JP7250233B2 - 炭化薄板及び濾過ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、針葉樹材の炭化薄板及びそれを濾過材とする濾過ユニットに関し、特に炭化薄板の仮道管の方向に流体を通過させる濾過ユニットに関する。
気体や液体を濾過する濾過ユニットとしては、活性炭微粒子を用いるのが一般的である。しかし、活性炭は粉体であるため、そのままではフィルターとして使えず、紙や布(不織布)、スポンジ等の袋状のものでカバーする必要がある。活性炭を用いて液体を濾過すると、活性炭の微粉末が濾液に混入するので、活性炭を樹脂で固めることも行われている。また木炭の塊を用い、多数の木炭塊の隙間を流体が通過する間に木炭表面に物質が吸着することを利用した濾過法も知られている。
液体を濾過する際、活性炭粉体が透過しないように不織布の如き目の小さいカバーを使用しなければならなかったため、十分な濾過速度が得られないという問題があった。一方、カバーの目を小さくすると目詰まりによっても速度が低下するという問題があった。またカバーとして使用する袋の中の粉体の細胞の向きはランダムなので、濾過流体の流下方向と細胞の向きが一致する確率が小さいため濾過速度が小さくなるという問題があった。
活性炭粉体が充填された濾過ユニットに液体を供給して濾過する場合、一度液体が通過した通路(先行流路と呼ぶ)を優先的に液体が流れるようになり、粉体充填体の全体を均一に流れないので液体の濾過が効率よく行われないということも知られている。
活性炭自体は安価ではあるが、再使用するためには袋から活性炭を取り出して高温で加熱する必要があり、実際には再使用が困難であるという問題があった。
活性炭のカバー材料として紙や不織布、スポンジ等が使われるため約200℃以上の高温下では使用できないという問題があった。
木炭を濾材として利用する場合、次のような問題がある。必要な長さの木材を得るためにまず木材が電動ノコギリで切断され、それを炭化して木炭にするのが一般的である。ノコギリで切断された面は、細胞が引き千切られて細胞壁がめくれたようになり仮道管の開口を塞いでしまうことが知られている(特許文献1)。引き千切れによって切口が塞がれている状態の走査型電子顕微鏡写真が図4に示されている。図5は針葉樹材をレーザーで切断した面の走査型電子顕微鏡写真であり切断面の仮道管に引き千切れがなく開口部が一平面上に揃っている。長さの大きい木炭を製造し、これを短く切断したり、折ったりした面は図5の写真と同様に細胞が完全に露出しているのでこの問題はない。切断していない木炭の両端面はノコギリで切断された面になるのが一般的なので上述の問題がある。
木炭は通常広葉樹から製造される。木炭の切断面に細胞(主な細胞は木部繊維)の開口が露出していても、木炭塊の細胞方向の長さが細胞長を超えると下記のような問題が起こると考えられる。広葉樹の木部繊維長は一般に1mm以下であることが知られている(非特許文献1)。成長した広葉樹の木部繊維は閉じた中空繊維になるので、これを炭化して木炭にしても、道管及び木部繊維は閉じたままなので液体が内部に進入できないので、開口が露出している木炭の表面でしか吸着が行われず濾過の効率が悪いと考えられる。
特開2013-103853号公報
古野 毅編 木材科学講座2「組織と材質」海青社 2007年
活性炭粉体を使用する場合のようなカバーが不要で、従って、200℃以上の高温下での使用が可能であり、濾過速度が大きく、また流路が先行流路に限定されることがなく、更に再使用が可能である濾過ユニットを提供することである。また木炭より効率のよい濾過ユニットを提供することでもある。更にこれらの濾過ユニットに適した濾過材として使える炭化薄板を提供することである。
本発明の炭化薄板は、針葉樹材の仮導管方向に対して60~90度の角度で、光を透過する複数の仮道管を有する厚さに切断された切断面に細胞の引き千切れが無い板状体であり、該板状体は300℃以上の高温で炭化されたものである。また本発明濾過ユニットは、該板状体の1枚だけ、或いは複数枚を0~0.7mm以下の間隔で重ねて積層物としたものである。
本発明に用いられる炭化薄板は、針葉樹材を炭化後に板状に切断する方法(第1の態様)と炭化前に板状に切断してから炭化する方法(第2の態様)の2つの方法により得られる。
本発明による炭化薄板は濾過ユニットに用いるほかに、光学フィルター、ディスプレイ、デザイン、医療用途、細胞培養、センサー、その他の研究開発分野に利用できる。濾過ユニットは、活性炭粉体を使用する場合のようなカバーが不要で、従って、200℃以上の高温下での使用が可能であり、濾過速度が大きくしかも再使用が可能であるという利点がある。また先行流路に限定して流れないので濾過の効率がよい特徴がある。
図1は濾過ユニットの基本構造を示した説明図である。 図2は濾過ユニットの別の構造を示した説明図である。 図3は炭化薄板の厚さと光透過の度合いの関係を示した顕微鏡写真である。 図4は針葉樹材をノコギリで切断した面の走査電子顕微鏡写真である。 図5は針葉樹材をレーザーで切断した面の走査電子顕微鏡写真である。 図6は炭化薄板の透過写真である。
本発明者は針葉樹材を高温で炭化したものを仮道管方向と直角に切断して炭化薄板炭化薄板を作製した場合、炭化薄板の厚さによって板状体の光透過の度合いが図3のように変化することを発見して本発明に至った。炭化薄板の厚さは0.1mmでも使用可能であるが、非常に破損しやすいのでハンドリングに細心の注意が必要である。また炭化薄板の厚さが1.9mm以上でも使用可能であるが、濾過速度が遅くなったり、吸着能力が小さくなったり実用的でないので1.9mm以下が望ましい。ディスプレイや細胞培養分野、その他への利用を目的とした場合でも1.9mm以下が望ましい。
ディスプレイ用途では特に厚さが小さいほど肉眼で仮道管の模様がきれいに見える。図6は炭化薄板の厚さを0.5mm程度にした場合の透過写真である。左端の写真は杉45mm角の角材を650℃で炭化した後、仮道管と直角に0.4mmの厚さに切断したものである。中央の写真は米杉の断面が38×39mmの角材を300℃で炭化した後、0.5mmの厚さに切断したものである。右端の写真は、竹の写真の上に中央の写真の炭化薄板を乗せ、炭化薄板を通して撮影したものである。左端の杉炭化薄板でも同様に裏にあるものが透けて見えるのである。樹種により模様が異なるのでディスプレイ効果が得られる。このような薄い炭化薄板を顕微鏡で撮影すると仮道管配列の多様なパターンが得られるので衣服や衣類のデザインに利用することができる。
図3は、エゾマツを650℃で炭化した後、厚さを変えて炭化薄板にしたものの透過顕微鏡写真である。炭化薄板の厚さが小さいほど光透過の度合いが大きいことが分かる。写真A(厚さ0.7mm)から写真C(厚さ1.3mm)までは光透過の度合いは比較的大きい。写真の中の白い点が1個の仮道管の孔である。明るい点が連なっている部分は線のように見えているが、実際には点の横並びである。写真D(厚さ1.45mm)では光透過がかなり減少し、写真E(厚さ1.6mm)では更に減少し、写真F(厚さ1.9mm)ではごく僅かに光が透過しているだけである。写真の中に黒い2本の帯が見えているが、これは年輪の晩材部分である。光が透過するということは炭化薄板の孔が貫通していることであり、従って流体がこの孔を通り抜けることができることが判明した。
多くの針葉樹材の仮道管長は3~4mmであることが知られている。針葉樹材を750℃前後の高温で炭化すると70%程度に収縮するので、この温度で炭化された仮道管長は2.1~2.8mm程度になると考えられる。従って炭化針葉樹材を仮道管に直角に切断して炭化薄板を製作する場合、炭化薄板の厚さが1mm前後であれば炭化薄板の光透過は非常に良いが、厚さが2mm或いはそれ以上になると光透過が悪くなる。本発明者は炭化薄板の厚さが同じでも切断する位置によっても、樹種によっても光透過の度合いが変わることを発見した。図3の写真Fは、1.9mm厚の炭化薄板に対するものであるが、切断する場所によっては1.9mm厚のエゾマツ炭化薄板でも写真Fよりも光透過が悪くなることが分かった。しかし、3mm厚のエゾマツ炭化薄板ではどの位置で切断しても全く光透過が無いことを確認した。杉材炭化物の炭化薄板では、3mm厚でもエゾマツ1.9mm厚の炭化薄板と同程度の度合いの光透過が得られることも判明した。写真Fの炭化薄板は使用可能であるが、濾過の効率が悪くなるので実用的に非常に望ましいとは言えない。
本発明の炭化薄板を濾過用途に用いる場合は少なくとも1.9mmの厚さが使えるが、仮道管の50%以上が光透過性であることが望ましい。濾過以外の用途でもこの条件が望ましい。この条件を満たす炭化薄板の厚さは樹種により異なるが、平均的に1mm以下の厚さである。
針葉樹材の炭化薄板は親水性よりも親油性が強いので、濾過ユニットに利用する場合は使用する前に浸水化処理を行うことが望ましい。浸水化処理をしなくても濾過は可能であるが、濾過時間が長くなるので実用的でない。浸水化処理の方法としてはオゾンプラズマ処理が最も有効であるが、その他に湿式処理として硝酸水溶液、硝酸と硫酸の混合水溶液に浸漬、水洗する方法も知られておりこれらを利用することができる。
図1は、本発明濾過ユニットの基本構造を示す説明図である。図中11、12、‥‥‥、19は10枚の炭化薄板であり、重ねて積まれている。すなわち炭化薄板間の間隙は0である。これらの炭化薄板をまとめて炭化薄板群1と称する。各炭化薄板の厚さは0.2~1.9mmの範囲が適当である。これより薄いと破損しやすくハンドリングがしにくくなる。これより厚いと濾過は可能であるが効率が悪くなるので実用的ではない。炭化薄板群1の周囲にはカバー2が取り付けられている。カバー2は炭化薄板群1を固定すると同時に流体が炭化薄板の側面からリークして流下するのを防ぐ役目を果たしている。カバーの具体例としては独立気泡スポンジ、軟質ゴム、軟質伸縮樹脂フィルム、粘着テープ、ワックス含浸紙、牛乳パックの如き紙、ワックス、熱軟化樹脂等の有機物、一液加熱硬化型無機接着剤等の無機物が挙げられる。伸縮性が無い樹脂シートを接着剤で取り付けてカバーとすることもできる。その他カバーとしての役目を果たすものであればよい。図1ではカバー2が炭化薄板群1の3側面にしか取り付けられていないが、実際には全側面に取り付けられているのである。内部が見えるように手前のカバーを取り除いた状態が図1である。炭化薄板群1の上方には、炭化薄板群1の4側面を覆うカバーによって、プール40が形成されるのでこのプールに液体を注ぐことができる。分散粒子や不純物を含む液体はプールに注がれ、各炭化薄板を通過して流下する間に炭化薄板内の吸着サイトに吸着されるか、或いは炭化薄板の開口より大きい粒子は開口部で通過を阻止され、精製された液体が流出する。炭化薄板の枚数は必要に応じて増減することができる。
図2は、本発明濾過ユニットの別の構造を示す説明図である。図中21、22、‥‥、28は8枚の炭化薄板であり、これらをまとめて炭化薄板群20と称する。31、32、‥‥、38は幅0.7mm以下のスリットであり、スリット群30と称する。炭化薄板群20は、一つのブロックにスリット群30を形成したものである。スリット群30はブロックに一定の深さにスリットを形成したものであり、図中29はブロックにスリットが形成されずに残った根元部分である。即ち炭化薄板群20と残部29とは櫛形状に一体である。スリットは後述のワイヤソー、バンドソー、ブレードソー等により形成される。図2では8個のスリットが描かれているが、必要に応じて増減することができる。図2においても図1と同様に前面のカバーを取り除いた状態が示されている。図2では炭化薄板が櫛形状になるように形成されているが、ジグザグ状(サーペンタインとも言われる)に形成してもよい。
スリット31、32、‥‥、38の幅は0.7mm以下であるが、小さいほど望ましい。半導体用の精密なワイヤソーでも幅0.1mmが限界であり、市販のホビー用バンドソーでは0.7mmが限界である。図1では炭化薄板間の間隙は0であり、図2では炭化薄板間の間隙は0.7mm以下である。図1と図2を合わせて炭化薄板間の間隙は0~0.7mmとした。
本発明の第1の態様では、針葉樹材(側面が仮道管方向と平行な柱状体を使用するのが作業上好ましい)を高温で炭化したものを、仮道管方向に対して直角ないし60度の角度で、光を透過する仮道管を有する厚さの炭化薄板に切断し、この炭化薄板を0~0.7mmの間隔に配置することにより濾過ユニットが得られる。針葉樹材炭化物を切断するには半導体切断用に用いられている、ダイアモンド微粒子を金属ワイヤーに電着した切断ワイヤー(ダイアモンドワイヤソー)、ダイアモンド微粒子を金属バンドに電着した切断バンド(ダイアモンドバンドソー)、ダイアモンド微粒子を金属円板に電着した切断ブレード(ダイアモンドブレードソー)等が用いられる。
本発明の第2の態様では、炭化する前に木材を板状に切断するのであるが、木材を仮道管方向と直角ないし60度方向にノコギリ、電動ノコギリ等で切断する一般的方法では、前述の0007項に記載したように切断面に引き千切れが生じ、これが仮道管の切口を覆ってしまい濾過速度と濾過効率を著しく低下させてしまうことが判明した。本発明者はこの問題を検討した結果、木材を240℃以上に加熱してからノコギリ、バンドソー等で切断すると引き千切れが生じないことを発見した。この場合、240℃~300℃の範囲で加熱するのが望ましい。その理由は以下の通りである。木材をノコギリ等で切断する際、ノコギリ等により木材に形成される切断溝幅は通常1~2mm程度であり、この部分が切断により失われる材料損失になる。一方、木材を高温で加熱すると熱収縮が起こり、300℃程度で加熱すると90%程度に収穫するが、750℃程度に加熱すると70%程度に収縮する。従って引き千切れ現象が起きない範囲で、できるだけ低温で加熱してから切断した後高温で炭化する方が、材料損失が少ないのである。この炭化前の低い温度で加熱することを以後低温加熱と呼ぶ。低温加熱後の材料を切断するには第1の態様と同様にダイアモンドワイヤソー、ダイアモンドバンドソー、ダイアモンドブレードソー等を用いることができる。低温加熱後の木材を各種ソーで切断した板状体を300℃以上の高温で炭化することにより本発明濾過ユニットを構成する炭化薄板が得られる。切断の角度は第1の態様と同じく仮道管に対して60~90度であるが、切断の間隔(炭化薄板厚)は熱収縮を考慮して0.25~2.5mmが望ましい。
240~300℃で低温加熱することの他の利点は、300℃より高温で加熱したものに比べて脆さが小さいことである。従ってハンドリングしやすいのである。高温で加熱したものは脆いので特に薄い炭化薄板を扱う際は破損しないように注意が必要である。
いずれの態様においても低温加熱或いは高温炭化後の木材の切断角度は、仮道管方向に対して60~90度になされる。通常は約90度でよいのであるが、斜めに切断する方が流路が長くなるので濾過の効率が向上する。しかし、斜めにしすぎると仮道管のエッジが壊れる恐れがある上に、光透過度が低下するので60度以下にしない方が望ましい。
低温加熱或いは高温炭化後の木材を、切断或いは切り込みを入れると切粉が発生する。切粉はエアスプレー、吸引等により除去することが可能であるが、静電気により吸着している場合は完全に除去することは困難である。その場合、水、アルコール等による洗浄が効果的である。低温加熱或いは高温炭化後の木材は、親水性が低いので硝酸水溶液、硝酸と硫酸の混合水溶液に浸漬、水洗することにより親水化と同時に切粉の除去も実現されるので有効である。水洗を行っても微量の切粉が出る恐れがある場合は濾過ユニットの下端に濾紙の如きフィルターを配置しておくことができる。切粉のサイズは濾紙を通過できないので、濾紙を配置すれば切粉を完全に除去することができる。
大サイズの木材を高温で加熱するとクラック(亀裂)が生じやすいので、クラックが無い部分を角柱状に切り出してその複数個を接着剤で接合することにより大サイズ化することができる。30×30mm程度の断面の角材であればクラックが無いものを比較的容易に得ることができるが、断面が50×50mm以上のサイズのものは複数個接合することが必要となる。図2のようにスリット群を形成した角柱の複数個を接合して大サイズ化することもできる。
図1及び図2では、四角柱状の炭化物を切断して炭化薄板を形成しているが、多角柱、楕円柱或いは円柱の炭化物を出発材料としてもよい。これらを総称して柱状体或いは柱状炭化物と称する。
本発明に使用される炭化薄板は、単板でも濾過に利用することができるが、単板の流路を通っている間に吸着されずに通過する物質が存在する可能性がある。複数枚の炭化薄板を積層して用いれば、炭化薄板を通過した物質が次の炭化薄板、或いはその次の炭化薄板で捕獲されるので完全な捕獲を行うことができる。単板であっても、吸着によらずに炭化薄板の開口サイズより大きな粒子を、篩と同じ原理で除去することはできる。
断面が30mm×30mm、長さ150mmの杉角材を、セラミック円筒容器に入れ空気が入らないようにセラミックの蓋をし、クラックが発生しないように温度調節しながら700℃まで昇温し、700℃で30分加熱炭化した。得られた炭化物を仮道管とほぼ直角に市販のダイアモンドバンドソーマシンを用い、厚さ1.5mmに16枚切断した。バンドソーによる切断の際に切粉が炭化薄板に付着するので、エアスプレーにより切粉を除去した。1枚目の炭化薄板には木材切断時の引き千切れがあったので、これを除いて残りの15枚から20mm×20mmサイズの炭化薄板を15枚製作した。この15枚の炭化薄板を40℃の10重量%の硝酸水溶液に20分間浸漬後、炭化薄板を取り出しビーカーに入れて10時間水洗した。水洗中に炭化薄板はビーカーの底に沈んだ。水洗後、炭化薄板を取り出し清浄なナプキンの上に立て掛けて24時間放置乾燥した。炭化薄板の内部に残っている水分を完全に除去するため、更に150℃のオーブンに1時間放置した後、オーブンから取り出して放冷した。この15枚の炭化薄板を重ねて高さ約23mmの角柱状にして濾紙の上に乗せた。最上段の炭化薄板の上に市販の習字用墨汁を水で100倍に希釈した黒色液をスポイトで供給し続けたところ、1分50秒後に無色の液体(水)が濾紙に浸透し始め、拡散した。
断面が30mm×30mm、長さ100mmのエゾマツ角材を、セラミック円筒容器に入れ空気が入らないようにセラミックの蓋をし、280℃で6時間加熱した。加熱後の角材は黒ずんだ茶褐色であった。これをダイアモンドバンドソーで仮道管とほぼ直角に1.7mmの厚さに21枚切断して21枚の炭化薄板を得た。バンドソーによる切断の際に切粉が炭化薄板に付着するので、家庭用掃除機吸引により切粉を除去した。1枚目の炭化薄板には木材切断時の引き千切れがあるが、他の炭化薄板には引き千切れが無かった。引き千切れがない20枚の炭化薄板を実施例1と同様にして700℃で30分加熱した。放冷後得られた炭化薄板は厚さが1.35mmに減少しており、光透過は非常に良かった。これらの炭化薄板を実施例1と同様にして浸水化処理した。これらの炭化薄板から実施例1と同様にして20枚の15mm×15mmサイズの炭化薄板を製作した。これらの炭化薄板を実施例1と同様に濾紙の上に角柱状に20枚積み、高さ約28mmの角柱状とした。角柱の周囲を独立気泡ゴムスポンジ(厚さ5mm、幅40mm)で覆い、外側から輪ゴムで締め付けて炭化薄板とスポンジとの間に隙間がないようにした。角柱の上部にできたプールにスポイトで下記0032項に記載の液体を供給し、2分以内に濾紙に無色の水が浸透して拡散し始めた。
市販の水彩絵の具(顔料、体質顔料、水溶性糊料、安定剤、水からなる)の藍色チューブから0.5gの絵の具を200mlビーカーに絞り出し、そこに200mlの水を加えてよく撹拌して絵の具を完全に溶解した。濃い青色のコロイド液体である。このコロイド液体は2日間放置しても殆ど色が薄くならない安定なコロイド液であった。
断面が45mm×45mm、長さ100mmの杉角材4本を、家庭用生ゴミ処理機(杉山金属株式会社製、商品名ディスポ家庭用生ゴミ処理機KS-2287)で8時間加熱処理した後、セラミック円筒容器に入れ空気が入らないようにセラミックの蓋をして電気炉に入れ、クラックが発生しないように温度調節しながら750℃まで昇温し、750℃で30分加熱、放冷して角柱状の炭化物を得た。このようなものを多数本製作し、その中から反りが少なく、クラックが無いものを9本選びバンドソーで角柱の4側面を仮道管と平行に切削し、断面が20×20mmの正方形の角柱を9本製作した。この9本の角柱を接着剤(セメダイン株式会社製、商品名スーパーXブラック)で、3×3本の正方形断面になるように接着した。接着剤が完全に硬化後に厚さ1.5mmに仮道管と直角に切断して約60×60mmの炭化薄板を製作した。これと同じ炭化薄板を必要な枚数製作して積み重ね、角柱状にした後、実施例1と同様に取り扱うことができる。
断面が30mm×30mm、長さ120mmの杉角材を、セラミック円筒容器に入れ空気が入らないようにセラミックの蓋をし、クラックが発生しないように温度調節しながら750℃まで昇温し、750℃で30分加熱炭化した。得られた炭化物を、市販のダイアモンドバンドソーマシンを用い仮道管とほぼ直角に、図2のように深さ15mmのスリット群を形成し、炭化薄板の厚さが1.3mmになるように切断した。最上段の炭化薄板は切断除去し、20枚の炭化薄板と19個のスリットが形成された。炭化薄板群はスリットが無い根本の部分(図2の29)と一体になっているのでかなり丈夫であり、ハンドリングしやすい。スリットが届かない根本の部分(図2の29)のスリット深さ方向の寸法は約5.5mmであった。スリットの幅(隣り合う炭化薄板間の間隔)は0.7mmであった。最上段の炭化薄板にスポイトで実施例1と同じ墨汁希釈液をゆっくり供給することにより、スリットから液がオーバーフローせずに濾過されて下端から2分20秒後に無色透明な液が出始めた。希釈墨汁液を供給し続けると濾過ユニットの吸着能力が無くなり、黒い液体が流出するようになった。この状態の濾過ユニットを乾燥後、セラミック円筒容器に入れ空気が入らないようにセラミックの蓋をし、電気炉でクラックが発生しないように温度調節しながら500℃まで昇温し、500℃で30分間加熱した。室温に冷却後、濾過ユニットを取り出して上記と同様の濾過実験をしたところ、吸着能力が復活して墨汁希釈液が濾過され透明な水がでた。
本実施例はカバーとして蝋を含浸させた紙を用いる例である。蝋燭に用いられる蝋を85℃に加熱されたステンレス製バットに溶融し、実施例1で製作した20×20mmサイズ、厚さ1.5mmの杉炭化薄板10枚を柱状にそろえて重ねた柱状体の一側面を上記蝋の溶融面に接触して持ち上げたところ、約1mmの深さに蝋が塗布された。蝋は溶融面から持ち上げると直ぐ固化した。同様にして残りの側面を溶融蝋に接触、持ち上げて約1mmの深さに蝋を塗布した。10枚の炭化薄板は一体化され離れなかった。この状態でも濾過ユニットとして使用可能であるが、更にハンドリングし易いように次のように実施した。長さ50mm、幅20mm、厚さ0.5mmの写真アルバム用台紙を溶融蝋の中に浸漬して台紙に蝋を含浸させた。これを取り出すと蝋は直ぐ固化した。次に表面をシリコン離形処理した、サイズが22×45mm、高さが10mmのアルミブロックをホットプレートの上に乗せ、アルミブロックの表面を85℃に設定し、アルミブロックの上に上記蝋含浸台紙を、台紙の長辺の両端がブロックの端部から1mmになるように且つ台紙の中央部がブロックの中央部に位置するように乗せた。台紙の蝋が溶融したらその上に上記一体化された炭化薄板の一側面を、両端が台紙の長辺の両端と一致するように乗せて軽く押し付けた後、台紙と一体化炭化薄板を一緒にしたままアルミブロックから引き離した。台紙と炭化薄板の蝋は直ぐに固化して炭化薄板が台紙に固定された。同様の操作を一体化炭化薄板の他の3側面にも適用し、蝋含浸台紙で囲まれた濾過ユニットが得られた。4枚の台紙が蝋で固着されていない部分は、バットの蝋溶融面に接触させて取り出すことにより固着された。本実施例では、4枚の台紙で一体化炭化薄板の4側面をカバーしたが、厚さが0.15mmのクラフト紙で一辺が20.5mmの角筒を作っておき、これに蝋を含浸させたのち一体化炭化薄板に被せて加熱しながら四方から押し付けて固着させることもできた。本実施例のように紙と蝋だけでカバーを製作すれば、使用後にそのまま燃えるゴミとして廃棄することができる。また、いずれも天然素材なのでそのまま廃棄しても環境への悪影響はない。紙には蝋が含浸されているので耐水性があり、水系液体の濾過に供することができた。
本発明の炭化薄板は濾過ユニットに用いるほかに、光学フィルター(例えば、仮道管の長さと径の比が100対3或いはそれ以上にできるので光を限定したスポットに当てることができる。)、ディスプレイ(仮道管の配列模様を肉眼で直視することも、或いは拡大投射することもできるのでディスプレイとして関心が得られる。)、デザイン(仮道管の配列模様を衣服のデザインとして利用できる。)、医療用途、細胞培養、センサー、その他の研究開発分野に利用できる。本発明の炭化薄板を濾過ユニットに使用する場合、粉末状の活性炭を使用する場合のようなカバーが不要であるので、200℃以上の高温下での使用が可能であり、また濾過速度が大きく再使用が可能であるという利点がある。更に先行流路に限定して流れないので濾過の効率がよい特徴がある。災害時に濁った水を濾過してきれいな水を得る目的にも使用可能である。
1、20 炭化薄板群
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、 24、25、26、27、28 炭化薄板
2 カバー
29 炭化薄板の根元部分
30 スリット群
31、32、33、34、35、36、37、38 スリット
40 プール

Claims (2)

  1. 300℃以上の高温で炭化された針葉樹材柱状体に仮導管方向に対して60~90度の角度で、0.7mm以下の幅のスリットが、柱状体から切り離さない程度の深さに複数個形成され、隣接するスリット間の炭化薄板の厚さが1.9mm以下であることを特徴とする濾過ユニット。
  2. 柱状体の側面が、流体を透過しないカバーで囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の濾過ユニット。
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