JP6961531B2 - Frp円筒及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、FRP円筒及びその製造方法に関する。
特許文献1、2には、強化繊維を熱硬化性樹脂シート中に含浸させてなる複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させ複数のFRP層とするFRP円筒及びその製造方法が開示されている。複数のFRP層中には、複数のプリプレグを重ねてなるセットプリプレグを複数回連続して巻回して熱硬化させた同時多層巻回層が含まれている。
特許文献1、2において、セットプリプレグは、円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する捩り剛性保持プリプレグ(例えばバイアスプリプレグ)と、円筒軸線方向に直交する繊維層を有する座屈防止プリプレグ(例えば90°プリプレグ)とから構成されている。あるいは、セットプリプレグは、上述した捩り剛性保持プリプレグと座屈防止プリプレグに、円筒軸線方向と平行をなす繊維層を有する曲げ剛性保持プリプレグ(例えば0°プリプレグ)を加えて構成されている。
特許文献1、2では、セットプリプレグにおける捩り剛性保持プリプレグと座屈防止プリプレグの巻回開始位置を互いに異ならせて、同時多層巻回層における捩り剛性保持層と座屈防止層をオフセットさせている。例えば、特許文献2では、セットプリプレグにおける捩り剛性保持プリプレグと座屈防止プリプレグの巻回開始位置が、座屈防止プリプレグが単独で少なくとも1プライ巻回され、その後、捩り剛性保持プリプレグと座屈防止プリプレグが重ねられた状態で少なくとも2プライ連続して巻回されるように、互いにオフセットされている。
国際公開第2010/084809号 特開2014−172308号公報
しかし、特許文献1、2のFRP円筒及びその製造方法は、FRP円筒の強度が不十分であるために、破壊(例えば剥離や捩り疲労破壊)が起こりやすいという問題がある点で、改良の余地がある。
本発明は、上記の問題意識に基づいて完成されたものであり、FRP円筒の強度を確保して破壊が起こりにくいFRP円筒及びその製造方法を提供することを目的の1つとする。
本発明のFRP円筒は、複数のプリプレグを巻回して熱硬化させることでFRP層とするFRP円筒であって、前記FRP層は、円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する一対の捩り剛性保持プリプレグと円筒軸線方向に直交する繊維層を有する座屈防止プリプレグとを重ねた状態で複数プライ連続して巻回して熱硬化させた同時多層巻回層を含んでおり、前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットされており、前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置のオフセット量をO[mm]とし、前記FRP円筒の外周長をR[mm]としたとき、以下の条件式(1)を満足する、ことを特徴としている。
(1)0.1<O/R<0.5
前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグは、内層側から外層側に向かって順に、前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグとが重ねられた状態で少なくとも2プライ連続して巻回され、前記座屈防止プリプレグが単独で少なくとも1プライ巻回されるようにオフセットされていてもよい。
前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグは、内層側から外層側に向かって順に、前記座屈防止プリプレグが単独で少なくとも2プライ巻回され、前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグとが重ねられた状態で少なくとも2プライ連続して巻回され、前記座屈防止プリプレグが単独で少なくとも1プライ巻回されるようにオフセットされていてもよい。
前記一対の捩り剛性保持プリプレグは長繊維方向が円筒軸線方向に±α°(0<α<90)で斜交する一対のバイアスプリプレグからなってもよい。前記座屈防止プリプレグは長繊維方向が円筒軸線方向に直交する90°プリプレグからなってもよい。
本発明のFRP円筒の製造方法は、複数のプリプレグを巻回して熱硬化させることでFRP層とするFRP円筒の製造方法であって、前記複数のプリプレグを巻回する際に、円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する一対の捩り剛性保持プリプレグと円筒軸線方向に直交する繊維層を有する座屈防止プリプレグとを重ねた状態で複数プライ連続して巻回する同時多層巻回工程を含んでおり、前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットし、前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置のオフセット量をO[mm]とし、前記FRP円筒の外周長をR[mm]としたとき、以下の条件式(1)を満足する、ことを特徴としている。
(1)0.1<O/R<0.5
本発明によれば、FRP円筒の強度を確保して破壊が起こりにくいFRP円筒及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態によるFRP円筒を示す斜視図である。 本実施形態による複数のプリプレグの構成の一例を示す図である。 本実施形態による複数のプリプレグの積層構造の一例を示す図である。 本実施形態による複数のプリプレグの巻回終了位置を拡大して示す図である。 角度層(バイアス層)の巻回終了位置に応じた剥離箇所の違いを示す概念図である。 本実施形態によるFRP円筒を示す断面図である。
図1は、本実施形態によるFRP(Fiber Reinforced Plastics)円筒1を示す斜視図である。FRP円筒1は、強化繊維を熱硬化性樹脂シート中に含浸させてなる複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させることでFRP層10としたものである。図1において、FRP円筒1の長さをLとし、FRP円筒1の外径をΦとし、FRP円筒1の内径をφとしている。FRP円筒1の長さLは、FRP円筒1の用途(例えば、車両のプロペラシャフトやドライブシャフト等)に応じて適宜設定することができる。外径Φと内径φの差分(Φ−φ)であるFRP円筒1の厚みは、複数のプリプレグの各種パラメータ(種類、厚み、枚数、プライ数等)によって適宜設定することができる。
図2は、本実施形態による複数のプリプレグの構成の一例を示す図である。作図の便宜上の理由により、複数のプリプレグの厚みを誇張して大きめに描いている。厳密には、FRP円筒1の内層側から外層側に向かうに連れて、同じプライ数でも必要なプリプレグの幅が漸増するが、その点は無視して描いている。
FRP円筒1のFRP層10を構成する複数のプリプレグは、内層側から外層側に向かって順に、曲げ剛性保持プリプレグ20と、セットプリプレグ30とを有している。セットプリプレグ30は、内層側から外層側に向かって順に、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と、座屈防止プリプレグ33とを有している。
曲げ剛性保持プリプレグ20は、円筒軸線方向と平行をなす繊維層を有しており、円筒軸線方向と平行をなす方向に加わる力(曲げ)に対する強度を受け持つものである。曲げ剛性保持プリプレグ20は、長繊維方向が円筒軸線方向と平行をなす0°プリプレグから構成することができる。曲げ剛性保持プリプレグ20は、マンドレルMの外周に2プライ巻回できる幅に設定されている。なお、曲げ剛性保持プリプレグ20の幅には自由度があり、例えば、マンドレルMの外周に少なくとも2プライ巻回できる幅とすることができる。
一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32は、円筒軸線方向に斜交する繊維層を有しており、円筒軸線方向に斜交する方向に加わる力(捩り)に対する強度を受け持つものである。一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32は、長繊維方向が円筒軸線方向に±α°(0<α<90)で斜交する一対のバイアスプリプレグから構成することができる。斜交角度αは、例えば、±30°、±45°又は±60°に設定することができるが、具体的な値には自由度があり、種々の設計変更が可能である。一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32は、マンドレルMの外周に11プライ巻回できる幅に設定されている。なお、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の幅には自由度があり、例えば、マンドレルMの外周に少なくとも2プライ巻回できる幅とすることができる。
一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32は、巻回開始位置と巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットされている。より具体的に、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32のうち、外層側の捩り剛性保持プリプレグ32が先に巻回開始されて内層側の捩り剛性保持プリプレグ31が後に巻回開始され、且つ、外層側の捩り剛性保持プリプレグ32が先に巻回終了されて内層側の捩り剛性保持プリプレグ31が後に巻回終了される。これにより、捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回終了位置から進展する層間剥離を防止することができる。
なお、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32のうち、内層側の捩り剛性保持プリプレグ31が先に巻回開始されて外層側の捩り剛性保持プリプレグ32が後に巻回開始され、且つ、内層側の捩り剛性保持プリプレグ31が先に巻回終了されて外層側の捩り剛性保持プリプレグ32が後に巻回終了されてもよい。この場合、捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回終了位置から進展する層間剥離を防止することができる。
一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回開始位置と巻回終了位置のオフセット量をどのように設定するかには自由度があり、種々の設計変更が可能である。一例として、FRP円筒1の内径φが33mmであり外径Φが44mmであるとき、オフセット量を30mm程度に設定することができる。
一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回開始位置と巻回終了位置のオフセット量O(単位はmm)は、例えば、FRP円筒1の外周長R(単位はmm)との関係で、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。条件式(1)、の下限を下回ると、オフセット量Oが小さくなりすぎて、FRP円筒1の強度が不十分となって破壊(例えば剥離や捩り疲労破壊)が起こりやすくなってしまう。条件式(1)の上限を上回ると、オフセット量Oが大きくなりすぎて、捩り方向に対する強度が不十分となってしまう。条件式(1)を満足することにより、FRP円筒1の強度(捩り方向に対する強度を含む)を確保して破壊(例えば剥離や捩り疲労破壊)を起こりにくくすることができる。以上の作用効果は、例えば、以下の条件式(1’)さらには条件式(1”)を満足することで、より一層顕著に得ることができる。
(1)0.1<O/R<0.5
(1’)0.2<O/R<0.4
(1”)0.25<O/R<0.35
なお、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回終了位置だけを互いに異ならせて、巻回開始位置を一致させてもよい。この場合、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32のうち、先に巻回終了する方の幅を相対的に小さくし、後に巻回終了する方の幅を相対的に大きくすることができる。
座屈防止プリプレグ33は、円筒軸線方向に直交する繊維層を有しており、円筒軸線方向に直交する方向に加わる力(座屈)に対する強度を受け持つものである。座屈防止プリプレグ33は、長繊維方向が円筒軸線方向に直交する90°プリプレグから構成することができる。座屈防止プリプレグ33は、マンドレルMの外周に14プライ巻回できる幅に設定されている。なお、座屈防止プリプレグ33の幅には自由度があり、例えば、マンドレルMの外周に少なくとも2プライ巻回できる幅とすることができる。
座屈防止プリプレグ33は、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32に対する巻回開始位置と巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットされている。より具体的に、座屈防止プリプレグ33は、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回開始位置より2プライ分だけ巻回開始方向に突出しており、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回開始前に2プライ分だけ単独で巻回される。また、座屈防止プリプレグ33は、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回終了位置より1プライ分だけ巻回終了方向に突出しており、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回終了後に1プライ分だけ単独で巻回される。なお、ここでは、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回開始位置と巻回終了位置のオフセットを無視して、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32のいずれかの巻回開始位置と巻回終了位置を基準としている。
なお、座屈防止プリプレグ33は、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32に対する巻回開始位置及び/又は巻回終了位置を一致させてもよい。この場合、座屈防止プリプレグ33の幅を一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の幅と略同一に設定することができる。
FRP円筒1を製造する場合、曲げ剛性保持プリプレグ20とセットプリプレグ30(一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33)をマンドレルMに巻回していく。図3は、本実施形態による複数のプリプレグの積層構造の一例を示す図である。まず、曲げ剛性保持プリプレグ20を単独で2プライ巻回する。次いで、曲げ合成保持プリプレグの外周にセットプリプレグ30を巻回する。より具体的に、座屈防止プリプレグ33を単独で2プライ巻回し、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33を重ねた状態で11プライ連続して巻回し(3×11=33プライ)、座屈防止プリプレグ33を単独で1プライ巻回する。以上の合計巻回数は38プライとなる。プリプレグ巻回工程は、各プリプレグを密着させるために、所定の予熱状態で行うことが好ましい。
プリプレグ巻回工程が終了したら、張力を与えながら熱収縮テープを巻回して外圧力を加えた状態で、加熱装置(例えばオーブン等)により加熱してプリプレグを硬化させる。この加熱硬化工程は、真空雰囲気中で実施することが好ましい。この加熱硬化により、マンドレルMに巻回された複数のプリプレグが加熱硬化してFRP層10となる。最後にマンドレルMを引き抜くことにより、マンドレルMの外径に対応する内径φと、この内径φにFRP層10の厚みを加えた外径Φと、プリプレグの長さに対応する長さLとを有するFRP円筒1が完成される(図1)。
以上のFRP円筒1の製造方法は、複数のプリプレグを巻回する際に、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33を重ねた状態で複数プライ(一例として11プライ)連続して巻回する同時多層巻回工程を有している。従って、FRP円筒1のFRP層10は、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33を重ねた状態で複数プライ(一例として11プライ)連続して巻回して熱硬化させた同時多層巻回層を有している。これにより捩り方向と座屈方向に対する強度が高いFRP円筒1を得ることができる。また、セットプリプレグ30に含まれる一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33の樹脂量を減らしつつ強化繊維量を増やせるので、FRP円筒1の軽量化と高強度化を図ることができる。
図4は、本実施形態による複数のプリプレグの巻回終了位置を拡大して示す図である。図4に示すように、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットされている。より具体的に、外層側の捩り剛性保持プリプレグ32が先に巻回終了されて、内層側の捩り剛性保持プリプレグ31が後に巻回終了される。さらに、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33の同時多層巻回の終了後、座屈防止プリプレグ33が続けてもう1プライ連続して巻回される。
本発明者は、FRP円筒の捩り疲労破壊が起こるメカニズムについて鋭意研究を重ねた結果、角度層(バイアス層)の巻回終了位置から進展する層間剥離が大きな影響を及ぼすことを見出した。すなわち、FRP円筒に捩り方向の力が加わることにより、角度層(バイアス層)の巻回終了位置に、外径方向に剥離する力が局所的に発生する。角度層(バイアス層)は、円筒軸線方向に±α°で斜交する一対のバイアスプリプレグ(例えば±45°プリプレグ)で構成されることが多く、この一対のバイアスプリプレグの巻回終了位置が同じであると、+方向と−方向の両方で同じ位置で外径方向に剥離する力を受けることになり、剥離進展が加速する。
これに対し、本実施形態では、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回終了位置を互いに異ならせる(オフセットする)ことにより、角度層(バイアス層)の巻回終了位置から進展する層間剥離を効果的に防止することができる(層間剥離の起点を分散させることができる)。
図5A、図5Bは角度層(バイアス層)の巻回終了位置に応じた剥離箇所の違いを示す概念図である。図5Aは角度層(バイアス層)の巻回終了位置が同じである場合の剥離箇所を示しており、層間剥離の起点が大きいために剥離進展が加速していることが分かる。図5Bは角度層(バイアス層)の巻回終了位置を異ならせた場合の剥離箇所を示しており、層間剥離の起点を分散させることで層間剥離が効果的に防止されていることが分かる。
また本実施形態では、セットプリプレグ30の一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33が、内層側から外層側に向かって順に、座屈防止プリプレグ33が単独で少なくとも2プライ巻回され、一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32と座屈防止プリプレグ33とが重ねられた状態で少なくとも2プライ連続して巻回され、座屈防止プリプレグ33が単独で少なくとも1プライ巻回されるようにオフセットされている。
捩り方向の力を負担することなく径方向の力に対して有効に働く周方向の繊維層(90°層)を、角度層(バイアス層)を含む同時多層巻回層の巻回終了位置を完全に覆うように少なくとも1プライ(好ましくは1.5プライ以上)巻回することにより、角度層(バイアス層)の巻回終了位置の剥離を抑えるとともに、捩り疲労強度を飛躍的に向上させることが可能になる。
図6は、本実施形態によるFRP円筒1を示す断面図である。図6に示すように、FRP円筒1の最外層に捩りに対して直接的に荷重を受けない最外層の90°層を少なくとも2プライに亘って設けることにより、角度層(バイアス層)に多少の層間剥離が発生した場合であってもその悪影響を最低限に抑えることができる。また、FRP円筒1の周方向における層間剥離範囲を抑制することができる。
本発明者は、図2〜図4の積層構造を有する一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回終了位置を互いに異ならせたFRP円筒(以下、本実施形態のFRP円筒と呼ぶ)、及び、使用するプリプレグはそのままで一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回終了位置を一致させたFRP円筒(以下、比較例のFRP円筒)を実際に作製して、捩り疲労破壊試験を行った。捩り疲労破壊試験は、株式会社鷺宮製作所のRFH電気サーボねじり疲労試験機(形式213-050)を用いてFRP円筒の一端を固定し、他端について試験トルク3kNm、試験速度0.1〜1Hzのようにして行った。
本実施形態のFRP円筒と比較例のFRP円筒を各3本ずつ作製して、捩り疲労破壊試験を3回行った。捩り疲労破壊に至るまでの試行回数は、平均ベースで、本実施形態のFRP円筒が比較例のFRP円筒の約7倍となっており、本実施形態のFRP円筒が比較例のFRP円筒よりも飛躍的に高い捩り疲労強度を実現できていることが分かる。
FRP円筒 破壊までの試行回数
本実施形態1 47858回
本実施形態2 57018回
本実施形態3 44638回
平均 49838回
比較例1 5683回
比較例2 6353回
比較例3 9433回
平均 7156回
セットプリプレグ30を構成する座屈防止プリプレグ33を一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32の巻回開始前に2プライ分だけ単独で巻回することにより、FRP円筒1の静強度を向上させることができる。セットプリプレグ30の最内層に角度層(バイアス層)を設けた場合、捩りトルクによってプリプレグの巻き始めが内径方向に剥離しやすいが、本実施形態のようにセットプリプレグ30の最内層に座屈防止プリプレグ(90°プリプレグ)33を支持することで、プリプレグの巻き始めが内径方向に剥離するのを効果的に防止することが可能になる。
FRP円筒1のFRP層10の最内層は、曲げ剛性保持プリプレグ(0°プリプレグ)20を単独で2プライ巻回して熱硬化した曲げ剛性保持層(0°層)となっている。これにより、FRP円筒1の内周面にセレーションを挿入(圧入)したとき、セレーションの谷部の隙間を曲げ剛性保持層(0°層)が埋めることで、FRP層10の最内層の剥離を抑制して、セレーションとの接合強度を向上させることができる。
このように本実施形態では、FRP円筒1のFRP層10が、円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する一対の捩り剛性保持プリプレグ(一対のバイアスプリプレグ)31、32と円筒軸線方向に直交する繊維層を有する座屈防止プリプレグ(90°プリプレグ)33とが重ねられた状態で複数プライ連続して巻回して熱硬化させた同時多層巻回層を含んでおり、一対の捩り剛性保持プリプレグ(一対のバイアスプリプレグ)31、32の巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットされている。これにより、FRP円筒1の強度を確保して破壊(例えば剥離や捩り疲労破壊)を起こりにくくすることができる。
以上の実施形態では、セットプリプレグ30の一対の捩り剛性保持プリプレグ31、32を一対のバイアスプリプレグから構成するとともに、セットプリプレグ30の座屈防止プリプレグ33を90°プリプレグから構成する場合を例示して説明した。しかし、一対の捩り剛性保持プリプレグと座屈防止プリプレグとして、織物プリプレグの繊維方向を適宜設定したものを用いることも可能である。織物プリプレグとしては、例えば、平織物を熱硬化性樹脂シートに含浸させてなり円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する平織物プリプレグ、三軸織物を熱硬化性樹脂シートに含浸させてなり円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する三軸織物プリプレグ、四軸織物を熱硬化性樹脂シートに含浸させてなり円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する四軸織物プリプレグを使用することができる。
1 FRP円筒
10 FRP層
20 曲げ剛性保持プリプレグ(0°プリプレグ)
30 セットプリプレグ
31 32 一対の捩り剛性保持プリプレグ(一対のバイアスプリプレグ)
33 座屈防止プリプレグ(90°プリプレグ)

Claims (5)

  1. 複数のプリプレグを巻回して熱硬化させることでFRP層とするFRP円筒であって、
    前記FRP層は、円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する一対の捩り剛性保持プリプレグと円筒軸線方向に直交する繊維層を有する座屈防止プリプレグとを重ねた状態で複数プライ連続して巻回して熱硬化させた同時多層巻回層を含んでおり、
    前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットされており、
    前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置のオフセット量をO[mm]とし、前記FRP円筒の外周長をR[mm]としたとき、以下の条件式(1)を満足する、
    ことを特徴とするFRP円筒。
    (1)0.1<O/R<0.5
  2. 前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグは、内層側から外層側に向かって順に、前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグとが重ねられた状態で少なくとも2プライ連続して巻回され、前記座屈防止プリプレグが単独で少なくとも1プライ巻回されるようにオフセットされている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のFRP円筒。
  3. 前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグは、内層側から外層側に向かって順に、前記座屈防止プリプレグが単独で少なくとも2プライ巻回され、前記一対の捩り剛性保持プリプレグと前記座屈防止プリプレグとが重ねられた状態で少なくとも2プライ連続して巻回され、前記座屈防止プリプレグが単独で少なくとも1プライ巻回されるようにオフセットされている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のFRP円筒。
  4. 前記一対の捩り剛性保持プリプレグは長繊維方向が円筒軸線方向に±α°(0<α<90)で斜交する一対のバイアスプリプレグからなり、前記座屈防止プリプレグは長繊維方向が円筒軸線方向に直交する90°プリプレグからなる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のFRP円筒。
  5. 複数のプリプレグを巻回して熱硬化させることでFRP層とするFRP円筒の製造方法であって、
    前記複数のプリプレグを巻回する際に、円筒軸線方向に斜交する繊維層を有する一対の捩り剛性保持プリプレグと円筒軸線方向に直交する繊維層を有する座屈防止プリプレグとを重ねた状態で複数プライ連続して巻回する同時多層巻回工程を含んでおり、
    前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置が互いに異なるようにオフセットし、
    前記一対の捩り剛性保持プリプレグの巻回開始位置と巻回終了位置のオフセット量をO[mm]とし、前記FRP円筒の外周長をR[mm]としたとき、以下の条件式(1)を満足する、
    ことを特徴とするFRP円筒の製造方法。
    (1)0.1<O/R<0.5
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