実施の形態.
まず、図1~図8を参照して、本実施の形態1における酸素カプセル10の全体的な構成例について説明する。酸素カプセル10は、筒状に形成された本体部20と、本体部20の一方の開口を開閉可能に取り付けられた第1扉30と、本体部20の他方の開口を開閉可能に取り付けられた第2扉40と、を有している。なお、図1~図3では、第1扉30及び第2扉40が閉じた状態を示している。
図1~図3に示す各方向については、x軸方向を前後方向とし、y軸方向を左右方向とし、z軸方向を上下方向とする。特に、x軸正側を前側とし、z軸正側を上側とする。酸素カプセル10は、動物が第1扉30側から入室し、第2扉40側から退出することを想定した構成を採っている。すなわち、酸素カプセル10での動物の進行方向はy軸正方向となる。後述する他の各図についても同様である。また、各図では、図面の煩雑化を避ける等の意図で、各構成部材を示す符号の一部を省略することがある。後述する他の各図についても同様である。本実施の形態では、酸素カプセル10に入室させる動物として馬を想定している。
ここで、本体部20の外郭部分を中央本体20Aとし、第1扉30の外郭部分を一端扉本体30Aとし、第2扉40の外郭部分を他端扉本体40Aとする。そして、中央本体20Aと一端扉本体30Aと他端扉本体40Aとを組み合わせた構成をカプセル本体10Aともいう。カプセル本体10Aは、一端扉本体30A及び他端扉本体40Aが閉じた状態で、全体がカプセル状となるよう形成されている。カプセル状とは、筒状の両端が閉塞された態様である。筒状には、断面視で円形状又は長丸形状(楕円形状など)となる円筒状、又は断面視で多角形状となる角筒状などを含む。カプセル本体10Aは、例えば、ステンレスを主たる材料として形成される。
本体部20は、その底部に設けられた台座部22により支持されている。図1及び図2では、第1扉30側と第2扉40側との2箇所に台座部22が設けられた例を示している。台座部22は、例えばステンレス製で、溶接等により本体部20に接続されている。本体部20は、出入り用の開口である出入穴20hが形成されている。本実施の形態において、出入穴20hは、酸素カプセル10の内部へ馬を誘導するユーザが出入りするためのものである。出入穴20hの箇所には、出入穴20hの開閉と、カプセル本体10Aの密閉性の確保が可能なドア部15が設けられている。図1には、ドア部15の構成部材であるドア本体1の一部が示されている。ドア部15は、ドア本体1を本体部20に固定するためのロック機構部8を有している。詳細については後述する。
ドア本体1は、出入穴20hの閉塞が可能となるように形成されている。すなわち、ドア本体1は、出入穴20hの縁よりもひとまわり程度大きな外周を有する前壁部1aを有している。前壁部1aには、カプセル内部を視認可能とするため、例えばポリカーボネートなどの樹脂により形成された窓Wが設けられている。窓Wの形状及びサイズは、各図の例に限らず、適宜変更することができる。もっとも、前壁部1aは、窓Wを設けずに構成してもよい。また、前壁部1aには、1又は複数の外取っ手1fが取り付けられる。各図では、前壁部1aの両サイドに、外取っ手1fが2つずつ設けられた例を示しているが、外取っ手1fの数、配置、及び形状は、各図の例に限定されない。
図1等に示すように、本体部20は、ドア部15からのユーザの出入りを補助するための昇降補助部25を有していてもよい。昇降補助部25は、例えば、梯子状に形成される昇降部25aと、本体部20の外壁における出入穴20hの直下に取り付けられる足場25bと、により構成される。昇降部25aは、取り外し可能な構成としてもよく、足場25bは設けなくてもよい。
図1及び図2に示すように、本体部20は、第1扉30側の端部に第1フランジ21aが形成されており、第2扉40側の端部に第2フランジ21bが形成されている。第1扉30は、閉じた状態で第1フランジ21aに当接する扉フランジ31が、外周部に形成されている。第2扉40は、閉じた状態で第2フランジ21bに当接する扉フランジ41が、外周部に形成されている。ここで、第1扉30及び第2扉40については「扉」と総称することがあり、扉フランジ31及び扉フランジ41については「扉フランジ」と総称することがあり、第1フランジ21a及び第2フランジ21bについては「本体フランジ」と総称することがある。
本実施の形態において、第1フランジ21aの扉フランジ31に対向する面には、第1フランジ21aと扉フランジ31との間からのエア漏れ防止用のシール部材P(図6参照)が取り付けられている。すなわち、第1扉30は、閉じた状態において、シール部材Pを介して扉フランジ31に当接する。同様に、第2フランジ21bの扉フランジ41に対向する面には、第2フランジ21bと扉フランジ41との間からのエア漏れ防止用のシール部材P(図5参照)が取り付けられている。すなわち、第2扉40は、閉じた状態において、シール部材Pを介して扉フランジ41に当接する。もっとも、シール部材Pは、扉フランジの、本体フランジと対向する面に取り付けてもよい。また、シール部材Pは、本体フランジと扉フランジとの双方に取り付けてもよく、この場合は、本体フランジ側のシール部材Pの位置と、扉フランジ側のシール部材Pの位置とをずらすとよい。
酸素カプセル10は、図2に例示するように、各扉の開閉に関する処理を行う開閉処理装置70などが設けられる制御箱70xを有している。また、酸素カプセル10は、図1に例示するように、第1扉30の開閉動作をコントロールするための第1開閉操作部75Aと、第2扉40の開閉動作をコントロールするための第2開閉操作部75Bと、を有している。第1開閉操作部75A及び第2開閉操作部75Bについては「開閉操作部75」と総称することがある。酸素カプセル10は、カプセル本体10Aの内部の圧力上昇に関する操作を受け付けるオペレートユニット80を有している。以降では、カプセル本体10Aの内部のことを「カプセル内部」ともいう。
酸素カプセル10は、図2に例示するように、カプセル内部に空気を供給する加圧ユニット90と、カプセル内部に酸素を供給する酸素供給ユニット95と、を有している。加圧ユニット90は、例えば、圧縮空気を生成するエアコンプレッサを備えた複数の加圧手段91により構成される。複数の加圧手段91は、オペレートユニット80により制御され、カプセル内部の圧力が設定圧力となるように圧縮空気を送り込む。加圧ユニット90は、カプセル内部の圧力を高めることにより、ケア対象の動脈血酸素分圧(PaO2)を上昇させ、ケア対象の血中に溶け込む酸素の量を増やすためのものである。加圧ユニット90は、1つの加圧手段91が、オペレートユニット80からの指令に応じて全ての加圧手段91の動作を統括的に制御するよう構成してもよい。図2では、各加圧手段91が下方載置部24に置かれた例を示しているが、これに限らず、各加圧手段91の配置は適宜変更することができる。加圧手段91の数も適宜変更することができる。
酸素供給ユニット95は、例えば酸素濃縮器からなる複数の酸素供給手段96により構成される。酸素濃縮器は、空気の成分中の窒素を吸着して酸素濃度の高い空気(例えば50%以上の酸素濃度の空気)を生成する機能を有すると共に、生成した高酸素濃度の空気(高濃度酸素)をカプセル内部へ供給するものである。酸素供給ユニット95は、カプセル内部のケア対象に高濃度酸素を吸引させ、該ケア対象の血中酸素濃度をさらに上昇させるためのものである。したがって、カプセル内部には、高濃度酸素がケア対象に向けて吐出されるよう配置されたノズルなどを設けるとよい。各酸素供給手段96は、吐出する空気の酸素濃度の調整が可能となっており、電源の投入により起動するようになっている。図2では、各酸素供給手段96が酸素カプセル10の設置面に置かれた例を示しているが、これに限らず、各酸素供給手段96の配置は適宜変更することができる。各酸素供給手段96の数も適宜変更することができる。なお、酸素カプセル10は、酸素供給ユニット95を設けずに構成してもよい。
本体部20の上側の領域には、前方(図1参照)及び後方(図2参照)の双方に、複数の第1穴h1が形成されている。各図では、複数の第1穴h1が一列に並んでいる例を示している。第1穴h1には、例えばリリーフバルブからなる安定化バルブVaが設けられている。安定化バルブVaは、カプセル内部が設定圧力になると、空気を外部へ逃がして圧力を開放し、内圧を安定させるものである。設定圧力は、例えば1.3気圧に設定され、適宜変更することができる。
本体部20の下側の領域には、前方(図1参照)及び後方(図2参照)の双方に、複数の第2穴h2が形成されている。図1の例において、本体部20の前方には、出入穴20hを挟んで第1扉30側の領域と第2扉40側の領域とのそれぞれに、複数の第2穴h2が形成されている。第2穴h2には、加圧ユニット90又は酸素供給ユニット95が接続される。
より具体的に、幾つかの第2穴h2には、加圧手段91から延びる空気管(図示せず)が連結される。空気管は、例えばエアホースからなり、加圧手段91から吐出される空気をカプセル内部へ供給するものである。また、幾つかの第2穴h2には、酸素供給手段96から延びる酸素管(図示せず)が連結される。酸素管は、例えばエアホースからなり、酸素供給手段96から吐出される高濃度酸素をカプセル内部へ供給するものである。
図1及び図2の例では、破線の長方形で囲われた幾つかの第2穴h2が空気管を介して加圧手段91に連結され、破線の角丸長方形で囲われた幾つかの第2穴h2が酸素管を介して酸素供給手段96に連結され、それ以外の第2穴h2は予備として確保されている。予備の第2穴h2には、空気漏れを防ぐために栓が取り付けられる。
第2穴h2の数、加圧手段91の数、及び酸素供給手段96の数は、任意に設定し、適宜変更することができる。また、加圧手段91及び酸素供給手段96を連結する第2穴h2の位置についても、任意に設定し、適宜変更することができる。ただし、酸素供給手段96は、動物の顔が配置される側、つまり本体部20の第2扉40側の第2穴h2に連結する方が望ましい。酸素は、動物の皮膚からも吸収されるが、主としては、動物の鼻や口から体内へ吸収されるためである。すなわち、動物の出口となる第2扉40側の第2穴h2に酸素供給手段96を連結することにより、動物による酸素の吸収を促進することができる。
また、本体部20には、隣接して配置された第3穴h3と第4穴h4との組み合わせが複数形成されている。第3穴h3には、本体部20の内側から操作可能な減圧バルブVbが設けられており、第4穴h4には、本体部20の外側から操作可能な減圧バルプVcが設けられている。減圧バルブVb及び減圧バルプVcは、例えば、レバー等の操作により開閉可能な手動式の空気抜き弁により構成される。減圧バルブVb及び減圧バルプVcは、カプセル内部の圧力を可及的速やかに低減させたい場合などに用いられる。
図2及び図3に示すように、酸素カプセル10は、第1開閉機構部60Aと第2開閉機構部60Bとを有している。第1開閉機構部60Aは、本体部20と第1扉30とを連結すると共に、第1扉30を開閉するためのものである。第2開閉機構部60Bは、本体部20と第2扉40とを連結すると共に、第2扉40を開閉するためのものである。本実施の形態において、本体部20には、第1開閉機構部60Aの下方と、第2開閉機構部60Bの下方とのそれぞれに、補助脚部23が設けられている。補助脚部23は溶接等によって本体部20に接続されている。第1開閉機構部60A及び第2開閉機構部60Bは、それぞれ、本体側基部61と、端固定部62と、中央固定部63と、回動支持部64と、回転軸65と、扉側基部68と、アーム部69と、を有している。
本体側基部61は、本体部20における、第1扉30側の箇所と、第2扉40側の箇所とのそれぞれに、溶接などによって接続されている。端固定部62は、本体側基部61の両端部のそれぞれに配設され、回動支持部64が取り付けられている。中央固定部63は、本体側基部61の扉側における、上下方向の中央の箇所に接続されており、上側の回転軸65を支持する回動支持部64と、下側の回転軸65を支持する回動支持部64とが取り付けられている。回動支持部64は、ベアリングを含んで構成され、回転軸65を回転自在に支持するものである。回転軸65は、後述する第1駆動機構部50A又は第2駆動機構部50Bの動作に連動して回転する。
扉側基部68は、第1扉30と第2扉40との各々に、溶接などにより接続されている。アーム部69は、扉側基部68に接続されると共に、回転軸65に連結されている。図2に例示する第1開閉機構部60A及び第2開閉機構部60Bは、それぞれ、2つのアーム部69を有しており、各アーム部69は、それぞれ、1つの回転軸65に連結されている。かかる構成により、第1扉30及び第2扉40は、それぞれ、回転軸65の回転に連動して開閉する。第1開閉機構部60A及び第2開閉機構部60Bについては「開閉機構部60」と総称することがある。
図2及び図3に示すように、酸素カプセル10は、第1扉30を開閉する動力源となる電動機を含む第1駆動機構部50Aと、第2扉40を開閉する動力源となる電動機を含む第2駆動機構部50Bと、を有している。本実施の形態において、第1駆動機構部50A及び第2駆動機構部50Bは、それぞれ、例えばギアドモータからなる電動機を備えた駆動部51と、駆動部51の動力を回転軸65に伝達する伝達部52と、を有している。各駆動部51は、上側載置部18に配設されている。伝達部52は、カバー53により覆われている。
伝達部52は、例えば、駆動部51の動作に連動して回転する第1歯車と、第1歯車にベルト又はチェーン等を介して連結された第2歯車と、を有する構成を採ることができる。この場合、第2歯車は、第1歯車の回転に連動し、回転軸65に動力を伝達する。上記のような構成により、第1駆動機構部50Aの駆動部51の動作に連動して回転軸65が回転し、第1扉30が開閉する(図3の双方向矢印参照)。また、第2駆動機構部50Bの駆動部51の動作に連動して回転軸65が回転し、第2扉40が開閉する(図3の双方向矢印参照)。第1駆動機構部50A及び第2駆動機構部50Bについては「駆動機構部50」と総称することがある。
酸素カプセル10は、第1扉30の下端部に設けられた開閉支持部32と、第2扉40の下端部に設けられた開閉支持部42と、を有している。開閉支持部32は、一端部が扉フランジ31の下部などに接続される棒状の脚部32aと、脚部32aの他端部に連結される車輪部32bと、を有している。開閉支持部42は、一端部が扉フランジ41のなどに接続される棒状の脚部42aと、脚部42aの他端部に連結される車輪部42bと、を有している。車輪部32b及び車輪部42bは、固定キャスター、自在キャスター、又はオムニホイールなどにより構成される。本実施の形態では、車輪部32b及び車輪部42bとして、2つの車輪を有する固定キャスターを例示している(図4参照)。かかる構成を採ることで、ある程度重量のある第1扉30及び第2扉40についても、安定的に支持し、動かすことができる。開閉支持部32及び開閉支持部42については「開閉支持部」と総称することがあり、車輪部32b及び車輪部42bについては「車輪部」と総称することがある。
酸素カプセル10は、第1扉30及び第2扉40のそれぞれに対応づけられた複数の締結手段を有している。締結手段は、本体部20に第1扉30を密着させるため、もしくは本体部20に第2扉40を密着させるために機能する。すなわち、酸素カプセル10は、第1扉30に対応づけられた複数の締結手段により、本体部20における第1フランジ21aの外面と、第1扉30における扉フランジ31の内面とを密着させることができる。同様に、酸素カプセル10は、第2扉40に対応づけられた複数の締結手段により、本体部20における第2フランジ21bの外面と、第2扉40における扉フランジ41の内面とを密着させることができる。これらによって、カプセル本体10Aの密封性を確保することができる。
本実施の形態における酸素カプセル10は、各図に例示するように、締結手段として、第1扉30と第2扉40とのそれぞれに対応づけられた、複数の主締結手段11と、複数の補助締結手段12と、を有している。主締結手段11は、固定部11aと、回動支持部11bと、軸部11cと、ハンドル部11dと、を有している。複数の主締結手段11は、一定の間隔をあけて均等に配置されている。
固定部11aは、各扉における扉フランジの近傍に接続されている。固定部11aは、扉フランジの外縁にも接続される構成を採ってもよい。固定部11aは、扉フランジから外側へ延伸するように形成され、先端部に切欠きが形成されている。回動支持部11bは、本体部20の側面であって、各本体フランジと隣接する位置に接続されている。回動支持部11bは、本体フランジの外縁にも接続される構成をとってもよい。回動支持部11bは、先端部に、軸部11cを回動自在に連結する支軸が設けられている。固定部11aと回動支持部11bとは、同程度の高さとなるように形成される。
軸部11cは、一端部が回動支持部11bの支軸に回動自在に連結されており、固定部11aの切欠きに挿入される。例えば、軸部11cは、ハンドル部11d側の一部に螺旋状のネジ山が形成されており、ハンドル部11dが回転可能に連結されている。ハンドル部11dは、中央の箇所に、軸部11cのネジ山に適合する螺旋状のネジ穴が形成されており、該ネジ穴が軸部11cのネジ山と係合するように取り付けられる。
より具体的に、ハンドル部11dは、ユーザによって握られて操作される把持部11eと、把持部11eに連結され、把持部11eと共に軸部11c上を移動する押圧部11fと、把持部11eに連結され、把持部11eによる締め付けを補強するためのソケット部11gと、を有している。本実施の形態におけるソケット部11gは、先端に、トルクレンチ等との係合が可能な先端形状を有している。したがって、ソケット部11gの先端にトルクレンチのヘッド部分などを差し込むことにより、把持部11eによる締め付けを補強することができる。ソケット部11gの先端は、突形状のものであってもよく、溝状のものであってもよい。ユーザは、ハンドル部11dを回転させる等により、押圧部11fを介して固定部11aを本体部20側へ押しやり、扉フランジを本体フランジに密着させることができる。なお、下方の主締結手段11については、スペース及び操作性の観点から、ハンドル部11dが把持部11eを有しない構成を採っている。したがって、押圧部11fは、ソケット部11gの回転に伴って軸部11c上を移動する。
主締結手段11には、主締結手段11が開放状態であるか否かを検知する検知手段11sが設けられている(図6及び図21等参照)。主締結手段11の開放状態とは、図4及び図5のように、軸部11cが回動支持部11bの切欠きから外れ、かつ本体部20側に一定以上倒れている状態のことをいう。これに対し、主締結手段11について、軸部11cが回動支持部11bの切欠きに挿入され、かつハンドル部11dによって締め付けられている状態を締結状態という。補助締結手段12の開放状態及び締結状態は、主締結手段11の開放状態及び締結状態と同様に定義される。
検知手段11sとしては、圧力センサ、光センサ、赤外線センサ、磁気センサなど、種々のセンサを採用することができる。図7に例示する検知手段11sは、主締結手段11が開いた状態、つまり軸部11cが切欠きから外れている状態のときにONとなり、主締結手段11が閉じた状態、つまり軸部11cが切欠きに挿入された状態でOFFとなるように構成され、配置されている。なお、図7では、検知手段11sを例示するため、一部の固定部11aを省略している。検知手段11sは、主締結手段11が開いているか否かを示す検知データを開閉処理装置70へ送信する。検知手段11sは、例えば、主締結手段11の開閉状態が切り替わったタイミングで、開閉処理装置70へ検知データを送信するようにしてもよい。
補助締結手段12は、主締結手段11による、各扉を本体部20側に押し付ける力を補強すると共に、各扉の外側へ向かう力を分散させる。補助締結手段12は、固定部12aと、回動支持部12bと、軸部12cと、アシストハンドル12dと、を有している。補助締結手段12は、例えば、2つの主締結手段11の間に配設される。なお、本実施の形態において、検知手段11sは、主締結手段11だけに取り付けられ、補助締結手段12には取り付けられていない。
固定部12aは、各扉における扉フランジの近傍に接続されている。固定部12aは、扉フランジの外縁にも接続される構成を採ってもよい。固定部12aは、扉フランジから外側へ延伸するように形成され、先端部に切欠きが形成されている。回動支持部12bは、本体部20の側面であって、各本体フランジと隣接する位置に接続されている。回動支持部12bは、本体フランジの外縁にも接続される構成を採ってもよい。回動支持部12bは、先端部に、軸部12cを回動自在に連結する支軸が設けられている。固定部12aと回動支持部12bとは、同程度の高さとなるように形成されている。
軸部12cは、一端部が回動支持部12bの支軸に回動自在に連結されている。軸部12cは、アシストハンドル12d側の一部に螺旋状のネジ山が形成されており、アシストハンドル12dが回転可能に連結されている。アシストハンドル12dは、中央の箇所に、軸部12cのネジ山に適合する螺旋状のネジ穴が形成されており、該ネジ穴が軸部12cのネジ山と係合するように取り付けられる。アシストハンドル12dは、回転させることにより内端が固定部12aを本体部20側へ押しやり、扉フランジと本体フランジとの密着性向上をサポートする。アシストハンドル12dは、ソケット部11gと同様、先端部に、トルクレンチ等との係合が可能な先端形状を有していてもよい。
各図の例において、第1扉30には、相対的に高い位置に設けられた締結手段を操作するための足場部35が取り付けられている。ユーザは、取り外し可能な梯子部36を使用して、足場部35に昇降することができる。第2扉40には、相対的に高い位置に設けられた締結手段を操作するための足場部45が取り付けられている。ユーザは、取り外し可能な梯子部46を使用して、足場部45に昇降することができる。
図1~図3のように、全ての締結手段が閉じた状態から、図4のように、全ての締結手段が開放状態になると、開閉操作部75を用いて、図5のように扉を開くことができる。本体部20における内側の下部には、前後方向の中央に左右方向に沿って形成された平坦部R1と、前後方向の両サイドに左右方向に沿って形成された断面L字状の段部R2と、が設けられている。例えば、平坦部R1は、動物用の領域として使用され、段部R2は、人用の領域として使用される。もっとも、段部R2は、片側にだけ設けられてもよい。また、酸素カプセル10は、段部R2を設けずにその分、平坦部R1を拡張してもよい。なお、図4及び図5では、第2扉40側を例示しているが、第1扉30側に現れる各構成も、図4及び図5の例と同様である。
馬Hは、図6のように第1扉30を開いた状態で、本体部20の内部へ入室させる。その際、本体部20と設置面との段差を解消するため、図6に例示するような可動式のスロープ100を用いるとよい。図6では省略しているが、通常は人が馬Hを本体部20の内部へ誘導する。馬Hを本体部20に入室させた後、ユーザは、第1開閉操作部75Aを用いて第1扉30を閉じる。馬Hを本体部20の内部に誘導したユーザは、通常、馬Hと共にカプセル内部に残る。そのため、第1開閉操作部75Aの操作は、別のユーザが行うとよい。
図7のように第1扉30を閉じた状態において、ユーザが、図8のように主締結手段11を閉じ、ハンドル部11dを回すと、ハンドル部11dの回転方向に応じて押圧部11fが、回動支持部11b側へ、もしくはその逆側へ移動する。主締結手段11は、例えば、ハンドル部11dを右回転させると回動支持部11b側へ移動し、固定部11aを本体部20側へ押しつけるように構成することができる。同様、図7のように第1扉30を閉じた状態において、ユーザが、図8のように補助締結手段12を閉じ、アシストハンドル12dを回すと、回転方向に応じてアシストハンドル12dが、回動支持部12b側へ、もしくはその逆側へ移動する。補助締結手段12は、例えば、アシストハンドル12dを右回転させると回動支持部12b側へ移動し、固定部12aを本体部20側へ押しつけるように構成することができる。第2扉40を閉じ、第2扉40側の主締結手段11及び補助締結手段12を閉じる際の処理も、第1扉30の場合と同様である。
次に、図9~図19を参照して、ドア部15の具体的な構成例について説明する。図6のように馬Hを本体部20へ誘導したユーザは、馬Hを安心させる意味でも通常、第1扉30が閉じられ、全ての締結手段が締結状態となるまで、カプセル本体10Aの内部にいる。したがって、該ユーザは、図9のように、開状態のドア部15、つまり出入穴20hから外へ出る。ドア部15が開状態の場合、図10のように、出入穴20hからカプセル内部の馬Hを視認することができ、馬Hの状態を確認することができる。
ここで、図11の分解斜視図を参照し、ドア部15を構成する各構成部材の具体例について説明する。ドア部15は、例えば、ステンレスを主たる材料として形成される。図11に示すように、ドア部15は、出入穴20hの閉塞が可能となるよう形成された前壁部1aを含むドア本体1と、ドア本体1を第1方向にスライドさせる第1摺動機構2と、ドア本体1を第1方向に対し垂直な方向である第2方向にスライドさせる第2摺動機構3と、を有している。第1方向は、前壁部1aをカプセル本体10Aの内壁面に対し真っ直ぐに、つまり最短距離で行き来させる方向である。本実施の形態において、第1方向は、前壁部1aの前面を本体部20の内壁面に対し真っ直ぐに往来させる方向であり、前後方向に相当する。したがって、第1方向に対し直交する第2方向は、左右方向又は上下方向となるが、本実施の形態の第2方向は、左右方向に相当する。また、ドア部15は、一端ベース部4と、他端ベース部5と、を有している。
ドア本体1は、前壁部1aと、一端取付部1bと、他端取付部1cと、を有している。前壁部1aは、本体部20の側壁に沿うように形成されている。前壁部1aは、出入穴20hを完全に塞ぐことができるよう、外周部分が出入穴20hの縁よりも大きくなっている。各図において、前壁部1aの外周部分は、一方の側端部と、一端取付部1bとの接続部分と、他方の側端部と、他端取付部1cとの接続部分とを繋いだ部分に相当する。
一端取付部1bは、前壁部1aの下端部から水平方向に延びる板状の平板部1mを有している。一端取付部1bは、図11のように、平板部1mの前壁部1aとは反対側の端部から下方に延びるフランジ部1pを有していてもよい。他端取付部1cは、前壁部1aの上端部から水平方向に延びる板状の平板部1nを有している。他端取付部1cは、平板部1nの前壁部1aとは反対側の端部から上方に延びるフランジ部1rを有していてもよい。平板部1m及び平板部1nには、後述する止め具2fを逃がすための逃がし穴1hが形成されている。
ドア本体1は、前壁部1aの内側に設けられ、ユーザによる握持が可能な一対の内取っ手1dを有している。一方の内取っ手1dは、平板部1mの左側の前端部と、平板部1nの左側の後端部とに接続されている。他方の内取っ手1dは、平板部1mの右側の前端部と、平板部1nの右側の後端部とに接続されている。図11では、前壁部1aの下部に、ロック機構部8を構成する内レバー8bと連結部8dとが例示されている。
第1摺動機構2は、ドア本体1の一端側に配置される一端第1機構部2Aと、ドア本体1の他端側に配置される他端第1機構部2Bと、により構成されている。一端第1機構部2A及び他端第1機構部2Bは、それぞれ、第1レール2aと、摺動ベース2bと、取付部材2cと、第1係合部2dと、取付部材2eと、止め具2fと、を有している。図11の例では、一端第1機構部2Aがドア本体1の下側に配置され、他端第1機構部2Bがドア本体1の上側に配置されている。
第1レール2aは、ドア本体1を第1方向に沿って移動させるためのものであり、第1方向と平行になるよう摺動ベース2bに取り付けられる。図11に例示する一端第1機構部2A及び他端第1機構部2Bは、それぞれ、2つの第1レール2aが、ネジなどにより、取付部材2cを介して摺動ベース2bに取り付けられている。摺動ベース2bは、ドア本体1を第1方向及び第2方向に移動させる板状の部材である。図11に例示する摺動ベース2bは、複数のネジ穴が形成された長方形状の板状部材2mと、板状部材2mの長辺側の両端部に形成されたフランジ状の縁部2nと、を有している。
第1係合部2dは、ドア本体1に連結され、各第1レール2aに摺動可能に係合するものである。一端第1機構部2Aの第1係合部2dは、一端取付部1bに取り付けられ、他端第1機構部2Bの第1係合部2dは、他端取付部1cに取り付けられる。図11には、2つの第1係合部2dが、ネジなどにより、取付部材2eを介して一端取付部1b又は他端取付部1cに取り付けられる構成例を示している。止め具2fは、第1レール2aの内端部に取り付けられ、第1係合部2dが第1レール2aから外れることを防ぐための部材である。
第2摺動機構3は、ドア本体1の一端側に配置される一端第2機構部3Aと、ドア本体1の他端側に配置される他端第2機構部3Bと、により構成されている。一端第2機構部3A及び他端第2機構部3Bは、それぞれ、第2レール3aと、取付部材3cと、第2係合部3dと、取付部材3eと、止め具3fと、を有している。第2レール3aは、ドア本体1を第2方向に移動させるためのものであり、第2方向と平行になるよう摺動ベース2bに取り付けられる。図11に例示する一端第2機構部3A及び他端第2機構部3Bは、それぞれ、1つの第2レール3aが、ネジなどにより、取付部材3cを介して一端ベース部4の支持部4aに取り付けられる構成例である。止め具3fは、第2レール3aの両端部の各々に取り付けられ、第2係合部3dが第2レール3aから外れることを防ぐための部材である。
一端ベース部4は、本体部20の内壁面の下部に、第2方向に沿って接続されている。図11に例示する一端ベース部4は、断面L字状の部材であり、支持部4aと立設部4bとを有している。支持部4aは、平面視長方形状である板状の部材であり、水平となるように配設される。支持部4aは、長辺側の一端部が、本体部20における内側壁の下部に、溶接などによって接続されている。立設部4bは、支持部4aの長辺側の他端部に、支持部4aと垂直となるように接続されている。立設部4bは、平面視長方形状である板状の部材であり、支持部4aとは反対側の端部にフランジ状の接続部4cが形成されている。接続部4cは、本体部20の底部に、溶接などによって接続される。なお、図5等では、接続部4cが出入穴20h側の段部R2の上部に接続された例を示しているが、出入穴20h側に段部R2が設けられない場合にあっては、接続部4cは、本体部20の内壁の底部、あるいは拡張された平坦部R1に接続されることになる。
他端ベース部5は、本体部20の内壁面の上部に、第2方向に沿って接続されている。本実施の形態における他端ベース部5は、全体として断面視U字状となるよう構成されている。より具体的に、他端ベース部5は、第1支持部5mと、第2支持部5nと、を有している。第1支持部5mは、天板部5aと接続部5bと内端部5cとを有している。天板部5aは、平面視長方形状である板状の部材であり、水平となるように配設される。接続部5bは、天板部5aの長辺側の一端部に、フランジ状に形成されている。内端部5cは、天板部5aの長辺側の他端部に、フランジ状に形成されている。第2支持部5nは、天板部5dと接続部5eと内端部5fとを有している。天板部5dは、平面視長方形状である板状の部材であり、水平となるように配設される。接続部5eは、天板部5dの長辺側の一端部に、フランジ状に形成されている。内端部5fは、天板部5dの長辺側の他端部に、フランジ状に形成されている。
接続部5bは、天板部5aから上方へ延びるように形成され、接続部5eは、天板部5dから下方への延びるように形成されている。これにより、本体部20の内壁に対する取付容易性及び取付強度を高めることができる。内端部5cは、天板部5aから下方へ延びるように形成され、内端部5fは、天板部5dから上方への延びるように形成されている。接続部5b及び接続部5eは、内端部5cと内端部5fとが重ねられた状態で、本体部20における内側壁の上部に、溶接などによって接続されている。
ドア部15は、第1摺動機構2及び第2摺動機構3を有するため、ドア本体1を、第2係合部3d及び摺動ベース2bなどを介し、第2レール3aに沿って第2方向に移動させることができる。すなわち、ドア部15は、図12のようにドア本体1が出入穴20hとは対向しない開状態から、ドア本体1を第2扉40側へ移動させることにより、ドア本体1が出入穴20hの一部の領域と対向する半開状態(図13参照)を経て、ドア本体1が出入穴20hの全体と対向する全対向状態(図14及び図15参照)へと変化させることができる。また、ドア部15は、図14及び図15のような全対向状態から、ドア本体1を第1扉30側へ移動させることにより、半開状態(図13参照)を経て、開状態(図12参照)へと変化させることができる。
さらに、ドア部15は、第1摺動機構2を有するため、ドア本体1を、第1係合部2dを介し、第1レール2aに沿って第1方向に移動させることができる。ここで、本体部20は、図12~図14に示すように、内壁における出入穴20hの外周近傍の箇所に、ゴムなどの弾性材料からなるシール部材Qが設けられている。シール部材Qは、出入穴20hの周囲を囲うように形成され、本体部20の内壁に貼り付けられている。ドア部15は、図14及び図15のような全対向状態から、ドア本体1を出入穴20h側へ移動させることにより、前壁部1aの前面がシール部材Qを介して本体部20の内壁面に密着した状態である閉状態(図16~図19参照)に変化させることができる。
ところで、外取っ手1fの高さ(前壁部1aから前側に延びる長さ)は、第1レール2aでの第1係合部2dの可動範囲をもとに設定される。より具体的に、外取っ手1fの高さ及び形状は、ドア本体1が、第1レール2aに沿って最大限内側に押し込まれた状態で、第2レール3aに沿って移動する際、外取っ手1fが本体部20の内壁面と接触しないように決められる。
図15~図19に例示するように、ロック機構部8は、外レバー8aと、内レバー8bと、係合突起8cと、連結部8dと、受け部8eと、を有している。連結部8dは、外レバー8aと内レバー8bと係合突起8cとを回動可能に連結するものである。つまり、外レバー8aと内レバー8bと係合突起8cとは、連結部8dを回転中心として、所定の範囲内を一体的に回転可能となっている(各図の白抜き矢印参照)。なお、前壁部1aのロック機構部8が設けられる箇所を透明な部材で形成しない限り、酸素カプセル10の外側から正面視で内レバー8bを視認することはできないが、図15、図16、及び図18では、全体構成を示すため、便宜上、内レバー8bを破線で示している。
外レバー8a及び係合突起8cは、前壁部1aの外側の下方に連結部8dを介して連結されている。内レバー8bは、前壁部1aの内側の下方に連結部8dを介して連結されている。各図の例において、外レバー8aと係合突起8cとは一直線上に並ぶよう配置されている。外レバー8aと係合突起8cとは一体的に形成されたものであってよい。受け部8eは、本体部20における出入穴20hの縁の下部中央に設けられており、係合突起8cが嵌まる窪みが形成されている。各図の例において、本体部20には、外壁における出入穴20hの周囲に、枠状の穴枠部20wが設けられており、受け部8eは、穴枠部20wの下枠の内側に設けられている。
次いで、図16~図19を参照し、ロック機構部8によるドア本体1の固定と解除について説明する。図16~図19は、何れも、ドア部15の閉状態を例示したものである。ただし、図16及び図17は、ロック機構部8によるドア本体1のロックがかかっていない解除状態を例示したものであり、図18及び図19は、ロック機構部8によるドア本体1のロックがかかっている固定状態を例示したものである。
すなわち、ユーザは、図16及び図17に示す白抜き矢印の方向に、酸素カプセル10の外側から外レバー8aを回す、あるいは酸素カプセル10の内側から内レバー8bを回すことにより、係合突起8cを受け部8eに係合させ、ドア本体1を本体部20に固定することができる(図18及び図19参照)。ユーザは、図18の矢印の向きに外レバー8aを回す、あるいは図19の矢印の向きに内レバー8bを回すことにより、ロック機構部8の固定状態を解除することができる。
馬Hに対するケアが終わると、所定の操作等により、加圧手段91及び酸素供給手段96の動作を停止させ、酸素カプセル10の内部の圧力を低下させる。その際、カプセル内部の圧力と外部の圧力とが概ね等しくなるまで待機するとよい。そして、第2扉40側の全ての締結手段を開いた状態にし、第2扉40を開くと、図20のような状態となる。馬Hを本体部20から退出させる際は、本体部20と設置面との段差を解消するため、図21に例示するような可動式のスロープ100を用いるとよい。
次に、図22を参照して、開閉処理装置70の機能構成例と周辺機器との連携等について説明する。まず、開閉操作部75の機能構成について説明する。第1開閉操作部75A及び第2開閉操作部75Bは、それぞれ、通信処理部76と、第1ボタン77aと、第2ボタン77bと、第3ボタン77cと、第1発光部78aと、第2発光部78bと、第3発光部78cと、を有している。第1ボタン77a、第2ボタン77b、及び第3ボタン77cについては「ボタン77」と総称することがあり、第1発光部78a、第2発光部78b、及び第3発光部78cについては「発光部78」と総称することがある。
通信処理部76は、開閉処理装置70との間で通信を行う機能を有している。例えば、通信処理部76は、ボタン77が押下されたとき、ボタン77が押下されたことなどを示す操作信号を開閉処理装置70へ送信する。通信処理部76は、ボタン77が押下されている間、継続的に操作信号を送信するようにしてもよく、ボタン77が押下されたとき、及びボタン77が押下されている状態が解除されたときに、その旨の操作信号を送信するようにしてもよい。通信処理部76は、演算装置と記憶装置とを含むマイコンなどにより構成することができる。
発光部78は、例えばLED(Light Emitting Diode)からなり、ボタン77の下部に配置されている。すなわち、第1発光部78aは第1ボタン77aの下部に配置されており、第2発光部78bは第2ボタン77bの下部に配置されており、第3発光部78cは第1発光部78aの下部に配置されている。ボタン77は、発光部78の発光状態を外部から視認できるよう、表層が透明又は半透明の材料により形成されている。各ボタン77は、第1ボタン77aは白、第2ボタン77bは緑、及び第3ボタン77cは赤といったように、表層の色彩をボタン77ごとに変えてもよく、発光部78ごとに発光色を変えてもよい。
開閉処理装置70は、第1駆動機構部50A及び第2駆動機構部50Bのそれぞれの電動機を制御するものである。開閉処理装置70は、第1扉30に対応する全ての主締結手段11が開放状態にあるときにだけ第1駆動機構部50Aの電動機を駆動させる。開閉処理装置70は、第2扉40に対応する全ての主締結手段11が開放状態にあるときにだけ第2駆動機構部50Bの電動機を駆動させる。
より具体的に、開閉処理装置70は、通信部71と、制御部72と、記憶部73と、を有している。通信部71は、第1駆動機構部50A、開閉操作部75、及び検知手段11sなどの外部機器との間で制御部72が有線又は無線により通信を行うためのインタフェースである。記憶部73には、開閉処理プログラム73pなどの制御部72の動作プログラムの他、種々の情報が記憶される。記憶部73には、例えば、第1開放状態データ、第2開放状態データ、及び指定データなどが記憶される。
また、記憶部73には、扉についての、最大開き角度の情報、減速エリアを示す情報、最小開き角度の情報などが記憶される。最大開き角度とは、第1扉30及び第2扉40のそれぞれについて予め設定された、本体部20の本体フランジと扉の扉フランジとの間のなす角(以下単に「なす角」ともいう。)の最大値である。最大開き角度は、例えば90°に設定され、適否変更することができる。第1扉30の最大開き角度と第2扉40の最大開き角度とは、等しくてもよく、異なっていてもよい。最小開き角度とは、扉について予め設定されたなす角の最小値である。減速エリア及び最小開き角度は、扉を閉じる際の安全性などを考慮して設定される。記憶部73は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、又はHDD(Hard Disk Drive)などにより構成される。
制御部72は、各扉の開閉処理を行うものである。制御部72は、情報処理手段72aと、操作処理手段72bと、出力処理手段72cと、駆動処理手段72dと、を有している。情報処理手段72aは、全ての検知手段11sから検知データを取得し、第1扉30側の全ての主締結手段11が開放状態にあるか否かを示す第1開放状態データと、第2扉40側の全ての主締結手段11が開放状態にあるか否かを示す第2開放状態データとを管理するものである。ここで、扉ごとに、全ての主締結手段11が開放状態にあることを「全開放状態」という。第1開放状態データ及び第2開放状態データについては「開放状態データ」と総称することがある。
操作処理手段72bは、各開閉操作部75から送信される、第1ボタン77aが押下された旨の操作信号(以下「指定信号」ともいう。)に応じて、操作対象の扉を切り替える機能を有している。すなわち、操作処理手段72bは、第1開閉操作部75Aと第2開閉操作部75Bのどちらが指定されているか、つまり第1開閉操作部75Aと第2開閉操作部75Bのどちらが扉の開閉動作を行える状態にあるかを示す指定データを管理する。ここで、指定データの状態につき、第1開閉操作部75Aが指定されていることを示す状態を「第1状態」ともいい、第2開閉操作部75Bが指定されていることを示す状態を「第2状態」ともいう。例えば、初期状態において、指定データは、第1状態に設定されてもよく、第1開閉操作部75A及び第2開閉操作部75Bのどちらも指定されていない無指定状態に設定されてもよい。
より具体的に、操作処理手段72bは、第1開閉操作部75Aから指定信号を取得したとき、指定データが第1状態であれば、その状態を維持し、第2状態又は無指定状態であれば、指定データを第1状態に変更する。また、操作処理手段72bは、第2開閉操作部75Bから指定信号を取得したとき、指定データが第1状態又は無指定状態であれば、指定データを第2状態に変更し、第2状態であれば、その状態を維持する。もっとも、酸素カプセル10は、第1開閉操作部75A又は第2開閉操作部75Bが必ず指定された状態となるよう(指定データが無指定状態にならないよう)構成してもよい。
出力処理手段72cは、各開閉操作部75から送信される操作信号に応じて発光部78の発光状態を変化させる機能を有している。開閉操作部75は、スピーカを含んで構成され、音又は音声の出力が可能な報知部を有していてもよい。この場合、出力処理手段72cは、ある条件下での所定の操作に応じて、報知部にアラートを出力させるよう構成してもよい。
駆動処理手段72dは、操作対象の扉に紐付く開閉操作部75からの第2ボタン77b又は第3ボタン77cに係る操作信号に応じて、操作対象の駆動機構部50を駆動させる機能を有している。例えば、駆動処理手段72dは、指定データが第1状態であれば、第1開閉操作部75Aから送信される、第2ボタン77bが押下されている旨の操作信号(以下「開指令」ともいう。)に応じて、第1駆動機構部50Aの電動機を駆動させ、第1扉30を開かせる。駆動処理手段72dは、指定データが第2状態であれば、第2開閉操作部75Bから送信される開指令に応じて、第2駆動機構部50Bの電動機を駆動させ、第2扉40を開かせる。駆動処理手段72dは、本体部20の本体フランジと扉の扉フランジとの間のなす角の情報を、例えば扉に設けられた角度センサ(図示せず)から取得する。
また、駆動処理手段72dは、指定データが第2状態であれば、第1開閉操作部75Aから送信される、第3ボタン77cが押下されている旨の操作信号(以下「閉指令」ともいう。)に応じて、第1駆動機構部50Aの電動機を駆動させ、第1扉30を閉じさせる。駆動処理手段72dは、指定データが第2状態であれば、第2開閉操作部75Bから送信される閉指令に応じて、第2駆動機構部50Bの電動機を駆動させ、第2扉40を閉じさせる。
制御部72は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記及び下記の各種機能を実現させる開閉処理プログラム73pとにより構成することができる。すなわち、開閉処理プログラム73pは、情報処理手段72a、操作処理手段72b、出力処理手段72c、及び駆動処理手段72dとしてコンピュータを機能させるためのソフトウェアである。
続いて、図23及び図24を参照して、オペレートユニット80の機能構成と具体的な構成の一例について説明する。なお、本実施の形態の酸素カプセル10は、図12~図14等に示すように、酸素カプセル10の外側だけでなく、内側にも、図24に例示するような操作パネルが設けられている。したがって、ユーザは、酸素カプセル10の内外からタイマー設定などの操作を行うことができる。
図23に示すように、オペレートユニット80は、通信部81と、管理処理部82と、記憶部83と、操作部84と、表示部85と、発光部86と、を有している。通信部81は、加圧手段91及び酸素供給手段96などの外部機器との間で管理処理部82が有線又は無線により通信を行うためのインタフェースである。記憶部83には、管理処理部82の動作プログラムの他、種々の情報が記憶される。記憶部83は、RAM及びROM、フラッシュメモリ、又はSSDなどにより構成される。操作部84は、種々の入力操作を受け付けるボタン等により構成される。
操作部84は、ユーザによる操作の内容を示す操作信号を管理処理部82へ出力する。表示部85は、7セグメント液晶表示器や液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などにより構成される。操作部84及び表示部85は、これらが積層されて構成されたタッチパネルであってもよい。この場合、操作部84は、ユーザによりタッチされた位置等を検出し、検出した位置等の情報を管理処理部82へ出力することになる。発光部86は、例えばLEDにより構成される。
管理処理部82は、操作部84からの操作信号に応じて、種々の情報を表示部85に表示させ、発光部86の発光状態を変化させる。また、管理処理部82は、操作部84からの操作信号に応じて、もしくは予め設定されたタイミングで、加圧手段91及び酸素供給手段96のうちの少なくとも一方を動作させる。管理処理部82は、CPU又はGPUなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記及び下記の各種機能を実現させるソフトウェアとにより構成することができる。
図24に例示するオペレートユニット80は、操作部84として、電源スイッチ84aと、Upボタン84bと、Downボタン84cと、を有している。また、オペレートユニット80は、表示部85として、圧力表示部85aと、タイマー表示部85bと、を有している。さらに、オペレートユニット80は、発光部86として、電源スイッチ84aに対応づけられた発光部86aと、所定の動作モードのオンオフ状態などを示す発光部86bと、を有している。所定の動作モードとしては、特定の操作に制限が加わる制限モードなどが想定される。
電源がオフの状態で電源スイッチ84aが押下されると、管理処理部82は、例えば、発光部86aを発光させると共に、カプセル内部の圧力を圧力表示部85aに表示させる。管理処理部82は、圧力表示部85aに表示させる圧力のデータを、例えばカプセル内部に設置された圧力センサ(図示せず)から取得する。管理処理部82は、Upボタン84bが押下されると、タイマー表示部85bの設定時間を増やし、Downボタン84cが押下されると、タイマー表示部85bの設定時間を減らす。
管理処理部82は、酸素カプセル10の内部の圧力が設定圧力まで上がるように加圧手段91を動作させる。設定圧力は、例えば1.30[ATA]に設定され、適宜変更することができる。本実施の形態において、管理処理部82は、電源がオンの状態になったときに加圧手段91を動作させるようになっている。なお、管理処理部82は、酸素カプセル10の内圧が設定圧力となっている状態を維持するために、加圧手段91の動作を制御する機能を有していてもよい。
続いて、図25~図27に基づき、図1~図24の各図を適宜参照して、本実施の形態に係る酸素カプセル10の使用方法について、開閉処理装置70による扉の開閉処理方法を織り交ぜながら説明する。まず、図25のフローチャートに基づき、第1扉30を開いて馬Hを入室させる処理及び動作について説明する。
ユーザは、第1扉30を開く前に、第1扉30側の各締結手段を開放状態にする。本実施の形態の構成において、ユーザは、全ての補助締結手段12を開放状態にした後で、全ての主締結手段11を開放状態にするとよい(ステップS101)。
開閉処理装置70の制御部72は、第1開閉操作部75Aの第1ボタン77aが押下されると(ステップS102/Yes)、操作処理手段72bにより指定データを更新する。これにより、指定データは第1状態となる(ステップS103)。なお、図25では、第1ボタン77aが押下されるまで待機する動作例を示しているが(ステップS102/No)、既に指定データが第1状態となっていれば、ステップS102及びS103の処理は省略することができる。
また、制御部72は、出力処理手段72cにより、全ての主締結手段11が開放状態であるか否か、つまり第1開放状態データが全開放状態を示しているか否かを判定する(ステップS104)。本実施の形態において、出力処理手段72cは、第1開放状態データが全開放状態を示していれば(ステップS104/Yes)、第1開閉操作部75Aの第1発光部78aを点灯させる(ステップS105)。一方、出力処理手段72cは、第1開放状態データが全開放状態を示していなければ(ステップS104/No)、第1開閉操作部75Aの第1発光部78aを点滅させる(ステップS106)。
開閉処理装置70の制御部72は、第1開閉操作部75Aの第2ボタン77bが押下されることにより、第1開閉操作部75Aから開指令が送信されると(ステップS107/Yes)、駆動処理手段72dにより、第1扉30が開くように第1駆動機構部50Aを稼働させる。つまり、駆動処理手段72dは、第1開閉操作部75Aからの開指令に応じて、第1扉30が開く向きに第1駆動機構部50Aの電動機を駆動させる。その際、出力処理手段72cは、第1開閉操作部75Aの第2発光部78bを発光させてもよい(ステップS108)。
駆動処理手段72dは、本体フランジと扉フランジ31との間のなす角が最大開き角度になるまでの間(ステップS109/No)、第2ボタン77bが押下されているときに第1駆動機構部50Aを稼働させ(ステップS107/Yes、ステップS108)、第2ボタン77bが押下されていないときは第1駆動機構部50Aの稼働を停止させる(ステップS107/No)。もっとも、駆動処理手段72dは、第1開放状態データが全開放状態を示していなければ(ステップS104/No)、第1開閉操作部75Aの第2ボタン77bが押下されても、第1駆動機構部50Aを稼働させない。
駆動処理手段72dは、なす角が最大開き角度になると(ステップS109/Yes)、第1駆動機構部50Aの稼働を停止させ、第1扉30がそれ以上外側に開かないようにする(ステップS110)。なお、出力処理手段72cは、本体フランジと扉フランジ31との間のなす角が最大開き角度になるまでの間、第2ボタン77bが押下されているときに第2発光部78bを発光させ、第2ボタン77bが押下されていないときは第2発光部78bを消灯させてもよい。また、出力処理手段72cは、なす角が最大開き角度となっている状態で、第2発光部78bを消灯させてもよい。
上記一連の各工程により第1扉30を開いた後、ユーザは、例えば図6のように、本体部20の第1扉30側の開口にスロープ100を配置し、本体部20に馬Hを入室させる(ステップS111)。馬Hの入室が完了すると、ユーザは通常、第1開閉操作部75Aの第3ボタン77cを押下する。
開閉処理装置70の制御部72は、第1開閉操作部75Aの第3ボタン77cが押下されることにより、第1開閉操作部75Aから閉指令が送信されると(ステップS112/Yes)、駆動処理手段72dにより、第1扉30が閉じるように第1駆動機構部50Aを稼働させる。つまり、駆動処理手段72dは、第1開閉操作部75Aからの閉指令に応じて、第1扉30が閉じる向きに第1駆動機構部50Aの電動機を駆動させる。その際、出力処理手段72cは、第1開閉操作部75Aの第3発光部78cを発光させてもよい。
駆動処理手段72dは、第1扉30が減速エリアに入るまでの間(ステップS113/No)、第3ボタン77cが押下されているときに第1駆動機構部50Aを稼働させる。このとき、駆動処理手段72dは、通常設定の回転数で第1駆動機構部50Aの電動機を駆動させる(ステップS114)。一方、駆動処理手段72dは、第3ボタン77cが押下されていないときは、第1駆動機構部50Aの稼働を停止させる(ステップS112/No)。駆動処理手段72dは、例えば扉に配置される角度センサもしくはリミットスイッチ等からの検出データを用いて、第1扉30が減速エリアに入ったか否かの判定を行うよう構成してもよい。
駆動処理手段72dは、第1扉30が減速エリアに入ると(ステップS113/Yes)、第1駆動機構部50Aの電動機を減速させ、通常設定の回転数よりも低く設定された低速回転数で駆動させる。このとき、出力処理手段72cは、第3発光部78cを点滅させてもよい(ステップS115)。
駆動処理手段72dは、なす角が最小開き角度になるまでの間(ステップS116/No)、第3ボタン77cが押下されているときに、第1駆動機構部50Aの電動機を低速回転数で駆動させる。駆動処理手段72dは、なす角が最小開き角度になると(ステップS116/Yes)、第1駆動機構部50Aの電動機を停止させ、扉フランジ31が第1フランジ21aにそれ以上近づかないようにする(ステップS117)。このとき、出力処理手段72cは、第3発光部78cを消灯させてもよい。もっとも、ステップS116及びS117の処理は、リミットスイッチなどを用いて自動的に行ってもよい。
そして、ユーザは、第1扉30側の各締結手段を締結状態にする。本実施の形態の構成において、ユーザは、全ての主締結手段11を締結状態にした後で、全ての補助締結手段12を締結状態にするとよい(ステップS118)。
次いで、図26のフローチャートに基づき、ドア部15の開閉処理を中心とした動作の流れについて説明する。ここでは、馬Hをカプセル内部に誘導する際、ドア部15が閉状態になっていることを想定して説明する。図25のような流れで馬Hをカプセル内部に誘導したユーザは、通常、ドア部15を開状態にして出入穴20hから外部に出る。
例えば、ユーザは、図18及び図19のような固定状態のロック機構部8に対し、内レバー8bを回転させ、係合突起8cを受け部8eから外す。これにより、ロック機構部8の固定状態が解除され、図16及び図17のような状態となる(ステップS201)。次にユーザは、例えば内取っ手1dを握ってドア本体1を内側に引く。これにより、ドア部15は、閉状態(図16及び図17参照)から全対向状態(図14及び図15参照)となる。すなわち、ドア本体1は、第1レール2aに沿って内側へ移動する(ステップS202)。
続いてユーザは、例えば内取っ手1dを握ってドア本体1を第2レール3aに沿って移動させ、ドア部15を、図14のような全対向状態から開状態(図12参照)にする(ステップS203)。そしてユーザは、図9のように出入穴20hから退出する(ステップS204)。
次いでユーザは、酸素カプセル10の外側から、例えば内取っ手1d及び外取っ手1fのうちの少なくとも一方を握り、ドア本体1を出入穴20h側に引き、第2レール3aに沿って移動させる。最終的にユーザは、外取っ手1fを握ってドア本体1を出入穴20hの前まで移動させ、ドア部15を全対向状態(図15参照)にする(ステップS205)。
次にユーザは、例えば外取っ手1fを握ってドア本体1を外側に引く。これにより、ドア部15は、全対向状態(図14及び図15参照)から閉状態(図16及び図17参照)となる。すなわち、ドア本体1は、第1レール2aに沿って外側へ移動する(ステップS206)。続いてユーザは、図16及び図17のような解除状態のロック機構部8に対し、外レバー8aを回転させ、係合突起8cを受け部8eに係合させる。これにより、ロック機構部8は、図18及び図19のようなロック状態となる(ステップS207)。
そして、ユーザは、オペレートユニット80を操作する等により、カプセル内部の圧力上昇の開始、カプセル内部への高濃度酸素の供給開始、及びタイマーの起動を指示する。オペレートユニット80の管理処理部82は、ユーザによる操作等に応じて、カプセル内部の圧力を上昇させるために加圧ユニット90の制御を開始すると共に、カプセル内部のケア対象に高濃度酸素を吸引させるべく酸素供給ユニット95へ駆動指令を送信する。その際、管理処理部82は、設定時間の計時を開始する。管理処理部82は、ユーザが設定時間を変更した場合、計時をリセットし、新たな設定時間での計時を開始する(ステップS208)。
ところで、ステップS201~S203の処理は、外にいる別のユーザが行ってもよい。この場合、該ユーザは、外レバー8aを回転させ、係合突起8cを受け部8eから外すことにより、ロック機構部8のロック状態を解除する(ステップS201)。次いでユーザは、例えば外取っ手1fを握ってドア本体1を内側に押し込む。あるいはユーザは、ドア本体1の表面に手を当てて内側に押し込む。これにより、ドア本体1は、第1レール2aに沿って内側へ移動する(ステップS202)。次にユーザは、例えば外取っ手1fを握ってドア本体1を第2レール3aに沿って移動させ、ドア部15を全対向状態から開状態にする(ステップS203)。もっとも、図26に示す各処理は、異なるユーザが酸素カプセル10の内外から分担して行ってもよい。
続いて、図27のフローチャートに基づき、第2扉40を開いて馬Hを退出させる処理及び動作について説明する。ここでは第2扉40が操作対象となるが、第2扉40に対する処理及び動作は、第1扉30に対する処理及び動作と実質的に同じであるため、図25の各工程と同等の工程については同一の符号を付し、重複する説明については省略する。
オペレートユニット80の管理処理部82は、馬Hのケアに係る設定時間が経過するまで待機する(ステップS301/No)。管理処理部82は、設定時間が経過すると(ステップS301/Yes)、加圧手段91及び酸素供給手段96の動作を停止させ、カプセル内部の減圧を実施する(ステップS302)。ここで、オペレートユニット80は、スピーカを含んで構成される報知部を有していてもよい。この場合、管理処理部82は、カプセル内部の圧力が外気の圧力と同程度になったとき、報知部に音又は音声を出力させるようにしてもよい。管理処理部82は、設定時間が経過したタイミングで報知部に音又は音声を出力させてもよい。
ユーザは、オペレートユニット80の圧力表示部85aを視認する等により、カプセル内部の圧力が一定程度低下したことを確認すると、第2扉40側の各締結手段を開放状態にする(ステップS101)。第2開閉操作部75Bの第1ボタン77aが押下されると(ステップS102/Yes)、操作処理手段72bは、指定データを更新して第2状態とする(ステップS103)。
本実施の形態において、出力処理手段72cは、第2開放状態データが全開放状態を示していれば(ステップS104/Yes)、第2開閉操作部75Bの第1発光部78aを点灯させる(ステップS105)。一方、出力処理手段72cは、第2開放状態データが全開放状態を示していなければ(ステップS104/No)、第2開閉操作部75Bの第1発光部78aを点滅させる(ステップS106)。第2開閉操作部75Bの第2ボタン77bが押下されることにより、第2開閉操作部75Bから開指令が送信されると(ステップS107/Yes)、駆動処理手段72dは、第2扉40が開くように第2駆動機構部50Bを稼働させる(ステップS108)。
駆動処理手段72dは、本体フランジと扉フランジ41との間のなす角が最大開き角度になるまでの間(ステップS109/No)、第2ボタン77bが押下されているときに第2駆動機構部50Bを稼働させ(ステップS107/Yes、ステップS108)、第2ボタン77bが押下されていないときは第2駆動機構部50Bの稼働を停止させる(ステップS107/No)。駆動処理手段72dは、なす角が最大開き角度になると(ステップS109/Yes)、第2駆動機構部50Bの稼働を停止させ、第2扉40がそれ以上外側に開かないようにする(ステップS110)。
上記一連の工程により、図20のように第2扉40を開いた後、図21のように、本体部20の第2扉40側の開口にスロープ100を配置し、本体部20から馬Hを退出させる(ステップS303)。馬Hの退出が完了すると、例えばユーザは、酸素カプセル10の次の使用に備え、第2開閉操作部75Bの第3ボタン77cを押下する。
第2開閉操作部75Bの第3ボタン77cが押下されることにより、第2開閉操作部75Bから閉指令が送信されると(ステップS112/Yes)、駆動処理手段72dは、第2扉40が閉じるように第2駆動機構部50Bを稼働させる。駆動処理手段72dは、第2扉40が減速エリアに入るまでの間(ステップS113/No)、第3ボタン77cが押下されているときに第2駆動機構部50Bを稼働させる(ステップS114)。一方、駆動処理手段72dは、第3ボタン77cが押下されていないときは、第2駆動機構部50Bの稼働を停止させる(ステップS112/No)。
駆動処理手段72dは、第2扉40が減速エリアに入ると(ステップS113/Yes)、第2駆動機構部50Bの電動機を減速させ、低速回転数で駆動させる(ステップS115)。駆動処理手段72dは、なす角が最小開き角度になると(ステップS116/Yes)、第2駆動機構部50Bの稼働を停止させ、扉フランジ41が第2フランジ21bにそれ以上近づかないようにする(ステップS117)。そして、ユーザは、第2扉40側の各締結手段を締結状態にする(ステップS118)。
なお、図25~図27のフローチャートに基づく動作説明は、各図に付したステップ番号の順に説明したが、各処理の順序は、全体的なフローの趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。ところで、上記では、出力処理手段72cが各発光部78の発光状態を変化させる例を示したが、これに限らず、開閉操作部75の内部構成が各発光部78の発光状態を変化させるよう構成してもよい。
以上のように、本実施の形態における酸素カプセル10は、筒状に形成された本体部20と、本体部20の一方の開口を開閉可能に取り付けられた第1扉30と、本体部20の他方の開口を開閉可能に取り付けられた第2扉40と、を有している。そのため、第1扉30から入室させた動物などを第2扉40から退出させることができる。したがって、動物にも負担をかけず、円滑な退出を促進することができる。すなわち、動物の退出時の肉体的な負担及び心理的な負担を軽減することができ、酸素カプセルでのケアの際に動物にかかるストレスを緩和することができる。
また、酸素カプセル10は、本体部20と第1扉30及び第2扉40の各々とを密着させるためのものであり、第1扉30と第2扉40との各々に対応づけて複数設けられた主締結手段11を有している。そのため、酸素カプセル10の内圧を高めた場合でも、本体部20に扉を密着させた状態を維持し、酸素カプセル10の密封性を保持することができる。各扉につき、主締結手段11は、所定の間隔をあけて均等に配置するとよい。さらに、酸素カプセル10は、第1扉30と第2扉40との各々に対応づけて複数設けられた補助締結手段12を有している。したがって、各扉を本体部20側に押し付ける力を補填することができ、主締結手段11にかかる負荷を分散させることができる。複数の補助締結手段12は、主締結手段11にかかる負荷を均等に分散すべく、2つの主締結手段11の間に配置するとよい。
加えて、酸素カプセル10は、第1扉30を開閉する動力源となる電動機を含む第1駆動機構部50Aと、第2扉40を開閉する動力源となる電動機を含む第2駆動機構部50Bと、を有している。そのため、手動で扉を開閉する場合よりも、ユーザの作業負担を軽減することができる。また、酸素カプセル10は、第1駆動機構部50A及び第2駆動機構部50Bのそれぞれの電動機を制御する開閉処理装置70を有している。そして、開閉処理装置70は、第1扉30に対応する全ての主締結手段11が開放状態にあるときにだけ第1駆動機構部50Aの電動機を駆動させ、第2扉40に対応する全ての主締結手段11が開放状態にあるときにだけ第2駆動機構部50Bの電動機を駆動させるよう構成されている。よって、主締結手段11が閉じている状態で電動機が駆動するような事態を未然に防止することができる。なお、補助締結手段12が開放状態であるか否かを検知するため、補助締結手段12に検知手段11sを設けてもよい。この場合、情報処理手段72aが補助締結手段12に設けられた検知手段11sからの検知データを管理するとよい。そして、駆動処理手段72dは、各扉に対応する全ての主締結手段11及び補助締結手段12が開放状態にあるときにだけ、該扉に対応する駆動機構部50の電動機を駆動させるにしてもよい。もっとも、各締結手段に検知手段11sを設けなくてもよい。
さらに、酸素カプセル10は、第1扉30及び第2扉40のそれぞれの下端部に設けられ、車輪部を含む開閉支持部を有している。したがって、本体部20と各扉との連結機構である各開閉機構部60にかかる負担を軽減すると共に、各扉の開閉動作の円滑化を図ることができる。もっとも、酸素カプセル10は、各扉の下端部に開閉支持部を設けなくてもよい。特に、酸素カプセル10を少人数用又は小型の動物用として製造する場合は、第1扉30及び第2扉40がそれ程重くならないため、開閉支持部を設けなくても各扉の開閉を円滑に行うことができる。
本体部20は、出入り用に形成された出入穴20hを有している。また、酸素カプセル10は、出入穴20hの箇所に取り付けられるドア部15を有している。そして、ドア部15は、ドア本体1と、第1摺動機構2と、第2摺動機構3と、を有している。すなわち、酸素カプセル10は、ドア本体1にかかる外向きの圧の妨げとならないように、ドア本体1を第1方向にスライドさせる第1摺動機構2が設けられているため、酸素カプセルの出入り用ドアを、簡易な構造としつつ、密閉性を高めることができる。
ここで、上述した実施の形態は、酸素カプセルの具体的な一例を示すものであり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態は、酸素カプセル10を馬に使用させることを前提に説明したが、これに限らず、酸素カプセル10は、馬以外の動物に使用させてもよく、人に使用させてもよい。酸素カプセル10は、馬以外の動物又は人に使用させる場合、その動物に合わせて、サイズ及び構造などを変更するとよい。第1扉30及び第2扉40のうちの少なくとも一方は、手動で開閉されるよう構成してもよい。すなわち、酸素カプセル10は、第1駆動機構部50A及び第2駆動機構部50Bのうちの少なくとも一方を有しなくてもよい。ただし、特に、酸素カプセル10が馬や牛などの大型の動物用に製造される場合は、その分扉の重量が大きくなり、開閉時におけるユーザの作業負担が大きくなる。そのため、第1扉30及び第2扉40は、自動で開閉できる構成の方が好ましい。酸素カプセル10は、扉の開閉用の電動機に一定の負荷がかかったとき、電動機の駆動を停止するよう構成してもよい。かかる構成は、駆動処理手段72dにより実現してもよく、リミットスイッチなどを用いて実現してもよい。
複数の締結手段は、例えばシリンダを含み、自動で扉フランジを本体フランジに密着させるよう構成されてもよい(以下、自動締結手段という。)。このようにすれば、ユーザの手動での作業を減らすことができるため、利便性が高まると共に、酸素カプセル10に対する作業時間の短縮を図ることができる。もっとも、各扉に対応づけて、1又は複数の自動締結手段と、主締結手段11及び補助締結手段12のうちの少なくとも1つとを、組み合わせて配設してもよい。酸素カプセル10は、補助締結手段12を有さず、主締結手段11だけを有する構成としてもよい。この場合にも、各扉に対応する複数の主締結手段11として、1又は複数の自動締結手段と、各図に示すような手動式の1又は複数の主締結手段とを組み合わせて配設してもよい。なお、酸素カプセル10は、複数の締結手段の代わりに、例えば、第1扉30と第2扉40とを同時に挟み込むような構造を採った1又は複数の密閉手段を有するようにしてもよく、密閉手段は、取り外し可能な構成としてもよい。
上記実施の形態では、酸素カプセル10が2つ開閉操作部75を有する例を示したが、これに限定されない。酸素カプセル10は、操作対象となる扉の指定を受け付ける切替スイッチを備えた1つの開閉操作部75を有するようにしてもよい。この場合、上述した開閉操作部75における第1ボタン77aに切替スイッチとしての機能を持たせてもよい。台座部22の形状、数、及び配置は、各図の例に限らず、種々の構成を採ることができる。第1摺動機構2及び第2摺動機構3の構造、つまり、各レールの数、各レールの取り付け方、レール及び係合部の構造などは、上記の例に限らず、適宜変更することができる。
各図では、左右方向の中央の箇所に出入穴20hが形成された例を示しているが、これに限らず、出入穴20hは、左寄りの箇所に形成されてもよく、右寄りの箇所に形成されてもよい。上記の例では、ドア本体1が第1扉30側に移動することで開状態となるドア部15を例示したが、これに限らず、ドア部15は、ドア本体1が第2扉40側に移動することで開状態となる構造を採ってもよい。つまり、各図では、正面視で右側に開くドア部15を例示したが、ドア部15は、正面視で左側に開くものであってもよい。
また、出入穴20hは、第1扉30に形成されてもよく、この場合、ドア部15は、第1扉30に形成された出入穴20hの箇所に設けられてもよい。同様に、出入穴20hは、第2扉40に形成されてもよく、この場合、ドア部15は、第2扉40に形成された出入穴20hの箇所に設けられてもよい。上記の説明では、スライド式のドアとなる構造を採ったドア部15を例示したが、これに限らず、ドア部15は、開き戸式(扉式)のドアとなる構造を採ってもよい。すなわち、第1扉30及び第2扉40のうちの少なくとも一方は、出入穴20hが形成されていてもよく、酸素カプセル10は、その出入穴20hの箇所に取り付けられるドア部15を有していてもよい。
上記実施の形態では、第2方向が左右方向である構成例を示したが、これに限らず、第2方向は上下方向であってもよい。すなわち、第2摺動機構3は、ドア本体1を上下方向にスライドさせるものであってよい。この場合、一端ベース部4及び他端ベース部5は、例えば柱状に立設するように構成され、配置される。そして、第1摺動機構2及び第2摺動機構3は、酸素カプセル10の設置面に対し鉛直な方向に沿って配置される。そのため、ドア部15の各構成部材には、構造的な幾分かの変更が加わることになる。もっとも、酸素カプセル10は、出入穴20h及びドア部15を有しない構成としてもよい。かかる構成において、人が動物を本体部20の内部へ誘導する場合、人は第1扉30又は第2扉40から出入りすればよい。
上記の説明では、酸素カプセル10の主たる材料がステンレスである例を示したが、これに限定されない。例えば、酸素カプセル10は、主たる材料を鉄とし、各部材の表面に塗装を施すようにしてもよい。ただし、強度等の観点からは、ステンレスの方が望ましい。また、酸素カプセル10は、主たる材料としてアルミニウムを採用してもよい。ただし、強度等の観点からは、ステンレスの方が望ましい。さらに、酸素カプセル10は、主たる材料として、チタンやカーボンなどを採用してもよく、カーボンを含有する混合物や合金などを採用してもよい。本実施の形態では、手動式のドア部15を例示したが、これに限定されない。ドア部15は、モータなどの動力源や、エアシリンダ又は電動シリンダなどの機械要素を組み合わせて電動式とし、自動での開閉が行えるようにしてもよい。複数の酸素供給手段96は、オペレートユニット80などとの連携により、カプセル内部の酸素濃度が設定濃度となるように調整する機能を有していてもよい。例えば、オペレートユニット80の管理処理部82が、カプセル内部の空気の酸素濃度を設定濃度まで高め、かつ高めた状態を維持するために、各酸素供給手段96の動作を制御してもよい。酸素供給ユニット95は、1つの酸素供給手段96が、オペレートユニット80等からの指令に応じて、全ての酸素供給手段96の動作を統括的に制御するよう構成してもよい。