JP7244812B1 - 受電アンテナ - Google Patents

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Abstract

ある程度離れた位置にある送電機から送信された電力を効率よく受電でき、そのサイズについてある程度の範囲を許容できる受電アンテナを提供する。無線給電に用いられる受電アンテナであって、第1の導電板と、前記第1の導電板に対向する第2の導電板と、前記第1の導電板の第1端部と、前記第1端部に対向する前記第2の導電板の第2端部とを接続するフィーダーと、前記第1端部の反対側の第1他端部と、前記第2端部の反対側の第2他端部とを接続する導電性部材と、を備える。

Description

[関連出願]
本出願は、2021年10月26日に出願された「受電アンテナ」と題する国際特許出願PCT/JP2021/039559号の優先権を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本開示は、ワイヤレス給電による電力を受電するための受電アンテナに関する。
近年、ワイヤレスによる給電が行われており、各種の電子装置の充電や稼働を実現している。特許文献1及び特許文献2には、ワイヤレス給電を行うための受電アンテナの構成について開示されている。
特開2016-025502号公報 特開2020-184718号公報
ところで、近年、様々なIoT機器が開発され利用されており、このようなIoT機器の多くは、各種のセンサ装置として用いられるものが含まれる。このようなセンサ装置にあっては、長く稼働することが望まれるものの電池による稼働には時間的制限がある。これらのセンサ装置にあっては実際の稼働に必要な電力はそれほど多くなく、ワイヤレス給電により給電される電力でも十分に稼働できる。とはいえ、送信された電力を効率よく受電できるに越したことはなく、効率よく受電できる受電アンテナの開発が望まれる。また、センサ等においては、遠く離れた位置からの送電でも受電できて稼働することが求められる。特許文献1に係る受電アンテナは、送電側が近しい位置に配置される必要があるという問題がある。また、受電アンテナは、様々な機器に搭載されて用いられることから、様々な形状に合わせる必要があるという問題もある。
そこで、本開示は、ある程度離れた位置にある送電機から送信された電力を効率よく受電でき、そのサイズについてある程度の範囲を許容できる受電アンテナを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、受電アンテナは、第1の導電板と、第1の導電板に対向する第2の導電板と、第1の導電板の第1端部と、第1端部に対向する第2の導電板の第2端部とを接続するフィーダーと、第1端部の反対側の第1他端部と、第2端部の反対側の第2他端部とを接続する導電性部材と、を備える。
上記受電アンテナにおいて、導電性部材は、第1の導電板の第1他端部と、第2の導電板の第2他端部と、を接続する板状の部材であることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、第1の導電板と、第2の導電板と、板状の導電性部材と、は一体成型されていることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、第1の導電板と、第2の導電板と、板状の導電性部材とは、1枚の導電板を折り曲げた状態で構成されていることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、1枚の導電板を、端部から所定距離内を切り欠いた状態で構成されていることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、第1の導電板は、長さ方向において中央部が段状に、第2の導電板に向けて突出しているとともに、第2の導電板は、長さ方向において中央部が段状に、第1の導電板に向けて突出していることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、板状の導電板は、端部から所定距離内を切り欠いた状態で構成されていることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、第1の導電板と第2の導電板には、スロットが設けられていることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、第1の導電板の中央近傍の幅方向の端部から、第2の導電板に向けて、第1の導電板の一部が突出した突出部を備えることとしてもよい。
上記受電アンテナにおいて、突出部の先端と、第2の導電板との間にはギャップが設けられていることとしてもよい。
本発明の一態様に係る無線給電に用いられる受電アンテナは、その形状により効率よく電力を受電し、受電アンテナが接続される装置等に電力を供給することができる。
図1は、本発明に係るアンテナの構成例を示す図である。 図2は、図1に示すアンテナの通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフの例である。 図3は、図1に示すアンテナの通信周波数に応じたSパラメータの推移を示すグラフの例である。 図4は、図1に示すアンテナの基板サイズを変更した場合の通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフの例である。 図5は、図1に示すアンテナとは異なるサイズのアンテナの通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフの例である。 図6は、図1に示すアンテナとは異なるサイズのアンテナの通信周波数に応じたSパラメータの推移を示すグラフの例である。 図7は、図1に示すアンテナとは異なるサイズのアンテナの通信周波数に応じた各Sパラメータの推移を示すグラフの例である。 図8は、図1に示すアンテナとは異なるサイズのアンテナの通信周波数に応じた垂直方向の各Sパラメータの推移を示すグラフの例である。 図9は、図1に示すアンテナとは異なるサイズのアンテナの通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフの例である。 図10は、アンテナの平面方向のサイズと、放射効率の関係を示すグラフの例である。 図11は、図1とは異なる構成のアンテナの構成例を示す図の例である。 図12上図は、アンテナの高さを変更した場合の通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフの例である。図12下図は、アンテナの幅を変更した場合の通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフの例である。 図13は、アンテナの高さを変更した場合のアンテナパターン(指向性)を示す図の例である。 図14(a)~(f)は、各種のアンテナの構成例を示す図の例である。 図15は、図14(f)に示すアンテナと、その一部拡大図の例である。 図16は、図14に示す各アンテナの通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフの例である。 図17は、図14に示す各アンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図の例である。 図18は、図14(f)に示すアンテナが複合アンテナとして機能することを示す図の例である。 図19は、図14(f)に示すアンテナの突出部と第2導電板との間のギャップを変更した場合のアンテナの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフの例である。 図20は、図14(f)に示すアンテナの突出部と第2導電板との間のギャップを変更した場合のアンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図の例である。 図21は、アンテナを球状に構成した場合の構成例を示す図の例である。 図22は、図21に示すアンテナの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフの例である。 図23は、図21に示すアンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図の例である。 図24は、アンテナを柱状に構成した場合の構成例を示す図の例である。 図25は、図24に示すアンテナの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフの例である。 図26は、図24に示すアンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図の例である。 図27は、導電板の一方に受電回路を設けた場合のアンテナの構成例を示す図の例である。 図28は、図27に示すアンテナの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフの例である。 図29は、図27に示すアンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図の例である。 図30は、本実施形態に係るアンテナの一利用形態を示す図の例である。 図31は、図30に示すパッケージの展開斜視図の例である。 図32は、実施例2に係るアンテナの基本構成及び、その中に適用可能なコア材を示す図の例である。 図33は、図32(B)の第1の導電板の断面構成を示す図の例である。 図34は、実施例2に係るアンテナの実装例を示す図である。 図35は、アンテナの変更例及び、その中に適用可能なコア材を示す図の例である。 図36は、2.4GHz用アンテナの変更例を示す図の例である。 図37は、実施例2に係るアンテナを用いて、センサに給電する実装例を示す図の例である。 図38は、2つのアンテナの電波効率のシミュレーション結果を示す図の例である。 図39は、アンテナを用いて、機器に配置されたセンサに給電する実装例を示す図の例である。 図40は、2つのアンテナの受信強度のシミュレーション結果を示す図の例である。 図41は、複数のアンテナを効率よく製造する概念図を示す図の例である。 図42は、図1に示すアンテナの通信周波数に応じたインピーダンス(Zパラメータ)の推移を示すグラフの例である。 図43は、アンテナの電界のシミュレーション結果を示す図の例である。 図44は、周波数とインピーダンスとの関係を表す概念図を示す図の例である。
以下、本実施形態に係るワイヤレス給電(無線給電)に係る受電アンテナについて、図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
本実施形態に係るアンテナ1は、図1に示すように、長尺板状の第1導電板10aと、長尺板状の第2導電板10bとが互いに対向し、その一端部において、フィーダー11(整流器)を介して互いに接続されるとともに、導電性部材10c(ショートピン)により接続されてなる無線給電における受電側の装置に用いられるアンテナである。アンテナ1は、無線給電に係る920メガヘルツ帯にて利用されるアンテナであるが、使用する通信帯域は、920メガヘルツ帯に限定するものではなく、2.4ギガヘルツ、5.7ギガヘルツであってもよい。本明細書においては使用する通信帯域を920メガヘルツ帯として説明する。
アンテナ1は、遠距離ワイヤレス給電を行うための受電アンテナであり、様々なIoT機器が動作するための電力を受電して、供給する。そのため、アンテナ1は、様々な機器に搭載あるいは接続される可能性があり、なるべく様々な形状や大きさに対応できることが望ましい。また、アンテナ1にあっては、アンテナはインダクティブであり、フィーダー11(整流器)をキャパシティブにすることで、損失を有するインピーダンスマッチング回路がなくともマッチングをとることができ、高効率な受電アンテナシステムとして機能する。
第1導電板10aと第2導電板10bは、共に、長さL1、幅W1の平板状の薄板である。図1では、幅W1=15mm、長さL1=40mm、薄板間距離H1=10mmである場合を例に示している。
また、導電性部材10cは、図1においては、棒状にした例を示しているが、第1導電板10aと第2導電板10bを接続できれば棒状に限定するものではなく、板状であってもよい。第1導電板10a、第2導電板10b、導電性部材10cは、例えば、銅、アルミ等、電流をよく流す任意の素材により実現される。
フィーダー11は、所謂給電線であり、アンテナ1の一端において、第1導電板10aと第2導電板10bとを接続するように設けられる。即ち、フィーダー11は、第1導電板10aの端部に接続するとともに、第1導電板10aに対向する第2導電板10bの端部に接続する。図1において、導電性部材10cは、フィーダー11寄りの位置に設けている例を示しているが、この導電性部材10cは、フィーダー11が設けられている端部とは逆側の端部に設けられていることが好ましい。ここでいう逆側の端部とは、フィーダー11が接続している第1導電板10aと第2導電板10bの端部から見て、第1導電板10a、第2導電板10bの長手方向での反対側の端部のことをいう。以下、この理由について、図2、図3を用いて説明する。
図2は、導電性部材10cの位置を様々な位置に配した場合のアンテナ1の放射効率を示しており、各周波数における放射効率を示している。図3は、アンテナ1の各周波数におけるSパラメータの変化を示している。アンテナ1は、ワイヤレス給電における受電アンテナとして用いられるアンテナであり、放射効率は、放射源から放射された電力をどれだけ効率よく電力として受電できるかを示す指標となる。
図2、図3に示すデータは、アンテナ1において、W1=30mm、L1=60mm、H1=10mmとし、導電性部材10cの配置箇所を、アンテナ1の長さ方向の中心からの距離dを変化させていったときのデータである。また、距離dについては、フィーダー11に近づく方向を正方向として、d=-30、d=-23.3333、d=-16.6667、d=-10、d=-3.3333、d=3.3333、d=10、d=16.6667とした場合それぞれでシミュレーションを行った結果を示している。d=0は、アンテナ1の長尺方向における中心位置であり、d=-30は、フィーダー11が設けられている位置とは反対側の第1導電板10a(第2導電板10b)の端部の位置である。
図2からは、アンテナ1の放射効率は、920メガヘルツ帯においては、導電性部材10cの位置には大きく依存しないことが理解できる。図2は、横軸に通信周波数、縦軸に、放射効率を示している。具体的には、920メガヘルツ帯において、d=-30とした場合の放射効率は、0.92492264であり、d=-23.3333とした場合の放射効率は、0.91848839であり、d=-16.6667とした場合の放射効率は、0.90653664であり、d=-10とした場合の放射効率は、0.89302688であり、d=-3.3333とした場合の放射効率は、0.88013362であり、d=3.3333とした場合の放射効率は、0.8730083であり、d=10とした場合の放射効率は、0.87878139であり、d=16.6667とした場合の放射効率は、0.9007059である。このように、いずれの場合も920メガヘルツ帯においては、0.85以上の放射効率は担保できることが理解できる。
また、d=23.3333の場合を除いて、導電性部材10cをフィーダー11から遠ざけた方が、アンテナ1の放射効率が高い。これらの情報は、出願人らがシミュレーションにより得た値である。これらの値の中で、d=-30、即ち、導電性部材10cをフィーダー11の反対側に設けた場合の放射効率は、シミュレーションした配置の中では比較的高い放射効率を有することが理解できる。図2からすると、導電性部材10cは、フィーダー11が設けられている第1導電板10a及び第2導電板10bの端部とは、長尺方向において、反対側の端部で、第1導電板10aと第2導電板10bとを接続するように設けられることが好ましい。
図3は、導電性部材10cの中央からの配置位置に応じた周波数帯域ごとの、アンテナ1のSパラメータ、より厳密にはS11パラメータの推移を示しているグラフである。図3のグラフでは、横軸に通信周波数を示し、縦軸には、デシベル値を示している。S11は、アンテナ1に対する入力反射係数である。但し、反射は少ない方が、効率がよく、デシベル値としては低い方が好ましい。但し、図3の例では50オームに対しての反射係数がシミュレーションされており、本来直接回路側との整合をとる際には、50オームではないため、実際の値とは異なっている。導電性部材10cをフィーダー11に近づけるとSパラメータが920メガヘルツ帯において落ち込むことから、導電性部材10cは、フィーダー11からなるべく遠ざける位置とすることが好ましい。
なお、図3において、導電性部材10cの各配置位置に応じた920メガヘルツ帯のSパラメータの値は、d=-30、即ち、導電性部材10cをフィーダー11から最も遠ざけた位置に配置した場合のS11パラメータ(単にS11とのみ記載することもある)は、-0.11598898である。同様に、d=-23.3333の場合に、S11=-0.12124553、d=-16.6667の場合に、S11=-0.13121938、d=-10の場合に、S11=-0.14794466、d=-3.3333の場合に、S11=-0.17484571、d=3.3333の場合に、S11=-0.21969521、d=10の場合に、S11=-0.302915、d=16.6667の場合に、S11=-0.50750559であるとの情報を、出願人らは、シミュレーションにより取得した。
この値からすると、d=16.6667とした方が、反射率からするとアンテナ1にとって好ましいことが理解できるものの、アンテナパターン(アンテナの指向性)において、導電性部材10cをフィーダー11から離れた位置に配置した方が無指向性に近づくため、受電アンテナとして、送電機に対してどの位置に置いたとしても受電できることが望ましいことを考慮すると、アンテナパターンは無指向性であるに越したことはなく、放射効率と相まって、d=-30、即ち、導電性部材10cが、フィーダー11が設けられている第1導電板10aと第2導電板10bの端部とは、長尺方向における反対側の端部において、第1導電板10aと第2導電板10bとを接続するように設けられることが好ましい。
以上、図2、図3に示すパラメータ並びにアンテナパターン、アンテナ1の使用場面から考慮すると、導電性部材10cは、フィーダー11とは、第1導電板10aと第2導電板10bの長さ方向の反対側の端部で第1導電板10aと第2導電板10bとを接続するようにアンテナ1を構成することが好ましい。したがって、アンテナ1は、第1導電板10aと、第1導電板10aに対向する第2導電板10bが、所定の距離を離して、一方の端部でフィーダー11により接続し、他方の端部で導電性部材10cにより接続する構成とするのが好ましいと言える。
図4は、アンテナ1において、W1とL1との組み合わせをそれぞれ、(W1,L1)=(30mm,60mm)、(W1,L1)=(60mm,120mm)、(W1,L1)=(120mm,240mm)とした場合の、アンテナ1のSパラメータの変化を示している。なお、図4の例は、電力の送電元から、アンテナ1までの距離を1mとして測定したものである。
図4に示すように、給電に用いる周波数として、920メガヘルツ帯において、最も良好なSパラメータを示した(最も高い受信レベル(デシベル値)を示した)のは、(W1,L1)=(30mm,60mm)とした場合であり、次点が(W1,L1)=(120mm,240mm)とした場合であり、最も低かったのは、(W1,L1)=(60mm,120mm)とした場合であった。しかし、その数値は、実質的には大きな差異はなく、いずれの場合も実用に耐える値であるといえる。そのことから、実際の電力を要する何らかの装置において、アンテナ1が占める割合は、なるべく小さい方がよいこと、受信精度が最も高いことを考慮すると、図4に示す3種類の導電板(第1導電板10a,第2導電板10b)の中では、その大きさを、(W1,L1)=(30mm,60mm)とすることが好ましいといえる。
図2、図3、図4においては、導電性部材10cの配置位置を変更した場合、並びに、第1導電板10a、第2導電板10bのサイズを変更した場合の性能比較を行った。ここから、図5、図6を用いて、図2、図3の場合と比較して、第1導電板10a、第2導電板10bのサイズを異ならせた上で、導電性部材10cの配置位置を変更した場合のアンテナ性能について検討する。即ち、形状は、図1と同じで、W1=15mm、L1=40mm、H1=10mmとした場合のアンテナにおいて、導電性部材10cの接続位置を変更した場合のアンテナ性能について説明する。つまり、図5、図6における性能を示すアンテナは、図2、図3において特性を示したアンテナよりも、第1導電板10a、第2導電板10bの面積が小さいアンテナの特性について説明する。また、導電性部材10cの配置位置としては、第1導電板10a、第2導電板10bの中心位置からの距離をdとし、フィーダー11に近づく方向をプラスとして、d=-20、d=-13.3333、d=-6.6667、d=0、d=6.6667、d=13.3333とした場合の、性能について示すこととする。
図5は、図1に示すアンテナとは異なるサイズのアンテナの通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフである。図5に示すように、920メガヘルツ帯においては、d=-20とした場合に最も放射効率が高く、導電性部材10cの位置が、フィーダー11に近づくほど、落ちていることがわかる。より具体的には、d=-20とした場合の放射効率は、0.82041534であり、d=-13.3333とした場合の放射効率は、0.78161097であり、d=-6.6667とした場合の放射効率は、0.71846705であり、d=0とした場合の放射効率は、0.6318809であり、d=6.6667とした場合の放射効率は、0.52839634であり、d=13.3333とした場合の放射効率は、0.43914519である。これらの値からも、d=-20、即ち、導電性部材10cをフィーダー11の反対側に設けた場合の放射効率は、シミュレーションした配置の中では最も高い放射効率を有することが理解できる。その一方で、L1=40mm、W1=15mmとした場合、L1=60mm、W1=30mmとした場合に比して、放射効率の面では劣ることが理解できるものの、L1=40、W1=15mmとした場合でも、無線給電を実行するにあたって問題ない程度の放射効率を発揮することが理解できる。
図6は、L1=40mm、W1=15mmとしたアンテナ1の通信周波数に応じたSパラメータの推移を示すグラフである。図7によれば、920メガヘルツ帯においては、Sパラメータに差異はほとんどないといえ、導電性部材10cの配置位置による変動はないことが理解できる。より具体的には、d=-20とした場合のSパラメータは、-0.023152867であり、d=-13.3333とした場合のSパラメータは、-0.025011792であり、d=-6.6667とした場合のSパラメータは、-0.025784824であり、d=0とした場合のSパラメータは、-0.020420918であり、d=6.6667とした場合のSパラメータは、-0.020870058であり、d=13.3333とした場合のSパラメータは、-0.021026152であり、これらの値からも差違がないことが理解できる。
図6のグラフに示すSパラメータは、50Ωに対する反射損を示している。Sパラメータは、基本的に使用する周波数帯で、デシベル値において低い値を示す方が反射率が低いことを意味し、好ましいとされる。図6のグラフからすると、この場合のアンテナは、導電性部材10cがどの位置に配されていても、920メガヘルツ帯においては、50Ωに対する反射損に対してはあまり好ましくないことが理解できる。
図7は、図1に示すアンテナのサイズをW1=15mm、L1=40mmとしたアンテナの通信周波数に応じた各Sパラメータの推移であって、送電側との間の距離を1mとした場合の推移を示すグラフである。また、図8は、同アンテナの通信周波数に応じた垂直方向の各Sパラメータの推移であって、送電側との間の距離を1mとした場合の推移を示すグラフである。
図7において、920メガヘルツ帯における(S11、S12、S21、S22)はそれぞれ、(-46.70311、-21.271524、-21.164399、-42.548009)を示した。また、図8において、920メガヘルツ帯における(S11、S12、S21、S22)はそれぞれ、(-67.655771、-58.391212、-64.442047、-87.938023)を示した。いずれの場合であっても、アンテナ1は、920メガヘルツ帯において、マッチングされた条件下においてはアンテナ1のSパラメータ(S11)は大きなマイナスのデシベル値を示し、S21(伝送特性)は改善され、1mの距離において問題なく給電できることを示している。
図9は、W1=20mm、L1=50mm、H1=10mmとした場合のアンテナ1の通信周波数毎の放射効率を示すグラフである。また、導電性部材10cの配置位置としては、第1導電板10a、第2導電板10bの長手方向の中心位置からの距離をdとし、フィーダー11に近づく方向をプラスとして、d=-25、d=-19.4444、d=-13.8889、d=-8.3333、d=-2.7778、d=2.7778、d=8.3333、d=13.8889、d=19.4444とした場合の、性能について示すこととする。
図9に示すように、W1=20mm、L1=50mmとした場合においても、d=-25、即ち、導電性部材10cを、フィーダー11が設けられている第1導電板10a、第2導電板10bの端部とは、長手方向において、反対側の端部に設けられている場合が、920メガヘルツ帯において、最も放射効率が高く、基本的には、導電性部材10cがフィーダー11に近づけば近づくほど放射効率が低下することが理解できる。より具体的には、d=-25とした場合の放射効率は、0.88334688であり、d=-19.4444とした場合の放射効率は、0.87004885であり、d=-13.8889とした場合の放射効率は、0.84695073であり、d=-8.3333とした場合の放射効率は、0.81796392であり、d=-2.7778とした場合の放射効率は、0.78302769であり、d=2.7778とした場合の放射効率は、0.74525835であり、d=8.3333とした場合の放射効率は、0.7139987であり、d=13.8889とした場合の放射効率は、0.70413104であり、d=19.4444とした場合の放射効率は、0.71853238である。即ち、W1=20mm、L1=50mmとした場合においても、導電性部材10cの配置位置を、フィーダー11から遠ざけるほど、アンテナ1としての放射効率は向上することが理解できる。また、W1=20mm、L1=50mmとした場合においても導電性部材10cをどこに配置したとしても、920メガヘルツ帯においては、0.7以上の放射効率を示すことから、無線給電において、十分な性能を発揮するといえる。
図2~図9からすると、図10に示すように、W1=30mm、L1=60mmとしたアンテナと、W1=20mm、L1=50mmとしたアンテナと、W1=15mm、L1=40mmとしたアンテナと、では、前者の方が放射効率は高いと言える。その一方で、アンテナ面積を広くしていく過程において、W1=15mm、L1=40mmとした辺りから、アンテナの放射効率が横ばい傾向を示すようになっており、それらの間に大きな性能差はあまりないともいえる。事実、W1=15mm、L1=40mmとした場合でも無線給電における受電アンテナとして十分な性能を発揮する。その一方で、アンテナを搭載する対象を比較的小型なIoT機器であることを想定した場合には、アンテナとしてのサイズが小さい方がIoT機器としては望ましいと言えるため、アンテナ1のサイズを15×40mmと小さくした方が好ましいと言えるが、いずれのサイズであっても、本発明に係るアンテナ1は、無線給電における受電アンテナとして一定以上の性能を発揮するといえる。
図11は、図1とは異なる構成のアンテナの構成例を示す図である。図11に示すアンテナ1Aは、アンテナ1における導電性部材10cを1枚の導電板として構成した例を示している。即ち、アンテナ1Aは、第1導電板10aと第2導電板10bとが、その一端において、フィーダー11により接続され、他端において、導電性の板である導電板10cにより接続している例を示している。第1導電板10aと第2導電板10bと導電板10cとは、それぞれ個別の板により形成されて、互いに通電可能に接続されるように構成してもよいし、一枚の導電板を折り曲げることで、導電板10a~10cを構成するようにしてもよい。
図12上図は、アンテナの高さを変更した場合の通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフである。図12下図は、アンテナの幅を変更した場合の通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフである。
図12上図は、第1導電板10aと第2導電板10bの長さと幅を固定(例えば、L2=60mm、W2=30mm)し、H2を変動させていった場合のアンテナ1Aの放射効率の推移を示している。図12上図に示されるように、アンテナ1Aにおいて高さH2を長くしていくほど放射効率が高くなっていることが理解できる。ただ、図12上図に示されるように、高さH2が5mmを超えたあたりから、放射効率は横ばいになっていっており、10mm付近では大きな放射効率の向上は望めないことも理解できる。アンテナ1Aとしては、小型の装置にも搭載することを考慮すると、可能であればそのサイズは小さいことが望ましいと言える。そのため、サイズと放射効率との双方を考慮すると、高さH2は、5~10mm程度にするのがよいと言える。なお、この点は、図1のアンテナ1における高さH1についても同様のことが言える。
図12下図は、第1導電板10aと第2導電板10bの長さと高さを固定(例えば、L2=60mm、H2=8mm)し、W2を変動させていった場合のアンテナ1Aの放射効率の推移を示している。図12下図に示されるように、アンテナ1Aにおいて幅W2を長くしていくほど放射効率が高くなっていることが理解できる。ただ、幅についても高さと同様に、ある一定以上の長さから放射効率の向上率が低下することが図12下図から理解できる。具体的には、幅W2の長さが、10mmを超えた当たりから、放射効率は横ばいになっている。したがって、サイズと放射効率との双方を考慮すると、幅W2は、10~30mm程度にするのがよいと言えるが、アンテナ1Aを搭載したい装置のサイズによって制限されてよい。
図13は、アンテナの高さを変更した場合のアンテナパターン(指向性)を示す図である。本実施形態においては、アンテナ1の中心を原点とし、第1導電板10a、第2導電板10bと平行で原点を通る面をXY平面とし、アンテナ1の短尺方向(図1のW1方向)をX軸とし、アンテナ1の長尺方向(図1のL1方向)をY軸とし、それらのX軸とY軸に対して垂直な軸をZ軸とし、Z軸のXY平面に対する角度をTheta(θ)、Z軸回りの方位角をPhi(Φ)としたときに、ThetaとPhiの角度で示される方向から見た場合のアンテナパターンを示すものとする。
図13に示すアンテナパターンは、アンテナ1Aを正面から見た(フィーダー11を右に、導電性部材10cを左に、第1導電板10aを上、第2導電板10bを下とした場合の正面図)場合におけるアンテナ1を中心としたアンテナパターンを示している。つまり、Theta=90°、Phi=0°とした場合のアンテナパターンであり、YZ平面におけるアンテナパターンを示している。アンテナ1Aは、ワイヤレス給電における受電アンテナとして利用される関係上、また、アンテナ1Aを搭載するセンサ等の装置がどこに配置されるか推定できない以上、アンテナ1Aの指向性はなるべく均一になっていることが、望ましい。図13には、アンテナ1Aの第1導電板10aと第2導電板10bの面積を固定し、高さH1を、2mm、4mm、6mm、8mm、10mmとした場合のアンテナパターン(指向性)を示している。
図13に示されるように、高さH2が2mmの場合に、0度及び180度においてアンテナパターンに大きく凹みがあるといえる。そして、高さH2を高くしていくごとに、その凹みが少なくなり、H2=10mmの場合には、凹みは少なくアンテナパターンが円に近くなる(無指向性に近くなる)ことから、これらの高さの中では、H2=10mmとすることが、受電アンテナとして好ましいということが理解できる。H2は、高ければ高いほど良いというものではなく、また、アンテナ1Aを搭載する装置の積載量にも依存するとともに、H2を高くしていった際に、アンテナパターンが歪まない高さとすることが好ましい。
以上の図2~図13に示す内容から、図1に示す長尺板状の第1導電板10aと第2導電板10bとが互いに対向してフィーダー11により一端部が接続され、更に、導電性部材10cとで接続されるアンテナ1において、第1導電板10aと第2導電板10bとの間の距離、即ち、アンテナ1の高さは、10mm程度とすることが好ましく、導電性部材10cは、フィーダー11からなるべく離れた位置、即ち、フィーダー11が配置されている端部とは反対側の他端部において第1導電板10aと第2導電板10bとを接続することが好ましいと言える。また、第1導電板10a、第2導電板10bのサイズとしても、上述した各種のサイズの中では、15mm×40mmを中心とする範囲とすることが好ましいといえるが、いずれのサイズのアンテナであっても、図1、図11に示す形状でアンテナ長が920メガヘルツの1/4λに近ければ、十分に受電アンテナとして機能する。
図14(a)~(f)は、本発明に係るアンテナの種々のバリエーションを示しており、各種のアンテナの構成例を示している。図14(a)~(f)においては符号としては示していないが、図11に示したようにベースとしては、第1導電板10aと、第2導電板10bと、導電板10cがコの字型に配され、第1導電板10aと導電板10cとの端部がフィーダー11により接続される構成になっているという認識のもと、以降の説明を行う。
図14(a)に示すアンテナ1aは、図11に示したアンテナ1Aと同一である。図14には、他の態様と比較するために示している。
図14(b)に示すアンテナ1bは、アンテナ1aの変形例である。図14(b)に示すアンテナ1bは、アンテナ1aの第1導電板10aの中央部において第2導電板10bの方に突出する凸部が設けられるとともに、第2導電板10bの中央部において第1導電板10aの方に突出する凸部が設けられた形状をしている。即ち、アンテナ1bは、第1導電板10aと、第1導電板10aに対向する第2導電板10bと、導電板10cと、フィーダー11と、を備え、導電板10cは、第1導電板10aの一端と、第2導電板10bの第1導電板10aの一端に対向する一端とを接続し、フィーダー11は、第1導電板10aの他端と、第2導電板10bの第1導電板10aの他端に対向する他端とを接続して成る。
図14(c)に示すアンテナ1cは、アンテナ1aの他の変形例である。図14(c)に示すように、アンテナ1aの導電板10a~10cの外縁部を残した形状をしている。換言すると、アンテナ1cは、導電板10a~10cを1枚の導電板で形成して、各辺の端部から所定距離だけ内側を切り欠いた状態の導電板を、図14(c)に示す状態になるように折り曲げて端部をフィーダー11で接続している構成を有する。コの字型の第1導電板10aと、第1導電板10aに対向するコの字型の第2導電板10bと、枠状の導電板10cと、フィーダー11と、を備え、導電板10cは、第1導電板10aの一端と、第2導電板10bの第1導電板10aの一端に対向する一端とを接続し、フィーダー11は、第1導電板10aの他端と、第2導電板10bの第1導電板10aの他端に対向する他端とを接続して成る。
図14(d)に示すアンテナ1dは、アンテナ1aにおいて、導電板10cの内部を切り欠いて、枠状にしたアンテナである。即ち、アンテナ1dは、第1導電板10aと、第1導電板10aに対向する第2導電板10bと、枠状の導電板10cと、フィーダー11と、を備え、導電板10cは、第1導電板10aの一端と、第2導電板10bの第1導電板10aの一端に対向する一端とを接続し、フィーダー11は、第1導電板10aの他端と、第2導電板10bの第1導電板10aの他端に対向する他端とを接続して成る。
図14(e)に示すアンテナ1eは、アンテナ1dに対して、更に、第1導電板10a及び第2導電板10bにスロットを設けた構成になっている。即ち、アンテナ1eは、長手方向に延伸するスロットが設けられた第1導電板10aと、長手方向に延伸するスロットが設けられた第2導電板10bと、が互いに対向し、一方の端部でフィーダー11により接続され、他方の端部で板状の導電性部材10cとにより接続されて成る。
図14(f)に示すアンテナ1fは、アンテナ1eに対して、更に、第1導電板10aの長手方向中央付近で、W2方向の両端から、第2導電板10bに向けて突出部10dを有する構成を有する。即ち、アンテナ1fは、長手方向に延伸するスロットが設けられた第2導電板10bと、長手方向に延伸するスロットが設けられるとともに、長手方向中央付近の幅方向の端部において垂直に延伸する突出部10dを有する第1導電板10aとが互いに対向し、一方の端部でフィーダー11により接続され、他方の端部で板状の導電性部材10cとにより接続されて成る。
図15は、図14(f)に示すアンテナ1fと、その一部拡大図である。図15の一部拡大図に示されるように、第1導電板10aの幅(W)方向の端部であって、長さ(L)方向の中央近傍から突出する突出部10dは、第2導電板10bに向けて第1導電板10aから延伸しているものの、第2導電板10bには接続しない。即ち、第2導電板10bと突出部10dとの間には所定のギャップが設けられている。このギャップの長さによってもアンテナ1fの性能が変動する。この点については、図19を用いて後述する。
以下、図14に示した各アンテナについて、それらの性能比較を行うことでアンテナ1として望ましい形状について検討する。
図16は、図14に示す各アンテナの通信周波数に応じた放射効率の推移を示すグラフである。図16に示すように、920メガヘルツ帯においては、アンテナ1f、アンテナ1a、アンテナ1d、アンテナ1b、アンテナ1e、アンテナ1cの順に、高い放射効率を示している。より具体的には、アンテナ1fの920メガヘルツ帯における放射効率は、0.99010068、アンテナ1aの920メガヘルツ帯における放射効率は、0.93002356、アンテナ1dの920メガヘルツ帯における放射効率は、0.90709889、アンテナ1bの920メガヘルツ帯における放射効率は、0.90532426、アンテナ1eの920メガヘルツ帯における放射効率は、0.90475959、アンテナ1cの920メガヘルツ帯における放射効率は、0.79928906であることがシミュレーションにより得られた。このことから、920メガヘルツ帯に最も適したアンテナは、放射効率からすると、アンテナ1fの形状であるということになるが、いずれの形状であっても、0.7以上の放射効率を有することから、受電アンテナとしての要件は満たすと言える。
図17は、図14に示す各アンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図である。
図17の右側のアンテナパターンは、図14に示す各アンテナを、天面(第1導電板10a側)から見て、上端にフィーダー11が位置するようにして測定したアンテナパターンを示している。即ち、θ=90°としたときのXY平面上のアンテナパターンを示している。天面から見たアンテナパターンは、図14に示す各アンテナのいずれの場合もほぼ真円に近い円を描くことがシミュレーションによりわかった。したがって、天面から見たアンテナパターンについては、いずれのアンテナにも大きな差異はないと言える。
一方で、図17の左側のアンテナパターンは、図14に示す各アンテナを、導電性部材10c側から見た場合のアンテナパターンを示している。即ち、Φ=90°としたときのXZ平面上のアンテナパターンを示している。図17に示すアンテナパターンでは、いずれのアンテナパターンも90度方向に長軸半径、0度、180度方向に短軸半径を有する楕円状になっている。そして、アンテナ1fのアンテナパターンの短軸半径が最も長く、アンテナ1fが描くアンテナパターンが最も円に近いことになる。アンテナパターンの短軸半径は、図示するように、アンテナ1fに次いで、アンテナ1e、アンテナ1c、アンテナ1a、アンテナ1bの順に短くなっている。図14に示すアンテナは上述の通りワイヤレス給電における受電アンテナとして用いられることを想定しており、一例として、IoT機器としての小型センサ等への搭載が想定されている。この場合、IoT機器は、どこに設置されるかわかっていない以上、アンテナパターンとしては、いずれの方向からの電波であっても受信して受電できるようになっていることが好ましいことから、アンテナ1a~アンテナ1fに示すアンテナの中では、アンテナパターンとしては、アンテナ1fが最も好ましいということになる。
図16、図17からすると、図14に示すアンテナ群の中では、アンテナ1fの形状が、ワイヤレス給電に用いる受電アンテナとして最も適していると推察される。アンテナ1fが高い適性を示した理由について図18を用いて説明する。
図18は、図14(f)に示すアンテナが複合アンテナとして機能することを示す図である。図16、17からすると、アンテナ1fが受電アンテナとして効率がよいと考えられるが、これは、アンテナ1fが、図18に示すように複合アンテナとして機能していると推察されるためである。
図18に示すように、アンテナ1fは、二つのループアンテナ、二つのスロットアンテナ、三つのダイポールアンテナとして機能していると推定される。即ち、アンテナ1fは、導電性部材10cの枠の周囲から成るループアンテナ18g、第1導電板10a-導電性部材10c-第2導電板10b-フィーダー11の端部により形成されるループアンテナ18f、第1導電板10aに設けられているスロットにより形成されるスロットアンテナ18d、第2導電板10bに設けられているスロットにより形成されるスロットアンテナ18e、フィーダー11-第1導電板10aの中央まで-突出部10dからなるダイポールアンテナ18a、18c、第1導電板10a-フィーダー11からなるダイポールアンテナ18bの6種類のアンテナとして機能する部位を有する複合アンテナとして見做すことができ、その結果、優れたアンテナ性能を示すこととなった。
図19は、図14(f)に示すアンテナの突出部10dと第2導電板10bとの間のギャップを変更した場合のアンテナの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフである。図19に示すグラフは、横軸に周波数を、縦軸にデシベル値をとっており、デシベル値が低い方が、効率が低いことになる。
図19には、突出部10dと第2導電板10bとの間の距離(ギャップ)が、0~2.48mmの範囲でギャップを変更した場合の放射効率を示している。図19に示すように、ギャップがない場合(0mmの場合)と、それ以外の場合とで、放射効率は異なり、ギャップがない構成の場合、ギャップがある構成に比して、放射効率が大きく劣ることが理解できる。より具体的には、ギャップが0mm以外の場合であれば、いずれのギャップであっても、放射効率は90%付近を示した。このことから、アンテナ1fにおいては、第1導電板10aからの突出部と、第2導電板10bとの間には、ギャップを設けた方がよいことになる。
図20は、図14(f)に示すアンテナの突出部と第2導電板との間のギャップを変更した場合のアンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図である。図20においては、ギャップを、0.02mm、0.13mm、0.2mm、0.6mmとした場合のアンテナパターンの例を示している。図20の左側は、アンテナ1fを天面側から見た場合であってアンテナ1fの長尺方向を図面左右方向とした場合のアンテナパターンであり、図20の右側は、アンテナ1fを端部、即ち、フィーダー11の方から見た場合のアンテナパターンを示している。即ち、図20の左側は、Φ=0°としたときのYZ平面上のアンテナパターンを示している。また、図20の右側は、Φ=90°としたときのXZ平面上のアンテナパターンを示している。
図20に示すように、ギャップを0.13mmとした場合が最も円に近いアンテナパターンを形成することなり、次いで、ギャップを0.02mm、0.6mm、0.2mmの順に、アンテナパターンが小さく、楕円に近い形状となることがシミュレーションによりわかった。前述の通り、本実施形態に係るアンテナは、ワイヤレス給電における受電アンテナとして用いられ、どこに設置されるか製作段階ではわからないことから、アンテナパターンは、なるべく広範囲の無指向性のアンテナパターンを形成することが望ましい。
そうすると、図20に示されるように、(i)アンテナパターンが最も真円に近いこと、(ii)放射効率が最もよかったギャップが2.48mmの場合に比して、ギャップをより狭くした場合でも放射効率が大きく劣るものではないこと、(iii)放射効率が最もよかったギャップが0.6mmの場合のアンテナパターンが、ギャップがより狭い0.13mmや0.02mmの場合のアンテナパターンよりも大きく劣ること(アンテナパターンが楕円になっていること)、を考慮すると、以上、図19、図20から、アンテナ1fの場合、突出部と第2導電板10bとの間にはギャップを設けた方がよく、そのギャップの距離はアンテナ1fが形成するアンテナパターンが無指向性に近くなるように、なるべく短い方がよいといえる。
図21は、アンテナを球状に構成した場合の構成例を示す図である。より、具体的には、図21に示すアンテナは、図14(f)に示すアンテナ1fを曲面状(図示では球状)に構成した場合の例を示している。図21に示すように、アンテナ1gは、スロットが設けられた第1導電板10aと、スロットが設けられた第2導電板10bとを、内部を切り欠いた枠状の導電性部材10cにより一方の端部を接続し、フィーダー11により他方の端部を接続してなる。第1導電板10a、第2導電板10b、導電性部材10cは、図示するように、全体で球状に湾曲させている。また、第1導電板10aの中程から、第2導電板10bに向けて突出する板状の突出部を設けており、この突出部は図示の通り、第2導電板10bには接触しない。
図22は、図21に示すアンテナの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフである。
図22に示されるように、図21に示す形状のアンテナ1gは、920メガヘルツ帯において、0.95751033と、高い放射効率を示しており、受電アンテナとして十分な性能を示すことが理解できる。
図23は、図21に示すアンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図である。図23の左図は、アンテナ1gを天面方向、即ち、図21に示す矢印21Aの方から見た場合のアンテナパターンを示す図であり、図23の中央図は、アンテナ1gを側面方向、即ち、図21に示す矢印21Bの方から見た場合のアンテナパターンを示す図であり、図23の右図は、アンテナ1gを正面方向、即ち、図21に示す矢印21Cの方から見た場合のアンテナパターンを示す図である。換言すると、図23の左側は、Φ=0°としたときのXY平面上のアンテナパターンを示しており、図23の中央は、θ=90°としたときのXZ平面上のアンテナパターンを示しており、また、図23の右側は、Φ=90°としたときのYZ平面上のアンテナパターンを示している。
図23に示されるように、アンテナ1gのアンテナパターンは、図23の左図及び右図では多少楕円状になっているもののほぼ真円に近い形状をしており、中央図は、ほぼ真円に等しい形状をしていることが理解でき、無指向性のアンテナとして、ほぼ理想的な形状のアンテナパターンを有していることが理解できる。
従って、アンテナ1fを、図21に示すように湾曲させて構成したアンテナ1gも、受電アンテナとして使用できることがわかった。
図24は、アンテナを柱状(環状)に構成した場合の構成例を示す図である。より、具体的には、図21に示すアンテナは、図14(f)に示すアンテナ1fを柱状に構成した場合の例を示している。図24に示すように、アンテナ1hは、アンテナ1fを長手方向に湾曲させて柱状に構成した例を示しており、スロットが設けられ、長尺方向に湾曲させた長尺板状の第1導電板10aと、スロットが設けられ長尺方向に湾曲させた長尺板状の第2導電板10bと、が、それぞれ一方の端部で内部を切り欠いた枠状で湾曲させた導電性部材10cにより接続され、他端でフィーダー11により接続された構成を成す。
図25は、図24に示すアンテナ1hの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフである。図25に示されるように、図24に示す形状のアンテナ1hは、920メガヘルツ帯において、0.95761551と高い放射効率を示しており、受電アンテナとして十分に高い性能を示すことが理解できる。
図26は、図24に示すアンテナ1hのアンテナパターン(指向性)を示す図である。図26の左図は、アンテナ1hを矢印24Aの方から見た場合のアンテナパターンを示しており、図26の中央図は、アンテナ1hを矢印24Bの方から見た場合のアンテナパターンを示しており、図26の右図は、アンテナ1hを矢印24Cの方から見た場合のアンテナパターンを示している。換言すると、図26の左側は、Φ=90°としたときのYZ平面上のアンテナパターンを示しており、図26の中央は、Φ=0°としたときのXY平面上のアンテナパターンを示しており、また、図26の右側は、θ=0°としたときのXZ平面上のアンテナパターンを示している。図26に示されるように、矢印24A及び24Bの方から見た場合のアンテナパターンは楕円状になっているものの、歪みは大きくなく、また、矢印24Cの方から見た場合のアンテナパターンはほぼ円形と言えるので、アンテナ1hは、十分に無指向性の受電アンテナとしての使用に耐える受電アンテナであるといえる。
図21~図26に示したように、アンテナ1fを球状あるいは柱状に構成した場合には、アンテナ1fを図14(f)に示すように箱状に構成した場合と比してもワイヤレス給電における受電アンテナとして一定の適性を有することが理解できる。このような形状のアンテナ1fとしては、一例として、人感センサに接続して、例えば柱状のペン立てに取り付けるようにして自然な形で、アンテナ1fを搭載したIoT機器を、人に意識させない態様で設置することができる。このIoT機器は、アンテナ1Fが受電した電力を用いて動作してセンシングを行って、センシングにより得られたデータを送信することとしてよい。
図27は、導電板の一方に受電回路を設けた場合のアンテナの構成例を示す図である。図27に示す例では、第1導電板10aに受電回路が設けられ、受電回路と、第2導電板10bとがフィーダー11を介して接続されている。なお、図27では、第2導電板10bが幅を狭めて第1導電板10a方向へ延伸させる場合を例に記載しているが、第2導電板10bと接続する導電性部材が、受電回路とフィーダー11を介して接続してもよい。
図27に示すように構成することで、アンテナ1を構成しやすく、かつ、アンテナ1の剛性を、図1や図11等に示す場合よりも向上させることができる。図28、図29を用いて図27に示すアンテナの性能に説明する。
図28は、図27に示すアンテナの通信周波数に応じた放射効率を示すグラフである。図28に示されるように、図28に示すアンテナの放射効率は、第1導電板10aと受電、蓄電回路、センサ、蓄電装置、マイクロコントローラを含むPCB(Printed Circuit Board)と併せた薄さに応じたアンテナの放射効率を示している。具体的には、第1導電板10aとPCBとを合わせた厚みを0.3mmとした場合、第1導電板10aとPCBとを合わせた厚みを1mmとした場合、そして、第1導電板10aとPCBとを接着して併せて厚みを0.3mmとした場合の3通りでシミュレーションを行ったところ、図28に示す放射効率を示すグラフが得られた。このグラフによれば、920メガヘルツ帯における各アンテナの放射効率は、第1導電板10aとPCBとを接着して併せて厚みを0.3mmとした場合のアンテナが0.79228273であり、第1導電板10aとPCBとを合わせた厚みを1mmとした場合のアンテナが0.62782387であり、第1導電板10aとPCBとを接着せずに厚みを0.3mmとした場合のアンテナが0.59796367であり、この順に高かったことが理解できる。
図28に示す放射効率からすると、アンテナの第1導電板10aとPCBとは接着した方がよく、厚みは薄い方がよいと推察される。
図29は、図27に示すアンテナのアンテナパターン(指向性)を示す図である。図29に示すアンテナパターンは、図27に示すアンテナを天面から見たときのアンテナパターンを示しており、図示するようにいずれの場合も楕円形状をしており、大きな差異はないと言える。
したがって、図28、図29を総合すると、アンテナの第1導電板10aとPCBとは接着した方がよく、厚みは薄い方がよいと推察される。
なお、図示はしていないが前述したように、本実施形態に係るアンテナ1(1A、1a~1h)はワイヤレス給電における受電アンテナとして構成されてよく、コンデンサ等を備えて送信機から送信された電力を受電して蓄積し、センサ等を動作させる電力として供給するIoT機器として構成されてよい。なお、アンテナ1で受電した電力は、直接センサ等に供給されてよく、センシングにより得られたセンシングデータは別途通信回路からアンテナ1により受電した電力を用いて、外部のサーバ装置等に送信されてよい。このとき、アンテナ1は、必要に応じて通信可能であれば、データを送受信する通信アンテナとして共用されてもよい。
図30は、本実施形態に係るアンテナ1をケーシングして、IoT機器として形成した例を示す模式図である。図30(a)は、IoT機器の外観図であり、図30(b)は、IoT機器の内部透視図である。また、図31は、図30(a)に示したIoT機器の分解斜視図である。
図30(a)に示すように、一例としてIoT機器は、箱状の筐体3000として提供されてよい。図30(b)に示すように、筐体3000内には、本実施形態に係るアンテナの一例としてアンテナ1fと、アンテナ1f上に設けられて、アンテナ1fに接続されたPCB3001を内蔵した例を示している。なお、筐体3000は、内部にアンテナ1とPCB3001とを内蔵した態様であれば、箱状に限定するものではなく、例えば、柱状であってもよいし、錐状であってもよいし、球状であってもよい。
図31は、筐体3000を分解した分解斜視図である。図31に示すように、アンテナ1f上には、PCB3001が設けられて接続される。PCB3001には図示していないが、IoT機器として実行するセンシングに対応するセンサや、受電回路、蓄電回路、蓄電装置、マイクロコントローラ等のIoT機器として実現すべき機能を実現する各種回路が搭載される。そして、PCB3001を搭載したアンテナ1fを、上部筐体3100と、下部筐体3101とで、挟み込んで内蔵することで、IoT機器を形成する。このように、本実施形態に係るアンテナ1は、IoT機器の一部として提供されてもよい。
IoT機器として提供する場合には、IoT機器のサイズに応じた最も適切なサイズかつ受電性能の高いアンテナ1を選定し、搭載することで、所望の機能を実現しつつ、送電機からの電力を受電できる限り、動作し続けることができるIoT機器を提供することができる。このIoT機器の場合には、IoT機器を動作させるために必要となる大型のバッテリーを搭載する必要がないため、そのサイズを相対的に小型にすることができるとともに大型のバッテリーを搭載することによって伴うコスト増を抑制することができる。なお、図31においては、アンテナ1fに合わせて、PCBにもスロットを入れた態様を示しているが、PCBにスロットは設けなくともよい。
また、アンテナ1は、可変構造をとってもよい。例えば、導電性部材10cとフィーダー11とを伸縮性の部材(例えば、スライド機構等により伸縮可能な部材)により長さを変える構造によって、アンテナ長を変えられるように構成されてもよい。
本発明に係る受電アンテナは、一定以上の距離(例えば、1mであるが、1mに限定するものではなく、1m以上であってもよい)から離れた送電機から送電された電力を効率よく受電できる。また、本発明に係る受電アンテナは、一般的なワイヤレス給電によく用いられる平面ループアンテナよりも、平面面積を小さくすることができ、センサ装置を備えたIoT機器等に用いやすい受電アンテナとして提供することができる。また、本実施形態に係るアンテナは、様々なサイズに変更したとしても、一定以上の放射効率を得ることができるので、様々なサイズの機器に内蔵して用いる場合に、その機器に応じた寸法としつつも、一定以上の受電性能を有するアンテナとして提供することができる。また、本実施形態に係るアンテナは、全方位に渡って指向性がほぼ0dbiとなる放射パターンを有するアンテナであり、当該アンテナを搭載した機器は、電力を送電する送電機から所定の距離内で、間に無線送電を妨害する物体がなければ、どこに配置しても受電でき、作動することができる。
図11で示されるアンテナ1Aは、例えば、逆Fアンテナとして扱ってもよい。アンテナ1Aを逆Fアンテナとして扱う場合、例えば、第1導電板10aがアンテナエレメントとなり、第2導電板10bが第1導電板10aに対するグランドとなり、導電板10cが短絡部となる。第1導電板10aは、導電板10cにより、第2導電板10bに短絡される。図11において、第1導電板10aの幅と、グランドとしての第2導電板10bの幅とは略同一である。また、図11において、第1導電板10aの幅と、第2導電板10bの幅と、導電板10cの幅とは略同一である。
図11において、第1導電板10a及び第2導電板10bの、導電板10cにより接続される端部と逆の端部は、フィーダー11を介して接続されている。通常の逆Fアンテナでは、短絡部と、給電部とが所定の距離に位置するようになっている。アンテナ1Aでは、第1導電板10a及び第2導電板10bの、導電板10cにより接続される端部と逆の端部を、フィーダー11を介して接続することで、放射効率、反射率、指向性について良好なシミュレーション結果が得られている。
アンテナ1Aの長さL2は、例えば、図10で示されるように、40mm~60mmとなっている。この長さは、例えば、アンテナ1Aで受信が想定される、920メガヘルツ帯の電波の波長λの1/4と同程度の長さである。本説明において、同程度の長さとは、例えば、数値の桁数が同じ、つまり、ずれが10倍未満であることを表す。アンテナ1Aは、長さL2が40mm~60mmとなることで、920メガヘルツ帯の電波を効率的に受信することが可能となる。
第1導電板10a、第2導電板10b、及び導電板10cの特性インピーダンスと、フィーダー11の特性インピーダンスとは、一致するように設計されている。具体的には、例えば、第1導電板10a、第2導電板10b、及び導電板10cの特性インピーダンスと、フィーダー11の特性インピーダンスとは、複素共役を利用してマッチングされている。例えば、第1導電板10a、第2導電板10b、及び導電板10cの特性インピーダンスは、R+jXになるように設計されている。また、フィーダー11の特性インピーダンスは、R-jXになるように設計されている。
通常の逆Fアンテナにおいて給電部に所定の特性インピーダンスの同軸ケーブルを取り付ける場合、アンテナの特性インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスに合わせる必要がある。本実施形態では、特性インピーダンスの実部のみを併せ、虚部については複素共役で打ち消すようにしているため、効率的にインピーダンスマッチングを行うことが可能となる。なお、インダクタンスやキャパシタンスの値が大きくなると一般的に挿入損失が大きくなるので、コンポーネントの数を減らし、かつ値を小さくすることで、損失を抑えたマッチングが可能となる。特に、第1導電板10a、第2導電板10b、及び導電板10cの特性インピーダンスR+jXのRの値がフィーダー11の(整流回路などの)特性インピーダンスR-jX(複素共役)のRの値と等しいことが理想である。したがって、これを実現するためにはアンテナの共振付近(λ/4)は避け、周波数が低いもしくは高いところで、R値が共通となる基材の長さを決定する必要がある。
アンテナ1Aは、グランドとしての第2導電板10bを有することで、取り付けられる部材の表面の素材により、アンテナ特性が影響を受けることを避けることが可能となる。これにより、アンテナ1Aを金属面、導電体の機器又はセンサの表面に載置することができるようになり、使い勝手を大幅に高めることが可能となる。
続いて、図1に示すアンテナ1のZパラメータ、即ち、インピーダンスについて説明する。
図42は、図1に示すアンテナ1の各種周波数におけるZパラメータ、即ち、インピーダンスの変化を示す図である。図42は、実部と虚部のそれぞれの各周波数におけるシミュレーション結果を示している。図42において上側のグラフが実部の通信周波数に応じたZパラメータを示しており、下側のグラフが虚部の通信周波数に応じたZパラメータを示している。虚部の成分はリアクタンスとも呼称される。
図42によれば、導電性部材10cの位置を変化させた場合の920メガヘルツ帯におけるインピーダンスとリアクタンスの値は、d=-30の場合に、(実部、虚部)=(6513.8669Ω、-2519.7886Ω)、d=-23.3333の場合に、(実部、虚部)=(6096.2638Ω、-2551.2409Ω)、d=-16.6667の場合に、(実部、虚部)=(5876.8777Ω、-2089.0102Ω)、d=-10の場合に、(実部、虚部)=(5154.6372Ω、-1921.7748Ω)、d=-3.3333の場合に、(実部、虚部)=(4282.2143Ω、-1713.465Ω)、d=3.3333の場合に、(実部、虚部)=(3278.0904Ω、-1488.178Ω)、d=10の場合に、(実部、虚部)=(2220.3885Ω、-1198.5983Ω)、d=16.6667の場合に、(実部、虚部)=(1301.1842Ω、-730.6931Ω)、d=23.3333の場合に、(実部、虚部)=(268.3113Ω、-80.5999Ω)、d=30の場合に、(実部、虚部)=(555.1255Ω、-153.2234Ω)、である。
図42の上側のグラフによれば、920メガヘルツ帯付近で、導電性部材10cをいずれの位置において配置した場合も急激に高くなっている。このことから、アンテナ1は、920メガヘルツ帯に対して共振するアンテナであるということが理解できる。また、dBが高いほど共振の度合が高いことを意味する。図42によれば、d=-30の場合に、920メガヘルツ帯において、インピーダンスが最も高くなる。したがって、導電性部材10cをd=-30の位置、即ち、フィーダー11から最も遠い位置に配した場合に、最も放射効率が高くなる。
なお、R+jXがアンテナのインピーダンスと仮定したとき、実部Rとなる点は、二カ所存在する(図44)。上記でアンテナのインピーダンスは、整流回路の複素共役となるときが理想であることを説明した。なお、アンテナインピーダンスがR+jXで、整流回路のインピーダンスがR-jXのときが理想的なマッチング条件であるが、実際にこのマッチングを行うことは難しい。一般的に、整流回路の実部は50オーム以下であり、数十オーム程度であることが多い。従って、アンテナの共振付近では、数千オームという非常に高いR値になるが、これを数十オームに合わせると良い。
アンテナの実部インピーダンスと整流器の実部インピーダンスのマッチングについて、図44で説明する様に、低い周波数帯ではアンテナ長Lを10~30%、好ましくは20%程度短くすることでR値を下げ、所望のR値にマッチングを行うことが可能である。また、高い周波数ではアンテナ長Lを10~30%、好ましくは20%程度長くすることでR値を下げ、所望のR値にマッチングを行うことが可能である。低い周波数帯でインピーダンスマッチングを行うことで、アンテナ長Lを初期状態から10~30%程度短くすることが可能となり、アンテナ全体の小型化を行うことも可能である。
このときに指定されたターゲット値を下回った場合、すなわちR値が低くなりすぎており、これを高くしたい場合には、低い周波数帯ではアンテナ長Lを長くし、高い周波数帯ではアンテナ長Lを短くすることでR値を調整することが可能である。アンテナの理想の長さは1/4波長であるが、これに対してアンテナ長を±20%程度調整することで理想的なマッチングに近づけることが可能となる。
それぞれのインピーダンスR値をそろえることができれば、jX値だけを調整すれば良いので、コンポーネントは一つでインピーダンスマッチングをすることができる。実施例として、920メガヘルツにおいて、60mmの長さ、幅16mm、高さ8mmのアンテナ(基材にはテフロン(登録商標)を使用)において、22nHのインダクタを直列に一つ挿入してアンテナと整流器のインピーダンスマッチングを行っている。
受信を想定する電波の周波数帯を共振周波数とする長さ、すなわち例えば受信波長λの1/4の長さをアンテナの初期状態とした場合に、低い周波数でインピーダンスマッチングを行うことで、アンテナ長Lを初期状態から10~30%程度、好ましくは20%程度短くすることが可能となり、アンテナ全体の小型化を行うことが可能である。
以上のことから、導電性部材10cをフィーダー11からなるべく遠ざける配置とし、出来れば、第1導電板10aと第2導電板10bにおいてフィーダー11の設けられている端部とは反対側となる端部に第1導電板10aと第2導電板10bとを接続するように構成することが好ましいといえる。
(実施例2)
以上、実施例1では、図1~図31、図42を参照して、様々な形態の受電アンテナ1、1A、1a~1hについて説明した。
次に、実施例2に係るアンテナ20について説明する。
以下、記載の重複を避けるため、実施例1に係るアンテナ1、1A、1a~1hとの重複部分については、その説明を割愛する。
実施例2に係るアンテナ20は、実施例1と同様、無線給電における受電側の装置として用いることができる。
即ち、実施例2に係るアンテナ20は、WPT(ワイヤレス電力伝送:Wireless Power Transmission又はWireless Power Transfer)に基づいて、3次元空間内でワイヤレスに送電されるエネルギーを受電する受電装置として用いることができる。
実施例2に係るアンテナ20は、受電したエネルギーを、センサ、ロボット、機器、PC等の任意の対象物に対して、エネルギーを送電することができる。
実施例2に係るアンテナ20は、アンテナ又はレクテナとして実装することができる。
実施例2に係るアンテナ20は、アンテナ又はレクテナと、関連する電子部品と一体化されたモジュール(アンテナ・モジュール等)として実装することができる。
実施例2に係るアンテナ20は、アンテナ又はレクテナと、関連する電子部品と、送電対象であるセンサ等と一体化されたモジュール(センサ・モジュール等)として実装することができる。
まず、図32~図37を参照して、実施例2に係るアンテナ20の基本構成について説明する。
図32は、実施例2に係るアンテナの基本構成及び、その中に適用可能なコア材を示す図の例である。
図32(A)を参照すると、特に図11に例示した実施例1に係るアンテナ1A等と同様の方向から眺めたときの、実施例2に係るアンテナ20の斜視図が例示されている。
図32(B)を参照すると、反対側の方向から眺めたアンテナ20の斜視図が例示されている。これら図によって、実施例2に係るアンテナ20の基本構成が、全周囲から理解できるようになっている。
なお、実施例1に係る受電アンテナ1、1A、1a~1hでは、板厚を省略して、構造が概略的に例示されていた(例えば、図11及び図14(a)~(f)参照)。図32(A)、(B)では、アンテナ20の板厚についてより具体的に例示している。
図32(A)に例示したアンテナ20は、多面体形状を有する。好適には、アンテナ20は、略直方体形状を有する。特に、図32(A)に例示したアンテナ20は、所定の幅方向(X軸方向)の寸法W3、長手方向(Y軸方向)の寸法L3及び高さ方向(Z軸方向)の寸法H3を有している。
実施態様に応じて、各寸法には適当な調整をすることができる。例えば、高さ方向の寸法H3を比較的小さく抑えて、全体として低姿勢にしてもよい。また、幅方向の寸法W3と長手方向の寸法L3との積から求められる面積を小さく抑えて、全体として設置面積を最小にしてもよい。
図32(A)に例示したアンテナ20は、特に図11に例示した実施例1と同様に、第1の導電板(導電性部材)21と第2の導電板(導電性部材)22とが互いに対向するように配置されており、それぞれの一端部において、フィーダー(整流器)25を介して互いに接続されるとともに、反対側の端部において、第3の導電板(導電性部材)23を介して互いに接続されている。
第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、銅、アルミ等、電流をよく流す任意の素材から構成されている。
従って、第1の導電板21、第3の導電板23、第2の導電板22及びフィーダー25により、閉じた電流の経路がつくられていて、図32(A)、(B)の矢印に例示するように、ループアンテナ50が形成されている。
なお、ここで言うループアンテナ50は、厳密には一般的な「ループアンテナ」とは異なるが、3つの導電板及びフィーダー25により、ループができあがるため、本実施例ではこれを「ループアンテナ」と呼ぶ。このアンテナは、例えば給電用アンテナとして機能する。実施例1の図18で例示した、第1導電板10a、導電性部材10c、第2導電板10b及びフィーダー11の端部により形成されるループアンテナ18fについても同様に、厳密には一般のループアンテナとは原理が少し異なるが、ループができあがるため、「ループアンテナ」と呼ぶ。また、図32(A)、(B)に例示したループアンテナ50の矢印の向きは逆であってもよい。
好適には、第1の導電板21と第2の導電板22とは、互いに所定間隔で離間して、略同一方向に、略平行に延在する。なお、第1の導電板21と第2の導電板22とは、互いに平行な形態に限定されない。
好適には、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、それぞれ長尺板状に形成される。なお、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、長尺板状の四辺の長さや方向を様々に修正することは可能である。また、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、全体的又は部分的に、平ら状であってもよく、湾曲状であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
例示した実施例では、第3の導電板23は、第1の導電板21及び第2の導電板22に対して、略直交するようにつなげられている。しかしながら、以下に詳述するように、特にループアンテナ50の効率の観点から、第3導電板23の接続角度は90度に限定されない。
好適には、単一の導電板を曲げ加工して、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23を形成する。例えば、一枚の銅板を曲げ加工して、断面視で略コ字状(略U字状又は略C字状)となるように、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23を形成する。曲げ加工では、例えば、金型を用いて、銅板等を塑性加工してもよい。
ただし、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、それぞれ個別の導電板により形成されて、互いに通電可能に接続されてもよい。
実施例2では、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23のうちの少なくともいずれかに抜き加工を行って、所定の大きさで中空のスペース24を画定することができる。例えば、第3導電性部材23に対してプレス抜き加工を行って、任意の場所で、略四角形状の中空のスペース24を画定してもよい。この中空のスペースは、その中に逆F型アンテナ60が取付可能となるように、大きさと形状とを定めることができる。
なお、実施例1において、図14(d)及び図18に例示したアンテナ1dは、導電板10cの内部を切り欠くことで、その枠の周囲から成るループアンテナ18gを構成している。実施例2では、同様に導電板23の内部を切り欠いているものの、その抜き加工の主要な目的は、ループアンテナを構成することではない。そのため、実施例2では、中空のスペース24(切り抜き、切り欠きと呼ぶこともある)を画定する周囲の枠の大きさや、枠の太さ等は、実施例1の場合とは相違し得る。
従って、図32(A)、(B)に例示したアンテナ20は、第1の導電板21、第2の導電板22、第3の導電板23及びフィーダー25から成るループアンテナ50と、第3の導電板23の中空のスペース24内に配置された逆F型アンテナ60と、を有するデュアル・バンド・アンテナとして構成することができる。
ループアンテナ50と逆F型アンテナ60とは、互いに異なる2つの周波数のアンテナパターンを利用可能にしている。このため、ループアンテナ50と逆F型アンテナ60とは、互いに異なる目的のために用いることができる。例えば、ループアンテナ50は電力受信用アンテナとして用い、逆F型アンテナ60は、データ通信用アンテナとして用いることができる。
具体的には、実施例2に係るアンテナ20は、ループアンテナ50によって920メガヘルツ帯の電力送受信アンテナを構成するとともに、逆F型アンテナ60によって2.4ギガヘルツ帯のデータ通信アンテナを構成することができる。ただし、各アンテナの帯域は、この例に限定されない。例えば、ループアンテナ50によって900メガヘルツ帯の電力受信アンテナを提供するとともに、逆F型アンテナ60によって5.6ギガヘルツ帯のデータ通信アンテナを提供してもよい。
図32(A)、(B)に例示したアンテナ20は、異なる2種類のアンテナ50、60を利用可能とするため、アプリケーションの幅を広げており、ユーザー側のアンテナ設計負荷の軽減に寄与することができる。
特に、アンテナ20は、ワイヤレス電力伝送に基づくアプリケーションへの適用に適している。無線センサネットワークでは、電力受信アンテナとデータ通信アンテナとが必要とされている。例えば、無線給電を利用したIoTのセンシングでは、無線給電用の帯域920MHzとデータ通信用の帯域2.4GHzの2つの帯域を同時に利用することが求められることがある。図32(A)、(B)に例示したアンテナは、これら2つのアンテナを提供することができるため、この分野への適用に適している。
さらに、実施例2に係るアンテナ20は、これら2つのアンテナを一体化して小型に作り込むことができるため、アンテナ、レクテナ及び/又はモジュールの小型化を可能にしている。このため、広く、様々な分野での適用を可能にしている。
例えば、図32(A)、(B)に例示したアンテナ20は、第1の導電板21と第2の導電板22とは、それぞれ、所定の幅方向の寸法W3と、所定の長手方向の寸法L3を有し、2次元方向に所定の面積A3を確保している。この面積A3を利用して、第1の導電板21の表面上に、電子回路等を搭載することを可能にしている。
例えば、第1の導電板21の表面上にプリント基板(PCB:Printed Circuit Board)を搭載してもよい。PCBとは、基板の一種であり、プリント配線板(PWB:Printed Wiring Board)に電子部品を取り付けて、電子回路として動作可能にしたものをいう。
電子回路の具体的な構成は、実施形態に応じて任意に選択することができる。例えば、電子回路は、受電回路、蓄電回路、センサ、蓄電装置、マイクロコントローラ(マイコン)を含むことができるが、これに限定されない。
図32(A)、(B)に例示したアンテナ20は、デュアル・バンド・アンテナ(又はマルチ・バンド・アンテナ)として構成できるとともに、場所を選ばずに使用することができる。特に、アンテナ20は、導電板22を金属面や導電体上に設置した場合であっても、導電板21と導電板22で挟まれた空間の中にループ状に電流が流れるループアンテナを構成することができ、受信効率が大きく低下することはない。従ってアンテナ20を容易に金属面や導電体の機器やセンサの表面へ設置することができ、使い勝手を大幅に高めている。
以上、図32(A)、(B)を参照して、アンテナ20の基本構造について、概念的に例示した。
図34(A)、(B)は、実施例2に係るアンテナの実装例を示す図である。
図34(A)、(B)の図では、特に、第1の導電板21の上方に配置される電子回路の層44(図33参照)についてより具体的に例示されている。
図32(A)、(B)に例示した構成と、図34(A)、(B)に例示した構成は、必ずしも厳密に対応しなくてもよい。例えば、電子回路の立体的な形状によっては、図33に例示したカバーレイ45は、部分的に省略することができる。また、電子回路は、第1の導電板21の上面だけでなく、第3の導電板23及び/又は第2の導電板22の一部を利用して配置されてもよい(図示略)。カバーレイ45等の説明については、後述される。
図34(A)に例示したアンテナ20は、コア材を挿入した場合は波長短縮効果によって比較的に小型に構成することができ、例えば、大人の手の中に納まる程度の大きさを有することができる。コア材等の説明は後述する。
例えば、アンテナ20は、図32(A)に例示した長手方向の寸法L3について、凡そ、40mm付近~60mm付近の大きさを有することができる。
また、アンテナ20は、各導電板の板厚として、数mmの大きさ、又は5mm付近~8mm付近の大きさを有することができる。
ただし、アンテナ20の各寸法は、例示した数値範囲に限定されない。
図34(A)、(B)では、アンテナ20の上に乗せる電子回路には、例えば、電源、センサ駆動回路及び/又は無線通信回路を載せることができる。
デュアル・バンド・アンテナとしてアンテナ20を構成する場合、ループアンテナ50(例えば、920MHz)から電源電圧を受信し、逆F型アンテナ60(例えば、2.4GHz)からセンサによる取得データの電波送信を行うことが考えられる。この際、接続はワイヤーで行う必要がある。このように、アンテナ20の上にPCB(電子回路)を設ける場合、その厚みの分、高さ方向の寸法の増加が想定できる。
そこで、アンテナ20を構成する際、上記PCBの替わりに、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)を用いることができる。FPCは、可撓性を有し、例えば、厚さの薄い絶縁材(プラスチックフィルム)を用いて形成することができる。
例えば、アンテナ20は、2層FPCを用いて構成されてもよい。このうち、第一層を920MHz帯アンテナ(ループアンテナ50)とし、第二層を整流回路、電源、センサ制御回路、無線通信回路、2.4GHz帯アンテナ(逆F型アンテナ60)として構成することができる。
PCB又はFPCを任意に用いることで、比較的に小型で、かつ低姿勢(高さを抑えた)アンテナ20を構成するのが好ましい。
次に、アンテナ20の内部形状の説明を行う。
実施例1では、図11等に例示したように、第1導電板10a、第2導電板10b及び第3導電板10cは、断面視で略コ字状に構成され、その内部を中空にしていた。このため、製品の重量、製品の部品点数、製品のコスト及び製品の加工の手間の抑制という観点からは長所があった。
実施例2においても同様に、図32(A)、(B)に例示したように、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、断面視で略コ字状に構成され、その内部を中空にすることができる。この場合、同様に、製品の重量等の抑制の他、ループアンテナ50の性能の確保の面で、利点がある。
ここで、アンテナ20の内部形状が中空の場合、2つの並行の導電板21、22間の距離を固定し、製品の形状の維持や、製品の強度の確保を行うと良い。
そこで、実施例2では、さらに、2つの並行の導電板21、22間に誘電体から成る剛性のコア材30を挿入することで、製品の形状や強度の向上を図るとともに、波長短縮効果によるループアンテナ50の小型化を図っている。
図32(C)、(D)を参照すると、図32(A)、(B)に例示したアンテナ形状の内部に挿入可能なコア材30が例示されている。コア材30は、アンテナ20の内部形状に対応した外部形状を有することができる。
例えば、図32(A)に例示したアンテナ20は、全体として略直方体に形成され、所定の幅方向の寸法W3、長手方向の寸法L3及び高さ方向の寸法H3を有している。
図32(C)に例示したコア材30は、同様に、その本体31を全体として略直方体に形成して、所定の幅方向の寸法W4、長手方向の寸法L4及び高さ方向の寸法H4を有している。
コア材30の各寸法W4、L4及びH4は、アンテナ20の内部にコア材40が充填可能となるように任意に定めることができる。一般的に、コア材30の誘電率(ε、イプシロン)の値が高いと、コア材30が用いられない場合と比較して、波長短縮効果によってアンテナ20の寸法(W3、L3及びH3のうちの任意のもの)を短くして、アンテナ20の小型化が可能になる。この小型化の効果は、デュアル・バンド・アンテナに限らず、シングル・バンド・アンテナとして構成されたアンテナ20についても同様である。
なお、コア材30の本体31は、アンテナ20の内部形状の全域にわたって設けられる必要はない。必要に応じて、アンテナ20の内部形状の一部にのみコア材30が充填されるようにしてもよい。
また、コア材30の本体31は、中実状に限定されない。必要に応じて、本体31を穿孔することは可能である。必要に応じて、本体31の内部に中空のスペースを設けてもよい。中空を設けると、全体として軽く作ることができ、かつ受電効率すなわち放射効率が向上する。さらに、中空の形状を工夫し、中央部分の空間を広く取り、アンテナの先端部分の空間を狭く取ると、効率が向上する。
また、コア材30の本体31は、単一部品に限定されない。必要に応じて、2つ又は複数の部品から構成されていてもよい。
コア材30は、誘電体であることが好ましい。
例えば、コア材30は、プラスチックを用いて構成することができる。プラスチックとは、誘電体の一種である。プラスチックは、可塑性のある有機高分子物質のことであり、合成樹脂と呼ばれることもある。プラスチックは、複雑な形に加工しやすく、かつコストが安い為、大量生産に有利な素材である。
より好適には、コア材30は、アクリルを用いて構成することができる。アクリルとは、プラスチックの一種であり、アクリル樹脂やアクリル繊維のことである。アクリルガラスと呼ばれることもある。アクリルは、透明性が高く、美観に優れるだけでなく、比較的に堅い素材である。アクリルは、比較的に衝撃に弱いとされているが、アクリルの厚みを持たせることで、耐衝撃性を高めることができる。
他には、コア材30は、ポリカーボネートを用いて構成することができる。ポリカーボネートとは、プラスチックの一種であり、特にポリカーボネート樹脂を原料に用いた素材である。
他には、コア材30は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;フッ素樹脂)を用いて構成することができる。例えば、コア材30は、テフロン(登録商標)を用いて構成することができる。
他には、コア材の素材はプラスチック、アクリル、ポリカーボネート、PTFE等に限定されず、高い誘電率を有する別の素材を用いることが可能である。
なお、テフロンは誘電損失が少ないため、他のコア材と比べてテフロンを用いると、放射効率が向上する。
従って、アンテナ20は、コア材30の周りに各導電板21、22及び23を巻き付けるように構成することで、強度を向上することができる。例えば、上記FPCをコア材30に巻き付けるようにして、アンテナ20を構成してもよい。FPCは可撓性を有するため、平面だけでなく、曲面から構成されたコア材30への巻き付けを容易にしている。
幅方向に一様にアンテナ20を形成することで、例えば、図41に例示するように、多数のアンテナ20を製造する場合には、生産効率を高めることができる。例えば、複数組のアンテナ及び回路基板を並列してFPC上に成型し(実線と破線の3つの符号20参照)、これら複数組のアンテナ及び回路基板が乗っているFPCを長いコア材に巻き付け、その後、1組のアンテナ及び回路基板毎にコア材ごとFPCを切断することで(実線の1つの符号20参照)、複数のアンテナ20を効率よく製造することができる。
なお、コア材30は、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23から成る略直方体のアンテナ20とは別に加工された後、アンテナ20の内部に挿入されて、接着されてもよい。例えば、接着剤として、エポキシ樹脂接着剤等を用いることができる。他、コア材30は、任意の態様で射出成形等されてもよい。
このように、互いに離間する2つの導電板21、22の間にコア材30を挿入することで、製品の形状維持や製品の強度確保を改善している。
さらに、アンテナ20の内部にコア材30を挿入することで、その誘電体の特性に基づいて、波長短縮効果によって、ループアンテナ50のサイズの小型化を図ることができる。ただし、アンテナ20の内部にコア材30を挿入すると、その物質による誘電損により、ループアンテナ50の電力受信効率が低下する可能性がある。
従って、アンテナ20の内部にコア材30を用いる場合には、ループアンテナ50と逆F型アンテナ60の機能の低下を避けるべく、可能な限り誘電損失の少ない物質を用いるのが好ましい。例えば、コア材30の素材として、上記プラスチック、アクリル、ポリカーボネート、PTFE等を用いることができる。しかしながら、別の物質のコア材30を用いることは可能である。特に、誘電率が比較的に高めで、かつ誘電損失が低い素材が好ましい。
図33は、図32(B)の第1の導電板21の側面26の断面構成を示す図の例である。
図33から理解できるように、第1の導電板21は、複数の層41~45から成る多層構造を有し、例えば2層FPCである。2層FPCとは、回路に用いる銅箔が2層という意味である。
なお、第1の導電板21の多層構造は、例示した5層に限定されない。これより少ない数又はこれより多い数の多層構造とすることは可能である。また、第2の導電板22と第3の導電板23についても多層構造とすることができるが、それらの構成は、第1の導電板21の場合とは相違させることができる。
例えば、第1の導電板21の一番下側の層41は、カバーレイである。カバーレイとは、保護層に相当する。カバーレイは、その周囲を電気的、機械的、化学的及び/又は熱的に保護するため、任意の素材から形成され得る。
例えば、第1の導電板21の一番下から2番目の層42は、導電層である。この導電層は、例えば銅箔で形成される。銅箔は、第1の導電板21を形成し、ループアンテナを構成するために用いられる。
例えば、第1の導電板21の一番下から3番目の層43は、絶縁層である。絶縁層は、特に電気絶縁性に優れた素材から形成され、好適にはポリイミドである。
例えば、第1の導電板21の一番下から4番目の層44は、導電層である。この導電層は、例えば銅箔で形成される。この銅箔により電子回路が形成され、若しくは、この銅薄に別に成型した電子回路やバッテリー、センサ等が導通される。また、この電子回路に接続される形で、層44の銅箔により逆Fアンテナ60を成型することができる。
例えば、第1の導電板21の一番下から5番目の層45は、カバーレイである。
なお、層42及び層44の材料は、銅に限られず、その他の導電性部材であってよい。
また、図33のような5層のフレキシブルプリント基板(FPC)だけではなく、より多層のFPCを用いることにより、導電板21の上により複雑な電子回路を形成することが可能になる。また、層を増やすことでグランド層を設けることができ、アンテナのグランドと回路側のグランドを分離することでより干渉を抑えることが可能となる。
このように、FPCにより、導電板21、23、22と、逆Fアンテナ60と、回路を一体成型し、コア材に巻き付けてループアンテナ50と逆Fアンテナ60を有するデュアルアンテナを形成することで、本実施例のアンテナ20を容易に製造することができる。
第1の導電板21の上方に配置される電子回路の層44と、その下方に配置されるループアンテナ50の層42とは、一部のコンタクトポイントを除いて絶縁層43によって互いに絶縁されている。このため、第1の導電板21の上方に電子回路を積層したとしても、それによって、同じ第1の導電板21によって形成されるループアンテナ50の機能が損なわれないように工夫している。
また、2層FPCの層42の銅箔でループアンテナ50を形成し、層44の銅箔で逆Fアンテナ60を形成し、それぞれの間がポリイミドの層43で絶縁されているため、それぞれのアンテナが独立して駆動でき、それぞれのアンテナのパフォーマンスが維持されるように工夫している。
なお、層43によって、層42と層44との間は絶縁はされているものの、高周波成分は通してしまうことが起こり得る。但し、逆Fアンテナ60は、上述のように、多層構造のうち、FPCの第2の導電層により構成されており、層42の一部をくり抜いた中空のスペース24内に配置されている。従って、逆Fアンテナ60は、電流密度の低い箇所に配置されているため、ループアンテナ50と逆Fアンテナ60との干渉が起きることが抑制されている。
また、ループアンテナ50は、アンテナ20の内側に配置されている(図32(A)の符号50参照)。つまり、アンテナ20は、断面視で略コ字状の形状を有するが、そのコの字(略Cの字又は略Uの字)の内側にループアンテナ50の電界が生じる。
図43は、アンテナ20の電界のシミュレーション結果を示す図の例である。同図から理解できるように、導電板21と22の間に垂直方向の電界が生じる。ここで、ループアンテナ50は、保護層45によって外部環境から保護することができる。このため、図32(A)、(B)に例示したアンテナは、例えば、第1の導電板21を上とし、第2の導電板22を下にして配置された場合、その設置面の物質にかかわらず、ループアンテナ50の機能が損なわれることはない。上下を逆にした場合も同様である。
なお、完全ワイヤレスのセンサ・モジュールを構成するためには、電力のみならずセンサのデータを送信するためのデータ通信部分も無線で構成されるとよい。アンテナの一面にPCBを設置して、電源、センサ駆動、無線通信を行う場合、無線通信用のアンテナはPCB上のパターンアンテナとして構成することができる。
しかしながら、第1の導電板21の上に電子回路のパターンアンテナを構成する場合、その分、2次元方向に大きな面積をとることになる。
これに対して、実施例2に係るアンテナ20は、略コ字状に延在する導電板21、22及び23の側面に沿ってループアンテナ50を構成する際、導電板21、22及び23の一部領域を使ってデータ通信用の帯域のアンテナ(例えば逆F型アンテナ60)を構成することで、アンテナ全体の小型化を実現している。この結果、回路基板と同一平面上のパターンアンテナを不要にしたので、その分、第1の導電板21の上面をより広く活用することが可能になっている。
図34(A)、(B)の、アンテナの実装例に示す通り、ワイヤレス給電用の例えば920メガヘルツ帯のアンテナ50と、データ通信用の例えば2.4ギガヘルツ帯のアンテナ60の実装は様々考えられる。例えば、図34(B)を参照すると、アンテナ20のうち、第1の導電板21の表面に中空のスペース24を設け、その中に逆F型アンテナ60を配置している。
例えば、図34(A)、(B)は、図32に対応する実装である。これを参照すると、アンテナ20のうち、第3の導電板23に中空のスペース24を画定して、その中に逆F型アンテナ60を配置している。
いずれの場合であっても、アンテナ20の大きさを小型に保ちながら、第1の導電板21の上面に電子回路(PCB又はFPC)を設けることを可能にしている。特に、1つのFPCにアンテナを一体化する場合、アンテナ20の小型化、組立て工数軽減が可能になる。
次に、アンテナ20のループアンテナ50の変形例について説明する。
図35は、アンテナの変更例及び、その中に適用可能なコア材を示す図の例である。
ループアンテナ50の形状は、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23から成る導電板の外部形状が基準となっている。図32(A)、(B)に例示した場合では、第1の導電板21と第2の導電板22とは互いに略平行に延在し、端部側で第3の導電板23によって略90度の角度でつなげられていた。ループアンテナの性能は、この形状によって影響を受け得る。
これに対して、図35(A)、(B)に例示した場合では、第1の導電板21と第2の導電板22とは、端部側で第3の導電板23によって90度よりも大きな角度で、かつより多い角を有するようにつなげられている。
具体的には、図35(A)、(B)に例示した態様では、第3の導電板23は、符号26、27で例示するように、多角形状に曲げ加工されている。反対側の端部では、第1の導電板21と第2の導電板22とは、同様に、符号28、29で例示するように、多角形状に曲げ加工されている。このため、アンテナ20は、全体として、断面視で略八角形状の本体を有する。
従って、ループアンテナ50の形状は、図32(A)、(B)に例示した略四角形状から、図35(A)、(B)に例示した略八角形状へと変えられている。ループアンテナ50の形状を、より円形(又は楕円形)に近づけることで、意匠の幅を広げたり、アンテナの性能向上を期待することができる。
また、再度図34(A)、(B)を参照すると、第1の導電板21と第2の導電板22とは互いに略平行に延在し、端部側で第3の導電板23によって湾曲状(又は円弧状)につなげられている。この場合、ループアンテナ50の外部形状をより一層円形(又は楕円形)に近づけることで、意匠の幅を広げたり、アンテナの性能向上を期待することができる。
この際、第3の導電板23は、全体的に湾曲状(円弧状)に延在してもよい。又は、特に図34(A)、(B)に例示したように、第3の導電板23は、両端側で部分的に湾曲状に延在し、その中央では部分的にまっすぐに延在してもよい。
第1の導電板21の上面には電子回路が設置されるため、その面は平らな方が好ましい。また、第2の導電板22の底面は、アンテナ20の設置面として用いられるため、その面は平らな方が好ましい。一方、第3の導電板23は、比較的に形状の自由度が高いため、その形状を修正することで、ループアンテナ50の形状を変えることができる。
このように、実施形態に応じて、好適なループアンテナ50の性能が確保できるように、第3の導電板23は任意の形状を有することができる。例えば、第3の導電板23は、図32(A)、(B)に例示したように、全体的にまっすぐに延在してもよく、図34(A)、(B)に例示したように、全体的又は部分的に湾曲状に延在してもよく、図35(A)、(B)に例示したように、全体的に多角形状に延在してもよい。
アンテナ20の内部にコア材30を充填させる場合、その保持効果を高めるように、各導電板21、22及び23の形状を修正してもよい。
例えば、図35(A)、(B)に例示した場合、第1導電板21、第2導電板22及び第3導電板23は全体で略八角形状を有している。この際、第3導電板23は、多段階に曲げ加工されている(符号26、27参照)。これに対応して、第1導電板21と第2導電板22とはそれぞれ端部を内側に向って折り返している(符号28、29参照)。
アンテナ20の内部に収納されるコア材30もまた、その本体31の外部形状をアンテナ20の内部形状に合わせることが好ましい。例えば、図35(C)、(D)に例示した場合、コア材30の本体31は、各角部に面取り加工をしてもよい(号36、37、38、39参照)アンテナ20とコア材30の本体31とを断面視で多角形状にすることで、コア材の保持力を高めてもよい。
さらに、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、任意の場所に凸部又は凹部を設けるとともに、それと対応してコア材30の本体31に凹部又は凸部を設けることで、その場所でコア材を係止させるようにして、コア材の保持力を高めてもよい。
次に、逆F型アンテナ60の変形例について説明する。
図36(A)~(D)は、図32(A)、(B)に例示した逆F型アンテナ60の変形例を示す。
図36(A)に例示するように、逆F型アンテナ60は、主に、給電線61、短絡線62及び本体部63から構成されている。給電線61、短絡線62及び本体部63は、それぞれ、太さ、長さ、位置、形状等について、実施形態に応じて調整可能となっている。
例えば、給電線61、短絡線62及び本体部63の太さを調整してもよい。
例えば、本体部63の長さを調整してもよい。
例えば、本体部63の高さを調整してもよい。
例えば、給電線61に対する短絡線62の相対的な位置を調整してもよい。
さらに、逆F型アンテナ60の本体部63の形状は、実施形態に応じて調整可能となっている。
例えば、図36(A)に例示するように、逆F型アンテナ60は、本体部63を単純なライン状(モノポールアンテナ状)に構成することができる。
例えば、図36(B)に例示するように、逆F型アンテナ60は、本体部63を単純なライン状に構成する替わりに、図36(A)の状態からさらに内側に略90度で折り曲げるように構成することができる(符号64参照)。
例えば、図36(C)に例示するように、逆F型アンテナ60は、図36(B)の状態からさらに本体部63を内側に略90度で折り曲げるように構成することができる(符号65参照)。
さらに、逆F型アンテナ60は、本体部63を単純なライン状に構成する替わりに、本体部63をメアンダ・ライン状に折り曲げるように構成することができる(図示略)。
このように、逆F型アンテナ60は、本体部63を様々な形状に調整することができる。その際、本体部63をまっすぐに延在させてもよく、一回又は複数回にわたって内側に折り曲げてもよく、一回又は複数回にわたって内側と外側とに折り曲げてもよい(例えば、メアンダ状に折り曲げる)。本体部63を折り曲げる角度は、90度に限定されない。
さらに、逆F型アンテナ60は、アンテナ20の任意の場所に設置することができる。
図34(A)、(B)、図36(A)~(C)等を参照すると、逆F型アンテナ60は、直方体のアンテナ形状の側面(第3の導電板23)に中空のスペース24を設け、その中に配置されている。
図36(D)等を参照すると、逆F型アンテナ60は、直方体のアンテナ形状の上面(第1の導電板21)に中空のスペース24を設け、その中に配置されている。
さらに、逆F型アンテナ60は、直方体のアンテナ形状の底面(第2の導電板22)に中空のスペースを設け、その中に配置されもよい(図示略)。
さらに、逆F型アンテナ60は、アンテナ20が直方体よりも側面の数が多い多面体形状に形成されるとき、その任意の面に同様に配置されてもよい。
なお、例示した実施形態では、中空のスペース24は、四角形状の枠の形状を有している。しかしながら、中空のスペース24は、その中に逆F型アンテナを取付けることができ、ループアンテナ50の特性を維持できれば、四角形状に限定されず、任意の形状を有することができる。
さらに、アンテナ20は、任意の場所に逆F型アンテナ60を設置する替わりに、チップアンテナを設置してもよい(図示略)。
チップアンテナは、必要な周波数信号を送信・受信する機能を有するチップ型コンポーネントであって、特に、小型かつ薄型に構成することができる。
この場合、実施例2に係るアンテナ20は、ループアンテナ50とチップアンテナとを含むデュアル・バンド・アンテナとして構成することができる。
さらに、アンテナ20は、逆F型アンテナ60、チップアンテナの替わりに、他、同様の特性を有する任意の形状の他のアンテナを用いることも可能である。
このように、逆F型アンテナ60又はチップアンテナは、アンテナ20の側面や上面等の任意の場所に取付けることができる。ただし、好適には、アンテナ20の上面には、上述のように電子回路(PCB又はFPC)用の設置面積を確保する必要がある。このため、アンテナ20の上面に逆F型アンテナを取付ける場合には、側面に取付ける場合と比較して、上面の大きさをその分大きくしてもよい。
例えば、図36(C)を参照すると、長さL3、幅W3、高さH3の各寸法を有する直方体のアンテナ形状の上面のほぼ全域(領域A3参照)が電子回路の設置面積として確保されている。この場合、A3の面積は、L3×W3として近似することができる。
また、図36(D)を参照すると、直方体のアンテナ形状の上面に逆F型アンテナ又はチップアンテナを取付ける場合、電子回路の設置面積(領域A5参照)を確保するため、直方体のアンテナ形状がより細長く構成されている。例えば、直方体のアンテナ形状は、長さL5、幅W5、高さH5の各寸法を有するが、上記長さL3、幅W3、高さH3と対比して、特にL3の値がL5へと増大させている。なお、幅W3の値がW5へと増大されてもよい。好適には、A5の値は、A3の値とほぼ同様である。
以上、実施例2に係るアンテナ20は、好適には、略直方体形状の本体を有し、その断面形状を略コ字状にする。この略コ字状の形状には、第1の導電板21と第2の導電板22とを第3の導電板23でつなげる任意の態様が含まれえる。好適には、この略コ字状の態様には、第1の導電板21と第2の導電板22とをつなげる第3の導電板23のまっすぐな態様(図32(A)参照)と、略多角形状な態様(図35(A)参照)と、略湾曲形状(円弧形状)な態様(図34(A)参照)とが含まれる。
しかしながら、実施例2に係るアンテナ20の形状は、略直方体形状に限定されない。
例えば、アンテナ20は、図21に例示した実施例1に係るアンテナ1fと同様に、球状に構成することも可能である。
例えば、アンテナ20は、図24に例示した実施例1に係るアンテナ1fと同様に、柱状に構成することも可能である。
例えば、アンテナ20は、他、多面体形状、三角柱状、多角柱状、円柱状、楕円柱状等、任意の形状に構成することも可能である。
上述のように、実施例2に係るアンテナ20は、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23を利用して、ループアンテナ50を形成する。この際、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23は、その上面を略板状に構成することが好ましい。
しかしながら、実施例2に係るアンテナ20の形状は、この形状に限定されない。
例えば、アンテナ20は、図14(e)に例示した実施例1に係るアンテナ1eと同様に、第1導電板10a及び/又は第2導電板10bにスロットを設けた構成にすることも可能である。
この際、図18に例示したように、第1導電板10aに設けられているスロットにより形成されるスロットアンテナ18d及び/又は第2導電板10bに設けられているスロットにより形成されるスロットアンテナ18eを備えることも可能である。
以上、図32~図36を参照して、実施例2に係るアンテナ20の基本構成について説明した。
実施例2に係るアンテナ20は、デュアル・バンド・アンテナとして構成され、好適には、ループアンテナ50と逆F型アンテナ60とを含む。この場合、ループアンテナ50によって、第1の周波数(例えば920MHz)の電力受信アンテナを構成可能にするとともに、逆F型アンテナ60によって、第2の周波数(例えば2.4GHz)のデータ通信アンテナを構成可能にするのが好ましい。
ただし、アンテナ20は、ループアンテナ50とチップアンテナとを含むデュアル・バンド・アンテナとして構成されてもよい。
さらに、実施例2に係るアンテナ20を、シングル・バンド・アンテナとして構成することも可能である。この場合、ループアンテナ50のみを含むようにアンテナ20を構成してもよい。
さらに、実施例2に係るアンテナ20を、マルチ・バンド・アンテナとして構成して、3帯域以上を同時に実現してもよい。例えば、ループアンテナ50及び逆F型アンテナ60に対して、さらにスロットアンテナ18d、18e等を追加してもよい。または、ループアンテナ50及び逆F型アンテナ60に対して、他のループアンテナを追加してもよい。または、ループアンテナ50及び逆F型アンテナ60に対して、モノポールアンテナやダイポールアンテナ等の線状アンテナを追加してもよい。
このように、実施例2に係るアンテナ20は、1つ以上の帯域を受信可能とし、アンテナ、レクテナ又は回路モジュール(例えば、アンテナ・モジュール又はセンサ・モジュール等)として構成することができる。
次に、図37、図38を参照して、上記アンテナ20を用いて、特にセンサに給電して、稼働させる実装例について説明する。
図37は、実施例2に係るアンテナを用いて、センサに給電する実装例を示す図である。
左側に点線で囲んだ送信機能を有する送信機70を示すとともに、右側に点線で囲んだ受信機能を有する受信機80を示している。送信機70と受信機80とは、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機70と受信機80とは、互いに約1mの距離で離間する。
なお、この例では、送受信間距離を1mとしたとき、1mW~3mW程度の充電、又は1mW~2mW程度の充電を想定している。しかしながら、この数値範囲は例示に過ぎない。
送信機70は、無線給電時に、送電側の装置として機能する。発振器71は、所定周波数で信号を発振させる。この信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。その後、送信アンテナ72は、外部に電波を放射する。送信アンテナ72は、マイコン(制御器)73によって制御される。マイコン(制御器)73は、データ送受信アンテナ75を介して受信したデータに基づく、データ送受信機74からのフィードバック信号に基づいて、送信アンテナ2の送信を制御する。
受信機80は、無線給電時に、受電側の装置として機能する。この受信機80として、図32~図36に例示したアンテナ20を利用することができる。
受信アンテナ81(例えば、アンテナ20のループアンテナ50)は、送信アンテナ72から外部に送信された給電用のマイクロ波を受信する。例えば、ループアンテナ50は、920MHz帯の電力受信アンテナとして機能することができる。整流器82(例えば、PCB又はFPCの一部)は、受信電波を整流し、整流電圧に変換する。電力管理部83(例えば、PCB又はFPCの一部)は、整流電圧に基づいて充電電圧を制御する。充電電圧により、例えば、PCB又はFPCの一部に実装されているバッテリーが充電される。
整流回路82と電力管理部83とから構成される受信機能は、PCB又はFPCの一部に実装されているマイコン85によって制御されて、バッテリー84を充電し、また、受電された電力によって任意のセンサ86を駆動する。又、バッテリー84の電力でセンサ86を駆動することも可能である。
なお、センサ86は、PCB又はFPCの一部として回路整形されてもよい。あるいは、センサ86は、PCB又はFPCに外付けして接続されていてもよい。センサ86の種類は、任意であるが、例えば熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ、等を用いることができる。
電力管理部83の状況やセンサ86の状況、センサ86が取得した情報等はマイコン85によって、継続的又は断続的にモニタされており、その状況を示す信号やセンサ86が取得した情報は、データ送信機87により、送受信アンテナ88(例えば、アンテナ20の逆F型アンテナ60)を介して外部の送信機70に送信される。例えば、逆F型アンテナ60は、2.4GHz帯のデータ通信アンテナとして機能することができる。
なお、ワイヤレス給電(920MHz)のパワー(マイクロ波)は一方向に送られるのに対して、データ通信(2.4GHz)の電波は双方向に送られることが可能である。
このように、アンテナ20は、モジュール化することができ、特にセンサ・モジュールとして構成されるのに適している。
アンテナ20は、金属面に設置して使用できる利点を生かしながら、2つの周波数帯域に対応することができる。従って、設置面の物質の制約を受けづらく、場所を選ばずに使用することが可能なため、特に、センサ・モジュールの小型化への対応を可能にしている。
図38は、2つのアンテナの電波効率のシミュレーション結果を示す図の例である。
図38は、図37に例示した使用状況下で、後述する図39で示す、2450MHz(2.45GHz)のデータ用アンテナと、918MHzの給電用アンテナを設ける図39で示す受信アンテナ20の電波効率のシミュレーション結果が例示されている。
図38では、横軸に周波数を示すとともに、縦軸に効率(1を100パーセントとする)を示している。図38の上方には、ループアンテナ50のシミュレーション結果が示され、下方に逆F型アンテナ60のシミュレーション結果が示されている。なお、このシミュレーション結果は、電力の送電元から、上記のように、アンテナ1までの距離を1mとして、理想的な状況下(エネルギの受電を遮る障害物がない状況下)での電磁界シミュレーション結果に相当する。
図38を参照すると、918MHz(0.918GHz)の周波数で、ループアンテナ50は、87パーセント程度の効率を達成できていることが理解できる。また、2.5GHzの周波数で、逆F型アンテナ60は、凡そ83パーセント程度の効率を達成できていることが理解できる。
従って、アンテナ20をデュアル・バンド・アンテナとして構成した場合であっても、各アンテナが互いに干渉して、効率が低下すること回避されている。特に、ループアンテナ50側では、920MHz帯の特性が大きく劣化しないことが確認された。また、逆F型アンテナ60側では、2.4GHz帯の特性が大きく劣化しないことが確認された。従って、実施例2のアンテナ20は、ループアンテナ50によって、実用に耐え得る電力受信アンテナを実現するとともに、逆F型アンテナ60によって、実用に耐え得るデータ通信アンテナを実現している。
上述のように、アンテナ20は、複数のアンテナを立体的に配置するデュアル・バンド・アンテナとして構成されている。この際、シングル・バンドをデュアル・バンドに変更したとしても、双方のアンテナの特性劣化が少ないアンテナ形状が得られることが確認された。従って、アンテナ20は、全体の小型化を達成するとともに、良好なアンテナ性能を発揮することが期待できる。
上述のように、実施例2に係るアンテナ20は、受電したエネルギーを、センサ86に給電することの他、ロボット、機器、PC等の任意の対象物に対して、エネルギーを送電することができる。
特に、FA(Factory Automation)への適用時には、センサ86の替わりに機器に対してアンテナ20を適用してもよい。さらには、ビルマネジメントへの適用も可能であって、その場合、社員証等、人体に近い場所に用いられる任意の部材に対してアンテナ20を適用してもよい。
さらに、送電のターゲットは、他、携帯電話、PDA(携帯情報端末)、ワイヤレス・マイク、ワイヤレスUSB、ワイヤレス・シアター、ワイヤレス・テレビ、ワイヤレス・カメラ、ワイヤレス・ヘッドフォン、ワイヤレス・マウス、ワイヤレス・キーボード、ワイヤレス・ルータ、ワイヤレス・プリンタ等でもよい。
次に、図39、図40を参照して、上記アンテナ20を用いて、センサを含む機器に給電して、稼働させる場合の実装例について説明する。
図39は、アンテナを用いて、機器に配置されたセンサに給電する実装例を示す図である。
図39を参照すると、点線で示す機器90の一側面に対してアンテナ20を取付けて、機器90に設置されたセンサへの給電を可能にした場合が概念的に例示されている。この機器90は、図38に例示したセンサ86の替わりに用いることができる。
上述したように、アンテナ20のループアンテナ50は、アンテナ20の内側に形成されるため、設置面の物質によってアンテナの性能が損なわれないように工夫されている。このため、機器90の金属面に対して、直接、アンテナ20を取付けた場合であっても、ループアンテナ50は継続して機能することができる。
この場合も、アンテナ20は、第1の導電板21、第2の導電板22及び第3の導電板23から成るループアンテナ50によって、第1の周波数(例えば918MHz)の電力送信アンテナを構成している。例えば、ループアンテナ50によって、機器90への給電を可能にしている。
また、アンテナ20は、逆F型アンテナ60によって、第2の周波数(例えば2.45G)のデータ通信アンテナを構成している。例えば、逆F型アンテナ60によって、機器90に関する状態を示す情報や、センサにより計測された情報を外部に送信可能にしている。
図40は、2つのアンテナの受信強度のシミュレーション結果を示す図の例である。
図40(A)及び(B)は、図39における機器90のx軸の方向を上にし、yz面を下に配置した状態(すなわち図39の機器90をy軸周りに90度時計回りに回転させた状態)での、3次元空間内での各アンテナの受電状況についての、シミュレーション結果を示す。なお、このシミュレーション結果は、電力の送電元から、アンテナ20までの距離を1mとして、理想的な状況下(エネルギの受電を遮る障害物がない状況下)での電磁界シミュレーション結果に相当する。
図40(A)では、色が濃くなる程(灰色から黒色に近づく程)受電状況が好適であることを示している。同図から理解できるように、ループアンテナ50は、導電板21、22、23により構成されるアンテナ20の全長に沿って、比較的偏りなく、エネルギーを受電できていることが確認された。
図40(B)を参照すると、3次元空間内での逆F型アンテナ60の受電状況についての、シミュレーション結果が示されている。なお、このシミュレーション結果は、電力の送電元から、アンテナ20までの距離を1mとして、理想的な状況下(エネルギの受電を遮る障害物がない状況下)での電磁界シミュレーション結果に相当する。
図40(B)では、同様に、色が濃くなる程(灰色から黒色に近づく程)受電状況が好適であることを示している。同図から理解できるように、逆F型アンテナ60は、アンテナ20の一端部側に偏って設けられているため、その全長の一端部側に偏っているものの、機器90の全域にわたってエネルギーを送受電できることが確認された。
なお、本シミュレーションで用いたアンテナの受電パワーの見積もりを行うと、電力送信出力1W、送電距離1mの条件においては、7.26mW、-21.39dB程度の給電が可能であり、バッテリーに対して3.5mW程度の充電が可能であることが推定できた。ただし、この数値は例示に過ぎず、限定的ではないことを理解されたい。
このように、アンテナ20は、2つの周波数帯のアンテナパターンを組み合わせることで、ループアンテナ50(例えば、918MHz)と逆F型アンテナ60(例えば、2.45GHz)のデュアル・バンド・アンテナを実現している。さらに、アンテナ20はデュアル・バンドだけでなく、さらなる別の周波数の電波を送受信できるようにし、3帯以上のマルチ・バンド・アンテナとして構成することもできる。
以上、実施例2に係るアンテナ20は、ループアンテナ50と逆F型アンテナ60との2の周波数のアンテナを一体化している。これら2つのアンテナは、一体的に構成されているものの、使用時には、それぞれのアンテナの性能が大きく阻害されないように機能する。
なお、ループアンテナ50単体と逆F型アンテナ60単体よりも、それらを組み合わせた本実施例のデュアル・バンドのアンテナの方が、以下の理由により受信効率が高まる場合がある。
・ループアンテナ50は、受電用アンテナ自身のグランドと共通なので、アンテナサイズが大きくなり効率が改善される。
・また、逆Fアンテナ60については、ループアンテナ50用のために設けた中空のスペース24があり、その切り抜かれたウィンドウの両サイドを電流が通り抜けることにより、放射パターンの改善とわずかな放射効率向上に寄与する。
更に、アンテナ20は、ループアンテナ50と逆F型アンテナ60の取付け位置を工夫することで、各アンテナが互いに干渉する影響を減らし、それぞれの効率が低下することを抑制してもよい。他、各アンテナの効率が適当となるように、例えば、各アンテナのインピーダンスの調整や、各アンテナのマッチング等を行いより効率を高めることもできる。例えば、高周波伝送を必要とする小型機器での使用に適した、U.FLコネクタや任意のマッチング回路等を利用してもよい。
逆F型アンテナ60は、フィーダー25から遠い位置に設置することで、干渉の影響が低減できる。また、受電アンテナ50の電流が小さくなる位置(λ/4の共振の節の位置)に設置すると、干渉の影響が低減できる。
以上、図32~図43を参照して、実施例2に係るアンテナ20について説明した。
実施例2に係るアンテナ20は、様々な態様で実装することができる。
態様1
アンテナ20は、その最もシンプルな実装態様として、少なくともループアンテナ50を含むアンテナとして構成することができる。アンテナ20は、ループアンテナ50から成るシングル・バンド・アンテナとして構成することができる。実装態様によっては、ループアンテナ50は、さらに、整流器(又は整流回路82等)と組み合わされてもよい。
態様2
アンテナ20の実装態様として、少なくともループアンテナ50と、整流器(又は整流回路82)とを組み合わせて含むとともに、高い効率を得るためには、アンテナのインピーダンスの調整を行うことができる。この際、アンテナ20の寸法、形状のバリエーションによるマッチングの対応や、周波数対応等を行ってもよい。
態様3
アンテナ20の実装態様として、少なくともループアンテナ50と、整流器(又は整流回路82)と、電源回路(又は電力管理83)と、データ通信回路基板(又はマイコン85等)を組み合わせて構成することができる。この場合、アンテナ・モジュールとして提供することができる。
態様4
実施例3に対して、さらに逆F型アンテナ60を追加してもよい。この際、逆F型アンテナ60は、特に高周波への適用を可能とし、例えば、2.4GHz帯への適用を可能とする。その際、逆F型アンテナ60のアンテナパターン部分を様々に調整してもよい(図36(A)~(C)参照)。また、逆F型アンテナ60の取付け位置を様々に調整してもよい(図36(B)、(D)参照)。逆F型アンテナ60のアンテナパターン部分が適当な形状をとり得るように、任意の様々な調整を行うことができる。
態様5
さらに、アンテナ20の実装態様として、少なくともループアンテナ50と、整流器(又は整流回路82)と、電源回路(又は電力管理83)と、データ通信回路基板(又はマイコン85、逆F型アンテナ60)と、センサ86(図37参照)を組み合わせて含む、センサネットワークシステム(又はセンサ・モジュール)を構築してもよい。センサ86の替わりに、機器90等を用いてもよい(図39参照)。
態様6
態様1~態様5の各場合で、アンテナ20の内部にさらにコア材30を組み合わせてもよい。その際、コア材の素材、大きさ、形状等を様々に調整することで、各アンテナの大きさ、形状、特性を様々に調整してもよい。その際、アンテナ20は、FPCを利用してもよい。
以上、本発明によれば、1つ以上の帯域を受信可能、小型低姿勢かつ設置位置の制約の少ないアンテナ、レクテナおよび回路モジュールを提供する。このため、幅広い小型センシングアプリケーションに対応したアンテナ・モジュール、センサ・モジュール等を提供することができる。
以上、実施例1では、図1~図31、図42を参照して、様々な形態の受電アンテナ1、1A、1a~1hについて説明した。
また、実施例2では、図32~図41、図43を参照して、様々な形態の受電アンテナ20について説明した。
実施例1と実施例2とは、互いに独立して実装されてもよく、又は、互いに組み合わせて実装されてもよい。例えば、実施例2に係るコア材30や、逆F型アンテナ60等は、実施例1に係る受電アンテナ1、1A、1a~1hに適用することができる。同様に、実施例1の説明は、実施例2に対して適用可能である。
なお、給電用に用いた通信帯域は、920MHz帯に限定するものではなく、例えばUHF帯域であれば良く、欧州においては868MHzの帯域が用いられ、米国においては915MHzの帯域が用いられても良い。また、UHF帯域に属するその他の周波数帯であっても構わない。
また、データ通信用の通信帯域は、2.4GHz帯に限定するものでは無く、2.4GHzの近傍の(±10%)の範囲の周波数帯を用いてもかまわない。例えば2.45GHzの帯域を用いることもできる。また、5.7GHzの近傍の通信帯域を用いても構わない。高速データ通信のために高い周波数帯域が求められる一方、給電には、データ通信と比較して低い周波数帯域を用いることが可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
1、1A、1a-1h・・・アンテナ
10a・・・第1導電板
10b・・・第2導電板
10c・・・導電性部材
10d・・・突出部
11・・・フィーダー
20・・・アンテナ
21・・・第1の導電板
22・・・第2の導電板
23・・・第3の導電板
30・・・コア材
50・・・ループアンテナ
60・・・逆F型アンテナ

Claims (24)

  1. 第1の導電板と、
    前記第1の導電板に対向する第2の導電板と、
    前記第1の導電板の第1端部と、前記第1端部に対向する前記第2の導電板の第2端部とを接続するフィーダーと、
    前記第1端部の反対側の第1他端部と、前記第2端部の反対側の第2他端部とを接続する導電性部材と、
    を備える第1のアンテナ、
    を備える無線給電に用いられる受電アンテナ。
  2. 前記導電性部材は、前記第1の導電板の第1他端部と、前記第2の導電板の第2他端部と、を接続する板状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の受電アンテナ。
  3. 前記第1の導電板と、前記第2の導電板と、板状の前記導電性部材と、は一体成型されていることを特徴とする請求項2に記載の受電アンテナ。
  4. 前記第1の導電板と、前記第2の導電板と、板状の前記導電性部材とは、1枚の導電板を折り曲げた状態で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の受電アンテナ。
  5. 前記1枚の導電板を、端部から所定距離内を切り欠いた状態で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の受電アンテナ。
  6. 前記第1の導電板は、長さ方向において中央部が段状に、前記第2の導電板に向けて突出しているとともに、
    前記第2の導電板は、長さ方向において中央部が段状に、前記第1の導電板に向けて突出している
    ことを特徴とする請求項1に記載の受電アンテナ。
  7. 板状の前記導電板は、端部から所定距離内を切り欠いた状態で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の受電アンテナ。
  8. 前記第1の導電板と前記第2の導電板には、スロットが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の受電アンテナ。
  9. 前記第1の導電板の中央近傍の幅方向の端部から、前記第2の導電板に向けて、前記第1の導電板の一部が突出した突出部を備えることを特徴とする請求項8に記載の受電アンテナ。
  10. 前記突出部の先端と、前記第2の導電板との間にはギャップが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の受電アンテナ。
  11. 前記第1の導電板と前記第2の導電板との間に誘電体のコア材を充填した、請求項1~10のいずれか1項に記載の受電アンテナ。
  12. 前記第1の導電板、前記導電性部材、及び前記第2の導電板のうちの少なくとも一つに中空のスペースを設け、その中に第2のアンテナを配置した、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の受電アンテナ。
  13. 前記第1のアンテナは、ループアンテナとして機能する、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の受電アンテナ。
  14. 前記第1の導電板、前記導電性部材、及び前記第2の導電板は、断面視で略コ字状の形状を有し、前記コの字の内側に前記ループアンテナの電界を生じさせるようにした、
    請求項13に記載の受電アンテナ。
  15. 前記第1のアンテナは、電力受信用のアンテナである、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の受電アンテナ。
  16. 前記第1のアンテナは、約920MHzの周波数領域で駆動する、
    請求項1~10に記載の受電アンテナ。
  17. 前記第2のアンテナは、逆Fアンテナ又はチップアンテナのいずれかである、
    請求項12に記載の受電アンテナ。
  18. 前記第2のアンテナは、データの送受信用のアンテナである、
    請求項12に記載の受電アンテナ。
  19. 前記第2のアンテナは、約2.4GHzの周波数領域で駆動する、
    請求項12に記載の受電アンテナ。
  20. 前記第1の導電板と前記第2の導電板との間に誘電体のコア材を充填した、請求項12に記載の受電アンテナ。
  21. 前記第1の導電板、前記導電性部材、及び前記第2の導電板は、フレキシブルプリント基板(FPC)の第1の導電層により構成され、前記第2のアンテナは逆F型アンテナであり、かつ、前記逆F型アンテナは、前記FPCの第2の導電層により構成される、
    請求項12に記載の受電アンテナ。
  22. 前記第1のアンテナは、逆Fアンテナとして機能する、
    請求項1に記載の受電アンテナ。
  23. 前記第1の導電板の幅と、前記第2の導電板の幅とは、略同一であり、
    前記第1の導電板の長さと、前記第2の導電板の長さとは、受信を想定する電波の周波数帯を共振周波数とする長さよりも、10~30%好ましくは20%程度長い、
    請求項22に記載の受電アンテナ。
  24. 前記第1の導電板の幅と、前記第2の導電板の幅とは、略同一であり、
    前記第1の導電板の長さと、前記第2の導電板の長さとは、受信を想定する電波の周波数帯を共振周波数とする長さよりも、10~30%好ましくは20%程度短い、
    請求項22に記載の受電アンテナ。


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