JP2006234701A - 超音波探傷装置及び超音波探傷装置方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
従来のタンデム探傷法で困難であった、傾斜した欠陥の寸法を評価する事を可能とした超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
【解決手段】
複数の振動素子から構成されるアレイセンサ101を用いて、前記アレイセンサ101の送信位置と受信位置を、一致している状態と相違している状態とに移動させて超音波を送受する超音波探傷装置を用い、モード変換波,縦波,横波の入射角度及び超音波の受信位置により、欠陥の傾斜の有無または角度、さらに、傾斜欠陥の寸法を評価する探傷方法を採用した。
【選択図】図1
従来のタンデム探傷法で困難であった、傾斜した欠陥の寸法を評価する事を可能とした超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
【解決手段】
複数の振動素子から構成されるアレイセンサ101を用いて、前記アレイセンサ101の送信位置と受信位置を、一致している状態と相違している状態とに移動させて超音波を送受する超音波探傷装置を用い、モード変換波,縦波,横波の入射角度及び超音波の受信位置により、欠陥の傾斜の有無または角度、さらに、傾斜欠陥の寸法を評価する探傷方法を採用した。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波探傷装置及び超音波探傷装置方法に関する。特にアレイセンサを用いて板厚数十ミリ程度の平板及び配管形状の、母材及び溶接部の検査に好適な超音波探傷技術に関するものである。
金属など縦波と横波の双方の伝播を許す固体の非破壊検査方法として、超音波による手法(超音波探傷法)が従来から一般に用いられている。この超音波探傷法の一種に、いわゆるフェーズドアレイ方式の超音波探傷法がある。
ここで、このフェーズドアレイ方式とは、電子走査方式又は電子スキャン方式とも呼ばれるので、例えば圧電素子からなる複数の超音波発生素子(振動子)をアレイ状に配置した探触子、いわゆるアレイセンサ(アレイ探触子とも言う。)を用い、アレイセンサの各振動子のうち送信振動子として複数個選択した各振動子からなる送信振動子列と、アレイセンサの各振動子のうち受信振動子として複数個選択した各振動子からなる受信振動子列との間で超音波の送受信を行う。即ち、超音波発生の契機となる電気信号を、送信振動子列の各振動子毎に所定の時間だけ遅延させて与えて超音波を送信し、反射源からのエコーを受信振動子列の各振動素子で受けて電気信号に変えてその受信振動子列の各振動素子からの電気信号ごとに所定の時間だけ遅延させる制御を加えて電気的な受信信号にする。送信振動子列の各振動子から発生した超音波が重ね合わされ、合成波を形成することで、被検査体への超音波の送信角度と受信角度,送信位置と受信位置、或いは合成波が干渉して互いにエネルギーを強め合う位置、つまり焦点位置などの条件が電気的な制御により高速で変化させることができるようにした超音波探傷法のことである。
このようにアレイセンサを用いて探傷条件を電気的に走査する理由は、超音波の送受信角度,送受信位置、及び焦点位置を自由に変化させられるからであり、そうすることにより、被検査体の内部或いは表面の反射源(欠陥等)からの反射波をより強く受信できる角度や位置,焦点を選択することで、反射源である欠陥が見付け易くできるからである。
これに対して、従来から広く用いられている超音波探触子を用いた超音波探傷方法の場合、探触子の条件(送受信角度,送受信位置,焦点位置)も一つの値しか持つことができない。特に、超音波の送受信位置を変化させるためには、超音波探触子を物理的に移動させるための機構を別途準備する必要があった。
探触子を移動させることで欠陥を検出する超音波探傷法のひとつとして、従来からタンデム探傷法が知られている。タンデム探傷法とは、非特許文献1によれば、送信用及び受信用の2個の探触子を前後に配置し対照的に前後に移動させることで、探傷面に垂直な割れ等の面状欠陥を効率的に検出する手法である。このとき、通常の1つの探触子を利用する方法と異なる特徴として、超音波を被検査体の底面に1回反射させて探傷に用いる点である。このため、従来のタンデム法では、底面や検査面などの直角な面での反射効率がよい横波45度が一般に用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
通常、タンデム探傷法が適用される場合は、非破壊検査の対象となる検査面301が溶接境界や開先面など、場所が予め特定されているため、図3に示すように、タンデム基準線304と呼ばれる探触子位置の基準を設定することができる。タンデム基準線304とは、タンデム探傷に用いる送信用探触子302及び受信用探触子303と同じ角度で検査面301の底面側から探傷面305に引いた直線と探傷面との交線であり、この基準線
304に対して対称に前後に探触子を配置すると、送信超音波と受信超音波の交わる領域(交軸点306)を検査面301に一致させることができる。
304に対して対称に前後に探触子を配置すると、送信超音波と受信超音波の交わる領域(交軸点306)を検査面301に一致させることができる。
このように、タンデム基準線に対して前後に探触子を配置し、前後に対称的に送信用及び受信用探触子を移動させることで、交軸点306を検査面301上で移動させることが可能であり、検査面301の欠陥を効果的に検出することができる。
「超音波探傷試験II」(社)非破壊検査協会(2000.11)
上述した手法では、検査対象となる面または欠陥面が、探傷面に対して垂直な場合には有効であるが、欠陥が傾斜している場合には交軸点を検査面上で移動させることができなかった。また、図4に示すように、探触子が有限な外形寸法を持つために、送受信の超音波が交軸点を形成できない領域、すなわに、探傷不可能な領域401が存在する。このために、探触子寸法とほぼ同程度の領域で欠陥の検出が困難であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、検査対象となる面または欠陥面が探傷面に対して傾斜している場合であっても、探触子の外形寸法に無関係に、広い範囲を探傷することが可能な探傷装置及び方法を提供することである。
本発明の超音波探傷装置は、複数の振動子を配列したアレイセンサと、前記各振動子から受信振動子及び送信振動子に使用する振動子を選択して、前記受信振動子及び前記送信振動子の内の少なくとも一方を他方に対して移動するように前記選択を繰り返す選択手段と、前記送信振動子から検査対象に送信された超音波のエコーを前記受信振動子で受けて得られた受信情報を表示する表示部と、前記アレイセンサを前記振動子の配列方向へ移動する走査機構とを備えることを特徴とするものである。
本発明の超音波探傷方法は、検査対象の内部にアレイセンサの送信振動子から超音波を送信し、前記検査対象の内部または表面の反射源からの前記超音波のエコーを前記アレイセンサの受信振動子で受信し、前記受信された前記超音波のエコーに基づいた受信情報を表示部に表示する超音波探傷方法において、前記送信位置と前記受信位置とが同じ位置の状態と、前記送信位置及び前記受信位置とが互いに離れる状態とに前記受信振動子と送信振動子との少なくとも一方の位置が変化するように前記アレイセンサを構成する複数の振動子から前記受信振動子と送信振動子とを選択しては前記選択した前記受信振動子と送信振動子間で前記超音波を送受信することを特徴とするものである。
以上説明したように、本発明によれば、アレイセンサの送信振動子列及び受信振動子列の送信及び受信位置を、送受信位置を重複させて探傷できるとで、探触子の外形寸法に無関係に、広い範囲を探傷することが可能な探傷装置及び方法を提供することができる。
また、超音波が受信される角度及び位置に注目することで、被検査対象内部または表面の欠陥が傾斜している場合であっても、欠陥の寸法及び傾斜角度を評価することが可能な探傷装置及び方法を提供することができる。
本発明の実施例では、前記課題を解決するために、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象の内部または表面の反射源からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象の内部または表面の欠陥の有無または欠陥の寸法を評価する超音波探傷装置のうち、少なくとも1方向に配列された複数個の振動子から構成される振動子列からなるアレイセンサを持ち、前記振動子列のうち前記検査対象に超音波を送信する送信振動子列と、前記反射源からのエコーを受信する受信振動子列に関して、以下の要素を有する超音波探傷装置を構成したものである。
(1)送受信位置の一致を含んで、送信位置(送信振動子列の中央)と受信位置(受信振動子列の中央)の少なくとも一方が移動するように、送信振動子列及び受信振動子列に使用する振動子を選択する手段を備え、送受信振動子列に電気的なトリガ信号を与える遅延時間制御部を備え、振動子列の配列方向と同じ方向にアレイセンサを移動するための走査機構を備えること。
(2)被検査体に対して、縦波として少なくとも0度から70度を含む範囲で、かつ、横波として少なくとも20度から30度を含む範囲で、超音波の送受信角度を変化させるように、送受信振動子列に、トリガ信号を与える遅延時間制御部を備えること。
(1)送受信位置の一致を含んで、送信位置(送信振動子列の中央)と受信位置(受信振動子列の中央)の少なくとも一方が移動するように、送信振動子列及び受信振動子列に使用する振動子を選択する手段を備え、送受信振動子列に電気的なトリガ信号を与える遅延時間制御部を備え、振動子列の配列方向と同じ方向にアレイセンサを移動するための走査機構を備えること。
(2)被検査体に対して、縦波として少なくとも0度から70度を含む範囲で、かつ、横波として少なくとも20度から30度を含む範囲で、超音波の送受信角度を変化させるように、送受信振動子列に、トリガ信号を与える遅延時間制御部を備えること。
前記した(1)の手段を採用した装置によれば、アレイセンサのうち送信振動子列と受信振動子列が一致を含んでその位置を電気的に重複させることが可能なことから、超音波の送信位置と受信位置を一致させることができ、超音波探触子の外形寸法による物理的な接近限界により生じた探傷不可能領域を除去することが可能である。また、送信位置と受信位置を移動させることで、送信超音波と受信超音波の交わる領域(交軸)を検査面上で走査することができる。
また走査機構により、超音波信号の強度が最大となる位置にアレイセンサを移動させることが可能となる。
前記した(2)の手段を採用した装置によれば、被検査体に対する縦波超音波の入射角度を、少なくとも0度から70度まで変化させることで、被検査体内の反射源の傾斜を評価することが可能となる。
図23A〜図23E及び図24を用いて、アレイセンサから同時に発生する縦波及び横波超音波が、直接または間接的に、欠陥面に対して、垂直に入射・反射される成分に注目して、欠陥の傾斜の程度を評価する方法について説明する。ただし、例として、原理に関して本質的に同じであることから、説明が簡単で、最も基本的な、送受信位置を一致させる場合を扱うこととする。
図23Aに、被検査体に横波を入射する場合に、横波から縦波へモード変換されて反射される縦波成分、及びその縦波が面に対して垂直方向となる欠陥面を、模式的に示す。図23Bは、被検査体に縦波を入射する場合に、縦波反射成分、及びその縦波が面に対して垂直方向となる欠陥面を、模式的に示す。図23Cは、横波入射の場合の、横波及び縦波の反射角度を表す。図23Dは、横波が入射される場合に、横波成分として反射される超音波の反射率をグラフで示す。図23Eは、縦波が入射される場合に、縦波成分として反射される超音波の反射率をグラフで示す。なお、このような結果は、炭素鋼やステンレス鋼といった鋼材について、同傾向として、一般的に成立する。
図23Eから、縦波入射角が0度から30度の間にある場合は、縦波反射率が0.5 より大きくなるために、縦波で往復する場合のエネルギー効率が高いことがわかる。また、図23Dから、横波入射角が20度から30度の間にある場合は、横波反射率が0.5 より小さくなるために、半分程度のエネルギーが縦波へのモード変換として失われており、横波から縦波へのモード変換現象を利用する場合のエネルギー効率が高いことがわかる。
以上のことから、横波入射角を横軸にとった場合、横波から縦波へのモード変換の効率がよい領域(図23CのエリアII)を中心として、それよりも入射角度が小さい領域(図
23のエリアI)、角度が大きい領域(図23のエリアIII )の3領域に分けて、欠陥の傾斜を評価する方法を分けて説明することとする。このように分類することで、モード変換現象を効率的に利用できる条件を明確にすることができ、欠陥の傾斜の程度に応じて、適切な手法を選択することが可能となる。
23のエリアI)、角度が大きい領域(図23のエリアIII )の3領域に分けて、欠陥の傾斜を評価する方法を分けて説明することとする。このように分類することで、モード変換現象を効率的に利用できる条件を明確にすることができ、欠陥の傾斜の程度に応じて、適切な手法を選択することが可能となる。
第一に、エリアIに相当する範囲、すなわち、対象となる欠陥の傾斜角が0度から約
20度の範囲にある場合である。このような傾斜欠陥は、傾斜の角度が比較的小さいため、傾斜していない欠陥と同じ探傷方法で検査することができる。これは、通常、超音波検査で用いられるセンサは、厳密に1方向にのみ超音波を送信するものではなく、指向角とよばれる数度から数十度の広がりを持っているために、欠陥に多少の傾斜がある場合でも、超音波の広がり(指向角)が傾斜の影響を緩和するためである。このように、傾斜の小さい(0度〜±20度)欠陥は、通常の斜角探傷(送受信角度が同じ角度,同じ振動モードになる)の他に、図24に示すように、横波入射→底面で縦波にモード変換して反射→欠陥面で縦波として反射→縦波として受信、という経路をとるモード変換波法と呼ばれる手法を適用することができる。
20度の範囲にある場合である。このような傾斜欠陥は、傾斜の角度が比較的小さいため、傾斜していない欠陥と同じ探傷方法で検査することができる。これは、通常、超音波検査で用いられるセンサは、厳密に1方向にのみ超音波を送信するものではなく、指向角とよばれる数度から数十度の広がりを持っているために、欠陥に多少の傾斜がある場合でも、超音波の広がり(指向角)が傾斜の影響を緩和するためである。このように、傾斜の小さい(0度〜±20度)欠陥は、通常の斜角探傷(送受信角度が同じ角度,同じ振動モードになる)の他に、図24に示すように、横波入射→底面で縦波にモード変換して反射→欠陥面で縦波として反射→縦波として受信、という経路をとるモード変換波法と呼ばれる手法を適用することができる。
第二に、エリアIIに相当する範囲、すなわち、横波入射角が20度から30度に相当し、対象となる欠陥の傾斜角が約20度から約50度の範囲にある場合である。このような傾斜欠陥は、図23Aに示すように、横波入射→底面で縦波にモード変換して反射→欠陥面で縦波として反射→底面で縦波から横波にモード変換して反射→横波として受信、という経路をとる波のエネルギー効率が高く、この経路をとる波に注目するとよい。
最後に、第三として、エリアIII に相当する範囲、すなわち、対象となる欠陥の傾斜角度が50度以上となる場合である。この場合は、横波から縦波へのモード変換効率が低いために、図23Eに示すように、直接縦波を送信する方が効率がよい。このような傾斜欠陥は、図23に示すように、縦波入射→底面で縦波として反射→欠陥面で縦波として反射→底面で縦波として反射→縦波として受信、という経路をとる波に注目するとよい。
実際の探傷では、エリアI〜III は、互いに少しずつ重複する領域を持つために、傾斜欠陥に対して、図24に示した、異なる経路、異なるモードを持つ波の有無及び強度に注目することで、検査対象となる欠陥の傾斜角度が事前に不明である場合でも、どの波が強く受信されているか、さらに、強く受信される波の角度(縦波または横波)から、欠陥の傾斜の有無及び角度を評価することができる。
このように、超音波の送信角度を、縦波として少なくとも0度から70度、横波として20度から30度、を含む範囲で変化させることで、すべての角度の傾斜欠陥に対して、傾斜の程度を評価することが可能となる。
前記超音波探傷装置を採用するに際しては、前記検査対象の板厚の縦波音速による往復伝播時間の1倍から4倍の範囲を表示する手段を備えるという要素を付加することができる。
図11を用いて、アレイセンサを用いて被検査体の板厚方向の欠陥を検査する場合の伝播時間について説明する。検査面1101を探傷する場合、底面に1回反射させて探傷する探傷方法では、探傷面1102に近い反射源からのエコーを受信するときに、超音波の伝播距離が最大となる。図11は、探傷面1102に近い反射源に対する3種類の超音波の伝播経路((A)〜(C))と、そのときの片道伝播距離を縦波音速で換算した値(すなわち、縦波伝播距離はそのままの値を用い、横波伝播距離の場合は、横波伝播距離に縦波音速と横波音速の比を乗算して換算)をグラフにしたものである。ここで、片道伝播距離は、板厚を100%として、片道伝播距離を板厚で除算した値を相対値として表示した。
図11のグラフで、(A)は縦波で往復する伝播経路に対応し、横軸を縦波入射角度で表したものであり、(B)は横波で往復する伝播経路に対応し、横軸を横波入射角度で表したものであり、(C)は底面で反射して横波から縦波にモード変換する伝播経路に対応し、横軸を縦波入射角度で表したものである。なお、対象としては、縦波音速5900m/s,横波音速3200m/sの鋼材を仮定した。他の金属材料でも縦波音速と横波音速の比がほぼ2となるため図11の伝播経路及びその距離の傾向は材料によらずほぼ同様となる。
本実施例の探傷では、送受信や反射の効率を考慮して、縦波または横波に関して、主として30度から60度の入射角度を用いることを想定しており、底面に反射する信号が受信可能であるためには、入射角が60度の場合のモード変換による伝播経路(C)が受信できる必要がある。そのため、検査対象の板厚の縦波音速による往復伝播時間の1倍から4倍の範囲を表示する手段により全板厚を対象とした場合に欠陥からのエコーを表示することが可能となる。
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象の内部または表面の反射源からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象の内部または表面の欠陥の有無または欠陥の寸法を評価する超音波探傷方法のうち、複数個の振動子から構成される振動子列を用いて、前記振動子列のうち前記検査対象に超音波を送信する送信振動子列と、前記反射源からのエコーを受信する受信振動子列に関して、以下の要素を持つことを特徴とする超音波探傷方法を採用したものである。
(3)送受信位置の一致を含んで重複しながら、少なくとも送信位置(送信振動子列の中央)と受信位置(受信振動子列の中央)の一方向を移動させながら超音波を送受信すること。
(3)送受信位置の一致を含んで重複しながら、少なくとも送信位置(送信振動子列の中央)と受信位置(受信振動子列の中央)の一方向を移動させながら超音波を送受信すること。
前記超音波探傷方法(3)を採用するに際しては、以下の要素を付け加えることができる。
(ア)送受信位置を一致させ、超音波を送受信する角度を、縦波として少なくとも0度から70度を含む範囲で、かつ、横波として20度から30度を含む範囲で、変化させながら、超音波を送受信すること。
(イ)送信振動子と受信振動子列のおのおのの中心間距離を求め、センサの中心間距離と欠陥寸法が比例関係にあることを利用して、前記欠陥の寸法を評価すること。
(ウ)送信振動子列で送信される超音波信号のうち、反射源に対して入射角度を変化させながら、反射源からの信号を受信し、その受信強度が最大となる入射角度から、前記欠陥の傾斜の有無または傾斜角度を評価すること。
(エ)送受信振動と受信振動子列を一致させ、反射源に対して送受信位置を変化させながら、反射源からの信号を受信し、受信信号の強度に対してしきい値を設定し、前記しきい値を超えた受信強度が得られた送受信位置の範囲から、前記欠陥の傾斜の寸法を評価する。
(ア)送受信位置を一致させ、超音波を送受信する角度を、縦波として少なくとも0度から70度を含む範囲で、かつ、横波として20度から30度を含む範囲で、変化させながら、超音波を送受信すること。
(イ)送信振動子と受信振動子列のおのおのの中心間距離を求め、センサの中心間距離と欠陥寸法が比例関係にあることを利用して、前記欠陥の寸法を評価すること。
(ウ)送信振動子列で送信される超音波信号のうち、反射源に対して入射角度を変化させながら、反射源からの信号を受信し、その受信強度が最大となる入射角度から、前記欠陥の傾斜の有無または傾斜角度を評価すること。
(エ)送受信振動と受信振動子列を一致させ、反射源に対して送受信位置を変化させながら、反射源からの信号を受信し、受信信号の強度に対してしきい値を設定し、前記しきい値を超えた受信強度が得られた送受信位置の範囲から、前記欠陥の傾斜の寸法を評価する。
前記(3)を採用した方法によれば、超音波探触子の外形寸法による物理的な接近限界により生じる探傷不可領域を除去し、送信超音波と受信超音波の交わる領域(交軸)を検査面上で走査して検査することが可能となる。
さらに上述の(ア)により、被検査体に対する縦波超音波の入射角度を、少なくとも0度から70度まで変化させることができ、被検査体内の反射源の傾斜を評価するために必要なさまざまな角度及び振動モードの超音波を被検査体内に送信することが可能となる。
さらに、上述の(イ)によれば、欠陥からの信号の受信が可能な範囲、すなわち、送信振動子列と受信振動子列の中心間距離、により欠陥寸法を評価することができる。これは、欠陥が小さい場合(図5)には、欠陥からのエコーを受信可能な領域(送信振動子列
110と受信振動子列111の間隔)が狭く、逆に、欠陥が大きい場合(図6)には、欠陥からのエコーを受信可能な領域(送信振動子列110と受信振動子列111の間隔)が広くなり、欠陥からのエコーを受信可能な領域と欠陥の寸法の比例関係が成立するため、送受信素子列の中心間距離から欠陥寸法を評価することができる。
110と受信振動子列111の間隔)が狭く、逆に、欠陥が大きい場合(図6)には、欠陥からのエコーを受信可能な領域(送信振動子列110と受信振動子列111の間隔)が広くなり、欠陥からのエコーを受信可能な領域と欠陥の寸法の比例関係が成立するため、送受信素子列の中心間距離から欠陥寸法を評価することができる。
さらに、上述の(ウ)によれば、送信または受信に用いられる縦波の入射角度により欠陥が傾斜の有無または角度を評価することができる。図8を用いて原理を簡単に説明する。
例えば、前述のエリアIIに相当する、45度に傾斜した欠陥805を探傷する場合について説明する。欠陥面に対して直交に入射する超音波に対して最も反射率が高くなり受信されるエコーも最大となる。そのため、欠陥面に垂直に超音波が入射する縦波45度にモード変換する横波成分を入射することで、欠陥を探傷することができる。このときの超音波の伝播経路は、横波801→底面で縦波にモード変換→縦波802→欠陥面で反射→縦波803→底面で横波にモード変換→横波804となり、受信振動子列で受信される。なお、鋼材(縦波音速5900m/s,横波音速3200m/s)の場合、縦波45度にモード変換する横波の入射角度は、(数1)から約23度と計算することができる。
(数1)
θt=sin−1(sinθp×Vt/Vp) …(1)
θt:横波の入射角度
θp:縦波の反射角度
Vt:被検査体中の横波音速
Vp:被検査体中の縦波音速
θt=sin−1(sinθp×Vt/Vp) …(1)
θt:横波の入射角度
θp:縦波の反射角度
Vt:被検査体中の横波音速
Vp:被検査体中の縦波音速
このように、欠陥面の傾斜角(45度)に応じて、欠陥からの反射波の強度が最大となる、縦波の反射角度、すなわち、横波の入射角度が決まるので、超音波の入射角度により、欠陥面の傾斜の有無または傾斜角度を評価することが可能となる。エリアIIの場合と同様に、エリアIII の場合も、欠陥の傾斜角度φと、受信波の強度が最大となる角度θの間には、通常、φ=90−θ、の関係式が成立する。
また、前記(エ)によれば、傾斜した欠陥の場合であっても、送信振動子列と受信振動子列を一致させ、反射源からの信号が、あるしきい値を超える場合の送受信位置の範囲から、前記欠陥の寸法を評価することができる。図8及び図9A及び図9Bを用いて原理を簡単に説明する。図8と図9では、欠陥の傾きは同じだが大きさが異なる場合のエコーの伝播経路を矢印で示した。横波成分801が底面でモード変換して欠陥面905で往復する時間を比較すると、図9に示す欠陥が小さい場合の方が、往復伝播時間が短くなっていることが分かる。図9Aでは、アレイセンサ101の内部での送受信振動子列を固定して、アレイセンサ101全体を移動させて、送受信位置906を求める場合を示す。図9Bは、アレイセンサ101の位置は固定して、送受信位置を一致させながら、移動させて、送受信位置910を求める場合を示す。図9A及び図9Bのいずれの場合においても、アレイセンサ101の受信振動子列の位置と欠陥までの距離(806と906,806と
910)が変化しており、欠陥が深くなるにつれて、この距離が長くなる。このように、欠陥からのエコーが最大となる超音波の入射角度で欠陥の傾斜角度を評価することができ、さらに、受信振動子列の位置と欠陥までの距離により欠陥の大きさを評価することが可能となる。
910)が変化しており、欠陥が深くなるにつれて、この距離が長くなる。このように、欠陥からのエコーが最大となる超音波の入射角度で欠陥の傾斜角度を評価することができ、さらに、受信振動子列の位置と欠陥までの距離により欠陥の大きさを評価することが可能となる。
以下に、本発明の各実施例を一層具体的に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態で、図示のように、この実施対象である被検査体100と、これに超音波を入射するアレイセンサ101,送受信部102,受信信号を表示する表示部103で構成されている。また、アレイセンサ101には、アレイセンサ全体を移動させるための走査機構120及びその制御をするための走査制御機構121が組み合わされている。
第1,第2,第3実施例の適用先は、管に対する超音波検査であり、被検査体100は配管軸方向の断面図を示している。なお、本実施例に記載の装置及び方法は、平板形状を対象とした検査にも同様に適用することが可能である。また、実施例の説明に用いた図では、被検査体の底面側から進展した欠陥を例にとっているが、表面側から進展した欠陥を対象としても、同様に適用することが可能である。
アレイセンサ101は被検査体100の探傷面に設定され、送受信部102から供給される駆動信号により超音波を発生し、これを被検査体100内に伝播させ、これにより現れる反射波を検出し、受信信号を送受信部102に入力する。送受信部102は、計算機102Aと遅延時間制御部102B,パルサー102C,レシーバ102D,データ収録部102Eを備え、パルサー102Cが駆動信号をアレイセンサ101に供給し、これによりアレイ探触子101(アレイセンサとも言う。)から入力される受信信号をレシーバ102Dが処理するようになっている。
ここで、計算機102Aは、遅延時間制御部102B,パルサー102C,レシーバ
102D、それにデータ収録部102Eを制御して、送信及び受信の動作が得られるようにする。
102D、それにデータ収録部102Eを制御して、送信及び受信の動作が得られるようにする。
計算機102Aによる送信動作の詳細を説明する。
アレイセンサ101を構成する複数個の振動子のうち、送信振動子列に用いる振動子と、パルサー102Cから出力される駆動信号のタイミングとのパターン(超音波発振のトリガ信号を与える時間のずれ、すなわち、遅延時間を、素子ごとにリスト化したもの。以下、送信の遅延時間パターンと記載する)を予め計算機102Aに記憶させておく。計算機102Aから遅延時間制御部102Bに対して、送信振動子列として選択された振動子とその振動子に対する遅延時間の情報が送られ、遅延時間制御部102Bで当該振動子に対して当該遅延時間分だけタイミングをすらして、パルサー102Cに超音波発振のトリガ信号が送られる。パルサー102Cからトリガ信号に従って、各振動子から少しずつ時間のずれた波が発振され、それらの波の合成波が被検査体100に超音波が送信される。
なお、計算機102Aには複数個の送信の遅延時間パターンが記憶され、これらのパターンが、繰り返し遅延時間制御部102Bに伝達され、パルサーからは様々なパターンの合成波が送信される。例えば、送信振動子列に用いる素子の少しずつずらしたパターンを複数個記憶させておくことで、合成波の送信位置(送信振動子列の中心)を移動させることが可能となる。
次に、計算機102Aによる受信動作の詳細を説明する。
アレイセンサ101から発生された合成波が被検査体を伝播した後、再びアレイセンサ101に戻ってくる。このとき、最終的に得られる受信信号は、アレイセンサ101の受信振動子列の振動子で受信された超音波信号に対して、各振動子の受信信号ごとに、時間的な遅延を与えて、データ収録部でひとつの信号として合成される。受信振動子列に用いる振動子と、各振動子の受信信号に与えるタイミングとのパターン(受信信号に与える遅延時間を、素子ごとにリスト化したもの。以下、受信の遅延時間パターンと記載する)を予め計算機102Aに記憶させておく。計算機102Aから遅延時間制御部102Bに対して、受信振動子列として選択された振動子と、レシーバ102Dで受信された当該振動子の受信信号に対する遅延時間の情報が送られ、当該振動子からの信号に対して当該遅延時間分だけタイミングをすらして、データ収録部102Eでそれらの波の合成波が計算機102Aに記録される。
なお、計算機102Aには複数個の受信の遅延時間パターンが記憶され、これらのパターンが、繰り返し遅延時間制御部102Bに伝達され、レシーバからの信号から様々なパターンの波として合成され収録される。例えば、受信振動子列に用いる素子の少しずつずらしたパターンを複数個記憶させておくことで、合成波の受信位置(受信振動子列の中心)を移動させることが可能となる。
このようにして、フェーズドアレイ方式によるアレイセンサ101の動作が得られる。
さらに、データ収録部102Eは、レシーバ102Dから供給される受信信号を処理した結果を、表示部103に供給する働きをする。なお、表示部103の動作については、後で詳述する。
アレイセンサ101には、アレイセンサ自身を各振動素子の配列方向に移動するための走査機構120と走査制御機構121が組み合わされており、アレイセンサの位置(移動量)は、送受信部102内の計算機102Aに送られる。
次に、アレイセンサ101の詳細について図2により説明する。ここで、この図2はアレイセンサ101の最も基本的な構成を模式図で示したもので、図示のように、このアレイセンサ101は、基本的には複数個の振動子(超音波発生素子)201で構成されている。そして、この実施形態では、例として、この振動子201の一例としてPZT圧電セラミックスの細棒を高分子材の中に埋めこんだ複合圧電体(コンポジットともいう)を用いている。
アレイセンサ101は、一列に配列されたN個の振動子から構成され、N個の振動素子のうちの複数個を用いて超音波を被検査体に送信し、同様に、N個の素子のうちの複数個を用いて反射源からのエコーを受信する。
このとき、素子の総数Nは、被検査体100の板厚112を考慮して決めることができる。例えば、板厚40mmのステンレス鋼配管の全板厚を検査対象する場合の探傷について図10を用いて説明する。斜角振動子列の長さ205(1番目素子とN番目素子の中心間の距離)として、板厚の2倍とすると、配管の板厚の全板厚を検査することが可能となる。例えば、振動子201の中心間距離である素子ピッチ204(素子幅202と素子ギャップ203の和)が1mmの場合、総素子数Nとして、40個以上とすることで、全板厚をカバーした検査が可能となる。
また、図11を用いて発明を解決する手段として説明したように、検査対象の板厚の縦波音速による往復伝播時間の1倍から4倍の範囲を表示する手段により全板厚を対象とした場合に欠陥からのエコーを表示することが可能となる。
超音波を発生させる探触子として、図12,図13に示すように、複数の方向に超音波を送信可能なアレイ探触子を用いることとする。図13及び図14に示したアレイセンサ101は、複数個の振動子201から構成される。振動子201は超音波を発生する機能を持った圧電素子であり、各素子での超音波送受信のタイミングを制御することで、所望する方向の超音波を送受信することができる。縦波または横波成分を発生させる方法として、図12に示すように、各素子から発生する超音波のタイミングを合わせる手法と、図13に示すように、くさび材1301と被検査体100の境界面での屈折を利用する手法のどちらを用いてもよい。
第1の実施例では、図23Cに示すエリアIの場合、すなわち、対象となる欠陥にほとんど傾斜が無い場合(傾斜角φが±20度以内)を考える。
まず、対象となる欠陥の傾斜の有無は、検査前には、不明である前提にたつとすると、欠陥の傾斜の有無及び程度の評価を最初に実施することとなる。傾斜の有無及び程度を評価する方法のフローを図25A及び図25Bに、装置の模式図を図22に示す。
まず、被検査体100の板厚を確認し(S2501)、表示範囲を縦波換算で板厚の4倍まで表示可能なように、表示範囲を設定する(S2502)。次に、超音波の入射方向2201(入射角度)を、縦波として、0度から70度、横波として、20度から30度を含む範囲で変化させて被検査体に超音波を入射しながら反射源から戻ってくる超音波信号を受信する(S2503)。受信された信号のうち、最も強い信号強度となる信号に注目し(S2504)、さらに、最大強度を与える入射角度に注目する(S2505)。
図22に示す例では、送信振動子列2201と受信振動子列2202が一致している場合について図示した。実際の探傷では、反射源105からの反射信号をより強く受信するために、走査機構を用いてアレイセンサ101を前後に移動させる方法(機械走査)、または、アレイセンサの位置を固定して、アレイセンサを構成する複数個の素子のうち、送信振動子列及び受信振動子列として使用する素子を電気的に切り替えて送受信位置を移動させる方法(電子走査)を用いて検査を実施する。
受信される信号強度が最大となる角度に注目して、反射源105の傾斜の有無及び傾斜角を評価する。受信が最大となる角度が、縦波0〜30度である場合(S2506)、図23CのエリアIII に対応し、欠陥の傾斜は、60度以上と、非常に大きいことがわかる(S2507)。また、受信信号の強度が最大となる角度が、縦波として40〜70度
(横波として20〜30度)の場合(S2508)は、さらに、エリアIまたはエリアIIの判定(S2509)を実施する(図25B参照)。
(横波として20〜30度)の場合(S2508)は、さらに、エリアIまたはエリアIIの判定(S2509)を実施する(図25B参照)。
受信信号のうち、縦波40〜70度成分のいずれかの角度に注目する(S2510)。そのうちのあるひとつの角度の波形の路程を評価する(S2511)。例えば、縦波45度成分で受信された信号に注目すると、路程から深さに換算して、縦波で換算された板厚にほぼ等しい深さと、その少し後ろ(およそ1.5倍程度)の2箇所に、受信波形が存在する場合(S2512)、欠陥の傾斜は、エリアI(図23C)に相当し、傾斜角度は、0〜20度程度と評価できる(S2513)。例として、図18に、欠陥の傾斜角度が0度の場合と、20度の場合の縦波45度成分の信号の例を示す。傾斜の有無にかかわらず、縦波で送信された超音波が欠陥で反射され縦波として受信される波(LL)と、横波で送信された超音波が底面で縦波にモード変換し、縦波として反射され、反射源である欠陥面で縦波として反射し、縦波として受信される波(SLL)の2つの波が受信されていることが確認できる。
逆に、当該箇所に2つの受信波形が存在しない場合は、エリアIIに相当し、傾斜角度は約20〜50度であることがわかる(S2514)。
なお、これらの角度判定には、重複する領域もあるので、図24に示した伝播経路の超音波が強い信号強度で受信されているかを確認し、さらに、欠陥と想定される位置の両側から超音波を入射できる場合では、両側のデータを比較することで、さらに、よい精度で、傾斜の有無及び角度を評価することが可能となる。
このように、縦波として、0度から70度、横波として、20度から30度を含む範囲で変化させて被検査体に超音波を入射させることで、対象となる欠陥の傾斜の程度をおおまかに把握した後、欠陥寸法を評価する段階に進む。
第一の実施例では、欠陥寸法を評価するための超音波の送受信方法として、アレイセンサ101の、送受信位置の一致を含んで互いに逆方向に移動して超音波を送受信する場合を考える。
以下、図14,図15,図16を用いて本実施例を説明する。図中の欠陥は、傾斜が0度として模式的に描かれているが、本質的には、エリアI(図23C)に属する傾斜角度の小さな欠陥の場合は、同様の手法が成立する。
図14(A)は、欠陥を検出する段階での超音波の伝播経路を、図14(B)は欠陥寸法を評価する段階での超音波の伝播径を、それぞれ表す。図15は処理の流れを、図16は受信波形の例を、図17は本発明による方法を用いた欠陥寸法と信号受信領域の関係の例を示している。
第1段階として、受信信号の表示範囲を決定するために、被検査体の板厚を確認する
(S1501)。次に、この板厚の往復伝播距離の少なくとも2倍の距離(深さ)を表示できるように表示部103を設定する(S1502)。検査対象が溶接部であるかを確認し(S1503)、溶接部でない場合は、送信超音波として横波45度を用い、溶接部の場合は、横波45度に加えて、溶接部での伝播効率の良い、縦波45度の両方を用いて探傷する。この入射角度の情報から、計算機102Aでアレイセンサ101の送信素子列
110及び受信素子列111に与える遅延時間が計算される。
(S1501)。次に、この板厚の往復伝播距離の少なくとも2倍の距離(深さ)を表示できるように表示部103を設定する(S1502)。検査対象が溶接部であるかを確認し(S1503)、溶接部でない場合は、送信超音波として横波45度を用い、溶接部の場合は、横波45度に加えて、溶接部での伝播効率の良い、縦波45度の両方を用いて探傷する。この入射角度の情報から、計算機102Aでアレイセンサ101の送信素子列
110及び受信素子列111に与える遅延時間が計算される。
次に、上記のように設定した探傷角度での超音波の送受信が可能となったアレイセンサ101を探傷面1406上で前後に走査する。送信位置と受信位置が一致する信号を表示して(S1504)、受信信号の有無を確認する(S1505)。信号がある場合は、送信位置と受信位置が一致する場合での受信信号が極大値となる位置にアレイセンサを移動し、送受信位置を移動させたときの信号を表示する(S1506)。最後に、受信信号が受信される領域を測定し(S1507)、欠陥の寸法を評価する(S1508)。
受信波形の例を図16に示す。図16(A)は送信位置1401と受信位置1402が一致する点1410における受信信号であり、図16(B)は、図14(A)に示すXZ面での断面図上に受信波形の強度を色の濃淡で表示した断面表示である。
図16(A)の波形は、図14(A)の伝播経路に対応し、この信号に注目して欠陥を検出する。従来のタンデム法では、超音波探触子の外形寸法があるため、接近限界が存在したために、送受信位置を一致させた検出を実施することができなかった。
欠陥が存在する場合には、図14(B)に示すように、送信位置1403と受信位置
1404を逆方向に移動させ、その受信信号を図16(B)のように表示させる。
1404を逆方向に移動させ、その受信信号を図16(B)のように表示させる。
欠陥からのエコーのピークは、送信位置と受信位置が一致するときに得られるので、その信号の強度を基準(100%に設定)として、例えば、欠陥からのエコーの相対強度が50%(6dB)に低下する範囲(送信位置1411と受信位置1412に囲まれた領域)を、信号の受信領域1413として設定する。なお、受信領域の設定方法には、この他にも、ピーク信号の25%(12dB)に低下する範囲とする方法や、予め設定したしきい値を越える強度の信号が得られる範囲とする方法を採用してもよい。
図17に、欠陥の寸法(高さ)と信号受信領域の関係の例を示す。図17(A)は縦波45度の探傷の場合であり、図17(B)は横波45度の探傷の場合の結果である。いずれの場合も、欠陥が大きくなるにつれて、信号が受信される領域が大きくなり、両者の間には、明瞭な比例関係があることが分かる。実際の寸法評価では、図17に示すような、欠陥寸法と受信信号領域の関係を予め高さの分かった試験体を対象に関係をマスターカーブとして測定しておき、そのデータを基に、実際の測定で得られた受信信号領域から寸法を評価するという手順をとる。また、解析等で幾何学的な伝播経路から受信領域と欠陥寸法の関係を計算し、解析から得られたデータをマスターカーブとして採用して、欠陥寸法を評価してもよい。
また、当然であるが、欠陥の先端部からの回折エコー(端部エコー、ともいう)が斜角成分で受信できる場合は、従来知られている、端部エコー法を用いて、端部エコーの路程(W)と角度(θ)から、深さ(d)を、数式(d=W×cosθ) を用いて計算し、先端部の深さ、すなわち、欠陥の寸法を評価してもよい。
以上の方法は、縦波(または母材であれば横波)の45度成分に注目した手法であるが、エリアI(図23C)に含まれる傾斜角度の小さな欠陥に対しては、モード変換波に注目する手法も有効であるので、実施例2において詳細を説明する。
第一の実施例と同様に、図25A及び図25Bに示すフローに従って、欠陥の傾斜が比較的小さい(エリアI)という評価が終了しているとし、傾斜の小さな欠陥の寸法を、縦波(40〜70度)及び、縦波と同時に発生する横波成分(約20〜30度)を利用した、欠陥寸法評価方法について説明する。
図7は、例として、縦波60度及び、縦波と同時に発生する横波約30度によるモード変換波を利用して、傾斜角0度及び±15度の傾斜欠陥を探傷する場合の伝播経路を示す。ここで、縦波の入射角度を60度としたが、60度以外の縦波でも(例えば、図18は縦波45度の場合の例を示す)、同様にモード変換波を受信することができる。
欠陥の傾斜が無い、または、15度程度と小さい場合には、実施例1の斜角45度による方法のような、傾斜のない欠陥に対する検査手法が有効であり、そのひとつとして、縦波(約40〜70度)及び同時に発生する横波(約20〜30度)によるモード変換波に注目した手法も有効となる。
欠陥に傾斜のない場合(図7(A))、モード変換波の伝播経路は以下のようになる。まず、入射角として縦波60度に設定したアレイセンサ101から、同時に発生する横波成分701が底面に向かって伝播する。この横波成分は、底面での反射の際に、振動モードが横波から縦波に変換され、欠陥703に向かって縦波成分702として伝播する。さらに、縦波成分702は欠陥703の面状の部分で反射され、縦波成分704のままアレイセンサ101に戻る。
もしも欠陥がアレイセンサから遠ざかるように(鈍角的に)傾斜している場合(B)、鈍角傾斜欠陥706に入射した縦波成分702は、傾斜が無い場合と比較して、欠陥に近い位置に向かって、縦波成分705として反射される。逆に、欠陥がアレイセンサに近づくように(鋭角的に)傾斜している場合(C)、鋭角傾斜欠陥708に入射した縦波成分702は、傾斜が無い場合と比較して、欠陥から遠ざかる位置に向かって、縦波成分707として反射される。
このように、欠陥の傾斜が小さい場合、傾斜が無い場合の受信位置とは異なる位置で信号が受信されることとなる。そのため、「傾斜無し」を想定した場合の所定の入射角をともなう超音波による欠陥エコーの受信振動子列の位置を、対比試験体または数値解析等によって、予め把握しておくことで、傾斜が無い場合と比較して、受信位置が送信位置から遠ざかるようであれば、鈍角的な傾斜であると判断でき、逆に、受信位置が送信位置から近づいているようであれば、鋭角的な傾斜があると判断できる。このようにして、モード変換波の受信位置を利用することで、欠陥の傾斜の有無、及び、鈍角側の傾斜か鋭角側の傾斜か、を評価することが可能である。
また、「傾斜無し」と比較した場合の、受信位置の移動量は、欠陥の傾斜の深さに比例して増大する。このため、検査対象となる材質・板厚・形状等を模擬した対比試験体を使った実験や、数値解析により、受信位置の移動量と傾斜角度の関係を調査しマスターカーブを作成しておけば、傾斜の向き(鋭角的か鈍角的か)に加えて、傾斜角を評価することも可能となる。
なお、図7の例では、傾斜のない場合に、送信位置と受信位置が一致する点で、モード変換波を受信する例を示しているが、実際の探傷では、板厚や欠陥の寸法によって両者が一致しない場合もある。その場合は、傾斜の無い欠陥からのエコーに対する、受信振動子列の位置を基準位置とし、その基準位置と比較することで、同様に、欠陥の傾斜を評価することが可能である。
また、図7の例では、送信位置が固定され、受信位置のみが変化するように超音波を送受信する場合を示しているが、受信位置を固定する場合でも、送受信位置を互いに移動させながら探傷する場合においても、送信振動子列と受信振動子列の中心間距離の値によって、同様に、欠陥の傾斜を評価することができる。
第3の実施例では、検査対象となる大きく欠陥が傾斜している場合を考える。第1の実施例と同様に、事前に、図25A及び図25Bに示したフローに従い、対象となる欠陥の傾斜の有無及び程度(すなわち、どのエリアに含まれるか)を評価しておく。
エリアII(図23C)の代表として傾斜角度45度の欠陥を、エリアIII(図23C) の場合の代表として傾斜角度60度の欠陥を、それぞれ例にあげて説明する。同じエリア内の傾斜角度であれば、同様の評価方法が適用できる。また、傾斜角度が50度程度の場合は、両エリアの境界となるため、両方の評価方法を適用することが可能である。
以下、図8,図9,図19,図20,図21を用いて本実施例を説明する。図8から図20は、被検査体内部での欠陥からのエコーの伝播経路を表しており、図8及び図9は縦波45度(及び縦波45度と同時に発生する横波約25度)によるモード変換波によって傾斜角度が垂直方向に対してセンサに近づく側(鋭角)に45度程度傾斜した欠陥を探傷する場合の伝播経路を、図19は45度の縦波によって傾斜角度が垂直方向に対してセンサから遠ざかる側(鈍角)に45度程度傾斜した欠陥を探傷する場合の伝播経路を、図
20は、30度の縦波及び縦波60度と同時発生する約30度横波によって傾斜角度が垂直方向に対して±60度である欠陥を探傷する場合の伝播経路を、それぞれ表す。図21は、本発明における第3の実施例のフロー図である。
20は、30度の縦波及び縦波60度と同時発生する約30度横波によって傾斜角度が垂直方向に対して±60度である欠陥を探傷する場合の伝播経路を、それぞれ表す。図21は、本発明における第3の実施例のフロー図である。
図21により、処理の流れを説明する。まず、図25A及び図25Bに示したフローに従い、対象となる欠陥の傾斜の有無及び程度(すなわち、どのエリアに含まれるか)を評価しておく(S2101〜S2103)。次に、欠陥の傾斜角度に応じた寸法評価法を適用するために、超音波の入射角として、縦波0度〜70度、横波としては20〜30度を含む範囲で探傷した結果のうち、欠陥からの反射波と想定される信号の強度が最大となる角度を選択し、その角度で再度探傷を実施する。
例えば、S2103の処理の結果、エリアII(図23C)に分類された欠陥は、傾斜角度が大きい(傾斜角約20〜50度)ため、縦波として約30〜50度、横波として20度〜30度程度の範囲で超音波の角度を変化させる(S2104)。また、エリアIII に分類された欠陥は、さらに傾斜角度が大きい(傾斜角約50度以上)ため、縦波として約0〜30度に設定する(S2105)。
なお、エリアIに分類された場合は、傾斜角度が小さく、垂直欠陥と同様の手法が適用できる(S2106)。詳細は、実施例1及び実施例2に記載した。
傾斜欠陥の寸法評価方法の詳細に関して、図8,図9,図19,図20を用いて説明する。
〔エリアII(傾斜角20〜50度程度)の場合〕
説明を簡単にするために、代表例として、傾斜角45度の場合について説明する。本質的には、欠陥からの受信波形が最大となる角度θに対して、傾斜欠陥の角度φは、数式φ=90−θで決定される。評価手法は45度の場合と同等である。
説明を簡単にするために、代表例として、傾斜角45度の場合について説明する。本質的には、欠陥からの受信波形が最大となる角度θに対して、傾斜欠陥の角度φは、数式φ=90−θで決定される。評価手法は45度の場合と同等である。
欠陥の傾斜が約45度程度と大きい場合には、図8,図9,図19に示す、縦波45度によるモード変換波及び縦波成分に注目した手法が有効である。
欠陥が鋭角的に傾斜(センサに近付く方向に45度傾斜)している方向から探傷する場合は、モード変換波に注目する。ここで、モード変換波とは、図8において、アレイセンサ101から、縦波45度と同時に発生する約25度の横波成分801が底面で反射して横波から縦波にモード変換し、縦波成分802が傾斜欠陥にほぼ垂直に入射し、縦波成分803として反射し、再び底面で反射して、縦波から横波にモード変換し、横波成分804となり、アレイセンサ101に到達する波のことである。欠陥の傾斜角が45度以外の場合は、図23Cのグラフに示すように、アレイセンサ101から発生する横波角度は、当該縦波角度が反射して得られる横波入射角度となる。
このとき、欠陥からのエコーを受信する受信素子列の位置に注目すると、欠陥が大きい場合(図8)では広い領域806にわたっているのに対し、傾斜欠陥が小さい場合(図
9A及び図9B)では、より狭い領域906(図9Bでは910)でしか受信されないことが分かる。なお、図9Aは、アレイセンサ101の内部での送受信振動子列を固定して、アレイセンサ101全体を移動させて、送受信位置906を求める場合を示す。図9Bは、アレイセンサ101の位置は固定して、送受信位置を一致させながら、移動させて、送受信位置910を求める場合を示す。
9A及び図9B)では、より狭い領域906(図9Bでは910)でしか受信されないことが分かる。なお、図9Aは、アレイセンサ101の内部での送受信振動子列を固定して、アレイセンサ101全体を移動させて、送受信位置906を求める場合を示す。図9Bは、アレイセンサ101の位置は固定して、送受信位置を一致させながら、移動させて、送受信位置910を求める場合を示す。
図9A及び図9Bのいずれの場合においても、アレイセンサ101の受信振動子列の位置と欠陥までの距離(806と906,806と910)が変化しており、欠陥が深くなるにつれて、この距離が長くなる。これは、小さい欠陥の場合には、距離806に相当する場所から超音波(910)を送信したとしても、底面でモード変換後(911)に、欠陥にあたらずアレイセンサ101に超音波が戻ってこないが、大きくなるにつれて、アレイセンサに戻る経路が成立する領域が大きくなるためである。
受信振動子列と欠陥までの距離と欠陥の寸法には比例関係が成立する。そのため、同じ材質・板厚の対比試験体に、代表的に45度の傾斜欠陥を付与した実験結果に基づいて、または、探傷で使用した角度(S2105で使用)による超音波伝播経路の解析により、受信振動子列と欠陥までの距離と欠陥の寸法のマスターカーブを作成しておき、探傷結果と比較することで、受信振動子列と欠陥までの距離から欠陥寸法を求めることができる。
なお、受信振動子列と欠陥までの距離を求めるには、図9Aの場合は、走査機構120によってアレイセンサ101全体を動かすため、走査機構120に、エンコーダ等の位置検出手段を備えることにより、当該距離を把握することができる。また、図9Bの場合は、電気的に送受信位置を移動させるため、アレイセンサ101を構成するどの素子群で送受信するべきか、すなわち、どのような素子にどのような遅延時間パターンを与えるか
(遅延時間制御部をどう制御するか)という情報は、計算機102Aが管理しているため、送受信素子の制御情報から、当該距離を把握することができる。
(遅延時間制御部をどう制御するか)という情報は、計算機102Aが管理しているため、送受信素子の制御情報から、当該距離を把握することができる。
このように、鋭角的に(センサに近づく方向に)45度傾斜した欠陥の傾斜及び寸法を評価するためには、縦波45度によるモード変換波を利用し、受信振動子列の位置に注目するとよい。
逆に、アレイセンサ101から遠ざかる方向に(鈍角的に)45度程度傾斜した欠陥を探傷する場合には、45度縦波に注目した手法が有効である(図19)。アレイセンサから発生した縦波成分は45度に傾斜した欠陥の面にほぼ垂直にあたって、強い反射波となって、アレイセンサに戻る。
このとき、図19(B−1)に示すように、送信位置と受信位置を同じ位置に固定し、アレイセンサ101を走査機構120で、素子の配列方向に移動させる場合には、欠陥からのエコーを受信できる範囲1901、すなわち、欠陥の根本からのエコーが受信されるアレイセンサの位置(図19(A))と欠陥上端部からのエコーが受信されるアレイセンサ位置の差が、欠陥の寸法(高さ)に比例して大きくなることが分かる。
また、図19(B−2)に示すように、アレイセンサ101の位置を固定し、送信位置と受信位置を電子的に走査する場合にも同様に、欠陥からのエコーを受信できる範囲1901、すなわち、欠陥の根本からのエコーが受信される送受信位置(図19(A))と欠陥上端部からのエコーが受信される送受信位置の差が欠陥の寸法(高さ)と比例して大きくなることが分かる。
このように、エコーが受信される範囲1901(アレイセンサの移動量、または送受信位置の移動量)と欠陥の寸法の比例関係に注目することで、欠陥の傾斜及び寸法を評価することが可能である。具体的には、前述の通り、対比試験体または超音波伝播経路の解析により、前記比例関係のマスターカーブを作成することで、エコー受信範囲1901から欠陥寸法を評価することができる。
なお、被検査体が母材などの比較的超音波の減衰の小さい材料で構成されている場合には、図8及び図9の横波及び縦波の代わりに、欠陥傾斜角度φから90度を減算した角度θ(=90−φ)に相当する、横波成分、例えば横波45度を用いて、底面に1回反射させて、傾斜欠陥面で反射して戻ってくる横波成分を用いて探傷しても、同様に、欠陥の傾斜及び寸法を評価することができる。また、図19に示した、縦波45度成分の代わりに、横波45度成分で探傷を実施しても、同様に、欠陥の傾斜及び寸法を評価することが可能である。この場合の伝播経路は、図20A及び図20Bの経路と同じ(ただし、図中の伝播モードを縦波から横波に変更したもの)となる。
〔エリアIII(傾斜角約50度以上)の場合〕
説明を簡単にするために、代表例として、傾斜角60度の場合について説明する。本質的には、欠陥からの受信波形が最大となる角度θに対して、傾斜欠陥の角度φは、数式φ=90−θで決定される。評価手法は60度の場合と同等である。
説明を簡単にするために、代表例として、傾斜角60度の場合について説明する。本質的には、欠陥からの受信波形が最大となる角度θに対して、傾斜欠陥の角度φは、数式φ=90−θで決定される。評価手法は60度の場合と同等である。
欠陥の傾斜が約60度程度と非常に大きい場合には、図20A及び図20Bに示すような、30度縦波成分に注目した手法が有効である。なお、被検査体が母材等の減衰が小さい媒質である場合には、30度横波成分に注目してもよい。伝播経路及び手法は、以下図20Aと図20Bを用いて説明する内容と同じであるので、縦波30度の場合のみ記載する。
アレイセンサ側に鋭角的に60度傾斜している場合、図20Aに示すように、アレイセンサから発生した30度の超音波2004(縦波)は底面で反射し、欠陥2005に向かって伝播する。欠陥にほぼ垂直にあたった超音波2002は、欠陥面で反射され再び底面に向かって伝播する(2003)。底面で反射された超音波2004はアレイセンサで受信される。
このとき、欠陥からのエコーを受信する受信素子列の位置に注目すると、欠陥2006のように欠陥寸法が大きい場合(図20A(2)及び(3))では広い領域2021にわたっているのに対し、傾斜欠陥2005のように欠陥寸法が小さい場合(図20A(1))では、より狭い領域2020でしか受信されないことが分かる。なお、図20A(2)は、アレイセンサ101の内部での送受信振動子列を固定して、アレイセンサ101全体を移動させて、送受信位置2021を求める場合を示す。図20A(3)は、アレイセンサ
101の位置は固定して、送受信位置を一致させながら、移動させて、送受信位置2021を求める場合を示す。
101の位置は固定して、送受信位置を一致させながら、移動させて、送受信位置2021を求める場合を示す。
エリアIII に分類される場合も、前述のエリアIIの場合と同様に、受信振動子列と欠陥までの距離と欠陥の寸法には比例関係が成立する。そのため、同じ材質・板厚の対比試験体に、代表的に45度の傾斜欠陥を付与した実験結果に基づいて、または、探傷で使用した角度による超音波伝播経路の解析により、受信振動子列と欠陥までの距離と欠陥の寸法のマスターカーブを作成しておき、探傷結果と比較することで、受信振動子列と欠陥までの距離から欠陥寸法を求めることができる。
逆に、アレイセンサから遠ざかる側に鈍角的に60度傾斜している場合、図20Bに示すように、アレイセンサから発生した超音波(縦波)は欠陥面に直接あたったのち反射してふたたびアレイセンサで受信される。
このとき、図20B(2)に示すように、送信位置と受信位置を同じ位置に固定し、アレイセンサ101を走査機構120で、素子の配列方向に移動させる場合には、欠陥からのエコーを受信できる範囲2010、すなわち、欠陥の根本からのエコーが受信されるアレイセンサの位置(図20B(1))と欠陥上端部からのエコーが受信されるアレイセンサ位置の差が、欠陥の寸法(高さ)に比例して大きくなることが分かる。
また、図20B(3)に示すように、アレイセンサ101の位置を固定し、送信位置と受信位置を電子的に走査する場合にも同様に、欠陥からのエコーを受信できる範囲2010、すなわち、欠陥の根本からのエコーが受信される送受信位置(図20B(1))と欠陥上端部からのエコーが受信される送受信位置の差が欠陥の寸法(高さ)と比例して大きくなることが分かる。
このように、エコーが受信される範囲2010(アレイセンサの移動量、または送受信位置の移動量)と欠陥の寸法の比例関係に注目することで、欠陥の傾斜及び寸法を評価することが可能である。具体的には、前述の通り、対比試験体または超音波伝播経路の解析により、前記比例関係のマスターカーブを作成することで、エコー受信範囲2010から欠陥寸法を評価することができる。
この発明は、超音波検査装置及び方法に適用されて利用される。
100…被検査体、101…アレイセンサ、102…送受信部、103…表示部、110…送信素子列、111…受信素子列、120…走査機構、121…走査制御機構、201…探触子。
Claims (9)
- 複数の振動子を配列したアレイセンサと、
前記各振動子から受信振動子及び送信振動子に使用する振動子を選択して、前記受信振動子及び前記送信振動子の内の少なくとも一方を他方に対して移動するように前記選択を繰り返す選択手段と、
前記送信振動子から検査対象に送信された超音波のエコーを前記受信振動子で受けて得られた受信情報を表示する表示部と、
前記アレイセンサを前記振動子の配列方向へ移動する走査機構とを備えることを特徴とする超音波探傷装置。 - 請求項1において、前記選択手段は、前記受信振動子及び前記送信振動子が同じ位置となる状態から相対的に前記配列方向に距離を生じる状態とに位置させる選択パターンを有することを特徴とする超音波探傷装置。
- 請求項2において、前記送信振動子と、前記受信振動子とに対して、前記検査対象に超音波を送受信する角度を、縦波として少なくとも0度から70度を含む範囲で、かつ、横波として少なくとも20度から30度を含む範囲で、変化させるように送受信タイミングを制御する遅延時間制御部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
- 請求項1又は請求項2又は請求項3において、前記検査対象の板厚の縦波音速による往復伝播時間の範囲の1倍から4倍の範囲の時間に受信された前記受信情報を表示する表示部を備えたことを特徴とする超音波探傷装置。
- 検査対象の内部にアレイセンサの送信振動子から超音波を送信し、前記検査対象の内部または表面の反射源からの前記超音波のエコーを前記アレイセンサの受信振動子で受信し、前記受信された前記超音波のエコーに基づいた受信情報を表示部に表示する超音波探傷方法において、
前記送信位置と前記受信位置とが同じ位置の状態と、前記送信位置及び前記受信位置とが互いに離れる状態とに前記受信振動子と送信振動子との少なくとも一方の位置が変化するように前記アレイセンサを構成する複数の振動子から前記受信振動子と送信振動子とを選択しては前記選択した前記受信振動子と送信振動子間で前記超音波を送受信することを特徴とする超音波探傷方法。 - 請求項5において、前記検査対象に前記超音波を送受信する角度を、縦波として少なくとも0度から70度を含む範囲で、かつ、横波として少なくとも20度から30度を含む範囲で変化させて、前記超音波を送受信することを特徴とする超音波探傷方法。
- 請求項6または請求項7において、前記送信振動子と前記受信振動子の間の距離を求め、前記距離と前記反射源の寸法が比例関係にあることを利用して、前記距離から前記反射源の寸法を評価することを特徴とする超音波探傷方法。
- 請求項6または請求項7において、前記検査対象に対して前記超音波の入射角度を変化させては、前記反射源からの前記エコーを受信することを繰り返し、その受信強度が最大となる入射角度から、前記反射源の傾斜の有無または傾斜角度を評価することを特徴とする超音波探傷方法。
- 請求項5または請求項6において、前記アレイセンサの送信振動子と受信振動子を一致させ、前記反射源に対して送受信位置を変化させながら、前記反射源からの前記エコーを受信し、受信した前記エコーの信号の強度に対してしきい値を設定し、前記しきい値を超えた受信強度が得られた送受信位置の範囲から、前記欠陥の傾斜の寸法を評価することを特徴とする超音波探傷方法。
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