JP7247066B2 - バドミントンラケット - Google Patents
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Description
本発明は、シャフトを備えたバドミントンラケットに関する。
バドミントンにあっては、プレーヤがラケットをスイングしてシャトルを打撃することによってプレーされる。例えば、特許文献1に開示されるように、バドミントンのラケットは、グリップと環状のフレームとを連結して直線状に延びるシャフトを備えている。
バドミントンのラケットにおいては、プレー前の準備の最中、或いは、プレー中におけるダブルスパートナーのラケットや床との衝突等によって、シャフトに破損が生じる場合がある。このように破損が生じると、プレー中にシャフトが折れて分断されることがあり、その分断された位置からフレーム側が分離して意図しない方向に飛んでいく、という問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、シャフトが折れたときに、その折れた位置で分断することを回避することができるバドミントンラケットを提供することを目的とする。
本発明のバドミントンラケットは、環状に延在するフレームと、グリップと、前記フレームと前記グリップとを連結する筒状のシャフトとを備えたバドミントンラケットであって、前記シャフトは、最内層と、該最内層より外側に積層される少なくとも1層のシャフト形成層とを備え、繊維状の補強材に樹脂を含侵した複数のシートを重ねて巻回することで形成され、前記複数のシートは、前記最内層を形成する最内層シートと、前記補強材がカーボン繊維とされて前記シャフト形成層を形成するシャフト形成シートとを備え、前記最内層シートにおける前記補強材が超高密度高分子繊維とされることを特徴とする。
この構成によれば、最内層の補強材を超高密度高分子繊維としたので、超高密度高分子繊維と最内層を形成する樹脂との密着性を弱くすることができる。これにより、シャフトが意図せずに折れて分断されても、折れた位置を挟む領域にて最内層を形成する樹脂から超高密度高分子繊維を剥がれた状態にすることができる。その結果、剥がれた超高密度高分子繊維が切断されずに折れた位置を挟んで繋がった状態に維持でき、折れた位置からフレーム側が分断して飛んでいくことを回避することができる。
本発明において、前記超高密度高分子繊維は、前記シャフトの延出方向に配向されているとよい。この構成によれば、超高密度高分子繊維がシャフトの折れた位置を挟んで繋がった状態を維持し易くすることができる。
本発明において、前記最内層のシートは、前記シャフトの周方向にて半周以上の領域に亘って配置されているとよい。この構成によっても、シャフトが折れた際に超高密度高分子繊維が最内層を形成する樹脂から剥がれて折れた位置を挟んで繋がる状態にすることができる。しかも、シャフトの周方向半分領域ぐらいに最内層を形成して最内層シートの配設領域を少なくし、超高密度高分子繊維に樹脂を含浸したシートの使用量を抑制することができる。
本発明において、前記超高密度高分子繊維は、ポリエチレン繊維又はポリエステル繊維であるとよい。この構成によれば、材料コストを抑制しつつ超高密度高分子繊維の強度を確保してシャフトの分断を良好に回避することができる。
本発明によれば、シャフトが折れたときに、その折れた位置で分断することを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、実施の形態に係るバドミントンラケットの正面図である。なお、以下の各図では、説明の便宜上、一部の構成を省略する場合がある。
図1に示すように、バドミントンラケット(以下、「ラケット」とする)10は、プレーヤに把持されるグリップ11と、グリップ11に一端側が連結されて直線方向に延出するシャフト12と、シャフト12の他端側に連結された楕円形の環状をなすフレーム13とを備えている。フレーム13の内側にはストリング14が張設されており、このストリング14によってシャトルが打撃される打球面15が形成される。
グリップ11とシャフト12とは、グリップ11に対してシャフト12が所定長さ差し込まれて(埋設されて)接着等により固定された状態で連結される。
フレーム13は、所定の肉厚となる中空体によって形成され、その断面形状は、円形や楕円形、方形にする等、種々の形状を採用することができる。フレーム13は、空気など媒体の膨張による内圧成形を利用して形成されている。ラケット10においてフレーム13とシャフト12とは、これらに内蔵されるT型のジョイント16によって連結される。
図2は、前記バドミントンラケットに用いられるシャフトを一部断面視した概略斜視図である。図2に示すように、シャフト12は、中空の円筒状に形成され、径方向にて複数層に積層して形成されている。シャフト12は、最も内側に位置する最内層21と、最内層21より外側に積層される複数(本実施の形態では3層)のシャフト形成層22とを備えている。シャフト12を形成する各層21、22の構成については、以下のシャフト12の製造方法にて説明する。
図3は、前記シャフトの製造方法の説明図である。図3に示すように、シャフト12の製造においては、先ず、繊維状の補強材に樹脂を含浸した複数のシートSを用意する。本実施の形態において複数のシートSは、エポキシやビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を、繊維状の補強材に含浸して半硬化させてそれぞれ形成される。
ここで、シャフト12を形成する複数のシートSのうち、最内層21を形成するための最内層シートS01は、補強材として超高密度高分子繊維が用いられる。ここで、超高密度高分子繊維とは、分子量150万以上の合成樹脂を指し、具体的にはポリエチレン繊維又はポリエステル繊維を例示することができる。最内層シートS01における補強材(超高密度高分子繊維)の配向方向は、シャフト12の延出方向と平行に設定される。
また、複数のシャフト形成層22を形成するため、最内層シートS01から外側に向かって第1シャフト形成シートS11、第2シャフト形成シートS12及び第3シャフト形成シートS13の3枚のシートが使用される。各シャフト形成シートS11~S13の補強材は、カーボン繊維とされる。第1シャフト形成シートS11における補強材の配向方向は、シャフト12の延出方向に対して45°方向に指向する方向に設定される。第2シャフト形成シートS12における補強材の配向方向も、シャフト12の延出方向に対して45°方向に指向する方向であるが、第1シャフト形成シートS11における補強材の配向方向と90°異なる方向に設定される。第3シャフト形成シートS13における補強材の配向方向は、シャフト12の延出方向に設定される。
なお、上記各シャフト形成シートS11~S13は一例に過ぎないものである。例えば、シャフト形成層22の増減に応じ、各シャフト形成シートS11~S13も増減することができ、それぞれの補強材の配向方向も、上述した各方向や該方向から所定角度傾いた方向等から適宜な方向を選択できる。
上記のように複数のシートSを用意した後、シャフト12を成形するため、複数のシートSをマンドレルに同心状に積層して円筒状に巻回する。このとき、図3に示すように最内層シートS01が最も内側に配置されるようにし、本実施の形態では、シャフト12を形成する円筒の周方向にて全領域に最内層シートS01が配置されるようにする。上記のように巻回した後、加熱して硬化させて成形体とし、マンドレルを抜き取ることで、図2に示す最内層21及び複数のシャフト形成層22を備えた円筒状のシャフト12の製造が完了する。
ここで、上記実施の形態のラケット10において、シャフト12が折れた場合について、図4を参照して以下に説明する。図4Aは、前記シャフトの通常時の説明用断面図であり、図4Bは、前記シャフトが折れた後の一例を示す説明用断面図である。なお、図4A及び図4Bでは、複数層のシャフト形成層22を単一の層として簡略化して図示している。
図4Aの破線で示す位置からシャフト12が折れる場合、図4Bに例示するように屈折した状態となる。図4Bの状態では、シャフト12の同図中上側が山側となり、同図中下側が谷側となる。シャフト形成層22はカーボン繊維を補強材とする繊維強化樹脂によって硬い材質とされるので、シャフト12が折れた状態における屈折位置にてシャフト形成層22が分断される。
ところが、シャフト12の最内層21に含まれる補強材(超高密度高分子繊維、図4Bにて符号「21a」を付す)においては、屈折位置にて一部が分断されるものの、他の一部は屈折位置で分断されなくなる。具体的には、屈折位置の谷側における最内層21に含まれる補強材(超高密度高分子繊維)21aは、シャフト形成層22の屈折及び分断に追従するように分断される。一方、屈折位置の山側における最内層21に含まれる補強材(超高密度高分子繊維)21aは、屈折位置を挟む両側領域で最内層21を形成する熱硬化性樹脂から剥がれるようになる。このように剥がれるのは、最内層21の補強材21aを超高密度高分子繊維としたので、最内層21を形成する熱硬化性樹脂との密着性が弱くなるためである。
これにより、剥がれた最内層21に含まれる補強材(超高密度高分子繊維)21aが切断されずに屈折位置を挟んで繋がった状態に維持可能となる。バドミントンではプレーヤがグリップ11を把持しているので、屈折位置を挟んでグリップ11と反対側となるフレーム13とシャフト12の一部とが分断して離れたり、飛んでいったりすることを回避できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、方向などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
上記実施の形態では、最内層21における超高密度高分子繊維の配向方向を、シャフト12の延出方向と平行に設定したが、該延出方向に対して斜めになる方向に変更してもよい。但し、超高密度高分子繊維の配向方向をシャフト12の延出方向と平行にした方が、シャフト12の折れた位置を挟んで最内層21の超高密度高分子繊維が繋がった状態を維持し易くなる点で有利となる。
また、上記実施の形態では、シャフト12の周方向全領域に最内層21を形成したが、周方向にて半周又は半周以上の領域に亘って配置されるようにしてもよい。シャフト12が折れた場合、上記のように山側の半周領域で最内層21の補強材が繋がった状態となるので、最内層21が周方向半周以上あれば、最内層21の補強材が繋がる部分を残すことができる。この場合、最内層シートS01の配設領域を少なくして使用量を抑制することができる。
また、シャフト形成層22を形成するシートSにおいて、カーボン繊維に加え、或いはカーボン繊維に代えてガラス繊維、セラミック繊維等の補強材を用いてもよい。
本発明は、シャフトが折れて分断することを回避することができるバドミントンラケットに関する。
10 ラケット(バドミントンラケット)
11 グリップ
12 シャフト
13 フレーム
21 最内層
21a 補強材(超高密度高分子繊維)
22 シャフト形成層
S シート
S01 最内層シート
S11 第1シャフト形成シート
S12 第2シャフト形成シート
S13 第3シャフト形成シート
11 グリップ
12 シャフト
13 フレーム
21 最内層
21a 補強材(超高密度高分子繊維)
22 シャフト形成層
S シート
S01 最内層シート
S11 第1シャフト形成シート
S12 第2シャフト形成シート
S13 第3シャフト形成シート
Claims (4)
- 環状に延在するフレームと、グリップと、前記フレームと前記グリップとを連結する筒状のシャフトとを備えたバドミントンラケットであって、
前記シャフトは、最内層と、該最内層より外側に積層される少なくとも1層のシャフト形成層とを備え、繊維状の補強材に樹脂を含侵した複数のシートを重ねて巻回することで形成され、
前記複数のシートは、前記最内層を形成する最内層シートと、前記補強材がカーボン繊維とされて前記シャフト形成層を形成するシャフト形成シートとを備え、
前記最内層シートにおける前記補強材が超高密度高分子繊維とされることを特徴とするバドミントンラケット。 - 前記超高密度高分子繊維は、前記シャフトの延出方向に配向されていることを特徴とする請求項1に記載のバドミントンラケット。
- 前記最内層のシートは、前記シャフトの周方向にて半周以上の領域に亘って配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバドミントンラケット。
- 前記超高密度高分子繊維は、ポリエチレン繊維又はポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のバドミントンラケット。
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