JP7205755B2 - 仕切り構造 - Google Patents
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Description
しかしながら、上述のようにコンクリート製の基礎を備えて、この基礎を地中に埋設する場合は、何らかの理由により仕切り構造を移設する際に、全ての基礎を地中から掘り起こす必要があり、その作業が極めて煩雑であった。
また、上記タイプの仕切り構造は、通常、仕切り材が、金属製で平板状のメッシュ材や、同じく金属製の平板材の集合体により構成されている。このため、上記タイプの仕切り構造では、支柱や仕切り材が、水平方向に作用する外力に対して十分な強度を有しない場合があった。
したがって、上記タイプの仕切り構造は、地表面上において砕石等の粒状物を保管する際の保持枠として、あるいは土砂等を堰き止めるための擁壁としての使用には適さないという課題を有していた。
特許文献1に開示される発明は、擁壁上部または基礎ブロック上面に支柱を立設固定して雪崩・落石の防護柵または防音壁を構築する方法において、支柱を立設固定するのに先立って、擁壁上部または基礎ブロック上面に跨る仮止め部材を用いて支柱を両側面から挟圧して仮止めすることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、基礎地盤上に載置するだけで容易に施工でき、かつ擁壁としても使用できる防護柵を提供することができる。
さらに、本発明は上記目的に加えて、新規な仕切り構造の施工に用いる資材の移送を容易にすることを目的とするものである。
上記構成の第1の発明において、中空管は、その中空部内が充填物で満たされることで、風圧等により転倒し難い重量物になる。また、このような充填物が充填された中空管は、第1の仕切り材を保持するための支柱、並びにこの支柱を基礎地盤上に安定した状態で立設しておくための基礎様構造物として作用する。また、充填物は、中空管内に充填されることで、基礎地盤上において中空管の傾動を妨げる錘として作用する。加えて、第1の仕切り材は、隣り合う中空管の間に介設されて、充填物が充填された中空管と協働して、基礎地盤上の空間を所望に間仕切るという作用を有する。
上記構成の第2の発明において、中空管及び充填物の作用は、上述の第2の発明におけるそれぞれの作用と同じである。
さらに、第2の発明において、中空管の外側面又は内側面に取設される仕切り材保持部は、第1の仕切り材を直接又は間接的に保持するという作用を有する。
加えて、第1の仕切り材は、仕切り材保持部同士の間に直接又は間接的に架設されて、充填物が充填された中空管とともに、設置面上の空間を所望に間仕切るという作用を有する。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用に加えて、中空管が防食被膜を備えている金属により構成されていることで、中空管に耐久性を付与しつつ、中空管を軽量化するという作用を有する。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、搬送手段の荷台に載せることができない程度の大きいサイズ(中空管の高さ(中心軸方向長さ)、及び/又は、中空管の直径)の中空管を用いる場合に、その中空管を複数の分割片に分解可能にするという作用を有する。これにより、大きいサイズの中空管の移送を容易にするという作用を有する。
上記構成の第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、中空管としてコルゲートパイプを用いることで、コルゲートパイプでない中空管(表面に凹凸を有しない中空管)を用いる場合に比べて、中空管を変形させるような外力が作用した際に、中空管を変形し難くするという作用を有する。また、コルゲートパイプは様々なサイズ(直径)を有するものが市販されているため、所望サイズの中空管を準備するのに要するコストを廉価にするという作用を有する。
上記構成の第6の発明は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、支柱は、中空管の上部開口位置よりも鉛直上方側において第2の仕切り材を直接又は間接的に支持するという作用を有する。また、中空管内に充填される充填物は、支柱の下端側を固定して、支柱を起立状態に保持するという作用を有する。
上述のような第6の発明によれば、第1の仕切り材と第2の仕切り材とが鉛直方向に連なってなる新規な間仕切りを基礎地盤上に形成するという作用を有する。
また、第6の発明において、支柱と、この支柱に直接又は間接的に取設される第2の仕切り材とからなる一連の構成として、既存の仕切り構造を使用することが可能である。この場合、既存の仕切り構造をそのまま利用して、鉛直方向高さがより高い新規な仕切り構造(第6の発明)を、基礎地盤上に形成させるという作用を有する。
上記構成の第7の発明は、上述の第6の発明による作用と同じ作用に加えて、基礎は、支柱の下端側の引き抜き抵抗を増大させるという作用を有する。
第7の発明は、中空管内に充填される充填材が特に粒状物である場合に、中空管内における支柱の立設状態を好適に維持するという作用を有する。
また、第7の発明では、支柱と、その下端に固設される平板状又は塊状をなす基礎と、第2の仕切り材とからなる一連の構成として、既存の仕切り構造を改造することなくそのまま使用することが可能である。この場合、既存の仕切り構造をそのまま利用して、鉛直方向高さがより高い新規な仕切り構造(第7の発明)を、基礎地盤上に形成させるという作用を有する。
上記構成の第8の発明は、上述の第6又は第7の発明による作用と同じ作用に加えて、中空管がその中空部内で、かつ支柱の下端の鉛直下方側にコンクリート層を備えていることで、第7の発明の設置時(使用時)に、時間の経過に伴って中空管内に埋設される支柱が基礎地盤側に沈み込むのを妨げるという作用を有する。
この場合、中空管内に埋設される支柱の上端位置が、時間の経過とともに鉛直下方側に下降するのを妨げるという作用を有する。つまり、第8の発明の鉛直方向高さが、時間の経過とともに意図せず低くなるのを防ぐという作用を有する。
さらに、第8の発明において、コンクリート層を貫通して形成される排水孔は、中空管内に溜まった雨水を、基礎地盤側に排出するという作用を有する。これにより、第8の発明を構成する中空管及び支柱が特に金属製である場合に、過湿による金属の腐食の進行を抑制するという作用を有する。
したがって、第1,第2の発明によれば、基礎地盤が硬くて容易に掘り起こせない場合や、有害物質が埋設されているなどの理由で基礎地盤を掘り起こせない場合でも、水平方向への外力に対して十分な強度と安定性を有する新規な仕切り構造を提供することができる。
この結果、遠隔地に第3の発明である仕切り構造を設置する場合に、その資材の輸送を容易かつ安価にできるというメリットがある。
したがって、第3の発明によれば、例えば、プレキャストコンクリート製の中空管を用いる場合に比べて、その製造及び施工に要するコストを安価にできるという効果を有する。
この場合、第4の発明を施工する際の資材の輸送に要するコストを廉価にできるというメリットを有する。
したがって、第4の発明によれば、分割できない大型の中空管を用いる場合に比べて、第4の発明の施工費用を安価にできる。
また、コルゲートパイプは、様々なサイズのものが市販されている。このため、第5の発明の目的に応じて、所望の直径を有する中空管を安価に入手することができる。
よって、第5の発明によれば、コルゲートパイプでない中空管を用いる場合に比べて、中空管の強度が優れた仕切り構造を、安価に提供できるという効果を有する。
この場合、上述の従来公知の仕切り構造において、例えば支柱を継ぎ足して仕切り構造全体の鉛直方向高さを変更する場合に比べて、仕切り構造の施工コストを安価にできる。
また、上述のように従来公知の仕切り構造として既存の仕切り構造を改造することなくそのまま使用する場合は、第6の発明である仕切り構造の施工コストを一層安価にできるという効果を有する。
この場合、上述の従来公知の仕切り構造において、例えば支柱を継ぎ足して仕切り構造全体の鉛直方向高さを変更する場合に比べて、仕切り構造の施工コストを安価にできる。
また、上述のように従来公知の仕切り構造として既存の仕切り構造を改造することなくそのまま使用する場合は、第7の発明である仕切り構造の施工コストを一層安価にできるという効果を有する。
この場合、第8の発明の施工後に、第7の発明の鉛直方向高さが、意図せず低くなるのを防止できる。よって、第8の発明によれば、施工に長期間にわたり仕切り構造の鉛直方向高さの変化が起こり難い、高品質な仕切り構造を提供することができる。
さらに、第8の発明によれば、中空管内に敷設されるコンクリート層が排水孔を備えていることで、中空管内の充填材が透水材である場合に、中空管内に浸透する雨水を外部にスムーズに排出することができる。この場合、降雨後に中空管内の過湿状態を速やかに改善することができる。この結果、中空管内に埋設される支柱の下端が腐食して劣化する、あるいは中空管が金属製である場合に中空管自体が腐食して劣化するのを抑制できる。
したがって、第8の発明によれば、仕切り構造の耐久性を向上させることができる。
図1は本発明の実施例1に係る仕切り構造の斜視図である。また、図2は本発明の実施例1に係る仕切り構造において仕切り材保持部に対する第1の仕切り構造の取付け状態を示す部分斜視図である。
実施例1に係る仕切り構造1Aは、基礎地盤P上に載置して用いられる仕切り構造であり、例えば図1,2に示すように、中心軸を鉛直方向に配しながら基礎地盤P上に載置される複数の中空管2と、この中空管2内に充填される充填物3と、中空管2の外側面に取設されている仕切り材保持部4aと、隣り合う仕切り材保持部4a,4aの間に架設されている第1の仕切り材5aと、を備えるものである。
より端的に説明すると、実施例1に係る仕切り構造1Aは、中心軸を鉛直方向に配しながら基礎地盤P上に載置される複数の中空管2と、この中空管2内に充填される充填物3と、隣り合う中空管2同士の間に介設されている第1の仕切り材5aとを備えてなる、簡易設置タイプの仕切り構造である。
具体的には、実施例1に係る中空管2としては、例えば、プレキャストコンクリート製の中空管や、表面に防食加工が施された金属製の筒体等を用いることができる。なお、中空管2の材質は、実施例1に係る仕切り構造1Aの使用目的や使用期間を考慮して適宜選定すればよい。
例えば、実施例1に係る仕切り構造1Aを恒久的な設備として基礎地盤P上に施工する場合、中空管2は、平板材を波状に成形してなる成形板(例えば、表面に防食加工が施された金属板等)を、筒状に湾曲又は折曲してなるコルゲートパイプを用いることが望ましい(例えば、後段における図4中の中空管2を参照)。
一般に、コルゲートパイプは様々な形状及びサイズのものが市販されている。このため、中空管2としてコルゲートパイプを用いる場合は、実施例1に係る仕切り構造1Aの使用目的に応じて所望の直径及び/又は中心軸方向長さ(高さ)を有する中空管2を、安価に入手できるというメリットがある。
特に、合成樹脂製の筒体を中空管2として用いる場合は、金属製のコルゲートパイプを用いる場合に比べて、中空管2の調達にかかるコストを廉価にできるというメリットがある。
なお、中空管2の端面形状において、その中心位置から周縁までの距離が略一定でない場合(例えば、中空管2の端面形状が楕円形をなす場合等)は、中空管2の端面形状の中心位置から周縁までの距離が短い方を、基礎地盤P上における第1の仕切り材5aの配設方向と略平行に配しておくとよい。この場合、中空管2の端面形状の中心位置から周縁までの距離の長い方を、基礎地盤P上における第1の仕切り材5aの配設方向と略平行に配する場合に比べて、実施例1に係る仕切り構造1Aの安定性を高くすることができる。
なお、中空管2の端面形状を特に略円形に特定することで、中空管2の周側面のどの位置においても同じ条件で第1の仕切り材5aを取設することができるというメリットを有している。このため、中空管2の端面形状を特に円形に特定することで、実施例1に係る仕切り構造1Aの施工性を良好にできるというメリットがある。
なお、本実施形態では特に、中空管2として表面に防食加工が施された金属製のコルゲートパイプを用いる場合を例に挙げて説明する。
そして、実施例1に係る仕切り構造1Aでは、L字型アングル材からなる仕切り材保持部4aの両端面をそれぞれ鉛直方向に配しながら、中空管2の外側面上に固設している。より具体的には、実施例1に係る仕切り構造1Aでは、金属製の中空管2の外側面上に、金属製のL字型アングル材からなる仕切り材保持部4aを溶接により固設している(図1,2中の溶接部7を参照。)。
なお、中空管2に対する仕切り材保持部4aの取設方法は上述の方法に特定する必要はなく、仕切り材保持部4aを備えた中空管2を長期間野ざらしにした場合でも、中空管2から容易に仕切り材保持部4aが外れないような固定方法であればどのような方法でもよい。
具体的には、中空管2への仕切り材保持部4aの固設方法としては、例えばボルト及びナットからなる固定具を用いた固定方法を採用することができる。
また、中空管2の材質が金属以外である場合は、その材質に応じた固定方法を適宜採用すればよい。例えば、中空管2がプレキャストコンクリートである場合は、中空管2の成型時に、中空管2の肉厚部に、仕切り材保持部4a(L字アングル材以外の形態でもよい)を埋め込んで、中空管2と一体化してもよい。
また、実施例1に係る仕切り構造1Aでは、図1,2に示すように、仕切り材保持部4aに直接、固定具6を用いて複数の第1の仕切り材5aを、互いに平行に配しながら架設してもよい。あるいは、特に図示しないが、複数の第1の仕切り材5aを互いに平行に配しながら一体化してパネル状物体を形成しておいてから、このパネル状物体を、固定具6を用いてあるいは溶接等により仕切り材保持部4aに取設してもよい。この場合は、仕切り材保持部4aに対して第1の仕切り材5aが間接的に取設されることになる。
また、特に後者の場合のように、仕切り材保持部4aに対して第1の仕切り材5aを間接的に取設する場合は、個々の第1の仕切り材5aの取付け作業を現場で行う必要がない。このため、実施例1に係る仕切り構造1Aの施工を容易にできるというメリットを有する。
この場合は、中空管2の外側面に固設されるコ字型アングル材の凹状溝部に、第1の仕切り材5aの両端を落とし込むことで第1の仕切り材5aの取付け作業を完了できる。また、この場合は、個々の第1の仕切り材5aを、仕切り材保持部4aに対して固定具6等を用いて固定する必要がないので、第1の仕切り材5aの取付け作業を簡素化できる。
なお、本実施の形態に係る仕切り材保持部4aは、上述のようなL字型アングル材やコ字型アングル材に特定される必要はなく、中空管2の外側面上に取設可能であり、かつ第1の仕切り材5aを直接又は間接的に架設することができるよう構成されていれば、どのような形態であってもよい。
この場合、中空管2の上部開口2aから侵入した雨水を、下部開口2dから基礎地盤P側に排出することができる。このため、充填物3として粒状体3aを用いる場合は、中空管2内に雨水が滞留し難くなる。また、実施例1に係る仕切り構造1Aとして、特に金属製の中空管2を用いる場合は、長期間野ざらしにした場合でも、中空管2の下部開口2d側に腐食が生じ難い。したがって、中空管2の耐久性を向上させることができる。
なお、基礎地盤Pが透水性に乏しい場合は、中空管2の下部開口2d側の周側面に水抜き用のスリット又は切欠き(図示せず)を備えておくとよい。この場合は、中空管2の側面側から排水することができるので、基礎地盤Pが透水性に乏しい場合であっても、中空管2の下部開口2d側の腐食に伴う強度の低下を好適に防止することができる。
基礎地盤P上に実施例1に係る仕切り構造1Aを施工するには、まず、必要に応じて基礎地盤Pを地均しして略平坦な状態にする(ステップS0:整地工程)。
なお、基礎地盤Pの排水性が乏しい場合は、このステップS0において、基礎地盤Pの最上層に砕石を敷詰めた層を形成しておくとよい。このように基礎地盤Pがその最上層に砕石層を備えている場合は、その上に中空管2を設置した際に、中空管2内から基礎地盤Pへの排水性を良好にできる。
そして、先のステップS0において略平坦状になった基礎地盤P上の所望位置に、中空管2の中心軸を鉛直方向に配しながら所望数の中空管2を配置する(ステップS1:中空管配置工程)。
次いで、基礎地盤P上に載置されているそれぞれの中空管2の上部開口2aから充填物3を投入して、中空管2の中空部内を充填物3で満たす(ステップS2:中空管充填工程)。なお、中空管2内に収容された充填物3は、中空管2の上部開口2aが開放されたままの状態で野ざらしにされる。そして、充填物3を満たした中空管2をそのまま放置すると、充填物3が繰り返し雨水に曝されて、充填物3が締め固まり、次第に充填物3の容積が減少する。したがって、中空管2内を充填物3で満たす際に、中空管2内に投入された充填物3を、こまめにコンパクター等を用いて圧縮してやることで上述のような不具合の発生を回避することができる。
また、中空管2内に投入された充填物3を都度圧縮する場合は、後段の実施例3において説明するが、中空管2内にコンクリート層を形成することで、中空管2内において時間の経過に伴う充填物3の沈み込みを防止することができる。
なお、中空管2の中空部内に充填物3を満たす作業が終了すると、基礎地盤P上への中空管2の固定作業が完了したことになる。
また、このステップS3は、上述のようにステップS2の完了後に行ってもよいし、先のステップS1の実施に先立って、中空管2の外側面上に予め仕切り材保持部4aを固設しておいてもよい。なお、中空管2の内側面側に仕切り材保持部4aを固設する場合は、ステップS2を実施する前に、ステップ3を実施する必要がある。
なお、ステップS2,S3をこの順序で実施する場合は、実施例1に係る仕切り構造1Aの施工場所の様子を見ながら中空管2の外側面上の最適な位置に仕切り材保持部4aを取設することができる。他方、ステップS3を実施した後にステップS2を実施する場合は、予め工場等の基礎地盤P上以外の場所で、中空管2に仕切り材保持部4aを固設することができる。この場合は、実施例1に係る仕切り構造1Aの施工現場において、溶接等の作業を行う必要がないので、基礎地盤Pにおける施工作業を簡素化できるというメリットがある。
そして、最後に中空管2の外側面又は内側面に取設された仕切り材保持部4a同士の間に、第1の仕切り材5aを架設することで(ステップS4:仕切り材架設工程)、実施例1に係る仕切り構造1Aの施工が完了する。
つまり、実施例1に係る仕切り構造1Aでは充填物3で満たされた中空管2が、従来公知の仕切り構造における支柱と、この支柱の下端に一体に設けられて地中に埋設される基礎と同等の作用効果を奏する。
したがって、上述のような実施例1に係る仕切り構造1Aによれば、地中に有害物質等が埋まっている、あるいは基礎地盤Pが固くて容易に掘り起こすことができない等の理由により、従来公知の仕切り構造における基礎を基礎地盤P中に埋設することが容易でない状況であっても、基礎地盤P上の所望の位置に仕切り構造を設置することができる。
また、実施例1に係る仕切り構造1Aによれば、第1の仕切り材5aの材質や形態を適宜変えることで、仕切り構造1A自体を擁壁としても使用することができる。特に実施例1に係る仕切り構造1Aにおいて、隣り合う中空管2同士の間隔を狭めることで、仕切り構造1Aの擁壁としての機能を強化することができる。
さらに、実施例1に係る仕切り構造1Aを環状に配することで、簡易なサイロとして使用することができる。
加えて、実施例1に係る仕切り構造1Aは、基礎地盤P上に単に載置されているだけなので、その撤去も容易である。つまり、従来公知の仕切り構造を撤去する場合のように、支柱の下端に一体に固設される基礎を地中から掘り起す作業を行う必要がない。
よって、実施例1に係る仕切り構造1Aによれば、その施工と撤去が容易な新規な仕切り構造を提供することができる。
その一方で、実施例1に係る仕切り構造1Aでは、その形態上の理由から、中空管2の中心軸方向の長さが、中空管2の直径(最大径)を超えて大きくなるにつれて、仕切り構造1Aが転倒し易くなる傾向がある。
したがって、実施例1に係る仕切り構造1Aでは、中空管2の中心軸方向の長さを、中空管2の直径(最大径)と同等以下に設定しておくことで、仕切り構造1Aの転倒を好適に防止することができる。
このように目的に応じて複数種類の第1の仕切り材5aを組み合わせて用いることで、多様な機能を有する仕切り構造1Aを提供することができる。
図3は本発明の実施例2に係る仕切り構造の斜視図である。なお、図1,2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先にも述べたように、実施例1に係る仕切り構造1Aでは、基礎地盤P上における中空管2の鉛直方向高さ(中空管2の中心軸方向長さ)によって、仕切り構造1Aの鉛直方向高さが決まる。
また、施工後の安定性及び安全性を最大限考慮すると、実施例1に係る仕切り構造1Aの中空管2の鉛直方向高さ(中心軸方向長さ)は、中空管2の直径と同等以下に設定することが望ましい。
したがって、先の実施例1に係る仕切り構造1Aの場合は、基礎地盤Pからの鉛直方向高さが大きい仕切り構造にすることが難しいという課題があった。
このような事情に鑑み、実施例2に係る仕切り構造1Bは、図3に示すように、中空管2の外側面に取設される仕切り材保持部4aの上端側を、中空管2の上部開口2aを越えて鉛直上方側に突出させるとともに、上部開口2aから突出する仕切り材保持部4aにも直接又は間接的に第1の仕切り材5aを架設したものである。
このような実施例2に係る仕切り構造1Bによれば、中空管2の上部開口2aを超えた位置にも第1の仕切り材5aを配することができる。
あるいは、例えば、図3に示すように、中空管2の上部開口2a上に突出する仕切り材保持部4aに、同形態のL字型アングル材からなる仕切り材保持部4bを直接(溶接等により)又は間接的に(固定具6等を用いて)固設してから、この仕切り材保持部4b同士の間に、直接又は間接的に第1の仕切り材5aを架設してもよい。
なお、実施例2に係る仕切り構造1Bにおける仕切り材保持部4bの形態は、図3に示される形態に特定される必要はなく、仕切り材保持部4aの場合と同様に、第1の仕切り材5aの取付け容易性や、取付け後の強度等を考慮して所望の形態のものを用いればよい。
この場合は、目的に応じて第1の仕切り材5aが1種類以上の機能を有する独自の仕切り構造1Bを提供することができる。
具体的には、実施例2に係る仕切り構造1Bの施工手順は、上述のステップS0からステップS3までが上述の実施例1に係る仕切り構造1Aの施工手順と同じであるが、最後のステップS4において、中空管2の上部開口2aから突出する仕切り材保持部4a、及び必要に応じて設けられる仕切り材保持部4bに対しても、第1の仕切り材5aを直接又は間接的に架設する作業を行うだけである(ステップS4´)。
また、実施例2に係る仕切り構造1Bによれば、より安定した仕切り構造を提供すべく、中空管2の鉛直方向高さ(中空管2の中心軸方向長さ)を中空管2の直径以下に設定する場合でも、基礎地盤Pからの仕切り構造の高さを中空管2の鉛直方向高さ(中空管2の中心軸方向長さ)以上に設定することができる。
このことは、実施例2に係る仕切り構造1Bによれば、同じ高さの仕切り構造を形成する場合に、中空管2が占有する空間を、実施例1に係る仕切り構造1Aよりも小さくできることを意味している。この結果、実施例2に係る仕切り構造1Bによれば、実施例1に係る仕切り構造1Aよりも、利用可能な施工面を広くすることができる。
よって、実施例2に係る仕切り構造1Bによれば、安定した状態で設置することができ、かつ基礎地盤P上における仕切り構造の高さの自由度が実施例1に係る仕切り構造1Aよりも高い仕切り構造を提供することができる。
図4は本発明の実施例3に係る仕切り構造を水平方向から見た図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例3に係る仕切り構造1Cは、従来公知の仕切り構造15と、先の実施例1に係る仕切り構造1A又は実施例2に係る仕切り構造1Bとを組み合わせてなる新規な仕切り構造である。なお、実施例3に係る仕切り構造1Cを構成する従来公知の仕切り構造15は、例えば図4に示すように、支柱8と、この支柱8の下端に設けられる基礎10aと、上記支柱8同士の間に架設される第2の仕切り材5bにより構成されている。
このような実施例3に係る仕切り構造1Cは、図4に示すように、先の実施例1に係る仕切り構造1A又は実施例2に係る仕切り構造1Bにおける中空管2内に、充填物3を用いて上述の従来公知の仕切り構造15における基礎10aを埋設したものである。
すなわち、実施例3に係る仕切り構造1Cは、先の実施例1に係る仕切り構造1A又は実施例2に係る仕切り構造1Bにおける中空管2内の充填物3を、基礎地盤Pの代用として、この中空管2内の充填物3に基礎10aを埋設して従来公知の仕切り構造15を固定したものである。
図5は本発明の実施例3に係る仕切り構造において支柱に対する第2の仕切り構造の取付け状態を示す部分平面図である。より具体的には、図5は先の図4に示される従来公知の仕切り構造15のA-A線矢視断面における支柱8周辺の部分拡大図である。
図5に示すように、従来公知の仕切り構造15の支柱8としては、例えば表面に防食加工を施したH鋼を用いることができる。ただし、従来公知の仕切り構造15における支柱8は、図示されるようなH鋼である必要はなく従来公知のフェンスや柵等に用いられている支柱を支障なく使用することができる。
また、図4,5に示すように、第2の仕切り材5bは、先の実施例1に係る仕切り構造1A又は実施例2に係る仕切り構造1Bにおける第1の仕切り材5aと同じものを使用することができる。ただし、従来公知の仕切り構造15における第2の仕切り材5bも、必ずしも第1の仕切り材5aと同じである必要はなく、支柱8,8間に直接又は間接的に取設できるものであれば、仕切り構造1Cの使用目的(透光性、通気性、強度等)に応じて所望のものを選定することができる。
さらに、図4,5では、支柱8,8間に第2の仕切り材5bを、直接固定具6(例えば、ボルト6a及びナット6b)を用いて固設する場合を例に挙げているが、先の実施例1,2に係る仕切り構造1A,1Bにおける仕切り材保持部4a,4bに対する第1の仕切り材5aの取付け構造の場合と同様に、予めパネル状に成形された第2の仕切り材5b群を、直接又は間接的に支柱8に固設してもよい。なお、その際の第2の仕切り材5bの固設方法としては、固定具6を用いてもよいし、溶接等により直接固設してもよい。
加えて、従来公知の仕切り構造15における基礎10aは、例えば図4中に示すように、支柱8の下端に一体に固設される塊状のコンクリート又は鉄筋コンクリートでもよい。あるいは、後段における図7に示すような支柱8の下端に固設される金属製の平板体でもよい。よって、従来公知の仕切り構造15における基礎10aは、中空管2内の充填物3中に埋設された際に、充填物3からの支柱8の下端の引き抜き抵抗を増すように構成されるものであれば、どのような形態であってもよい。
また、図4では、支柱8の上端8aが開放されている状態を示しているが、必要に応じて支柱8の上端8aにカバー(図示せず)を備えてもよい。
この点をより具体的に説明すると、先の図1,2に示すような実施例1に係る仕切り構造1Aの中空管2内に、従来公知の仕切り構造15の支柱8の下端側(例えば、基礎10a)を埋設する場合、中空管2内における基礎10aの埋設位置によっては、実施例1に係る仕切り構造1Aをなす第1の仕切り材5aと、従来公知の仕切り構造15をなす第2の仕切り材5bとの間に、隙間が生じてしまう場合がある(図示せず)。
この場合、本発明に係る仕切り構造として実施例2に係る仕切り構造1Bを採用することで、中空管2の上部開口2a上に突出する仕切り材保持部4a及び、必要に応じてこの仕切り材保持部4aに取設される仕切り材保持部4bを用いて、中空管2同士の間に架設される第1の仕切り材5a(図4中の破線によるハッチング部分を参照)と、従来公知の仕切り構造15をなす第2の仕切り材5bとの間に形成される隙間に、第1の仕切り材5a及び、必要に応じて隙間部材9を配設することができる。
したがって、従来公知の仕切り構造15と実施例2に係る仕切り構造1Bとを組み合わせて実施例3に係る仕切り構造1Cを構成する場合は、仕切り材保持部4a、並びに、仕切り材保持部4b及び中空管2の外側面を一体化することができる。この結果、実施例3に係る仕切り構造1Cによれば、基礎地盤P上に隙間を有しない仕切り構造を形成することができる。
また、先の図1,2に示す仕切り構造1Aの中空管2内に従来公知の仕切り構造15の支柱8の下端側を埋設する際に、中空管2内における基礎10aの鉛直方向位置を適宜調整することで、実施例1に係る仕切り構造1Aと従来公知の仕切り構造15との接続部分に隙間が生じるのを防ぐことができる。
この場合、既設の仕切り構造(従来公知の仕切り構造15)を、例えば基礎10aを備えた支柱8と、第2の仕切り材5bとに分解してから、さらに支柱8の下端側に設けられる基礎10aを基礎地盤から掘り起して引き抜いた後に、これらの既設の仕切り構造を構成する各パーツを、実施例3に係る仕切り構造1Cの施工に用いればよい。
このように、従来公知の仕切り構造15として既設の仕切り構造を使用して実施例3に係る仕切り構造1Cを施工する場合は、支柱8の長さを変更することなく、既設の仕切り構造よりも鉛直方向高さが高い仕切り構造を作製することができる。
実施例3に係る仕切り構造1Cの施工手順は、先の実施例1,2に係る仕切り構造1A,1Bの施工手順におけるステップS2までは同じである。また、実施例3に係る仕切り構造1Cの施工手順では、ステップS2を実施する際に、中空管2内に充填物3と併せて従来公知の仕切り構造15(又は既存の仕切り構造)の支柱8の下端(例えば、基礎10a)を埋設すればよい(ステップS2´:充填物と支柱の収容工程)。
さらに、実施例3に係る仕切り構造1Cの施工手順では、上述のステップS2´を完了した後に、中空管2の周側面上に仕切り材保持部4a及び、必要に応じて仕切り材保持部4bを固設する(ステップS3´)。なお、実施例3に係る仕切り構造1Cにおいて、中空管2同士の間に第1の仕切り材5aを架設する必要がない場合で、かつ中空管2の上部開口2a上に突出する仕切り材保持部4a及び、必要に応じて仕切り材保持部4bに、仕切り材保持部4aを架設する場合は、仕切り材保持部4aを中空管2の内側面側に固設してもよい。この場合は、ステップS2´を実施する前にステップS3´を実施する必要がある。
そして、実施例3に係る仕切り構造1Cの施工手順の最終工程は、ステップS3´の実施後に、仕切り材保持部4a及び、必要に応じて仕切り材保持部4bに第1の仕切り材5aを、並びに、支柱8に第2の仕切り材5bを、それぞれ架設する工程である(ステップS4´´:仕切り材架設工程)。
ここでは、実施例3に係る仕切り構造1Cの各変形例について図6乃至図10を参照しながら説明する。なお、後段に示す仕切り構造1Cの各変形例に係る支柱8の固定構造の図は、いずれも先の図4中におけるB-B線矢視断面と同じ部分を断面図として示したものである。
実施例3の第1の変形例に係る仕切り構造1C1は、図6に示すように、充填物3及び塊状の基礎10aが収容されている中空管2内の基礎地盤P上に、第1のコンクリート層12aを備えており、さらにこの第1のコンクリート層12aは、その厚み方向を貫通して設けられる少なくとも1の第1の排水孔13aを備えてなるものである。
また、このような第1の変形例に係る仕切り構造1C1では、中空管2内に充填される充填物3として透水性(排水性)を有する粒状体3aを用いることが好ましい。
なお、中空管2内において第1のコンクリート層12a上に充填物3を積層する際に、中空管2内に投入された充填物3を、例えばコンパクター等を用いてしっかりと締め固めておくことが望ましい。この場合、充填物3の締固めを行わない場合と比較して、時間の経過に伴う中空管2内に収容された基礎10aの沈み込み量を小さくすることができる。
また、上述の第1のコンクリート層12aが第1の排水孔13aを備えていることで、中空管2の上部開口2aから浸入した雨水を、第1の排水孔13aを介して基礎地盤Pに排出することができる。この結果、降雨後に中空管2内の湿度の低下を促進することができる。したがって、第1の変形例に係る仕切り構造1C1によれば、上記効果と併せて、中空管2の下部開口2dや支柱8の下端8b側の腐食の進行による強度の低下を抑制することができる。よって、第1の変形例に係る仕切り構造1C1によれば、仕切り構造全体の耐久性を向上させることができる。
さらに、第1の変形例に係る仕切り構造1C1において支柱8が基礎10aを備えていることで、基礎10aを備えない場合に比べて、支柱8の引き抜き抵抗を高くすることができる。
実施例3の第2の変形例に係る仕切り構造1C2は、図7に示すように、先の図6に示す支柱8の固定構造において、支柱8の下端8bに塊状の基礎10aに代えて、平板状の基礎10bを備えてなるものである。
さらに、第2の変形例に係る仕切り構造1C2の支柱8の下端8bはさらに、必要に応じて、基礎10bと支柱8の接続部分に補強板11を備えていてもよい。
なお、支柱8の下端8bが、図7に示すような平板状の基礎10bを備えていることで、この基礎10bを備えない場合に比べて、支柱8の引き抜き抵抗を高くすることができる。
また、上述のような第2の変形例に係る仕切り構造1C2による作用効果は、先の図6に示す第1の変形例に係る仕切り構造1C1による作用効果と同じである。
実施例3の第3の変形例に係る仕切り構造1C3は、図8に示すように、先の図6に示す支柱8の固定構造において、基礎10aが中空管2内に形成される第2のコンクリート層12b上に載置され、さらにこの第2のコンクリート層12bがその厚み方向を貫通する第2の排水孔13bを備えてなるものである。なお、第3の変形例に係る仕切り構造1C3において、第2のコンクリート層12bを備えることによる作用効果は、上述の第1のコンクリート層12aを備えることによる作用効果と同じである。さらに、第2のコンクリート層12bが第2の排水孔13bを備えることで、第2のコンクリート層12bの上面側に浸透してきた雨水を、第1のコンクリート層12a側に排出するという作用を有する。
したがって、図8に示すような第3の変形例に係る仕切り構造1C4によれば、先の第1,第2の変形例に係る仕切り構造1C1,1C2と比較して、時間の経過に伴う基礎10aや支柱8の沈み込みがより生じ難い高品質な仕切り構造を提供することができる。
また、図8では、第2のコンクリート層12b上に基礎10aを載置する場合を例に挙げて説明しているが、第2のコンクリート層12bの形成時に、第2のコンクリート層12bの厚み部分に基礎10aを埋め込んでもよい。この場合は、第2のコンクリート層12b上に単に基礎10aを載置する場合に比べて、支柱8の引き抜き抵抗を大きくすることができ、これにより一層安定性に優れた仕切り構造1C3を提供することができる。
実施例3の第4の変形例に係る仕切り構造1C4は、図9に示すように、先の図7に示す支柱8の固定構造において、基礎10bが中空管2内に形成される第2のコンクリート層12b上に載置され、さらに、この第2のコンクリート層12bがその厚み方向を貫通する第2の排水孔13bを備えてなるものである。
なお、第3の変形例に係る仕切り構造1C4において、第2のコンクリート層12bを備えることによる作用効果は、上述の第1のコンクリート層12aを備えることによる作用効果と同じである。さらに、第2の排水孔13bを備えることによる作用効果は、上述の第1の排水孔13aを備えることによる作用効果と同じである。
したがって、図9に示すような第4の変形例に係る仕切り構造1C4によれば、先の第1,第2の変形例に係る仕切り構造1C1,1C2と比較して、時間の経過に伴う基礎10bや支柱8の沈み込みがより生じ難い高品質な仕切り構造を提供することができる。
さらに、図9に示すように、第4の変形例に係る仕切り構造1C4では、基礎10bを第2のコンクリート層12bにボルト14を用いて一体に固定してもよい。この場合、第4の変形例に係る仕切り構造1C4において、支柱8の引き抜き抵抗を一層大きくすることができる。
よって、第4の変形例に係る仕切り構造1C4によれば、先の第2の変形例に係る仕切り構造1C2よりも一層品質及び安定性が高い仕切り構造を提供することができる。
加えて、図9では、第2のコンクリート層12b上に基礎10bを載置する場合を例に挙げて説明しているが、第2のコンクリート層12bの形成時に、第2のコンクリート層12bの厚み部分に基礎10bを埋め込んでもよい。この場合、第2のコンクリート層12b上に基礎10bを単に載置する場合に比べて、支柱8の引き抜き抵抗を大きくすることができ、これにより一層安定性に優れた仕切り構造1C4を提供することができる。
また、中空管2内において、基礎10a又は基礎10bの直下に、コンクリート又は鉄筋コンクリートが配される場合は、基礎10a又は基礎10bの厚み方向の少なくとも一部が、コンクリート又は鉄筋コンクリート中に埋設されていてもよい。
このように、中空管2内において、基礎10a又は基礎10bの直下から基礎地盤Pまでの空間を、排水孔を備えたコンクリート又は鉄筋コンクリートで埋める場合は、コンクリート又は鉄筋コンクリートの使用量が増える反面、時間の経過に伴う支柱8の基礎地盤P側への沈み込みが起こらないという優れた効果が発揮される。
また、中空管2内において、基礎10a又は基礎10bの直下から基礎地盤Pまでを、排水孔を備えたコンクリート又は鉄筋コンクリートで埋めることに代えて、基礎10a又は基礎10bの直下から基礎地盤Pまでの間にコンクリート又は鉄筋コンクリート製のブロックを、中空管2の中心軸方向における通水性を確保しながら敷設してもよい(図示せず)。
この場合は、基礎10a又は基礎10bの直下から基礎地盤Pまでを、排水孔を備えたコンクリート又は鉄筋コンクリートで埋める場合と同様の効果を発揮させることができる。
実施例3の第5の変形例に係る仕切り構造1C5は、図10に示すように、支柱8の下端8bが、中空管2内にコンクリート3b又は鉄筋コンクリートにより固定されてなるものである。なお、特に図示しないが、支柱8の下端8bは、先の図6,7に示すような基礎10aや基礎10b及び、必要に応じて補強板11を備えていてもよい。より具体的には、支柱8の下端8bが、基礎10aや基礎10bを備えている必要性は特にないものの、支柱8として既存の仕切り構造をそのまま用いる場合に、支柱8の下端8bに基礎10aや基礎10bを備えていても何ら支障はないという意味である。
なお、図10に示すような第5の変形例に係る仕切り構造1C5では、中空管2はコンクリート3bを成形するための捨て型枠として用いられる。
上述のような第5の変形例に係る仕切り構造1C5によれば、先の第1乃至第4の変形例に係る仕切り構造1C1~1C4と比較して、支柱8の引き抜き抵抗を大幅に大きくすることができるので、とりわけ高品質な仕切り構造を提供することができる。
なお、第5の変形例に係る仕切り構造1C5では、施工後、原則的に中空管2内から支柱8を引き抜くことができないので、仕切り構造1C5を撤去する場合は、支柱8と一体化した中空管2をそのまま撤去するか、支柱8を切断して中空管2から分離して撤去する必要がある。このため、第5の変形例に係る仕切り構造1C5は、仕切り構造を恒久的に使用する場合に特に適した形態であるといえる。
Claims (7)
- 基礎地盤上に載置して用いられる仕切り構造であって、
中心軸を鉛直方向に配しながら前記基礎地盤上に載置される複数の中空管と、
前記中空管内に充填される充填物と、
前記中空管の外側面又は内側面に取設されるとともに、その上端が前記中空管の上部開口を超えて鉛直上方側に突出している仕切り材保持部と、
前記仕切り材保持部において前記上部開口を超えて鉛直上方側に突出している部分同士の間に、直接又は間接的に架設されている第1の仕切り材と、を備えていることを特徴とする仕切り構造。 - 基礎地盤上に載置して用いられる仕切り構造であって、
中心軸を鉛直方向に配しながら前記基礎地盤上に載置される複数の中空管と、
前記中空管内に充填される充填物と、
前記中空管の外側面又は内側面に取設されるとともに、その上端が前記中空管の上部開口を超えて鉛直上方側に突出している仕切り材保持部と、
下端側が前記充填物内に埋設され、上端側が前記中空管の前記上部開口から導出されている支柱と、
隣り合う前記支柱間に直接又は間接的に架設されている第2の仕切り材と、
前記仕切り材保持部において前記上部開口を超えて鉛直上方側に突出している部分と前記支柱の間に架設されている隙間部材と、を備えていることを特徴とする仕切り構造。 - 前記支柱の前記下端側は、平板状又は塊状をなす基礎を備えていることを特徴とする請求項2に記載の仕切り構造。
- 前記中空管は、その中空部内でかつ前記支柱の前記下端の鉛直下方側にコンクリート層を備え、
前記コンクリート層は、その厚み方向を貫通する少なくとも1の排水孔を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の仕切り構造。 - 前記中空管は、防食被膜を備えている金属からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の仕切り構造。
- 前記中空管は、複数の分割片からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の仕切り構造。
- 前記中空管は、コルゲートパイプであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の仕切り構造。
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