以下、本開示を実施するための一形態について、図を参照しつつ詳しく説明する。図1に示すように、本実施形態のプラズマ発生装置10は、プラズマヘッド11、ロボット13、制御ボックス15を備えている。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端部に着脱可能に取り付けられている。ロボット13は、例えば、シリアルリンク型ロボット(多関節型ロボットと呼ぶこともできる)である。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に取り付けられた状態でプラズマガスを照射可能となっている。プラズマヘッド11は、ロボット13の駆動に応じて移動させられ、向きを変更させられる等し、3次元的に移動可能となっている。
制御ボックス15は、コンピュータを主体として構成され、プラズマ発生装置10を統括的に制御する。制御ボックス15は、プラズマヘッド11に電力を供給する電源装置15A及びプラズマヘッド11に処理ガスを供給するガス供給装置15Bを有している。電源装置15Aは、電力ケーブル16や制御ケーブル18を介してプラズマヘッド11と接続されている。電源装置15Aは、制御ボックス15の制御に基づいて、プラズマヘッド11の電極33(図3参照)に供給する電力を生成し、電極33に印加する電圧を変更する制御や後述するヒータ43(図4参照)の温度の制御を実行する。
また、ガス供給装置15Bは、複数(本実施形態では4本)のガス供給チューブ19を介してプラズマヘッド11と接続されている。ガス供給装置15Bは、制御ボックス15の制御に基づいて、後述する反応ガス、キャリアガス、ヒートガスをプラズマヘッド11へ供給する。制御ボックス15は、ガス供給装置15Bを制御し、ガス供給装置15Bからプラズマヘッド11へ供給するガスの量などを制御する。そして、プラズマ発生装置10は、制御ボックス15の制御に基づいてロボット13を動作させ、テーブル17の上に載置されたワークWに対してプラズマヘッド11からプラズマガスを照射しプラズマ処理を実行する。ワークWは、プラズマ処理が施される被処理物である。
また、制御ボックス15は、タッチパネルや各種スイッチを有する操作部15Cを備えている。制御ボックス15は、各種の設定画面や動作状態(例えば、ガス供給状態など)等を操作部15Cのタッチパネルに表示する。また、制御ボックス15は、操作部15Cに対する操作入力により各種の情報を受け付ける。制御ボックス15は、例えば、後述するプラズマヘッド11に取り付けたノズル35を交換したことを示す操作を受け付け可能となっている。
プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に設けられた取付板13Aに対して着脱可能に設けられている。これにより、プラズマヘッド11は、種類の異なるプラズマヘッド11に交換可能となっている。図2に示すように、プラズマヘッド11は、プラズマ生成部21、ヒートガス供給装置23、ノズル35等を備えている。プラズマ生成部21は、制御ボックス15のガス供給装置15B(図1参照)から供給された処理ガスをプラズマ化して、プラズマガスを生成する。また、プラズマヘッド11は、内部に設けられたヒータ43(図4参照)によってガス供給装置15Bから供給された処理ガスを加熱してヒートガスを生成する。ヒートガスの温度は、例えば、600℃から800℃である。本実施形態のプラズマヘッド11は、プラズマ生成部21において生成したプラズマガスを、加熱したヒートガスとともに、図1に示すワークWへ噴出する。プラズマヘッド11には、図2に示す矢印の方向に上流側から下流側へと処理ガスが供給される。尚、プラズマヘッド11は、ヒートガスを加熱するヒータ43を備えない構成でも良い。即ち、本開示のプラズマ発生装置は、ヒートガスを用いない構成でも良い。
図2に示すように、プラズマヘッド11の接続面11Aには、電力ケーブル16を取り付ける取付部11Bが略中央部に設けられている。また、接続面11Aの一端には、制御ケーブル18を取り付ける取付部11Cが設けられている。また、取付部11Bを間に挟んで取付部11Cとは反対側には、ガス供給チューブ19を取り付ける取付部11Dが設けられている。取付部11Dは、例えば、ガス供給チューブ19の先端に設けられた取付部材25を接続される。取付部11D及び取付部材25は、例えば、所謂ワンタッチ継手であり、ガス供給チューブ19をプラズマヘッド11に対して着脱可能に装着する。
図3及び図4に示すように、プラズマ生成部21は、ヘッド本体31、一対の電極33、ノズル35等を含む。尚、図3は、一対の電極33及び後述する複数の本体側プラズマ通路71の位置に合わせて切断した断面図であり、図4は、図3のA-A線における断面図である。ヘッド本体31は、耐熱性の高いセラミックにより成形されており、そのヘッド本体31の内部には、プラズマガスを発生させる反応室37が形成されている。一対の電極33の各々は、例えば、円柱形状をなしており、その先端部を反応室37に突出させた状態で固定されている。以下の説明では、一対の電極33を、単に電極33と称する場合がある。また、一対の電極33が並ぶ方向をX方向、円柱形状の電極33の軸方向をZ方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向と称して説明する。
ヒートガス供給装置23は、ガス管41、ヒータ43、連結部45等を備えている。ガス管41及びヒータ43は、ヘッド本体31の外周面に取り付けられ、図4に示すカバー47によって覆われている。ガス管41は、ガス供給チューブ19(図1参照)を介して、制御ボックス15のガス供給装置15Bに接続されている。ガス管41には、ガス供給装置15Bから加熱用ガス(例えば、空気や窒素)が供給される。ヒータ43は、ガス管41の途中に取り付けられている。ヒータ43は、ガス管41を流れる加熱用ガスを温めてヒートガスを生成する。また、ヒータ43には、ヒータ43の加熱温度を検出するための熱電対92(図5参照)が設けられている。
図4に示すように、連結部45は、ガス管41をノズル35に連結するものである。ノズル35がヘッド本体31に取り付けられた状態では、連結部45は、一端部をガス管41に接続され、他端部をノズル35に形成されたヒートガス通路51に接続される。ヒートガス通路51には、ガス管41を介してヒートガスが供給される。
図3及び図4に示すように、電極33の一部の外周部は、セラミックス等の絶縁体で製造された電極カバー53によって覆われている。電極カバー53は、略中空筒状をなし、長手方向の両端部に開口が形成されている。電極カバー53の内周面と電極33の外周面との間の隙間は、ガス通路55として機能する。電極カバー53の下流側の開口は、反応室37に接続されている。電極33の下端は、電極カバー53の下流側の開口から突出している。
また、ヘッド本体31の内部には、反応ガス流路61と、一対のキャリアガス流路63とが形成されている。反応ガス流路61は、ヘッド本体31の略中央部に設けられ、ガス供給チューブ19(図1参照)を介してガス供給装置15Bと接続され、ガス供給装置15Bから供給される反応ガスを反応室37へ流入させる。また、一対のキャリアガス流路63は、X方向において反応ガス流路61を間に挟んだ位置に配置されている。一対のキャリアガス流路63の各々は、一対のガス供給チューブ19(図1参照)の各々を介してガス供給装置15Bと接続され、ガス供給装置15Bからキャリアガスが供給される。キャリアガス流路63は、ガス通路55を介してキャリアガスを反応室37へ流入させる。図1及び図2に示す4本のガス供給チューブ19は、例えば、一対のキャリアガス流路63のそれぞれにキャリアガスを供給する2本のガス供給チューブ19と、反応ガスを供給する1本のガス供給チューブ19と、ヒートガス(加熱する前の加熱用ガス)を供給するガス供給チューブ19である。
反応ガス(種ガス)としては、酸素(O2)を採用できる。ガス供給装置15Bは、例えば、反応ガス流路61を介して、酸素と窒素(N2)との混合気体(例えば、乾燥空気(Air))を、反応室37の電極33の間に流入させる。以下、この混合気体を、便宜的に反応ガスと呼び、酸素を種ガスと呼ぶ場合がある。キャリアガスとしては、窒素を採用できる。ガス供給装置15Bは、ガス通路55の各々から、一対の電極33の各々を取り巻くようにキャリアガスを流入させる。
一対の電極33には、制御ボックス15の電源装置15Aから交流の電圧が印加される。電圧を印加することによって、例えば、図3に示すように、反応室37内において、一対の電極33の下端の間に、擬似アークAが発生する。擬似アークAとは、例えば、通常のアーク放電のように大電流が流れないように、電源装置15Aで電流を制限しながら放電させる方式のものである。この擬似アークAを反応ガスが通過する際に、反応ガスは、プラズマ化される。従って、一対の電極33は、擬似アークAの放電を発生させ、反応ガスをプラズマ化し、プラズマガスを発生させる。尚、プラズマヘッド11が備える電極33の数は、2個に限らず、他の複数個でも良い。
また、ヘッド本体31における反応室37の下流側の部分には、複数(本実施例においては、6本)の本体側プラズマ通路71が形成されている。複数の本体側プラズマ通路71の上流側の端部は、反応室37に開口しており、複数の本体側プラズマ通路71の下流側の端部は、ヘッド本体31の下端面に開口している。
ノズル35は、例えば、耐熱性の高いセラミックにより成形されている。ノズル35は、ボルト80により、ヘッド本体31の下面に固定されている。このため、ノズル35は、ヘッド本体31に対して着脱可能とされており、種類の異なるノズルに交換可能となっている。ユーザは、例えば、放電やプラズマによってノズル35が劣化した場合に、ボルト80を取り外してノズル35を交換する。また、ユーザは、例えば、形状や構造が異なるノズル35、例えば、Z方向の長さが異なるノズル35、後述するノズル側プラズマ通路82の数が異なるノズル35、溝81がないノズル35などプラズマの照射態様を変更したい場合、ボルト80を取り外してノズル35を交換する。そして、ユーザは、ノズル35の交換が完了すると、交換した旨の操作を操作部15Cで実行する。
ノズル35には、上端面に開口する一対の溝81が形成されている。一対の溝81の各々は、例えば、ヘッド本体31の下端面に開口する3本の本体側プラズマ通路71が連通している。また、ノズル35には、Z方向に貫通する複数(本実施例においては、10本)のノズル側プラズマ通路82が形成されている。ノズル側プラズマ通路82の上端には、溝81(例えば、5本ずつ)が接続されている。尚、図3及び図4に示すノズル35の形状・構造は、一例である。
また、ノズル35には、ノズル側プラズマ通路82を取り囲むように、ヒートガス用通路95が形成されている。ヒートガス用通路95の上部は、ヒートガス通路51を介して、ヒートガス供給装置23の連結部45に連結されている。ヒートガス用通路95の下端は、ノズル35の下面において開口している。
このような構造により、反応室37で発生したプラズマガスは、キャリアガスとともに、本体側プラズマ通路71を経由して溝81の内部に噴出される。そして、プラズマガスは、溝81の内部において拡散し、複数のノズル側プラズマ通路82の各々を経由して、ノズル側プラズマ通路82の下端の開口82Aから噴出される。また、ガス管41からヒートガス通路51へ供給されたヒートガスは、ヒートガス用通路95を流れる。このヒートガスは、プラズマガスを保護するシールドガスとして機能するものである。ヒートガスは、ヒートガス用通路95を流れ、ヒートガス用通路95の下端の開口95Aからプラズマガスの噴出方向に沿って噴出される。この際、ヒートガスは、ノズル側プラズマ通路82の開口82Aから噴出されるプラズマガスの周囲を取り巻くように噴出される。このように、加熱したヒートガスをプラズマガスの周囲に噴出することで、プラズマガスの効能(濡れ性など)を高めることができる。
次に、制御ボックス15の詳細な構成について説明する。図5に示すように、制御ボックス15は、上記した電源装置15A、ガス供給装置15B、操作部15Cの他に、コントローラ100、駆動回路105、制御回路106、通信部107、検出装置110、記憶装置116などを備えている。コントローラ100は、不図示のCPU,ROM,RAM等を備えるコンピュータを主体として構成されている。コントローラ100は、記憶装置116に記憶された制御用のプログラムPGを読み出してCPUで実行し、電源装置15A、駆動回路105、ガス供給装置15Bなどを制御することにより、プラズマヘッド11、ヒートガス供給装置23などを制御する。尚、プログラムPGをCPUで実行するコントローラ100のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「コントローラ100が、電源装置15Aを制御する」という記載は、「コントローラ100が、プログラムPGをCPUで実行することで、電源装置15Aを制御する」ということを意味する場合がある。
また、コントローラ100は、制御回路106を介して、操作部15Cに接続されている。コントローラ100は、制御回路106を介して操作部15Cのタッチパネルの表示を変更する。また、コントローラ100は、制御回路106を介して操作部15Cに対する操作入力を受け付ける。コントローラ100は、操作部15Cのタッチパネルや各種スイッチに対する操作を行なった信号を操作部15Cから入力し、操作入力の内容を判断する。
また、記憶装置116は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM等を組み合わせて構成されている。記憶装置116には、上記したプログラムPGの他に、基準電力値118が記憶されている。コントローラ100は、プラズマ処理において、プラズマによってワークWに対する処理を実行する際に、この基準電力値118に基づいて電力異常を判断する。
また、通信部107は、不図示のネットワークに接続する通信機器と通信を行う。通信の形態は特に限定されず、例えば、LAN、シリアル通信などである。尚、コントローラ100は、基準電力値118を制御ボックス15内の記憶装置116に記憶せずに、通信部107を介してネットワーク上のサーバ装置等へ記憶しても良い。そして、コントローラ100は、必要に応じてサーバ装置から基準電力値118をダウンロードし、電力異常の判断に使用しても良い。
検出装置110は、電源装置15Aとプラズマヘッド11(電極33)を接続する電力ケーブル16の電力異常を検出する装置である。図6は、検出装置110の構成を示している。図6に示すように、本実施形態の電力ケーブル16は、例えば、第1ケーブル16A、第2ケーブル16B、アースケーブル16Cを有している。第1ケーブル16A及び第2ケーブル16Bの先端は、プラズマヘッド11が備える一対の電極33(図3参照)の各々に電気的に接続されている。第1ケーブル16A及び第2ケーブル16Bは、電源装置15Aから電極33へ電力を供給する。電力ケーブル16は、図1に示すように、ロボット13に取り付けられている。このため、ロボット13の動きに応じて、電力ケーブル16には、屈曲、回転、引っ張りなどの負荷がかかり、損傷を受ける虞がある。そこで、本実施形態のプラズマ発生装置10は、検出装置110により、電力ケーブル16が損傷するなどして生じる異常電流を検出する。
検出装置110は、カレントトランスCTと、処理回路121を有する。電力ケーブル16の第1ケーブル16A、第2ケーブル16B及びアースケーブル16Cの各々は、例えば、電線に絶縁体が被覆されているものである。第1ケーブル16A、第2ケーブル16B及びアースケーブル16Cは、メッシュ状の導電性のシールド部材145でシールドされている。シールド部材145はアースケーブル16Cを介して接地されている。
また、電源装置15Aは、AC電源141を有する。AC電源141は、商用電源(不図示)から給電される電力に基づいて、所定の電圧値や電流値の交流電力を生成する。例えば、AC電源141は、商用電源から電極33へ給電する高周波の交流電力を生成し、生成した交流電力を電極33へ給電する。AC電源141は、第1ケーブル16A及び第2ケーブル16Bを介して、一対の電極33の各々へ生成した交流電力を供給する。
検出装置110のカレントトランスCTは、アースケーブル16Cに取り付けられている。カレントトランスCTは、例えば、アースケーブル16Cをクランプするコアの二次側に巻かれた巻線から、アースケーブル16Cに流れる漏電電流の電流値の大きさに応じた交流電流を出力する。カレントトランスCTの2次側の出力端子には、処理回路121が接続されている。処理回路121は、例えば、整流回路、平滑化回路、フィルタ回路等を備え、カレントトランスCTから出力された交流電流の大きさに応じた、即ち、漏電電流の大きさに応じたセンサ値Svをコントローラ100へ出力する。センサ値Svは、本開示の検出電力値の一例である。センサ値Svは、例えば、漏電電流の電流値の大きさに応じて変動する数値であり、数千の値をとる(VやIなどの単位は設定されていない)。
コントローラ100は、処理回路121から入力したセンサ値Svと、記憶装置116に記憶された基準電力値118とを比較し、電力異常を判断する。ここで、第1ケーブル16Aとアースケーブル16Cの間、又は、第2ケーブル16Bとアースケーブル16Cの間で、短絡や放電が発生した場合、AC電源141からアースへ漏電電流が流れる。このため、検出装置110のセンサ値Svは、変動する。コントローラ100は、変動するセンサ値Svと基準電力値118を比較し電力異常を判断する。
また、第1ケーブル16Aと、第2ケーブル16Bとの間で短絡や放電が発生した場合、電磁誘導等により、シールド部材145に漏電電流が流れる。この場合にも、コントローラ100は、変動するセンサ値Svと基準電力値118とを比較し電力異常を判断する。このように、検出装置110は、第1ケーブル16A又は第2ケーブル16Bの地絡だけでなく、第1ケーブル16A及び第2ケーブル16B間の短絡や放電を検出することができる。また、本願における電力異常とは、ケーブル間の短絡、放電、ケーブルの断線などに限らず、センサ値Svの変動を招く様々な異常を含む概念である。例えば、電力異常とは、アースケーブル16Cの接地ミス(接続ミス)、電源装置15Aの故障、電極33の破損などをでも良い。即ち、コントローラ100は、上記した様々な電力異常の発生を、センサ値Svと基準電力値118に基づいて判断しても良い。
また、上記した短絡や放電が発生していない電力供給時、即ち、電力ケーブル16の損傷や切断が発生せず、プラズマの発生に必要な電力が電力ケーブル16で供給できている正常状態でも、電磁誘導等により、シールド部材145に漏電電流が流れる。また、シールド部材145に何らかのノイズ(外来ノイズなど)が入力された場合にも漏電電流が生じる可能性がある。そして、ノズル35、プラズマヘッド11、電力ケーブル16、制御ケーブル18、ガス供給チューブ19など、各種の部品を交換すると、プラズマの放電状態(プラズマが発生させる電流やノイズ)、電磁誘導の発生状態、外来ノイズの発生状態などが変化する虞がある。その結果、部品の交換前のセンサ値Svと基準電力値118の相対関係と、部品の交換後のセンサ値Svと基準電力値118の相対関係が異なる状態となる。そこで、本実施形態のコントローラ100は、ノズル35の交換等に応じて、プラズマを発生させる動作を実行し実行した結果に基づいて基準電力値118を決定する。これにより、ノズル35等を交換した後においても、基準電力値118を用いて電力異常を精度良く検出できる。
尚、検出装置110の構成は、特に限定されない。例えば、検出装置110は、アースケーブル16Cに対して直列に接続されたシャント抵抗を備え、そのシャント抵抗に流れる電流や印加される電圧を検出しても良い。また、検出装置110は、第1ケーブル16Aや第2ケーブル16Bに流れる電流や印加される電圧を検出する構成でも良い。従って、本開示の検出電力値は、センサ値Svに限らず、電力値や電流値でも良い。この場合、基準電力値118として、電力異常を判断可能な電流値や電圧値を設定することができる。また、センサ値Svと基準電力値118の比較は、コントローラ100以外が実行しても良い。例えば、比較回路を用いて、センサ値Svと基準電力値118を比較させても良い。この場合、コントローラ100は、比較回路の出力値に基づいて、電力異常を判断しても良い。また、コントローラ100は、比較回路が用いる閾値を、後述するチューニング処理後の基準電力値118に基づいて変更しても良い。
また、図5に示すように、駆動回路105には、ヒータ43、及びヒータ43付近に取り付けられた熱電対92が電気的に接続されている。駆動回路105は、熱電対92の出力値に応じた温度の数値をコントローラ100へ出力する。コントローラ100は、駆動回路105から入力した数値に基づいて目標温度を決定し、駆動回路105へ出力する。駆動回路105は、コントローラ100に指示された目標温度となるように、熱電対92の出力値に基づき、ヒータ43の加熱温度を制御する。また、温度センサ114は、例えば、プラズマヘッド11内に設けられている。温度センサ114は、例えば熱電対を有し、プラズマガスの温度を検出し、検出した温度をコントローラ100へ出力する。コントローラ100は、入力した検出温度に基づいて駆動回路105等を制御する。
次に、プラズマ発生装置10によるプラズマ処理、及びプラズマ処理時における電力異常の判断処理について説明する。プラズマ発生装置10のコントローラ100は、例えば、操作部15Cのタッチパネルを介してプラズマ処理の開始の指示を受け付けると、電源装置15Aを制御して、電源装置15Aから電極33へ電力を供給する。
コントローラ100は、電力供給の開始に合わせて、ガス供給装置15Bを制御し、処理ガス(キャリアガス、反応ガス、加熱用ガス)の供給をガス供給装置15Bに開始させる。ガス供給装置15Bは、予め設定された所定のガス流量及び圧力値で、処理ガスの供給を開始する。また、コントローラ100は、駆動回路105を制御して、所定の温度になるようにヒータ43の加熱温度を制御する。
また、コントローラ100は、記憶装置116に記憶された基準電力値118を読み出し、検出装置110の処理回路121(図6参照)から入力したセンサ値Svと基準電力値118とに基づいて電力異常の発生を判断する。コントローラ100は、電力異常が発生したと判断すると、例えば、電極33への電力供給を停止し、処理ガスの供給を停止し、ヒートガス供給装置23の動作を停止させる。コントローラ100は、例えば、電力異常が発生したことを示すメッセージを操作部15Cの画面に表示させる。
図7は、センサ値Svと、基準電力値118との関係を示している。図7に示すように、基準電力値118は、例えば、上限値TH1、下限値TH2を含んでいる。コントローラ100は、後述するチューニング処理(図8のS17)において基準値Vsを決定し、基準値Vsを基準に上限値TH1及び下限値TH2を決定する。チューニング処理の詳細については、後述する。
図7の波形150に示すように、電力ケーブル16の損傷や切断がなく電力異常が発生せずに正常な電力供給ができている場合、センサ値Svは、例えば、電源装置15Aから電極33への電力供給の開始時から徐々に増大し、所定の基準値Vs付近で安定する。換言すれば、この基準値Vsは、正常な電力供給時における電磁誘導や外来ノイズ等により生じるセンサ値Svである。
例えば、電力ケーブル16の切断や損傷、第1ケーブル16Aとアースケーブル16Cとの間で短絡や放電、第1ケーブル16Aと第2ケーブル16Bとの間で短絡や放電が発生した場合、電磁誘導等により、シールド部材145に流れる漏電電流が増大する。その結果、センサ値Svは、増大する(波形151参照)。上限値TH1は、例えば、このような電力ケーブル16の切断等によるセンサ値Svの増大を判断可能な値である。コントローラ100は、例えば、センサ値Svが上限値TH1以上になると、プラズマ処理を中止して、電力ケーブル16が切断している旨のメッセージを制御ボックス15のタッチパネルに表示する。
一方で、例えば、アースケーブル16Cをプラズマ発生装置10のアースに付け忘れた場合(接地ミスが発生した場合)、アースケーブル16Cが切断された場合、アースケーブル16Cが取れかけている場合など、センサ値Svは、増大しない、あるいは基準値Vsに安定した後に低減する可能性がある。また、仮に、アースケーブル16Cが正常に接続されている場合でも、例えば、処理ガスの供給が停止して放電が切れた場合、あるいは何らかの原因で放電が発生しない場合などにも、センサ値Svが低減等する可能性がある。具体的には、ガス供給チューブ19の損傷、ガス供給装置15Bの故障、電極33の劣化、反応室37の損傷など、様々な原因で、センサ値Svに異常が発生する。下限値TH2は、このようなセンサ値Svの低減や増大しない異常を判断可能な値である。
例えば、図7の波形153に示すように、プラズマの照射を開始した後などに、ガス供給チューブ19の損傷が発生し処理ガスの供給が停止した場合など、センサ値Svが低減する。コントローラ100は、例えば、センサ値Svが下限値TH2以下まで低下した場合、処理ガスの供給にエラーが発生している等のメッセージを操作部15Cのタッチパネルに表示する。このようにして、本実施形態のコントローラ100は、基準電力値118の上限値TH1及び下限値TH2を用いて電力異常を判断する。
尚、基準電力値118は、上限値TH1又は下限値TH2の一方のみを含んでも良い。従って、コントローラ100は、上限値TH1又は下限値TH2の一方のみの判断を実行しても良い。また、基準電力値118は、3以上の閾値を含んでも良い。そして、コントローラ100は、3以上の閾値や、他の情報(処理ガスの圧力)などに基づいて、電力異常をより詳細に分析して警告の内容を変更しても良い。また、本願の基準電力値は、閾値に限らず、センサ値Svの変化量(増加量又は低減量)を判断する値でも良い。コントローラ100は、例えば、センサ値Svが急激に増加したことを基準電力値118に基づいて検出した場合、電力異常が発生したと判断しても良い。この場合、コントローラ100は、後述するチューニング処理において、この変化量を判断する値を決定しても良い。
次に、本実施形態のコントローラ100が実行する基準電力値決定処理について説明する。図8は、基準電力値決定処理の内容を示している。コントローラ100は、例えば、プラズマ発生装置10の電源を投入され電源装置15Aから電力を供給されると、記憶装置116からプログラムPGを読み出してCPUで実行する。コントローラ100は、プログラムPGを実行してプラズマ発生装置10のシステムを起動すると、図8に示す基準電力値決定処理を実行する。コントローラ100は、基準電力値決定処理を実行することで、ノズル35等の交換に応じてチューニング処理を実行し、交換後のノズル35等に合った基準電力値118を決定する。
尚、基準電力値決定処理を開始する条件は、上記したシステムの起動時に限らない。例えば、コントローラ100は、操作部15Cのタッチパネルに対する操作入力を検出したことを条件に、基準電力値決定処理を開始しても良い。
図8に示すように、コントローラ100は、基準電力値決定処理を開始すると、操作部15Cに対する所定の操作入力を受け付けたか否かを判断する(S11)。ここでいう所定の操作入力とは、例えば、ノズル35を交換した旨の操作入力である。これにより、コントローラ100は、ノズル35の交換に合わせて、後述するチューニング処理(S17)を実行できる。ユーザは、例えば、放電やプラズマによってノズル35が劣化した場合に、ボルト80を取り外してノズル35を交換する。ユーザは、ノズル35を交換すると、操作部15Cのタッチパネルを操作して、ノズル35を交換したことを示す操作入力を行なう。
尚、S11の所定の操作入力は、ノズル35を交換したことを示す操作入力に限らない。例えば、プラズマヘッド11の交換や、制御ケーブル18の交換など、交換によってセンサ値Svと基準電力値118との相対関係に影響を与える(相対関係がずれる)部品を交換した操作入力を受け付けても良い。
コントローラ100は、S11でノズル35を交換した旨の操作入力を受け付けると(S11:YES)、S13を実行する。コントローラ100は、記憶装置116に記憶された基準電力値118、即ち、古い基準電力値118のデータを消去する(S13)。これにより、交換後のノズル35に合ってない基準電力値118が使用されることを抑制できる。コントローラ100は、S13を実行すると、S17を実行する。
また、コントローラ100は、S11で否定判断した場合(S11:NO)、S15を実行する。S15において、コントローラ100は、基準電力値118が記憶装置116に記憶されているか否かを判断する。ここで、例えば、ベンダーからプラズマ発生装置10を新規に購入し生産工場に設置した段階では、記憶装置116には、基準電力値118が記憶されていない可能性がある。これは、上記したように、外来ノイズの影響などが使用環境によって違うため、プラズマ発生装置10を設定して使用できる状態にしてから基準電力値118を調整する必要があるためである。また、プラズマ発生装置10を修理に出して修理後に返却された場合にも、記憶装置116には、基準電力値118が記憶されていない可能性がある。また、ユーザが、操作部15Cに対するリセット操作を行なって、システムの初期化などを実行した場合も、記憶装置116の基準電力値118が消去される可能性がある。また、例えば、記憶装置116の読み出し、書き込み処理に失敗した場合などに、記憶装置116の基準電力値118が消去される可能性がある。
上記したような記憶装置116に基準電力値118が記憶されていない場合、プラズマ処理時において、電力異常を判断することが困難となる。そこで、本実施形態のコントローラ100は、記憶装置116に基準電力値118が記憶されているか否かを判断する。コントローラ100は、記憶装置116に基準電力値118が記憶されていないと判断すると(S15:YES)、S17を実行する。これにより、後述するように、新たな基準電力値118を記憶装置116に記憶できる。また、コントローラ100は、記憶装置116に基準電力値118が記憶されていた場合(S15:NO)、S11を実行する。これにより、コントローラ100は、システムを起動した後において、ノズル35の交換や、基準電力値118の消去に応じて、後述するチューニング処理(S17)を実行できる。
S17において、コントローラ100は、チューニング処理を開始する。チューニング処理において、コントローラ100は、例えば、実際にワークWに対するプラズマ処理を実行する際と同様の条件や制御内容でプラズマを発生させる動作を実行する。コントローラ100は、例えば、電源装置15Aから電極33へ電力を供給し、電極33の放電によりプラズマを発生させる。また、コントローラ100は、ガス供給装置15Bを制御し、処理ガスの供給をガス供給装置15Bに開始させる。また、コントローラ100は、駆動回路105を制御して、所定の温度になるようにヒータ43の加熱温度を制御する。尚、コントローラ100は、チューニング処理を開始する際に、警告を報知し、プラズマ処理を実行することをユーザに通知しても良い。
従って、本実施形態のコントローラ100は、ノズル35を交換したことを示す操作を操作部15Cで受け付けた場合(S11:YES)、S17でチューニング処理を開始する。これによれば、コントローラ100は、操作部15Cに対するノズル交換の操作入力に基づいて、チューニング処理を自動で実行する。ユーザは、ノズル35を交換する度に、プラズマ発生装置10に対してチューニング処理を指示する必要がなくなり、作業の効率化を図ることができる。また、ノズル交換後のチューニング処理の未実施を抑制することができる。その結果、ノズル交換後のワークWに対するプラズマ処理において、基準電力値118に基づいて電力異常を精度良く検出でき、プラズマ発生装置10の故障の悪化等を抑制できる。
コントローラ100は、S17でチューニング処理を開始すると、センサ値Svが異常値となったか否かを判断する(S19)。例えば、上記したように、アースケーブル16Cが適切に接地されていなかった場合、センサ値Svは、増大せずにゼロ(異常値)となる、又は小さい値(異常値)となる。一方で、電力ケーブル16の断線等が発生していた場合、センサ値Svは、異常な値まで増大する可能性がある。このようなセンサ値Svが異常値となった場合には、チューニング処理を継続せずに中止することが好ましい。
そこで、コントローラ100は、チューニング処理を開始した後、センサ値Svが異常値となった場合(S19:YES)、電極33への電力供給等を停止しチューニング処理を中止する(S21)。コントローラ100は、チューニング処理を中止し、異常を報知する(S23)。例えば、チューニング処理においてセンサ値Svが増大しない場合、コントローラ100は、センサ値Svが増大しないため、アースケーブル16Cを確認してほしい旨のメッセージを操作部15Cに表示する。あるいは、例えば、チューニング処理においてセンサ値Svが異常値まで増大した場合、コントローラ100は、電力ケーブル16の接続等を確認してほしい旨を操作部15Cに表示する。これにより、ユーザに適切な対応を促すことができる。コントローラ100は、S23を実行すると、図8に示す基準電力値決定処理を終了する。
一方、コントローラ100は、S19でセンサ値Svが異常値とならなかった場合(S19:NO)、チューニング処理が終了したか否かを判断する(S25)。コントローラ100は、S17でチューニング処理を開始すると、交換後のノズル35を用いてプラズマを発生させる動作を実行し、アースケーブル16Cに流れる電流をカレントトランスCTで検出してセンサ値Svを入力する。図7に示すように、センサ値Svは、電力の供給を開始すると増大し、所定の基準値Vs付近に安定する。この基準値Vsは、交換後のノズル35に応じて変動する。
コントローラ100は、例えば、プラズマを発生させセンサ値Svが安定した値を基準値Vsとして決定する。コントローラ100は、例えば、センサ値Svが一定の範囲内で且つ所定の期間だけ安定したことを検出すると、所定期間で取得したセンサ値Svの平均値を基準値Vsとして決定する。また、コントローラ100は、例えば、決定した基準値Vsに予め設定された固定値(数千など)を加えた値を、上限値TH1として決定する。また、コントローラ100は、基準値Vsから予め設定された固定値を減算した値を、下限値TH2として決定する。この固定値は、例えば、電力異常が発生していない状態でのセンサ値Svの振れ幅(正常な変化の範囲)を含めることができる値であり、且つ上記した電力ケーブル16の断線や、アースケーブル16Cの断線などを検出可能な上限値TH1や下限値TH2を決定できる値である。尚、上限値TH1を決定する固定値と、下限値TH2を決定する固定値とは、異なる値でも良い。
コントローラ100は、例えば、上限値TH1及び下限値TH2を決定するまでの間、S25で否定判断し(S25:NO)、S19の処理を実行する。これにより、センサ値Svの異常を判断しながら、上限値TH1及び下限値TH2を決定できる。
従って、本実施形態のコントローラ100は、チューニング処理において、検出装置110により検出したセンサ値Svが異常値となったことに基づいて(S19:YES)、電源装置15Aから電極33への電力の供給を停止してプラズマを発生させる動作を中止し、異常を報知する(S23)。
これによれば、ノズル35の交換ミスや電力ケーブル16の断線など、ノズル35の交換作業によって何らかの異常が発生していた場合、チューニング処理において警告を行なうことができる。実際のワークWに対するプラズマ処理を開始して電力異常が発生する前に、チューニング処理の段階でユーザに対して異常の点検等を促すことができる。
また、コントローラ100は、上限値TH1及び下限値TH2を決定するとS25で肯定判断し(S25:YES)、チューニング処理を終了する(S27)。コントローラ100は、電極33への電力供給等を停止しプラズマを発生させる動作を終了する。また、コントローラ100は、決定した上限値TH1及び下限値TH2、即ち、交換後のノズル35に合った基準電力値118を記憶装置116に記憶する(S27)。コントローラ100は、図8に示す基準電力値決定処理を終了する。これにより、ノズル35の交換に基づいてチューニング処理を実行し、交換後のノズル35に合った上限値TH1及び下限値TH2(基準電力値118)を決定し記憶装置116に記憶できる。
そして、コントローラ100は、実際のワークWに対するプラズマ処理において、記憶装置116に記憶した基準電力値118に基づいて電力異常を判断する。これにより、電力異常を精度良く判断することができる。
従って、本実施形態のコントローラ100は、ヘッド本体31に取り付けるノズル35が交換された場合に(S11:YES)、プラズマを発生させる動作を実行し実行した結果に基づいて基準電力値118を決定する(S27)。これにより、ノズル35を交換しプラズマの放電状態が変化し、プラズマが発生させる電流やノイズが変化した場合に、チューニング処理を実行することで、適切な基準電力値118を決定することができる。
また、コントローラ100は、チューニング処理において、検出装置110により検出したセンサ値Svに基づいて、正常範囲を規定する上限値TH1及び下限値TH2を基準電力値118として決定する。コントローラ100は、実際のワークWに対するプラズマ処理において、センサ値Svが上限値TH1及び下限値TH2の範囲内であるか否かに基づいて電力異常を判断する(図7参照)。これによれば、コントローラ100は、ワークWに対するプラズマ処理時において、センサ値Svが正常範囲の上限値TH1を超えたことや下限値TH2を下回ったことに基づいて、電力異常を検出できる。この上限値TH1及び下限値TH2を、ノズル35の交換に応じてチューニング処理を実行して調整することで、電力異常を精度良く検出できる。
また、コントローラ100は、ノズル35を交換したことを示す操作を操作部15Cで受け付けた場合(S11:YES)、記憶装置116に記憶された基準電力値118を消去するS13の処理を実行する。また、コントローラ100は、記憶装置116に基準電力値118が記憶されているか否かを判断するS15の処理を実行する。コントローラ100は、記憶装置116に基準電力値118が記憶されていないと判断した場合(S15:YES)、S17でチューニング処理を開始し、決定した基準電力値118を記憶装置116に記憶する(S27)。
これによれば、コントローラ100は、操作部15Cに対するノズル交換の操作入力に基づいて、記憶装置116の基準電力値118を消去する。これにより、交換後のノズル35に合っていない基準電力値118を消去できる。また、コントローラ100は、記憶装置116に基準電力値118が記憶されていない場合、チューニング処理を実行して基準電力値118を記憶装置116に記憶する。これにより、記憶装置116に記憶された基準電力値118が、例えば、プラズマ発生装置10の修理等で消えた場合に、自動でチューニング処理を実行して基準電力値118を記憶することができる。
また、本実施形態の電力ケーブル16は、一対の電極33の各々に接続され、電力を伝送する第1ケーブル16A及び第2ケーブル16B(本開示の一対のケーブルの一例)と、第1ケーブル16A等をシールドする導電性のシールド部材145と、シールド部材145を地絡させるアースケーブル16Cと、を有する。また、検出装置110は、アースケーブル16Cに流れる漏電電流に応じたセンサ値Svを出力するカレントトランスCTを有する。コントローラ100は、チューニング処理において、センサ値Svに基づいて基準電力値118を決定する。
アースケーブル16Cは、プラズマ発生装置10を保護するために、シールド部材145を地絡させる。このため、アースケーブル16Cを流れる電流等を検出するために、シャント抵抗などをアースケーブル16Cに接続することが難しい。そこで、カレントトランスCTを用いることで、電磁誘導などを利用しシャント抵抗を用いずに電流を検出しセンサ値Svとして出力できる。このセンサ値Svは、ノズル35の交換によってプラズマの放電状態が変化すると、変動する。このため、このようなカレントトランスCTを検出装置110として用いるプラズマ発生装置10では、ノズル35の交換に応じてチューニング処理を実行することは極めて有効である。
因みに、上記実施形態において、操作部15Cは、受付装置の一例である。第1ケーブル16A及び第2ケーブル16Bは、一対のケーブルの一例である。ヘッド本体31は、プラズマヘッド本体の一例である。センサ値Svは、検出電力値の一例である。コントローラ100は、判断処理部、チューニング処理部、消去処理部、記憶判断処理部の一例である。
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施例の一態様では、プラズマ発生装置10のコントローラ100は、プラズマによってワークWに対するプラズマ処理を実行する際に、検出装置110で検出したセンサ値Svと基準電力値118(上限値TH1及び下限値TH2)に基づいて電力異常を判断する処理を実行する。また、コントローラ100は、ヘッド本体31に取り付けるノズル35が交換された場合には、電極33の放電によるプラズマを発生させる動作を実行し(S17)、実行結果に基づいて基準電力値118を決定する(S27)。
これによれば、コントローラ100は、ワークWに対するプラズマ処理を実行する際に、センサ値Svと基準電力値118に基づいて電力異常を判断する。これにより、電力ケーブル16の短絡や断線などの電力異常が発生した場合に、電源装置15Aから供給する電力の停止措置や異常の報知など、適切な対応を実行することができる。そして、コントローラ100は、ヘッド本体31に取り付けるノズル35が交換された場合、プラズマを発生させる動作を実行して実行結果に基づいて基準電力値118を決定する。これにより、ノズル35が交換されプラズマの放電状態が変化しプラズマが発生させる電流やノイズが変化したとしても、チューニング処理を実行することで交換後のノズル35に合った基準電力値118に調整できる。ノズル35の交換後において、基準電力値118に基づいて電力異常を精度良く検出できる。
尚、プラズマ発生装置10のコントローラ100は、図5に示すように、判断処理部161と、チューニング処理部162と、消去処理部163と、記憶判断処理部165を有している。判断処理部161は、プラズマを発生させる際に検出装置110で検出したセンサ値Svと基準電力値118に基づいて電力異常を判断するための機能部である。チューニング処理部162は、電極33の放電によるプラズマを発生させる動作を実行し実行した結果に基づいて基準電力値118を決定するための機能部である。消去処理部163は、ノズル35を交換したことを示す操作を操作部15Cで受け付けた場合、記憶装置116に記憶された基準電力値118を消去するための機能部である。記憶判断処理部165は、記憶装置116に基準電力値118が記憶されているか否かを判断するための機能部である。
判断処理部161、チューニング処理部162、消去処理部163、記憶判断処理部165は、例えば、コントローラ100が、記憶装置116に記憶された制御用のプログラムPGをCPUで実行することで、ソフトウェア処理により実現される。尚、判断処理部161、チューニング処理部162、消去処理部163、記憶判断処理部165の少なくとも一つを、ASIC等の特定用途向けのハードウェアで実現しても良く、ソフトウェア処理とハードウェア処理の両方により実現しても良い。
また、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、コントローラ100は、ノズル35が交換されたことに基づいてチューニング処理を実行したが、これに限らない。例えば、プラズマヘッド11の交換、制御ケーブル18の交換など、交換によってセンサ値Svと基準電力値118との相対関係に影響を与える(相対関係がずれる)部品を交換した場合に、コントローラ100は、チューニング処理を実行しても良い。また、部品の交換に係わらず、コントローラ100は、例えば、電極33に印加する印加電圧の電圧値、各処理ガスの供給量など、プラズマの発生に係わる設定が変更された場合に、チューニング処理を実行しても良い。従って、コントローラ100は、プラズマの放電状態を変化させるような部品の交換や、設定の変更等がプラズマ発生装置10に対してなされた場合、チューニング処理を実行しても良い。
また、コントローラ100は、操作部15Cのタッチパネルの表示で電力異常を報知したが、音などの他の方法で報知しても良い。従って、プラズマ発生装置10は、操作部15Cを備えなくとも良い。
また、コントローラ100は、操作部15Cの操作入力に基づいてノズル35の交換を検出したが、これに限らない。例えば、プラズマ発生装置10は、ノズル35のヘッド本体31からの取り外しを検出可能なセンサやリレーを備えても良い。そして、コントローラ100は、センサ等の検出信号に基づいて、ノズル35の取り外しや取り付けを検出し、自動でチューニング処理を開始しても良い。
また、コントローラ100は、基準電力値118と併せて処理ガスの圧力値を用いて電力異常を判断しても良い。
また、図8示す処理の順番、内容は、一例である。例えば、コントローラ100は、S15を実行しなくとも良い。この場合、コントローラ100は、S11で否定判断した場合(S11:NO)、S11を再度実行しても良い。即ち、記憶装置116に基準電力値118が記憶されているか否かを判断しなくとも良い。
また、コントローラ100は、S13を実行しなくとも良い。コントローラ100は、例えば、S27で記憶装置116に記憶された古い基準電力値118を、新しい基準電力値118で上書きしても良い。
また、コントローラ100は、S19のチューニング処理時における異常値の判断を実行しなくとも良い。この場合、コントローラ100は、S17の後にS25を実行し、S25で否定判断した場合(S25:NO)、S25を繰り返し実行しても良い。
基準電力値118を、プラズマ発生装置10とは別の装置、例えば、通信部107に接続されたネットワーク上のサーバに記憶しても良い。
また、電源装置15A、ガス供給装置15Bは、制御ボックス15とは別の装置でも良い。
また、電力ケーブル16は難燃性の材料で覆われることが望ましい。