JP7252288B2 - 苗移植機 - Google Patents
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Description
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、所望の圃場に対して所望の苗マット数にて適切に植付作業を行うことができる苗移植機を提供する点にある。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1及び図2を参照して、苗移植機の一例である田植機1の全体構成について説明する。田植機1は、走行機体2と、その後部に装着される植付作業機3とを備え、走行機体2によって走行しつつ植付作業機3によって植付作業を行うように構成されている。なお、本実施形態では、田植機1の植付条数が6条である場合を例に示しているが、勿論、田植機1の植付条数は何条であってもよい。
より詳細には、PTO軸16から植付センターケース35を介して植付作業機3に設けられる3つの植付伝動ケース36に動力が伝達されて、3つの植付伝動ケース36の各々から植付伝動ケース36毎の左右一対の植付アーム31及び左右一対の植付爪32に動力が分配される。植付センターケース35には、植付クラッチが設けられ、植付クラッチはエンジン4から植付作業機3への動力の伝達を断接するように構成される。
図3に示すように、植付センターケース35から機体幅方向一側(機体左側)に向けて送りネジ41が延出される。送りネジ41の外周面には、軸芯方向に沿って交差状の溝が形成される。送りネジ41には、該溝に沿って摺動可能な滑り子42及び滑り子42を支持する滑り子受け43が設けられる。滑り子受け43は略T字状に形成される。滑り子受け43には、送りネジ41が貫設されるとともに、送りネジ41の溝に沿って摺動可能に滑り子42が収容される。
制御装置70は、横送り回数検出センサ48aと接続され、苗載台33の横送り回数を検出可能に構成され、横送り回数から後述する横取量を検出可能に構成される。また、横送り切替レバー48には、アクチュエータ48b(図13参照)が設けられる。アクチュエータ48bが駆動制御されることで、横送り切替レバー48は操作可能に構成される。したがって、アクチュエータ48bにより横送り切替レバー48が操作されることで、苗載台33の横送り量を調節し、苗載台33の横送り回数を変更することができる。
苗載台33の横送り回数が変更されることで、苗載台33の横送り量(横送り速度)が変更され、植付爪32による苗マットMからの横取量を変更することができる。ここでの、横取量とは、植付爪32によって苗マットMを平面視で走行機体2の機体幅方向に掻き取る幅を指す。横取量が調節されることで、植付爪32による苗マットMからの苗取量を変更可能に構成される。
図4に示すように、植付センターケース35から機体幅方向他側(機体右側)に向けて、縦送りカム51が固定される縦送りカム軸52が延出される。縦送りカム軸52は、送りネジ41と連結されており、ストローク端に到達すると、従動カム53と当接される。従動カム53は、苗載台33下部で搬送ベルト54を駆動する搬送ベルト駆動軸55上に設けられている。縦送りカム軸52の回動に伴って、縦送りカム51と従動カム53とが当接されると、従動カム53は回動する。従動カム53の回動に伴って、搬送ベルト駆動軸55が回動されることで、搬送ベルト54が循環されて搬送ベルト54上に載置される苗マットMを所定の距離だけ搬送する。
ダッシュボード15の左右中央部には、操向ハンドル13が配置され、操向ハンドル13の左方には、主変速レバー61が設けられ、操向ハンドル13の右方には、植付昇降レバー62が設けられる。操向ハンドル13の下方には、所定の条毎の植付爪32の駆動を停止する条止めスイッチ63、最高速度を設定する速度設定ボリューム64、フロート34の油圧感度を設定する感度設定ボリューム65、植深さや苗マットMからの苗取量(縦取量や横取量(横送り回数))等の各種の項目を設定するセレクトダイヤル66等が設けられる。操向ハンドル13の前方には、セレクトダイヤル66等の設定、走行機体2の速度等を表示するモニタ67が設けられる。
次に、図6~図12を用いて、苗載台33に置かれる苗マットMの残量の算出に基づき実行される苗継警報制御について説明する。
図6、図7に示すように、苗載台33において条毎の苗マットMが置かれる載置面には、苗マットMの存否を検出可能な存否検出部90と、苗マットMの下方への移動量(送り量)を検出可能な移動量検出部80とが設けられる。
そして、図13に示すように、田植機1の制御装置70には、存否検出部90の検出状態、及び、移動量検出部80の検出状態に基づき、苗マットMの残量を検出する苗マット残量算出部72が備えられる。
存否検出部90は、例えば、図6に示すように、苗載台33の条毎の載置面における苗マットMを一枚置いたときに苗マットMが配置される第1領域A中の上端側に設けられ、苗載台33の載置面に苗マットMを一枚置いたとき、苗マットMと接触することで苗マットMの存在を検出可能に構成される。また、苗載台33の載置面に苗マットMを一枚置いていないとき、苗マットMと接触しないことで苗マットMの不存在を検出可能に構成される。例えば、存否検出部90は、苗マットMの一枚の縦方向の長さが580mmで、第1領域Aの長さが580mmである場合に、第1領域Aの下端(苗載台33の載置面の下端)から510mm上方の位置に設けられる。
移動量検出部80は、図6に示すように、苗載台33の条毎の載置面における苗マットMを一枚置いたときに苗マットMが配置される第1領域A中において存否検出部90よりも下方に設けられ、苗載台33の載置面に苗マットMを少なくとも一枚置いた状態で苗マットMの下方への移動量(縦送り量)を検出可能に構成されている。例えば、移動量検出部80は、第1領域Aの下端(苗載台33の載置面の下端)から180mm上方の位置に設けられる。
また、図10~図12に示すように、回転体81における苗載台33の前面(載置面の裏面)に対向する部位には、Oリング81dが設けられる。図12は、Oリング81dの機能を説明するための模式図である。
回転体81は、付勢バネ83によって上方の苗載台33の側に揺動付勢されており、苗載台33に苗マットMが載置されていないときは、図12(a)に示すように、Oリング81dが苗載台33の前面と当接し摩擦力で回転体81の回転が制止される。
図12(b)に示すように、苗載台33に苗マットMが載置されているときは、回転体81が付勢バネ83の付勢力に抗して苗マットMの底面に押し下げられて、Oリング81dが苗載台33から離間し、回転体81が回転可能になる。
以上の構成にすることで、苗載台33に苗マットMが載置されていないときに、回転体81が回転して移動量検出部80が苗マットMの下方への移動量を誤って検出するのを防止することができ、苗マットMの下方への移動量を適切に検出することができる。なお、回転体81の回転を制止する部材はOリング81dに限定されない。
図14に示すように、苗マット残量算出部72は、苗マットMの残量が少なくなり、図14(a)に示す存否検出部90にて苗マットMの存在を検出している状態から、図14(b)に示す苗マットMの不存在を検出している状態(換言すれば、苗マットMの存在を検出していない状態)に移行すると、後述する苗継回数、及び、移動量検出部80にて検出される苗マットMの移動量等から随時推定している苗マットMの残量(以下「苗マット残量」と呼ぶ場合がある。)を予め設定された設定残量(存否検出部90の下方側近傍位置に相当する残量)に補正する。そして、図14(c)に示すように、苗マット残量算出部72は、その設定残量から移動量検出部80にて検出される苗マットMの移動量を随時減算する形態で、苗マット残量を随時算出する。
図13に示すように、田植機1には、制御装置70の苗マット残量算出部72にて算出される苗マット残量が報知基準値RV(図14(c)参照)を下回ったときにオペレータに苗継を促す苗継警報を報知可能な警報ブザー等の警報部68が備えられる。また、制御装置70には、報知基準値RVを変更可能な報知基準設定部73が備えられる。前述の如く、苗マット残量算出部72は、苗載台33の載置面において、上方側の存否検出部90と下方側の移動量検出部80との間で苗マット残量を随時算出しているので、報知基準設定部73は、苗載台33の載置面における上方側の存否検出部90と下方側の移動量検出部80との間の領域L(図6参照)の適宜の位置に報知基準値RVを設定可能に構成される。具体的には、報知基準値RVを設定可能な領域Lは、上方側の存否検出部90の検出範囲の下端位置と下方側の移動量検出部80の検出範囲の上端位置との間の領域であり、苗載台33の載置面の下端から約200mm~約400mmの範囲の領域となっている。
制御装置70には、植付作業機3の作業速度等の作業内容に関する作業条件を変更可能な作業設定部74が備えられており、報知基準設定部73は、自動で報知基準値RVを変更する場合に、植付作業機3の作業条件に応じて自動で報知基準値RVを変更するように構成される。例えば、報知基準設定部73は、植付作業機3の作業条件が作業速度の速い設定であるほど報知基準値RVが大きな値(図6中の上方側の位置)になるように報知基準値RVを自動で変更するように構成される。
報知基準設定部73は、報知基準値RVを手動でも変更可能であり、その場合、例えば、オペレータがセレクトダイヤル66を用いて報知基準値RVを入力することにより、手動で報知基準値RVを変更するように構成される。
そのため、報知基準値RVを、植付作業の作業速度等の作業条件やオペレータの好み等に応じた適切な値とすることができ、植付作業の作業条件や作業者の好み等に応じた適切なタイミングで苗継警報を報知することができる。
図15に示すように、植付作業中、制御装置70は、植付クラッチが「入」となっている場合(ステップ♯10のYes)において、存否検出部90にて苗マットMの存在が検出されている状態から苗マットMの存在が検出されない状態となり、苗マットMの不存在が検出されると、苗マット残量算出部72にて苗マット残量を随時算出する(ステップ♯11のYes、ステップ♯12)。
そして、苗マット残量算出部72にて算出される苗マット残量が報知基準値RV未満となって苗マット残量が報知基準値RVを下回ると、制御装置70は、警報部68から苗継警報を報知する(ステップ♯13のYes、ステップ♯14)。なお、制御装置70は、苗継警報を報知する際に、苗マット残量算出部72にて算出される苗マット残量と植付作業機3の作業条件の設定とから、植付作業を継続可能な距離を算出し、オペレータへ表示するように構成されていてもよい。
ここで、苗載台33の載置面に苗マットMを一枚置いたときに第2停止条件が満たされるようにできれば、オペレータが苗継を行うだけで苗継警報を停止させることができる。そのため、存否検出部90は、苗載台33の条毎の載置面における苗マットMを一枚置いたときに苗マットMが配置される第1領域A中の上端側など、苗載台33の載置面に苗マットMを一枚置いたとき、苗マットMと接触することで苗マットMの存在を検出可能な位置に設けられるのが望ましい。
次に、図16~図22を用いて、植付作業において、苗載台33に置かれた苗マットMから植付作業機3にて掻き取る苗の量(苗取量)を制御する苗取量制御について説明する。本実施形態では、苗の掻取面積(縦取量及び横取量)に基づいて苗取量を制御するように構成される。
この田植機1では、制御装置70が、入力された圃場面積と苗マット数とから植付作業機3が植え付けを行うための基準苗取量を算出可能に構成される。基準苗取量とは、所定数の苗マットMを使用して所定の圃場に植付作業を行う際に基準となる苗取量のことを指す。ここで、制御装置70は、基準苗取量として、基準掻取面積、更には、基準縦取量及び基準横取量(基準横送り量)を算出可能に構成される。
また、制御装置70は、植付作業中において、植付作業した実作業面積と、実作業面積に対して使用された苗マット使用数とに基づいて基準苗取量の補正量を算出し、その補正量を加味して基準苗取量を変更可能に構成される。
制御装置70は、基準苗取量を変更するに伴って基準横取量(基準横送り量)を変更する場合に、縦送り機構にて苗マットMを縦方向に搬送した後のタイミングで基準横取量(基準横送り量)を変更するように構成される。例えば、基準横取量や補正した基準横取量を複数の規定値から選択する場合には、苗マットMの一枚の横幅寸法はおおよそ決まっているので、基準横取量の規定値は、対応した所定の掻き取り回数で苗マットMの一枚を余すことなく掻き取り切れる値とされる。この場合、苗マットMの縦送りから次の縦送りまでの植付作業を一つのストロークとして、一つのストロークの間に特定の規定値に設定した基準横取量で植付作業を途中まで行った後、基準横取量を他の規定値に変更すると、その変更後の苗マット残量では、変更した他の規定値で余すことなく掻き取り切れない中途半端な横幅となっている可能性がある。そのため、一つのストロークの間を規定値で苗マットMを掻き取り切るために、ストロークの途中での基準横取量の変更は行わず、縦送り機構にて苗マットMを縦方向に搬送した後のタイミング(ストロークの開始や終了のタイミング)で基準横送り量(基準横送り量)を変更するようにしている。
まず、オペレータは、圃場において苗の植付作業を行う前に、セレクトダイヤル66を用いて、使用する苗マット数及び圃場面積を制御装置70に入力する。つまり、セレクトダイヤル66は、圃場面積入力手段及び苗マット数設定手段として設けられる。なお、圃場面積入力手段及び苗マット数設定手段は、前述した構成に限定されず、例えば、外部サーバーを経由して田植機1の通信部にて受信する苗マット数及び圃場面積を制御装置70に入力するように構成したり、オペレータ等のユーザーが所有するスマートフォンやタブレット等の情報端末や管理会社等から田植機1の通信部にて受信する苗マット数及び圃場面積を制御装置70に入力するように構成してもよい。
具体的には、制御装置70は、実作業面積及び苗マット使用数(苗マットM消費数)に基づいて実績掻取面積を算出し、実績掻取面積と目標縦横比率から実績縦取量と実績横取量(実績横送り量)とを算出する。更に、制御装置70は、作業面積から実作業面積を減算することで算出される残作業面積と、苗マット数から苗マット使用数を減算することで算出される残苗マット数と、に基づいて目標掻取面積を算出し、目標掻取面積と目標縦横比率から目標縦取量と目標横取量(目標横送り量)とを算出する。
このとき、前述の如く、制御装置70は、基準横取量(基準横送り量)を変更する場合には、縦送り機構にて苗マットMを縦方向に搬送した後のタイミングで基準横取量(基準横送り量)を変更する。なお、基準縦取量を変更する場合には、基準縦取量が補正されたタイミングで基準縦取量を変更してもよいし、基準横取量(基準横送り量)を変更するタイミングと同じタイミングで基準縦取量を変更してもよい。
図17~図19を用いて、前述した実作業面積の算出について説明を加える。
実作業面積は、スリップ率を考慮した走行機体2の車速と、植付作業が行われる条数から設定される作業幅(条止め位置)と、から算出される。走行機体2の車速は、走行輪の回転数を用いて算出される。本実施形態では、後輪8の回転数を用いて算出する。後輪8の回転軸には、その回転数を検出する後輪回転数検出センサ8a(図13参照)が設けられる。制御装置70は、後輪回転数検出センサ8aと接続され、後輪8の回転数を検出可能に構成される。なお、後輪8の回転数を検出する構成は、前述した構成に限定されず、後輪8の回転に同期して回転する適宜の箇所の回転数を検出し、その回転数をギア比などを用いて後輪8の回転数に換算する構成としてもよい。
植付作業機位置検出センサ71aは、左右一対の上リンク21及び下リンク22の後端部がそれぞれ取り付けられる昇降リンクフレーム71に設けられる。
制御装置70は、植付作業機位置検出センサ71aと接続され、走行機体2に対する植付作業機3、具体的には、植付爪32の最下点の高さ(距離)を検出可能に構成される。制御装置70は、植深さ検出センサ39aと接続され、植付作業機3のフロート34の底面からの高さを検出可能に構成される。植深さ検出センサ39aにより、植付爪32の爪出量h1(植付爪32の先端部とフロート底面との距離、図17(b)参照)を検出可能に構成される。
図20、図21を用いて、苗マットMの使用数の算出について説明を加える。
制御装置70は、苗載台33の苗載面に備えられる存否検出部90の検出状態、及び、移動量検出部80の検出状態に基づいて、苗を継ぎ足した苗継回数を随時検出し、検出した苗継回数と別途算出した苗マットMの圧縮率とに基づいて苗マット使用数を随時算出している。ここで、制御装置70は、植付クラッチが作動すると、存否検出部90での苗マットMの存否の検出、及び、移動量検出部80での苗マットMの移動量の検出を行うように構成される。
図20(a)に示すように、植付作業を開始した際に、存否検出部90にて苗マットMの存在を検出すると、制御装置70は、苗継回数を一つ加算する(一枚目の苗マットMを検出する)。
なお、図21に示すように、制御装置70は、植付作業中において、存否検出部90にて苗マットMの存在を検出していない状態(図21(a)の状態)から、オペレータが苗継を行う等により、存否検出部90にて苗マットMを検出している状態(図21(b)に示す状態)に遷移した場合にも、苗継回数を一つ加算する。
制御装置70は、実作業面積及び全条の苗マット使用数に基づいて実績掻取面積(実績苗取量)を算出する。制御装置70は、条毎の苗マット使用数を全て加算した苗マット使用数及び実作業面積から実績マット数(所定面積当たりの苗マット使用数)を算出する。そして、制御装置70は、実績マット数及び苗載台33の横送り回数及びスリップ率を考慮した株数から実績掻取面積を算出する。
制御装置70は、圃場面積から実作業面積を減算することで算出される残作業面積と、苗マット数から苗マット使用数を減算することで算出される残苗マット数と、に基づいて目標掻取面積(目標苗取量)を算出する。制御装置70は、残作業面積及び残苗マット数から目標マット数(所定面積当たりの苗マット数)を算出する。そして、制御装置70は、目標マット数及び苗載台33の横送り回数及びスリップ率を考慮した株数から目標掻取面積を算出する。
制御装置70は、実績掻取面積と目標縦横比率から実績縦取量及び実績横取量(実績横送り量)を算出するとともに、目標掻取面積と目標縦横比率から目標縦取量と目標横取量(目標横送り量)とを算出する。
そして、制御装置70は、目標縦取量から実績縦取量を減算した値を基準縦取量の補正量として、基準縦取量に加算することで基準縦取量を補正するとともに、目標横取量(目標横送り量)から実績横取量(実績横送り量)を減算した値を基準横取量(基準横送り量)の補正量として、基準横取量(基準横送り量)に加算することで基準横取量(基準横送り量)を補正し、植付作業機3(具体的には、アクチュエータ48b,56a)を駆動制御している。
また、制御装置70は、条毎の残作業面積及び条毎の残苗マット数から条毎の目標マット数を算出し、該条毎の目標マット数及び苗載台33の横送り回数及びスリップ率を考慮した株数から条毎の目標掻取面積を算出し、条毎の目標掻取面積と目標縦横比率から条毎の目標縦取量と目標横取量(目標横送り量)とを算出する。
そして、制御装置70は、条毎に算出される目標横取量(目標横送り量)から実績横取量(実績横送り量)を減算することで条毎の基準横取量(基準横送り量)の補正量を算出し、該条毎に算出される基準横取量(基準横送り量)の補正量に基づいて全条分の基準横取量(基準横送り量)の補正量を算出する。また、制御装置70は、条毎に算出される目標縦取量から実績縦取量を減算することで条毎の基準縦取量の補正量を算出し、該条毎に算出される基準縦取量の補正量に基づいて全条分の基準縦取量の補正量を算出する。
なお、この苗取量制御(掻取面積制御)では、残作業面積、残苗マット数から基準縦取量と基準横取量の補正値を算出するので、例えば、作業終了等に伴って残作業面積だけが急に0になると、制御装置70が補正値を極大に算出してしまい、基準縦取量と基準横取量を補正するためのアクチュエータ48b,56aの駆動負荷が増大する虞がある。
そこで、制御装置70は、作業終了時に残作業面積又は残苗マット数が0になったときは作業開始時に入力された圃場面積と目標苗マット数から目標縦取量及び目標横取量(目標横送り量)を算出し、実績縦取量及び目標縦取量に基づいて基準縦取量の補正値を算出し、また実績横取量(実績横送り量)及び目標横取量(目標横送り量)に基づいて基準横取量(基準横送り量)の補正値の算出を行うようにしている。このようにすることで、作業終了時等に基準縦取量と基準横取量の補正値が極大に算出される不都合が生じるのを回避して、アクチュエータ48b,56aの駆動負荷を低減することができる。
田植機1の通信部は、インターネット等の広域通信網を介して各種のデータを送受信するもので、広域通信網を介して接続される外部の情報端末100との間においてデータ通信を行うことができるように構成されている。
前述の第1実施形態では、制御装置70が、基準掻取面積(基準苗取量)を変更する場合に、基準縦取量の変更と基準横取量(基準横送り量)の変更との間に特に優先順位が設定されていなかったが、第2実施形態では、制御装置70が、基準掻取面積(基準苗取量)を変更する場合に、基準横取量(基準横送り量)の変更よりも基準縦取量の変更を優先するように構成されている。
なお、第2実施形態の田植機1は、基準掻取面積(基準苗取量)の変更方法以外は第1実施形態と同一であり、植付作業中において、植付作業の作業速度等の作業条件や作業者の好み等に応じたタイミングで警報部68から苗継警報を報知することができる。
以下、第1実施形態と同一の部分は説明を省略し、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
ここで、縦取量の所定の範囲は、例えば、縦取量の設定を行うアクチュエータ56aの駆動範囲(上限下限の範囲)に基づいて設定したり、縦取量に対して横取量が極端に小さい又は縦取量に対して横取量が極端に大きいために掻取形状が正方形よりも長方形に近くなる縦横比の範囲に基づいて設定することができる。縦取量が所定の範囲を超えると、例えば、算出した目標縦取量が縦取量の設定可能な上限値を上回って縦取量を目標縦取量に設定できない、あるいは、縦取量の設定に対して横取量の設定が極端に大きい又は極端に小さくなり、植付爪32による苗マットMの掻き取りが上手くいかず、苗の取りこぼし、苗のすっぽ抜けによる欠株、植え付けた苗の姿勢が悪くなるなどの弊害が生じる可能性があるためである。
そして、制御装置70は、このように算出した目標縦取量が所定の範囲を超えないときは、目標縦取量から実績縦取量を減算した値を基準縦取量の補正量として、基準縦取量に加算することで基準縦取量のみを補正し、植付作業機3(具体的には、アクチュエータ56a)を駆動制御する。
前述の第1、第2実施形態では、制御装置70により実行される苗取量制御として、苗の掻取面積(縦取量及び横取量)に基づいて苗取量を制御する制御方式を例に示したが、この第3実施形態では、苗の縦取量のみに基づいて苗取量を制御する制御方式を採用している。
なお、第3実施形態の田植機1は、苗取量制御以外は第1実施形態と同一であり、植付作業中において植付作業の作業速度等の作業条件や作業者の好み等に応じたタイミングで警報部68から苗継警報を報知することができる。
以下、第1実施形態と同一の部分は説明を省略し、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
まず、図24を用いて、苗の縦取量のみに基づいて苗取量を制御する苗取量制御(縦取量制御)について説明を加える。
本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
本発明の第1特徴構成は、苗載台に載置されている苗マットから苗を掻き取って圃場に植え付け可能で、且つ、苗マットから掻き取る苗取量を変更可能に構成された植付作業機と、
植付作業を行う圃場面積と前記圃場面積に使用する苗マット数とを入力可能な制御装置と、を備え、
前記制御装置は、入力された前記圃場面積と前記苗マット数とから前記植付作業機が植え付けを行う基準苗取量を算出することを特徴とする点にある。
これに対して、本構成によれば、制御装置は、植付作業した実作業面積及び実作業面積に対して使用された苗マット使用数に基づいて基準苗取量の補正量を算出し、その補正量を加味して基準苗取量を自動的に変更するので、植付作業した実作業面積に対して実際の苗マット使用数が予定していた苗マット使用数と異なる場合に自動的に基準苗取量を修正することができる。よって、所望の圃場に対して所望の苗マット数にて一層適切に植付作業を行うことができる。
前記制御装置は、前記基準苗取量を変更する場合に、前記縦取量と、前記横取量を変更して前記基準苗取量を変更することを特徴とする点にある。
前記制御装置は、前記基準苗取量を変更する場合に、前記縦取量が所定の範囲を超えないときは前記基準苗取量における前記縦取量のみを変更可能であり、前記縦取量が所定の範囲を超えるときは前記基準苗取量における前記縦取量と前記横取量とを変更可能であることを特徴とする点にある。
本構成によれば、基準苗取量を変更する場合に、縦取量が所定の範囲を超えないときは縦取量のみを変更して基準苗取量を容易に変更することができる。それでいて、縦取量が所定の範囲を超えるときは縦取量と横取量を変更して基準苗取量を適切な量に変更することができる。
前記植付作業機は、前記横送り機構による前記苗載台の移動速度を変更することで前記横取量を変更可能であり、
前記制御装置は、前記植付作業機が植え付けを行う苗取量が前記基準苗取量となるように前記植付作業機を駆動制御可能であり、
前記制御装置は、前記基準苗取量を変更するに伴って前記横取量を変更する場合に、前記縦送り機構にて苗マットを縦方向に搬送した後に前記横取量を変更することを特徴とする点にある。
また、制御装置は、植付作業機による苗取量が基準苗取量となるように植付作業機を駆動制御可能であるので、基準縦取量の算出や変更を行った場合に、植付作業機による苗取量を自動的に基準縦取量に変更することができる。
そして、制御装置は、基準苗取量を変更するに伴って横取量を変更する場合に、縦送り機構にて苗マットを縦方向に搬送した後に横取量を変更するので、横送り機構による横送りの途中で横取量が変更されることがなく、横送り機構による横送りの途中で横取量が変更されることで、例えば、苗マットの幅方向において最後に掻き取る部分の横取量に過不足が生じる等の不都合を未然に回避することができる。
3 植付作業機
33 苗載台
68 警報部
70 制御装置
72 苗マット残量算出部
73 報知基準設定部
74 作業設定部
80 移動量検出部
90 存否検出部
A 第1領域
RV 報知基準値
Claims (3)
- 苗載台に載置されている苗マットから苗を掻き取って圃場に植え付け可能で、且つ、苗マットから掻き取る苗取量を変更可能に構成された植付作業機と、
植付作業を行う圃場面積と前記圃場面積に使用する苗マット数とを入力可能な制御装置と、を備え、
前記制御装置は、入力された前記圃場面積と前記苗マット数とから前記植付作業機が植え付けを行う基準苗取量を算出し、
前記制御装置は、植付作業した実作業面積及び実作業面積に対して使用された苗マット使用数に基づく補正量を加味して前記基準苗取量を変更可能であることを特徴とする苗移植機。 - 前記制御装置は、植付作業した実作業面積及び実作業面積に対して使用された苗マット使用数に基づいて前記基準苗取量の前記補正量を算出することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
- 前記植付作業機は、前記苗載台の縦方向での苗取量である縦取量と、前記苗載台の横方向での苗取量である横取量とを変更可能であり、
前記制御装置は、前記基準苗取量を変更する場合に、前記縦取量と、前記横取量を変更して前記基準苗取量を変更することを特徴とする請求項1又は2記載の苗移植機。
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