴量と、その超音波探傷により検出された反射源が軟化組織(T)であるか否かの識別結果との関係性を学習した学習モデルを用いて、検査対象(9)に対する超音波探傷の実行結果(特徴量)から、検査対象(9)内で検出された反射源が軟化組織(T)であるか否かを識別する。このように、学習(機械学習)手法を利用することで高信頼性の識別を行うことができ、検査対象(9)内に存在する軟化組織(T)を適切に検出することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)~(8)の構成において、
検出した前記軟化組織(T)のサイズまたは前記検査対象(9)内における位置の少なくとも一方を含む評価指標を算出する評価ステップ(S5)をさらに備える。
上記(9)の構成によれば、検出した軟化組織(T)を定量的に評価することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)~(9)の構成において、
前記超音波探傷の探傷器は、前記検査対象(9)の表面から前記検査対象(9)の深さ方向に沿って前記超音波を照射するように構成される。
本発明者らは、鋭意研究により、軟化組織(T)は、検査対象(9)の表面から深さ方向に沿って層状に形成される場合があり、このような場合には、探傷器から斜めに超音波を照射するのではなく、深さ方向に沿って超音波を照射することで、検出精度を高めることが可能であることを見出した。
上記(10)の構成によれば、超音波探傷の探触子は、検査対象(9)の深さ方向に沿って超音波を照射する。これによって、軟化組織(T)が深さ方向に沿って層状に発生しているような場合であっても、軟化組織(T)を精度良く検出することができる。
1 超音波探傷システム
12 表示装置
2 探傷傷器
2r 受信器
2s 送信器
3 測定装置
4 処理装置
9 検査対象

S1 設定ステップ
S2 決定ステップ
S3 探傷ステップ
S4 判定ステップ
S5 評価ステップ
S71 対象特性取得ステップ
S72 第1解析ステップ
S73 第1識別ステップ
S81 対象特性取得ステップ
S82 第2解析ステップ
S83 第2識別ステップ
S91 伝搬速度取得ステップ
S91a せん断波生成ステップ
S91b 速度計測ステップ
S92 第3識別ステップ
S101 参照探傷ステップ
S102 第4識別ステップ
S121 指向性判定ステップ
S122 第5識別ステップ
C 超音波条件
F 設定周波数
G 結晶粒
d 想定粒径
T 軟化組織
Tm 通常組織
h 欠陥
Dt 対象周波数特性
Dr 参照周波数特性
Vp 対象ピーク位置
Vr 参照ピーク位置
La 第1閾値
v 伝搬速度
信号データ
測定位置
B 集束ビーム
I 音響画像

Claims (10)

  1. 金属部材の検査対象内の軟化組織を超音波探傷により検出するための軟化組織検出方法であって、
    前記軟化組織を形成する結晶粒の想定粒径を設定する設定ステップと、
    前記想定粒径と前記超音波探傷に用いる超音波の周波数である設定周波数との関係を定めた超音波条件を満たすように、前記設定周波数を決定する決定ステップと、
    前記設定周波数を有する前記超音波を前記検査対象に照射することにより、前記検査対象に対する前記超音波探傷を実行する探傷ステップと、
    前記超音波探傷の実行結果に基づいて、前記検査対象内における前記軟化組織の有無を判定する判定ステップと、を備える軟化組織検出方法。
  2. 前記超音波条件は、前記設定周波数に対応する前記超音波の波長をλ、前記想定粒径をdとすると、λ≦2×dである請求項1に記載の軟化組織検出方法。
  3. 前記判定ステップは、
    前記超音波の反射波の周波数特性である対象周波数特性を取得する対象分布取得ステップと、
    前記対象周波数特性におけるピークが存在する周波数の評価値である対象ピーク位置を求める第1解析ステップと、
    前記対象周波数特性の原因となる反射源が欠陥である場合の前記評価値である参照ピーク位置を取得すると共に、前記対象ピーク位置が、前記参照ピーク位置よりも大きい値を有する第1閾値以上の場合に、前記反射源が前記軟化組織であると識別する第1識別ステップと、を有する請求項1または2に記載の軟化組織検出方法。
  4. 前記判定ステップは、
    前記超音波の反射波の周波数特性である対象周波数特性を取得する対象分布取得ステップと、
    前記対象周波数特性の形状評価を行う第2解析ステップと、
    前記形状評価の結果に基づいて、前記対象周波数特性の原因となる反射源が前記軟化組織であるか否かを識別する第2識別ステップと、を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の軟化組織検出方法。
  5. 前記判定ステップは、
    前記超音波探傷により検出された前記超音波の反射源で生じたせん断波の伝搬速度を取得する伝搬速度取得ステップと、
    取得した前記伝搬速度に基づいて、前記反射源が前記軟化組織であるか否かを識別する第3識別ステップと、を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の軟化組織検出方法。
  6. 前記判定ステップは、
    前記探傷ステップによって前記超音波の反射源が検出された場合に、前記超音波条件を満たさない周波数を有する参照超音波により、前記検査対象に対して前記超音波探傷を実行する参照探傷ステップと、
    前記探傷ステップで検出された前記反射源が、前記参照探傷ステップで検出されない場合に、前記反射源が前記軟化組織であると識別する第4識別ステップと、を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の軟化組織検出方法。
  7. 前記判定ステップは、
    前記超音波探傷により検出された反射源からの前記超音波の反射波の指向性の有無を判定する指向性判定ステップと、
    前記反射波の指向性が有りと判定された場合に、前記反射源が前記軟化組織であると識別する第5識別ステップと、を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の軟化組織検出方法。
  8. 前記判定ステップは、
    前記検査対象に対する前記超音波探傷の実行結果から、前記超音波探傷により検出された反射源が前記軟化組織であるか否かの識別結果を出力することが可能な学習モデルを用いて、前記反射源が前記軟化組織であるか否かを識別する第6識別ステップを有する請求項1~7のいずれか1項に記載の軟化組織検出方法。
  9. 検出した前記軟化組織のサイズまたは前記検査対象内における位置の少なくとも一方を含む評価指標を算出する評価ステップをさらに備える請求項1~8のいずれか1項に記載の軟化組織検出方法。
  10. 前記超音波探傷の探傷器は、前記検査対象の表面から前記検査対象の深さ方向に沿って前記超音波を照射するように構成される請求項1~9のいずれか1項に記載の軟化組織検出方法。
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