JP7243271B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
R4、R4’、R5、R5’は同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル基、またはアリールカルボニル基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよく、該置換基中にはヘテロ原子が含まれていてもよい。またR4、R4’、R5、R5’は、その内の2つの基が相互に結合して環を形成していてもよい。但し、R4、R4’、R5、R5’の炭素原子数の合計は50以下である。
R4’、R5’が存在する場合、式(1)、(2)中の点線と実線の組み合わせ部分は単結合を示すが、R4’、R5’はなくてもよく、その場合、式(1)、(2)中の点線と実線の組み合わせ部分は二重結合を示す。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、ビスフェノールAとジアリールカーボネートとを、特定の構造を有するカルベン化合物および/またはイミダゾール化合物よりなるエステル交換触媒の存在下に重縮合してポリカーボネート樹脂を製造する方法である。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法でエステル交換触媒として用いる特定の構造を有するカルベン化合物および/またはイミダゾール化合物は、高分子量の置換基を含み、重合最終段階まで分解ないし揮発することなく重合活性を発揮し、かつ分子サイズが大きいために副反応を効率的に抑制することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法においては、原料として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA、以下、“BPA”と略記することがある)とジアリールカーボネートを用いる。
ジアリールカーボネートとしては、好ましくは下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法では、エステル交換触媒として、下記式(1)、(2)で表される特定の構造を有するイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物(以下、「本発明のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物」と称す場合がある。)よりなる触媒(以下、「本発明の触媒」と称す場合がある。)を用いることを特徴とする。ここで、イミダゾール化合物とは、イミダゾール骨格がカチオン化された構造であるイミダゾリウム塩であっても良い。
R4、R4’、R5、R5’は同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル基、またはアリールカルボニル基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよく、該置換基中にはヘテロ原子が含まれていてもよい。またR4、R4’、R5、R5’は、その内の2つの基が相互に結合して環を形成していてもよい。但し、R4、R4’、R5、R5’の炭素原子数の合計は50以下である。
R4’、R5’が存在する場合、式(1)、(2)中の点線と実線の組み合わせ部分は単結合を示すが、R4’、R5’はなくてもよく、その場合、式(1)、(2)中の点線と実線の組み合わせ部分は二重結合を示す。
X-は、アニオンを表す。)
即ち、ポリカーボネート樹脂の製造における副生成物は触媒のカチオン種と反応原料からなる特定の反応中間体を経由して生成されると考えられるが、本発明のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物はカチオン種が嵩高い構造を有していることから、カチオン種と反応原料による特定の反応中間体の形成が抑制されると考えられる。
また、本発明のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物が置換基として炭素原子数が多く、嵩高い置換基を有するため、沸点が上昇し、且つ熱安定性が向上することで、重合最終段階まで分解ないし揮発することなく、重合活性を維持させることができると推測される。
ここで芳香族炭化水素環基としては具体的には、フェニル基、メシチル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-ジイソプロピルフェニル基、o-ジイソペンチルフェニル基、p-エチルフェニル基、p-第3ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、オクタデシルフェニル基、ナフチル基などの置換基としてアルキル基を有していてもよい合計炭素原子数が6~20のアリール基が挙げられる。
R4’、R5’が存在する場合、式(1)、(2)中の点線と実線の組み合わせ部分は単結合を示すが、R4’、R5’はなくてもよく、その場合、式(1)、(2)中の点線と実線の組み合わせ部分は二重結合を示す。
また、上記R15、R16は、アルキル基またはアリール基を表し、置換基を含有するアルキル基、アリール基を含んでいてもよい。例えば直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、アリールアルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、p-メチルフェニル基、2-ナフチル基などが挙げられる。
エステル交換触媒の安定性の観点から、本発明においては、前記式(1)で表されるイミダゾール化合物を用いることが好ましい。
(1)市販の本発明のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物をそのまま使用する。
(2)市販の本発明に係るカチオン種を使用して任意のアニオン種に変換する。
(3)市販のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物を原料に使用して、任意の置換基を付加して本発明のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物とする。
(4)市販のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物以外の構造の有機試薬を原料に使用して、本発明のイミダゾール化合物および/またはカルベン化合物を合成する。
また、イミダゾール化合物またはカルベン化合物に置換基を付加する方法は特に指定されないが、例えばS.Ahrens,A.Peritz,T.Strassner,Angew.Chem.Int.Ed.2009,48,7908.に記載の方法で置換基を付加することができる。
アニオン種に変換する方法は特に指定されないが、例えば目的のアニオンとアルカリ金属の塩をカチオン種の塩と混合させ、析出したアルカリ金属塩を除去する方法がある。
上記エステル交換触媒は重合中に追加で加えても構わない。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、原料である前記ビスフェノールAとジアリールカーボネートとを混合し、この原料混合物を、前記エステル交換触媒の存在下、重縮合反応装置で重縮合反応をさせることによって行われる。この重縮合工程の反応方式は、バッチ式、連続式、これらの組合せ等を用いることができる。重縮合工程後、反応を停止させ重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程、熱安定剤、離型剤等を添加する工程、必要に応じて所定の粒径のペレットに形成する工程等を経て、ポリカーボネート樹脂が製造される。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂(以下、「本発明のポリカーボネート樹脂」と称す場合がある。)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常5,000以上であり、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上であり、また、一方で、通常40,000以下であり、好ましくは30,000以下、より好ましくは24,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、必要に応じて、本発明のポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂や、ポリカーボネート樹脂以外の他の樹脂、各種樹脂添加剤などのその他の成分を配合してポリカーボネート樹脂組成物として用いてもよい。前記その他の成分は1種または2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
まず、各評価の測定方法について、説明する。
<色相評価(ペレットYI)>
ポリカーボネート樹脂の色相評価は、ASTM D1925に準拠して、ポリカーボネート樹脂ペレットの反射光におけるYI値(イエローインデックス値)を測定して評価した。装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM-5を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。シャーレ測定用校正ガラスCM-A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM-A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。白色校正板CM-A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が-0.43±0.01、YIが-0.58±0.01となることを確認した。ペレットの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
YI値が小さいほど樹脂の黄色味が少なく、色調に優れることを意味する。
ポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン5mlに溶解した後、メタノール45mlおよび25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mlを加え、70℃で30分間撹拌して加水分解した(塩化メチレン溶液)。その後、この塩化メチレン溶液に6規定の塩酸を加え、溶液のpHを2程度とし、純水にて100mlとなるように調整した。
次に、調整した塩化メチレン溶液20μlを液体クロマトグラフィーに注入し、式(A)~(E)で表される化合物の含有量を測定し(単位:ppm)、特定副生成物含有量とした。
液体クロマトグラフィーおよび測定条件は以下の通りである。
液体クロマトグラフィー:株式会社島津製作所製LC-10AD
カラム:YMC PACK ODS-AM M-307-3
4.6mmID×75mmL
検出器:UV280nm
溶離液:(A)0.05%トリフルオロ酢酸水溶液 (B)メタノール
グラジェント条件:0分(B=40%)、25分(B-95%)
式(A)~(E)で表される化合物の含有量は、ビスフェノールAにより作成した検量線に基づき、各々のピーク面積より算出した。
以下において、用いた原料や化合物中の置換基等の略号は以下の通りである。
BPA:ビスフェノールA(三菱ケミカル社製)
DPC:ジフェニルカーボネート(三菱ケミカル社製)
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
Ph:フェニル
Ad:アダマンチル
imy:イミダゾール
Et:エチル
Me:メチル
Mes:メシチル
Pr:プロピル
TMAH:水酸化テトラメチルアンモニウム
(p-tBuPh)3-P:トリス(p-ter-ブチルフェニル)ホスフィン
<合成例1:触媒Aの合成>
2-Ph-1,3-Ad2-imy-Br(遼寧美大康華邦薬業製)494mgをTHF4mLとエタノール1mLに溶解した。別に、BPA228mgとカリウム ターシャリーブトキシド(シグマアルドリッチ製)112mgをTHF2mLとエタノール0.5mLに溶解した。2-Ph-1,3-Ad2-imy-Brを含む溶液とBPAを含む溶液を室温で4時間攪拌した後、ろ過物を回収した。ろ過物中の溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、DCM 4mLと混合した。DCMをロータリーエバポレーターで除去し、下記構造式で表される触媒A(2-Ph-1,3-Ad2-imy-BPA、純度93%)を652mg得た。
NMR(核磁気共鳴)による構造同定は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz,298K):δ8.11(s,2H,4,5-H),7.77(d,3JH-H=7.8Hz,2H,Ph-H),7.71(t,3JH-H=7.8Hz,1H,Ph-H),7.57(t,3JH-H=7.8Hz,2H,Ph-H),6.80,6.40(each d,3JH-H=8.6Hz,each 4H,BPA-H),1.98(ps,6H,Ad-H),1.94(ps,12H,Ad-H),1.56-1.42(pdd,12H,Ad-H),1.46(s,6H,BPA-H)
2-Et-1,4-Ad2-imidazolium bromide0.8gをTHF5mLに溶解した。次に、カリウム ターシャリーブトキシド(シグマアルドリッチ製)188mgをTHF2mLに溶解した溶液に2-Et-1,4-Ad2-imidazolium bromideを含む溶液に加えた。混合物は14時間、室温で攪拌した。ろ過物を回収し、ロータリーエバポレーターで残留溶媒を除去すると黄色い固形物(2-Et-1,4-Ad2-imidazole)が580mg得られた。
次に、2-Et-1,4-Ad2-imidazole400mgをヨードメタン3mLに溶解させて45℃で14時間攪拌した。ロータリーエバポレーターでヨードメタンを除去後、ジエチルエーテル10mLを加えて固形物をろ過、乾燥させると青みがかった黄色い結晶が552mg得られた(2-Et-1,4-Ad2-3-Me-imy-I)。
次に、2-Et-1,4-Ad2-3-Me-imy-I653mgをTHF3mLとエタノール1mLに溶解した。また、AgBF4を252mgをTHF3mLとエタノール1mLに溶解した。AgBF4を含む溶液を2-Et-1,4-Ad2-3-Me-imy-Iを含む溶液に滴下した。次に、BPA294mgとカリウム ターシャリーブトキシド(シグマアルドリッチ製)145mgをTHF3mLとエタノール1mLに溶解した。この溶液を2-Et-1,4-Ad2-3-Me-imy-Iを含む溶液と混合し、室温で4時間攪拌し、ろ過物を回収した。ろ過物中の残存溶媒はロータリーエバポレーターで除去し、固形物をDCMで抽出した。溶液中のDCMをロータリーエバポレーターで除去して下記構造式で表される触媒B(2-Et-1,4-Ad2-3-Me-imy-BPA、純度85%)を670mg得た。
NMR(核磁気共鳴)による構造同定は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz,298K):δ7.20(s,1H,5-H),6.70,6.32(each d,3JH-H=8.6Hz,each 4H,BPA-H),3.86(s,3H,N-CH3),3.22(q,3JH-H=7.4Hz,2H,CH2CH3),2.18(9H,Ad-H),2.04(3H,Ad-H),1.96(6H,Ad-H),1.76-1.66(12H,Ad-H),1.44(s,6H,BPA-H),1.20(t,3JH-H=7.4Hz,3H,CH2CH3)
3-hydroxybutan-2-oneを13.2gとメシチルアミン13.5gとトルエン150mLと塩化水素0.05mLを混合し、窒素雰囲気下で3時間、還流した。得られた黄色い溶液を室温まで冷却後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、3-(mesitylamino)butan-2-oneを15.4g得た。
次に、3-(mesitylamino)butan-2-one 4.1gと、トリエチルアミン5.6mL、アセチルクロライド7.9g、DCM30mLを0℃で混合し、室温で14時間攪拌した。析出したアンモニウム塩をフィルターで除去した。溶液からDCMを留去し、得られた溶液をシリカゲルカラムで分離した。生成物をヘキサンおよび酢酸エチル混合液(重量比4:1)で溶離させて青みがかった黄色い液体を3.2g得た。次に、得られた液体2.5gを無水酢酸10.3gと混合し、37%塩化水素水溶液0.84mLを添加した。混合物を室温で14時間攪拌し、50mLのジエチルエーテルを添加した。有機溶液層を回収しジエチルエーテル2mLで2回洗浄した。得られた油状の物質をトルエン20mL、メシチルアミン2.0gと混合し室温で3時間攪拌した。無水ジエチルエーテル50mLで洗浄し、無水酢酸6mL、トルエン20mL、37%塩化水素水溶液1.3mLを混合し110℃で14時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去すると白色の2,4,5-Me3-1,3-Mes2-Imy-Clを1.4g得た。
次に、2,4,5-Me3-1,3-Mes2-Imy-Cl500mgをTHF 2mLとエタノール0.5mLに溶解させた。次に、BPA228mgとカリウム ターシャリーブトキシド112mgをTHF2mLとエタノール0.5mLに溶解させた。2,4,5-Me3-1,3-Mes2-Imy-Clを含む溶液とBPAを含む溶液を60℃で1時間攪拌した後、ろ過物を回収した。ろ過物中の溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、DCM 5mLと混合した。DCMをロータリーエバポレーターで除去し、下記構造式で表される触媒C(2,4,5-Me3-1,3-Mes2-Imy-BPA、純度86%)を495mg得た。
NMR(核磁気共鳴)による構造同定は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz,298K):δ7.23(s,4H,Ar-H),6.68(d,3JH-H=8.6Hz,4H,Ar-H),6.30(d,3JH-H=8.6Hz,4H,Ar-H),2.36(s,6H,C4,5-CH3),2.10(s,3H,C2-CH3),2.02(s,12H,Ar-CH3),2.01(s,6H,Ar-CH3),1.43(s,6H,BPA-CH3)
21,3-Bis(1-adamantyl)imidazol-2-ylidene(Strem Chemicals製)15.7mgとTHF7.6mLとBPA10.6mgを混合し、1.5mLメタノールを添加して、下記構造式で表される触媒D(Ad2-Imy-BPA)を含む溶液を得た。
1-adamantylamine4.53gと炭酸カリウム6.2gとアセトニトリル30mLを混合した。次に3-chloro-2-butanone6.4gを添加した。混合物をアルゴン雰囲気下、14時間還流した。固形物をろ過し、アセトニトリル5mLで2回洗浄した。残留溶媒をロータリーエバポレーターで除去し3-(1’-Adamantylamino)butan-2-oneを6.2g得た。
次に、蟻酸2.3g、無水酢酸4.3gを60℃で2時間攪拌し、3-(1’-Adamantylamino)butan-2-oneを4.6g滴下した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、シリカゲルカラムで黄色い油状の物質を単離しN-Formyl-3-(1’-adamantylamino)butan-2-oneを1.3g得た。
次に、N-Formyl-3-(1’-adamantylamino)butan-2-one 1.3gと無水酢酸4.4gを混合した。45%HBrの酢酸溶液を0.86mL添加し、混合物を室温で14時間攪拌した。ジエチルエーテル30mLを添加し油状の物質が沈殿した。上層の有機層を除去し、油状の物質をジエチルエーテル10mLで2回洗浄した。次にトルエン15mLとDCM10mLと1-adamantylamine0.94gを混合し、室温で3時間攪拌した。沈殿した固形物を回収し、ジエチルエーテル10mLで2回洗浄した。次に45%HBrの酢酸溶液を0.86mLとトルエン15mLを添加し120℃で14時間還流した。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、残渣をDCMで抽出し、DCMを留去して、下記構造式で表される白色の触媒E(4,5-Me2-1,3-Ad2-imy-Br)を0.37g得た。
NMR(核磁気共鳴)による構造同定は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz,CD2Cl2,298K):δ8.32(s,1H,CH),2.35(s,6H,2×CH3),2.22(s,12H,6×CH2),2.19(s,6H,6×CH),1.68(s,12H,6×CH2)
13C NMR(100.6MHz,CD2Cl2,298K):δ131.0,128.7,63.1,41.6,35.7,30.2,12.4
<触媒F>
触媒としては、下記構造式で表される水酸化テトラメチルアンモニウム(97%、シグマアルドリッチ製)を使用した。
触媒Gとしては、下記構造式で表されるトリス(p-tert-ブチルフェニル)ホスフィン(北興化学株式会社製)を使用した。
ナトリウムフェノキサイド116mgとTHF1mLとiPr2-imy-Cl(Strem Chemicals製、97%)189mgを混合し、室温で14時間攪拌した。固形物をろ過して除去し、溶液中のTHFをロータリーエバポレーターで留去して、下記構造式で表される触媒H(iPr2-imy-OPh)231mgを得た。
1,2-Me2-3-Me-imy-Cl(シグマアルドリッチ製、97%)とナトリウムフェノキサイド116mgと3mLエタノールを混合して室温で14時間攪拌した。固形物をろ過して除去し、溶液中のエタノールをロータリーエバポレーターで留去してDCM2mLで洗浄した。DCMをロータリーエバポレーターで除去して、下記構造式で表される触媒I(1,2-Me2-3-Et-imy-OPh)198mgを得た。
<実施例1>
反応器攪拌機、反応器加熱装置、反応器圧力調整装置を付帯した内容量150mlのガラス製反応器に、BPA116.71g(約0.51mol)、DPC116.09(約0.54mol)を投入しエステル交換触媒AをBPA1molに対し、7μmolとなるように添加して混合物を調製した。
なお、反応開始から、反応終了までの反応時間を計測し、表1中に重合時間(単位:分)として記載した。
得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Bを、BPA1molに対し7.7μmol使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Cを使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Dを使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Eを、BPA1molに対し5μmol使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Fを、BPA1molに対し5μmol使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Gを、BPA1molに対し50μmol使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Hを、BPA1molに対し5μmol使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1において、エステル交換触媒として触媒Aの代わりに触媒Iを、BPA1molに対し5μmol使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。重合時間と得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
これに対して、従来のエステル交換触媒を用いた比較例1~4は重合活性に劣る。このため、比較例1は、重合時間が長いにもかかわらず、目標分子量に達せず、特定副生成物含有量も多く、色調も悪い。
比較例2でも、重合時間が長いにもかかわらず、目標分子量に達せず、特定副生成物含有量も多い。
比較例3でも、重合時間が長いにもかかわらず、目標分子量に達せず、色調も悪い。
比較例4でも、重合時間が長いにもかかわらず、目標分子量に達せず、色調も悪い。
Claims (6)
- 溶融重合条件下、ビスフェノールAとジアリールカーボネートとをエステル交換触媒の存在下に溶融重縮合させる工程を含むポリカーボネート樹脂の製造方法であって、該エステル交換触媒が、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
R4、R4’、R5、R5’は同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル基、またはアリールカルボニル基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよく、該置換基中にはヘテロ原子が含まれていてもよい。またR4、R4’、R5、R5’は、その内の2つの基が相互に結合して環を形成していてもよい。但し、R4、R4’、R5、R5’の炭素原子数の合計は50以下である。
R4’、R5’が存在する場合、式(1)中の点線と実線の組み合わせ部分は単結合を示すが、R4’、R5’はなくてもよく、その場合、式(1)中の点線と実線の組み合わせ部分は二重結合を示す。
X-は、アニオンを表す。) - 前記式(1)中、R1およびR3の少なくとも一つが、アダマンチル基、フェニル基およびメシチル基から選ばれる基であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記エステル交換反応時の反応混合物中の前記触媒濃度が前記ビスフェノールAの1molに対して、0.01~1000μmolであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記エステル交換反応時の温度が200~350℃であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 製造された前記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量[Mv]が5,000~40,000であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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