JP7248964B2 - 建物躯体の養生方法及びシート支持体 - Google Patents
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Description
このような雨養生を行う場合は、建物躯体の周囲に組まれた足場を利用して養生シートを張る場合(特許文献1参照。)や、建物躯体の上方から養生シートを被せる場合(特許文献2参照。)等がある。
また、特許文献2のように建物躯体の上方から養生シートを被せる場合は、雨水を受けて養生シートが溜まりやすくなるため、養生シートの下で作業する人が棒などを使って養生シートを持ち上げて雨水を流したり、養生シートに排水手段を設けたりする必要があり、手間やコストがかかるという問題が生じる。
前記シート支持体10a(10b)は、
前記施工中断箇所Pにおける平面に固定される脚金物11と、
前記脚金物11に取り付けられる支柱材13と、
前記支柱材13の上端部に取り付けられる上端金物12と、
前記上端金物12に取り付けられるとともに前記養生シートSを受けるシート受け材14と、を備えており、
前記上端金物12は、前記養生シートSの流れ方向に追従して前記シート受け材14の角度を調整可能に構成されており、
前記支柱材13及び前記シート受け材14として前記建物躯体1の施工現場で調達した木材を用いて前記シート支持体10a(10b)を組み立てて、当該シート支持体10a(10b)を前記施工中断箇所Pに設置することを特徴とする。
また、上端金物12が、養生シートSの流れ方向に追従してシート受け材14の角度を調整可能に構成されているので、雨水を受けても撓みにくく、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことができる。
これによって、足場からの距離を考慮した面積の広い養生シートSを用意したり、手作業で養生シートSを持ち上げて雨水を流したり、養生シートSに排水手段を設けたりする必要がなくなるので、手間やコストをかけずに、雨水をスムーズに排水することができる。
そして、支柱材13及びシート受け材14として建物躯体1の施工現場で調達した木材を用いてシート支持体10a(10b)を組み立てて、当該シート支持体10a(10b)を施工中断箇所Pに設置するので、支柱材13及びシート受け材14を専用のものとして用意する必要がなく、施工現場の建築材料などの木材を使用でき、使用後には、再び建築材料などの木材として取り扱うことができる。そのため、無駄がなく、コストの低減を図ることができる。
前記シート支持体10は、
互いに間隔を空けて配置されるとともに同様の構成を備えた第一セット10a及び第二セット10bと、これら第一セット10aと第二セット10bとを連結する連結材15と、からなり、
前記第一セット10a及び前記第二セット10bのそれぞれは、
前記施工中断箇所Pにおける平面に固定される脚金物11と、
前記脚金物11に取り付けられる支柱材13と、
前記支柱材13の上端部に取り付けられる上端金物12と、
前記上端金物12に取り付けられるとともに前記養生シートSを受けるシート受け材14と、を備えており、
前記第一セット10a及び前記第二セット10bにおける各々の前記上端金物12には前記シート受け材14と前記連結材とが取り付けられ、
当該各々の上端金物12は、前記養生シートSの流れ方向に追従して前記シート受け材14の角度を調整可能に構成されており、
前記支柱材13、前記シート受け材14及び前記連結材15として前記建物躯体1の施工現場で調達した木材を用いて前記シート支持体10を組み立てて、当該シート支持体10を前記施工中断箇所Pに設置することを特徴とする。
また、第一セット10a及び第二セット10bにおける各々の脚金物11が施工中断箇所Pにおける平面に固定されるので、第一セット10aと第二セット10bとを連結させたシート支持体10を自立させることができる。これにより、足場を組んで養生シートSを張る必要がなくなる。
さらに、第一セット10a及び第二セット10bにおける各々の上端金物12が、養生シートSの流れ方向に追従してシート受け材14の角度を調整可能に構成されているので、雨水を受けても撓みにくく、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことができる。
これによって、足場からの距離を考慮した面積の広い養生シートSを用意したり、手作業で養生シートSを持ち上げて雨水を流したり、養生シートSに排水手段を設けたりする必要がなくなるので、手間やコストをかけずに、雨水をスムーズに排水することができる。また、第一セット10aと第二セット10bとを連結させたシート支持体10によれば広い範囲で養生シートSを支持することができる。
そして、支柱材13、シート受け材14及び連結材15として建物躯体1の施工現場で調達した木材を用いてシート支持体10を組み立てて、当該シート支持体10を施工中断箇所Pに設置するので、支柱材13、シート受け材14及び連結材15を専用のものとして用意する必要がなく、施工現場の建築材料などの木材を使用でき、使用後には、再び建築材料などの木材として取り扱うことができる。そのため、無駄がなく、コストの低減を図ることができる。
前記上端金物12は、
前記支柱材13の上端部に取り付けられる取付部(例えば筒状部120)と、
前記シート受け材14が固定される被固定部(例えば木材固定部121)と、
前記取付部と前記被固定部との間に設けられ、前記取付部に対して前記被固定部及び前記シート受け材14のアングルを調整するアングル調整部124と、を有することを特徴とする。
前記被固定部(例えば木材固定部121)は、
前記シート受け材14が固定される第一固定領域121aと、
前記第一固定領域121aに隣り合い、前記シート受け材14とは異なる部材(例えば連結材15又は当て木14a)が固定される第二固定領域121bと、を備えることを特徴とする。
前記施工中断箇所Pにおける平面に固定される脚金物11と、
前記脚金物11に取り付けられる支柱材13と、
前記支柱材13の上端部に取り付けられる上端金物12と、
前記上端金物12に取り付けられるとともに前記養生シートSを受けるシート受け材14と、を備えており、
前記上端金物12は、
前記支柱材13の上端部に取り付けられる取付部(例えば筒状部120)と、
前記シート受け材14が固定される被固定部(例えば木材固定部121)と、
前記取付部と前記被固定部との間に設けられ、前記取付部に対して前記被固定部及び前記シート受け材14のアングルを調整するアングル調整部124と、を有していて、前記養生シートSの流れ方向に追従して前記シート受け材14の角度を調整可能に構成されており、
前記被固定部(例えば木材固定部121)は、
前記シート受け材14が載せられる底面板部122と、
前記底面板部122のうち前記シート受け材14の長さ方向と沿う一辺から上方に立ち上がる立ち上がり板部123と、を備えて断面L型に形成されており、
前記底面板部122のうち、前記立ち上がり板部123側に位置する領域が、前記シート受け材14が載せられて固定される第一固定領域121aとされ、
前記底面板部122のうち、前記第一固定領域121aに隣り合い、かつ前記立ち上がり板部123とは反対側に位置する領域が、前記シート受け材14とは異なる部材である当て木14aが載せられて固定される第二固定領域121bとされていることを特徴とする。
また、上端金物12が、養生シートSの流れ方向に追従してシート受け材14の角度を調整可能に構成されているので、雨水を受けても撓みにくく、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことができる。
これによって、足場からの距離を考慮した面積の広い養生シートSを用意したり、手作業で養生シートSを持ち上げて雨水を流したり、養生シートSに排水手段を設けたりする必要がなくなるので、手間やコストをかけずに、雨水をスムーズに排水することができる。
さらに、取付部(例えば筒状部120)に対して被固定部(例えば木材固定部121)及びシート受け材14のアングルを調整するアングル調整部124を有するので、養生シートSの流れ方向に追従して被固定部及びシート受け材14のアングル(角度)を調整することができる。これにより、支柱材13によって養生シートSを下方から支持する場合に、養生シートSを、雨水を受けても撓みにくくすることができ、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことに貢献できる。
しかも、被固定部(例えば木材固定部121)を、シート受け材14を固定するためだけに用いるのではなく、シート受け材14とは異なる部材(例えば連結材15又は当て木14a)を固定するために用いることができる。これにより、ビスBがシート受け材14を貫通してしまう場合の当て木14aを固定することができ、その結果、手間やコストの軽減、雨水のスムーズな排水に貢献できる。
互いに間隔を空けて配置されるとともに同様の構成を備えた第一セット10a及び第二セット10bと、これら第一セット10aと第二セット10bとを連結する連結材15と、からなり、
前記第一セット10a及び前記第二セット10bのそれぞれは、
前記施工中断箇所Pにおける平面に固定される脚金物11と、
前記脚金物11に取り付けられる支柱材13と、
前記支柱材13の上端部に取り付けられる上端金物12と、
前記上端金物12に取り付けられるとともに前記養生シートSを受けるシート受け材14と、を備えており、
前記上端金物12は、
前記支柱材13の上端部に取り付けられる取付部(例えば筒状部120)と、
前記シート受け材14が固定される被固定部(例えば木材固定部121)と、
前記取付部と前記被固定部との間に設けられ、前記取付部に対して前記被固定部及び前記シート受け材14のアングルを調整するアングル調整部124と、を有していて、前記養生シートSの流れ方向に追従して前記シート受け材14の角度を調整可能に構成されており、
前記被固定部(例えば木材固定部121)は、
前記シート受け材14が載せられる底面板部122と、
前記底面板部122のうち前記シート受け材14の長さ方向と沿う一辺から上方に立ち上がる立ち上がり板部123と、を備えて断面L型に形成されており、
前記底面板部122のうち、前記立ち上がり板部123側に位置する領域が、前記シート受け材14が載せられて固定される第一固定領域121aとされ、
前記底面板部122のうち、前記第一固定領域121aに隣り合い、かつ前記立ち上がり板部123とは反対側に位置する領域が、前記シート受け材14とは異なる部材が載せられて固定される第二固定領域121bとされ、
前記第一セット10a及び前記第二セット10bにおける各々の前記上端金物12には前記シート受け材14と、前記異なる部材である前記連結材とが取り付けられ、
当該各々の上端金物12は、前記養生シートSの流れ方向に追従して前記シート受け材14の角度を調整可能に構成されていることを特徴とする。
また、第一セット10a及び第二セット10bにおける各々の脚金物11が施工中断箇所Pにおける平面に固定されるので、第一セット10aと第二セット10bとを連結させたシート支持体10を自立させることができる。これにより、足場を組んで養生シートSを張る必要がなくなる。
さらに、第一セット10a及び第二セット10bにおける各々の上端金物12が、養生シートSの流れ方向に追従してシート受け材14の角度を調整可能に構成されているので、雨水を受けても撓みにくく、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことができる。
これによって、足場からの距離を考慮した面積の広い養生シートSを用意したり、手作業で養生シートSを持ち上げて雨水を流したり、養生シートSに排水手段を設けたりする必要がなくなるので、手間やコストをかけずに、雨水をスムーズに排水することができる。また、第一セット10aと第二セット10bとを連結させたシート支持体10によれば広い範囲で養生シートSを支持することができる。
また、取付部(例えば筒状部120)に対して被固定部(例えば木材固定部121)及びシート受け材14のアングルを調整するアングル調整部124を有するので、養生シートSの流れ方向に追従して被固定部及びシート受け材14のアングル(角度)を調整することができる。これにより、支柱材13によって養生シートSを下方から支持する場合に、養生シートSを、雨水を受けても撓みにくくすることができ、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことに貢献できる。
しかも、被固定部(例えば木材固定部121)を、シート受け材14を固定するためだけに用いるのではなく、シート受け材14とは異なる部材(例えば連結材15又は当て木14a)を固定するために用いることができる。これにより、一対のシート支持体10a,10b同士を連結する連結材15を固定することができ、その結果、手間やコストの軽減、雨水のスムーズな排水に貢献できる。
図1及び図2において符号1は、枠組壁工法やプレハブ工法によって建築される住宅等の建物における躯体(以下、建物躯体1)を示す。枠組壁工法やプレハブ工法においては、基本的には、まず基礎が構築され、続いて一階床が敷設されてから一階外壁が立設され、続いて二階床が敷設されてから二階外壁が立設されて、最後に屋根が設置される手順で施工が行われる。そのため、屋根が設置されるまでは、少なくとも降雨時に雨養生が必要となる。
なお、例えば二階外壁の施工中に屋根の施工が始められる場合などもあり、上記の基本的な施工手順は、現場の状況などに応じて適宜変更可能である。
また、本実施形態における建物躯体1は、プレハブ工法のうち木質パネル接着工法によって建築されるが、これに限られるものではなく、その他のプレハブ工法や木造軸組工法等の他の工法によって建築されてもよい。
より具体的に説明すると、建物躯体1は二階建ての戸建て住宅とされており、屋根の棟が形成されているものの、二階の一部において外壁の施工が中断されている(図2において一点鎖線で示す。)。その上方には屋根が設けられておらず、屋外に開放された状態となっている。すなわち、例えばバルコニーの施工途中であり、バルコニー床や手摺壁等が設置されていない。さらには、屋根材が葺設されていない状況である場合もある。
そのため、建物躯体1には、上方から養生シートSが被せられる。養生シートSは、少なくとも施工中断箇所Pが完全に覆われるように被せられ、本実施形態においては、建物躯体1の上端部全体が養生シートSによって覆われている。
また、養生シートSは、施工中断箇所Pの上方だけでなく、側方も覆った状態となるように建物躯体1に被せられており、側方からの雨も防ぐことができるようになっている。
なお、図1~図3(図6)に記載された方向は、施工中断箇所Pを基点とした場合の方向であって、「棟」は、施工中断箇所Pから見て建物躯体1の棟がある方向を指し、「軒」は、施工中断箇所Pから見て建物躯体1の軒先側となる方向を指し、「左」及び「右」は、軒先側から建物躯体1を見た場合の左右の方向を指している。
なお、養生シートSの固定方法は、ステープルによって建物躯体1に固定したり、板材をシート押さえとし、当該板材ごと建物躯体1に釘打ちしたりする方法が採られている。その他にも養生シートSの周縁部に沿って設けられた複数のハトメを利用して固定してもよい(例えば紐で結びつける、固定材を通すなど)。
より詳細に説明すると、シート支持体10は、一方側(図3中では左側)に位置する第一セット10aと、他方側(図3中では右側)に位置する第二セット10bと、が木材15によって連結された複合体(連結体)として構成されている。また、第一セット10aと第二セット10bは、同様の要素によって構成されて対称となるように配置されている。
そして、第一セット10a及び第二セット10bを構成する要素として、脚金物11、第一上端金物12、木材13,14がそれぞれ用いられている。
筒状部111における筒の内寸は、当該筒状部111に差し込まれる木材13を想定した寸法となっており、本実施形態においては、32.4mm×43.1mmに設定されている。
なお、脚金物11と、この脚金物11の筒状部111に差し込まれた木材13と、によって、シート支持体10(第一セット10a、第二セット10b)の、施工中断箇所P上に固定される支持部を構成している。
筒状部120における筒の内寸は、当該筒状部120に差し込まれる木材13を想定した寸法となっており、本実施形態においては、32.4mm×43.1mmに設定されている。
なお、この筒状部120は、脚金物11及び木材13によって構成されるシート支持体10の支持部における上端部に取り付けられる取付部として機能する。
底面板部122は、縦・横共に90mm程度に設定され、厚みは数mm程度(例えば5mm前後)に設定されている。
立ち上がり板部123は、幅寸法が、底面板部122の一辺と等しい寸法(90mm)に設定され、立ち上がり寸法が、底面板部122の厚み寸法を含めて42mm程度に設定されている。
また、底面板部122には複数のビス孔122aが形成され、立ち上がり板部123にも複数のビス孔123aが形成されている。
これら第一固定領域121a及び第二固定領域121bは、例えば底面板部122に線が引かれるなどして明確に境界が分かれているわけではないが、複数のビス孔122aが、底面板部122における立ち上がり板部123側と、その反対側とに分かれて配置形成されている。そして、底面板部122における立ち上がり板部123側に形成された複数のビス孔122aに対しては、シート受け材である木材14を固定するビスBを通すことができるようになっている。すなわち、底面板部122において、立ち上がり板部123側に形成された複数のビス孔122aのある側が第一固定領域121aとされている。また、第一固定領域121aに木材14が固定された状態において、底面板部122のうち、木材14が固定されていない部分が、複数のビス孔122aがある、木材14とは異なる部材を固定することが可能な第二固定領域121bとして機能することになる。
このアングル調整部124は、筒状部120(すなわち、取付部)に対し、ボルト124aを軸にして回転自在となっており、これにより、木材固定部121(すなわち、被固定部)及び木材14のアングル(角度)を調整できるようになっている。
なお、アングル調整部124は、ボルト124aに対するナット124bの締め付け度合に応じて、回転の固さ(緩さ)を調節できるようになっている。ただし、ボルト124aは半ネジ(ボルト124aの軸部全体にネジが形成されていない状態を指し、ここでは軸部の先端にのみネジが形成されたボルトが使用されている。)とされているため、アングル調整部124の回転を不能にすることはできないようになっている。
また、木材13は、上述のように、第一セット10a及び第二セット10bにおける支柱用の木材13であり、脚金物11と共に、シート支持体10(第一セット10a、第二セット10b)の、施工中断箇所P上に固定される支持部を構成している。
木材14は、上述のように、第一セット10a及び第二セット10bにおいて養生シートSを受けるシート受け用の木材14である。
本実施形態における木材13,14は、建物躯体1における各部屋の天井を形成するための野縁として用いられる建築材料であり、いずれも、厚み30mm、幅40mmに形成されている。
すなわち、木材13,14の長さについては、施工現場の状況次第で適宜変更されるものであり、現場で最適な長さに切断加工される。
なお、本実施形態における木材15は、第一セット10aと第二セット10bとを連結するための連結用の木材であるため、必ずしも「板材」に限られるものではなく、第一上端金物12に確実に固定し得る寸法に設定されていれば「角材」を一本又は二本以上利用してもよい。
また、木材15の長さ(すなわち、第一セット10aと第二セット10bとの間隔)についても、木材13,14と同様に、施工現場の状況次第で適宜変更されるものであり、現場で最適な長さに切断加工される。
保護キャップ16は、例えば樹脂によって成型された樹脂成型品であり、図8に示すように、筒状の装着部160と、半球形状の保護部165と、を有する。
さらに、装着部160の外周面162には、ビスBを通すための貫通孔164が対向して形成されている。なお、貫通孔164のうち筒部163側が、ビスBの軸部が通される孔とされ、外周面162側が、ビスBの軸部が通される孔よりも直径が長い座堀部164aとされており、この座堀部164aにはビスBの頭部が接するようになっている。
なお、対向する貫通孔164それぞれに通されたビスB同士が接触し合わないように、いずれか一方の貫通孔164を筒部163の奥側にずらして配置してもよい。
まず、脚金物11における筒状部111の筒内に、支柱用の木材13における下端部を差し込み、筒状部111に形成されたビス孔111aからビスBを設けて固定する。
続いて、支柱用の木材13における上端部に、第一上端金物12を装着する。つまり、第一上端金物12における筒状部120の筒内に、木材13の上端部を差し込む。そして、筒状部120に形成されたビス孔120aからビスBを設けて固定する。
なお、第一セット10a(又は第二セット10b)を単独で使用する際において、図7(a)に示すように、木材14の厚み寸法又は幅寸法よりも長い寸法に設定されたビスBが使用される場合には、図7(b)に示すように、当て木14aが用いられる。すなわち、木材14に対して当て木14aを添わせるように配置し、これら木材14及び当て木14を、寸法の長いビスBによって一緒に固定する。これにより、ビスBの先端を隠すことができるので安全性に優れる。
そして、組み立てられたシート支持体10における各ベース部110,110を、ビスBによって、建物躯体1における施工中断箇所Pの平面(上向き平面)に固定する。
養生シートSを受ける木材14(木材固定部121)は、第一上端金物12におけるアングル調整部124が動作することによって養生シートSの流れ方向に追従するようになっている。
また、第一セット10a及び第二セット10bにおける各々の脚金物11が施工中断箇所Pにおける平面に固定されるので、第一セット10aと第二セット10bとを連結させたシート支持体10を自立させることができる。これにより、足場を組んで養生シートSを張る必要がなくなる。
さらに、第一セット10a及び第二セット10bにおける各々の第一上端金物12が、養生シートSの流れ方向に追従してシート受け用の木材14の角度調整可能に構成されているので、雨水を受けても撓みにくく、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことができる。
これによって、足場からの距離を考慮した面積の広い養生シートSを用意したり、手作業で養生シートSを持ち上げて雨水を流したり、養生シートSに排水手段を設けたりする必要がなくなるので、手間やコストをかけずに、雨水をスムーズに排水することができる。また、第一セット10aと第二セット10bとを連結させたシート支持体10によれば広い範囲で養生シートSを支持することができる。
このようなシート支持体10a,10bにおいても、脚金物11が施工中断箇所Pにおける平面に固定されるので、シート支持体10a,10bを自立させることができる。これにより、足場を組んで養生シートSを張る必要がなくなる。
また、第一上端金物12が、養生シートSの流れ方向に追従してシート受け用の木材14の角度調整可能に構成されているので、雨水を受けても撓みにくく、雨水を、高い方から低い方へとスムーズに、かつ定常的に流すことができる。
これによって、足場からの距離を考慮した面積の広い養生シートSを用意したり、手作業で養生シートSを持ち上げて雨水を流したり、養生シートSに排水手段を設けたりする必要がなくなるので、手間やコストをかけずに、雨水をスムーズに排水することができる。
なお、第一セット10a及び第二セット10bを、それぞれ単独でシート支持体として使用する場合は、支柱用の木材13及びシート受け用の木材14として建物躯体1の施工現場で調達した木材を用いることができる。この場合も同様の効果を奏する。
ただし、これに限られるものではなく、横向きの平面にベース部110を固定することも可能となっている。この場合、支柱用の木材13は横方向に延び、シート受け用の木材14は、第一上端金物12におけるアングル調整部124によって適宜角度調整される。これにより、ベース部110を上向き平面に固定できない場合にも、養生シートSを支持することができる。
また、本実施形態における木材13,14,15は、現場で調達することが可能な建築材料(若しくは、建築材料から切り出された端材)としての木材であるとしたが、これに限られるものではなく、専用の木材を用いてもよいし、木材以外の素材からなる建築材料でもよい。ただし、いずれを用いるにしても、現場で切断するなどして寸法調整や形状調整が可能な材料とされているものとする。
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1実施形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
第二上端金物20は、図9,図10に示すように、支柱用の木材13の上端部に設けられて養生シートSを受けるための金物であり、筒状部200と、円盤部201と、を有する。
筒状部200における筒の内寸は、当該筒状部200に差し込まれる木材13を想定した寸法となっており、本実施形態においては、32.4mm×43.1mmに設定されている。
なお、第二上端金物20を用いて養生シートSに頂点Tを形成する場合は、支柱用の木材13は、比較的長さの長いものが用いられる。より具体的に説明すると、支柱用の木材13は、建物躯体1における各階の壁の高さ寸法(若しくは、フラットルーフにおけるパラペットの高さ寸法)よりも長い寸法のものが用いられる。
また、上端部に第二上端金物20が設けられた支柱用の木材13の下端部は、ビスBによって建物躯体1における施工中断箇所Pの平面(上向き平面)に固定された脚金物11の筒状部111に差し込まれている。
したがって、施工中断箇所Pがどのような施工状況であり、どのような養生が必要かを現場の責任者が適宜判断し、上述した第1実施形態における第一上端金物12を用いるか、本実施形態における第二上端金物20を用いるか選択する。これにより、施工現場の状況に適合する養生を行うことが可能となる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
また、以下の各変形例において、上記の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
本変形例における施工中断箇所Pは、建物躯体1を支持する基礎30とされており、養生シートSが、基礎30の全体を覆うようにして設けられている。
木材13は、下端部が地面に埋設された状態、換言すれば杭打ちされた状態となっている。ただし、これに限られるものではなく、地面に脚金物11が埋設され、埋設された脚金物11における筒状部111に対し、木材13の下端部が差し込まれるようにしてもよい。脚金物11は、ベース部110を有するので、木材13の立設状態が安定的なものとなる。
また、木材13は、地面に立設された状態において、その上端部が、基礎30におけるアンカーボルト32a(図12参照。)の上端部よりも高い位置に配置されている。これにより、養生シートSに頂点Tを形成できるようになっている。その上、基礎30が完全に硬化する前の状態であった場合には、アンカーボルト32aのずれや倒れ等を防ぐことができる。
さらに、第二上端金物20は、角の無い円盤部を有しているので、養生シートSを保護しつつ、全方位的に養生シートSの流れ方向を形成することが可能となる。
基礎30によって囲まれた箇所が土の場合は、このように木材13を立設することが可能であるが、スラブ状にコンクリートが打設された後に木材13を立設することは不可とされている。
木材13の、地面に対する埋設状態や、アンカーボルト32aに対する高さ位置については図11(a)と同様とされている。
二か所の木材13同士の間は間隔が空けられているため、上から養生シートSが設けられた場合に、二つの頂点Tを形成することができるようになっている。また、二つの頂点T同士の間は、稜線Rが形成されることになる。稜線Rは、養生シートS自体の重みで若干の撓みが生じる場合がある。
図11(b)に示す例によれば、図11(a)に示す例と同様の効果を有し、さらに、養生シートSの頂点Tの範囲を長くすることができるので、部分的に、頂点Tから基礎30の外郭までの間隔を短くすることができる。そのため、頂点Tから基礎30の外郭にかけての養生シートSの角度を急勾配にすることができるので、養生シートSとアンカーボルト32aとが干渉しにくくなる。
そして、二か所の第一上端金物12同士の間に、一本のシート受け用の木材14が架け渡されて設けられている。この場合、二か所の第一上端金物12の向きは、双方の立ち上がり板部123が向き合う方向ではなく、双方の底面板部122及び立ち上がり板部123における面方向が同一直線に沿って揃う向きであることが望ましい。若しくは、二か所の第一上端金物12同士の間に、一本の連結用の木材15が架け渡されて設けられてもよい。
木材13の、地面に対する埋設状態や、アンカーボルト32aに対する高さ位置については図11(a),(b)と同様とされている。
二か所の木材13同士の間は間隔が空けられているが、これらの木材13同士の間に木材14(15)が架け渡されているため、撓みの少ない稜線状の頂点Tを形成することができる。
図11(c)に示す例によれば、図11(a),(b)に示す例と同様の効果を有し、さらに、木材14(15)が架け渡されていることにより、頂点Tにおける撓みを極力抑えることができるので、養生シートSの支持状態をより安定的なものとすることができる。その結果、雨水を流しやすくすることができる。
本変形例においては、図12に示すように、基礎30の立ち上がり部32を構築する際に用いられる型枠33の上端部に、脚金物11を設置するためのアタッチメント34が設けられている。
また、型枠33間にコンクリートが打設される前に、立ち上がり部32用の内部鉄筋にアンカーボルト32aが接合されており、アンカーボルト32aは、その上端部が、立ち上がり部32の上面よりも上方に突出している。
また、アタッチメント34は、上方に突出するアンカーボルト32aを避けた位置に配置されている。
アタッチメント34の上面に脚金物11が一体的に固定され、更に木材13、第一上端金物12又は第二上端金物20が設けられた状態において、アンカーボルト32aよりも高さが高くなるように設定されている。
なお、アタッチメント34は、基礎30の外郭のうち少なくとも四隅に設けられることが望ましい。
なお、木材13が複数とされ、これら木材13の上端部に第一上端金物12がそれぞれ設けられ、これら第一上端金物12間に、シート受け用の木材14が架け渡されて設けられてもよい。
また、基礎30によって囲まれた地面に、上端部に第一上端金物12や第二上端金物20が設けられる木材13が適宜立設されてもよい(図11参照。)。
なお、アタッチメント34は、図示はしないが、脱型後(型枠33を取り外した後)の立ち上がり部32に上端部を保持する保持部を備えていてもよい。これにより、脱型後にも養生シートSを設けることが可能となっている。
S 養生シート
S1 被覆部位
B ビス
T 頂点
1 建物躯体
10 シート支持体
10a 第一セット(シート支持体)
10b 第二セット(シート支持体)
11 脚金物
110 ベース部
111 筒状部
12 第一上端金物
120 筒状部
121 木材固定部
122 底面板部
123 立ち上がり板部
124 アングル調整部
13 木材(支柱材)
14 木材(シート受け材)
15 木材(連結材)
16 保護キャップ
20 第二上端金物
200 筒状部
201 円盤部
Claims (6)
- シート支持体によって、施工中の建物躯体における施工中断箇所の上方に被せられた雨養生用の養生シートを下方から支持することで雨養生を行う建物躯体の養生方法であって、
前記シート支持体は、
前記施工中断箇所における平面に固定される脚金物と、
前記脚金物に取り付けられる支柱材と、
前記支柱材の上端部に取り付けられる上端金物と、
前記上端金物に取り付けられるとともに前記養生シートを受けるシート受け材と、を備えており、
前記上端金物は、前記養生シートの流れ方向に追従して前記シート受け材の角度を調整可能に構成されており、
前記支柱材及び前記シート受け材として前記建物躯体の施工現場で調達した木材を用いて前記シート支持体を組み立てて、当該シート支持体を前記施工中断箇所に設置することを特徴とする建物躯体の養生方法。 - シート支持体によって、施工中の建物躯体における施工中断箇所の上方に被せられた雨養生用の養生シートを下方から支持することで雨養生を行う建物躯体の養生方法であって、
前記シート支持体は、
互いに間隔を空けて配置されるとともに同様の構成を備えた第一セット及び第二セットと、これら第一セットと第二セットとを連結する連結材と、からなり、
前記第一セット及び前記第二セットのそれぞれは、
前記施工中断箇所における平面に固定される脚金物と、
前記脚金物に取り付けられる支柱材と、
前記支柱材の上端部に取り付けられる上端金物と、
前記上端金物に取り付けられるとともに前記養生シートを受けるシート受け材と、を備えており、
前記第一セット及び前記第二セットにおける各々の前記上端金物には前記シート受け材と前記連結材とが取り付けられ、
当該各々の上端金物は、前記養生シートの流れ方向に追従して前記シート受け材の角度を調整可能に構成されており、
前記支柱材、前記シート受け材及び前記連結材として前記建物躯体の施工現場で調達した木材を用いて前記シート支持体を組み立てて、当該シート支持体を前記施工中断箇所に設置することを特徴とする建物躯体の養生方法。 - 請求項1又は2に記載の建物躯体の養生方法において、
前記上端金物は、
前記支柱材の上端部に取り付けられる取付部と、
前記シート受け材が固定される被固定部と、
前記取付部と前記被固定部との間に設けられ、前記取付部に対して前記被固定部及び前記シート受け材のアングルを調整するアングル調整部と、を有することを特徴とする建物躯体の養生方法。 - 請求項3に記載の建物躯体の養生方法において、
前記被固定部は、
前記シート受け材が固定される第一固定領域と、
前記第一固定領域に隣り合い、前記シート受け材とは異なる部材が固定される第二固定領域と、を備えることを特徴とする建物躯体の養生方法。 - 施工中の建物躯体における施工中断箇所の上方に被せられた雨養生用の養生シートを下方から支持するシート支持体であって、
前記施工中断箇所における平面に固定される脚金物と、
前記脚金物に取り付けられる支柱材と、
前記支柱材の上端部に取り付けられる上端金物と、
前記上端金物に取り付けられるとともに前記養生シートを受ける長尺なシート受け材と、を備えており、
前記上端金物は、
前記支柱材の上端部に取り付けられる取付部と、
前記シート受け材が固定される被固定部と、
前記取付部と前記被固定部との間に設けられ、前記取付部に対して前記被固定部及び前記シート受け材のアングルを調整するアングル調整部と、を有していて、前記養生シートの流れ方向に追従して前記シート受け材の角度を調整可能に構成されており、
前記被固定部は、
前記シート受け材が載せられる底面板部と、
前記底面板部のうち前記シート受け材の長さ方向と沿う一辺から上方に立ち上がる立ち上がり板部と、を備えて断面L型に形成されており、
前記底面板部のうち、前記立ち上がり板部側に位置する領域が、前記シート受け材が載せられて固定される第一固定領域とされ、
前記底面板部のうち、前記第一固定領域に隣り合い、かつ前記立ち上がり板部とは反対側に位置する領域が、前記シート受け材とは異なる部材である当て木が載せられて固定される第二固定領域とされていることを特徴とするシート支持体。 - 施工中の建物躯体における施工中断箇所の上方に被せられた雨養生用の養生シートを下方から支持するシート支持体であって、
互いに間隔を空けて配置されるとともに同様の構成を備えた第一セット及び第二セットと、これら第一セットと第二セットとを連結する連結材と、からなり、
前記第一セット及び前記第二セットのそれぞれは、
前記施工中断箇所における平面に固定される脚金物と、
前記脚金物に取り付けられる支柱材と、
前記支柱材の上端部に取り付けられる上端金物と、
前記上端金物に取り付けられるとともに前記養生シートを受ける長尺なシート受け材と、を備えており、
前記上端金物は、
前記支柱材の上端部に取り付けられる取付部と、
前記シート受け材が固定される被固定部と、
前記取付部と前記被固定部との間に設けられ、前記取付部に対して前記被固定部及び前記シート受け材のアングルを調整するアングル調整部と、を有していて、前記養生シートの流れ方向に追従して前記シート受け材の角度を調整可能に構成されており、
前記被固定部は、
前記シート受け材が載せられる底面板部と、
前記底面板部のうち前記シート受け材の長さ方向と沿う一辺から上方に立ち上がる立ち上がり板部と、を備えて断面L型に形成されており、
前記底面板部のうち、前記立ち上がり板部側に位置する領域が、前記シート受け材が載せられて固定される第一固定領域とされ、
前記底面板部のうち、前記第一固定領域に隣り合い、かつ前記立ち上がり板部とは反対側に位置する領域が、前記シート受け材とは異なる部材が載せられて固定される第二固定領域とされ、
前記第一セット及び前記第二セットにおける各々の前記上端金物には前記シート受け材と、前記異なる部材である前記連結材とが取り付けられ、
当該各々の上端金物は、前記養生シートの流れ方向に追従して前記シート受け材の角度を調整可能に構成されていることを特徴とするシート支持体。
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