JP7251551B2 - 光学フィルターおよび環境光センサー - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた環境光センサーに関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末等の情報端末装置への用途として、環境光センサーの開発が進められている。情報端末装置における環境光センサーは、情報端末装置がおかれた環境の照度を感知してディスプレイの明るさを調光する照度センサーや、情報端末装置がおかれた環境の色調を感知してディスプレイの色調を調整するカラーセンサーなどとして用いられる。
人間の視感度と、ディスプレイの輝度や色調とを自然な形で合わせるためには、可視光線のみを環境光センサーに到達させることが重要である。例えば、環境光センサーは、近赤外線カットフィルターなどの光学フィルターを設置することで、分光感度特性を視感度に近づけることが可能となる。
一方、情報端末装置のデザイン性重視の要望から、環境光センサーに光を入射させる透過窓の透過率を下げる(黒っぽい外観とする)ことが求められており、赤外光に対する可視光の入射量が減少し、正確な照度や色調の検出が困難となり、誤作動が発生するとういう問題がある。また、情報端末装置の低背化が進み、光の入射窓から環境光センサーまでの距離が短くなる。そのため、例えば、入射角度60°といった高入射角からの入射光の割合が増加することになり、高入射角の入射光に対しても環境光センサーに到達する光の分光特性(特に近赤外線の強度)が変化しないことが要求されている。
環境光センサーの分光特性を、人間の視感度と合わせるための手段として、ガラス板上に金属多層膜が形成された赤外線カットフィルターを設けた装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、ガラス板上に金属多層薄膜を形成した近赤外線カットフィルターは、入射光の入射角度によって光学特性が大きく変化するため、環境光センサーの検出精度が低下するという問題がある。
入射角度によらず広帯域の近赤外線をカットできる材料として、種々の近赤外線吸収粒子が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。このような近赤外線吸収粒子を用いて、環境光センサーの用途として十分な近赤外線カット性能を達成するためには、近赤外線吸収粒子の添加量を多くする必要がある。しかし、近赤外線カットフィルターにおいて、近赤外線吸収粒子の添加量を多くすると、可視光透過率が低下するといった問題がある。
これに対し、ノルボルネン系樹脂製基板、特定波長に吸収極大を有する近赤外線吸収色素、および近赤外線反射膜を有する近赤外線カットフィルターは、光線が斜め方向から入射した際に可視域の透過率変化が少ないという特性を有する(例えば特許文献4参照)。この近赤外線カットフィルターを環境光センサー用途として使用するには、入射角度60°といった高入射角の赤外線カット性能をさらに向上させることが望ましいと考えられる。
また、照明源の配置によらない周囲照度に応じた表示輝度制御を行うことを目的に、光入射面が光拡散面で構成され光入射面の位置が光出射面の位置よりも鉛直方向に対して上方に位置する導光部材を用いた環境光センサーが提案されている(例えば特許文献5参照)。
一方で、生体特徴を使用した個人またはユーザーを認証するために、約700~1200nmのピーク発光波長を有する電磁放射線を放射することができる活性光源を使用することが知られている。さらに、太陽のスペクトルから入射する背景光量の低減のために940nm周囲の波長を有する光を利用することが特に有益であることも知られている。940nmの光の波長は、大気中の水分によって太陽スペクトルからある程度はフィルタリングされ、この波長領域における背景ノイズは、周囲光が太陽光を含む場合には低減される(例えば特許文献6参照)。
スマートフォン、タブレット端末およびパソコンなどの情報端末装置、テレビなどの家電製品、ならびに、現金自動預け払い機などの機器においては、個人またはユーザーを認証する機能およびディスプレイに画像を表示する機能の両方を有することが求められ、上述したように照度センサーやカラーセンサーなどとして環境光センサーが用いられている。
しかしながら、上記のような生体特徴を認証するシステムと環境光センサーの両方を搭載する機器においては、生体特徴を認証するシステムに用いられる940nmの光が、環境光センサーの検出精度に悪影響を与える場合がある。
特開2011-060788号公報 国際公開第2005/037932号明細書 特開2011-118255号公報 特開2011-100084号公報 特開2014-109701号公報 特表2016-510467号公報
本発明は、生体特徴を認証するシステムと環境光センサーの両方を搭載する機器において、環境光センサーの検出精度を向上させることができる光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた環境光センサーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、光散乱層を介して、できるだけ高い光量の可視光線を環境光センサーに取り込み、かつ近赤外線(特に940nmの光線)を限りなくカットすることで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、例えば以下の構成を有することが好ましい。
[1] 基材(i)と、該基材(i)の少なくとも一方の面に形成された光散乱層とを有する光学フィルターであって、
波長940nmにおいて、該光学フィルターの垂直方向から測定した場合のOD値が3以上であることを特徴とする光学フィルター。
[2] 波長850~1050nmの領域において、前記光学フィルターの垂直方向から測定した場合の平均OD値が2以上であることを特徴とする項[1]に記載の光学フィルター。
[3] 光学フィルターに対して垂直の位置に光源、集光レンズ、ピンホール、コリメーターレンズおよび光束絞りを配置し、該光源と該光学フィルターを垂直に結んだ直線上で、かつ該光源とは反対側の位置を0°とし、該光源からの出射光を該集光レンズ、該ピンホール、該コリメーターレンズおよび該光束絞りを介して有効径Φ20mmの平行光に変換し、該平行光を該光学フィルターに入射して該光源とは反対側に出射した光の照度を下記条件で測定した場合、
0°の位置における照度が半減する角度が15°以上60°以下であることを特徴とする項[1]または[2]に記載の光学フィルター。
光源:ハロゲン光源 (12V、50W)
光学フィルターの厚み:100~400μm
照度測定位置:光学フィルターの光源とは反対側の表面(0°の位置)から270mm~290mmの位置
[4] 前記光散乱層の表面粗さRaが0.1~4.5μmであることを特徴とする項[1]~[3]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[5] 前記光散乱層が、密着層を介して前記基材(i)に密着していることを特徴とする項[1]~[4]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[6] 前記基材(i)が、波長750~1150nmの領域に吸収極大波長を有する化合物(S)を含有する光吸収層を含むことを特徴とする項[1]~[5]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[7] 前記化合物(S)が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、金属ジチオラート系化合物、リン酸銅錯体系化合物およびピロロピロール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする項[6]に記載の光学フィルター。
[8] 前記光吸収層が、波長650nm以上750nm未満の領域に吸収極大波長を有する化合物(A)をさらに含むことを特徴とする項[6]または[7]に記載の光学フィルター。
[9] 前記化合物(A)が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする項[8]に記載の光学フィルター。
[10] 環境光センサー用である項[1]~[9]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[11] 項[1]~[10]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する環境光センサー。
本発明によれば、生体特徴を認証するシステムと環境光センサーの両方を搭載する機器において、環境光センサーの検出精度を向上させることができる光学フィルターを提供することができる。特に、最適な拡散比率および高い透過率を有する光散乱層を形成することにより、高い可視光透過率および940nmにおける高OD値を達成し、外部の光を均等に取り込むことができるとともに、光線の入射角によって異なる赤外線カット性能を最適化することができる。
本発明の一実施形態に係る環境光センサーの構成を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る環境光センサーの構成を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る環境光センサーの構成を説明する図である。 光学フィルターを透過した光の照度が半減する角度を測定する概略を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を、必要に応じて図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付し又は類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書中において「上」とは、支持基板の主面(センサーの受光面)を基準とした相対的な位置を指し、支持基板の主面から離れる方向が「上」である。本願図面では、紙面に向かって上方が「上」となっている。また、「上」には、物体の上に接する場合(つまり「on」の場合)と、物体の上方に位置する場合(つまり「over」の場合)とが含まれる。逆に、「下」とは、支持基板の主面を基準とした相対的な位置を指し、支持基板の主面に近づく方向が「下」である。本願図面では、紙面に向かって下方が「下」となっている。
本発明の光学フィルターは、後述する構成を有するものであり、その用途は特に限定されないが、環境光センサー用途として好適である。本発明の環境光センサーは、後述する光学フィルターを具備すれば特に限定されないが、具体的な構成としては、受光面に入射する光により光電流を生成し照度や色温度を測定する光電変換素子と、前記光電変換素子の前記受光面側に配置された光学フィルターとを有する構成が挙げられる。
[光学フィルター]
本発明に係る光学フィルターは、基材(i)と、該基材(i)の少なくとも一方の面に形成された光散乱層とを有し、波長940nmにおいて、該光学フィルターの垂直方向から測定した場合のOD値が3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上8以下であることを特徴とする。前記OD値が前記範囲であることにより、生体特徴を認証するシステムに使用されるレーザーによる光センサーの誤作動を防止することができる。
また、本発明の光学フィルターは、波長850~1050nmの領域において、前記光学フィルターの垂直方向から測定した場合の平均OD値が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上8以下である。前記平均OD値が前記範囲であると、近赤外線を十分にカットすることができる。
OD値は透過率の常用対数値であり、平均OD値は下記式(1)にて算出できる。指定の波長範囲の平均OD値が高いと、光学フィルターはその波長領域の光のカット特性が高いことを表す。
ある波長域における平均OD値=-Log10(ある波長域における平均透過率(%)/100)・・・式(1)
本発明の光学フィルターは、図4に示すように、光学フィルター7に対して垂直の位置に光源1、集光レンズ2、ピンホール3、コリメーターレンズ4および光束絞り5を配置し、該光源1と該光学フィルター7を垂直に結んだ直線上で、かつ該光源1とは反対側の位置を0°とし、該光源1からの出射光を該集光レンズ2、該ピンホール3、該コリメーターレンズ4および該光束絞り5を介して有効径Φ20mmの平行光に変換し、該平行光を該光学フィルター7に入射して該光源1とは反対側に出射した光の照度を下記条件で測定した場合、0°の位置における照度が半減する角度(半値角)が、好ましくは15°以上60°以下、より好ましくは15°以上45°以下、さらに好ましくは20°以上30°以下である。
(測定条件)
・光源:ハロゲン光源 (12V、50W)
・光学フィルターの厚み:100~400μm
・照度測定位置:光学フィルターの光源とは反対側の表面(0°の位置)から270mm~290mmの位置
前記半値角が前記範囲であることにより、光が光散乱層を通過することにより発生する大きい入射角の光の成分を低減して高い近赤外線カット性能を発現し、かつ均一な光の取り込みを達成することができる。なお、前記半値角は、例えば、村上色彩技術研究所社製の自動変角光度計GP-200を用いて測定することができる。
本発明の光学フィルターは、上側(光散乱層側)から光を入射させた場合のヘーズ(JIS K 7136)が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。前記ヘーズが前記範囲であることにより、光が光散乱層を通過することにより発生する大きい入射角の光の成分を低減して高い近赤外線カット性能を発現し、かつ均一な光の取り込みを達成することができる。
このような光学フィルターを携帯電話やタブレットの環境光センサーに用いると、画面の輝度や色味の補正がしやすくなるため、明るい環境においてディスプレイの輝度が不足して見えにくくなったり、画面上に特定の色を正常に表示できなくなったりするという不具合を解消することができる。
本発明の光学フィルターは、波長430~580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値(以下「TA」ともいう。)が、好ましくは30%以上80%以下、より好ましくは30%以上75%以下、さらに好ましくは33%以上70%以下であることが望ましい。
波長430~580nmの領域において、透過率の平均値(TA)が高過ぎると、光センサーの受光部に入射する光の強度が過剰に強くなり、光センサーがサチレーションを起こすため正常に機能しなくなる場合がある。また、透過率の平均値(TA)が低すぎると、光センサーの受光部に入射する光の強度が弱くなり、フィルターを通過する光の強度が充分確保されず、上記用途に好適に用いることができない場合がある。
本発明の光学フィルターの厚みは、特に制限されないが、好ましくは10~1000μm、より好ましくは20~800μm、さらに好ましくは30~600μm、特に好ましくは40~500μmである。光学フィルターの厚みが上記範囲にあると、光学フィルターを、小型化および軽量化することができ、環境光センサー等の種々の用途に好適に用いることができる。特に環境光センサーの受光部上面に用いた場合には、光センサーモジュールの低背化を実現することができるため好ましい。
<基材(i)>
前記基材(i)は、単層であっても多層であってもよく、波長750~1150nmの領域に吸収極大を有する光吸収層を含むことが好ましい。また、前記光吸収層は、波長750~1150nmの領域に吸収極大を有する化合物(S)を含有することが好ましい。基材(i)が単層の場合は、例えば、化合物(S)を含む樹脂製基板(ii)からなる基材、銅成分を含有する近赤外線吸収ガラス基板(iii)からなる基材を挙げることができ、この樹脂製基板(ii)、またはガラス基板(iii)が前記光吸収層となる。多層の場合は、例えば、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上に化合物(S)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材、化合物(S)を含む樹脂製基板(ii)上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材などを挙げることができる。製造コストや光学特性調整の容易性、さらに、樹脂製支持体や樹脂製基板(ii)の傷消し効果を達成できることや基材(i)の耐傷つき性向上等の点から、化合物(S)を含有する樹脂製基板(ii)上に硬化性樹脂からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材が特に好ましい。
<光吸収層>
前記光吸収層は、波長750~1150nmの領域に吸収極大を有すれば特に限定されないが、波長850~1050nmの領域において、前記基材(i)の垂直方向から測定した場合の平均OD値が、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは2以上5以下である。
また、このような光吸収層を用いた光学フィルターを環境光センサーや照度センサーに用いた場合、光センサーモジュール内における多重反射光を吸収することができるため、環境光センサーや照度センサーの誤作動を抑制し、高機能な環境光センサーや照度センサーを得ることができる。
上記光吸収層の厚みは、特に制限されないが、好ましくは10~500μm、より好ましくは20~300μm、さらに好ましくは30~200μmである。光吸収層の厚みが前記範囲にあると、該光吸収層を用いた光学フィルターを、小型化および軽量化することができ、環境光センサー等の種々の用途に好適に用いることができる。
<化合物(S)>
前記化合物(S)としては、近赤外線を吸収する色素として作用する金属錯体系化合物、染料または顔料を用いることができ、特に国際公開第2017/094672号明細書に記載の化合物(S)を好適に用いることができる。
前記化合物(S)の使用量は、所望の特性に応じて適宜選択されるが、前記光吸収層に用いる樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~50.0質量部、より好ましくは0.2~10.0質量部、さらに好ましくは0.3~1.0質量部である。
前記化合物(S)の使用量が上記範囲より多いと、化合物(S)の特性がより強く表れる光学フィルターを得ることができる場合もあるが、430~580nmの範囲における透過率が光センサーとして好ましい値よりも低下する場合や、光吸収層や光学フィルターの強度が低下する場合があり、化合物(S)の使用量が上記範囲より少ないと、透過率が高すぎる光学フィルターが得られ、光センサーに入射する光量を制限することが困難になる場合がある。
<化合物(A)>
前記光吸収層は、波長650nm以上750nm未満の領域に吸収極大を有する化合物(A)をさらに含むことができる。前記化合物(S)を含む光吸収層と、前記化合物(A)を含む光吸収層は、同一の層であってもよく、異なる層であってもよい。また、前記光吸収層に含まれる化合物(A)は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記化合物(A)は、波長650nm以上750nm未満の領域に吸収極大があれば特に限定されないが、国際公開第2017/094672号明細書に記載の化合物(A)を好適に用いることができる。
化合物(A)の添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、前記光吸収層に用いる樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~20.0質量部、より好ましくは0.02~15.0質量部、さらに好ましくは0.03~10.0質量部である。
<樹脂>
前記光吸収層に用いる樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうるフィルムとするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110~380℃、より好ましくは110~370℃、さらに好ましくは120~360℃である樹脂が挙げられる。また、前記樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成しえるフィルムが得られるため、特に好ましい。
前記樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JIS K7105)が、好ましくは75~95%、さらに好ましくは78~95%、特に好ましくは80~95%となる樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基板は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
前記樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000~350,000、好ましくは30,000~250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000~150,000、好ましくは20,000~100,000である。
前記樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂を挙げることができる。これらの内、環状ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリエーテル樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂を用いることが、透明性(光学特性)、耐熱性等のバランスに優れた光学フィルターを得られる点で好ましい。
≪環状ポリオレフィン系樹脂≫
環状ポリオレフィン系樹脂としては、下記式(X0)で表される単量体および下記式(Y0)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体から得られる樹脂、および当該樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
Figure 0007251551000001
式(X0)中、Rx1~Rx4はそれぞれ独立に、下記(i')~(ix')
より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxはそれぞれ独立に、0~4の整数を表す。
(i')水素原子
(ii')ハロゲン原子
(iii')トリアルキルシリル基
(iv')酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1~30の炭化水素基
(v')置換または非置換の炭素数1~30の炭化水素基
(vi')極性基(但し、(ii')および(iv')を除く。)
(vii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基(但し、前記結合に関与しないRx1~Rx4は、それぞれ独立に前記(i')~(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(viii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1~Rx4は、それぞれ独立に前記(i')~(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(ix')Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1とRx4は、それぞれ独立に前記(i')~(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
Figure 0007251551000002
式(Y0)中、Ry1およびRy2はそれぞれ独立に、前記(i')~(vi')より選ばれる原子または基を表すか、Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表し、kyおよびpyはそれぞれ独立に、0~4の整数を表す。
≪芳香族ポリエーテル系樹脂≫
芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 0007251551000003
式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示し、a~dはそれぞれ独立に、0~4の整数を示す。
Figure 0007251551000004
式(2)中、R1~R4およびa~dはそれぞれ独立に、前記式(1)中のR1~R4およびa~dと同義であり、Yは、単結合、-SO2-または-CO-を示し、R7およびR8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhはそれぞれ独立に、0~4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0のとき、R7はシアノ基ではない。
また、前記芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 0007251551000005
式(3)中、R5およびR6はそれぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、-O-、-S-、-SO2-、-CO-、-CONH-、-COO-または炭素数1~12の2価の有機基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に、0~4の整数を示し、nは0または1を示す。
Figure 0007251551000006
式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhはそれぞれ独立に、前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfはそれぞれ独立に、前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。
≪ポリイミド系樹脂≫
ポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば、特開2006-199945号公報や特開2008-163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリカーボネート系樹脂≫
フルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、例えば、特開2008-163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリエステル系樹脂≫
フルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、例えば、特開2010-285505号公報や特開2011-197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フッ素化芳香族ポリマー系樹脂≫
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、フッ素原子を少なくとも1つ有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであることが好ましく、例えば特開2008-181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪アクリル系紫外線硬化型樹脂≫
アクリル系紫外線硬化型樹脂としては、特に制限されないが、分子内に一つ以上のアクリル基もしくはメタクリル基を有する化合物と、紫外線によって分解して活性ラジカルを発生させる化合物を含有する樹脂組成物から合成されるものを挙げることができる。アクリル系紫外線硬化型樹脂は、前記基材(i)として、ガラス支持体上やベースとなる樹脂製支持体上に化合物(S)および硬化性樹脂を含む樹脂層(光吸収層)が積層された基材や、化合物(S)を含有する樹脂製基板(ii)上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合、該硬化性樹脂として特に好適に使用することができる。
≪ゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂≫
ゾルゲル法によるシリカを主成分とする樹脂としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシラン、メトキシトリエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのフェニルアルコキシシラン等から選ばれる1種以上のシラン類の加水分解によるゾルゲル反応により得られる化合物を樹脂として使用することができる。
≪市販品≫
前記樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノア、三井化学(株)製APEL、ポリプラスチックス(株)製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友化学(株)製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人(株)製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ユピゼータEP-5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、(株)日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂の市販品としては、東亜合成(株)製光硬化型SQシリーズなどを挙げることができる。
<その他成分>
前記光吸収層は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに酸化防止剤、近紫外線吸収剤および蛍光消光剤等の添加剤を含有してもよい。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記近紫外線吸収剤としては、例えばアゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,2'-ジオキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-5,5'-ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、およびトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
なお、これら添加剤は、前記樹脂を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、前記樹脂100質量部に対して、通常0.01~5.0質量部、好ましくは0.05~2.0質量部である。
<支持体>
≪樹脂製支持体≫
前記樹脂基板または樹脂製支持体に用いられる樹脂は、前記樹脂層と同様のものを用いることができる。
≪ガラス支持体≫
前記ガラス支持体としては、特に限定されないが、例えば、ホウケイ酸塩系ガラス、ケイ酸塩系ガラス、ソーダ石灰ガラス、および近赤外線吸収ガラスなどが挙げられる。前記近赤外線吸収ガラスは、近赤外カット特性を向上できる点と入射角依存性を低減できる点で好ましく、その具体例としては、銅成分を含有するフッ素リン酸塩系ガラスおよびリン酸塩系ガラスなどが挙げられる。
<基材(i)の製造方法>
前記基材(i)が、前記樹脂製基板(ii)を含む基材である場合、該樹脂製基板(ii)は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングすることで、オーバーコート層が積層された基材を製造することができる。
前記基材(i)が、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体上に化合物(S)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層(光吸収層)が積層された基材である場合、例えば、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体に化合物(S)を含む樹脂溶液を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体上に樹脂層が形成された基材を製造することができる。
≪溶融成形≫
前記溶融成形としては、具体的には、樹脂と化合物(S)等とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と化合物(S)とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、化合物(S)、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などが挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
≪キャスト成形≫
前記キャスト成形としては、化合物(S)、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;または化合物(S)と、光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法などにより製造することもできる。
前記基材(i)が、化合物(S)を含有する樹脂製基板(ii)からなる基材である場合には、該基材(i)は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができ、また、前記基材(i)が、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体等の支持体などの上に化合物(S)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材である場合には、該基材(i)は、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。
前記支持体としては、例えば、近赤外吸収ガラス板(例えば、松浪硝子工業社製「BS-11」やAGC テクノグラス社製「NF-50T」などのような銅成分を含有するリン酸塩系ガラス板)、透明ガラス板(例えば、日本電気硝子社製「OA-10G」や旭硝子社製「AN100」などのような無アルカリガラス板)、スチールベルト、スチールドラムおよび樹脂(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)製支持体が挙げられる。
さらに、ガラス板、石英または透明プラスチック製等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、前記硬化性組成物をコーティングして硬化および乾燥させる方法などにより、光学部品上に樹脂層を形成することもできる。
前記方法で得られた樹脂層(樹脂製基板(ii))中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、前記残留溶剤量は、樹脂層(樹脂製基板(ii))の重さに対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂層(樹脂製基板(ii))が得られる。
<光散乱層>
前記光散乱層は、前記基材(i)の少なくとも一方の面に形成され、入射する光を散乱または拡散させることにより、可視光線の光量を高くして透過させる層である。このような光散乱層としては、例えば、光を散乱する微粒子等の光散乱剤を含有する樹脂層、表面に凹凸形状を有する樹脂層、および、光拡散剤を含有し、かつ、表面に凹凸形状を有する樹脂層などが挙げられる。
前記光散乱層を構成する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、および(メタ)アクリル酸エステル-スチレン樹脂などが挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。前記樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
前記光散乱剤としては、例えば、アクリル系架橋ビーズ、(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体系架橋ビーズ、スチレン系架橋ビーズ、シリコーン系ビーズ等の有機系微粒子や、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム等の無機系微粒子が挙げられ、無機系微粒子が好ましい。前記光散乱剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記光散乱層の表面粗さRaは、好ましくは0.1~4.5μm、より好ましくは0.5~3.0μm、さらに好ましくは1.0~2.0μmである。前記表面粗さRaが前記範囲内であることにより、入射する光が最適に拡散され、高い光量で取り込むことができるとともに、光線の入射角によって異なる近赤外線カット性能を最適化することができる。
前記光散乱層の厚みは、好ましくは1~100μm、より好ましくは1~50μm、さらに好ましくは1~30μmである。
光散乱層の全光線透過率(JIS K 7361-1)は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは95%以上である。光散乱層の全光線透過率が前記範囲であることにより、本発明に係る光学フィルターの940nmにおけるOD値および波長430nm~580nmの透過率の平均値(TA)の設計がしやすくなる。
光散乱層のヘーズ(JIS K 7136)は、好ましくは86%以上、より好ましくは91%以上である。光散乱層のヘーズが前記範囲であることにより、光が光散乱層を通過することにより発生する大きい入射角の光の成分を低減して高い近赤外線カット性能を発現し、かつ均一な光の取り込みを達成することができる。
光散乱層はそれ単独で形成されていてもよいし、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、および(メタ)アクリル酸エステル-スチレン樹脂やガラスなどからなる透明基材の上に形成されていてもよい。
光散乱層は、例えば、特開2009-223135号公報に記載の方法で形成することができる。また、光散乱層として、例えば、きもと社製「ライトアップNSH」、「ライトアップSDW」、「ライトアップSXE」、「ライトアップMXE」、ツジデン社製「D120P」、「D121UPZ」、「D121UP」、「D171」等の市販の光散乱フィルムを用いてもよい。
<密着層>
前記光散乱層は、屈折率が好ましくは1.2以上1.8以下、より好ましくは1.3以上1.7以下、さらに好ましくは1.4以上1.6以下の透明な密着層を介して、前記基材(i)に密着していることが好ましい。このように屈折率が前記範囲の透明な密着層を介して前記光散乱層が前記基材(i)に密着していることにより、界面反射による光量のロスを小さくすることができるため、高い光量の可視光線を透過する光学フィルターを得ることができる。なお、本発明における密着とは、光散乱層と基材が空気層を介さずに材料によって、一体化している状態をいう。
前記密着層としては、その種類は特に制限されないが、例えば、ゴム系粘着剤、(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。なかでも、透明性に優れる観点から、(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。なお、(メタ)アクリル系粘着剤とは、アクリル系粘着剤および/またはメタアクリル系粘着剤(メタクリル系粘着剤)を意図する。
上記(メタ)アクリル系粘着剤には、上記(メタ)アクリル系ポリマーがベースポリマーとして含まれるが、粘着付与剤やゴム成分などの他の成分が含まれていてもよい。
上記粘着付与剤としては、貼付剤または貼付製剤の分野で公知のものを適宜選択して用いればよい。例えば、石油系樹脂(例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、C9留分による樹脂など)、テルペン系樹脂(例えば、αピネン樹脂、βピネン樹脂、テルペンフェノール共重合体、水添テルペンフェノール樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、アビエチン酸エステル系樹脂)、ロジン系樹脂(例えば、部分水素化ガムロジン樹脂、エリトリトール変性木材ロジン樹脂、トール油ロジン樹脂、ウッドロジン樹脂)、クマロンインデン樹脂(例えば、クマロンインデンスチレン共重合体)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、スチレンとα-メチルスチレンの共重合体等)等が挙げられる。
<誘電体多層膜>
本発明の光学フィルターは、前記基材(i)の少なくとも一方の面に誘電体多層膜を有する積層体(以下、光散乱層を形成する前の該積層体を「光学フィルター用積層体」ともいう。)を含むことが好ましい。本発明における誘電体多層膜とは、近赤外線を反射する能力を有する膜または可視域における反射防止効果を有する膜であり、誘電体多層膜を有することでより優れた可視光透過率と近赤外線カット特性を達成することができる。
波長940nmにおいて、前記光学フィルター用積層体の垂直方向から測定した場合のOD値は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上8以下である。前記OD値が前記範囲であることにより、生体特徴を認証するシステムに使用されるレーザーによる光センサーの誤作動を防止することができる。
また、波長850~1050nmの領域において、該光学フィルター用積層体の垂直方向から測定した場合の平均OD値は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上8以下である。前記平均OD値が前記範囲であると、近赤外線を十分にカットすることができる。
本発明では、誘電体多層膜は前記基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りやねじれが生じにくい光学フィルターを得ることができる。光学フィルターを固体撮像素子用途に適用する場合、光学フィルターの反りやねじれが小さい方が好ましいことから、誘電体多層膜を樹脂製基板の両面に設けることが好ましい。
なお、前記誘電体多層膜と前記光散乱層とが、前記基材(i)の同じ面側に形成される場合、前記光散乱層は前記誘電体多層膜上に形成されることが好ましい。
前記誘電体多層膜は、好ましくは波長700~1100nm、より好ましくは波長700~1150nm、さらに好ましくは700~1200nmの範囲全体にわたって反射特性を有することが望ましい。
誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層したものが挙げられる。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7~2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0~10質量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2~1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、基材(i)上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ~0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、例えば700~1400nm、好ましくは750~1300nmである。厚さがこの範囲であると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さとがほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、光学フィルター全体として16~70層であることが好ましく、20~60層であることがより好ましい。各層の厚み、光学フィルター全体としての誘電体多層膜の厚みや合計の積層数が前記範囲にあると、十分な製造マージンを確保できる上に、光学フィルターの反りや誘電体多層膜のクラックを低減することができる。
本発明では、化合物(S)や化合物(A)の吸収特性に合わせて高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、可視域に十分な透過率を確保した上で近赤外波長域に十分な光線カット特性を有し、且つ、斜め方向から近赤外線が入射した際の反射率を低減することができる。
ここで、前記条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、可視域の反射防止効果と近赤外域の光線カット効果を両立できるようにパラメーターを設定すればよい。上記ソフトの場合、例えば第一光学層の設計にあたっては、波長400~700nmの目標透過率を100%、Target Toleranceの値を1とした上で、波長705~950nmの目標透過率を0%、Target Toleranceの値を0.5にするなどのパラメーター設定方法が挙げられる。これらのパラメーターは基材(i)の各種特性などに合わせて波長範囲をさらに細かく区切ってTarget Toleranceの値を変えることもできる。
前記光学フィルター用積層体は、波長430~580nmの領域において、該光学フィルター用積層体の垂直方向から測定した場合の透過率の平均値(以下「TA’」ともいう。)は、好ましくは40%以上80%以下、より好ましくは40%以上70%以下、さらに好ましくは40%以上60%以下である。透過率の平均値(TA’)が高すぎると、本発明の光学フィルターを有する光センサーの受光部に入射する光の強度が過剰に強くなり、光センサーがサチレーションを起こすため正常に機能しなくなる場合がある。また、透過率の平均値(TA’)が低すぎると、本発明の光学フィルターを有する光センサーの受光部に入射する光の強度が弱くなり、フィルターを通過する光の強度が充分確保されず、上記用途に好適に用いることができない場合がある。
前記光学フィルター用積層体のヘーズ(JIS K 7136)は、好ましくは0.2%以上1%以下、より好ましくは0.5%以上1%以下である。前記ヘーズが前記範囲であると、光学フィルター用積層体の製造時の歩留まりを落とすことなく製造することができる。
<その他の機能膜>
本発明の光学フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、基材(i)と誘電体多層膜との間、基材(i)の誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、または誘電体多層膜の基材(i)が設けられた面と反対側の面に、基材(i)や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本発明の光学フィルターは、前記機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の光学フィルターが前記機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材(i)または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で基材(i)または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性が優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1~30μm、さらに好ましくは0.5~20μm、特に好ましくは0.7~5μmである。
また、基材(i)と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材(i)、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[光学フィルターの用途]
本発明の光学フィルターは、環境光センサーに光を均一に取り込ませるとともに、優れた可視透過率と近赤外線カット能を有する。また、本発明の光学フィルターを用いれば、生体特徴を認証するシステムと環境光センサーの両方を搭載する機器において、環境光センサーの検出精度を向上させることができる。したがって、本発明の光学フィルターは、照度センサーや色補正用センサーなどの各種環境光センサー用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ウェアラブルデバイス、自動車、テレビ、ゲーム機等に搭載される環境光センサー用として有用である。さらに、自動車や建物等の窓用ガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
[環境光センサー]
上述した本発明の光学フィルターと、光電変換素子を組み合わせて環境光センサーとして用いることができる。ここで、環境光センサーとは、照度センサーや色補正用センサーなど周囲の明るさや色調(夕方の時間帯で赤色が強いなど)を感知可能なセンサーであり、例えば、環境光センサーで感知した情報により機器に搭載されているディスプレイの照度や色合いを制御することが可能である。
図1は、周囲の明るさを検知する環境光センサー200aの一例を示す。環境光センサー200aは、光学フィルター100及び光電変換素子202を備える。光電変換素子202は、受光部に光が入射すると光起電力効果により電流や電圧を発生する。光学フィルター100は光電変換素子202の受光面側に設けられている。光学フィルター100により、光電変換素子202の受光面に入射する光は可視光帯域の光となり、近赤外線帯域(800nm~2500nm)の光は遮断される。環境光センサー200aは可視光に感応して信号を出力する。
なお、環境光センサー200aにおいて、光学フィルター100と光電変換素子202との間には他の透光性の層が介在していてもよい。例えば、光学フィルター100と光電変換素子202との間には、封止材として透光性を有する樹脂層が設けられていてもよい。
光電変換素子202は、第1電極206、光電変換層208、第2電極210を有している。また、受光面側にはパッシベーション膜216が設けられている。光電変換層208は光電効果を発現する半導体で形成される。例えば、光電変換層208は、シリコン半導体を用いて形成される。光電変換層208はダイオード型の素子であり、内蔵電界により光起電力を発現する。なお、光電変換素子202は、ダイオード型の素子に限定されず、光導電型の素子(フォトレジスタ、光依存性抵抗、光導電体、フォトセルとも呼ばれる)、またはフォトトランジスタ型の素子であってもよい。
光電変換層208はシリコン半導体以外に、ゲルマニウム半導体、シリコン・ゲルマニウム半導体を用いてもよい。また、光電変換層208として、GaP、GaAsP、CdS、CdTe、CuInSe2などの化合物半導体材料を用いてもよい。半導体材料によって形成される光電変換素子202は、可視光線帯域から近赤外線帯域の光に対して感度を有する。例えば、光電変換層208がシリコン半導体で形成される場合、シリコン半導体のバンドギャップエネルギーは1.12eVであるので、原理的には近赤外光である波長700~1100nmの光を吸収し得る。しかし、光学フィルター100を備えることで環境光センサー200aは近赤外光には感応せず、可視光域の光に対して感度を有する。なお、光電変換素子202は、光学フィルター100を透過した光が選択的に照射されるように、遮光性の筐体204で囲まれていることが好ましい。環境光センサー200aは、光学フィルター100を備えることで、近赤外光を遮断して、周囲光を検知することができる。それにより環境光センサー200aが、近赤外光に感応して誤動作するといった不具合を解消することができる。
図2は、周囲の明るさに加え色調を検知する環境光センサー200bの一例を示す。環境光センサー200bは、光学フィルター100、光電変換素子202a~202c、カラーフィルタ212a~212cを含んで構成されている。光電変換素子202aの受光面上には赤色光帯域の光を透過するカラーフィルタ212aが設けられ、光電変換素子202bの受光面上には緑色光帯域の光を透過するカラーフィルタ212bが設けられ、光電変換素子202cの受光面上には青色光帯域の光を透過するカラーフィルタ212cが設けられている。光電変換素子202a~202cは、素子分離絶縁層214で絶縁されていることを除き、図1で示すものと同様の構成を備えている。この構成により、光電変換素子202a~202cは独立して照度を検知することが可能となっている。なお、カラーフィルタ212a~212cと光電変換素子202a~202cとの間にはパッシベーション膜216が設けられていてもよい。
光電変換素子202a~202cは、可視光線波長領域から近赤外線波長領域の広い範囲にわたって感度を有する。そのため、光学フィルター100に加え、光電変換素子202a~202cに対応してカラーフィルタ212a~212cを設けることで、環境光センサー200bは、近赤外光を遮断して、センサーの誤動作を防止しつつ、各色に対応した光を検知することができる。環境光センサー200bは、近赤外域の光を遮断する光学フィルター100とカラーフィルタ212a~212cとを備えることにより、周囲光を複数の波長帯域の光に分光して検知するこができるだけでなく、従来のカラーセンサーでは近赤外線の影響を受けて正確に検知ができなくなっていた暗い環境下でも適用可能となる。
図3は、照度センサー受光素子112aおよび光学フィルター100を備えた環境光センサー200cの断面構造の一例を示す。環境光センサー200cは、照度センサー受光素子112aで外光の強度を検知し、照度センサーとして機能する。照度センサー受光素子112aの上面には、光学フィルター100が設けられる。光学フィルター100により、照度センサー受光素子112aの受光面に入射する光から、近赤外線波長領域の光が遮断され、照度センサー受光素子の視感度特性に対応した外光強度を検知することができる。光吸収層を含む基材102と、誘電体多層膜104と、光散乱層106とからなる光学フィルター100を使用することにより、高い光量の可視光線を環境光センサーに取り込み、照度センサーの視感度特性に合わせた、入射角度による変化が小さい可視光線領域の光が照度センサー受光素子に入射するため、誤作動が少ない照度センサーを得ることができる。
本発明の光学フィルターを環境光センサーに用いる場合、図3に示すように、光散乱層106を上側(光が入射する側)とすることが好ましく、光学フィルターの最上層とすることが特に好ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り「質量部」および「質量%」を意味する。また、各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりであり、光学フィルターを用いた測定および評価では、原則、光散乱層が上側(例えば、光の入射面)となるようにした。
<分子量>
樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行った。
(a)ウオターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー社製Hタイプカラム、展開溶剤:o-ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー社製GPC装置(HLC-8220型、カラム:TSKgelα‐M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
各種透過率および波長等は、日本分光株式会社製の分光光度計(V-7200)を用いて測定した。
<ヘーズ>
ヘーズは、株式会社東洋精機製作所製 ヘイズガードIIのISO測定法(JIS K 7136)を用いて測定した。
<照度センサー感度特性>
光学フィルターの光学特性(光学フィルターを透過する光の光学特性)と照度センサーおよび人間の視感度特性との比較を行い、図3と同様もしくは類似の構成の照度センサーを作成した場合の照度センサー感度特性の評価を行った。評価は下記の基準に基づいて行った。
◎:940nmのレーザー光(照度:10mW/mm2)を照射された環境下において、照度センサーへの入射光を人間の視感度特性に近い光とすることができ、高いセンサー感度特性が得られる。
○:940nmのLED光(照度:10mW/cm2)を照射された環境下において、照度センサーへの入射光を人間の視感度特性に近い光とすることができ、高いセンサー感度特性が得られる。
△:940nmの光を照射されない環境下において、照度センサーへの入射光を人間の視感度特性に近い光とすることができ、高いセンサー感度特性が得られる。
×:照度センサーへの入射光と人間の視感度特性の乖離が大きく、人間の視感度特性と誤差を生じてしまい、低いセンサー感度特性しか得られない。
<光散乱性能;照度半減角度(半値角)の測定>
光散乱性能は、村上色彩技術研究所社製の自動変角光度計GP-200を用いて測定した。図4に示すように、自動変角光度計10の主な構成として、光学フィルター7に対して垂直の位置に光源1、集光レンズ2、ピンホール3、コリメーターレンズ4および光束絞り5を配置した。ここで、光源1と光学フィルター7を結んだ直線上かつ光源1とは反対側の位置を0°とし、光源1と光学フィルター7を結んだ直線上に対して、光学フィルター7の位置から垂直の位置を90°とした。そして、光源1からの出射光を集光レンズ2、ピンホール3、コリメーターレンズ4および光束絞り5を介して有効径Φ20mmの平行光に変換し、該平行光を該光学フィルター7に入射して該光源1とは反対側に出射した光の照度を、下記の条件下、0°~90°の位置に受光器8を動かして、1°毎に照度の比を測定した。0°の位置における照度に比べ照度が半減した角度を半値角とした。
(測定条件)
光源:ハロゲン光源(12V、50W)
照度測定位置:光学フィルターの、光源とは反対側の表面(0°の位置)から270mmの位置
<表面粗さRaの測定>
表面の算術平均粗さ(Ra)は、オリンパス社製のレーザー顕微鏡(LEXT OLS4000)と20倍の対物レンズとを用いて、測定した。
<透明粘着剤の屈折率の測定>
株式会社アタゴ社製の多波長アッベ屈折計DR-M2(測定光源ナトリウムランプ:589.3nm)を使用して、25℃の条件で測定した。
[合成例]
下記実施例および比較例で用いた化合物(A)は、一般的に知られている方法で合成した。一般的合成方法としては、例えば、特許第4740631号公報などに記載されている方法を挙げることができる。
<樹脂合成例1>
下記式(2)で表される8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(以下「DNM」ともいう。)100部と、1-ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)300部とを、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 0007251551000007
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。樹脂Aの分子量は数平均分子量(Mn)が32,000、重量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)は165℃であった。
[実施例1]
樹脂合成例1で得た樹脂Aを100質量部に、下記構造の化合物(x)(吸収極大波長:704nm)を0.050質量部、下記構造の化合物(y)(吸収極大波長:737nm)を0.056質量部、日本カーリット社製の光吸収剤「CIR-RL」(吸収極大波長:1095nm)を0.7質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が30%の溶液を得た。次いで、係る溶液を平滑なガラス板上にキャストし、室温で8時間、100℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した樹脂をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、一辺が60mmの基材を得た。
Figure 0007251551000008
Figure 0007251551000009
得られた基材の850~1050nmにおける平均OD値は2.3であった。この結果を表2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(III)を形成し、さらに基材のもう一方の面に誘電体多層膜(IV)を形成し、厚さ約0.10mmの光学フィルター用積層体(1’)を得た。
誘電体多層膜(III)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計層数26層)。誘電体多層膜(IV)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計層数26層)。誘電体多層膜(III)および(IV)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、光学フィルター用積層体(1’)の最外層をシリカ層とした。
誘電体多層膜(III)および(IV)の設計は、以下のようにして行った。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した化合物(S)等の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。最適化を行う際、本実施例においてはソフトへの入力パラメータ(Target値)を下記表1の通りとした。
Figure 0007251551000010
得られた光学フィルター用積層体(1’)の波長430~580nmにおける透過率の平均値(TA’)は57% 、850~1050nmにおける平均OD値は5.4、940nmにおけるOD値は5.5、ヘーズは0.6%であった。
続いて、光拡散層を次の手順で作成した。厚み100μmの透明高分子フィルム(コスモシャインA4100:東洋紡社製)の一方の表面に、酸化チタン微粒子、熱硬化性アクリル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤を含む光拡散層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、加熱硬化させ、厚み約10μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムを作製した。
得られた拡散フィルム(厚み:0.1mm、表面粗さRa:1.8μm)の拡散層を形成していない面に、3M社の透明粘着剤「3M Optically Clear Adhesive 8146-1」(屈折率:1.474)をユーボン社製6のラミネーター「ラミーマン IKO-360EII」を用いて貼り合わせた。さらに、前記透明粘着剤からなる密着層を有する光拡散フィルムを、該密着層を介して上記で得られた光学フィルター用積層体(1’)の片面(誘電体多層膜(III)側)に、前記ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、光散乱層を有する光学フィルター(1)(厚み:約0.25mm)を得た。
得られた光学フィルター(1)の波長430~580nmにおける透過率の平均値(TA)は48% 、850~1050nmにおける平均OD値は5.1、940nmにおけるOD値は5.3、ヘーズは95.3%であった。また、得られた光学フィルター(1)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例2]
樹脂合成例1で得た樹脂Aを100質量部に、前記化合物(x)を0.050質量部、前記化合物(y)を0.056質量部、DKSH社製色素「S2058」(吸収極大波長:980nm)を0.4質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が20%の溶液を得た。次いで、係る溶液を平滑なガラス板上にキャストし、室温で8時間、100℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した樹脂をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、一辺が60mmの基材を得た。さらに、得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(2’)および光散乱層を有する光学フィルター(2)(厚み:約0.25mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(2’)および光学フィルター(2)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(2’)および光学フィルター(2)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(2)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
JSR株式会社製のノルボルネン系樹脂「アートンG」を100質量部に、前記化合物(x)を0.050質量部、前記化合物(y)を0.056質量部、日本カーリット社製の光吸収剤「CIR-RL」を0.7質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が20%の溶液を得た。次いで、係る溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した樹脂をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、一辺が60mmの基材を得た。さらに、得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(3’)および光散乱層を有する光学フィルター(3)(厚み:約0.25mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(3’)および光学フィルター(3)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(3’)および光学フィルター(3)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(3)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
住友ベークライト株式会社製のポリエーテルサルホン「FS-1300」を100質量部に、前記化合物(x)を0.050質量部、前記化合物(y)を0.056質量部、日本カーリット社製の吸収剤「CIR-RL」を0.7質量部加え、さらにN-メチル-2-ピロリドンを加えて溶解し、固形分が20%の溶液を得た。次いで、係る溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で4時間、80℃で4時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した樹脂をさらに減圧下120℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、一辺が60mmの基材を得た。さらに、得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(4’)および光散乱層を有する光学フィルター(4)(厚み:約0.25mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(4’)および光学フィルター(4)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(4’)および光学フィルター(4)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(4)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂Aを100質量部、前記化合物(x)を0.5質量部、前記化合物(y)を0.28質量部、日本カーリット社製の光吸収剤「CIR-RL」を3.5質量部加え、塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を、縦60mm、横60mmの大きさにカットした日本電気硝子(株)製透明ガラス基板「OA-10G」(厚み:0.20mm)上にキャストした。20℃で8時間乾燥した後、さらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.21mm、縦60mm、横60mmの樹脂製層とガラス支持体を有する基材を得た。さらに、得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(5’)および光散乱層を有する光学フィルター(5)(厚み:約0.36mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(5’)および光学フィルター(5)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(5’)および光学フィルター(5)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(5)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂Aを100質量部、日本カーリット社製の光吸収剤「CIR-RL」を3質量部加え、塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を、縦60mm、横60mmの大きさにカットした、松浪硝子工業(株)製青板ガラス基板「BS-6」(厚み:0.21mm)上にキャストした。この際、乾燥後の塗膜の厚みが10μmとなるように、キャスト条件を調整した。20℃で8時間乾燥した後、さらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.22mm、縦60mm、横60mmの樹脂製層とガラス支持体を有する基材を得た。さらに、得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(6’)および光散乱層を有する光学フィルター(6)(厚み:約0.37mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(6’)および光学フィルター(6)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(6’)および光学フィルター(6)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(6)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例7]
JSR株式会社製のノルボルネン系樹脂「アートンG」を100質量部に、前記化合物(x)を0.05質量部、前記化合物(y)を0.058質量部、日本カーリット社製の光吸収剤「CIR-RL」を1.2質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が20質量%の溶液を得た。次いで、係る溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した樹脂をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、一辺が60mmの基材を得た。得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(7’)を得た。
続いて、実施例1と同様に光拡散フィルムを作製し、得られた拡散フィルム(厚み:0.1mm、表面粗さRa:1.8μm)の拡散層を形成していない面に、3M社の透明粘着剤「3M Optically Clear Adhesive 8146-1」(屈折率:1.474)をユーボン社製のラミネーター「ラミーマン IKO-360EII」を用いて貼り合わせた。さらに、前記透明粘着剤からなる密着層を有する光拡散フィルムを、該密着層を介して上記で得られた工学フィルター用積層体(7’)の片面に、ユーボン社製のラミネーター(ラミーマン IKO-360EII)を用いて貼り合わせることにより、光散乱層を有する光学フィルター(7)(厚み:約0.25mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(7’)および光学フィルター(7)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(7’)および光学フィルター(7)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(7)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例8]
光拡散層を次の手順で作成した。厚み100μmの透明高分子フィルム(コスモシャインA4100:東洋紡社製)の一方の表面に、硫酸バリウム微粒子、熱硬化性アクリル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤を含むの光拡散層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、加熱硬化させ、厚み約10μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムを作製した。
光散乱層として、得られた光拡散フィルム(厚み:0.1mm、表面粗さRa:0.5μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光散乱層を有する光学フィルター(8)(厚み:約0.25mm)を得た。得られた光学フィルター(8)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(8)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(8)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例9]
光拡散層を次の手順で作成した。厚み100μmの透明高分子フィルム(コスモシャインA4100:東洋紡社製)の一方の表面に、酸化ジルコニウム微粒子、熱硬化性アクリル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤を含むの光拡散層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、加熱硬化させ、厚み約10μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムを作製した。
光散乱層として、得られた光拡散フィルム(厚み:0.1mm、表面粗さRa:3.9μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光散乱層を有する光学フィルター(9)(厚み:約0.25mm)を得た。得られた光学フィルター(9)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(9)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(9)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例10]
光散乱層として、実施例8で得られた光拡散フィルム(厚み:0.1mm、表面粗さRa:0.5μm)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして光散乱層を有する光学フィルター(10)(厚み:約0.35mm)を得た。得られた光学フィルター(10)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(10)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(10)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例11]
光散乱層として、実施例9で得られた光拡散フィルム(厚み:0.1mm、表面粗さRa:3.9μm)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして光散乱層を有する光学フィルター(11)(厚み:約0.36mm)を得た。得られた光学フィルター(11)の分光透過率を実施例1と同様に測定し、光学特性を評価した。また、得られた光学フィルター(11)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(11)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂Aを100部および塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基材を得た。さらに、得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(12’)および光拡散層を有する光学フィルター(12)(厚み:約0.25mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(12’)および光学フィルター(12)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(12’)および光学フィルター(12)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(12)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
日本カーリット社製の光吸収剤「CIR-RL」を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、厚さ0.1mm、一辺が60mmの基材を得た。さらに、得られた基材を用いて、光散乱層として、実施例8で得られた光拡散フィルム(厚み:0.11mm、表面粗さRa:0.5μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(13’)および光散乱層を有する光学フィルター(13)(厚み:約0.24mm)を得た。得られた基材、光学フィルター用積層体(13’)および光学フィルター(13)の分光透過率を実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター用積層体(13’)および光学フィルター(13)のヘーズを実施例1と同様に測定した。また、得られた光学フィルター(13)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1と同様にして光学フィルター用積層体(1’)を得て、光散乱層を形成せずに、これを光学フィルター(14)(厚み:約0.10mm)とした。得られた光学フィルター(14)の分光透過率を実施例1と同様に測定し、光学特性を評価した。また、得られた光学フィルター(14)を用いて光散乱性能(半値角)および照度センサー感度特性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007251551000011
1:光源
2:集光レンズ
3:ピンホール
4:コリメーターレンズ
5:光束絞り
6:光
7:光学フィルター
8:受光器
10:自動変角光度計
100:光学フィルター
102:基材
104:誘電体多層膜
106:光散乱層
112:照度センサー受光素子
132:遮光部材
200:環境光センサー
202:光電変換素子
204:筐体
206:第1電極
208:光電変換層
210:第2電極
212:カラーフィルタ
214:素子分離絶縁層
216:パッシベーション膜

Claims (10)

  1. 基材(i)と、該基材(i)の少なくとも一方の面に形成された光散乱層とを有する光学フィルターであって、
    波長940nmにおいて、該光学フィルターの垂直方向から測定した場合のOD値が3以上であること、および
    光学フィルターに対して垂直の位置に光源、集光レンズ、ピンホール、コリメーターレンズおよび光束絞りを配置し、該光源と該光学フィルターを垂直に結んだ直線上で、かつ該光源とは反対側の位置を0°とし、該光源からの出射光を該集光レンズ、該ピンホール、該コリメーターレンズおよび該光束絞りを介して有効径Φ20mmの平行光に変換し、該平行光を該光学フィルターに入射して該光源とは反対側に出射した光の照度を下記条件で測定した場合、
    0°の位置における照度が半減する角度が15°以上60°以下であること
    を特徴とする光学フィルター。
    光源:ハロゲン光源 (12V、50W)
    光学フィルターの厚み:100~400μm
    照度測定位置:光学フィルターの光源とは反対側の表面(0°の位置)から270mm~290mmの位置
  2. 波長850~1050nmの領域において、前記光学フィルターの垂直方向から測定した場合の平均OD値が2以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記光散乱層の表面粗さRaが0.1~4.5μmであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  4. 前記光散乱層が、密着層を介して前記基材(i)に密着していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 前記基材(i)が、波長750~1150nmの領域に吸収極大波長を有する化合物(S)を含有する光吸収層を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  6. 前記化合物(S)が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、金属ジチオラート系化合物、リン酸銅錯体系化合物およびピロロピロール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項に記載の光学フィルター。
  7. 前記光吸収層が、波長650nm以上750nm未満の領域に吸収極大波長を有する化合物(A)をさらに含むことを特徴とする請求項またはに記載の光学フィルター。
  8. 前記化合物(A)が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項に記載の光学フィルター。
  9. 環境光センサー用である請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する環境光センサー。
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