JP7243549B2 - ソフトコンタクトレンズ用タンパク質付着抑制剤およびソフトコンタクトレンズ用溶液、ならびにソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着を抑制する方法 - Google Patents
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Description
その使用の手軽さや便利さゆえに、ソフトコンタクトレンズの装着時間は長時間化しており、中でも若年のソフトコンタクトレンズ装着者における一日あたりの平均装着時間は約14時間にもなるとの報告もある(非特許文献1)。一日あたりの平均装着時間が長時間になるにつれて、ソフトコンタクトレンズの良好な装着感は失われることが多く、良好な装着感が持続するソフトコンタクトレンズは、依然として市場におけるニーズが高いのが現状である。
それゆえ、ソフトコンタクトレンズを一日あたり約14時間もの長時間装着することによって、涙液由来のタンパク質がソフトコンタクトレンズ表面に付着し、タンパク質汚れが発生する。そして、ソフトコンタクトレンズ表面においてタンパク質汚れが発生することで、ソフトコンタクトレンズの装着感が悪くなる可能性も報告されている(非特許文献3)。
そこで、ソフトコンタクトレンズ表面におけるタンパク質汚れの発生を防止すべく、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく共重合体とホウ酸緩衝剤とを含有し、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着抑制効果を有するソフトコンタクトレンズ用溶液が提案されている(特許文献1)。しかし、タンパク質付着抑制効果を有する成分を含有する溶液を使用した場合、ソフトコンタクトレンズの表面に皮膜が形成されるためすべりやすく、ソフトコンタクトレンズをレンズケースから取り出しにくくなるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、ソフトコンタクトレンズに対してタンパク質の付着を抑制する効果を付与し、さらにソフトコンタクトレンズをレンズケースから取り出しやすくすることができ、ソフトコンタクトレンズの装着感および使用感の双方を改善し得るソフトコンタクトレンズ用タンパク質付着抑制剤、およびソフトコンタクトレンズ用溶液を提供することにある。
また、本発明の課題は、ソフトコンタクトレンズのレンズケースからの取り出しやすさ等、使用感を損なうことなく、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着を抑制する方法を提供することにある。
[1]プロテオグリカンを含有するソフトコンタクトレンズ用タンパク質付着抑制剤。
[2]プロテオグリカンが植物性プロテオグリカンである、[1]に記載のタンパク質付着抑制剤。
[3]さらに2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位を含む共重合体を含有する、[1]または[2]に記載のタンパク質付着抑制剤。
[4][1]~[3]のいずれかに記載のタンパク質付着抑制剤と、ホウ酸緩衝剤0.001質量%~10質量%を含有する、ソフトコンタクトレンズ用溶液。
[5]プロテオグリカンの含有量が0.001質量%~10質量%である、[4]に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
[6]2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位を含む共重合体の含有量が0.001質量%~10質量%である、[4]または[5]に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
[7]ソフトコンタクトレンズ用出荷液である、[4]~[6]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
[8]ソフトコンタクトレンズ用ケア用品である、[4]~[6]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
[9]ソフトコンタクトレンズを浸漬させる溶液に、プロテオグリカンを0.001質量%~10質量%の濃度で添加することを含む、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着を抑制する方法。
[10]さらに、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位を含む共重合体を0.001質量%~10質量%の濃度で添加することを含む、[9]に記載の方法。
[11]さらに、ホウ酸緩衝剤を0.001質量%~10質量%の濃度で添加することを含む、[9]または[10]に記載の方法。
また、本発明により、レンズケースからの取り出しやすさ等、ソフトコンタクトレンズの使用感を損なうことなく、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着を良好に抑制することができる。
本発明の抑制剤は、プロテオグリカンを含有する。
動物性のプロテオグリカンは、1個のコアタンパク質に、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸等のグリコサミノグリカンが複数本共有結合した糖タンパク質であり、細胞外マトリックスの一成分として、臓器、脳、皮膚、軟骨など体内に広く分布している。
植物性のプロテオグリカンは、アラビノガラクタンとコアタンパク質が一定の様式で結合したものであり、正式にはアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)と呼ばれており、植物の細胞壁や樹液に細胞外マトリックスとして存在する。
本発明において、プロテオグリカンとしては、動物性プロテオグリカン、植物性プロテオグリカンのいずれも用いることができるが、製造コストや、近年の植物性原料が好まれる傾向等を考慮すると、植物性プロテオグリカンを用いることが好ましい。
動物性プロテオグリカンと同等またはそれ以上の生理活性を有するものが得られることから、本発明の目的には、アラビアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)、またはそのセヤル種であるAcacia seyal Delileから得られるアラビアゴムを原料とするものがより好ましく、アラビアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)から得られるアラビアゴムを原料とするものがさらに好ましく用いられる。
本発明の目的には、植物性プロテオグリカンは、多角度光散乱検出器および示差屈折率検出器をオンライン接続したサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が900,000~3,500,000であるものが好ましく用いられ、1,000,000~3,000,000であるものがより好ましく用いられる。
また、アンプライト(Amplite)(商標)アルデヒド定量キット(比色)(Colorimetric Aldehyde Quantitation Kit)(製品番号:10051)(エイエイティー バイオクウェスト(AAT Bioquest)社製)等のアルデヒド定量キットにより測定される総アルデヒド含有量が、0.005μmol当量/g~2μmol当量/gであるものが好ましく用いられる。
本発明において、植物性プロテオグリカンは、水溶液、分散液等の液状の形態、粉末等の固形状の形態のいずれの形態で用いてもよい。
動物性プロテオグリカンは、サケ鼻軟骨、サメ鰭軟骨及びイカ頭部軟骨等の動物組織から抽出、精製等して製造して用いてもよいが、各社から提供されている市販の製品を用いることもできる。
本発明において、動物性プロテオグリカンは、水溶液、分散液等の液状の形態、粉末等の固形状の形態のいずれの形態で用いてもよい。
一方、植物性プロテオグリカンは、0.5質量%~40質量%に調整されたアラビアゴム水溶液を、ポーラス型I型強塩基性アニオン交換樹脂および強酸性カチオン交換樹脂に供して精製することにより、好適に製造することができるが、一般的に有効成分含有量が約1質量%の水溶液として市販されている製品を用いることもできる。
植物性プロテオグリカンのかかる市販の製品としては、たとえば日油株式会社製の「フィトプロテオグリカン(登録商標)」が挙げられる。
本発明の抑制剤に含有され得るMPC共重合体としては、MPCに基づく構成単位と、疎水性単量体に基づく構成単位を含む共重合体が挙げられ、疎水性単量体に基づく構成単位としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド誘導体等に基づく構成単位が例示される。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位として、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル等、上記式(2)中、R3で示されるアルキル基がジアルキルアミノ基やハロゲン原子等で置換されている(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、R3で示されるアルキル基が、ヒドロキシル基および第4級アンモニオ基で置換された構造を有する2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドに基づく構成単位も、疎水性単量体に基づく構成単位として例示される。
本発明の目的には、疎水性単量体に基づく構成単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドに基づく構成単位、および(メタ)アクリルアミド誘導体に基づく構成単位からなる群より選択される1種または2種以上を含む共重合体が好ましく用いられる。
MPCに基づく構成単位のMPC共重合体における含有量の比が10モル%より小さい場合、および90モル%より大きい場合には、十分なタンパク質付着抑制効果が得られないことがある。
MPC共重合体の重量平均分子量が50,000未満であると、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着を抑制する効果が十分に得られない場合があり、重量平均分子量が5,000,000より大きいと、粘度が高く、取扱い性が悪化するため、タンパク質付着抑制剤、さらにはソフトコンタクトレンズ用溶液を調製することが困難となる恐れがある。
なお、MPC共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、プルラン換算の分子量で示される。
また、MPC共重合体は、MPCに基づく構成単位および疎水性単量体に基づく構成単位以外に、他の構成単位を含む共重合体であってもよい。
他の構成単位は、通常共重合体の構成単位となり得るものから、本発明の効果に影響を与えない範囲で適宜選択することができる。他の構成単位としては、たとえば、(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸の環状アルキルエステル;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のヘテロ環で置換されたアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の芳香族基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸とモノテルペンアルコールとのエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体等に基づく構成単位を挙げることができる。
これら他の構成単位は1種または2種以上を含むことができ、MPC共重合体中におけるその含有量は、MPCに基づく構成単位および疎水性単量体に基づく構成単位の合計量に対して40モル%以下であり、好ましくは20モル%以下である。
たとえば、MPCおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の疎水性単量体、ならびに必要に応じて上記他の構成単位に相当する単量体を含む単量体混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素等の不活性ガス雰囲気下において、溶液重合等の公知の方法により重合させて製造することができる。
その際の各単量体の含有量比は、MPC共重合体中における各構成単位の含有量比に相当する比とすればよい。
本発明の抑制剤に含有させるMPC共重合体の形態としては、粉末等の固形状、溶液、分散液等の液状のいずれでもよい。
また、本発明の特徴を損なわない範囲で、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、被覆剤、基剤、溶剤、希釈剤、溶解補助剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、粘稠化剤、pH調整剤、緩衝剤、抗酸化剤、防腐剤、保存剤等、一般的な製剤用添加剤を加えて、周知の製剤化手段、たとえば第十七改正日本薬局方製剤総則[3]製剤各条に記載された方法に従い、粉末状、顆粒状、タブレット状等の固形状、ペースト状等の半固形状、溶液状、懸濁液状、分散液状、乳液状等の液状等の形態とすることもできる。
また、本発明の抑制剤は、後述するソフトコンタクトレンズ用溶液に対し、プロテオグリカン、またはプロテオグリカンおよびMPC共重合体の含有量が、後述する各含有量となるように添加される。
ソフトコンタクトレンズ用溶液に容易に添加、混合することができ、または容易に混和させ得るという観点からは、本発明の抑制剤は、好ましくは液状の形態で提供される。
かかる場合、本発明の抑制剤は、液状の形態とすることが好ましい。また、かかる場合には、本発明の抑制剤におけるプロテオグリカンの含有量は、好ましくは0.001質量%~10質量%であり、より好ましくは0.005質量%~5質量%である。さらにMPC共重合体を含有する場合には、本発明の抑制剤におけるMPC共重合体の含有量は、好ましくは0.001質量%~10質量%であり、より好ましくは0.005質量%~5質量%である。
また、使い捨てでないコンベンショナルタイプのソフトコンタクトレンズの他、ワンデータイプ、ツーウイークタイプ、1ヶ月タイプ等の使い捨てのソフトコンタクトレンズにも用いることができる。
また、本発明の抑制剤は、ソフトコンタクトレンズのレンズケースからの取り出しやすさを改善することができる。
従って、本発明の抑制剤は、ソフトコンタクトレンズの装着感および使用感を向上させることができる。
本発明の溶液は、上記した本発明の抑制剤と、ホウ酸緩衝剤とを含有する。
本発明の溶液において、本発明の抑制剤は、プロテオグリカンの濃度が0.001質量%~10質量%となるように含有され、好ましくは0.005質量%~5質量%となるように含有される。
また、本発明の抑制剤がさらにMPC共重合体を含有する場合、本発明の抑制剤は、MPC共重合体の含有量が0.001質量%~10質量%となるように含有されるが、使用感の観点からは、0.005質量%~5質量%となるように含有されることが好ましい。
本発明の溶液がホウ酸緩衝剤を含有することで、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質付着抑制効果が向上し、かつ、pHおよび浸透圧を調整することができ、刺激感が低く良好な装着感を付与することができる。
本発明の溶液におけるホウ酸緩衝剤の含有量は、0.001質量%~10質量%であり、好ましくは0.005質量%~5質量%である。
ホウ酸緩衝剤の含有量が0.001質量%~10質量%であれば、十分なタンパク質付着抑制効果が得られるとともに、ソフトコンタクトレンズ用溶液のpHや浸透圧の調整が容易となるため、好ましい。
かかる添加剤としては、ビタミン類、アミノ酸類、糖類、粘稠化剤、清涼化剤、無機塩類、有機酸の塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤等が挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸およびその塩、アミノエチルスルホン酸等が挙げられる。
糖類としては、例えば、単糖(ブドウ糖等)、二糖(トレハロース等)、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、キシリトール等)等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル等が挙げられる。
無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。
有機酸の塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
酸としては、例えば、無機酸(リン酸、硫酸等)、有機酸(酢酸、クエン酸等)等が挙げられる。
塩基としては、例えば、無機塩基(水酸化カリウム等)、有機塩基(トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モノエタノールアミン等)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、グリシン等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド等が挙げられる。
これら添加剤は、1種または2種以上を用いることができる。
また、液状の本発明の抑制剤を用いる場合、本発明の溶液は、本発明の抑制剤にホウ酸緩衝剤を加え、必要に応じて上記した添加剤を加えて混合し、均一として調製することができる。
また、本発明の溶液は、ソフトコンタクトレンズのレンズケースからの取り出しやすさを改善することができる。
従って、本発明の溶液は、ソフトコンタクトレンズの装着感および使用感を向上させることができる。
本発明の抑制方法は、ソフトコンタクトレンズを浸漬させる溶液に、プロテオグリカンを0.001質量%~10質量%の濃度で添加することを含む。
本発明の抑制方法において用いられるプロテオグリカンについては、本発明の抑制剤において上記した通りである。プロテオグリカンは、ソフトコンタクトレンズを浸漬させる溶液に直接添加してもよく、本発明の抑制剤として調製して添加してもよい。
本発明の抑制方法においては、プロテオグリカンは、ソフトコンタクトレンズを浸漬させる溶液に対し、好ましくは0.005質量%~5質量%の濃度で添加される。
本発明の抑制方法において用いられるMPC共重合体については、本発明の抑制剤において、上記した通りである。MPC共重合体は、ソフトコンタクトレンズを浸漬させる溶液に直接添加してもよく、本発明の抑制剤として調製して添加してもよい。
本発明の抑制方法において、MPC共重合体は、好ましくは0.001質量%~10質量%の濃度で添加され、より好ましくは0.005質量%~5質量%の濃度で添加され得る。
本発明の抑制方法において用いられる緩衝剤については、本発明の溶液について上記した通りである。
本発明の抑制方法において、ホウ酸緩衝剤は、0.001質量%~10質量%の濃度で添加され、好ましくは0.005質量%~5質量%の濃度で添加され得る。
かかる一般的な添加剤については、本発明の溶液において上記した通りである。
精製水約80gに、表1に示す処方に従い、ソフトコンタクトレンズ用タンパク質付着抑制剤として植物性プロテオグリカンおよびMPC共重合体、ならびにホウ酸緩衝剤(ホウ酸および水酸化ナトリウム)を加え、攪拌して溶解させた。次いで精製水を加えて全量を100gとし、ろ過滅菌を行い、無菌のコンタクトレンズ用溶液を調製した(以下、「実施例1の溶液」等のように略記することがある)。
実施例および比較例の各溶液の調製に際し、植物性プロテオグリカンとしては「フィトプロテオグリカン」(日油株式会社製)(重量平均分子量=約1,200,000、総アルデヒド含有量=1.8μmol当量/g)を用いた。
また、MPC共重合体としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびメタクリル酸ブチルの共重合組成比[2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル](モル比)=80/20、重量平均分子量=600,000)を用いた。
ホウ酸緩衝剤(ホウ酸および水酸化ナトリウム)としては、眼科用製剤用として市販されている製品を用いた。
実施例および比較例の各溶液について、D. Keith et al.(A Novel Procedure for the Extraction of Protein Deposits from Soft Hydrophilic Contact Lenses for Analysis; Curr. Eye Res. 16 503-510 (1997))を参考にして、以下の手順に従い、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着抑制効果を評価した。
(i)タンパク汚れ液の調製
タンパク汚れ液は、J. Hu et al.(Gentle Touch(Trade Mark), A Lens Material Resistant to Protein Deposition; CLAO J. 21 93-95 (1995))およびFDAのTesting Guidelines for Class III Soft (Hydrophilic) Contact Lens Solutions, Draft, 1985; Appendix B, p.30を参考にし、下記の通り調製した。
塩化ナトリウム1.8g、リン酸水素二ナトリウム十二水和物0.1516g、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.0368g、塩化カルシウム水和物0.0816g、リゾチーム(卵白由来)0.24gおよびアルブミン(ウシ血清由来)0.776gを量り取り、水に溶かして200mLとし、タンパク汚れ液とした。
(ii)タンパク汚れ抽出液の調製
トリフルオロ酢酸、精製水およびアセトニトリルを、トリフルオロ酢酸:精製水:アセトニトリル=0.6g:300mL:300mLの比で混合し、タンパク汚れ抽出液とした。
(iii)ISO生理食塩液の調製
ISO 18369-3: 2006, Ophthalmic Optics - Contact Lenses Part3: Measurement Methodsを参考に、下記の通りISO生理食塩液を調製した。
塩化ナトリウム8.3g、リン酸水素二ナトリウム十二水和物5.993g、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.528gを量り取り、水に溶かして1000mLとし、ろ過してISO生理食塩液とした。
(iv)ソフトコンタクトレンズの前処理
15mL遠沈管にISO生理食塩液を10mL以上入れ、ソフトコンタクトレンズ(senofilconA、グループI)をブリスターパックから1枚取り出し、前記15mL遠沈管に入れて、2時間振とうした。
次いで、遠沈管内のISO生理食塩液を除去し、再度、ISO生理食塩液を10mL以上入れ、終夜振とうした。
上記ソフトコンタクトレンズを15mL遠沈管から取り出し、水分を軽くふき取ってレンズケースに入れた。同様の処理を行ったソフトコンタクトレンズを収容したレンズケースのそれぞれに、実施例および比較例の各溶液を1mLずつ注入し、オートクレーブ処理(121℃、20分間)を行い、処理後のソフトコンタクトレンズを試料としてタンパク質の付着抑制効果の評価に供した。なお、精製水をレンズケースに注入し、同様に処理したソフトコンタクトレンズを対照とした。
(3)(2)の処理後、サンプル管瓶からソフトコンタクトレンズを取り出し、水ですすいだ。
(4)ソフトコンタクトレンズに付着した水分を除去し、タンパク汚れ抽出液4mLを注入したサンプル管瓶に入れ、16時間以上浸漬して、タンパク汚れを抽出した。
(5)(4)の処理後のタンパク汚れ抽出液100μLを試験管に取り、さらにタンパク汚れ抽出液で10倍希釈して全量1000μLとした。
(6)(5)の希釈液につき、マイクロビーシーエータンパク質アッセイキット(Micro BCA Protein Assay Kit)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、ソフトコンタクトレンズに付着したタンパク汚れの量を定量した。
(7)ソフトコンタクトレンズに付着したタンパク汚れの量から、下記式(II)を用いて、タンパク質付着抑制率(%)を算出した。
<評価基準>
タンパク質付着抑制率が90%以上:◎;タンパク質の付着抑制効果に優れるソフトコンタクトレンズ用溶液である
タンパク質付着抑制率が85%以上90%未満:○;タンパク質の付着抑制効果にやや優れるソフトコンタクトレンズ用溶液である
タンパク質付着抑制率が85%未満:×;タンパク質の付着抑制効果に劣るソフトコンタクトレンズ用溶液である
実施例および比較例の各溶液について、ソフトコンタクトレンズの変形性評価を、以下の手順に従って行った。
(1)ソフトコンタクトレンズ(senofilconA、グループI)をレンズケースに左右1枚ずつ合計2枚入れた。
(2)左側のソフトコンタクトレンズには、生理食塩液を1mL加え、陰性対照とした。
(3)右側のソフトコンタクトレンズには、実施例および比較例の各溶液を1mLずつ入れ、評価用試料とした。
(4)陰性対照および評価用試料のソフトコンタクトレンズを収容したレンズケースを、室温にて24時間静置した。
(5)24時間静置した後に、陰性対照と評価用試料のソフトコンタクトレンズの変形性について、目視にて観察した。
評価結果は、表1に併せて示した。
実施例および比較例の各溶液を用いた際のソフトコンタクトレンズのレンズケースからの取り出しやすさについて、25才~55才の男女パネラー20名による官能評価により評価した。
実施例および比較例の各溶液2mLをレンズケース(株式会社メニコン製)に入れてソフトコンタクトレンズを浸漬し、24時間静置した後、各パネラーに人差し指を用いてソフトコンタクトレンズを取り出させ、再びレンズケースに戻させた。この操作を10回繰り返させた後、ソフトコンタクトレンズのレンズケースからの取り出しやすさを、下記評価基準に従って評価させ、点数化させた。
20名のパネラーの評価点の合計を求め、下記判定基準に従って、レンズケースからの取り出しやすさを判定した。結果は、表1に併せて示した。
<評価基準>
レンズケースから取り出しやすい :2点
レンズケースからやや取り出しやすい:1点
レンズケースから取り出しにくい :0点
<判定基準>
31点~40点:◎;レンズケースからの取り出しやすさが認められるソフトコンタクトレンズ用溶液である
21点~30点:○;レンズケースからの取り出しやすさがやや認められるソフトコンタクトレンズ用溶液である
20点以下 :×;レンズケースからの取り出しやすさが認められないソフトコンタクトレンズ用溶液である
特に、植物性プロテオグリカンとMPC共重合体とを1:1の質量比で含有する本発明の抑制剤を含有する実施例4の溶液では、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着抑制効果およびレンズケースからのソフトコンタクトレンズの取り出しやすさの双方において、非常に良好な評価を得た。
一方、MPC共重合体のみを含有するソフトコンタクトレンズ用タンパク質付着防止剤を含有する比較例1の溶液を用いた場合には、レンズケースからソフトコンタクトレンズを取り出しにくいと評価された。
なお、実施例および比較例の各溶液について、ソフトコンタクトレンズの変形性は認められなかった。
また、本発明により、レンズケースからの取り出しやすさ等、ソフトコンタクトレンズの使用感を損なうことなく、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着を良好に抑制することができる。
Claims (11)
- プロテオグリカンを含有するソフトコンタクトレンズ用タンパク質付着抑制剤。
- プロテオグリカンが植物性プロテオグリカンである、請求項1に記載のタンパク質付着抑制剤。
- さらに2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位を含む共重合体を含有する、請求項1または2に記載のタンパク質付着抑制剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のタンパク質付着抑制剤と、ホウ酸緩衝剤0.001質量%~10質量%を含有する、ソフトコンタクトレンズ用溶液。
- プロテオグリカンの含有量が0.001質量%~10質量%である、請求項4に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
- 2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位を含む共重合体の含有量が0.001質量%~10質量%である、請求項4または5に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
- ソフトコンタクトレンズ用出荷液である、請求項4~6のいずれか1項に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
- ソフトコンタクトレンズ用ケア用品である、請求項4~6のいずれか1項に記載のソフトコンタクトレンズ用溶液。
- ソフトコンタクトレンズを浸漬させる溶液に、プロテオグリカンを0.001質量%~10質量%の濃度で添加することを含む、ソフトコンタクトレンズに対するタンパク質の付着を抑制する方法。
- さらに、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位を含む共重合体を0.001質量%~10質量%の濃度で添加することを含む、請求項9に記載の方法。
- さらに、ホウ酸緩衝剤を0.001質量%~10質量%の濃度で添加することを含む、請求項9または10に記載の方法。
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