JP7251974B2 - 流木捕捉工の設置方法および設置構造 - Google Patents

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Description

この発明は、流木捕捉工の設置方法および設置構造の技術分野に属し、特には、砂防、治山等の目的で河川の横断方向に構築される堰堤(以下、「砂防堰堤」と総称する。)に対し、その上流側に設置する流木捕捉工(流木捕捉体)に関する。
なお、前記砂防堰堤は、既設、新設を問わず、また、主に不透過型を対象とするが、透過型であっても構わない。
近年、流木捕捉対策工が進められており、下流側での災害をより効率よく防止するべく、前記砂防堰堤に流木捕捉工(流木捕捉機能)を付設することが要請されている。
しかし、前記砂防堰堤に前記流木捕捉工を後付けで設置する場合、前記砂防堰堤自体の強度が不足するためにコンクリートを増し打ちする必要があり、また、増し打ちしないときは設置できる大きさに限界があるため十分な流木の捕捉能力を得ることが困難である等、種々の問題があった。
そこで、前記砂防堰堤の上流側に、前記砂防堰堤とは切り離した構造の流木捕捉工を設置する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記特許文献1には、同文献1の図2が分かりやすいように、堰堤2の上流側の堆砂域に、前記堰堤2とは切り離した構成の捕捉体(流木捕捉工)3が開示されている。
この捕捉体3は、堰堤2の延在方向に沿って延在する1本の梁部31と、この梁部31の延在方向に沿って所定間隔おきに複数個連結された柱部32と、柱部32を保持する基礎部33とが一体的に構成されている。前記基礎部33は、前記複数の柱部32をすべて一纏めに立設する構成の広大な規模の連続する底版コンクリートで形成されている(詳しくは、明細書の段落[0026]参照)。
前記特許文献1によれば、既設の堰堤2に手を加えることなく、捕捉体3を効果的に設置でき、工事にかかるコストや時間を抑えることができる旨の記載が認められる(明細書の段落[0021](発明の効果)参照)。
特開2017-72020号公報
ところで、砂防堰堤とは切り離した構成で流木捕捉工を実施する場合、流木捕捉工を構成する個々の流木捕捉体は、前記砂防堰堤の設置部位にかかわらず、河川を流下する流木を効果的に捕捉できる部位に自在に設置できる構成であることが好ましい。
にもかかわらず、前記特許文献1に係る捕捉体(流木捕捉工)3は、前記複数の柱部32を一纏めに一つの基礎部33に規則的に立設する構成であるがゆえに、自在性がないに等しく、河川を流下する流木を効果的に捕捉できる構造であるとは到底云えなかった。
また、堰堤2の上流側の堆砂域は地盤が緩いため、不同沈下が発生した場合は、この影響が前記基礎部33の全体に及ぶので、捕捉体(流木捕捉工)3が機能しなくなることが懸念された。
さらには、捕捉体(流木捕捉工)3の補修工事も大掛かりなものとなり大変煩わしかった。
本発明は、上述した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、堆砂域に設置される流木捕捉工を、各々が独立した基礎を有して自立する構造の流木捕捉体で構成することにより、前記堆砂域の地形や性状に応じて河川を流下する流木を効果的に捕捉できる部位に自在に設置できる等、対策の必要な箇所に最適な配置で設置できる自在性に非常に優れた流木捕捉工の設置方法および設置構造を提供することにある。
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る流木捕捉工の設置方法は、堆砂域に設置される流木捕捉工の設置方法であって、
前記流木捕捉工は、複数の流木捕捉体からなり、各流木捕捉体は、前記堆砂域に設ける基礎と前記基礎に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材とからなり、前記基礎は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材と、前記閉断面空間内に充填される中詰材とからなり、前記流木捕捉柱部材は、前記閉断面空間内に設けられ前記中詰材内に固定される鞘管内に挿入して立設されてなり、各々の流木捕捉体を独立して自立する構成で設置することを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した流木捕捉工の設置方法において、前記堆砂域の地形に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体の個数と配置箇所を定めると共に、前記配置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて前記流木捕捉体の前記基礎および前記流木捕捉柱部材の大きさを適宜調整して設置することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した流木捕捉工の設置方法において、前記流木捕捉工は、砂防堰堤の上流側の堆砂域に設置することを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法において、隣接する流木捕捉体の流木捕捉柱部材同士の間隔を、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に設定することを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法において、前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体は、配置箇所の堆砂域の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材の天端の高さを所定の寸法に揃えることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法において、前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体は、配置箇所の堆砂域の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材の天端の高さを河川横断方向の中央部に配置するものは低く設定し、端部に向かって漸次又は段階的に高く設定することを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法において、前記複数の流木捕捉体は、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置することを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法において、前記複数の流木捕捉体は、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設けることを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法において、前記複数の流木捕捉体は、略扇形状又は略逆扇形状を形成する配置に離間して設けることを特徴とする。
請求項10に記載した発明に係る流木捕捉工の設置構造は、堆砂域に設置される流木捕捉工の設置構造であって、前記流木捕捉工は、1つ又は複数の流木捕捉体からなり、前記流木捕捉体は、前記堆砂域に設ける基礎と前記基礎に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材とからなり、前記基礎は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材と、前記閉断面空間内に充填される中詰材とからなり、前記流木捕捉柱部材は、前記閉断面空間内に設けられ前記中詰材内に固定される鞘管内に挿入して立設されてなり、独立して自立する構成で設置されていることを特徴とする。
請求項11に記載した発明は、請求項10に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記堆砂域の地形に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体の個数と配置箇所の設計にしたがい、さらに前記配置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて前記基礎および前記流木捕捉柱部材の大きさが適宜調整された流木捕捉体が設置されていることを特徴とする。
請求項12に記載した発明は、請求項10又は11に記載した流木捕捉工の設置構造において、前記流木捕捉体は、前記基礎から下方に突出して前記堆砂域に埋設する杭基礎を備えていることを特徴とする。
本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造によれば以下の作用効果を奏する。
(1)流木捕捉工を構成する各流木捕捉体を、砂防堰堤とは切り離した構造で堆砂域(堆砂敷)に設置できることはもとより、隣接する流木捕捉体同士も切り離した構造で堆砂域に設置でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない。
よって、使用するコンクリート量を抑制でき、対策の必要な箇所に最適な配置で流木捕捉体を複数設置できる(図1、図2等参照)等、施工性、経済性、及び自在性に優れた流木捕捉工の設置方法および設置構造を実現できる。
(2)流木捕捉体の形態は、堆砂域の地形(図9、図13参照)に応じて適宜設計変更可能であり、流木捕捉体の配置は、設置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて、単配置でも複数配置でもよく、複数配置の場合はランダム配置のほか、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置できるし(図1等参照)、略扇形状(図2A等参照)又は略逆扇形状(図2B等参照)を形成する配置に離間して設置できるし、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設置することもできる。また、例えば、堆砂域の地形や設置箇所の堆砂域の性状に応じて図14に係る流木捕捉体と図20Bに係る流木捕捉体と図24に係る流木捕捉体と図27に係る流木捕捉体とを混在させて実施することもできる。
(3)独立基礎形式で実施しているので、流木捕捉体が沈下又は倒れを生じても、他の流木捕捉柱体に影響を与えることはない。損傷した場合は、損傷した流木捕捉体を補修することで対応できるので、経済的かつ合理的である。
(4)独立基礎形式で実施しているので、隣接する流木捕捉体の構築作業の進捗状況等に一切左右されることなく構築でき、流木捕捉体の設置の順序にも制約がなく、複数年にわたる分割施工や施設の追加、撤去を容易に行うことができる。
(5)前記流木捕捉体を、いわゆる杭基礎構造で実施する場合(請求項13記載の発明)、流水抵抗力を効果的に高めることができるので、流木捕捉体自体のコンパクト化を実現できる。よって、経済姓、自在性に優れている。
(6)例えば、ライナープレートで実施する場合は、土留め、仮締め切りが可能で地下水を有する現場でもポンプアップが容易となりドライ施工も可能で施工性に優れている。
本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造の実施例を概略的に示した平面図である。 A、Bは、本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図である。 A、Bは、本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 A~Cはそれぞれ、本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造の実施例を上流側からみたバリエーション図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 Aは、砂防堰堤の上流側に設置した流木捕捉工の設置方法および設置構造の異なる実施例を概略的に示した平面図であり、Bは、同立面図である。 A、Bはそれぞれ、本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造の実施例を上流側からみたバリエーション図である。 Aは、前記流木捕捉工を構成する流木捕捉体の実施例1(図1、図2、図4~図6参照)を示した立面図であり、Bは、同平面図である。 Aは、図14に係る流木捕捉体のコンクリートを充填する前段階を示した平面図であり、Bは、Aの支保部材(H形鋼)のB-B線矢視断面図である。 Aは、図14に係る流木捕捉体のコンクリートを充填する前段階を示した斜視図であり、Bは、Aとは異なる実施例を示したバリエーション図である。 A~Cは、流木捕捉柱部材を鞘管に取り付ける手法を段階的に示した説明図であり、DとEは、Cの要部を示した平断面図である。 Aは、図15とは異なる手段で鞘管を支持するバリエーション(実施例2)を示した平面図であり、Bは、Aの支保部材(H形鋼)のB-B線矢視断面図である。 図18に係る流木捕捉体のコンクリートを充填する前段階を示した斜視図である。 Aは、流木捕捉工を構成する流木捕捉体の実施例3(図3B、図8参照)を側面方向からみた立面図であり、Bは、同正面方向からみた立面図である。 Aは、図20Aの平面図であり、Bは、図20Bについてコンクリートを充填する前段階を示した平面図である。 Aは、流木捕捉工を構成する流木捕捉体の実施例4(図3A、図7参照)を側面方向からみた立面図であり、Bは同立断面図である。 Aは、流木捕捉工を構成する流木捕捉体の実施例4を正面方向からみた立面図であり、Bは同立断面図である。 Aは、図23に係る流木捕捉体のコンクリートを充填する前段階を示した平面図であり、Bは、同コンクリートの充填後を示した平面図である。 図22に係る流木捕捉体のコンクリートを充填する前段階を示した斜視図である。 前記流木捕捉体の異なる実施例を示した立断面図である。 Aは、流木捕捉工を構成する流木捕捉体の実施例5(図1、図2、図10参照)を示した立面図であり、Bは、同立断面図であり、Cは、同平面図である。 流木捕捉工を構成する流木捕捉体の実施例6を示した立面図である。 Aは、図28に係る流木捕捉体の杭基礎と流木捕捉柱部材との接合部を正面方向から拡大して示した説明図であり、Bは、AのB-B線矢視断面図である。 Aは、図28に係る流木捕捉体の杭基礎と流木捕捉柱部材との接合部を側面方向から拡大して示した説明図であり、Bは、AのB-B線矢視断面図である。 図28に係る流木捕捉体の杭基礎の突き出し寸法を長く調整したバリエーション図である。 図28に係る流木捕捉体の杭基礎の突き出し寸法を更に長く調整したバリエーション図である。 本発明に係る流木捕捉体の実施例7を示した立面図である。 本発明に係る流木捕捉体の実施例7のバリエーションを示した立面図である。
次に、本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る流木捕捉工の設置方法は、図1~図13に例示したように、堆砂域10に設置される流木捕捉工の設置方法であって、前記流木捕捉工は、複数の流木捕捉体1からなり、各流木捕捉体1は、前記堆砂域10に設ける基礎2と前記基礎2に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材3とからなり、各々の流木捕捉体1を独立して自立する構成で設置することを特徴とする。具体的に、本実施例では、前記堆砂域10の地形9(図9、図13参照)に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体1の個数と配置箇所を定めると共に、前記配置箇所の堆砂域10の強度や高さ等の性状に応じて前記流木捕捉体1の前記基礎2および前記流木捕捉柱部材3の大きさを適宜調整して設置している。
また、本発明に係る流木捕捉工の設置構造は、やはり図1~図13に例示したように、堆砂域10に設置される流木捕捉工の設置構造であって、前記流木捕捉工は、1つ又は複数の流木捕捉体1からなり、前記流木捕捉体1は、前記堆砂域10に設ける基礎2と前記基礎2に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材3とからなり、独立して自立する構成で設置されていることを特徴とする。具体的に、本実施例では、前記堆砂域10の地形9に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体1の個数と配置箇所の設計にしたがい、さらに前記配置箇所の堆砂域10の強度や高さ等の性状に応じて前記基礎2および前記流木捕捉柱部材3の大きさが適宜調整された流木捕捉体1が設置されている。
ちなみに図中の符号Sは元渓床面(元渓床勾配)を示し、符号Tは堆砂面(堆砂勾配)を示している。
要するに、本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造は、堆砂域10に設置される流木捕捉工を、各々が独立した基礎2を有して自立する構造の流木捕捉体1で構成することにより、砂防堰堤20の存在の有無にかかわらず(例えば、図1と図4Aとを対比して参照)、前記堆砂域10の地形9や性状に応じて河川を流下する流木を効果的に捕捉できる部位に自在に設置できる等、対策の必要な箇所に最適な配置で設置する技術的思想に立脚している。
前記流木捕捉体1は、その外観的特徴から、基礎2と流木捕捉柱部材3とからなる流木捕捉体11(図4~図9参照)と、基礎2と流木捕捉柱部材3と杭基礎4とからなる流木捕捉体21(図10~図13参照)に大別される。
よって、先ずは、前記流木捕捉体11の構造(特には内部構造)について実施例1~4で詳しく説明し、次に、前記流木捕捉体21の構造(特には内部構造)について、実施例5~7で詳しく説明し、最後に改めて前記流木捕捉体11、21からなる流木捕捉工の設置方法および設置構造について説明する。ちなみに、流木捕捉工を構成するにあたり、地形9や堆砂域10によっては前記流木捕捉体1を1つ(1体)のみ設置すれば足りる場合もあるが、この実施例については図示を省略する。
(前記流木捕捉体11の構造についての説明)
図1、図2、図4~図6に示した前記流木捕捉体11は、図14に示したように、前記基礎2を、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12と前記閉断面空間内に充填される中詰材(図示例ではコンクリート)13とで構成し、前記中詰材13に固定される鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を挿入して立設してなる構造で実施されている。
前記閉断面形成部材12は、本実施例では、所要の強度・剛性を備えた複数のセグメント12を連結してなる構成で実施されている。より具体的には、一例として、外径が2m程度の円筒形を周方向に略4等分割したに等しい弧状に形成され、その上下左右の端部には内側に突出するフランジが設けられた、高さが50cm程度のライナープレート12で実施されている。
前記図14に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に4体、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が2m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。そして、前記円筒形状に形成したライナープレート12の天端部には、前記ライナープレート12と同様の曲率で湾曲された断面H形状の金属製の補強リング16がボルト(図示略)で留め付けられている。ちなみに図示例に係る補強リング16は、外径が2m程度の円筒形を周方向に略4等分割したに等しい弧状に形成した4つの補強リング片16aからなり、隣接する補強リング片16a、16a同士は連結プレート17で連結されている。
なお、前記閉断面形成部材(ライナープレート)12の形状や大きさは前記に限定されず、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。例えば、図6B、図9Aに示す実施例では、前記ライナープレート12を軸方向に10体を千鳥状にフランジ接続した高さが5m程度の閉断面形成部材12(流木捕捉体11)を構築している。ちなみに5m程度の高さの閉断面形成部材12をライナープレート12で構築する場合は通常、逆巻き工法で構築される。
もっとも、前記閉断面形成部材12を構成する部材は前記ライナープレート12に限定されず、閉断面空間を形成できる所要の強度、剛性を備えた部材であればよい。例えば、鋼製セグメント、PCセグメント、コルゲートパイプ、鋼板セル、鋼矢板セル、大口径管、又は型枠でも同様に実施できる。前記型枠で実施する場合は、コンクリート13の養生後に撤去(脱型)することができる。
以下に説明する実施例についても同様の技術的思想とする。
前記中詰材13は、本実施例ではコンクリート13で実施しているがこれに限定されず、ソイルセメント、現地発生土(礫・栗石・砕石等の石を含む。)でも同様に実施できる。例えば、前記閉断面空間内の鞘管14の下面付近までは前記現地発生土を充填し、前記現地発生土の上にコンクリート13を充填するような混合タイプでも勿論実施できる。
前記鞘管14は、角形鋼管とベースプレートとからなる金属製の有底筒状で実施されており、前記閉断面形成部材12が形成する閉断面空間内に充填するコンクリート13により、前記閉断面空間の略中央の上方部に固定される。より具体的には、充填するコンクリート13が鞘管14の内部に入り込まないように前記鞘管14の上端(天端)が前記コンクリート13の表面と略面一に埋め込まれる部位に位置決めされる。
本実施例に係る鞘管14の大きさは一例として、高さが650mm程度、ベースプレートの一辺が700mm程度、ベースプレート上面の角形鋼管部の幅が500mm程度、肉厚が9mm程度で実施されている。
なお、本実施例では、図15と図16Aに示したように、前記鞘管14の側面から四方(平面視十字状)へ突き出すように支保部材(H形鋼)18が溶接等の接合手段で一体的に設けられている。前記閉断面空間内へのコンクリート13の打設作業を1回で完了させるための工夫であり、これについては後述する。ちなみに、各支持部材18の先端には予め前記連結プレート17が溶接等の接合手段で一体的に設けられており、前記補強リング16の取り付け作業とほぼ同時期に前記鞘管14の位置決め作業が行われる。
また、前記補強リング16は必須の部材ではない。前記補強リング16の代わりに縦梁37(図25等参照)を用いても同様に実施できるし、そもそも閉断面形成部材12を床掘り(オープンカット)工法で設置する場合は前記補強リング16や縦梁37を用いなくても実施できる。
また、前記鞘管14は、本実施例では前記閉断面空間の平面視略中央部に固定しているがこれに限定されず、平面視で上下左右に偏倚させた位置に固定することも勿論できる。本実施例の場合は、前記支保部材18の長さを適宜調整することにより簡単に実現することができる。
さらに、前記支保部材18は前記H形鋼のほか、アングル(L形鋼)、C形鋼等の種々の形鋼で実施できる。ちなみに図16Bに係る支保部材18にはアングル18が用いられ、その先端部にC形鋼17aを一体的に設け、ライナープレート12の上フランジに補強リング16を用いることなく前記C形鋼17aを直接被せる(掛け止める)ように位置決めし、ボルト(図示略)で留め付ける構成で実施している。
前記流木捕捉柱部材3は、金属製の丸形鋼管で実施されており、前記鞘管14に脱着可能に挿入され、鉛直に起立する姿勢で立設される。
本実施例に係る流木捕捉柱部材3の大きさは一例として、頂部の吊り金具を含めた高さが2800mm程度、丸形鋼管部の外径が320mm程度、肉厚が10mm程度で実施されている。
前記鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を挿入して立設する構成について更に説明すると、本実施例では、図17に例示したように、前記流木捕捉柱部材3は、その外周面に径方向へ対照配置に突き出した2つの鉛直部材31を備えており、前記鞘管14は、その内壁面の対向する2辺に前記流木捕捉柱部材3の鉛直姿勢を保持するための水平部材32と、前記水平部材32に垂設されたストッパ部材33とを備えている。
前記鉛直部材31、水平部材32、及びストッパ部材33の位置関係は、図17A~Cに段階的に示したように、前記鞘管14内へ前記流木捕捉柱部材3の下端部を鉛直に建て込み、反時計回り(又は時計回り)に回動させると、前記流木捕捉柱部材13の鉛直部材31、31が前記ストッパ部材33、33に同時に突き当たって引き抜き不能となる構成で実施されている(図17D、Eも参照)。前記鞘管14の内側面と前記流木捕捉柱部材3の外周面との間に形成された隙間には適宜、現地発生土や砂が充填される。
なお、前記鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を挿入して立設する構成はもちろん前記に限定されず、前記鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を安定した姿勢で脱着可能に立設できることを条件に適宜設計変更可能である(例えば、本出願人が既に出願し国際公開されたWO2013/042735等を参照)。
ちなみに、前記鉛直部材31、水平部材32、及びストッパ部材33は、図17以外の図面では図示の便宜上適宜省略していることを念のため特記しておく。
前記流木捕捉体11を構築するには、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12を立設する工程と、前記閉断面形成部材12を利用して前記閉断面形成部材12の内壁部に支保部材18を取りつけて前記支保部材18に有底筒状の鞘管14を支持させる工程(図15、図16A参照)と、前記閉断面空間内に中詰材(図示例ではコンクリート)13を充填して前記鞘管14を固定すると共に、前記鞘管14内に流木捕捉柱部材3を挿入して立ち上げる工程(図14等参照)とからなる。
前記閉断面形成部材12は、本実施例のようにライナープレート12で実施する場合、周方向および軸方向にフランジ接続して立体的に組み立てる。なお、図示例に係る閉断面形成部材12は平面的にみて円形状で実施しているが、小判形状(図7等参照)や矩形状で実施することもできる。また、図示例に係る閉断面形成部材12は、2m程度の高さで実施しているので、通常、床掘り(オープンカット)工法で実施されるが、図6B、図9Aに5m程度の高さの閉断面形成部材12(流木捕捉体11)を例示したように、2mを超えるような閉断面形成部材12を構築する場合は逆巻き工法で実施することが好ましい。その他、ライナープレート12以外の部材(前記段落[0028]参照)で実施する場合は、個々の部材の特性に応じた手法で閉断面形成部材12を構築する。
以下に説明する実施例についても同様の技術的思想とする。
本実施例では、前記ライナープレート12で所要の大きさの円筒形状に組み立てた後、その天端部に前記補強リング片16aからなる補強リング16を設置している(前記段落[0027]参照)。
そして、隣接する補強リング片16a、16a同士の外周面と内周面とをそれぞれ連結プレート17、17で連結する作業を行う際に、前記鞘管14を前記閉断面空間内の略中央の上端部に位置決めして取り付ける。
前記鞘管14は、前記段落[0030]で説明したように、その角形鋼管部の側面(の上端部中央位置)から四方へ突き出すように支保部材18(H形鋼)が溶接等の接合手段で一体的に設けられ、さらに前記支保部材18の先端に連結プレート17が溶接等の接合手段で一体的に設けられてユニット化されている。
よって、前記構成のユニット化した鞘管14の位置決め作業は、前記支保部材18が間隔保持部材(スペーサー)の役割を果たすのでスムーズに行うことができる。かくして、前記鞘管14を前記閉断面空間内の略中央の上端部に位置決めした後は、前記支保部材18の先端の連結プレート17を前記隣接する補強リング片16a、16a同士の突き合わせ部に跨がるように当てがい、前記連結プレート17及び前記補強リング片16a、16aに予め穿設しておいたボルト通し孔の芯を一致させてボルト19を通し(図15B参照)、ナットで締結して取り付ける。この取り付け作業を、前記支保部材18の数量(図示例では4本)に応じて行い、もって、本実施例では、前記鞘管14を閉断面空間内の略中央の上方部に固定する。前記補強リング16を含めた閉断面形成部材12の天端と前記鞘管14の上端(天端)は、図15B、図16Aから分かるように、略同じ高さレベルに揃えられている。
なお、前記ボルト19を通すためのボルト通し孔(図示略)を微調整可能なルーズ孔(長孔)に形成する等の工夫は適宜行われるところである。
次に、前記鞘管14が取り付けられた閉断面空間内にコンクリート13を充填(打設)する。本実施例に係るコンクリート13は、前記閉断面形成部材12および前記鞘管14の天端まで、さらにいえば、前記支保部材18(の上フランジ)が表面から見えなくなる程度まで充填する。この充填作業と相前後して、前記鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を挿入して立設する(詳しくは前記段落[0032]参照)。
上記した流木捕捉体11の構築工法によれば、コンクリート13を充填する前に、予め、閉断面空間内に有底筒状の鞘管14を所定部位に位置決め固定しておくことができるので、閉断面空間内へのコンクリート13の打設作業を1回で完了させることができる。
ちなみに、コンクリート13の打設作業を2回で完了させる場合は、前記閉断面形成部材12を立設する工程の後、前記閉断面空間内の所定高さまでコンクリート13を充填する工程を行い、前記コンクリート13の養生後、前記コンクリート13の上面に鞘管14を位置決めする工程を行い、次に、前記コンクリート13の上面に更にコンクリート13を前記閉断面形成部材12および前記鞘管14の天端まで充填して前記鞘管14を固定すると共に、前記鞘管14内に流木捕捉柱部材3を挿入して立ち上げる。
したがって、上記した流木捕捉体11の構築工法により構築した流木捕捉体11は、1体あたりの径が2m程度(2m程度以上でも可)の独立基礎形式で堆砂域10に設置できるので、隣接する流木捕捉体11、11同士は切り離した構造で実施でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない。
よって、使用するコンクリート量を抑制でき、対策の必要な箇所に最適な配置で流木捕捉体11を設置できる(図1、図2、図4~図6参照)。
具体的に、流木捕捉体11の形態は、堆砂域10の地形9(図9参照)に応じて適宜設計変更可能であり、流木捕捉体11の配置は、設置箇所の堆砂域10の強度や高さ等の性状に応じて、単配置でも複数配置でもよく、複数配置の場合はランダム配置のほか、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置できるし(図1等参照)、略扇形状(図2A等参照)又は略逆扇形状(図2B等参照)を形成する配置に離間して設置できるし、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設置することもできる。
ちなみに、隣接する流木捕捉体11の設置間隔は、前記流木捕捉柱部材同士3、3の間隔が、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に離間するように設置することが好ましい。
図18と図19は、実施例2に係る流木捕捉体11を示している。
この実施例2に係る流木捕捉体11は、上記実施例1と比し、前記鞘管14を前記閉断面形成部材12へ取り付ける支保部材18の構成が相違する。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
すなわち、この実施例2に係る流木捕捉体11の支保部材は、前記鞘管14を間に挟むように平行な長短の支保部材(H形鋼)34、35を縦横(略井桁状)に組む構成で実施され、前記鞘管14は、支保部材34、35のうちのいずれか(図示例では短い方の平行な支保部材35)とアングル36を介して溶接等の接合手段で一体的に設けてユニット化されている。
前記長い方の平行な支保部材34、34は、前記閉断面形成部材12(補強リング16)の内周壁に架設可能な長さで実施され、その先端部には前記補強リング16aと同様の曲率で湾曲する取付プレート34aが溶接等の接合手段で一体的に設けられている。一方、前記短い方の平行な支保部材35、35は、前記支保部材34、34に十分に届く程度の長さで実施され、本実施例では、前記支保部材34、34とフランジ接合手段で一体化されている。
なお、前記補強リング16は必須の部材ではないこと、前記鞘管14の設置位置は平面視略中央部に限定されないこと、及び前記支保部材34、35は前記H形鋼のほか、アングル(L形鋼)、C形鋼等の種々の形鋼で実施できることは前記した通りである(前記段落[0030]参照)。
この実施例2に係る流木捕捉体11の構築工法は、上記実施例1に係る流木捕捉体11の構築工法と同様の手順で行われる(前記段落[0034]~[0039]参照)。また、コンクリート13を前記支保部材34が表面から見えなくなる程度まで充填した後の流木捕捉体11は上記実施例1に係る流木捕捉体11と外形上(外観上)違いがない。
したがって、この実施例2に係る流木捕捉体11の構築工法により構築した流木捕捉体11は、上記実施例1に係る流木捕捉体11と外形上違いがないので、上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記[0041]参照)。
図20、図21は、図3B、図8に係る流木捕捉体11を示している。
この実施例3に係る流木捕捉体11は、上記実施例1、2と比し、閉断面空間の平面積をより広く形成して閉断面空間内に2本の流木捕捉柱部材3を設けた点、および補強リング16の設置部位を一段下げた点が主に相違する。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
すなわち、本実施例3に係る閉断面形成部材12は、一例として、外径が4.5m程度の円筒形を周方向に略9等分割したに等しい弧状に形成され、その上下左右の端部には内側に突出するフランジが設けられた、高さが50cm程度のライナープレート12で実施されている。
図示例に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に9体、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が4.5m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。前記円筒形状に形成したライナープレート12のうち最上段とその1つ下の段のライナープレート12、12の間には、前記ライナープレート12と同様の曲率で湾曲された断面H形状の金属製の補強リング16がボルトで留め付けられている。ちなみに図示例に係る補強リング16は、外径が4.5m程度の円筒形を周方向に略4等分割したに等しい弧状に形成した4つの補強リング片16aからなり、隣接する補強リング片16a、16a同士は連結プレート17で連結されている。
前記鞘管14は、閉断面空間内に、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に離間して2つ設置されている。前記2つの鞘管14を支持する支保部材は、本実施例では、図21Bに示したように、前記離間した2つの鞘管14、14をそれぞれ間に挟むように平行な長短の支保部材(H形鋼)34、35を縦横に組む構成で実施され、前記鞘管14は、支保部材34、35のうちのいずれか(図示例では短い方の平行な支保部材35)の上面に鞘管14のベースプレートをバランスよく載置してボルト等の接合手段で一体的に設けてユニット化されている。また、前記鞘管14は、上記実施例1と同様に、充填するコンクリート13が鞘管14の内部に入り込まないように前記鞘管14の上端(天端)が前記コンクリート13の表面と略面一に埋め込まれる部位に位置決めされる。
前記長い方の平行な支保部材34、34は、前記閉断面形成部材12(補強リング16)の内周壁に架設可能な長さで実施され、その先端部には、前記補強リング16aと同様の曲率で湾曲する取付プレートを溶接等の接合手段で一体的に設けられている。一方、前記短い方の平行な支保部材35、35は、前記支保部材34、34に十分に届く程度の長さで実施され、本実施例では、前記支保部材34、34とフランジ接合手段で一体化されている(図19を援用して参照)。
この実施例3に係る流木捕捉体11の構築工法は、上記実施例1、2に係る流木捕捉体11の構築工法と同様の手順で行われるものの、前記したような相違点も認められるので前記相違点を中心に以下に説明する。
すなわち、本実施例3に係る流木捕捉体11の構築工法は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12を立設する工程と、前記閉断面形成部材12を利用して前記閉断面形成部材12の内壁部に支保部材34等を取りつけて前記支保部材34等に有底筒状の鞘管14を2つ支持させる工程(図21B等参照)と、前記閉断面空間内に中詰材(コンクリート)13を充填して前記2つの鞘管14、14を固定すると共に、前記鞘管14、14内にそれぞれ流木捕捉柱部材3、3を挿入して立ち上げる工程(図20B等参照)とからなる。
本実施例では、前記閉断面形成部材12を前記ライナープレート12で所要の大きさの円筒形状に組み立てる際に、最上段とその1つ下の段のライナープレート12、12との間に前記補強リング16(補強リング片16a)をサンドイッチ状に挟み込み、ボルトで留め付ける作業を行う。前記連結プレート17で連結する作業も行う。
前記ユニット化した鞘管14、14の位置決め作業は、前記支保部材34が間隔保持部材(スペーサー)の役割を果たすのでスムーズに行うことができる。前記支保部材34の先端の取付プレートを、対応する補強リング16(補強リング片16a)の内周面に当てがいボルト接合し、もって、前記支保部材35を介して前記鞘管14、14が所定部位に位置決めされる(図21B参照)。前記位置決めされた鞘管14、14の天端は、閉断面形成部材12の天端と略同じ高さレベルに揃えられている。
次に、前記鞘管14、14が取り付けられた閉断面空間内にコンクリート13を充填する。本実施例に係るコンクリート13は、前記閉断面形成部材12および前記鞘管14、14の天端まで、さらにいえば、前記支保部材34(の上フランジ)が表面から見えなくなる程度まで充填する。この充填作業と相前後して、各鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を挿入して立設する(前記段落[0032]参照)。
したがって、上記流木捕捉体11の構築工法により構築した流木捕捉体11は、上記実施例1、2と比し、1体あたりの径が4.5m程度とサイズの違いがある程度で、独立基礎形式で堆砂域10に設置でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない構成に変わりはない。よって、上記実施例1、2と同様の作用効果を奏する(前記[0041]参照)。
なお、前記中詰材13はコンクリート13に限定されないこと、前記補強リング16は必須の部材ではないこと、及び前記支保部材34、35は前記H形鋼のほか、アングル(L形鋼)、C形鋼等の種々の形鋼で実施できることは前記した通りである(前記段落[0029]、[0030]参照)。
また、本実施例3では、前記2つの鞘管14、14にそれぞれ鉛直方向に長い流木捕捉柱部材3、3を挿入して実施しているが、これに限定されない。例えば、図示は省略するが、前記2つの鞘管14、14を河川の流れ方向に、かつ適宜傾けて設け、河川の流れ方向へ開脚する構成の側面視A字形状(いわゆるA型スリットダム)、又は入字形状等の流木捕捉柱部材の脚部を挿入して立設して実施することもできる。
図22~図25は、図3A、図7に係る流木捕捉体11を示している。
この実施例4に係る流木捕捉体11は、上記実施例1~3と比し、前記閉断面形成部材12を、平面的にみて小判形状に形成して実施している点が主に相違する。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
前記小判形状の閉断面形成部材12は、従来工法と同じように、弧状のライナープレート12と直線状のライナープレート12とを適宜組み合わせて構築され、本実施例では一例として、短辺部が2m程度、長辺部が3.6m程度、高さが1.5m程度の大きさで実施されている。また、前記小判形状の閉断面形成部材12は、閉断面空間の形態を保持するための補強用の縦梁37及び切梁38が取りつけられる構造で、前記縦梁37及び切梁38を利用して鞘管14を所定部位(略中央の上方部)に位置決めする構成で実施される。
前記鞘管14は、図25が分かりやすいように、2本の平行な支保部材(長尺のアングル)39、39で挟持される構成で、前記支保部材39、39とアングル41、41を介して溶接等の接合手段で一体的に設けてユニット化されている。
本発明に係る流木捕捉体11の構築工法は、上記実施例1~3と同様に、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12を立設する工程と、前記閉断面形成部材12を利用して前記閉断面形成部材12の内壁部に支保部材39を前記縦梁37及び切梁38を介して取りつけて前記支保部材39に有底筒状の鞘管14を支持させる工程(図25等参照)と、前記閉断面空間内に中詰材(コンクリート)13を充填して前記鞘管14を固定すると共に、前記鞘管14内に流木捕捉柱部材3を挿入して立ち上げる工程(図22等参照)とからなる。
具体的に、前記閉断面形成部材12を前記弧状のライナープレート12と直線状のライナープレート12とを適宜組み合わせて構築する場合は、小判形状に形成した閉断面形成部材12の対向する2つの平行な直線部の両端部の4箇所に、長方形の頂点に相当する配置で、天端部に取付プレート40を備えた前記縦梁(図示例ではC形鋼)37を建て込む。そして、前記取付プレート40を最上段のライナープレート12の天端部にボルト接合することにより前記縦梁37を前記閉断面形成部材12に固定する。また、短辺方向に対応する縦梁37、37の間に前記切梁(図示例では長尺のアングル)38を上下二段配置で架設し、もって閉断面形成部材12(閉断面空間)の形態が保持される。
次に、前記ユニット化した鞘管14を、前記切梁38を利用して位置決めする。前記ユニット化した鞘管14の固定作業は、前記支保部材(長尺のアングル)39、39の両端部をそれぞれ前記平行な切梁38、38の上面に載置してボルト等の接合手段で接合することにより行う。前記位置決め固定された鞘管14の天端は、閉断面形成部材12の天端と略同じ高さレベルに揃えられている。なお、前記ボルト接合するためのボルト通し孔を微調整可能なルーズ孔(長孔)に形成する等の工夫は適宜行われるところである。
しかる後、前記閉断面空間内にコンクリート13を充填して前記鞘管14を固定すると共に、前記鞘管14内に流木捕捉柱部材3を挿入して立ち上げる。
したがって、上記流木捕捉体11の構築工法により構築した流木捕捉体11は、上記実施例1~3と比し、閉断面形成部材12の平面形状は異なるものの、独立基礎形式で堆砂域10に設置でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない構成に変わりはない。よって、上記実施例1~3と同様の作用効果を奏する(前記[0041]参照)。
なお、前記中詰材13はコンクリート13に限定されない(前記段落[0029]参照)。前記縦梁37や切梁38は、C形鋼やアングルのほか、H形鋼でも勿論実施可能である。
以上、実施例1~4に係る前記流木捕捉体11を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、実施例1~4に係る流木捕捉体11は、鞘管14を必須の構成要件とすることで前記流木捕捉柱部材3の脱着可能(取替可能)な構成で実施しているが、前記流木捕捉柱部材3の取り替えを予定していない場合は、図26に示したように、鞘管14を用いることなく、基礎2(閉断面形成部材12)と流木捕捉柱部材3とコンクリート13とからなるシンプルな構成で実施することもできる。
(前記流木捕捉体21の構造についての説明)
図1、図2、及び図10に示した前記流木捕捉体11は、図27に示したように、前記基礎2を、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12と、前記閉断面空間内に充填される中詰材(図示例ではコンクリート)13と、前記閉断面空間から下方に突出して中詰材13に固定される杭基礎4と、前記閉断面空間から立ち上がり前記中詰材13に固定される流木捕捉柱部材3とからなる。
なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
前記閉断面形成部材12は、本実施例では、所要の強度・剛性を備えた複数のセグメント12を連結してなる構成で実施されている。より具体的には、一例として、外径が2.5m程度の円筒形を周方向に略5等分割したに等しい弧状に形成され、その上下左右の端部には内側に突出するフランジが設けられた、高さが50cm程度のライナープレート12で実施されている。
図27に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に5体(図27C参照)、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が2.5m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。
前記杭基礎4は、堆砂域10に設置される前記閉断面形成部材12よりも下方へ根入れする構成で実施することにより流水抵抗力を高め、河川の水力に対して合理的かつ効果的に抵抗するために設けられる。よって、閉断面形成部材12のコンパクト化を合理的に実現できる。本実施例では、一例として、外径が320mm程度、高さが2600mm程度の丸形鋼管が用いられ、その上半部分が前記閉断面形成部材2(閉断面空間)の内部に位置決めされ、下半部分が堆砂域10に根入れする(埋め込む)構成で実施される。
また、本実施例では、前記杭基礎4の上端部に、前記流木捕捉柱部材3を脱着可能に挿入して立設するための前記鞘管14が溶接等の接合手段で一体的に設けられている。
前記鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を挿入して立設する構成等については、既に説明した通りである(前記段落[0032]、[0033]参照)。
前記流木捕捉体21を構築するには、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12を立設すると共に、上端部に有底筒状の鞘管14を備えた杭基礎4を前記閉断面空間から下方に突出する構成で設置する工程と、前記閉断面空間内に中詰材(図示例ではコンクリート)13を充填して前記杭基礎4及び前記鞘管14を固定すると共に、前記鞘管14内に流木捕捉柱部材3を挿入して立ち上げる工程とからなる。
前記閉断面形成部材12の形態については、上記実施例1で説明したとおりである(前記段落[0035]参照)。また、前記閉断面形成部材12を、前記図3A、図11に示したような平面的にみて小判形状に形成する場合は、前記閉断面形成部材12の形態を保持するために通常行われる支保部材を必要に応じて適宜設置して行う。
前記杭基礎4は、その上端部に鞘管14(の底面)と溶接等の接合手段で一体化されており、前記閉断面形成部材12の構築作業と並行又は相前後して、前記閉断面空間内の略中央部に位置決めし、堆砂域10に鉛直姿勢で根入れすると共に前記根入れ部分の周囲にコンクリート7を打設している。この作業の際に前記鞘管14の上端と前記閉断面形成部材12の上端は略揃えておく。
なお、本実施例では、前記根入れ寸法(閉断面空間より下方の突き出し寸法)を1300mm程度で実施しているが、杭基礎4を根入れする堆砂域10の強度や要求される流木捕捉体21の剛性等の構造設計に応じて適宜増減可能である。
また、本実施例では、前記杭基礎4の立設状態の安定化を図るべくコンクリート7を打設して固定しているが、コンクリート7の代わりにソイルセメント、現地発生土(礫・栗石・砕石等の石を含む。)でも同様に実施できるし、前記コンクリート7を打設しない場合もある。この判断は、杭基礎4を根入れする堆砂域10の地盤性状(強度等)や要求される流木捕捉体1の剛性等を適宜勘案して決せられる。
かくして、前記閉断面形成部材12は所望の部位に所望の高さで構築され、その閉断面空間の略中央に杭基礎4が立設され、その上端部に一体的に接合された鞘管14の上端と前記閉断面形成部材12の上端とが略同じ高さレベルに揃えられたところで、次に、前記閉断面空間内にコンクリート13を充填(打設)する。本実施例に係るコンクリート13は、前記閉断面形成部材12(及び前記鞘管14)の天端に到達する程度まで充填する。この充填作業と相前後して、前記鞘管14内に前記流木捕捉柱部材13を挿入して立設する(詳しくは前記段落[0032]参照)。
なお、前記杭基礎4及び前記鞘管14の立設位置は、平面的にみて前記閉断面空間の略中央位置に限定されず、適宜設計変更可能である。
したがって、上記した流木捕捉体21の構築工法により構築した流木捕捉体21は、1体あたりの径が2.5m程度(2.5m程度以上でも以下でも可)の独立基礎形式で堆砂域10に設置できるので、隣接する流木捕捉体21、21同士は切り離した構造で実施でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない。
よって、使用するコンクリート量を抑制でき、対策の必要な箇所に最適な配置で流木捕捉体21を複数設置できる(図1、図2、図3A、図10、及び図11参照)。
具体的に、流木捕捉体21の形態は、堆砂域10の地形9(図13参照)に応じて適宜設計変更可能であり、流木捕捉体21の配置は、設置箇所の堆砂域10の強度や高さ等の性状に応じて、単配置でも複数配置でもよく、複数配置の場合はランダム配置のほか、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置できるし(図1等参照)、略扇形状(図2A等参照)又は略逆扇形状(図2B等参照)を形成する配置に離間して設置できるし、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設置することもできる。
ちなみに、隣接する流木捕捉体21の設置間隔は、前記流木捕捉柱部材同士3、3の間隔が、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に離間するように設置することが好ましい。
図28~図32は、実施例6に係る流木捕捉体21を示している。
この実施例6に係る流木捕捉体21は、上記実施例5と比し、前記杭基礎4を前記鞘管14に対して相対移動可能な構成で実施することにより、前記杭基礎4の下方への突き出し寸法を調整可能な構成で実施している点が主に相違する。なお、上記実施例5と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
前記流木捕捉体21は、前記鞘管14のベースプレートの下面に、上下方向に長い左右一対のガイドフレーム8、8が前記杭基礎(丸形鋼管)4を間に挟む配置で垂設されている。前記一対のガイドフレーム8、8と前記杭基礎4との対応する縦軸ラインには、所定の間隔をあけて芯が一致するボルト通し孔8a、4aが複数(本実施例では4個ずつ)設けられている。そして、前記ボルト通し孔8a、4aに支持ボルト5を貫通させ、支持ボルト5の両端部をナット6、6で締結する構成とすることにより、前記杭基礎4が前記一対のガイドフレーム8、8に対して相対移動(上下動)可能に設けられている(図28、図31、図32を対比して参照)。
このように、前記杭基礎4を前記ガイドフレーム8、8、ひいては前記鞘管14に対して相対移動可能な構成で実施する意義、言い換えると、前記杭基礎4の下方への突き出し寸法を調整可能な構成で実施する意義は、主に、現地で床掘りした堆砂域10の地盤性状に応じて仮に基礎高さが深いと判明した場合にも現場で速やかに対応させるためにある。
なお、本実施例に係る前記一対のガイドフレーム8、8は、高さ寸法が1250mm程度の断面コ字形(C形鋼:125×65×6×8mm)の金属製部材で実施され、前記杭基礎4の大きさは上記実施例1と同一の外径が320mm程度、高さが2600mm程度の丸形鋼管で実施されているが、前記寸法はあくまでも一例であり、適宜設計変更可能である。
また、本実施例に係る前記ボルト通し孔4a、8aは、一例として250mmの間隔をあけて等間隔に4個ずつ設けて実施しているがこれに限定されず、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
さらに、前記ボルト通し孔4a、8aに通して前記杭基礎4を支持する支持ボルト5は、安定性のためには本実施例のように上下2段配置で実施することが好ましいが、1段(1本)でも3段(3本)以上でも実施することは可能である。
この実施例6に係る流木捕捉体21の構築工法は、前記杭基礎4を根入れする際に前記突き出し寸法を調整する工程が加わる以外は、上記実施例5と変わりはない。よって、上記実施例5とほぼ同様の手順で行われる(前記段落[0066]~[0069]参照)。また、前記コンクリート13を充填した後の流木捕捉体21は上記実施例5に係る流木捕捉体21と外形上(外観上)違いがない。
したがって、この実施例6に係る流木捕捉体21の構築工法により構築した流木捕捉体21は、上記実施例5に係る流木捕捉体21と外形上違いがないので、上記実施例5と同様の作用効果を奏する(前記[0070]参照)。
図33は、実施例7に係る流木捕捉体21を示している。
この実施例7に係る流木捕捉体21は、上記実施例5、6と比し、鞘管14を設けることなく、前記杭基礎4と前記流木捕捉柱部材3とを直接、機械式継手15により一連にボルト接合している点が相違する。その他、閉断面形成部材2の高さを、ライナープレート12の段数を3段に減らして1.5m程度の高さで実施している点も相違する。なお、上記実施例5、6と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
具体的に、この実施例7に係る流木捕捉体21は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12と、前記閉断面空間内に充填されるコンクリート(中詰材)13と、前記閉断面空間から下方に突出して前記コンクリート(中詰材)13に固定される杭基礎4と、前記閉断面空間から立ち上がり前記コンクリート(中詰材)13に固定される流木捕捉柱部材3とからなり、前記杭基礎4と前記流木捕捉柱部材3とは、機械式継手15で一連に接合されている。
上記構成の流木捕捉体21の構築工法は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12を立設すると共に、前記杭基礎4と一体化した前記流木捕捉柱部材3を、前記閉断面空間を上下に貫通する構成で設置する工程と、前記閉断面空間内にコンクリート(中詰材)13を充填して前記杭基礎4と前記流木捕捉柱部材3を固定する工程とからなる。
なお、前記杭基礎4を設置した後、前記杭基礎4の上端部に流木捕捉柱部材3を接合する作業を行ってもよい。この場合の流木捕捉体21の構築工法は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12を立設すると共に、杭基礎4を前記閉断面空間から下方に突出する構成で設置する工程と、前記杭基礎4の上端部に流木捕捉柱部材3を接合して前記閉断面空間から立ち上げる工程と、前記閉断面空間内にコンクリート13を充填して前記杭基礎4と前記流木捕捉柱部材3とを固定する工程とからなる。
したがって、この実施例7に係る流木捕捉体21の構築工法により構築した流木捕捉体21は、上記実施例5、6に係る流木捕捉体21と外形上、高さ寸法が50cm程度低くなった以外は違いがないので、上記実施例5、6と同様の作用効果を奏する(前記[0070]参照)。
なお、図34に示したように、前記流木捕捉柱部材3を長尺化した一本物とし、前記杭基礎4の役割を兼ねる構成で実施することもできる。この場合、前記閉断面空間を形成する閉断面形成部材2を立設すると共に、前記杭基礎4を兼ねる前記長尺化した流木捕捉柱部材3を、前記閉断面空間を上下に貫通する構成で設置する工程と、前記閉断面空間内にコンクリート13を充填して前記長尺化した流木捕捉柱部材3を固定する工程とからなる。
ところで、上記した流木捕捉体21の構築工法によれば、コンクリート13を充填する前に予め、前記流木捕捉柱部材3を所定の部位に位置決め固定しておくことができるので、閉断面空間内へのコンクリート13の打設作業を1回で完了させることができる。
言い換えると、前記コンクリート13の打設作業を2回に分けて行う場合は、前記流木捕捉柱部材3を予め位置決め固定しておく必要はなく、前記杭基礎4と流木捕捉柱部材3とは分離した状態で実施することもできる。
この場合、前記閉断面形成部材12と前記杭基礎4とを所定の部位に設置した後、前記閉断面空間内の所定の高さまで第1回目のコンクリートの充填作業を行い、前記コンクリートの養生後、養生したコンクリートの上面に流木捕捉柱部材3を鉛直方向に立ち上げて前記閉断面空間の天端まで第2回目のコンクリートの充填作業を行う。
以上、実施例5~7に係る前記流木捕捉体21を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、図12に示した流木捕捉体21のように、閉断面空間の平面積をより広く形成して閉断面空間内に2本の流木捕捉柱部材3を設けて実施することもできる。
この流木捕捉体21に係る閉断面形成部材12は、一例として、外径が4.5m程度の円筒形を周方向に略9等分割したに等しい弧状に形成され、その上下左右の端部には内側に突出するフランジが設けられた、高さが50cm程度のライナープレート12で実施されている。図示例に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に9体、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が4.5m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。前記鞘管14は、閉断面空間内に、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に離間して2つ設置されている。
この図12に係る流木捕捉体21は、上記実施例5~7と比し、1体あたりの径が4.5m程度とサイズの違いがある程度で、独立基礎形式で堆砂域10に設置でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない構成に変わりはない。よって、上記実施例5~7と同様の作用効果を奏する(前記段落[0070]参照)。
(流木捕捉体11、21からなる流木捕捉工の設置方法および設置構造についての説明)
本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造は、上記実施例1~4に係る種々の流木捕捉体11と上記実施例5~7に係る種々の流木捕捉体21とを自在に組み合わせた構成で実施することができる。
よって、堆砂域10に設置される流木捕捉工を、各々が独立した基礎を有して自立する構造の流木捕捉体1(11、21)で構成するので、図1~図13に示したように、砂防堰堤20の存在の有無にかかわらず、前記堆砂域10の地形9や性状に応じて河川を流下する流木を効果的に捕捉できる部位に自在に設置できる等、対策の必要な箇所に最適な配置で設置できる自在性に非常に優れた流木捕捉工の設置方法および設置構造を実現することができる。
より具体的には、図4~図13に示したように、前記流木捕捉工(流木捕捉体1)を、砂防堰堤20の上流側の堆砂域10に自由自在な配置で設置することができるし、また、隣接する流木捕捉体1(11、21)の流木捕捉柱部材3、3同士の間隔を、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に設定して設置することもできる。
例えば、前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体1(11、21)を、配置箇所の堆砂域10の高低差にかかわらず、図9A、B、図13Aに示したように、前記流木捕捉柱部材3の天端の高さを自在に調整して所定の寸法に揃えて設置することもできるし、図9C、図13Bに示したように、配置箇所の堆砂域10の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材3の天端の高さを河川横断方向の中央部に配置するものは低く設定し、端部に向かって漸次又は段階的に高く設定して設置することもできる。
このように、前記流木捕捉工の設置構造の形態は、堆砂域10の地形(図9、図13参照)に応じて適宜設計変更可能であり、流木捕捉体1(11、21)の配置は、設置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて、単配置でも複数配置でもよく、複数配置の場合はランダム配置のほか、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置できるし(図1等参照)、略扇形状(図2A等参照)又は略逆扇形状(図2B等参照)を形成する配置に離間して設置できるし、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設置することもできる。
したがって、堆砂域10の地形9や設置箇所の堆砂域10の性状に応じて図14に係る流木捕捉体11と図20Bに係る流木捕捉体11と図24に係る流木捕捉体と図27に係る流木捕捉体とを混在させて設置する等、多種多様なバリエーションで実施できる。
その他、独立基礎形式で実施しているので、流木捕捉体1(11、21)が沈下又は倒れを生じても、他の流木捕捉柱体1(11、21)に影響を与えることはない。損傷した場合は、損傷した流木捕捉体1(11、21)を補修することで対応できる。
独立基礎形式で実施しているので、隣接する流木捕捉体1(11、21)の構築作業の進捗状況等に一切左右されることなく構築でき、流木捕捉体1(11、21)の設置の順序にも制約がなく、複数年にわたる分割施工や施設の追加、撤去を容易に行うことができる。
1 流木捕捉体
2 基礎
3 流木捕捉柱部材
4 杭基礎
4a ボルト通し孔
5 支持ボルト
6 ナット
7 コンクリート
8 ガイドフレーム
8a ボルト通し孔
9 地形
10 堆砂域
11 流木捕捉体
12 閉断面形成部材(ライナープレート)
13 中詰材(コンクリート)
14 鞘管
15 機械式継手
16 補強リング
16a 補強リング片
17 連結プレート
17a C形鋼
18 支保部材(H形鋼)
19 ボルト
20 砂防堰堤
21 流木捕捉体
31 鉛直部材
32 水平部材
33 ストッパ部材
34 支保部材(H形鋼)
34a 取付プレート
35 支保部材(H形鋼)
36 アングル
37 縦梁
38 切梁
39 支保部材(長尺のアングル)
40 取付プレート
41 アングル
S 元渓床面
T 堆砂面

Claims (12)

  1. 堆砂域に設置される流木捕捉工の設置方法であって、
    前記流木捕捉工は、複数の流木捕捉体からなり、各流木捕捉体は、前記堆砂域に設ける
    基礎と前記基礎に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材とからなり、前記基礎は、
    閉断面空間を形成する閉断面形成部材と、前記閉断面空間内に充填される中詰材とからな
    り、前記流木捕捉柱部材は、前記閉断面空間内に設けられ前記中詰材内に固定される鞘管内に挿入して立設されてなり、各々の流木捕捉体を独立して自立する構成で設置することを特徴とする、流木捕捉工の設置方法。
  2. 前記堆砂域の地形に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体の個数と配置箇所を定めると共に、前記配置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて前記流木捕捉体の前記基礎および前記流木捕捉柱部材の大きさを適宜調整して設置することを特徴とする、請求項1に記載した流木捕捉工の設置方法。
  3. 前記流木捕捉工は、砂防堰堤の上流側の堆砂域に設置することを特徴とする、請求項1又は2に記載した流木捕捉工の設置方法。
  4. 隣接する流木捕捉体の流木捕捉柱部材同士の間隔を、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に設定することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法。
  5. 前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体は、配置箇所の堆砂域の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材の天端の高さを所定の寸法に揃えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法。
  6. 前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体は、配置箇所の堆砂域の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材の天端の高さを河川横断方向の中央部に配置するものは低く設定し、端部に向かって漸次又は段階的に高く設定することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法。
  7. 前記複数の流木捕捉体は、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉体の設置方法。
  8. 前記複数の流木捕捉体は、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設けることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉体の設置方法。
  9. 前記複数の流木捕捉体は、略扇形状又は略逆扇形状を形成する配置に離間して設けることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉体の設置方法。
  10. 堆砂域に設置される流木捕捉工の設置構造であって、
    前記流木捕捉工は、1つ又は複数の流木捕捉体からなり、前記流木捕捉体は、前記堆砂域に設ける基礎と前記基礎に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材とからなり、前記基礎は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材と、前記閉断面空間内に充填される中詰材とからなり、前記流木捕捉柱部材は、前記閉断面空間内に設けられ前記中詰材内に固定される鞘管内に挿入して立設されてなり、独立して自立する構成で設置されていることを特徴とする、流木捕捉工の設置構造。
  11. 前記堆砂域の地形に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体の個数と配置箇所の設計にしたがい、さらに前記配置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて前記基礎および前記流木捕捉柱部材の大きさが適宜調整された流木捕捉体が設置されていることを特徴とする、請求項10に記載した流木捕捉工の設置構造。
  12. 前記流木捕捉体は、前記基礎から下方に突出して前記堆砂域に埋設する杭基礎を備えていることを特徴とする、請求項10又は11に記載した流木捕捉工の設置構造。
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