JP7245770B2 - 発光素子及びその製造方法並びに発光素子用組成物及びその製造方法 - Google Patents

発光素子及びその製造方法並びに発光素子用組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発光素子及びその製造方法に関する。本発明はまた、発光素子用組成物及びその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、例えば、ディスプレイ及び照明に好適に使用することが可能である。発光素子の発光層に用いられる発光材料として、例えば、特許文献1では、化合物H1及び化合物G1を含有する組成物が提案されている。
Figure 0007245770000001
国際公報第2018/062278号
しかし、上記組成物を用いて作製される発光素子は、駆動電圧が必ずしも十分に低くなかった。
そこで、本発明は、駆動電圧が低い発光素子の製造に有用な組成物を提供すること、及び、当該組成物を含有する発光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の化合物(A)及び特定の化合物(B)を含む発光素子用組成物において、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)が特定の関係を満たすことにより、駆動電圧が低い発光素子が形成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[15]を提供する。
[1]
陽極と、
陰極と、
前記陽極及び前記陰極の間に設けられ、発光素子用組成物を含む有機層と、
を備え、
前記発光素子用組成物が、
式(FH)で表される化合物(A)と、
ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)と、
を含有し、
前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が、式(M1-1)及び式(M2-1)を満たす、発光素子。
400≦MA+MB≦2000 (M1-1)
0.30≦MA/(MA+MB)≦0.70 (M2-1)
Figure 0007245770000002

[式中、
1Hは、0以上の整数を表す。
Ar1Hは、芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子n1H個以上を除いた基を表し、この基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
1Hは、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R1Hが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、前記1価の複素環基は、前記縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、この基は置換基を有していてもよい。]
[2]
前記Ar1Hにおける前記芳香族炭化水素が、多環式の芳香族炭化水素である、[1]に記載の発光素子。
[3]
前記Ar1Hにおける前記多環式の芳香族炭化水素が、3環式、4環式又は5環式の芳香族炭化水素である、[2]に記載の発光素子。
[4]
前記化合物(B)が、式(1-1)で表される化合物、式(1-2)で表される化合物又は式(1-3)で表される化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の発光素子。
Figure 0007245770000003

[式中、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、-N(Ry)-で表される基を表す。
及びYは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryが複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Ryは、直接結合して又は連結基を介して、Ar、Ar又はArと結合していてもよい。]
[5]
前記Y及び前記Yが、-N(Ry)-で表される基である、[4]に記載の発光素子。
[6]
前記発光素子用組成物が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の発光素子。
[7]
式(FH)で表される化合物(A)と、
ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)と、
を含有し、
前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が、式(M1-1)及び式(M2-1)を満たす、発光素子用組成物。
400≦MA+MB≦2000 (M1-1)
0.30≦MA/(MA+MB)≦0.70 (M2-1)
Figure 0007245770000004

[式中、
1Hは、0以上の整数を表す。
Ar1Hは、芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子n1H個以上を除いた基を表し、この基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
1Hは、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R1Hが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、前記1価の複素環基は、前記縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、この基は置換基を有していてもよい。]
[8]
前記Ar1Hにおける前記芳香族炭化水素が、多環式の芳香族炭化水素である、[7]に記載の発光素子用組成物。
[9]
前記Ar1Hにおける前記芳香族炭化水素が、3環式、4環式又は5環式の芳香族炭化水素である、[8]に記載の発光素子用組成物。
[10]
前記化合物(B)が、式(1-1)で表される化合物、式(1-2)で表される化合物又は式(1-3)で表される化合物である、[7]~[9]のいずれかに記載の発光素子用組成物。
Figure 0007245770000005

[式中、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、-N(Ry)-で表される基を表す。
及びYは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryが複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Ryは、直接結合して又は連結基を介して、Ar、Ar又はArと結合していてもよい。]
[11]
前記Y及び前記Yが、-N(Ry)-で表される基である、[10]に記載の発光素子用組成物。
[12]
前記発光素子用組成物が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、[7]~[11]のいずれかに記載の発光素子用組成物。
[13]
式(FH)で表される化合物(A)、並びに、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)のうちの一方を準備する準備工程と、
前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が、式(M1-1)及び式(M2-1)を満たすように、前記化合物(A)及び前記化合物(B)のうちの他方を選別する選別工程と、
前記準備工程で準備された化合物及び前記選別工程で選別された化合物を混合して、発光素子用組成物を得る組成物製造工程と、
を含む、発光素子用組成物の製造方法。
400≦MA+MB≦2000 (M1-1)
0.30≦MA/(MA+MB)≦0.70 (M2-1)
Figure 0007245770000006

[式中、
1Hは、0以上の整数を表す。
Ar1Hは、芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子n1H個以上を除いた基を表し、この基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
1Hは、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R1Hが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、前記1価の複素環基は、前記縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、この基は置換基を有していてもよい。]
[14]
陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた有機層とを備える発光素子の製造方法であって、
[13]に記載の製造方法により発光素子用組成物を製造する第一工程と、
前記発光素子用組成物を含む有機層を、陽極及び陰極の間に配置する第二工程と、
を含む、発光素子の製造方法。
[15]
陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第一の有機層と、を備える第一の発光素子を準備する工程と、
前記第一の有機層を第二の有機層に置換した構造を有し、前記第一の発光素子より駆動電圧の低い第二の発光素子を製造する工程と、
を含み、
前記第一の有機層が、式(FH)で表される化合物(A)とホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)とを、前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が式(M1-1)及び式(M2-1)を満たさない組み合わせで含み、
前記第二の有機層が、前記化合物(A)と前記化合物(B)とを、前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が式(M1-1)及び式(M2-1)を満たす組み合わせで含む、
発光素子の製造方法。
400≦MA+MB≦2000 (M1-1)
0.30≦MA/(MA+MB)≦0.70 (M2-1)
Figure 0007245770000007

[式中、
1Hは、0以上の整数を表す。
Ar1Hは、芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子n1H個以上を除いた基を表し、この基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
1Hは、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R1Hが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、前記1価の複素環基は、前記縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、この基は置換基を有していてもよい。]
本発明によれば、駆動電圧が低い発光素子の製造に有用な組成物及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、当該組成物を含有する発光素子及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
「室温」とは、25℃を意味する。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10以下の化合物を意味する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10以上(例えば1×10~1×10)である重合体を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合、発光特性又は輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。高分子化合物の末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素-炭素結合を介して高分子化合物の主鎖と結合するアリール基又は1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~10である。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基及びドデシル基が挙げられる。また、アルキル基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってもよい。このようなアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基及び6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは4~10である。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基及びメチルシクロヘキシル基が挙げられる。
「アルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~20であり、好ましくは1~15であり、より好ましくは1~10である。アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基が挙げられる。
「シクロアルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~20であり、好ましくは4~10である。シクロアルキレン基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基が挙げられる。
「芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を「アリール基」ともいう。芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基を「アリーレン基」ともいう。
芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~40であり、より好ましくは6~20である。
「芳香族炭化水素基」は、例えば、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン及びインデン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン及びフルオレン等の3環式の芳香族炭化水素;ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン及びフルオランテン等の4環式の芳香族炭化水素;ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、ペリレン及びベンゾフルオランテン等の5環式の芳香族炭化水素;スピロビフルオレン等の6環式の芳香族炭化水素;並びに、ベンゾスピロビフルオレン及びアセナフトフルオランテン等の7環式の芳香族炭化水素が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。芳香族炭化水素基は、これらの基が複数結合した基を含む。芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは1~10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、及びラウリルオキシ基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~40であり、より好ましくは6~20である。アリールオキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、及びピレニルオキシ基が挙げられる。
「複素環基」とは、複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基である「芳香族複素環基」が好ましい。複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個(pは、1以上の整数を表す。)を除いた基を「p価の複素環基」ともいう。芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個を除いた基を「p価の芳香族複素環基」ともいう。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、アゾール、チオフェン、フラン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン及びカルバゾール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン及びベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~60であり、好ましくは2~40であり、より好ましくは3~20である。芳香族複素環基のヘテロ原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~30であり、好ましくは、1~10であり、より好ましくは、1~5であり、更に好ましくは1~3である。
複素環基としては、例えば、単環式の複素環式化合物(例えば、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアザベンゼン及びトリアジンが挙げられる。)、又は、多環式の複素環式化合物(例えば、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾジアゾール及びベンゾチアジアゾール等の2環式の複素環式化合物;ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、フェナザボリン、フェノホスファジン、フェノセレナジン、フェナザシリン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン及びジアザフェナントレン等の3環式の複素環式化合物;ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン及びベンゾナフトチオフェン等の4環式の複素環式化合物;ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール及びインデノカルバゾール等の5環式の複素環式化合物;カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール及びベンゾインデノカルバゾール等の6環式の複素環式化合物;並びに、ジベンゾインドロカルバゾール等の7環式の複素環式化合物が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。複素環基は置換基を有していてもよい。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基(即ち、第2級アミノ基又は第3級アミノ基、より好ましくは第3級アミノ基)が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。アミノ基が有する置換基が複数存在する場合、それらは同一で異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(メチルフェニル)アミノ基、及びビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは3~20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタトリエニル基、ノルボルニレニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2~20であり、好ましくは3~20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよい。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルキニル基としては、例えば、シクロオクチニル基が挙げられる。
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基である。架橋基としては、架橋基A群から選ばれる架橋基(即ち、式(XL-1)~式(XL-19)のいずれかで表される基)が好ましい。
(架橋基A群)
Figure 0007245770000008

[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するnXLは、同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋基であってもよい。なお、置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよいが、環を形成しないことが好ましい。
本明細書中、最低三重項励起状態のエネルギー準位と最低一重項励起状態のエネルギー準位との差の絶対値(以下、「ΔEST」ともいう。)の値の算出は、以下の方法で求められる。まず、B3LYPレベルの密度汎関数法により、化合物の基底状態を構造最適化する。その際、基底関数としては、6-31G*を用いる。そして、得られた構造最適化された構造を用いて、B3LYPレベルの時間依存密度汎関数法により、化合物のΔESTを算出する。但し、6-31G*が使用できない原子を含む場合は、該原子に対してはLANL2DZを用いる。なお、量子化学計算プログラムとしては、Gaussian09を用いて計算する。
<発光素子用組成物>
本実施形態の発光素子用組成物は、式(FH)で表される化合物(A)と、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)と、を含有する。
本実施形態の発光素子用組成物は、化合物(A)及び化合物(B)を、それぞれ1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本実施形態の発光素子用組成物において、化合物(A)はホスト材料であることが好ましく、化合物(B)はゲスト材料であることが好ましい。本実施形態において、ホスト材料は、ゲスト材料と物理的、化学的又は電気的に相互作用する材料である。この相互作用により、例えば、本実施形態の発光素子用組成物の発光特性、電荷輸送特性又は電荷注入特性を向上又は調整することが可能となる。
本実施形態の発光素子用組成物において、発光材料を一例として説明すれば、ホスト材料とゲスト材料とが電気的に相互作用し、ホスト材料からゲスト材料へ効率的に電気エネルギーを渡すことで、ゲスト材料をより効率的に発光させることができ、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなる。
化合物(B)を発光材料として用いる場合、化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は可視光領域であることが好ましい。この場合、化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは380nm以上であり、より好ましくは400nm以上であり、更に好ましくは420nm以上である。化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは750nm以下であり、より好ましくは620nm以下であり、更に好ましくは570nm以下であり、特に好ましくは495nm以下であり、とりわけ好ましくは480nm以下である。
また、化合物(B)を発光材料として用いる場合、化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは40nm以下であり、更に好ましくは30nm以下であり、特に好ましくは25nm以下である。
化合物の室温(25℃)における発光スペクトルの最大ピーク波長は、化合物を、キシレン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10-6質量%~1×10-3質量%)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。化合物を溶解させる有機溶媒としては、キシレンが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物において、化合物(B)の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、0.001~99質量部であり、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、0.005~70質量部であることが好ましく、0.01~50質量部であることがより好ましく、0.05~30質量部であることが更に好ましく、0.1~10質量部であることが特に好ましく、0.5~5質量部であることがとりわけ好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物において、化合物(A)の分子量(MA)は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、200以上であることが好ましい。化合物(A)の分子量が200以上であると、分子量(A)の安定性が向上するとともに、化合物(A)の酸化、還元又は分解等が抑制され、化合物(A)の酸化、還元又は分解等に起因する発光素子の駆動電圧の上昇が抑制されると考えられる。
また、本実施形態の発光素子用組成物において、化合物(A)の分子量(MA)は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、1500以下であることが好ましい。化合物(A)の分子量(MA)が1500以下であると、有機層の形成時に化合物(A)の層中での均一性がより向上し、有機層の膜質の低下等の影響による発光素子の駆動電圧の上昇が抑制されると考えられる。
上記の考えに基づき、本実施形態の発光素子の駆動電圧をより低下させる観点から、化合物(A)の分子量(MA)は、好ましくは300以上であり、より好ましくは400以上であり、更に好ましくは500以上である。また、分子量(MA)は、好ましくは1000以下であり、より好ましくは800以下であり、更に好ましくは700以下である。
なお、本実施形態の発光素子用組成物が化合物(A)を2種以上含有する場合、本実施形態の発光素子用組成物に含有される2種以上の化合物(A)のうち、少なくとも1つの分子量がMAを満たせばよいが、本実施形態の発光素子の駆動電圧をより低下させる観点から、2種以上の化合物(A)のうち、最も含有量の多い化合物(A)の分子量がMAを満たすことが好ましく、2種以上の化合物(A)の分子量の加重平均がMAを満たすことがより好ましく、2種以上の化合物(A)のすべての分子量がMAを満たすことが更に好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物において、化合物(B)の分子量(MB)は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、200以上であることが好ましい。化合物(B)の分子量が200以上であると、分子量(B)の安定性が向上するとともに、化合物(B)の酸化、還元又は分解等が抑制され、化合物(B)の酸化、還元又は分解等に起因する発光素子の駆動電圧の上昇が抑制されると考えられる。
また、本実施形態の発光素子用組成物において、化合物(B)の分子量(MB)は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、1500以下であることが好ましい。化合物(B)の分子量(MB)が1500以下であると、有機層の形成時に化合物(B)の層中での均一性がより向上し、有機層の膜質の低下等の影響による発光素子の駆動電圧の上昇が抑制されると考えられる。
上記の考えに基づき、本実施形態の発光素子の駆動電圧をより低下させる観点から、分子量(MB)は、好ましくは300以上であり、より好ましくは350以上であり、更に好ましくは400以上である。また、分子量(MB)は、好ましくは1350以下であり、より好ましくは1200以下であり、更に好ましくは1150以下である。
なお、本実施形態の発光素子用組成物が化合物(B)を2種以上含有する場合、本実施形態の発光素子用組成物に含有される2種以上の化合物(B)のうち、少なくとも1つの分子量がMBを満たせばよいが、本実施形態の発光素子の駆動電圧をより低下させる観点から、2種以上の化合物(B)のうち、最も含有量の多い化合物(B)の分子量がMBを満たすことが好ましく、2種以上の化合物(B)の分子量の加重平均がMBを満たすことがより好ましく、2種以上の化合物(B)のすべての分子量がMBを満たすことが更に好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物において、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)は、式(M1-1)及び式(M2-1)を満たす。
400≦MA+MB≦2000 (M1-1)
0.30≦MA/(MA+MB)≦0.70 (M2-1)
すなわち、本実施形態の発光素子用組成物において、MA+MBの値(MA及びMBの合計値)は、400以上2000以下である。MA+MBの値が400未満であると、化合物(A)及び/又は化合物(B)の安定性が低下して、酸化、還元又は分解等の問題が生じやすくなり、当該問題に起因して発光素子の駆動電圧が上昇する可能性があると考えられる。また、MA+MBの値が2000を超えると、相溶性の低下又は層中での均一性の低下により、有機層における化合物の偏在、又は、膜質の低下等の問題が生じやすくなり、当該問題に起因して発光素子の駆動電圧が上昇する可能性があると考えられる。
上記の考えに基づき、本実施形態の発光素子の駆動電圧をより低下させる観点から、MA+MBの値は、好ましくは500以上であり、より好ましくは650以上であり、更に好ましくは800以上であり、特に好ましくは900以上である。また、MA+MBの値は、好ましくは1900以下であり、より好ましくは1850以下であり、更に好ましくは1800以下であり、特に好ましくは1750以下である。
また、本実施形態の発光素子用組成物において、MA/(MA+MB)の値(化合物(A)の分子量と化合物(B)の分子量との合計に対する、化合物(A)の分子量の割合)は、0.30以上0.70以下である。MA/(MA+MB)の値が0.30未満であると、化合物(MA)と化合物(MB)との分子量の差が大きくなり、相溶性の低下又は層中での均一性の低下により、有機層における化合物の偏在、又は、膜質の低下等の問題が生じやすくなり、当該問題に起因して発光素子の駆動電圧が上昇する可能性があると考えられる。また、MA/(MA+MB)の値が0.70を超えると、化合物(MA)と化合物(MB)との分子量の差が大きくなり、相溶性の低下又は層中での均一性の低下により、有機層における化合物の偏在、又は、膜質の低下等の問題が生じやすくなり、当該問題に起因して発光素子の駆動電圧が上昇する可能性があると考えられる。
上記の考えに基づき、本実施形態の発光素子の駆動電圧をより低下させる観点から、MA/(MA+MB)の値は、好ましくは0.30以上0.65以下であり、より好ましくは0.30以上0.60以下である。
本実施形態の発光素子用組成物では、MA+MBの値、及び、MA/(MA+MB)の値が特定の範囲となるように化合物(A)及び化合物(B)を選択することで、駆動電圧の低い発光素子を実現可能となっている。
[化合物(A)]
化合物(A)は、式(FH)で表される化合物である。化合物(A)は、化合物(B)と異なる化合物であり、縮合複素環骨格(b)を有さない化合物である。
1Hは、通常、10以下の整数であり、式(FH)で表される化合物の合成が容易であるので、好ましくは7以下の整数であり、より好ましくは5以下の整数であり、更に好ましくは3以下の整数である。また、n1Hは、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、1以上の整数であることが好ましく、2以上の整数であることがより好ましい。
Ar1Hとしては、例えば、単環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子n1H個以上を除いた基(以下、「単環式の芳香族炭化水素基」ともいう。)、及び、多環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子n1H個以上を除いた基(以下、「多環式の芳香族炭化水素基」ともいう。)が挙げられ、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、多環式の芳香族炭化水素基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar1Hにおける芳香族炭化水素としては、例えば、前述の芳香族炭化水素基の項で説明した芳香族炭化水素が挙げられる。
Ar1Hにおける、単環式の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは6である。Ar1Hにおいて、単環式の芳香族炭化水素基における、単環式の芳香族炭化水素は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくはベンゼンである。
Ar1Hにおける、多環式の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、7~60であり、好ましくは8~40であり、より好ましくは10~30であり、更に好ましくは12~20である。Ar1Hにおいて、多環式の芳香族炭化水素基における多環式の芳香族炭化水素は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは2環式~7環式の芳香族炭化水素であり、より好ましくは3~5環式の芳香族炭化水素であり、更に好ましくはアントラセン、フェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン、フルオランテン、ペリレン又はベンゾフルオランテンであり、特に好ましくは、アントラセン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフルオレン、フルオランテン又はベンゾフルオランテンである。
Ar1Hが有していてもよい置換基としては、例えば、アリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基以外の置換基が挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、更に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
Ar1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のR1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
1Hは、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
1Hにおけるアリール基は、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2環式~4環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくはベンゼン、ナフタレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン又はベンゾフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくはフェニル基又はナフチル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
1Hにおける1価の複素環基において、縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物としては、前述の複素環基の項で説明した複素環式化合物の中で、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含まない複素環式化合物が挙げられる。R1Hにおける1価の複素環基は、好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2環式~4環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン又はベンゾナフトチオフェンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
1Hにおける置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基であるアリール基の例及び好ましい範囲は、R1Hにおけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基である1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、R1Hにおける1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
1Hが有していてもよい置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
1Hが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、R1Hにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、R1Hにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
化合物(A)としては、下記式で表される化合物が例示される。
Figure 0007245770000009
Figure 0007245770000010
Figure 0007245770000011
Figure 0007245770000012
式中、Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
[化合物(B)]
化合物(B)は、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物である。
化合物(B)において、縮合複素環骨格(b)に含まれる窒素原子のうち、少なくとも1つは、二重結合を形成していない窒素原子であることが好ましく、縮合複素環骨格(b)に含まれる窒素原子の全てが二重結合を形成していない窒素原子であることがより好ましい。
縮合複素環骨格(b)の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~60であり、好ましくは5~40であり、より好ましくは10~25である。
縮合複素環骨格(b)のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは2~15であり、より好ましくは2~10であり、更に好ましくは2~5であり、特に好ましくは2又は3である。
縮合複素環骨格(b)のホウ素原子数は、置換基のホウ素原子数を含めないで、通常1~10であり、好ましくは、1~5であり、より好ましくは1~3であり、更に好ましくは1である。
縮合複素環骨格(b)の窒素原子数は、置換基の窒素原子数を含めないで、通常1~20であり、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3であり、特に好ましくは2である。
縮合複素環骨格(b)は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは3~12環式縮合複素環骨格であり、より好ましくは3~6環式縮合複素環骨格であり、更に好ましくは5環式縮合複素環骨格である。
化合物(B)は、縮合複素環骨格(b)を含む複素環基(b’)を有する化合物ということもできる。
複素環基(b’)は、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む、多環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であってよく、該基は置換基を有していてもよい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基、アリール基又は置換アミノ基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における、アリール基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン又はフルオレンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における、1価の複素環基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン又はトリアジンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基又はシクロアルキル基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
「二重結合を形成していない窒素原子」とは、他の3つの原子とそれぞれ単結合で結合する窒素原子を意味する。
「環内に二重結合を形成していない窒素原子を含む」とは、環内に-N(-R)-(式中、Rは水素原子又は置換基を表す。)又は式:
Figure 0007245770000013

で表される基を含むことを意味する。
化合物(B)は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、熱活性化遅延蛍光(TADF)性化合物であることが好ましい。
化合物(B)のΔESTは、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは0.50eV以下である。また、化合物(B)のΔESTは、0.001eV以上であってもよく、0.01eV以上であってもよく、0.10eV以上であってもよく、0.20eV以上であってもよく、0.30eV以上であってもよく、0.40eV以上であってもよい。
化合物(B)は、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、式(1-1)、式(1-2)又は式(1-3)で表される化合物であることが好ましく、式(1-2)又は式(1-3)で表される化合物であることがより好ましく、式(1-2)で表される化合物であることが更に好ましい。
Ar、Ar及びArは、本実施形態の発光素子の駆動電圧がより低くなるので、好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素又は単環式、2環式若しくは3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、単環式の芳香族炭化水素又は単環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ピリジン又はジアザベンゼンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar、Ar及びArが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
及びYは、好ましくは、単結合、酸素原子、硫黄原子、-N(Ry)-で表される基又はメチレン基であり、より好ましくは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は-N(Ry)-で表される基であり、更に好ましくは、酸素原子、硫黄原子又は-N(Ry)-で表される基であり、特に好ましくは、-N(Ry)-で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
、Y及びYが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ryは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ryにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ryが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ryは、直接結合して又は連結基を介して、Ar、Ar又はArと結合していてもよいが、結合していないことが好ましい。連結基としては、例えば、-O-で表される基、-S-で表される基、-N(Ry)-で表される基、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及び2価の複素環基が挙げられ、好ましくは、-O-で表される基、-S-で表される基、-N(Ry)-で表される基又はメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
化合物(B)としては、下記式で表される化合物が例示される。
Figure 0007245770000014
Figure 0007245770000015
式中、Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
[その他の成分]
本実施形態の発光素子用組成物は、化合物(A)と、化合物(B)と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含有する組成物であってもよい。但し、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、化合物(A)及び化合物(B)とは異なる。
[インク]
化合物(A)と、化合物(B)と、溶媒とを含有する組成物(以下、「インク」と言う。)は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ-コート法、ノズルコート法等の湿式法を用いた発光素子の作製に好適である。インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、好ましくは25℃において1mPa・s~20mPa・sである。
インクに含まれる溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、多価アルコール系溶媒、アルコール系溶媒、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒が挙げられる。
インクにおいて、溶媒の配合量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1000質量部~100000質量部である。
溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・正孔輸送材料
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン及びトリニトロフルオレノン等の電子受容性部位が結合された化合物でもよい。
本実施形態の発光素子用組成物において、正孔輸送材料が含まれる場合、正孔輸送材料の配合量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1質量部~1000質量部である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・電子輸送材料
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
本実施形態の発光素子用組成物において、電子輸送材料が含まれる場合、電子輸送材料の配合量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1質量部~1000質量部である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・正孔注入材料及び電子注入材料
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
本実施形態の発光素子用組成物において、正孔注入材料及び/又は電子注入材料が含まれる場合、正孔注入材料及び電子注入材料の配合量は、各々、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1質量部~1000質量部である。
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・イオンドープ
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは1×10-5S/cm~1×10S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・発光材料
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、アントラセンジイル基及びピレンジイル基等のアリーレン基;芳香族アミンから2個の水素原子を取り除いてなる基等の芳香族アミン残基;並びに、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基及びフェノチアジンジイル基等の2価の複素環基を含む高分子化合物が挙げられる。
本実施形態の発光素子用組成物において、発光材料が含まれる場合、発光材料の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1質量部~1000質量部である。
発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・酸化防止剤
酸化防止剤は、化合物(A)及び化合物(B)と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
本実施形態の発光素子用組成物において、酸化防止剤が含まれる場合、酸化防止剤の配合量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、0.001質量部~10質量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
<膜>
本実施形態の膜は、上述の発光素子用組成物を含有する。本実施形態の膜は、発光素子における発光層として好適である。本実施形態の膜は、例えば、インクを用いて、湿式法により作製することができる。また、本実施形態の膜は、例えば、真空蒸着法等の乾式法により作製することができる。本実施形態の膜を乾式法により作製する方法としては、例えば、上述の発光素子用組成物を蒸着する方法、及び、化合物(A)及び化合物(B)を共蒸着する方法が挙げられる。
膜の厚さは、通常、1nm~10μmである。
<発光素子>
本実施形態の発光素子は、上述の発光素子用組成物を含有する。
本実施形態の発光素子は、例えば、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた上述の発光素子用組成物を含有する有機層と、を備えるものであってよい。
[層構成]
本実施形態の発光素子用組成物を含有する層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選ばれる1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、上述した膜の作製と同様の方法を用いて形成することができる。
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本実施形態の発光素子は、正孔注入性及び正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性及び電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層及び電子注入層の材料としては、本実施形態の発光素子用組成物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料及び電子注入材料等が挙げられる。
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料及び発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層及び発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
本実施形態の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法等の乾式法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法等の湿式法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法等の湿式法が挙げられる。積層する層の順番、数及び厚さは、例えば、発光効率、駆動電圧及び輝度寿命を勘案して調整する。
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
[用途]
本実施形態の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の光源、照明用の光源、有機EL照明、コンピュータ、テレビ及び携帯端末等の表示装置(例えば、有機ELディスプレイ及び有機ELテレビ)として好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の一側面は、上述の発光素子用組成物の製造方法に関するものであってよい。
一態様において、発光素子用組成物の製造方法は、化合物(A)及び化合物(B)のうちの一方を準備する準備工程と、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)が、式(M1-1)及び式(M2-1)を満たすように、化合物(A)及び化合物(B)のうちの他方を選別する選別工程と、準備工程で準備された化合物及び選別工程で選別された化合物を混合して、発光素子用組成物を得る組成物製造工程と、を含む、発光素子用組成物の製造方法(以下、「本実施形態の発光素子用組成物の製造方法」ともいう。)であってよい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法は、化合物(A)を準備する化合物(A)準備工程と、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)が、式(M1-1)及び式(M2-1)を満たすように、化合物(B)を選別する、化合物(B)選別工程と、化合物(A)準備工程で準備された化合物(A)と化合物(B)選別工程で選別された化合物(B)とを混合して、発光素子用組成物を得る組成物製造工程と、を含む、発光素子用組成物の製造方法(以下、「製造方法(1)」ともいう。)であってよい。
また、本実施形態の発光素子用組成物の製造方法は、化合物(B)を準備する化合物(B)準備工程と、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)が、式(M1-1)及び式(M2-1)を満たすように、化合物(A)を選別する、化合物(A)選別工程と、化合物(B)準備工程で準備された化合物(B)と化合物(A)選別工程で選別された化合物(A)とを混合して、発光素子用組成物を得る組成物製造工程と、を含む、発光素子用組成物の製造方法(以下、「製造方法(2)」ともいう。)であってよい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法は、MAの値を算出する工程を更に含んでいてもよい。
製造方法(1)においては、化合物(A)準備工程又は化合物(B)選別工程が、MAの値を算出する工程を更に含むことが好ましい。
製造方法(2)においては、化合物(A)選別工程が、MAの値を算出する工程を更に含むことが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法は、MBの値を算出する工程を更に含んでいてもよい。
製造方法(1)においては、化合物(B)選別工程が、MBの値を算出する工程を更に含むことが好ましい。
製造方法(2)においては、化合物(B)準備工程又は化合物(A)選別工程が、MBの値を算出する工程を更に含むことが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法は、MA+MBの値、及び、MA/(MA+MB)の値を算出する工程を更に含んでいてもよい。
製造方法(1)においては、化合物(B)選別工程が、MA+MBの値、及び、MA/(MA+MB)の値を算出する工程を更に含むことが好ましい。
製造方法(2)においては、化合物(A)選別工程が、MA+MBの値、及び、MA/(MA+MB)の値を算出する工程を更に含むことが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法において、化合物(B)のΔEstは0.50eV以下であることが好ましい。
製造方法(1)において、化合物(B)選別工程では、ΔEstが0.50eV以下である化合物(B)を選別することが好ましい。
製造方法(2)において、化合物(B)準備工程では、ΔEstが0.50eV以下である化合物(B)を準備することが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法において、化合物(B)の、25℃における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、50nm以下であることが好ましい。
製造方法(1)において、化合物(B)選別工程では、25℃における発光スペクトルの最大ピークの半値幅が50nm以下である化合物(B)を選別することが好ましい。
製造方法(2)において、化合物(B)準備工程は、25℃における発光スペクトルの最大ピークの半値幅が50nm以下である化合物(B)を準備することが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法において、化合物(B)の、25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は、380nm以上750nm以下であることが好ましい。
製造方法(1)において、化合物(B)選別工程では、25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長が380nm以上750nm以下である化合物(B)を選別することが好ましい。
製造方法(2)において、化合物(B)準備工程では、25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長が380nm以上750nm以下である化合物(B)を準備することが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法における組成物製造工程において、化合物を混合する方法は特に限定されない。混合方法としては、例えば、化合物(A)及び化合物(B)を上述のインクの項で説明した溶媒に溶解させて混合する方法、化合物(A)及び化合物(B)を固体状態で混合する方法、及び、化合物(A)及び化合物(B)を共蒸着により混合する方法等が挙げられる。
本実施形態の発光素子用組成物の製造方法により得られる発光素子用組成物としては、例えば、上述した<発光素子用組成物>の項で説明した発光素子用組成物が挙げられる。
また、本発明の他の一側面は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた有機層とを備える発光素子の製造方法に関するものであってよい。
一態様において、発光素子の製造方法は、本実施形態の発光素子用組成物の製造方法によって発光素子用組成物を製造する第一工程と、発光素子用組成物を含む有機層を、陽極及び陰極の間に配置する第二工程と、を含む。この態様によれば、駆動電圧の低い発光素子を容易に製造することができる。
この態様において、有機層の形成方法としては、例えば、上述した膜の作製と同じ方法を用いて形成することができる。また、本態様の発光素子の製造方法では、上述した<発光素子>の項で説明した製造方法を用いてもよい。また、本態様の発光素子の製造方法により得られる発光素子としては、例えば、上述した<発光素子>の項で説明した発光素子が挙げられる。
また、他の一態様において、発光素子の製造方法は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第一の有機層と、を備える第一の発光素子を準備する工程と、第一の有機層を第二の有機層に置換した構造を有し、第一の発光素子より駆動電圧の低い第二の発光素子を製造する工程と、を含む。この態様において、第一の有機層は、化合物(A)と化合物(B)とを、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)が式(M1-1)及び式(M2-1)を満たさない組み合わせで含む。また、第二の有機層は、化合物(A)と化合物(B)とを、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)が式(M1-1)及び式(M2-1)を満たす組み合わせで含む。
この態様において、発光素子の製造方法は、第一の発光素子を評価する評価工程を更に含んでいてよい。評価工程は、例えば、第一の発光素子の発光効率[lm/W]等を評価する工程であってよい。
この態様の製造方法によれば、第一の発光素子をベースにして、第一の発光素子より駆動電圧の低い第二の発光素子を容易に製造することができる。例えば、安価な化合物(A)及び化合物(B)の組み合わせを含む第一の発光素子で性能評価を行うことで、駆動電圧以外の性能が良好となる素子構成を検討し、次いで、第二の発光素子の製造を行うことで、当該性能と駆動電圧との双方に優れる発光素子を容易に製造することができる。
この態様において、第一の有機層及び第二の有機層の形成方法としては、例えば、上述した膜の作製と同じ方法を用いて形成することができる。また、本態様の第一の発光素子及び第二の発光素子の製造方法では、上述した<発光素子>の項で説明した製造方法を用いてもよい。また、本態様の発光素子の製造方法により得られる第一の発光素子及び第二の発光素子としては、例えば、上述した<発光素子>の項で説明した発光素子が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、化合物(A)の分子量(MA)及び化合物(B)の分子量(MB)は、ChemDraw Professional 16.0(ヒューリンクス社製)のMolecular Weightの値を用いて、算出した。
実施例において、化合物のΔESTの値の算出は、B3LYPレベルの密度汎関数法により、化合物の基底状態を構造最適化し、その際、基底関数としては、6-31G*を用いた。そして、量子化学計算プログラムとしてGaussian09を用いて、B3LYPレベルの時間依存密度汎関数法により、化合物のΔESTを算出した。
実施例において、化合物の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、FP-6500)により室温にて測定した。化合物をキシレンに、約8×10-4質量%の濃度で溶解させたキシレン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmの紫外(UV)光を用いた。
<化合物H1~H7及びG1~G7の入手及び合成>
化合物H1及び化合物G2は、Luminescence Technology社製を用いた。
化合物H2、化合物H4、化合物H6及び化合物H7は、国際公開第2017/170314号に記載の方法に従って合成した。
化合物H3は、国際公開第2017/038613号に記載の方法に準じて合成した。
化合物H5は、AK Scientific社製を用いた。
化合物G1及び化合物G3~G7は、国際公開第2015/102118号に記載の方法に準じて合成した。
Figure 0007245770000016
Figure 0007245770000017
Figure 0007245770000018
Figure 0007245770000019
Figure 0007245770000020
Figure 0007245770000021
化合物G1の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は453nmであった。化合物G1の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、22nmであった。化合物G1のΔESTは、0.457eVであった。
化合物G2の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は452nmであった。化合物G2の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、22nmであった。化合物G2のΔESTは、0.494eVであった。
化合物G3の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は445nmであった。化合物G3の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、19nmであった。化合物G3のΔESTは、0.448eVであった。
化合物G4の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は440nmであった。化合物G4の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、20nmであった。化合物G4のΔESTは、0.471eVであった。
化合物G5の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は467nmであった。化合物G5の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、20nmであった。化合物G5のΔESTは、0.457eVであった。
化合物G6の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は452nmであった。化合物G6の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、22nmであった。化合物G6のΔESTは、0.447eVであった。
化合物G7の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は444nmであった。化合物G7の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、19nmであった。化合物G7のΔESTは、0.475eVであった。
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚さでITO膜を付けることにより、陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND-3202(日産化学工業製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜した。正孔注入層を積層した基板を大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
キシレンに高分子化合物HTL-1を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。なお、高分子化合物HTL-1は、国際公報第2014/102543号のポリマー実施例1の高分子化合物である。
(発光層の形成)
トルエンに、化合物H5及び化合物G2(化合物H5/化合物G2=99質量%/1質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、陰極を形成した基板をガラス基板で封止することにより、発光素子D1を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。100mA/cmにおける駆動電圧[V]を測定した。結果を表1に示す。
<実施例D2~D28及び比較例CD1~CD4> 発光素子D2~D28及びCD1~CD4の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)における「化合物H5及び化合物G2(化合物H5/化合物G2=99質量%/1質量%)」に代えて、表1に記載の材料を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2~D28及びCD1~CD4を作製した。
発光素子D2~D28及びCD1~CD4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。100mA/cmにおける駆動電圧[V]を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007245770000022

Claims (11)

  1. 第一の発光素子用組成物を含む第一の有機層を用いて発光素子の素子構成を選別する選別工程と、
    選別された前記素子構成における前記第一の有機層と置換して、前記素子構成を有する発光素子より駆動電圧の低い発光素子を製造するための第二の有機層を形成するための第二の発光素子用組成物を製造する製造工程と、
    を含み、
    前記第一の発光素子用組成物が、式(FH)で表される化合物(A)とホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)とを、前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が式(M1-1)及び式(M2-1)を満たさない組み合わせで含み、
    前記第二の発光素子用組成物が、式(FH)で表される化合物(A)とホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)とを、前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が式(M1-1)及び式(M2-1)を満たす組み合わせで含み、
    前記化合物(B)が、式(1-2)で表される化合物又は式(1-3)で表される化合物である、
    発光素子用組成物の製造方法。
    400≦MA+MB≦2000 (M1-1)
    0.30≦MA/(MA+MB)≦0.70 (M2-1)
    Figure 0007245770000023

    [式中、
    1Hは、0以上の整数を表す。
    Ar1Hは、芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子n1H個以上を除いた基を表し、この基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
    1Hは、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R1Hが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、前記1価の複素環基は、前記縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、この基は置換基を有していてもよい。]
    Figure 0007245770000024

    [式中、
    Ar 、Ar 及びAr は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
    は、-N(Ry)-で表される基を表す。
    及びY は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryが複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。Ryは、直接結合して又は連結基を介して、Ar 、Ar 又はAr と結合していてもよい。]
  2. 前記製造工程が、
    式(FH)で表される化合物(A)並びにホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物(B)のうちの一方を準備する準備工程と、
    前記化合物(A)の分子量(MA)及び前記化合物(B)の分子量(MB)が前記式(M1-1)及び前記式(M2-1)を満たすように、前記化合物(A)及び前記化合物(B)のうちの他方を選別する選別工程と、
    前記準備工程で準備された化合物及び前記選別工程で選別された化合物を混合して、前記第二の発光素子用組成物を得る組成物製造工程と、
    を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記組成物製造工程が、前記第一の発光素子用組成物における前記化合物(A)及び前記化合物(B)の組成比に基づいて決定された組成比で、前記準備工程で準備された化合物及び前記選別工程で選別された化合物を混合する工程である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記準備工程が、前記第一の発光素子用組成物に含まれる前記化合物(A)及び前記化合物(B)のうちの一方を準備する工程である、請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 前記準備工程が、前記第一の発光素子用組成物に含まれる前記化合物(A)を準備する工程であり、
    前記選別工程が、前記準備工程で準備された前記化合物(A)との組み合わせが、前記式(M1-1)及び前記式(M2-1)を満たすような、前記化合物(B)を選別する工程であり、
    前記組成物製造工程が、前記第一の発光素子用組成物における前記化合物(B)を前記選別工程で選別された化合物(B)で置き換えた組成比で、前記準備工程で準備された化合物(A)と選別工程で選別された化合物(B)とを混合する工程である、
    請求項2~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記準備工程が、前記第一の発光素子用組成物に含まれる前記化合物(B)を準備する工程であり、
    前記選別工程が、前記準備工程で準備された前記化合物(B)との組み合わせが、前記式(M1-1)及び前記式(M2-1)を満たすような、前記化合物(A)を選別する工程であり、
    前記組成物製造工程が、前記第一の発光素子用組成物における前記化合物(A)を前記選別工程で選別された化合物(A)で置き換えた組成比で、前記準備工程で準備された化合物(B)と選別工程で選別された化合物(A)とを混合する工程である、
    請求項2~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記Ar1Hにおける前記芳香族炭化水素が、多環式の芳香族炭化水素である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記Ar1Hにおける前記多環式の芳香族炭化水素が、3環式、4環式又は5環式の芳香族炭化水素である、請求項に記載の製造方法。
  9. 前記化合物(B)が、式(1-2)で表される化合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記Y及び前記Yが、-N(Ry)-で表される基である、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記第一の発光素子用組成物及び前記第二の発光素子用組成物が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
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