以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、過給機TCの概略断面図である。図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング2と、タービンハウジング4と、コンプレッサハウジング100とを含む。ベアリングハウジング2の左側には、締結ボルト3によってタービンハウジング4が連結される。ベアリングハウジング2の右側には、締結ボルト5によってコンプレッサハウジング100が連結される。
ベアリングハウジング2には、収容孔2aが形成されている。収容孔2aは、過給機TCの左右方向に貫通する。収容孔2aには、軸受6が配される。図1では、軸受6の一例としてフルフローティング軸受を示す。ただし、軸受6は、セミフローティング軸受や転がり軸受など、他のラジアル軸受であってもよい。収容孔2aには、シャフト7の一部が配される。シャフト7は、軸受6によって回転自在に軸支される。シャフト7の左端部には、タービンインペラ8が設けられる。タービンインペラ8は、タービンハウジング4内に回転自在に収容される。シャフト7の右端部には、コンプレッサインペラ9が設けられる。コンプレッサインペラ9は、コンプレッサハウジング100内に回転自在に収容される。
コンプレッサハウジング100には、吸気口10が形成される。吸気口10は、過給機TCの右側に開口する。吸気口10は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング2とコンプレッサハウジング100の間には、ディフューザ流路11が形成される。ディフューザ流路11は、空気を昇圧する。ディフューザ流路11は、シャフト7(コンプレッサインペラ9)の径方向(以下、単に径方向という)の内側から外側に向けて環状に形成される。ディフューザ流路11は、径方向の内側において、コンプレッサインペラ9を介して吸気口10に連通している。
コンプレッサハウジング100には、コンプレッサスクロール流路12が形成される。コンプレッサスクロール流路12は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路12は、例えば、コンプレッサインペラ9よりも径方向の外側に位置する。コンプレッサスクロール流路12は、不図示のエンジンの吸気口、および、ディフューザ流路11と連通している。コンプレッサインペラ9が回転すると、吸気口10からコンプレッサハウジング100内に空気が吸気される。吸気された空気は、コンプレッサインペラ9の翼間を流通する過程において、加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路11およびコンプレッサスクロール流路12で昇圧される。昇圧された空気は、不図示の吐出口から流出し、エンジンの吸気口に導かれる。
このように、過給機TCは、遠心圧縮機C(コンプレッサ)を備える。遠心圧縮機Cは、コンプレッサハウジング100と、コンプレッサインペラ9と、コンプレッサスクロール流路12と、後述するリンク機構200とを含む。
タービンハウジング4には、排気口13が形成されている。排気口13は、過給機TCの左側に開口する。排気口13は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。また、タービンハウジング4には、連通流路14と、タービンスクロール流路15とが形成されている。タービンスクロール流路15は、タービンインペラ8よりも径方向の外側に位置する。連通流路14は、タービンインペラ8とタービンスクロール流路15との間に位置する。
タービンスクロール流路15は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。連通流路14は、タービンスクロール流路15と排気口13とを連通させる。ガス流入口からタービンスクロール流路15に導かれた排気ガスは、連通流路14およびタービンインペラ8の翼間を介して排気口13に導かれる。排気口13に導かれた排気ガスは、その流通過程においてタービンインペラ8を回転させる。
タービンインペラ8の回転力は、シャフト7を介してコンプレッサインペラ9に伝達される。上記のとおりに、空気は、コンプレッサインペラ9の回転力によって昇圧されて、エンジンの吸気口に導かれる。
図2は、図1の破線部分の抽出図である。図2に示すように、コンプレッサハウジング100は、第1ハウジング部材110と、第2ハウジング部材120とを含む。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120よりも、図2中、右側(ベアリングハウジング2から離隔する側)に位置する。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120と接続される。
第1ハウジング部材110は、大凡円筒形状である。第1ハウジング部材110は、小径部110aと、中径部110bと、大径部110cとを有する。小径部110aは、第2ハウジング部材120から最も遠い位置に配される。大径部110cは、第2ハウジング部材120から最も近い位置に配される。中径部110bは、小径部110aと大径部110cの間に位置する。小径部110aは、中径部110bよりも外径が小さい。中径部110bは、大径部110cよりも外径が小さい。ただし、第1ハウジング部材110は、小径部110a、中径部110b、大径部110cを有さなくてもよい。例えば、第1ハウジング部材110は、外径がコンプレッサインペラ9の回転軸方向(以下、単に回転軸方向、軸方向という)に大凡一定であってもよい。
第1ハウジング部材110には、貫通孔111が形成される。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120と近接(接続)する側に端面112を有する。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120から離隔する側に端面113を有する。端面113には、吸気口10が形成される。貫通孔111は、回転軸方向に沿って、端面112から端面113まで延在する。つまり、貫通孔111は、第1ハウジング部材110を回転軸方向に貫通している。貫通孔111は、小径部110a、中径部110b、大径部110cを回転軸方向に貫通する。貫通孔111は、端面113において吸気口10と接続する。
貫通孔111は、平行部111aと、縮径部111bとを有する。平行部111aは、縮径部111bよりも端面113側に位置する。平行部111aの内径は、回転軸方向に亘って大凡一定である。縮径部111bは、平行部111aよりも端面112側に位置する。縮径部111bは、平行部111aと連続する。縮径部111bは、平行部111aと連続する部位の内径が、平行部111aの内径と大凡等しい。縮径部111bの内径は、平行部111aから離隔するほど(端面112に近づくほど)、小さくなる。
端面112には、切り欠き部112aが形成される。切り欠き部112aは、端面112から端面113側に窪む。切り欠き部112aは、端面112の外周部に形成される。切り欠き部112aは、回転軸方向から見たとき、例えば大凡環状である。
端面112には、収容溝112bが形成される。収容溝112bは、切り欠き部112aと貫通孔111との間に位置する。収容溝112bは、端面112から端面113側に窪む。収容溝112bは、回転軸方向から見たとき、例えば大凡環状である。収容溝112bは、径方向内側において貫通孔111と連通する。
収容溝112bのうち端面113側の壁面112cには、軸受穴112dが形成される。軸受穴112dは、壁面112cから端面113側に向かって回転軸方向に延在する。軸受穴112dは、コンプレッサインペラ9の回転方向(以下、単に回転方向、周方向という)に離隔して2つ設けられる。2つの軸受穴112dは、回転方向に180度ずれた位置に配されている。
第2ハウジング部材120には、貫通孔121が形成される。第2ハウジング部材120は、第1ハウジング部材110と近接(接続)する側に端面122を有する。また、第2ハウジング部材120は、第1ハウジング部材110から離隔する側(ベアリングハウジング2と接続する側)に端面123を有する。貫通孔121は、回転軸方向に沿って、端面122から端面123まで延在する。つまり、貫通孔121は、第2ハウジング部材120を回転軸方向に貫通している。
貫通孔121のうち端面122側の端部の内径は、貫通孔111のうち端面112側の端部の内径と大凡等しい。貫通孔121の内壁には、シュラウド部121aが形成される。シュラウド部121aは、コンプレッサインペラ9に対して径方向の外側から対向する。シュラウド部121aの内径は、端面123に近接するほど大きくなる。シュラウド部121aのうち端面123側の端部は、ディフューザ流路11と連通する。
端面122には、収容溝122aが形成される。収容溝122aは、端面122よりも端面123側に窪む。収容溝122aは、回転軸方向から見たとき、例えば大凡環状である。収容溝122aには、大径部110cが挿入される。収容溝122aのうち端面123側の壁面122bに、第1ハウジング部材110の端面112が当接する。
第1ハウジング部材110の貫通孔111と、第2ハウジング部材120の貫通孔121によって、吸気流路130が形成される。このように、コンプレッサハウジング100には、吸気流路130が形成される。吸気流路130は、吸気口10とディフューザ流路11を連通する。コンプレッサインペラ9は、吸気流路130に設けられる。吸気流路130(貫通孔111、121)は、回転軸方向に垂直な断面形状が、例えば、コンプレッサインペラ9の回転軸を中心とする円形である。ただし、吸気流路130の断面形状は、これに限定されず、例えば、楕円形状であってもよい。
第1ハウジング部材110の切り欠き部112aには、不図示のシール材が配される。シール材により、第1ハウジング部材110と第2ハウジング部材120との隙間を流通する空気の流量が抑制される。ただし、切り欠き部112aおよびシール材の構成は、必須ではない。
図3は、リンク機構200を構成する部材の分解斜視図である。図3では、コンプレッサハウジング100のうち、第1ハウジング部材110のみが示される。図3に示すように、リンク機構200は、コンプレッサハウジング100、第1絞り部材210、第2絞り部材220、連結部材230、ロッド240を有する。リンク機構200は、回転軸方向において、コンプレッサインペラ9より吸気流路130の吸気口10側(以下、上流側ともいう)に配される。
第1絞り部材210は、収容溝112bに配される。具体的には、第1絞り部材210は、回転軸方向において、収容溝112bの壁面112cと、収容溝122aの壁面122b(図2参照)との間に配される。第1絞り部材210は、本体B1を有する。本体B1は、湾曲部211と、アーム部212とを有する。
湾曲部211は、大凡半円弧形状である。湾曲部211は、コンプレッサインペラ9の周方向における一端側に第1当接部211aが形成され、他端側に第1対向部211bが形成される。第1当接部211aは、径方向および回転軸方向に平行な当接面を有する。ただし、第1当接部211aは、径方向および回転軸方向に対し、傾斜する傾斜面を有していてもよいし、曲面や段差面を有してもよい。第1対向部211bの詳細については、後述する。
湾曲部211のうち第1対向部211b側には、アーム部212が設けられる。アーム部212は、湾曲部211の外周面211cから径方向外側に延在する。アーム部212は、径方向に対して傾斜する方向(第2絞り部材220に近接する側)に延在する。
第2絞り部材220は、収容溝112bに配される。具体的には、第1絞り部材210は、回転軸方向において、収容溝112bの壁面112cと、収容溝122aの壁面122b(図2参照)との間に配される。第2絞り部材220は、本体B2を有する。本体B2は、湾曲部221と、アーム部222とを有する。
湾曲部221は、大凡半円弧形状である。湾曲部221は、コンプレッサインペラ9の周方向における一端側に第2当接部221aが形成され、他端側に第2対向部221bが形成される。第2当接部221aは、径方向および回転軸方向に平行な当接面を有する。ただし、第2当接部221aは、径方向および回転軸方向に対し、傾斜する傾斜面を有していてもよいし、曲面や段差面を有してもよい。第2当接部221aは、第1絞り部材210と第2絞り部材220が互いに近接したとき、第1当接部211aと当接する。第2対向部221bの詳細については、後述する。
湾曲部221のうち第2当接部221a側には、アーム部222が設けられる。アーム部222は、湾曲部221の外周面221cから径方向外側に延在する。また、アーム部222は、径方向に対して傾斜する方向(第1絞り部材210側)に延在する。
湾曲部211は、湾曲部221とコンプレッサインペラ9の回転中心(吸気流路130)を挟んで対向する。第1当接部211aは、第2当接部221aと周方向に対向する。第1対向部211bは、第2対向部221bと周方向に対向する。
連結部材230は、第1絞り部材210、第2絞り部材220よりも吸気口10側に位置する。連結部材230は、大凡円弧形状である。連結部材230は、コンプレッサインペラ9の周方向における一端側に第1軸受穴231が形成され、他端側に第2軸受穴232が形成される。第1軸受穴231および第2軸受穴232は、連結部材230のうち、第1絞り部材210、第2絞り部材220側の端面233に開口する。第1軸受穴231および第2軸受穴232は、回転軸方向に延在する。ここでは、第1軸受穴231および第2軸受穴232は、非貫通の穴で構成される。ただし、第1軸受穴231および第2軸受穴232は、連結部材230を回転軸方向に貫通してもよい。
連結部材230は、第1軸受穴231と第2軸受穴232の間に、ロッド接続部234が形成される。ロッド接続部234は、連結部材230のうち、第1絞り部材210、第2絞り部材220と反対側の端面235に形成される。ロッド接続部234は、端面235から回転軸方向に突出する。ロッド接続部234は、例えば、大凡円柱形状である。
ロッド240は、大凡円柱形状である。ロッド240は、一端部に平面部241が形成され、他端部に連結部243が形成される。平面部241は、大凡回転軸方向に垂直な面方向に延在する。平面部241には、軸受穴242が開口する。軸受穴242は、回転軸方向に延在する。連結部243は、連結孔243aを有する。連結部243(連結孔243a)には、後述するアクチュエータが連結される。軸受穴242は、例えば、回転軸方向およびロッド240の軸方向に垂直な方向(後述する図6中、左右方向)の長さが、ロッド240の軸方向の長さよりも長い長穴であってもよい。
ロッド240は、平面部241と連結部243の間に、ロッド大径部244と、2つのロッド小径部245とを有する。ロッド大径部244は、2つのロッド小径部245の間に配される。2つのロッド小径部245のうち平面部241側のロッド小径部245は、ロッド大径部244と平面部241とを接続する。2つのロッド小径部245のうち連結部243側のロッド小径部245は、ロッド大径部244と連結部243とを接続する。ロッド大径部244の外径は、2つのロッド小径部245の外径よりも大きい。
第1ハウジング部材110には、挿通穴114が形成される。挿通穴114の一端114aは、第1ハウジング部材110の外部に開口する。挿通穴114は、例えば、回転軸方向に垂直な面方向に延在する。挿通穴114は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向の外側に位置する。挿通穴114には、ロッド240の平面部241側が挿通される。ロッド大径部244は、挿通穴114の内壁面によってガイドされる。ロッド240は、挿通穴114の中心軸方向(ロッド240の中心軸方向)以外の移動が規制される。
第1ハウジング部材110には、収容穴115が形成される。収容穴115は、収容溝112bの壁面112cに開口する。収容穴115は、壁面112cから吸気口10側に窪む。収容穴115は、挿通穴114よりも吸気口10から離隔する側に位置する。収容穴115は、回転軸方向から見たとき、大凡円弧形状である。収容穴115は、連結部材230よりも周方向に長く延在する。
第1ハウジング部材110には、連通孔116が形成される。連通孔116は、挿通穴114と収容穴115とを連通させる。連通孔116は、収容穴115のうち、周方向の大凡中間部分に形成される。連通孔116は、例えば、挿通穴114の延在方向に大凡平行に延在する長孔である。連通孔116は、長手方向(延在方向)の幅が、短手方向の幅よりも大きい。挿通穴114の短手方向(延在方向と垂直な方向)の幅は、連結部材230のロッド接続部234の外径よりも大きい。
連結部材230は、収容穴115に収容される。収容穴115は、連結部材230よりも周方向の長さが長く、径方向の幅も大きい。そのため、連結部材230は、収容穴115の内部で、回転軸方向に垂直な面方向への移動が許容される。
ロッド接続部234は、連通孔116から挿通穴114に挿通される。挿通穴114には、ロッド240の平面部241が挿通されている。平面部241の軸受穴242は、連通孔116に対向している。ロッド接続部234は、軸受穴242に挿通される(接続される)。ロッド接続部234は、軸受穴242に軸支される。
図4は、図2のIV-IV線断面図である。図4に破線で示すように、第1絞り部材210は、連結軸部213および回転軸部214を有する。連結軸部213および回転軸部214は、第1絞り部材210のうち、吸気口10側(収容溝112bの壁面112c側)の端面から、回転軸方向に突出する。連結軸部213および回転軸部214は、図4中、紙面奥側に延在する。回転軸部214は、連結軸部213と平行に延在する。連結軸部213および回転軸部214は、大凡円柱形状である。
連結軸部213の外径は、連結部材230の第1軸受穴231の内径よりも小さい。連結軸部213は、第1軸受穴231に挿通される。連結軸部213は、第1軸受穴231に軸支される。回転軸部214の外径は、第1ハウジング部材110の軸受穴112dの内径よりも小さい。回転軸部214は、2つの軸受穴112dのうちロッド240に近接する側の軸受穴112dに挿通される。回転軸部214は、軸受穴112dに軸支される(図2参照)。
第2絞り部材220は、連結軸部223および回転軸部224を有する。連結軸部223および回転軸部224は、第2絞り部材220のうち、吸気口10側(収容溝112bの壁面112c側)の端面から、回転軸方向に突出する。連結軸部223および回転軸部224は、図4中、紙面奥側に延在する。回転軸部224は、連結軸部223と平行に延在する。連結軸部223および回転軸部224は、大凡円柱形状である。
連結軸部223の外径は、連結部材230の第2軸受穴232の内径よりも小さい。連結軸部223は、第2軸受穴232に挿通される。連結軸部223は、第2軸受穴232に軸支される。回転軸部224の外径は、第1ハウジング部材110の軸受穴112dの内径よりも小さい。回転軸部224は、2つの軸受穴112dのうちロッド240から離隔する側の軸受穴112dに挿通される。回転軸部224は、軸受穴112dに軸支される(図2参照)。
このように、リンク機構200は、4節リンク機構により構成される。4つのリンク(節)は、第1絞り部材210、第2絞り部材220、第1ハウジング部材110、連結部材230である。リンク機構200は、4節リンク機構により構成されることから、限定連鎖となり1自由度であって制御が容易である。
図5は、図4に示す第1対向部211bおよび第2対向部221bのV矢視図である。図5では、第1対向部211bと第2対向部221bを径方向内側から見た状態を示している。図5に示すように、第1対向部211bは、第1突起部211dと、第1窪み部211eとを有する。第1突起部211dは、回転軸方向における厚さが、第1対向部211b(第1絞り部材210)の回転軸方向における厚さより小さい(薄い)。
第1突起部211dは、第1絞り部材210のうち、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9から離隔する側(図5中、下側)に配される。第1窪み部211eは、第1絞り部材210のうち、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9に近接する側(図5中、上側)に配される。第1突起部211dと第1窪み部211eにより第1段差部D1が形成される。
第2対向部221bは、第2突起部221dと、第2窪み部221eとを有する。第2突起部221dは、回転軸方向における厚さが、第2対向部221b(第2絞り部材220)の回転軸方向における厚さより小さい(薄い)。第2突起部221dは、第2絞り部材220のうち、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9に近接する側(図5中、上側)に配される。第2窪み部221eは、第2絞り部材220のうち、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9から離隔する側(図5中、下側)に配される。第2突起部221dと第2窪み部221eにより第2段差部D2が形成される。
図5に示すように、第1対向部211b(第1絞り部材210)は、第2対向部221b(第2絞り部材220)と大凡同一平面上に配される。つまり、第1絞り部材210のコンプレッサインペラ9に近接する側の面は、第2絞り部材220のコンプレッサインペラ9に近接する側の面と大凡同一平面上に配される。第1絞り部材210のコンプレッサインペラ9から離隔する側の面は、第2絞り部材220のコンプレッサインペラ9から離隔する側の面と大凡同一平面上に配される。
第1突起部211dは、周方向において第2窪み部221eと対向する。第1突起部211dは、周方向において第2窪み部221eから離隔している。第2突起部221dは、周方向において第1窪み部211eと対向する。第2突起部221dは、周方向において第1窪み部211eから離隔している。つまり、第1突起部211dは、第2窪み部221eと非接触である。第2突起部221dは、第1窪み部211eと非接触である。
第1突起部211dの回転軸方向の厚さは、第2窪み部221eの回転軸方向の厚さより小さい。第2突起部221dの回転軸方向の厚さは、第1窪み部211eの回転軸方向の厚さより小さい。第1突起部211dは、第2突起部221dと、回転軸方向にずれた位置に配される。
第1突起部211dは、第2突起部221dと回転軸方向に対向する。本実施形態では、第1突起部211dは、回転軸方向において第2突起部221dから離隔している。つまり、第1突起部211dは、回転軸方向において第2突起部221dと非接触である。ただし、第1突起部211dは、回転軸方向において第2突起部221dと接触していてもよい。
このように、第1絞り部材210のうち第1対向部211bは、第2絞り部材220のうち第2対向部221bと少なくとも周方向に離隔している。第1対向部211bは、第2対向部221bと回転軸方向および周方向に対向している。
図6は、リンク機構200の動作を説明するための第1の図である。図7は、リンク機構200の動作を説明するための第2の図である。図8は、リンク機構200の動作を説明するための第3の図である。以下の図6、図7、図8では、吸気口10側から見たリンク機構200の図が示される。図6に示すように、ロッド240の連結部243には、アクチュエータ250の駆動シャフト251の一端部が連結される。
第1絞り部材210は、径方向内側に突出部215(図2、図4参照)を有する。突出部215は、吸気流路130内に突出する。換言すれば、第1絞り部材210は、本体B1の少なくとも一部を吸気流路130内に突出させた突出位置に移動可能である。また、第2絞り部材220は、径方向内側に突出部225(図2、図4参照)を有する。突出部225は、吸気流路130内に突出する。換言すれば、第2絞り部材220は、本体B2の少なくとも一部を吸気流路130内に突出させた突出位置に移動可能である。このときの第1絞り部材210、第2絞り部材220の位置を、絞り位置あるいは突出位置という。
図6に示す絞り位置では、第1絞り部材210のうち第1当接部211aは、第2絞り部材220のうち第2当接部221aと互いに周方向に当接する。つまり、第1絞り部材210と第2絞り部材220の双方が突出位置にある場合に、第1当接部211aおよび第2当接部221aは、互いに周方向に当接する。
このとき、第1絞り部材210のうち第1対向部211bは、第2絞り部材220のうち第2対向部221bと互いに周方向に当接しない。つまり、第1絞り部材210と第2絞り部材220の双方が突出位置にある場合に、第1対向部211bおよび第2対向部221bは、互いに周方向に離隔する。第1対向部211bは、第2対向部221bと周方向に非接触状態で対向する。第1絞り部材210と第2絞り部材220の双方が突出位置にある場合に、第1対向部211bおよび第2対向部221bは、互いに一部が回転軸方向に対向する。第1対向部211bは、第2対向部221bと回転軸方向に非接触状態で対向する。
絞り位置では、突出部215と突出部225によって環状孔260が形成される。環状孔260の内径は、吸気流路130のうち、突出部215、225が突出する部位の内径よりも小さい。環状孔260の内径は、例えば、吸気流路130のいずれの部位の内径よりも小さい。
アクチュエータ250は、回転軸方向と交差する方向(図6、図7、図8中、上下方向)にロッド240を直動させる。図7および図8は、ロッド240を図6に示す状態から上側に移動させた状態を示す図である。図6に示す状態に対するロッド240の移動量は、図7の配置よりも図8の配置の方が大きい。
図7および図8に示すように、ロッド240が移動すると、連結部材230は、ロッド接続部234を介して、図7、図8中、上側に移動する。このとき、連結部材230は、ロッド接続部234を回転中心とする回転が許容される。また、ロッド接続部234の外径に対し、ロッド240の軸受穴242の内径に僅かに遊びがある。そのため、連結部材230は、回転軸方向に垂直な面方向の移動が僅かに許容される。
上述したように、リンク機構200は、4節リンク機構である。連結部材230、第1絞り部材210および第2絞り部材220は、第1ハウジング部材110に対して、1自由度の挙動を示す。具体的には、連結部材230は、上記の許容範囲内で、図7、図8中、反時計回りに僅かに回転しつつ、左右方向に僅かに揺れ動く。
第1絞り部材210のうち回転軸部214は、第1ハウジング部材110に軸支される。回転軸部214は、回転軸方向に垂直な面方向の移動が規制される。第1絞り部材210のうち連結軸部213は、連結部材230に軸支される。連結部材230の移動の許容範囲内において、連結軸部213は、回転軸方向に垂直な面方向に移動可能に設けられる。その結果、連結部材230の移動に伴って、第1絞り部材210は、回転軸部214を回転中心として、図7、図8中、時計回り方向に回転する。
同様に、第2絞り部材220のうち回転軸部224は、第1ハウジング部材110に軸支される。回転軸部224は、回転軸方向に垂直な面方向の移動が規制される。第2絞り部材220のうち連結軸部223は、連結部材230に軸支される。連結部材230の移動の許容範囲内において、連結軸部223は、回転軸方向に垂直な面方向へ移動可能に設けられる。その結果、連結部材230の移動に伴って、第2絞り部材220は、回転軸部224を回転中心として、図7、図8中、時計回り方向に回転する。
こうして、第1絞り部材210と第2絞り部材220は、図7、図8の順に、互いに離隔する方向に移動する。突出部215、225は、絞り位置よりも径方向の外側に移動する(退避位置)。
退避位置では、第1当接部211aは、第2当接部221aから離隔する。また、第1対向部211bは、第2対向部221bから離隔する。このとき、第1対向部211bは、第2対向部221bと回転軸方向に対向しなくなる。つまり、第1突起部211d(図5参照)は、第2突起部221d(図5参照)と回転軸方向に対向しなくなる。
退避位置では、例えば、突出部215、225は、吸気流路130の内壁面と面一となるか、吸気流路130の内壁面よりも径方向の外側に位置する。退避位置から絞り位置に移動するときは、図8、図7、図6の順に、第1絞り部材210と第2絞り部材220が互いに近づいて当接する。このように、第1絞り部材210、第2絞り部材220は、回転軸部214、224を回転中心とする回転角度に応じて、絞り位置と退避位置とに切り替わる。
このように、第1絞り部材210と第2絞り部材220は、絞り位置と退避位置との間での移動が可能となる。リンク機構200によれば、吸気流路130の流路断面積(有効断面積)を変える構造を簡略化することができる。
ところで、従来のリンク機構は、吸気流路の流路断面積を小さくする際、第1絞り部材と第2絞り部材を互いに周方向に近接(当接)させる。このとき、第1絞り部材は、第2絞り部材と周方向における一端側が当接しても、他端側が第1絞り部材および第2絞り部材の寸法公差により当接せずに、隙間が生じる場合がある。
隙間が生じると、第1絞り部材と第2絞り部材の隙間を通って空気が漏れる。空気が漏れると、コンプレッサインペラの周囲の圧力が不均一になる。圧力が不均一になると、コンプレッサインペラが振動(翼振動)したり、異音が発生したりするおそれがある。
そこで、本実施形態では、第1絞り部材210は、第1当接部211aと第1対向部211bを有する。第2絞り部材220は、第2当接部221aと第2対向部221bを有する。第1当接部211aは、周方向において第2当接部221aと当接する。第1対向部211bは、周方向において第2対向部221bから離隔している(すなわち、隙間が形成されている)。
ここで、第1対向部211bと第2対向部221bは、互いに回転軸方向および周方向に対向している。そのため、空気は、第1対向部211bと第2対向部221bの間の隙間を流通し難くなる。これにより、第1絞り部材210と第2絞り部材220の間の空気の漏れを低減することができる。
第1対向部211bと第2対向部221bは、第1当接部211aと第2当接部221aが当接される際に、互いに離隔している(つまり、当接していない)。そのため、リンク機構200は、第1当接部211aと第2当接部221aを必ず当接させることができる。つまり、第1当接部211aと第2当接部221aは、第1対向部211bと第2対向部221bが当接する前に当接する。
第1当接部211aと第2当接部221aは、第1絞り部材210と第2絞り部材220の位置を決定する位置決め部として機能する。第1当接部211aと第2当接部221aが当接することで、突出部215、225により形成される円(環状孔260)を真円に近づけることができる。
突出部215、225により形成される円(環状孔260)が真円に近づくほど、吸気流路130を流通する空気(吸気)の流れが乱れ難くなる。また、第1当接部211aと第2当接部221aが当接することで、第1当接部211aと第2当接部221aの間の空気の漏れを低減することができる。
第1対向部211bと第2対向部221bが互いに当接しないため、第1対向部211bと第2対向部221bの間の摩耗が低減する。したがって、リンク機構200は、第1絞り部材210と第2絞り部材220の作動性を向上させることができる。
図5に示すように、第1対向部211b(第1絞り部材210)は、第2対向部221b(第2絞り部材220)と大凡同一平面上に配される。第1絞り部材210と第2絞り部材220が大凡同一平面上に配されると、回転軸方向において、収容溝112bの壁面112c(図2参照)および収容溝122aの壁面112c(図2参照)と、第1絞り部材210および第2絞り部材220との間の隙間を小さくすることができる。これにより、収容溝112bと第1絞り部材210および第2絞り部材220との間の隙間を通過する空気の流量が低減する。その結果、吸気流路130を流通する空気の流れが乱れ難くなる。
図6、図7、図8に示すように、連結部材230は、連結軸部213と接続し、連結軸部213を介して第1絞り部材210を移動(回転)させる。連結軸部213が回転軸部214に近づくほど、連結部材230は、小さな移動量で第1絞り部材210を大きく移動(回転)させることができる。
連結軸部213は、ロッド接続部234と回転軸部214との間に配され、ロッド接続部234と回転軸部214との間の中間点よりも回転軸部214に近接する側に配される。これにより、連結部材230は、連結軸部213がロッド接続部234と回転軸部214との間の中間点よりも回転軸部214から離隔する側に配される場合よりも、小さな移動量で第1絞り部材210を大きく移動させることができる。連結部材230の移動量を小さくできることから、アクチュエータ250の小型化が可能となる。
同様に、連結部材230は、連結軸部223と接続し、連結軸部223を介して第2絞り部材220を移動(回転)させる。連結軸部223が回転軸部224に近づくほど、連結部材230は、小さな移動量で第2絞り部材220を大きく移動(回転)させることができる。
連結軸部223は、ロッド接続部234と回転軸部224との間に配され、ロッド接続部234と回転軸部224との間の中間点よりも回転軸部224に近接する側に配される。これにより、連結部材230は、連結軸部223がロッド接続部234と回転軸部224との間の中間点よりも回転軸部224から離隔する側に配される場合よりも、小さな移動量で第2絞り部材220を大きく移動させることができる。連結部材230の移動量を小さくできることから、アクチュエータ250の小型化が可能となる。
図6、図7、図8に示すように、回転軸部214および回転軸部224の中間には、コンプレッサインペラ9の回転中心Oが位置する。そのため、突出部215と突出部225は、回転中心Oを中心として点対称な軌跡で移動する。また、連結軸部213と回転軸部214との距離は、連結軸部223と回転軸部224との距離と大凡等しい。そのため、第1絞り部材210と第2絞り部材220の回転角度は大凡等しくなる。突出部215、225は、いずれの回転角度にあっても、回転中心Oを中心として点対称な配置となる。すなわち、吸気流路130への突出量が互いに等しくなる。これにより、吸気の流れが乱れ難くなる。
図9は、図2の二点鎖線部分の抽出図である。図9に示すように、突出部215は、コンプレッサインペラ9との対向面215aを有する。突出部215は、対向面215aと反対側に、吸気口10に面する上流面215bが形成される。上流面215bは、径方向の内側の端部に、テーパ部215cが形成される。テーパ部215cは、径方向の内側に向かうほど、対向面215aに対する距離が短くなる。テーパ部215cは、径方向の内側に向かうほど、吸気口10から離隔する。テーパ部215cにおいて、コンプレッサインペラ9の回転軸を含む断面の形状(以下、単に断面形状という)は、図9に示すように湾曲している。ただし、テーパ部215cの断面形状は、直線形状であってもよい。
ここでは、突出部215の対向面215aにも、テーパ部215dが形成される。ただし、テーパ部215dは、必須の構成ではない。テーパ部215cは、対向面215aまで延在していてもよい。また、ここでは、突出部215のテーパ部215cについて詳述したが、突出部225にもテーパ部225cが形成される(図2参照)。
図10は、テーパ部215c、225cの作用を説明するための図である。図10において、横軸は遠心圧縮機Cの流量特性であり、右側ほど流量が大きいことを示す。縦軸は遠心圧縮機Cの圧力特性であり、上側ほど圧縮比が大きいことを示す。図10中、実線の凡例は、突出部215、225が吸気流路130に突出しない状態(退避位置)を示す。図10中、破線の凡例は、突出部215、225が絞り位置にあり、突出部215、225にテーパ部215c、225cが形成されている場合を示す。図10中、一点鎖線の凡例は、突出部215、225が絞り位置にあり、突出部215、225にテーパ部215c、225cが形成されていない比較例を示す。
図10に示すように、突出部215、225を絞り位置に移動させることで、小流量側での作動領域が広がる。大流量側では、実線の凡例のように、突出部215、225を吸気流路130に突出させない方が、圧縮比を高くすることができる。そのため、大流量側では、突出部215、225は、吸気流路130内に突出していない。
大流量側から小流量側に遷移し、例えば、不図示のセンサから取得された圧力特性などのデータが所定条件を満たしたとする。不図示の制御部(例えば、ECU)は、アクチュエータ250を制御し、突出部215、225を絞り位置に移動させる。このとき、突出部215、225の移動前後で、同じ流量特性に対する圧力特性が乖離している場合、吸気中の圧力変動が大きくなってしまう。そのため、実線の凡例に対して、破線の凡例が重なっている流量特性の範囲で、突出部215、225を絞り位置に移動させることが望ましい。
一点鎖線の凡例は、実線の凡例に対して重なる領域が小さい。一方、破線の凡例は、実線の凡例に対して重なる領域が大きい。すなわち、突出部215、225にテーパ部215c、225cを形成することで、吸気中の圧力変動を抑制した制御が容易となる。
図11は、第1変形例の第1対向部311bと第2対向部321bを説明するための図である。上記実施形態の過給機TCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。第1変形例のリンク機構200Aは、第1絞り部材210Aと、第2絞り部材220Aとを含む。
第1変形例の第1絞り部材210Aは、上記実施形態の第1絞り部材210の第1対向部211bを、第1対向部311bに変更した点のみが異なって、その他の部分は同じである。第2絞り部材220Aは、上記実施形態の第2絞り部材220の第2対向部221bを、第2対向部321bに変更した点のみが異なって、その他の部分は同じである。
第1絞り部材210Aは、湾曲部211(図3参照)を備える。湾曲部211は、一端側に第1当接部211a(図11では不図示)が形成され、他端側に第1対向部311bが形成される。第2絞り部材220Aは、湾曲部221(図3参照)を備える。湾曲部221は、一端側に第2当接部221a(図11では不図示)が形成され、他端側に第2対向部321bが形成される。図11では、第1対向部311bと第2対向部321bを径方向内側から見た状態を示している。
図11に示すように、第1対向部311bは、第1テーパ部T1を有する。第1テーパ部T1は、周方向において厚さが変化する。具体的に、第1テーパ部T1は、湾曲部211の第1当接部211aから周方向に離隔するほど厚さが小さく(薄く)なる。
第1テーパ部T1は、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9から離隔する側(図11中、下側)が、コンプレッサインペラ9に近接する側(図11中、上側)よりも、周方向に長い。第1テーパ部T1は、回転軸方向および周方向と交差する第1テーパ面311cを有する。第1テーパ面311cは、コンプレッサインペラ9から離隔する側(図11中、下側)ほど、第2絞り部材220Aに近接する側(図11中、左側)となる向きに傾斜する。
第2対向部321bは、第2テーパ部T2を有する。第2テーパ部T2は、周方向において厚さが変化する。具体的に、第2テーパ部T2は、湾曲部221の第2当接部221aから周方向に離隔するほど厚さが小さく(薄く)なる。
第2テーパ部T2は、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9に近接する側(図11中、上側)が、コンプレッサインペラ9から離隔する側(図11中、下側)よりも、周方向に長い。第2テーパ部T2は、回転軸方向および周方向と交差する第2テーパ面321cを有する。第2テーパ面321cは、コンプレッサインペラ9に近接する側(図11中、上側)ほど、第1絞り部材210Aに近接する側(図11中、右側)となる向きに傾斜する。第2テーパ面321cは、第1テーパ面311cと平行である。ただし、第2テーパ面321cは、第1テーパ面311cと平行でなくてもよい。
図11に示すように、第1対向部311b(第1絞り部材210A)は、第2対向部321b(第2絞り部材220A)と大凡同一平面上に配される。つまり、第1絞り部材210Aのコンプレッサインペラ9に近接する側の面は、第2絞り部材220Aのコンプレッサインペラ9に近接する側の面と大凡同一平面上に配される。第1絞り部材210Aのコンプレッサインペラ9から離隔する側の面は、第2絞り部材220Aのコンプレッサインペラ9から離隔する側の面と大凡同一平面上に配される。
第1テーパ部T1(第1テーパ面311c)は、回転軸方向および周方向において第2テーパ部T2(第2テーパ面321c)と対向する。第1テーパ部T1(第1テーパ面311c)は、回転軸方向および周方向において第2テーパ部T2(第2テーパ面321c)から離隔している。つまり、第1テーパ部T1(第1テーパ面311c)は、第2テーパ部T2(第2テーパ面321c)と非接触である。
このように、第1絞り部材210Aのうち第1対向部311bは、第2絞り部材220Aのうち第2対向部321bと回転軸方向および周方向に離隔している。第1対向部311bは、第2対向部321bと回転軸方向および周方向に対向している。
第1変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、第1変形例の第1対向部311bおよび第2対向部321bは、上記実施形態の第1段差部D1および第2段差部D2に代えて、第1テーパ部T1および第2テーパ部T2を有する。これにより、上記実施形態の第1絞り部材210および第2絞り部材220よりも、第1絞り部材210Aおよび第2絞り部材220Aの強度を高めることができる。上記実施形態の第1絞り部材210および第2絞り部材220よりも、第1絞り部材210Aおよび第2絞り部材220Aの製造を容易にすることができる。
図12は、第2変形例の第1対向部211bと第2対向部421bを説明するための図である。上記実施形態の過給機TCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。第2変形例のリンク機構200Bは、第1絞り部材210と、第2絞り部材220Bとを含む。
第2変形例の第1絞り部材210は、上記実施形態の第1絞り部材210と同じである。また、第2絞り部材220Bは、上記実施形態の第2絞り部材220の第2対向部221bを、第2対向部421bに変更した点のみが異なって、その他の部分は同じである。
第2絞り部材220Bは、湾曲部221を備える。湾曲部221は、一端側に第2当接部221a(図12では不図示)が形成され、他端側に第2対向部421bが形成される。図12では、第1対向部211bと第2対向部421bを径方向内側から見た状態を示している。
第2対向部421bは、第2突起部421dと、第2窪み部221eとを有する。第2突起部421dは、回転軸方向における厚さが、第2対向部421b(第2絞り部材220B)の回転軸方向における厚さより小さい(薄い)。第2突起部421dは、第2絞り部材220Bのうち、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9に近接する側(図12中、上側)に配される。第2窪み部221eは、第2絞り部材220Bのうち、回転軸方向におけるコンプレッサインペラ9から離隔する側(図12中、下側)に配される。第2突起部421dと第2窪み部221eにより第2段差部D2が形成される。
図12に示すように、第1対向部211b(第1絞り部材210)は、第2対向部421b(第2絞り部材220B)と大凡同一平面上に配される。つまり、第1絞り部材210のコンプレッサインペラ9に近接する側の面は、第2絞り部材220Bのコンプレッサインペラ9に近接する側の面と大凡同一平面上に配される。第1絞り部材210のコンプレッサインペラ9から離隔する側の面は、第2絞り部材220Bのコンプレッサインペラ9から離隔する側の面と大凡同一平面上に配される。
第1突起部211dは、周方向において第2窪み部221eから離隔している。第2突起部421dは、周方向において第1窪み部211eから離隔している。第1突起部211dは、第2突起部421dと、回転軸方向にずれた位置に配される。
第1突起部211dは、第2突起部421dと回転軸方向に対向する。第2変形例では、第1突起部211dは、回転軸方向において第2突起部421dから離隔している。つまり、第1突起部211dは、回転軸方向において第2突起部421dと非接触である。ただし、第1突起部211dは、回転軸方向において第2突起部421dと接触していてもよい。
第2変形例では、第2対向部421b(第2突起部421d)は、第1対向部211b(第1突起部211d)と対向する第2対向面F2に、複数の溝421eおよび複数の突起421fが形成されている。複数の溝421eおよび複数の突起421fは、それぞれ径方向に延在する。
ただし、これに限定されず、第1対向部211b(第1突起部211d)は、第2対向部421b(第2突起部421d)と対向する第1対向面F1に、複数の溝421eおよび複数の突起421fが形成されていてもよい。第1対向面F1と第2対向面F2の双方に、複数の突起421fおよび複数の溝421eが形成されていてもよい。つまり、第1対向面F1および第2対向面F2のうち少なくとも一方には、複数の溝421eおよび複数の突起421fが形成されていてもよい。第1対向面F1および第2対向面F2には、複数の突起421fおよび複数の溝421eのうちいずれか一方のみが形成されてもよい。第1対向面F1および第2対向面F2には、単一(1つ)の突起421fまたは溝421eが形成されてもよい。
第2変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、第2変形例の第2対向部421bは、上記実施形態の第2対向部221bと異なり、第2対向面F2に複数の溝421eおよび複数の突起421f(所謂、ラビリンス構造)を有する。これにより、第2変形例の第1絞り部材210および第2絞り部材220Bは、上記実施形態の第1絞り部材210および第2絞り部材220に比べて、第1絞り部材210と第2絞り部材220Bの間の空気の漏れをより低減することができる。
図13は、第3変形例の第1対向部511bと第2対向部521bを説明するための図である。上記実施形態の過給機TCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。第3変形例のリンク機構200Cは、第1絞り部材210Cと、第2絞り部材220Cとを含む。
第3変形例の第1絞り部材210Cは、上記実施形態の第1絞り部材210の第1対向部211bを、第1対向部511bに変更した点のみが異なって、その他の部分は同じである。第2絞り部材220Cは、上記実施形態の第2絞り部材220の第2対向部221bを、第2対向部521bに変更した点のみが異なって、その他の部分は同じである。
第1絞り部材210Cは、湾曲部211を備える。湾曲部211は、一端側に第1当接部211a(不図示)が形成され、他端側に第1対向部511bが形成される。第2絞り部材220Cは、湾曲部221を備える。湾曲部221は、一端側に第2当接部221a(不図示)が形成され、他端側に第2対向部521bが形成される。図13では、第1対向部511bと第2対向部521bを径方向内側から見た状態を示している。
図13に示すように、第1対向部211bは、被覆部511cを有する。被覆部511cは、回転軸方向に突出する。具体的に、被覆部511cは、コンプレッサインペラ9に近接する側(図13中、上側)に向かって回転軸方向に延在する第1延在部511dと、第1延在部511dから第2絞り部材220Cに近接する側(図13中、左側)に向かって周方向に延在する第2延在部511eとを有する。
このように、被覆部511cは、絞り位置において、第2絞り部材220C(の本体B2)よりもコンプレッサインペラ9に近接する側に突出する。ただし、これに限定されず、被覆部511cは、絞り位置において、第2絞り部材220C(の本体B2)よりもコンプレッサインペラ9から離隔する側(図13中、下側)に突出してもよい。具体的に、第1延在部511dは、コンプレッサインペラ9から離隔する側に向かって回転軸方向に延在してもよい。また、被覆部511cは、第2絞り部材220Cよりもコンプレッサインペラ9に近接する側と離隔する側の双方に突出してもよい。つまり、被覆部511cは、第2絞り部材220Cよりもコンプレッサインペラ9に近接する側および離隔する側の少なくともいずれかに突出してもよい。
第2対向部521bは、周方向に一定の厚さを有する。第2対向部521bは、回転軸方向における厚さが、湾曲部221(第2絞り部材220C)の回転軸方向における厚さと大凡等しい。
図13に示すように、被覆部511c(第2延在部511e)は、第2対向部521b(第2絞り部材220C)と回転軸方向において異なる位置に配される。なお、被覆部511cを除く第1絞り部材210Cのコンプレッサインペラ9に近接する側(図13中、上側)の面は、第2絞り部材220のコンプレッサインペラ9に近接する側の面と大凡同一平面上に配される。第1絞り部材210のコンプレッサインペラ9から離隔する側(図13中、下側)の面は、第2絞り部材220のコンプレッサインペラ9から離隔する側の面と大凡同一平面上に配される。
被覆部511c(第1延在部511d)は、周方向において第2対向部521bと対向する。被覆部511c(第1延在部511d)は、周方向において第2対向部521bから離隔している。つまり、被覆部511c(第1延在部511d)は、第2対向部521bと非接触である。
被覆部511c(第2延在部511e)は、第2対向部521bと回転軸方向に対向する。このように、被覆部511c(第2延在部511e)は、第2対向部521bを回転軸方向に被覆する。第3変形例では、被覆部511c(第2延在部511e)は、回転軸方向において第2対向部521bから離隔している。つまり、被覆部511c(第2延在部511e)は、回転軸方向において第2対向部521bと非接触である。ただし、被覆部511c(第2延在部511e)は、回転軸方向において第2対向部521bと接触していてもよい。
このように、第1絞り部材210Cの第1対向部511bは、第2絞り部材220Cの第2対向部521bと少なくとも周方向に離隔している。第1対向部511bは、第2対向部521bと回転軸方向および周方向に対向している。
第3変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、第3変形例の第1対向部511bは、上記実施形態の第1対向部211bと異なり、第1窪み部211eが形成されずに、被覆部511cを有する。これにより、第3変形例の第1絞り部材210Cは、上記実施形態の第1絞り部材210に比べて、強度を高めることができる。
図14は、第4変形例のリンク機構200Dを説明するための図である。上記実施形態の過給機TCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。図14では、吸気口10側から見たリンク機構200Dの図が示される。
第4変形例のリンク機構200Dは、上記実施形態のリンク機構200の第1絞り部材210および第2絞り部材220の間に弾性部材600を配した点のみが異なって、その他の部分は同じである。
図14に示すように、リンク機構200Dは、第1絞り部材210の第1当接部211aと、第2絞り部材220の第2当接部221aの間に弾性部材600が配される。弾性部材600は、第1当接部211aのうち、第2当接部221aと当接する当接面に配される。ただし、これに限定されず、弾性部材600は、第2当接部221aのうち、第1当接部211aと当接する当接面に配されてもよい。弾性部材600は、第1当接部211aと第2当接部221aの双方に配されてもよい。つまり、弾性部材600は、第1当接部211aと第2当接部221aの少なくとも一方の当接面に配されればよい。弾性部材600は、例えば、ゴム部材である。
第4変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、第4変形例のリンク機構200Dは、弾性部材600を有する。弾性部材600は、第1当接部211aと第2当接部221aが当接(衝突)する際の衝撃を緩和することができる。その結果、弾性部材600は、第1当接部211aと第2当接部221aの摩耗を低減することができる。弾性部材600は、第1当接部211aと第2当接部221aが当接(衝突)する際に発生する騒音(衝突音)を小さくすることができる。
弾性部材600は、第1当接部211aと第2当接部221aの密着性を向上させることができる。したがって、第4変形例のリンク機構200Dは、上記実施形態の第1絞り部材210および第2絞り部材220に比べて、第1絞り部材210(第1当接部211a)と第2絞り部材220(第2当接部221a)の間の空気の漏れをより低減することができる。
なお、第4変形例の弾性部材600は、上記第1変形例のリンク機構200A、第2変形例のリンク機構200B、第3変形例のリンク機構200Cに適用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態では、遠心圧縮機Cが過給機TCに組み込まれる場合について説明した。しかし、遠心圧縮機Cは、過給機TC以外の装置に組み込まれてもよいし、単体であってもよい。
上記実施形態では、リンク機構200が2つの絞り部材(第1絞り部材210、第2絞り部材220)を備える例について説明した。しかし、リンク機構200は、3つ以上の絞り部材を備えていてもよい。
上記実施形態では、リンク機構200は、4節リンク機構により構成される場合について説明した。しかし、リンク機構200は、4節リンク機構により構成されなくてもよい。例えば、リンク機構200は、5節リンク機構により構成されてもよい。
上記実施形態では、回転軸部214と回転軸部224の中間に、コンプレッサインペラ9の回転中心Oが位置する場合について説明した。ただし、コンプレッサインペラ9の回転中心Oは、回転軸部214と回転軸部224の中間からずれていてもよい。
上記実施形態では、突出部215、225にテーパ部215c、225cが形成される場合について説明した。ただし、テーパ部215c、225cは必須の構成ではない。
上記第2変形例では、第1対向部211bと第2対向部421bの対向面にラビリンス構造(すなわち、複数の溝421eおよび複数の突起421f)を設ける例について説明した。このラビリンス構造は、第1変形例の第1対向部311bと第2対向部321bの対向面(第1テーパ面311c、第2テーパ面321c)に設けられてもよい。また、ラビリンス構造は、第3変形例の第1対向部511bと第2対向部521bの対向面に設けられてもよい。