JP7241569B2 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム又はプリプレグ、硬化物、及び、配線板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム又はプリプレグ、硬化物、及び、配線板 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム又はプリプレグ、硬化物、及び、配線板に関する。
多層プリント配線板の製造方法としては、プリプレグと銅箔をプレス加工して回路形成された内層回路板(いわゆる銅張積層板)に絶縁層と導体層を交互に積み上げていくビルドアップ方式の製造技術が広く知られている。例えば、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物を塗布し、加熱硬化して絶縁層を形成した後、この絶縁層表面に粗化剤にて凹凸状の粗化面を形成してから、導体層を無電解めっきと電解めっきの処理により形成する多層プリント配線板の製造法が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
また、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物の接着シートをラミネートし、加熱硬化して絶縁層を形成した後、この絶縁層表面に粗化剤にて凹凸状の粗化面を形成してから、導体層を無電解めっきと電解めっきの処理により形成する多層プリント配線板の製造法が提案されている(特許文献3参照)。
このように、めっき処理により絶縁層の表面に導体層を形成する場合、めっき処理により形成した導体層と絶縁層との密着性は、導体回路パターンや実装部品の衝撃耐性試験を満足する必要がある。そのため、めっき処理を施す前に、絶縁層表面に粗面化処理を行う工法が採用されている。この粗面化処理は、通常、過マンガン酸ナトリウムや過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いて絶縁層表面を処理することによって行われる。かかる粗面化処理によれば、凹凸部のアンカー効果により導体層と絶縁層との高い密着性が得られる。
特開平7-304931号公報 特開平7-304933号公報 特開平11-87927号公報
しかしながら、絶縁層の表面凹凸が大きくなると、例えば、導体層形成時にめっきレジスト下の不要となった無電解めっき部分をエッチング処理にて除去する際に、エッチング液が絶縁層表面の凹部に入り込み、導体層の回路底部を侵食することで導体回路が剥離する場合があり、微細な導体回路を精度良く形成することができないといった問題があった。また、絶縁層の表面凹凸が大きくなると、導体層と絶縁層との接触面積が増大することから、特に高周波の電気信号の伝送損失が大きくなるという問題もあった。
さらに、配線板における積層構造においては、絶縁層の凹凸における深度が大きくなるほど上下導体層を電気的に絶縁するために必要な層の厚みが大きくなり、配線板の軽薄化が困難になる。
そこで、本発明は、配線板における絶縁層を形成するための硬化性樹脂組成物であって、表面凹凸(表面粗度)が小さくても(例えば、Raが200nm以下であっても)導体層との密着性が良好な絶縁層を形成可能である硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の成分を組合せて含有する硬化性樹脂組成物によって前記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、
配線板用の硬化性樹脂組成物であって、
前記硬化性樹脂組成物は、樹脂成分(1)として、エポキシ樹脂(1-A)と、フェノール樹脂(1-B)と、活性エステル化合物(1-C)と、ロジン系樹脂(1-D)と、を含み、
前記硬化性樹脂組成物の不揮発成分中における、前記樹脂成分(1)の含有量(質量%)をMとし、前記ロジン系樹脂(1-D)の含有量(質量%)をMとした場合に、M/Mが0.001~0.05である
ことを特徴とする、硬化性樹脂組成物である。
前記硬化性樹脂組成物は、無機フィラーを含んでいてもよい。
前記硬化性樹脂組成物は、めっき用であってもよい。
本発明のドライフィルムは、前記硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を基材上に形成してなるものであり、本発明のプリプレグは、前記硬化性樹脂組成物を基材に含浸してなるものである。
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物又は前記ドライフィルムの樹脂層若しくは前記プリプレグ中の硬化性樹脂組成物を硬化してなるものである。
本発明の配線板は、前記硬化物からなる絶縁層とめっき金属からなる導体層とを有するものである。
本発明によれば、配線板における絶縁層を形成するための硬化性樹脂組成物であって、表面凹凸(表面粗度)が小さくても導体層との密着性が良好な絶縁層を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供することが可能となる。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる各成分および各成分の含有量、並びに、本発明の硬化性樹脂組成物の使用方法について詳述する。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、公知の方法に従って製造可能であり、例えば、各成分を混合および分散することにより得られる。
<<<成分>>>
本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂成分(1)として、エポキシ樹脂(1-A)と、フェノール樹脂(1-B)と、活性エステル化合物(1-C)と、ロジン系樹脂(1-D)と、を含む。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂成分以外の成分(2)を含んでいてもよい。樹脂成分以外の成分(2)は、無機フィラーを含むことが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物は、通常、熱硬化性の樹脂組成物であるが、光硬化性を有していてもよい。
<<樹脂成分(1)>>
<エポキシ樹脂(1-A)>
エポキシ樹脂(1-A)としては特に限定されず、2官能であってもよいし、3官能以上であってもよい。また、反応性希釈剤としての単官能のエポキシ樹脂を含有していてもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、水添(ビスフェノール)型樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコール又はプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、エポキシ樹脂(1-A)は、熱寸法安定性の観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂、低誘電特性の観点から、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、耐熱性の観点から、ノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
<フェノール樹脂(1-B)>
フェノール樹脂(1-B)としては特に限定されず、2官能であってもよいし、3官能以上であってもよい。
フェノール樹脂(1-B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂、ザイロック(Xylok)型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ナフタレン構造含有フェノール系硬化剤、フルオレン構造含有フェノール系硬化剤などが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
<活性エステル化合物(1-C)>
活性エステル化合物(1-C)としては、活性エステル基を有するものであればよいが、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。
活性エステル化合物(1-C)中の活性エステル基は、加熱によりエポキシ基と反応することができ、本発明で用いられるエポキシ樹脂(1-A)の硬化剤として作用する。
活性エステル化合物(1-C)としては、得られる硬化物の耐熱性を高めるなどの観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを反応させて得られる活性エステル化合物が好ましい。活性エステル化合物(1-C)としては、カルボン酸化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(フェノール化合物やナフトール化合物等)及びチオール化合物からなる群から選択される1種又は2種以上とを反応させて得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させて得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。
活性エステル化合物(1-C)を形成するためのカルボン酸化合物の具体例としては、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらのなかでも、得られる電気絶縁層の耐熱性を高める観点より、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がさらに好ましい。
活性エステル化合物(1-C)を形成するためのチオカルボン酸化合物の具体例としては、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
活性エステル化合物(1-C)を形成するためのヒドロキシ化合物の具体例としては、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、クレゾール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
これらの中でも、活性エステル化合物(1-C)の溶解性を向上させると共に、得られる硬化物の耐熱性を高める観点から、活性エステル化合物(1-C)を形成するためのヒドロキシ化合物としては、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがさらに好ましい。
活性エステル化合物(1-C)を形成するためのチオール化合物の具体例としては、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
活性エステル化合物(1-C)の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、前記したカルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得ることができる。
本発明においては、活性エステル化合物(1-C)として、例えば、特開2002-12650号公報に開示されている活性エステル基を持つ芳香族化合物及び特開2004-277460号公報に開示されている多官能性ポリエステルや、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、商品名「EXB9451、EXB9460、EXB9460S、エピクロン HPC-8000-65T」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「DC808」(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名「YLH1026」(ジャパンエポキシレジン社製)などが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
<ロジン系樹脂(1-D)>
ロジン系樹脂(1-D)は、ロジンおよびロジン誘導体のいずれであってもよい。
ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等が挙げられる。
ロジン誘導体としては、例えば、安定化ロジン(例えば、前記ロジンを不均化または水素添加処理した安定化ロジン)、重合ロジン(例えば、前記ロジンの多量体、典型的には二量体)、変性ロジン(例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸により変性された不飽和酸変性ロジン等)、並びに、これらのエステル化物等が挙げられる。
中でも、ロジン系樹脂(1-D)は、導体層との密着性に優れることから重合ロジンおよびロジンエステルが好ましく、エポキシ樹脂と架橋反応することでブリードアウトを抑制することができるという点で、重合ロジンがより好ましい。
これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
<その他の樹脂成分(1-E)>
その他の樹脂成分(1-E)としては、例えば、ポリエステル系樹脂、フェノキシ系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂またはフッ素樹脂等のうち、上述したもの以外が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
<<樹脂成分以外の成分(2)>>
樹脂成分以外の成分(2)としては、無機フィラーを含むことが好ましい。また、この成分(2)として、硬化促進剤、有機溶剤、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の公知慣用の成分を含んでいてもよい。
<無機フィラー>
無機フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ(無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ等)、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
無機フィラーは、比重が小さく、硬化性樹脂組成物中に高い割合で配合可能であり、低熱膨張性に優れる点から、好ましくはシリカであり、特に好ましくは球状シリカである。
これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
無機フィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。なお、無機フィラーの平均粒径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
着色剤としては、例えば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
増粘剤としては、例えば、アスベスト、オルベン、ベントン等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤、高分子系消泡剤等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
密着性付与剤としては、例えば、チアゾール系密着性付与剤、トリアゾール系密着性付与剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
<<<含有量>>>
以下、硬化性樹脂組成物の不揮発成分中における、樹脂成分(1)の含有量(質量%)をM、エポキシ樹脂(1-A)の含有量(質量%)をM、フェノール樹脂(1-B)の含有量(質量%)をM、活性エステル化合物(1-C)の含有量(質量%)をM、ロジン系樹脂(1-D)の含有量(質量%)をM、無機フィラーの含有量(質量%)をMとする。
/Mは、0.001~0.05であり、好ましくは0.005~0.035である。M/Mが、このような範囲であることにより、表面凹凸(表面粗度)が小さくても硬化性樹脂組成物からなる絶縁層と導体層との優れた密着性が得られる。
/Mは、好ましくは0.5~50であり、より好ましくは1~10である。
は、好ましくは20~99であり、より好ましくは25~96であり、特に好ましくは25~40である。
は、好ましくは5~70であり、より好ましくは10~60であり、特に好ましくは15~25である。
は、好ましくは0.5~10であり、より好ましくは1~5である。
は、好ましくは5~30であり、より好ましくは5~10である。
は、好ましくは0.01~5であり、より好ましくは0.1~1である。
は、好ましくは30~75であり、より好ましくは60~70である。Mが、このような範囲であることにより、硬化性樹脂組成物からなる絶縁層に柔軟性(伸び性)が付与されることにより、さらに絶縁層と導体層との密着性が向上する。
なお、硬化性樹脂組成物の不揮発成分とは、溶媒(特に有機溶媒)以外の組成物を構成する成分、またはその質量や体積を意味する。
<<<使用方法>>>
本発明の硬化性樹脂組成物は、めっき用(特に銅めっき用)として好ましく使用することができる。なお、「めっき用」とは、めっき下地層形成用と表現することもできる。即ち、本発明の硬化性樹脂組成物由来の硬化物は、めっきの下地層として好ましく使用できる。従って、本発明の硬化性樹脂組成物を配線板用(特に、配線板の絶縁層製造用)とすることができる。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物の具体的な使用方法について説明する。
<<コーティング剤>>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した溶媒等を用いて適度に粘度調整されたコーティング材料として提供されてもよい。
<<硬化物>>
硬化物は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物(後述するドライフィルムに含まれる樹脂層またはプリプレグ中の硬化性樹脂組成物を含む)を硬化することで得られる。
硬化性樹脂組成物から硬化物を得るための方法は、特に限定されるものではなく、硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜変更可能である。一例として、上述したような基材上に硬化性樹脂組成物を塗布(例えば、アプリケーター等による塗布)する工程を経た後、必要に応じて硬化性樹脂組成物を乾燥させる乾燥工程を実施し、加熱(例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、真空オーブン、真空プレス機等による加熱)により熱硬化する工程を実施すればよい。なお、各工程における実施の条件(例えば、塗布膜厚、乾燥温度および時間、加熱硬化温度および時間等)は、硬化性樹脂組成物の組成や用途等に応じて適宜変更すればよい。
<<ドライフィルム、プリプレグ>>
本発明のドライフィルムまたはプリプレグは、上述した硬化性樹脂組成物を基材に塗布又は含侵して得られるものである。
ここで基材とは、銅箔等の金属箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のフィルム、ガラスクロス、アラミド繊維等の繊維が挙げられる。
ドライフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布乾燥させ、必要に応じてポリプロピレンフィルムを積層することにより得られる。
プリプレグは、例えば、ガラスクロスに本発明の硬化性樹脂組成物を含浸乾燥させることにより得られる。
<<配線板>>
本発明の配線板は、上述の硬化物を有する。より具体的には、本発明の配線板は、上述の硬化物により形成された絶縁層と、めっき処理により当該硬化物上に形成された導体層とを有する。この導体層は、換言すれば、めっき金属からなる導体層であり、めっき層と表現することもできる。本発明の配線板は、多層プリント配線板であることが好ましい。
配線板の製造方法としては、例えば、(a)本発明の硬化性樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板に直接塗布し、乾燥、硬化を行う方法や、(b)本発明のドライフィルムを、回路が形成された内層回路基板に加熱ラミネートする方法(加熱ラミネートして一体成形し、その後オーブン中で硬化させる方法)もしくは熱板プレスする方法、または、(c)本発明のプリプレグを、回路が形成された内層回路基板に重ね、離型フィルムを介して金属板で挟み、加圧・加熱してプレスする方法、等が挙げられる。
このような製造方法のうち、ドライフィルム又はプリプレグをラミネートもしくは熱板プレスする方法は、内層回路による凹凸が加熱溶融する際に解消され、そのまま硬化するので、最終的にはフラットな表面状態の多層配線板が得られるので好ましい。
また、回路が形成された内層回路基板に本発明の硬化性樹脂組成物からなるドライフィルム又はプリプレグをラミネートもしくは熱板プレスする際に、銅箔もしくは回路が形成された内層回路基板を同時に積層することもできる。
このようにして得られた積層基板に、COレーザーやUV-YAGレーザー等の半導体レーザー又はドリルにて孔(穴)をあける。孔(穴)は、基板の表と裏を導通させることを目的とする貫通孔(スルーホール)でも、内層の回路と層間絶縁層表面の回路を導通させることを目的とする有底穴(ビアホール)のどちらでもよい。
有底穴(ビアホール)の場合、穴明け後に、必要に応じて粗面化処理液で穴の内壁や底部に存在する残渣(スミヤ)を除去した後、好ましくはプラズマ処理する。
絶縁層は、通常、表面の算術平均表面粗さRa(JIS B 0601に準拠)が400nm程度となるように粗面化処理される。しかしながら、高周波通信(例えば、5G通信等)への適応を考慮すると、通常、Raを200nm以下とすることが求められる。
この点、本発明の硬化性樹脂組成物によって形成された絶縁層の場合、表面の粗度が小さくても導体層との密着性に優れることから、配線板を製造する際に粗面化処理(処理液等を用いたウェットエッチングやプラズマ等を用いたドライエッチング)を行わずともよい。その結果、本発明の硬化性樹脂組成物によって形成された絶縁層は、表面の算術平均表面粗さRaを200nm以下としても導体層の剥離等が生じ難いことから、上述のような高周波通信用の基板材料として好ましく使用することができる。なお、本発明の配線板の製造方法は、基板の用途によっては粗面化処理を含んでもよい。
本発明においては、絶縁層表面に無電解めっきと電解めっきの処理にて導体層を形成する前に、絶縁層表面に、少なくとも照射強度10mW/cm以上の紫外線を照射することが好ましい。これにより、導体層を構成するめっき層との密着性がさらに向上する。この際の紫外線の主波長は310nm程度以下、好ましくは260nm程度以下、さらに好ましくは150~200nm程度である。特に、紫外線の波長が約184nmと約254nmの2種からなることが好ましい。
紫外線の光源は、低圧水銀ランプ、エキシマレーザー、バリア放電ランプ、誘電体バリア放電ランプ、マイクロ波無電極放電ランプ、過渡放電ランプ等を用いることができる。例えば、低圧水銀ランプを用いた場合、184.9nm、253.7nmの主波長が特に有効である。また、エキシマランプを用いた場合は、具体的にはAr2*(126nm),Kr2*(146nm),F2*(153nm),ArBr*(165nm),Xe2*(172nm),ArCl*(175nm),ArF(193nm),KrBr*(207nm),KrCl*(222nm),KrF(248nm),Xel*(253nm),Cl2*(259nm),XeBr*(283nm),Br2*(289nm),XeCl*(308nm)の波長の光が望ましい。特に、Xe2*とKrCl*は安定性があり、波長も比較的小さくエネルギーが大きいため表面改質効果が大きく好ましい。
紫外線の照射時間は、用いる樹脂材料、紫外線の強さ(照射量)により異なるが、(紫外線の強さが5~20mW/cm程度の場合、)10秒~30分程度の範囲で適宜調整することができ、20秒~10分程度がより好ましい。
なお、紫外線の照射は、無電解めっきの処理を行う前に複数回にわたって行ってもよい。
次に、絶縁層表面に、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等により導体回路を形成する。いずれの方法においても、無電解めっき処理又は電解めっき処理の後、あるいは両方のめっき処理を施した後に、めっき金属のストレス除去、強度向上の目的で、約80~180℃で10~60分程度のアニール処理と呼ばれる熱処理を施してもよい。
ここで用いるめっき金属としては、銅、ズズ、はんだ、ニッケル等、特に制限は無く、複数組み合わせて使用することもできる。
絶縁層の表面に銅めっきを施す場合は、無電解銅めっきを施し、次いで電解銅めっきを施して所定の厚さの導体層(銅層)を形成することが好ましい。無電解銅めっきは、電解銅めっきを施すための給電層を形成するためのものであり、通常は0.1~2.0μm程度の厚さに形成する。なお、銅めっきはニッケルめっき等と比較して樹脂との密着性が低いという難点があるが、本発明に従って形成された絶縁層の表面に銅めっきを施して導体層を形成する場合には、優れた密着強度が得られる。
絶縁層の表面に施す無電解めっき及び電解めっきは公知の方法であればよく、特定の方法に限定されるものではないが、無電解めっき処理工程の触媒がパラジウム-すず混合触媒からなり、触媒の1次粒子径が10nm以下であることが好ましい。また、無電解めっき処理工程のめっき組成が次亜リン酸を還元剤として含有することが好ましい。
無電解めっきについては、例えば、特開平8-253869号公報、特開2002-57456号公報、特開2000-212762号公報等に記載されている方法を適用できる。
また、絶縁層および導体回路層の形成を、必要に応じて複数回繰り返すことにより、所望の多層プリント配線板を製造することができる。
<<電子部品>>
このような硬化物は、電子部品用等に使用可能である。
硬化物を有する電子部品としては、特に限定されないが、好ましくは、第5世代通信システム(5G)に代表される大容量高速通信や自動車のADAS(先進運転システム)向けミリ波レーダー等が挙げられる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。なお、表中の配合量は不揮発成分としての質量部を示す。
硬化性樹脂組成物の原料として、以下のものを使用した。
<<原料>>
<樹脂成分(1)>
・エポキシ樹脂(1-A)
jER828(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
ZX-1059(新日鉄住金化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)
NC-3000H(日本化薬(株)製、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂)
・フェノール樹脂(1-B)
LA-3018 50P(DIC(株)製、メチルエチルケトン溶液、不揮発成分50質量%)
・活性エステル(1-C)
HPC-8000 65T(DIC(株)製、不揮発成分65質量%)
・ロジン系樹脂(1-D)
ロジンエステル:パインクリスタルD-6011(荒川化学工業(株)製)ペンセルGA-100(荒川化学工業(株)製)
マレイン酸変性ロジン:マルキードNo.31(荒川化学工業(株)製)
重合ロジン:中国重合ロジン140(荒川化学工業(株)製)
・その他の樹脂(1-E)
フェノキシ樹脂:YX-6954 BH30(三菱ケミカル(株)製、メチルエチルケトンとシクロヘキサノン混合溶液、不揮発成分30質量%)
<樹脂以外の成分(2)>
・無機フィラー
アドマファインSO-E2((株)アドマテックス)
・硬化促進剤
キュアゾール2E4MZ(四国化成工業(株)製)
・添加剤
BYK-352(ビックケミージャパン(株)製)
BYK-1791(ビックケミージャパン(株)製)
KBM-403(信越化学工業(株)製)
<<硬化性樹脂組成物の調製>>
上述した各原料を、表1および表2に示される配合量にて配合し、各実施例および各比較例に係る硬化性樹脂組成物を製造した。
<<サンプルの作製>>
次に、各硬化性樹脂組成物を用い、以下の手順に従って評価用のサンプルを製造した。
<作製手順1(デスミア処理あり)>
実施例1-1~1-6および比較例1-1~1-2に係る硬化性樹脂組成物を使用して、以下の手順でサンプル1-1~1-8を作製した。
まず、各硬化性樹脂組成物を自転・公転ミキサーを用い、十分に撹拌、脱泡した後、PETフィルム上に硬化後の理論膜厚40μmになるようアプリケーターで塗布し、乾燥炉にて90℃10分間乾燥して、各硬化性樹脂組成物由来のドライフィルムを作製した。次いで、各ドライフィルムを銅張積層板上に真空ラミネートにて、100℃、0.5MPaにてラミネートし、PETフィルムを剥離後、乾燥炉にて180℃30分加熱して、各硬化性樹脂組成物由来の硬化物からなる絶縁層を形成した。
次に、市販の湿式過マンガン酸デスミア液(ATOTECH社製)を使用し、形成した絶縁層の表面にデスミア処理を施した。具体的には、スウェリングディップ セキュリガントPに60℃で5分間浸漬した後(膨潤処理)、コンセントレート コンパクトCPに80℃で20分浸漬し(粗面化処理)、ついでリダクションセキュリガントP500(還元処理)に40℃で5分間浸漬した。
デスミア処理した絶縁層の表面平均粗さRaを表1に示す。なお、表面平均粗さRaは以下の方法に従って測定した。
(測定方法)
測定機器:白色干渉顕微鏡(Bruker Contour GT-I)
測定条件:VSIモード、50倍レンズ、測定範囲174.6×130.9μm、
5点の測定箇所の平均値を測定値とした。
次に、デスミア処理した絶縁層上に無電解めっき処理および電解めっき処理を施し、導体層を形成した。具体的には、無電解めっき処理として、クリーナー処理液(上村工業社製、クリーナーMCD-PL)に40℃5分浸漬し、ソフトエッチング処理液(上村工業社製、アルカッププレディップMDP-2)に25℃2分浸漬し、触媒付与処理液(上村工業社製、アルカップMAT-SP)に40℃5分浸漬し、還元処理液(上村工業社製、アルカップレデューサーMRD-2-C/MAB-4-C/MAB-4-A)に35℃3分浸漬し、反応性促進処理液(上村工業社製、アルカップアクセラレーターMEL-3-A)に25℃1分浸漬し、無電解めっき処理液(上村工業社製、スルカップPEA V2)に36℃20分浸漬することで給電層を形成した。その後、電解めっき処理として、酸洗浄(アトテックジャパン(株)製、酸性クリーナー)に46℃5分浸漬し、10%硫酸水溶液に25℃1分浸漬し、硫酸銅めっき液で25℃60分、電流密度2A/dmの条件で電解めっき層を形成した。
以上のようにして、絶縁層と、絶縁層上に設けられた導体層と、を有するサンプル(基板)を作製した。
<作製手順2(デスミア処理なし)>
実施例2-1~2-2および比較例2-1~2-2に係る硬化性樹脂組成物を使用し、デスミア処理を行わなかったこと以外は作製手順1と同様に、サンプル2-1~2-4を作製した。
<<評価>>
各サンプルについて、ピール強度の評価を行った。ピール強度は、以下のように実施した。先ず、各サンプルの銅めっき層に幅10mm、長さ60mmの切込みをいれた。この一方の端を剥がすと共につかみ具にて剥離箇所を挟み、卓上型引張試験器(島津製作所製EZ-SX)にて90度の角度で、50mm/分の速度で銅めっき層を35mmの長さを引き剥がし、ピール強度(N/cm)を測定した。
Figure 0007241569000001
Figure 0007241569000002
以上詳述した通り、硬化性樹脂組成物の成分を変更する以外は同条件で絶縁層を製造した場合、本発明の硬化性樹脂組成物によれば、従来の硬化性樹脂組成物を使用した場合と比較して、表面粗度が小さくても(Raが200nm以下であっても)導体層との密着性が良好な絶縁層を形成可能であることが確認された。

Claims (6)

  1. 配線板用の硬化性樹脂組成物であって、
    前記硬化性樹脂組成物は、樹脂成分(1)として、エポキシ樹脂(1-A)と、フェノール樹脂(1-B)と、活性エステル化合物(1-C)と、ロジン系樹脂(1-D)と、を含み、
    前記硬化性樹脂組成物の不揮発成分中における、前記樹脂成分(1)の含有量(質量%)をMとし、前記ロジン系樹脂(1-D)の含有量(質量%)をMとした場合に、M/Mが0.001~0.05である
    ことを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
  2. 無機フィラーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. めっき用であることを特徴とする、請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を基材上に形成してなるドライフィルム又は前記硬化性樹脂組成物を基材に含浸してなるプリプレグ。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物又は請求項4記載のドライフィルムの樹脂層若しくは請求項4記載のプリプレグ中の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  6. 請求項5記載の硬化物からなる絶縁層とめっき金属からなる導体層とを有する配線板。

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