JP7250232B1 - 中綿構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

複数本の長繊維糸からなる長繊維束6を、連続させた状態で面状に配置し、面状中綿シート7とし、面状中綿シート7に生地を重ねて面状中綿シート7と前記生地を一体化する中綿構造体の製造方法である。面状中綿シート7は、長繊維束6をU字状、ジグザグ状又は渦巻き状に配置するのが好ましい。長繊維束6を連続させた状態で面状に配置することにより、均一な厚さ及び均一な密度を保持しつつ、効率よく迅速に面状中綿シート7に形成できる。これにより、長繊維糸からなる繊維束を均一にかつ自動化して配列し、面状中綿シートにすることができる。

Description

本発明は、長繊維中綿を含む中綿構造体の製造方法に関する。
羽毛布団、羽毛ジャケットなどの羽毛製品に充填される羽毛は、一般的には水鳥の羽毛が使用されている。水鳥としてはグース(ガチョウ)、ダック(アヒル)、北極圏の海岸線に生息するアイダー(野生の鴨)などである。羽毛には、胸毛にあたるダウンと、羽根と呼ばれるフェザーがあり、ともに羽毛製品に使われている。羽毛の産地はポーランド、ハンガリーなどの中欧、スカンジナビア半島を含む北欧、中国などである。羽毛は、嵩高性に優れ、暖かく、掛け布団や羽毛ジャケットの羽毛製品として高級素材の地位を占めている。
しかし、天然の羽毛は水鳥に依存しており、その供給量には限度がある上、自然条件や厄病(例えば鳥ウィルス)の影響によって供給量も変動するという問題がある。あるいは自然保護の観点から、野生の鳥を捕捉することには限度がある。その上、天然の羽毛は、洗いが不充分であると悪臭の原因となるため、事前に悪臭の原因となる汚物を除去し、羽毛の洗浄の程度を見る清浄度と酸素計数を一定のレベルに保つ管理が必要である。加えて、羽毛布団、羽毛ジャケットなどの羽毛製品の洗濯は容易ではないという基本的な問題がある。
そこで、従来から詰め綿については多くの提案がある。本出願人は特許文献1で芯糸と花糸を交絡した長繊維中綿を提案し、所定の長さにカットした複数本の長繊維中綿をフィルムでラッピングして側地内に配置することを提案している。特許文献2には芯糸に花糸を巻き付けて絡ませた長繊維中綿が提案されている。特許文献3には、糸長差を有する糸条を噴射気流により旋回させて嵩高加工することが提案されている。特許文献4には、側地に多数のバンドルチャネルを縫製糸によりタックとして形成し、このバンドルチャネル内に所定の長さにカットした長繊維中綿を配置することが提案されている。
特開2012-067430号公報 特開2016-027213号公報 特開2017-122304号公報 特表2017-532458号公報
しかし、前記従来技術は長繊維中綿を均一に配列することが困難であった。
本発明は、上記問題を解決するため、長繊維糸からなる繊維束を均一にかつ自動化して配列し、面状中綿シートにすることができる中綿構造体の製造方法を提供する。
本発明は、複数本の長繊維糸からなる長繊維束を、連続させた状態で面状に配置し、面状中綿シートとし、前記面状中綿シートに生地を重ねて前記面状中綿シートと前記生地を一体化する中綿構造体の製造方法である。
本発明は、複数本の長繊維糸からなる長繊維束、例えば長繊維糸が複数本引き揃えられた長繊維束を、連続させた状態で面状に配置し、面状中綿シートとすることにより、長繊維糸からなる繊維束を均一にかつ自動化して配列し、面状中綿シートにすることができる。とくに、長繊維束を連続させた状態で面状に配置することにより、均一な厚さ及び均一な密度を保持しつつ、効率よく迅速に面状中綿シートを形成できる。更に面状中綿シートに生地を重ね一体化することにより、均一な厚さ及び均一な密度を保持しつつ、効率よく迅速に中綿構造体を形成できる。
図1は本発明の一実施形態の面状中綿シート形成工程を示す模式的斜視図である。 図2Aは同、面状中綿シートを表生地及び裏生地で挟んだ状態を示す模式的斜視図、図2Bは図2Aの幅方向の模式的断面図である。 図3A及び図3Bは同、縫製ライン及びカットライン共通のスリット孔を開けたプレートを示す模式的平面図である。 図4は同、プレートで積層体を挟み、縫製ラインを縫製し、その外側のカットラインをカットする状態を示す模式的断面図である。 図5は同、得られた中綿構造体を示す模式的平面図である。 図6Aは本発明の別の実施形態の中綿構造体を示す模式的平面図、図6Bは同、模式的断面図である。 図7Aは本発明の別の実施形態の面状中綿シートの平面図、図7Bはこれを内部に含む中綿構造体を示す模式的平面図である。 図8Aは本発明のさらに別の実施形態の面状中綿シートの平面図、図8Bはこれを内部に含む中綿構造体を示す模式的平面図である。 図9は本発明の一実施形態の長繊維糸の模式的側面図である。 図10は本発明の一実施形態の長繊維糸の製造方法を示す模式的説明図である。
本発明者らは、従来の長繊維糸又は長繊維糸が複数本引き揃えられた長繊維束(以下まとめて「長繊維中綿」ともいう)を所定の長さにカットし、このカットした複数の長繊維中綿を表生地と裏生地の間にそれぞれ挿入し、生地と縫製していた。この方法の問題として、表生地と裏生地との間にカットした複数の長繊維中綿を挿入するのは煩雑であり、更に、長繊維中綿は構成繊維が引っ掛かりやすく、均一な厚さ及び均一な密度が保ちにくいという問題を見出し、様々な検討をした。
この検討の結果、長繊維糸が複数本引き揃えられた長繊維束を、連続させた状態で面状に配置し、面状中綿シートとする面状中綿シート工程と、前記面状中綿シートに生地を重ねて一体化する一体化工程を含むことにより、この問題を解決できることが分かった。とくに、長繊維糸からなる繊維束を連続させた状態で面状に配置することにより、均一な厚さ及び均一な密度を保持しつつ、効率よく迅速に面状中綿シートを形成できることが分かった。
前記面状中綿シート工程は、長繊維束を均一にかつ自動化して配列し、面状中綿シートにすることができる。また、前記一体化工程、例えば縫製工程は自動縫製することができ、効率よく中綿構造体を得ることができる。前記面状中綿シート工程では、長繊維束を連続させた状態で、U字状、ジグザグ状又は渦巻き状に配置した状態にして面状中綿シートとすることが好ましい。U字状、ジグザグ状の場合は、連続させた状態で位置をずらせて折り返した状態にして面状中綿シートとする。これにより面状中綿シートはまとめて一つの物体として取り扱うことができ、生地と一体化するのに便利である。
前記面状中綿シート工程では、長繊維束は、間隔をあけて固定した複数の折り返し具に順番に折り曲げて一方向に配列し、前記折り返し具から前記長繊維束を外して面状中綿シートを形成するのが好ましい。U字状に折り返す場合は折り返し具(ピン)の直径を大きくし、またはピンの位置を調整する等により行う。ジグザグ状に折り返す場合は折り返し具(ピン)の直径を小さくする、またはピンの位置を調整する等により行う。これにより、長繊維束を均一にかつ自動化して一方向に配列し、面状中綿シートにすることができる。別の方法として、長繊維束を、連続させた状態で円形渦巻き状、矩形渦巻き状に配置することもできる。なお、面状中綿シートの「面状」とは、高さ方向に長繊維束を配置することを制限するものではない。連続した長繊維束を面状に配置するに際し、平面方向に配置するだけではなく、高さ方向に積層するように配置することも可能である。
前記折り返し具で折り曲げた長繊維束は、0度を超え20度以下の角度をつけて折り返すのが好ましい。なお、「折り曲げた長繊維束」とは、配置された長繊維束が結果として折り曲がった状態に見えるものも含む。折り返し具はピンを使うのが好ましく、ピンの間隔分、長繊維束はわずかな角度をつけて折り返すのが好ましい。この角度は、0度を超え20度以下が好ましく、より好ましくは0度を超え15度以下、さらに好ましくは0度を超え10度以下である。前記角度であれば一方向シートとして扱える。前記角度は対称角となることもある。
前記面状中綿シート工程においては、長繊維束はロボットアームにより面状中綿シートに配列するか、又はX-Y方向に移動する可動テーブルを用いて面状中綿シートに配列するのが好ましい。特に、長繊維束を保持した保持装置と上面に面状中綿シートを配置する生地が配置されたテーブルとをX-Y方向に相対移動させて、生地上に面状中綿シートを形成するのが好ましい。
前記面状中綿シートと前記生地の一体化は、縫製によるのが好ましいが、溶着でも可能である。前記面状中綿シートと前記生地の一体化に際し、前記面状中綿シートの形成と前記生地を重ねる順番は限定されない。通常は、一方の生地の上で面状中綿シートを形成し、その上面に他方の生地を重ね、その後一体化、例えば縫製を行う。ただし、面状中綿シートを形成し、その後上下面に表生地及び裏生地を配置する場合、裏生地と表生地の間に形成された面状中綿シートを挿入する場合も含まれる。また、面状中綿シートの一部が露出するような場合も含まれる。中綿入り衣類の場合は、縫製工程において面状中綿シートを表生地及び裏生地で挟み、積層体とし、スリット孔を開けたプレートで前記積層体を挟み、ミシン縫製により、前記スリット孔から前記積層体の少なくとも前記面状中綿シートの端部を横切る方向に縫製し、前記縫製部分の外側をカットすることが好ましい。面状中綿シートは縫製糸により両端部で固定されることから、前記中綿シートは偏ることはない。また、カット工程においては、長繊維束の各端部(U字形)もカットし、除去される。その後、プレートを取り除き、中綿構造体を取り出す。なお、前記縫製を適宜熱溶着に変更することも可能である。なお、前記表生地及び裏生地は、最終製品の外観を構成する生地であることが多いが、本発明においては、最終製品の外観を構成する生地でなくともよい。さらに、生地は、通常単層生地として面状中綿シートと一体化されるが、単層生地に限定されるものではなく、複層生地であってもよい。また、生地構造(織物、編物、不織布等)や材質は限定されるものではない。
前記縫製及び溶着は、スリット孔を開けたプレート間に、裏生地、前記面状中綿シート及び表生地を配置したプレートをX-Y方向に移動させ、ミシン縫製又は溶着することが好ましい。これにより縫製又は溶着工程が安定する。
前記スリット孔はミシン縫製ライン及びカットライン共通のスリット孔であるのが好ましい。共通のスリット孔にすることで、プレートの強度を保つことができるほか、縫製ラインとカットラインの間の距離を変更することができる。なお、ミシン縫製ラインで熱溶着することも可能である。
布団の場合は、裏生地と表生地との間に前記面状中綿シートを配置し、面状中綿シートの各端部(U字形)の上又は内側を縫製糸が通るように4辺を縫製するのが好ましい。これにより面状中綿シートは縫製糸により両端部で固定されることから、前記中綿シートは偏ることはない。
クッション、座布団、椅子布団、敷物などの場合は、長繊維束を、連続させた状態で円形渦巻き状、矩形渦巻き状に配置し、これを生地で覆ってキルティングするのが好ましい。これにより面状中綿シートは縫製糸により両端部で固定されることから、前記中綿シートは偏ることはない。
前記一体化工程、例えば縫製工程では、面状中綿シートを表生地及び裏生地で挟んだ積層体の3辺又は4辺の外周を縫製糸により縫製するのが好ましい。3辺の場合は、面状中綿シートの両端部の2辺と他の1辺である。1辺は外周を縫製糸により縫製し、その後前記外周縫製糸の外側をカットしてもよいし、縫製により他のパーツとつなげてもよい。カットラインは、テープ生地などの縁布を当てて縁縫いし、面状中綿シートの露出を防止してもよい。
前記中綿構造体の外周縫製糸より内側には、任意の方向に縫製糸によりキルティングしてもよい。これによりさらに面状中綿シートは固定され、偏ることはない。また、キルティングは任意の方向にできるので、デザイン的自由度が向上する。キルティングは例えばヨコ、タテ、斜め、曲線、円及びこれらの組み合わせである。内側キルティングをする場合は、先に内側キルティングを入れ、その後に外周縫製ラインを入れるのが好ましい。このようにすると内側のしわが入りにくい。
前記外周縫製糸の外側のカットは、レーザーカッター、超音波カッター、回転刃カッターなどが使用できるが、この中でもレーザーカッターが好ましい。表生地と裏生地との間に面状中綿シートが積層一体化されている中綿構造体のカットは、レーザーカットが効率的である。レーザーは炭酸ガスレーザーが好ましく、出力は20~50Wが好ましい。
前記ミシン縫製は、スリット孔を開けたプレートをX-Y方向に移動させ縫製するのが好ましい。このようなミシンとして、JUKI社製、商品名”パターンシーマPS-800”がある。
前記長繊維糸は、かさ高性を有する糸が好ましく、例えば、少なくとも2種類の長繊維A及び長繊維Bで構成され、前記長繊維Aは前記長繊維Bに比べて相対的に短く、前記長繊維A及び前記長繊維Bは一体化された長繊維糸であることが好ましい。長繊維A及び長繊維B以外の繊維を加えることは任意であるが、長繊維糸を100質量%としたとき長繊維A及び長繊維B合計で70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上とする。長繊維A及び長繊維Bは一体化されている。ここで一体化とは、繊維同士が絡み合ったり巻き付いた状態をいう。長繊維Aは長繊維Bに比べて相対的に短い。長繊維Aと長繊維Bとの長さの差を設けることでかさ高性を出す。長繊維B(花糸)と長繊維A(芯糸)の重量比は、長繊維B(花糸)と長繊維A(芯糸)の合計を母数にしたとき、長繊維B(花糸)の割合は51~99質量%(wt%)の範囲が好ましい。更に好ましくは80~98wt%の範囲、特に好ましくは85~97wt%の範囲である。前記範囲であれば、両成分糸固定はしっかりしたものとなり、かつ風合いも良好となる。
前記長繊維糸1本の単位長さ当たりの質量は0.01~3g/mが好ましく、0.02~1.5g/mがさらに好ましい。この長繊維糸を2~1800本、好ましくは2~1000本、更に好ましくは5~500本、特に好ましくは10~250本まとめて、例えば引き揃えて長繊維束とする。長繊維束1本の単位長さ当たりの質量は0.15~45g/mが好ましく、0.3~25g/mがさらに好ましい。この範囲であると、面状中綿シートにする際の取り扱いに便利である。前記長繊維束は1本又は複数本引き揃えて使用することができる。前記長繊維束は、巻糸体としてもよいし、カートン容器に収納してもよい。
前記面状中綿シートの単位面積当たりの質量は5~1000g/mであるのが好ましい。中綿入り衣類の場合は、面状中綿シートの単位面積当たりの質量が5~400g/mが好ましく、さらに好ましくは、10~120g/mである。布団の場合は、例えば掛け布団は面状中綿シートの単位面積当たりの質量が10~600g/mが好ましく、さらに好ましくは30~400g/mである。
前記中綿構造体は、衣類、寝具、寝袋又はこれらのパーツであるのが好ましい。具体的には、布団、毛布、寝袋、枕、クッション、マット、ぬいぐるみ、ひざ掛け、ジャケット、シャツ、パンツ、ベスト、コート、防寒衣料、作業着、ネックウォーマー又はこれらのパーツであるのが好ましい。ジャケット、シャツ、パンツなどの衣類はスポーツ用に好適である。また、インナージャケットのようなフィット感があり、良く伸びる性質がある。
長繊維糸には架橋剤として、少なくともウレタン系架橋剤、アクリル系架橋剤又はエポキシ樹脂架橋剤が付与されキュアリングにより固定されているのが好ましい。これにより、かさ高性及び耐洗濯性を向上させることができる。さらに、表面処理剤として平滑性を向上させる樹脂平滑剤として、例えば、シリコーン系樹脂を前記架橋剤とともに併用するのが好ましい。特にシリコーン系樹脂剤とウレタン系架橋剤の併用が好ましい。前記架橋剤及び/又は平滑性は、長繊維糸に対して0.1~10質量%の範囲付与するのが好ましい。
前記長繊維束のJIS L 1903-1998「羽毛製品に用いられる充填材料用羽毛の試験方法」に準拠した測定方法で140mm以上のかさ高性があることが好ましい。
長繊維A及び長繊維Bは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの繊維が使用できるが、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)中空糸である。ポリエチレンテレフタレート中空糸は断熱効果により温かく、かつPETはコシがあり、かさ高性を高く維持できる。中空率は10~40%程度が好ましい。
長繊維A及び長繊維Bは、交絡加工、エアージェット加工、巻き付け加工及び長繊維Aに対して長繊維Bを噴射させる加工から選ばれる少なくとも一つの加工により一体化されているのが好ましい。交絡加工は長繊維Aと長繊維Bの走行方向に対して垂直方向に圧空を噴射するエアー交絡機による加工である。エアージェット加工はいわゆるタスラン加工であり、長繊維Aと長繊維Bに対して進行方向に圧空を押し込む加工である。巻き付け加工は長繊維Aに対して長繊維Bを巻き付け、一体化する加工である。長繊維Aに対して長繊維Bを噴射させる加工は、長繊維Aに長繊維Bを噴射させ絡めるか又は旋回させる加工である。
長繊維A及び長繊維Bの単繊維繊度は0.1~300decitex、かつトータル繊度が10~600decitexの範囲が好ましい。更に好ましくは単繊維繊度が1.0~50decitex、かつトータル繊度が15~250decitexの範囲である。繊度が前記の範囲であれば、へたりにくく、かつ風合いも良好である。
本発明の中綿構造体は、長繊維束が一方向に配列されており、長繊維束の両端部は縫製糸で縫製され、内側は任意の方向に複数本のキルト糸により側地と固定されているのが好ましい。これにより、固定箇所の間で長繊維束の長さは変化することはなく、洗濯を繰り返しても長繊維束の動きは制限され、偏りが少なく、嵩も高い詰め物製品となる。なお、本発明の中綿構造体は、長繊維束とともに、その他の中綿を用いてもよい。例えば羽毛、人工羽毛、短繊維綿と併用してもよい。
以下図面を用いて説明する。各図面において、同一符号は同一部分を示す。図1は本発明の一実施形態の面状中綿シート7を形成する工程を示す模式的斜視図である。この面状中綿シート製造装置1は可動テーブル2の両側に複数個の折り返し具(ピン)3a,3bが配列されており、ロボットアーム4を使用して巻き糸体5から長繊維束6を引き出し、可動テーブル2の上端と下端に配列された複数個の折り返し具(ピン)3a,3bに長繊維束6を順番に折り曲げて配列し、面状中綿シート7を形成する。可動テーブル2はX-Y方向に移動するテーブルを使用することもできる。巻き糸体5に変えて、ケンスから長繊維束6を引き出し、面状中綿シート製造装置1に供給してもよい。
図2Aは同、面状中綿シート7を表生地9及び裏生地8で挟み、積層体とした状態を示す模式的斜視図、図2Bは同積層体の幅方向の模式的断面図である。
図3Aは同、縫製ライン12及びカットライン13共通のスリット孔11を開けたプレート10を示す模式的平面図、図3Bは同、縫製ライン12及びカットライン13共通のスリット孔11’を開けたプレート10’を示す模式的平面図である。縫製ライン12の内側は、この例においてはヨコ方向にスリット孔14a-14d、14a’-14d’を設け、縫製によりキルティング15a-15dを形成してもよい。プレート10,10’はアクリル板、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンシートなどが使用でき、厚さは30μm~1mm程度が好ましい。なお、この例において、縫製ライン12の内側の縫製方向(キルティング15a-15d)は、長繊維束の方向と略平行となるが、例えば特許文献4のように、縫製ライン12の内側の縫製方向を、長繊維束を横切るような方向にしてもよい。長繊維束を横切る方向に縫製することにより、長繊維束と生地との固定がより確実となり、長繊維束の偏りはより少なくなる。
図4は同、プレート10,10’で面状中綿シート7を表生地9及び裏生地8で挟んだ積層体を、スリット孔11、11’から縫製ライン12で縫製し、カットライン13でカットする状態を示す模式的断面図である。これにより、面状中綿シート7の折り返し部はカットし除去される。縫製ライン12とカットライン13の距離は、ほつれが生じない程度あればよく、1~10mm程度が好ましく、より好ましくは2~8mm程度である。
図5は同、得られた中綿構造体16を示す模式的平面図である。この中綿構造体16は、ベスト(チョッキ)の後身頃の例であり、少なくとも3辺の外周の縫製ライン12は縫製糸により縫製されており、その外側はカットライン13となっている。また、身幅方向には4本のキルティングライン15a-15dが入っている。面状中綿シートはキルティングライン15a-15dと同一方向に配列されている。縫製順序は、まずキルティングライン15a-15dを入れ、次に3辺の外周縫製ライン12を縫製し、次にその外側にカットライン13でカットする。17は長繊維束の配列方向である。ベスト(チョッキ)の前身頃は、縦方向に半身ずつ前記同様に中綿構造体を作り、図5に示す中綿構造体16と脇部を縫製し、前身頃にファスナー、ホック又はボタンとボタン穴を取り付けることによりベスト(チョッキ)となる。長袖の場合はさらに両袖及び襟を取り付ける。両袖及び襟も前記同様に中綿構造体としたものを使用できる。カットラインが残る部分は、テープ生地などの縁布を当てて縁縫いし、面状中綿シートの露出を防止する。
図6Aは本発明の別の実施形態の中綿構造体を示す模式的平面図、図6Bは同模式的断面図である。この中綿構造体18は掛布団の例であり、面状中綿シートは図1と同様に作成し、面状中綿シート7の上下に裏生地20と表生地21を配置し、面状中綿シート7の各端部(U字形)の上又は内側を外周縫製ライン19が通るように4辺を縫製する。これにより面状中綿シート7は縫製糸により両端部で固定されることから、前記中綿シートは偏ることはない。17は長繊維束の配列方向である。
図3~図5と異なる点は、面状中綿シート7の各端部(U字形)は中綿構造体18の中に含まれていることである。これにより、面状中綿シート7を歩留まりよく中綿構造体18にすることができる。
図7Aは本発明の別の実施形態の面状中綿シート22の平面図、図7Bはこれを内部に含む中綿構造体23を示す模式的平面図である。この面状中綿シート22は長繊維束6を円形渦巻き状に配列して面状にしている。これを生地で覆い、キルティングライン24a-24cを入れる。この中綿構造体23はクッション、座布団、椅子布団、敷物などに好適である。
図8Aは本発明のさらに別の実施形態の面状中綿シート25の平面図、図8Bはこれを内部に含む中綿構造体26を示す模式的平面図である。この面状中綿シート25は長繊維束6を矩形渦巻き状に配列して面状にしている。これを生地で覆い、キルティングライン27a-274cを入れる。この中綿構造体26もクッション、座布団、椅子布団、敷物などに好適である。
図9は本発明の一実施形態の長繊維糸(エアー交絡糸)31の側面図である。この長繊維糸31は、芯糸32(長繊維A)と花糸33(長繊維B)の構成繊維が互いに絡まっており、花糸33が開繊されて部分的にループ状繊維を形成している。
図10は本発明の一実施形態の長繊維糸(エアー交絡糸)31の製造方法を示す模式的説明図である。巻き糸体34から芯糸34a(長繊維A)を引き出し、巻き糸体35から花糸35a(長繊維B)引き出し、2個のフィードローラ36、37と糸ガイド38を通過させてエアー交絡装置40に供給する。エアー交絡装置40に圧空ライン41から圧空を供給すると、糸道39内の繊維は開繊されたり旋回されることにより、互いに交絡する。42は長繊維糸(エアー交絡糸)である。芯糸の供給速度は10~200m/分、花糸の供給速度は20~10000m/分、巻き取り速度10~200m/分、空気圧力0.01~1.0MPaの交絡ノズルで混繊交絡処理を施した後、デリベリローラ43通過後の糸を巻き糸体45に巻き取る。44はワインダーローラである。この方法は、糸の巻き取り速度を20~1500m/分と高速化でき、生産性が高いところに利点がある。巻き糸体45に巻き取る方法に変えて、ケンスに収納してもよい。
得られた長繊維糸(エアー交絡糸)には、シリコーン樹脂を付与するのが好ましい。シリコーン樹脂としては、分子末端がハイドロジェン基(-OH)、ビニル基(-CH=CH2)等を有する反応性シリコーン処理剤を使用するのが好ましい。例えば、松本油脂製薬社製“TERON E 530”バルキーシリコン、“TERON E 731”、“TERON E 722”等のソフトシリコンを使用できる。付与量は、乾燥重量で詰め綿に対し0.1~10質量%付与するのが好ましい。次に熱処理工程において、140~190℃で1~10分間熱処理し、シリコーン樹脂をキュアリングする。このとき、芯糸の潜在捲縮型ストレッチ糸は後捲縮が発現する。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
長繊維糸(エアー交絡糸)として、クラボウ株式会社製、商品名”エアー フレイク”、単糸長さ当たりの質量0.12g/mを15本引き揃え(合計1.8g/m)長繊維束とした。これを図1のように配列して面状中綿シート(質量:57g/m)とした。
裏生地(ナイロン製)をテーブルに配置し、その上でU字状面状中綿シートを形成し、表生地(ナイロン製)を面状中綿シートの上に重ね図2に示す、生地-面状中綿シート-生地の3層の積層体とした。
次に、図3A-Bに示す、縫製ライン及びカットライン共通のスリット孔を開けたプレートで前記積層体を挟み、ミシン台に載せ、プレートをX-Y方向に移動させ、ミシン縫製により、図4に示すようにスリット孔の3辺の外周を縫製糸により縫製し、外周縫製糸の外側をレーザーカッターによりカットして中綿構造体を得た。その後、プレートを開き、中綿構造体を取り出した。ミシンはJUKI社製、商品名”パターンシーマPS-800”を使用した。
この結果、面状中綿シートを形成する工程、及び積層体の少なくとも3辺の外周を縫製糸により縫製し、その後前記外周縫製糸の外側をカット工程が自動化でき、効率よく合理的に中綿構造体を得ることが確認できた。
(実施例2)
長繊維糸(エアー交絡糸)として、クラボウ株式会社製、商品名”エアー フレイク”、単糸長さ当たりの質量0.12g/mを30本引き揃え(合計3.6g/m)長繊維束とした。これを図1のように配列して面状中綿シート(質量:380g/m)とした。
この面状中綿シートを用いて図6に示す掛布団(2.1m×1.5m:シングルサイズ)を作成した。裏生地(ポリエステル製)20の上に面状中綿シート7を配置し、表生地(ポリエステル製)21を重ねた。面状中綿シート7の各端部(U字形)の上又は内側を外周縫製ライン19が通るように4辺を縫製した。これにより面状中綿シート7は縫製糸により両端部で固定され、前記中綿シートは偏ることはなかった。この掛布団の着用試験をしたところ、3か月使用しても中綿の偏りはなく、家庭洗濯を3回しても中綿の偏りはなかった。
本発明の中綿構造体は、布団、毛布、寝袋、枕、クッション、座布団、椅子布団、マット、ぬいぐるみ、ひざ掛け、ジャケット、シャツ、パンツ、ベスト、コート、防寒衣料、作業着、ネックウォーマー又はこれらのパーツであるのが好ましい。
1 面状中綿シート製造装置
2 可動テーブル
3a,3b 折り返し具(ピン)
4 ロボットアーム
5 巻き糸体
6 長繊維束
7,22,25 面状中綿シート
8,20 裏生地
9,21 表生地
10,10’ プレート
11,11’, 14a-14d スリット孔
12,19 縫製ライン
13 カットライン
15a-15d,20a-20f,24a-24c,27a-27c キルティングライン
16,18,23,26 中綿構造体
17 長繊維束の配列方向
31,42 長繊維糸
32,34a 芯糸
33,35a 花糸
34,35,45 巻き糸体
36,37 フィードローラ
38 糸ガイド
39 糸道
40 エアー交絡装置
41 圧空ライン
43 デリベリローラ
44 ワインダーローラ

Claims (10)

  1. 中綿構造体の製造方法であって、
    複数本の長繊維糸からなる長繊維束を、連続させた状態で面状に配置し、面状中綿シートとし、
    前記面状中綿シートに生地を重ねて前記面状中綿シートと前記生地を一体化することを特徴とする中綿構造体の製造方法。
  2. 前記面状中綿シートは、前記長繊維束をU字状、ジグザグ状又は渦巻き状に配置する請求項1に記載の中綿構造体の製造方法。
  3. 前記長繊維束は、間隔をあけて固定した複数の折り返し具に順番に折り曲げて一方向に配列し、前記折り返し具から前記長繊維束を外して面状中綿シートを形成する請求項1又は2に記載の中綿構造体の製造方法。
  4. 前記面状中綿シートと前記生地の一体化は、縫製又は溶着である請求項1~3のいずれか1項に記載の中綿構造体の製造方法。
  5. 前記中綿構造体の3辺又は4辺の外周を縫製又は溶着する請求項1~4のいずれか1項に記載の中綿構造体の製造方法。
  6. 前記面状中綿シートを構成する長繊維束の折り曲げた端部を含んで表生地と裏生地で覆う請求項3~5のいずれか1項に記載の中綿構造体の製造方法。
  7. 前記長繊維糸は、少なくとも2種類の長繊維A及び長繊維Bで構成され、前記長繊維Aは前記長繊維Bに比べて相対的に短く、前記長繊維A及び前記長繊維Bは一体化された長繊維束である請求項1~6のいずれか1項に記載の中綿構造体の製造方法。
  8. 前記長繊維束の単位長さ当たりの質量は0.15~45g/mである請求項1~7のいずれかに記載の中綿構造体の製造方法。
  9. 前記中綿構造体の外周より内側を縫製糸によりキルティングした後に、前記面状中綿シートの端部を横切る方向に縫製する請求項1~8のいずれかに記載の中綿構造体の製造方法。
  10. 前記中綿構造体は、衣類、布団、寝具、寝袋又はこれらのパーツである請求項1~9のいずれか1項に記載の中綿構造体の製造方法。
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