JP7251974B2 - 流木捕捉工の設置方法および設置構造 - Google Patents
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Description
なお、前記砂防堰堤は、既設、新設を問わず、また、主に不透過型を対象とするが、透過型であっても構わない。
しかし、前記砂防堰堤に前記流木捕捉工を後付けで設置する場合、前記砂防堰堤自体の強度が不足するためにコンクリートを増し打ちする必要があり、また、増し打ちしないときは設置できる大きさに限界があるため十分な流木の捕捉能力を得ることが困難である等、種々の問題があった。
そこで、前記砂防堰堤の上流側に、前記砂防堰堤とは切り離した構造の流木捕捉工を設置する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この捕捉体3は、堰堤2の延在方向に沿って延在する1本の梁部31と、この梁部31の延在方向に沿って所定間隔おきに複数個連結された柱部32と、柱部32を保持する基礎部33とが一体的に構成されている。前記基礎部33は、前記複数の柱部32をすべて一纏めに立設する構成の広大な規模の連続する底版コンクリートで形成されている(詳しくは、明細書の段落[0026]参照)。
にもかかわらず、前記特許文献1に係る捕捉体(流木捕捉工)3は、前記複数の柱部32を一纏めに一つの基礎部33に規則的に立設する構成であるがゆえに、自在性がないに等しく、河川を流下する流木を効果的に捕捉できる構造であるとは到底云えなかった。
また、堰堤2の上流側の堆砂域は地盤が緩いため、不同沈下が発生した場合は、この影響が前記基礎部33の全体に及ぶので、捕捉体(流木捕捉工)3が機能しなくなることが懸念された。
さらには、捕捉体(流木捕捉工)3の補修工事も大掛かりなものとなり大変煩わしかった。
前記流木捕捉工は、複数の流木捕捉体からなり、各流木捕捉体は、前記堆砂域に設ける基礎と前記基礎に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材とからなり、前記基礎は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材と、前記閉断面空間内に充填される中詰材とからなり、前記流木捕捉柱部材は、前記閉断面空間内に設けられ前記中詰材内に固定される鞘管内に挿入して立設されてなり、各々の流木捕捉体を独立して自立する構成で設置することを特徴とする。
(1)流木捕捉工を構成する各流木捕捉体を、砂防堰堤とは切り離した構造で堆砂域(堆砂敷)に設置できることはもとより、隣接する流木捕捉体同士も切り離した構造で堆砂域に設置でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない。
よって、使用するコンクリート量を抑制でき、対策の必要な箇所に最適な配置で流木捕捉体を複数設置できる(図1、図2等参照)等、施工性、経済性、及び自在性に優れた流木捕捉工の設置方法および設置構造を実現できる。
(2)流木捕捉体の形態は、堆砂域の地形(図9、図13参照)に応じて適宜設計変更可能であり、流木捕捉体の配置は、設置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて、単配置でも複数配置でもよく、複数配置の場合はランダム配置のほか、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置できるし(図1等参照)、略扇形状(図2A等参照)又は略逆扇形状(図2B等参照)を形成する配置に離間して設置できるし、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設置することもできる。また、例えば、堆砂域の地形や設置箇所の堆砂域の性状に応じて図14に係る流木捕捉体と図20Bに係る流木捕捉体と図24に係る流木捕捉体と図27に係る流木捕捉体とを混在させて実施することもできる。
(3)独立基礎形式で実施しているので、流木捕捉体が沈下又は倒れを生じても、他の流木捕捉柱体に影響を与えることはない。損傷した場合は、損傷した流木捕捉体を補修することで対応できるので、経済的かつ合理的である。
(4)独立基礎形式で実施しているので、隣接する流木捕捉体の構築作業の進捗状況等に一切左右されることなく構築でき、流木捕捉体の設置の順序にも制約がなく、複数年にわたる分割施工や施設の追加、撤去を容易に行うことができる。
(5)前記流木捕捉体を、いわゆる杭基礎構造で実施する場合(請求項13記載の発明)、流水抵抗力を効果的に高めることができるので、流木捕捉体自体のコンパクト化を実現できる。よって、経済姓、自在性に優れている。
(6)例えば、ライナープレートで実施する場合は、土留め、仮締め切りが可能で地下水を有する現場でもポンプアップが容易となりドライ施工も可能で施工性に優れている。
また、本発明に係る流木捕捉工の設置構造は、やはり図1~図13に例示したように、堆砂域10に設置される流木捕捉工の設置構造であって、前記流木捕捉工は、1つ又は複数の流木捕捉体1からなり、前記流木捕捉体1は、前記堆砂域10に設ける基礎2と前記基礎2に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材3とからなり、独立して自立する構成で設置されていることを特徴とする。具体的に、本実施例では、前記堆砂域10の地形9に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体1の個数と配置箇所の設計にしたがい、さらに前記配置箇所の堆砂域10の強度や高さ等の性状に応じて前記基礎2および前記流木捕捉柱部材3の大きさが適宜調整された流木捕捉体1が設置されている。
ちなみに図中の符号Sは元渓床面(元渓床勾配)を示し、符号Tは堆砂面(堆砂勾配)を示している。
前記流木捕捉体1は、その外観的特徴から、基礎2と流木捕捉柱部材3とからなる流木捕捉体11(図4~図9参照)と、基礎2と流木捕捉柱部材3と杭基礎4とからなる流木捕捉体21(図10~図13参照)に大別される。
よって、先ずは、前記流木捕捉体11の構造(特には内部構造)について実施例1~4で詳しく説明し、次に、前記流木捕捉体21の構造(特には内部構造)について、実施例5~7で詳しく説明し、最後に改めて前記流木捕捉体11、21からなる流木捕捉工の設置方法および設置構造について説明する。ちなみに、流木捕捉工を構成するにあたり、地形9や堆砂域10によっては前記流木捕捉体1を1つ(1体)のみ設置すれば足りる場合もあるが、この実施例については図示を省略する。
図1、図2、図4~図6に示した前記流木捕捉体11は、図14に示したように、前記基礎2を、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12と前記閉断面空間内に充填される中詰材(図示例ではコンクリート)13とで構成し、前記中詰材13に固定される鞘管14内に前記流木捕捉柱部材3を挿入して立設してなる構造で実施されている。
前記図14に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に4体、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が2m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。そして、前記円筒形状に形成したライナープレート12の天端部には、前記ライナープレート12と同様の曲率で湾曲された断面H形状の金属製の補強リング16がボルト(図示略)で留め付けられている。ちなみに図示例に係る補強リング16は、外径が2m程度の円筒形を周方向に略4等分割したに等しい弧状に形成した4つの補強リング片16aからなり、隣接する補強リング片16a、16a同士は連結プレート17で連結されている。
もっとも、前記閉断面形成部材12を構成する部材は前記ライナープレート12に限定されず、閉断面空間を形成できる所要の強度、剛性を備えた部材であればよい。例えば、鋼製セグメント、PCセグメント、コルゲートパイプ、鋼板セル、鋼矢板セル、大口径管、又は型枠でも同様に実施できる。前記型枠で実施する場合は、コンクリート13の養生後に撤去(脱型)することができる。
以下に説明する実施例についても同様の技術的思想とする。
前記鞘管14は、角形鋼管とベースプレートとからなる金属製の有底筒状で実施されており、前記閉断面形成部材12が形成する閉断面空間内に充填するコンクリート13により、前記閉断面空間の略中央の上方部に固定される。より具体的には、充填するコンクリート13が鞘管14の内部に入り込まないように前記鞘管14の上端(天端)が前記コンクリート13の表面と略面一に埋め込まれる部位に位置決めされる。
本実施例に係る鞘管14の大きさは一例として、高さが650mm程度、ベースプレートの一辺が700mm程度、ベースプレート上面の角形鋼管部の幅が500mm程度、肉厚が9mm程度で実施されている。
また、前記補強リング16は必須の部材ではない。前記補強リング16の代わりに縦梁37(図25等参照)を用いても同様に実施できるし、そもそも閉断面形成部材12を床掘り(オープンカット)工法で設置する場合は前記補強リング16や縦梁37を用いなくても実施できる。
また、前記鞘管14は、本実施例では前記閉断面空間の平面視略中央部に固定しているがこれに限定されず、平面視で上下左右に偏倚させた位置に固定することも勿論できる。本実施例の場合は、前記支保部材18の長さを適宜調整することにより簡単に実現することができる。
さらに、前記支保部材18は前記H形鋼のほか、アングル(L形鋼)、C形鋼等の種々の形鋼で実施できる。ちなみに図16Bに係る支保部材18にはアングル18が用いられ、その先端部にC形鋼17aを一体的に設け、ライナープレート12の上フランジに補強リング16を用いることなく前記C形鋼17aを直接被せる(掛け止める)ように位置決めし、ボルト(図示略)で留め付ける構成で実施している。
本実施例に係る流木捕捉柱部材3の大きさは一例として、頂部の吊り金具を含めた高さが2800mm程度、丸形鋼管部の外径が320mm程度、肉厚が10mm程度で実施されている。
前記鉛直部材31、水平部材32、及びストッパ部材33の位置関係は、図17A~Cに段階的に示したように、前記鞘管14内へ前記流木捕捉柱部材3の下端部を鉛直に建て込み、反時計回り(又は時計回り)に回動させると、前記流木捕捉柱部材13の鉛直部材31、31が前記ストッパ部材33、33に同時に突き当たって引き抜き不能となる構成で実施されている(図17D、Eも参照)。前記鞘管14の内側面と前記流木捕捉柱部材3の外周面との間に形成された隙間には適宜、現地発生土や砂が充填される。
ちなみに、前記鉛直部材31、水平部材32、及びストッパ部材33は、図17以外の図面では図示の便宜上適宜省略していることを念のため特記しておく。
以下に説明する実施例についても同様の技術的思想とする。
そして、隣接する補強リング片16a、16a同士の外周面と内周面とをそれぞれ連結プレート17、17で連結する作業を行う際に、前記鞘管14を前記閉断面空間内の略中央の上端部に位置決めして取り付ける。
なお、前記ボルト19を通すためのボルト通し孔(図示略)を微調整可能なルーズ孔(長孔)に形成する等の工夫は適宜行われるところである。
ちなみに、コンクリート13の打設作業を2回で完了させる場合は、前記閉断面形成部材12を立設する工程の後、前記閉断面空間内の所定高さまでコンクリート13を充填する工程を行い、前記コンクリート13の養生後、前記コンクリート13の上面に鞘管14を位置決めする工程を行い、次に、前記コンクリート13の上面に更にコンクリート13を前記閉断面形成部材12および前記鞘管14の天端まで充填して前記鞘管14を固定すると共に、前記鞘管14内に流木捕捉柱部材3を挿入して立ち上げる。
よって、使用するコンクリート量を抑制でき、対策の必要な箇所に最適な配置で流木捕捉体11を設置できる(図1、図2、図4~図6参照)。
具体的に、流木捕捉体11の形態は、堆砂域10の地形9(図9参照)に応じて適宜設計変更可能であり、流木捕捉体11の配置は、設置箇所の堆砂域10の強度や高さ等の性状に応じて、単配置でも複数配置でもよく、複数配置の場合はランダム配置のほか、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置できるし(図1等参照)、略扇形状(図2A等参照)又は略逆扇形状(図2B等参照)を形成する配置に離間して設置できるし、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設置することもできる。
ちなみに、隣接する流木捕捉体11の設置間隔は、前記流木捕捉柱部材同士3、3の間隔が、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に離間するように設置することが好ましい。
この実施例2に係る流木捕捉体11は、上記実施例1と比し、前記鞘管14を前記閉断面形成部材12へ取り付ける支保部材18の構成が相違する。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
前記長い方の平行な支保部材34、34は、前記閉断面形成部材12(補強リング16)の内周壁に架設可能な長さで実施され、その先端部には前記補強リング16aと同様の曲率で湾曲する取付プレート34aが溶接等の接合手段で一体的に設けられている。一方、前記短い方の平行な支保部材35、35は、前記支保部材34、34に十分に届く程度の長さで実施され、本実施例では、前記支保部材34、34とフランジ接合手段で一体化されている。
なお、前記補強リング16は必須の部材ではないこと、前記鞘管14の設置位置は平面視略中央部に限定されないこと、及び前記支保部材34、35は前記H形鋼のほか、アングル(L形鋼)、C形鋼等の種々の形鋼で実施できることは前記した通りである(前記段落[0030]参照)。
したがって、この実施例2に係る流木捕捉体11の構築工法により構築した流木捕捉体11は、上記実施例1に係る流木捕捉体11と外形上違いがないので、上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記[0041]参照)。
この実施例3に係る流木捕捉体11は、上記実施例1、2と比し、閉断面空間の平面積をより広く形成して閉断面空間内に2本の流木捕捉柱部材3を設けた点、および補強リング16の設置部位を一段下げた点が主に相違する。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
図示例に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に9体、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が4.5m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。前記円筒形状に形成したライナープレート12のうち最上段とその1つ下の段のライナープレート12、12の間には、前記ライナープレート12と同様の曲率で湾曲された断面H形状の金属製の補強リング16がボルトで留め付けられている。ちなみに図示例に係る補強リング16は、外径が4.5m程度の円筒形を周方向に略4等分割したに等しい弧状に形成した4つの補強リング片16aからなり、隣接する補強リング片16a、16a同士は連結プレート17で連結されている。
前記長い方の平行な支保部材34、34は、前記閉断面形成部材12(補強リング16)の内周壁に架設可能な長さで実施され、その先端部には、前記補強リング16aと同様の曲率で湾曲する取付プレートを溶接等の接合手段で一体的に設けられている。一方、前記短い方の平行な支保部材35、35は、前記支保部材34、34に十分に届く程度の長さで実施され、本実施例では、前記支保部材34、34とフランジ接合手段で一体化されている(図19を援用して参照)。
また、本実施例3では、前記2つの鞘管14、14にそれぞれ鉛直方向に長い流木捕捉柱部材3、3を挿入して実施しているが、これに限定されない。例えば、図示は省略するが、前記2つの鞘管14、14を河川の流れ方向に、かつ適宜傾けて設け、河川の流れ方向へ開脚する構成の側面視A字形状(いわゆるA型スリットダム)、又は入字形状等の流木捕捉柱部材の脚部を挿入して立設して実施することもできる。
この実施例4に係る流木捕捉体11は、上記実施例1~3と比し、前記閉断面形成部材12を、平面的にみて小判形状に形成して実施している点が主に相違する。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
前記鞘管14は、図25が分かりやすいように、2本の平行な支保部材(長尺のアングル)39、39で挟持される構成で、前記支保部材39、39とアングル41、41を介して溶接等の接合手段で一体的に設けてユニット化されている。
しかる後、前記閉断面空間内にコンクリート13を充填して前記鞘管14を固定すると共に、前記鞘管14内に流木捕捉柱部材3を挿入して立ち上げる。
なお、前記中詰材13はコンクリート13に限定されない(前記段落[0029]参照)。前記縦梁37や切梁38は、C形鋼やアングルのほか、H形鋼でも勿論実施可能である。
例えば、実施例1~4に係る流木捕捉体11は、鞘管14を必須の構成要件とすることで前記流木捕捉柱部材3の脱着可能(取替可能)な構成で実施しているが、前記流木捕捉柱部材3の取り替えを予定していない場合は、図26に示したように、鞘管14を用いることなく、基礎2(閉断面形成部材12)と流木捕捉柱部材3とコンクリート13とからなるシンプルな構成で実施することもできる。
図1、図2、及び図10に示した前記流木捕捉体11は、図27に示したように、前記基礎2を、閉断面空間を形成する閉断面形成部材12と、前記閉断面空間内に充填される中詰材(図示例ではコンクリート)13と、前記閉断面空間から下方に突出して中詰材13に固定される杭基礎4と、前記閉断面空間から立ち上がり前記中詰材13に固定される流木捕捉柱部材3とからなる。
なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
図27に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に5体(図27C参照)、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が2.5m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。
また、本実施例では、前記杭基礎4の上端部に、前記流木捕捉柱部材3を脱着可能に挿入して立設するための前記鞘管14が溶接等の接合手段で一体的に設けられている。
なお、本実施例では、前記根入れ寸法(閉断面空間より下方の突き出し寸法)を1300mm程度で実施しているが、杭基礎4を根入れする堆砂域10の強度や要求される流木捕捉体21の剛性等の構造設計に応じて適宜増減可能である。
また、本実施例では、前記杭基礎4の立設状態の安定化を図るべくコンクリート7を打設して固定しているが、コンクリート7の代わりにソイルセメント、現地発生土(礫・栗石・砕石等の石を含む。)でも同様に実施できるし、前記コンクリート7を打設しない場合もある。この判断は、杭基礎4を根入れする堆砂域10の地盤性状(強度等)や要求される流木捕捉体1の剛性等を適宜勘案して決せられる。
なお、前記杭基礎4及び前記鞘管14の立設位置は、平面的にみて前記閉断面空間の略中央位置に限定されず、適宜設計変更可能である。
よって、使用するコンクリート量を抑制でき、対策の必要な箇所に最適な配置で流木捕捉体21を複数設置できる(図1、図2、図3A、図10、及び図11参照)。
具体的に、流木捕捉体21の形態は、堆砂域10の地形9(図13参照)に応じて適宜設計変更可能であり、流木捕捉体21の配置は、設置箇所の堆砂域10の強度や高さ等の性状に応じて、単配置でも複数配置でもよく、複数配置の場合はランダム配置のほか、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置できるし(図1等参照)、略扇形状(図2A等参照)又は略逆扇形状(図2B等参照)を形成する配置に離間して設置できるし、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設置することもできる。
ちなみに、隣接する流木捕捉体21の設置間隔は、前記流木捕捉柱部材同士3、3の間隔が、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に離間するように設置することが好ましい。
この実施例6に係る流木捕捉体21は、上記実施例5と比し、前記杭基礎4を前記鞘管14に対して相対移動可能な構成で実施することにより、前記杭基礎4の下方への突き出し寸法を調整可能な構成で実施している点が主に相違する。なお、上記実施例5と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
また、本実施例に係る前記ボルト通し孔4a、8aは、一例として250mmの間隔をあけて等間隔に4個ずつ設けて実施しているがこれに限定されず、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
さらに、前記ボルト通し孔4a、8aに通して前記杭基礎4を支持する支持ボルト5は、安定性のためには本実施例のように上下2段配置で実施することが好ましいが、1段(1本)でも3段(3本)以上でも実施することは可能である。
したがって、この実施例6に係る流木捕捉体21の構築工法により構築した流木捕捉体21は、上記実施例5に係る流木捕捉体21と外形上違いがないので、上記実施例5と同様の作用効果を奏する(前記[0070]参照)。
この実施例7に係る流木捕捉体21は、上記実施例5、6と比し、鞘管14を設けることなく、前記杭基礎4と前記流木捕捉柱部材3とを直接、機械式継手15により一連にボルト接合している点が相違する。その他、閉断面形成部材2の高さを、ライナープレート12の段数を3段に減らして1.5m程度の高さで実施している点も相違する。なお、上記実施例5、6と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
なお、図34に示したように、前記流木捕捉柱部材3を長尺化した一本物とし、前記杭基礎4の役割を兼ねる構成で実施することもできる。この場合、前記閉断面空間を形成する閉断面形成部材2を立設すると共に、前記杭基礎4を兼ねる前記長尺化した流木捕捉柱部材3を、前記閉断面空間を上下に貫通する構成で設置する工程と、前記閉断面空間内にコンクリート13を充填して前記長尺化した流木捕捉柱部材3を固定する工程とからなる。
言い換えると、前記コンクリート13の打設作業を2回に分けて行う場合は、前記流木捕捉柱部材3を予め位置決め固定しておく必要はなく、前記杭基礎4と流木捕捉柱部材3とは分離した状態で実施することもできる。
この場合、前記閉断面形成部材12と前記杭基礎4とを所定の部位に設置した後、前記閉断面空間内の所定の高さまで第1回目のコンクリートの充填作業を行い、前記コンクリートの養生後、養生したコンクリートの上面に流木捕捉柱部材3を鉛直方向に立ち上げて前記閉断面空間の天端まで第2回目のコンクリートの充填作業を行う。
例えば、図12に示した流木捕捉体21のように、閉断面空間の平面積をより広く形成して閉断面空間内に2本の流木捕捉柱部材3を設けて実施することもできる。
この流木捕捉体21に係る閉断面形成部材12は、一例として、外径が4.5m程度の円筒形を周方向に略9等分割したに等しい弧状に形成され、その上下左右の端部には内側に突出するフランジが設けられた、高さが50cm程度のライナープレート12で実施されている。図示例に係る閉断面形成部材12は、前記ライナープレート12を周方向に9体、及び軸方向に4体を千鳥状にフランジ接続し、もって直径が4.5m程度、高さが2m程度の円筒形状に構築されている。前記鞘管14は、閉断面空間内に、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に離間して2つ設置されている。
この図12に係る流木捕捉体21は、上記実施例5~7と比し、1体あたりの径が4.5m程度とサイズの違いがある程度で、独立基礎形式で堆砂域10に設置でき、従来のような広大な規模の連続する底版コンクリートの基礎部を必要としない構成に変わりはない。よって、上記実施例5~7と同様の作用効果を奏する(前記段落[0070]参照)。
本発明に係る流木捕捉工の設置方法および設置構造は、上記実施例1~4に係る種々の流木捕捉体11と上記実施例5~7に係る種々の流木捕捉体21とを自在に組み合わせた構成で実施することができる。
よって、堆砂域10に設置される流木捕捉工を、各々が独立した基礎を有して自立する構造の流木捕捉体1(11、21)で構成するので、図1~図13に示したように、砂防堰堤20の存在の有無にかかわらず、前記堆砂域10の地形9や性状に応じて河川を流下する流木を効果的に捕捉できる部位に自在に設置できる等、対策の必要な箇所に最適な配置で設置できる自在性に非常に優れた流木捕捉工の設置方法および設置構造を実現することができる。
例えば、前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体1(11、21)を、配置箇所の堆砂域10の高低差にかかわらず、図9A、B、図13Aに示したように、前記流木捕捉柱部材3の天端の高さを自在に調整して所定の寸法に揃えて設置することもできるし、図9C、図13Bに示したように、配置箇所の堆砂域10の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材3の天端の高さを河川横断方向の中央部に配置するものは低く設定し、端部に向かって漸次又は段階的に高く設定して設置することもできる。
したがって、堆砂域10の地形9や設置箇所の堆砂域10の性状に応じて図14に係る流木捕捉体11と図20Bに係る流木捕捉体11と図24に係る流木捕捉体と図27に係る流木捕捉体とを混在させて設置する等、多種多様なバリエーションで実施できる。
独立基礎形式で実施しているので、隣接する流木捕捉体1(11、21)の構築作業の進捗状況等に一切左右されることなく構築でき、流木捕捉体1(11、21)の設置の順序にも制約がなく、複数年にわたる分割施工や施設の追加、撤去を容易に行うことができる。
2 基礎
3 流木捕捉柱部材
4 杭基礎
4a ボルト通し孔
5 支持ボルト
6 ナット
7 コンクリート
8 ガイドフレーム
8a ボルト通し孔
9 地形
10 堆砂域
11 流木捕捉体
12 閉断面形成部材(ライナープレート)
13 中詰材(コンクリート)
14 鞘管
15 機械式継手
16 補強リング
16a 補強リング片
17 連結プレート
17a C形鋼
18 支保部材(H形鋼)
19 ボルト
20 砂防堰堤
21 流木捕捉体
31 鉛直部材
32 水平部材
33 ストッパ部材
34 支保部材(H形鋼)
34a 取付プレート
35 支保部材(H形鋼)
36 アングル
37 縦梁
38 切梁
39 支保部材(長尺のアングル)
40 取付プレート
41 アングル
S 元渓床面
T 堆砂面
Claims (12)
- 堆砂域に設置される流木捕捉工の設置方法であって、
前記流木捕捉工は、複数の流木捕捉体からなり、各流木捕捉体は、前記堆砂域に設ける
基礎と前記基礎に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材とからなり、前記基礎は、
閉断面空間を形成する閉断面形成部材と、前記閉断面空間内に充填される中詰材とからな
り、前記流木捕捉柱部材は、前記閉断面空間内に設けられ前記中詰材内に固定される鞘管内に挿入して立設されてなり、各々の流木捕捉体を独立して自立する構成で設置することを特徴とする、流木捕捉工の設置方法。 - 前記堆砂域の地形に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体の個数と配置箇所を定めると共に、前記配置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて前記流木捕捉体の前記基礎および前記流木捕捉柱部材の大きさを適宜調整して設置することを特徴とする、請求項1に記載した流木捕捉工の設置方法。
- 前記流木捕捉工は、砂防堰堤の上流側の堆砂域に設置することを特徴とする、請求項1又は2に記載した流木捕捉工の設置方法。
- 隣接する流木捕捉体の流木捕捉柱部材同士の間隔を、想定される最大流木長の1/3~1/2程度に設定することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法。
- 前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体は、配置箇所の堆砂域の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材の天端の高さを所定の寸法に揃えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法。
- 前記流木捕捉工を構成する各流木捕捉体は、配置箇所の堆砂域の高低差にかかわらず、前記流木捕捉柱部材の天端の高さを河川横断方向の中央部に配置するものは低く設定し、端部に向かって漸次又は段階的に高く設定することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した流木捕捉工の設置方法。
- 前記複数の流木捕捉体は、河川横断方向に略直線状の配置に離間して設置することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉体の設置方法。
- 前記複数の流木捕捉体は、河川横断方向に沿って蛇行する配置に離間して設けることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉体の設置方法。
- 前記複数の流木捕捉体は、略扇形状又は略逆扇形状を形成する配置に離間して設けることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した流木捕捉体の設置方法。
- 堆砂域に設置される流木捕捉工の設置構造であって、
前記流木捕捉工は、1つ又は複数の流木捕捉体からなり、前記流木捕捉体は、前記堆砂域に設ける基礎と前記基礎に立設される1本又は複数本の流木捕捉柱部材とからなり、前記基礎は、閉断面空間を形成する閉断面形成部材と、前記閉断面空間内に充填される中詰材とからなり、前記流木捕捉柱部材は、前記閉断面空間内に設けられ前記中詰材内に固定される鞘管内に挿入して立設されてなり、独立して自立する構成で設置されていることを特徴とする、流木捕捉工の設置構造。 - 前記堆砂域の地形に応じて河川を流下する流木を捕捉するのに適正な前記流木捕捉体の個数と配置箇所の設計にしたがい、さらに前記配置箇所の堆砂域の強度や高さ等の性状に応じて前記基礎および前記流木捕捉柱部材の大きさが適宜調整された流木捕捉体が設置されていることを特徴とする、請求項10に記載した流木捕捉工の設置構造。
- 前記流木捕捉体は、前記基礎から下方に突出して前記堆砂域に埋設する杭基礎を備えていることを特徴とする、請求項10又は11に記載した流木捕捉工の設置構造。
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