JP7243976B2 - 流体過加熱器 - Google Patents

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Description

本発明は、高温の熱流体を生成するための流体過加熱器に関する。
金属や樹脂の加工分野等においては、熱処理をより早く行うために高温の熱流体が利用されており、その熱流体を発生させる方法や装置について種々検討されている。一例として、熱交換器に飽和蒸気を送り、さらに加熱し、高温熱流体としての過熱水蒸気を生成する方法が挙げられる。例えば、直管状の流路を通過する蒸気を流路内に設けられたハロゲンヒータによって加熱して過加熱蒸気を発生させる装置(特許文献1)や、黒色塗料が塗布されたスパイラル管が容器の中心軸部に架設されるハロゲンランプを非接触状態で包囲し、該スパイラル管がハロゲンランプの輻射光を吸収することによってスパイラル管内の蒸気を加熱する装置(特許文献2)、直管状の増幅管内を通過する蒸気を増幅管の外周面に巻線されたヒーティングコイルによって所定の温度に加熱する装置(特許文献3)等が知られている。
特許第500401号公報 特開2007-17097号公報 特表2013-515554号公報
しかし、上述のような、直管状の流路を備えた装置やヒータと流体との間に空間を有する装置で過加熱蒸気を発生させるには、飽和蒸気を所望の高温に達するまで加熱するヒータの長さが必要である。すなわち、ヒータ加熱に必要な距離が延びることになり、必要なスペースが増大する。また、省スペース化のための配管の屈折加工には、多くの工数が必要となる。さらに、流路内で直接高温蒸気とヒータが接触するような仕様の場合、高温、高湿雰囲気によってヒータの劣化が早くなる、といった課題が挙げられる。
そこで、本発明の目的は、小型でユニット化が可能であると共に、ヒータ寿命を延長でき、製作加工を容易に行える、流体過加熱器を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、流体が通過する配管と、配管内の流体を加熱するヒータと、配管及びヒータを収容する長尺状のケーシングとを備えた流体過加熱器であって、ヒータは、ケーシングの長手方向に沿って延びる直線状であって、配管は、ヒータの長手方向から見て円形に、ヒータの外周を螺旋状に巻回するコイル状に形成され、ケーシングは、少なくとも配管とヒータとを収容する横断面四角形状の内筒と、内筒の外側へ非接触状態に配置された外筒とを備え、ケーシングの長手方向両端部には、内筒と外筒とを連結する側壁が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、ケーシングにおけるヒータへの外部配線の接続側となる長手方向端部では、側壁のさらに外側に第2の側壁が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、ケーシングにおける外部配線の接続側と反対の長手方向端部でも、側壁のさらに外側に第2の側壁が設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、流体が通過する配管をヒータの外周を螺旋状に巻回するコイル状とすることにより、ヒータ加熱に必要な距離が縮まり、スペースを小さくすることが可能となる。また、配管の製作加工がコイル状に巻く加工であるため、加工工数が軽減される。さらに、加熱対象の流体とヒータが直接接しない構造となるため、ヒータ寿命を延ばすことが可能となる。加えて、配管とヒータを内筒に収容したことにより剛性が増大し、加熱された流体に起因する配管の歪みを抑えることができる。また、内筒内部の四隅に空間ができるため、内筒内に配管の温度を直接計測する温度センサ等を設置できる。
請求項2に記載の発明によれば、ヒータの外部配線接続部を側壁と第2の側壁との間に収納することができるため、接続部を外部から保護することができる。
請求項3に記載の発明によれば、長手方向両端部に側壁と第2の側壁を設けるため、制作段階においてケーシングの長手方向の向きが限定されなくなり、製作加工が容易となる。
流体過加熱器を示す斜視図である。 (a)は上部外筒を取り外した状態を示す斜視図、(b)は上部内筒及び側部内筒を取り外した状態を示す斜視図である。 流体過加熱器の分解斜視図である。 (a)は図1におけるA-A断面図、(b)はB-B断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、過加熱蒸気を発生させる流体過加熱器1は、外装となる長尺状の外部ケーシング2を有する。この外部ケーシング2は、短手方向両端部が折り曲げられたコ字状の上部外筒3a及び同じくコ字状の下部外筒3bからなる外筒3と、流体過加熱器1の長手方向内側を向いて開口する略箱状に形成された第2の側壁6a,6bとによって構成されている。上部外筒3aの上部両端部寄りには貫通孔12,12が設けられ、配管8の流入部8bと流出部8cとがそれぞれ異なる貫通孔12,12から上方へ突出し、流入部8b及び流出部8cそれぞれの末端には図示しない他の配管と流体過加熱器1とを接続する接続部18,18が設けられている。
外部配線の接続側の第2の側壁6aには、後述するヒータ9、温度センサ10及び温度ヒューズ11の配線を外部ケーシングの外部へ誘導するための誘導孔13が形成されている。また、外筒3の外部配線の接続側の端部付近であって、後述する側壁7と第2の側壁6aの間となる位置には、外筒3の四面全てに排熱のためのスリット17が複数形成されている。さらに、外部配線の接続側の第2の側壁6aには、ヒータ9に配線するための端子台21が備えられている。
外部ケーシング2の内部には、図2(a)に示すように、長尺状の内部ケーシング4が備えられる。内部ケーシング4は、上部内筒5a、側部内筒5b、5b及び下部内筒5c(図3,4を参照)からなる内筒5と、側壁7a,7bとによって構成されている。上部内筒5a、側部内筒5b、5b、下部内筒5cは、それぞれが長手方向における両端部が外側へ向けて折り曲げられたコ字状であり、側壁7a,7bは、流体過加熱器1の長手方向外側に向けて開口した略箱状に形成されている。側壁7a,7bと第2の側壁6a,6bとは、流体過加熱器1の長手方向から見て同じ大きさとなるように形成される。
上部内筒5aの長手方向両端部寄りには、配管8の流入部8bと流出部8cを内部ケーシング4の外部へ突出させるための第2の貫通孔14,14が設けられている。
内部ケーシング4の内部には、図2(b)に示すように、流体過加熱器1の長手方向に沿って延びる円柱状のヒータ9と、ヒータ9と当接しながら、ヒータ9の外周を螺旋状に巻回するコイル状部8aが形成された配管8とが備えられている。側壁7a,7bの中央付近には、ヒータ9を挿通支持するためのヒータ孔15,15が設けられている。加えて、図3に示すように、外部配線の接続側の側壁7aには、温度センサ10及び温度ヒューズ11を挿入支持するための挿入孔16、16、16が設けられ、また、他方の側壁7bには、温度ヒューズ11を挿入保持するための挿入孔16、16が設けられ、温度センサ10と温度ヒューズ11,11とは、側壁7a,7bに設けられた各挿入孔16によって内部ケーシング4内へ挿入支持されている。
なお、ヒータ9及び温度センサ10は、図示しない別体の制御器に接続されることで制御される。本実施形態におけるヒータ9は、石英管内に図示しないカーボン製の発熱体を封入したカーボンヒータである。
外部ケーシング2及び内部ケーシング4は、それぞれを構成する各部材に複数設けられた固定孔19を介して、互いにビス等の固定手段(図示せず)により固定される。
この時、配管8は、流入部8b及び流出部8cが、貫通孔12,12及び第2の貫通孔14,14に挿通され、内筒5によって配管8のコイル状部8aが内包支持されている。このように、流体過加熱器1はシンプルな構造となっているため、簡単な分解作業によって配管8やヒータ9の交換ができ、例えば、径の異なる配管と交換することで発生させる過加熱蒸気の流量を容易に調整することができる。
図4(a)~(b)に示すように、内筒5は、配管8のコイル状部8aに外側から当接している。このように、配管8のコイル状部8aが内筒5に内包支持されることで剛性が強化されるため、ヒータ熱による配管8の歪みを抑えることが可能となり、ひいては、流体過加熱器1の熱強度を向上させている。一方、配管8のコイル状部8aが、ヒータ9の長手方向から見て円形に巻回されているため、横断面四角形状の内筒5の内部四隅にスペースが生じ、内筒5内への温度センサ10及び温度ヒューズ11の挿入を可能としている。この時、温度センサ10は、配管8のコイル状部8aに当接するため、配管8のコイル状部8aの温度を実時間で観測し、配管8内の飽和蒸気の温度制御を確実に行うことができる。また、温度ヒューズ11を備えたことにより、内部ケーシング4内温度の過剰な上昇を防ぐことができる。
なお、内筒5と外筒3とによって作られる間隙20には、ガラス繊維からなる断熱材(図示せず)が詰め込まれており、外部ケーシング2への伝熱を抑えることができる。
接続部18に接続された図示しない他の配管から流入部8bを経て流体過加熱器1内へ送られた飽和蒸気は、配管8のコイル状部8aを通過する際にヒータ9によって加熱される。所定の温度まで加熱された過加熱蒸気は、流出部8cを経て接続部18に接続された図示しない他の配管へ送られる。この時、飽和蒸気がヒータ9と直接接触しないため、高温高湿雰囲気によるヒータの劣化を抑え、ヒータ寿命を延ばすことができる。また、配管8にヒータ9の外周に当接しながら螺旋状に巻回するコイル状部8aを設けたことで、ヒータ加熱に必要な距離が縮まるため、装置の小型化が可能となる。そのため、流体過加熱器1をユニット化し、複数の流体過加熱器1を並列接続することで流量を増やしたり、直列接続することでさらに高温の流体を発生させたりするといった柔軟な運用が可能となる。
上記形態の流体過加熱器1は、流体が通過する配管8と、配管8内の流体を加熱するヒータ9と、配管8及びヒータ9を収容する長尺状のケーシング(外部ケーシング2及び内部ケーシング4)とを備え、ヒータ9は、ケーシングの長手方向に沿って延びる直線状であって、配管8は、ヒータ9の外周を螺旋状に巻回するコイル状に形成され、ケーシングは、配管8とヒータ9とを収容する内部ケーシング4と、内部ケーシング4の外側へ非接触状態に配置された外部ケーシング2とを備え、内部ケーシング4の長手方向両端部には、内筒5と外筒3とを連結する側壁7a,7bが設けられている。
このように構成された流体過加熱器1によれば、流体が通過する配管8をヒータ9の外周を螺旋状に巻回するコイル状とすることにより、ヒータ加熱に必要な距離が縮まり、スペースを小さくすることが可能となる。また、配管8の製作加工がコイル状に巻く加工であるため、加工工数が軽減される。また、飽和蒸気とヒータ9とが直接接しない構造となるため、ヒータ寿命を延ばすことが可能となる。また、配管8とヒータ9を内筒5に収容したことにより剛性が増大し、加熱された流体に起因する配管8の歪みを抑えることができる。
また、外部ケーシング2におけるヒータ9への外部配線の接続側となる長手方向端部では、側壁7aのさらに外側に第2の側壁6aが設けられている。
よって、ヒータ9の外部配線接続部を側壁7aと第2の側壁6aとの間に収納することができるため、外部配線接続部を外部から保護することができる。また、端子台21もヒータ9の熱から保護することができる。
また、外部ケーシング2における外部配線の接続側と反対の長手方向端部でも、側壁7bのさらに外側に第2の側壁6bが設けられている。
よって、長手方向両端部に側壁7a,7bと第2の側壁6a,6bを設けるため、制作段階においてケーシングの長手方向の向きが限定されなくなり、製作加工が容易となる。
また、配管8は、ヒータ9の長手方向から見て円形に巻回され、内部ケーシング4は、横断面四角形状である。
よって、内筒5内部の四隅に空間ができるため、内筒5内に配管8の温度を直接計測する温度センサ10等を設置できる。
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、加熱する流体は、液体でも気体でも良い。また、ヒータは、流体を所定の温度まで加熱できるものであれば、任意のヒータを適用可能である。また、外部ケーシング及び内部ケーシングの固定孔や外筒に設けられるスリットの数は、目的の強度や放熱率が保てる範囲で任意に設定できる。また、外筒及び内筒の横断面形状は、多角形や円形等でも良く、外筒及び内筒は分割せず、一体の筒状であっても良い。さらに、第2の側壁の一方又は両方を省略化しても良い。さらにまた、温度センサ及び温度ヒューズは、必ずしも備える必要はなく、場合に応じて誘導孔や挿入孔の数を変更できる。加えて、断熱材の素材は、ガラス繊維に限定されず、任意の断熱材が選択可能である。
1・・流体過加熱器、2・・外部ケーシング、3・・外筒、4・・内部ケーシング、5・・内筒、6a,6b・・第2の側壁、7a,7b・・側壁、8・・配管、9・・ヒータ、10・・温度センサ、11・・温度ヒューズ。

Claims (3)

  1. 流体が通過する配管と、
    前記配管内の前記流体を加熱するヒータと、
    前記配管及び前記ヒータを収容する長尺状のケーシングとを備えた流体過加熱器であって、
    前記ヒータは、前記ケーシングの長手方向に沿って延びる直線状であって、
    前記配管は、前記ヒータの長手方向から見て円形に、前記ヒータの外周を螺旋状に巻回するコイル状に形成され、
    前記ケーシングは、少なくとも前記配管と前記ヒータとを収容する横断面四角形状の内筒と、前記内筒の外側へ非接触状態に配置された外筒とを備え、
    前記ケーシングの長手方向両端部には、前記内筒と前記外筒とを連結する側壁が設けられていることを特徴とする流体過加熱器。
  2. 前記ケーシングにおける前記ヒータへの外部配線の接続側となる長手方向端部では、前記側壁のさらに外側に第2の側壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体過加熱器。
  3. 前記ケーシングにおける前記外部配線の接続側と反対の長手方向端部でも、前記側壁のさらに外側に第2の側壁が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の流体過加熱器。
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