JP7241277B2 - タッチパネル用ペン先およびその製造方法 - Google Patents

タッチパネル用ペン先およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、タッチパネル用のペン先と、このペン先を備えるタッチペンに関するものである。
より詳しくは、携帯端末などの情報処理装置のタッチパネルに、必要な情報を、高い入力精度で入力することができるタッチパネル用ペン先であって、優れた柔軟性、防滑性及び筆記感を有するタッチパネル用ペン先と、その製造方法に関するものである。
外部から受けた画像などの情報を液晶ディスプレイに表示する表示装置と、画面に表示された部位にタッチすることで機器を操作する入力装置からなるタッチパネルにおいて、液晶ディスプレイに表示された部位、あるいは座標入力装置(デジタイザ)に表示された部位、例えば、絵文字や図表など点や領域に、スタイラスペン又はペンタブレットからなる入力手段で、感圧式は、圧力を加えることによって、静電容量式は、タッチパネル表面の電荷を移動させることによって、電磁誘導方式は、パネル側のセンサが入力手段からの電磁エネルギー又は電波を受け取ることによって、情報信号を外部に出力させている。
このような入力手段の一例が、実開平05-92842号公報(特許文献1)に開示されている。
前記特許文献1においては、タッチパネルに対する接触位置を、電位により検出するためのタッチパネル用入力ペンが提案されている。
このタッチパネル用入力ペンは、その検出部、すなわち、ペン先を、カーボンブラックと熱可塑性樹脂との配合で構成したことを特徴とするものである。
しかしながら、前記特許文献1に開示されているタッチパネル用入力ペンなど、従来のスタイラスペンやペンタブレットなどの入力手段においては、その先端が導電性樹脂などの硬質材料で構成される一方、タッチパネルは、アクリル板やガラス板などの硬質材料で構成されている。
したがって、ペンとタッチパネル間の摩擦抵抗が低く、タッチパネル表面上では、タッチが固く滑りすぎて、書きづらい、あるいは通常の手書き感覚による入力が得られない、という問題があった。
かかる現状に鑑み、適度な筆感が得られるタッチパネル用ペン先が開発されている。
例えば、特開2014-102788号公報(特許文献2)においては、タッチ部自体が適度な弾性を有するとともに、エラストマとの相乗作用によって、タッチパネルなどの画面が傷付き難く、適度な筆記抵抗があって滑らず、コシ、ねばり感など有するタッチパネル用ペン先が提案されている。
このペン先は、中心部から外方向に向かって放射状に延びるリブを有し、かつエラストマからなる芯部材の外周部を、樹脂素材からなる外皮で被覆して軸部材を構成し、
前記軸部材の先端部の外皮を除去し、前記芯部材の先端部を顕出させてタッチ部としたこと
を特徴とするものである。
実開平05-92842号公報(実用新案登録請求の範囲,図1) 特開2014-102788号公報(特許請求の範囲,図2,3,5)
前記特許文献2に開示されているタッチパネル用ペン先は、特に防滑性と使用感において改善されたものである。
このタッチパネル用ペン先は、これを構成する芯部材および/または外皮に導電性素材を配合して導電性を付与することができるもので、これにより静電容量式や、電磁誘導式によるデジタイザーにも対応可能となるものである。
しかしながら、芯部材に導電性素材を配合する場合において、その配合量によっては、芯部材を構成するエラストマが本来有する柔軟性、防滑性、強度などの性能が低下し、その結果、ペン先の筆記感や使用感が低下するおそれがある。
この低下は、導電性素材の配合量が増えるほど顕著であって、その配合量が一定の範囲を超えると書き味が悪くなり、強度などの耐久性能が低下するおそれもある。
さらに、芯部材の形成のための材料となるエラストマに対して、導電性素材を配合しすぎると、その流動性が悪くなることによって成形性も悪くなるおそれや、導電性素材やその添加物が凝集や熱劣化を起こすことによって、成型品中に、いわゆるフィッシュアイやブツなどの微細な塊が多く発生して、生産性が低下するおそれがあった。
したがって、前記特許文献2に開示されているリブは、図5に開示されているように、「中心部から外方向に向かって放射状に延びる」という比較的複雑な構造を有するものであるため、そのリブの精緻な成型が困難になるおそれもあった。
さらにまた、外皮に導電性素材を配合した場合には、使用時にペンを傾けながら入力を行うと、角度にもよるが、外皮がタッチパネル表面に近接することによって、ペン先ではない部分の位置が検出されるようになり、入力精度が低下するおそれがある。
この発明はかかる現状に鑑み、導電性を有し、かつ使用に際しては、摺動性、防滑性、弾性など適度な筆感があって、使用感が良好で、入力精度の高いタッチパネル用ペン先、特に、静電容量方式又は電波を発する電磁誘導方式のタッチパネル用ペン先、及びその製造方法、ならびにこのタッチパネル用ペン先を備えるタッチペンを、提供せんとするものである。
すなわち、この発明にかかる請求項1に記載の発明は、
合成樹脂成型体で構成されるタッチパネル用ペン先であって、
前記合成樹脂成型体は、
その外周部から内側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、前記リブにより囲まれた、一または複数の空隙とを有するもので構成され、
前記空隙は、
前記合成樹脂成型体の先端から後端まで、軸線方向に沿って延びるように構成され、かつその内部の先端から後端に亘って軸線方向に沿って形成される、導電性素材で構成された所要の厚さの導電層を有し、
前記導電層は、
前記空隙の表面上に所要の厚さの層が少なくとも形成されるように構成され、かつ前記合成樹脂成型体の空隙率が90%~5%になるよう、前記空隙が残されるように構成されていること
を特徴とするタッチパネル用ペン先である。
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のタッチパネル用ペン先において、
前記合成樹脂成型体を構成する樹脂材料は、
エラストマであること
を特徴とするタッチパネル用ペン先である。
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項に記載のタッチパネル用ペン先において、
前記エラストマは、
その表面硬さ(JIS K 7215;タイプD)が、40~63のものであること
を特徴とするタッチパネル用ペン先である。
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1~3のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記合成樹脂成型体は、
その外周を被覆するように形成された、硬質樹脂材料からなる所要の厚さの外皮部を備えること
を特徴とするものである。
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1~3のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記合成樹脂成型体は、
その先端部を、研削加工によって、半球ないし砲弾状、筆状、チーゼル状、クサビ状に形成することによってタッチ部が構成されたものであること
を特徴とするものである。
この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1~5のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記空隙は、
互いに大きさの異なる複数の空間が連通してなる一または複数の空隙、あるいは互いに大きさの異なる複数の空隙で構成されていること
を特徴とするものである。
この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記導電性素材は、
導電性カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、金属もしくはその酸化物、導電性セラミックスおよび導電性有機材料から選択されること
を特徴とするものである。
この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項1~7のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記導電層は、
前記導電性素材を前記空隙の壁面上に、接着剤を用いて固定することによって形成されていること
を特徴とするものである。
この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項1~8のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先において、
前記タッチパネル用ペン先は、
前記合成樹脂成型体と、前記合成樹脂成型体の後端部を収容する保持部材で構成されること
を特徴とするものである。
この発明の請求項10に記載の発明は、
外周部から内側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、前記リブにより囲まれた、先端から後端まで軸線方向に沿って延びる、一または複数の空隙と、を有する合成樹脂成型体を形成する工程と、
前記合成樹脂成型体の空隙内に、導電性素材を含む溶液、分散体または塗料、あるいはこれらのいずれかに接着剤を配合したものを、供給した後、乾燥させて、前記導電性素材を固定して導電層を形成せしめる工程を含み、
前記導電層は、
前記空隙の表面上に所要の厚さの層が少なくとも形成されるように構成され、かつ前記合成樹脂成型体の空隙率が90%~5%になるよう、前記空隙が残されるように構成されていること
を特徴とするタッチパネル用ペン先の製造方法である。
この発明の請求項11に記載の発明は、
請求項10に記載のタッチパネル用ペン先の製造方法において、
前記タッチパネル用ペン先の電気抵抗ないし電気伝導率が、所望の値になるよう前記溶液、前記分散体または前記塗料を調製する工程を含むこと
を特徴とするものである。
この発明の請求項12に記載の発明は、
請求項1~9のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先、あるいは請求項10又は11に記載の製造方法によって得られるタッチパネル用ペン先を備えること
を特徴とするタッチペンである。
この発明の請求項13に記載の発明は、
タッチパネル用ペン先と、前記タッチパネル用ペン先を保持する中空のペンホルダを具備するタッチペンであって、
前記タッチパネル用ペン先は、
請求項1~9のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先、あるいは請求項10又は11に記載の製造方法によって得られるタッチパネル用ペン先であって、
前記タッチパネル用ペン先の後端部を収容する保持部材と、前記保持部材の後端部を収容して、前記ペンホルダの内部に固定する固定部材を備えること
を特徴とするタッチペンである。
この発明のタッチパネル用ペン先は、合成樹脂成型体からなるもので、前記合成樹脂成型体には、その先端から後端まで軸線方向に沿って延びる一または複数の空隙を形成し、前記空隙には、その内部の先端から後端に亘って軸線方向に沿って、導電性素材で構成された所要の厚さの導電層を形成したものである。
したがって、前記合成樹脂成型体自体には導電性素材は配合されていないので、前記合成樹脂成型体として適当な素材を選択することによって、タッチの際には、前記合成樹脂成型体を構成する素材に由来する特性(ねばりや、靱性、耐久性、曲げ強度、摺動性、筆記抵抗(防滑性)、書き味、タッチパネルに対する操作性など)は維持されたまま、前記導電層による導電性が発揮される。
すなわち、前記タッチパネル用ペン先は、タッチパネルの画面との接触に際して、前記合成樹脂成型体自体の特性と同時に、前記導電性によって、静電容量方式のタッチパネルの場合においては、静電容量変化に伴う電気量変化を十分に発生させることができ、電磁誘導方式のタッチパネルの場合においては、導電層を通して電磁エネルギーや電波を発することができる。
なお、前記合成樹脂成型体を、その外周部から内側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、前記リブにより囲まれた一または複数の空隙とを有するもので構成することができる。
この場合には、各リブは、互いに所定の間隔をおいて設けられ、かつ各リブ間の空隙内には導電層が形成されているので、タッチの際には、各リブと導電層の両方が同時に接地し易くなり、前記合成樹脂成型体を構成する素材に由来する特性と、導電性が同時に発揮され易くなる。
また、前記合成樹脂成型体を、径方向内側から外側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、前記リブ間に形成された、一または複数の空隙とを有するもので構成することができる。
この場合には、前記合成樹脂成型体の外周側から、前記空隙内に前記導電性素材を充填することが可能となり、導電層を容易に形成することが可能となるので、前記タッチパネル用ペン先の製造を容易に行うことができる。
なお、この発明において、前記合成樹脂成型体は、その外周部から内側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、前記リブにより囲まれた、一または複数の空隙とを有するもので構成され、前記空隙は、前記合成樹脂成型体の先端から後端まで、軸線方向に沿って延びるように構成されている。
特に、前記合成樹脂成型体をエラストマで構成した場合には、前記合成樹脂成型体において、前記エラストマ自体が有する柔軟性や成型性、及び前記空隙の圧縮変形による柔軟性に起因する筆記性能と、前記導電層に起因する導電性とが、先端部まで、同時に発揮される。
前記タッチパネル用ペン先においては、前記の合成樹脂成型体の外周部(乃至外周)を被覆するように、硬質樹脂材料からなる所要の厚さの外皮部を形成することができる。
前記合成樹脂成型体を、エラストマで構成した場合には、前記ペン先は、筆記感において極めて優れたものになるが、エラストマ特有の性質(柔軟性)によって、軸部(保持部)において折れ曲がり易く、ペン本体に保持し難くなる。
しかしながら、前記外皮部の形成によって、前記合成樹脂成型体をペン先として使用した場合の、軸部における折れ曲がりが防止され、優れた筆記感を得ることが可能となる。
さらに、前記合成樹脂成型体については、研削加工によって、その先端部を、半球ないし砲弾状、筆状、チーゼル状、クサビ状などの所望の形状にすることができる。
なお、前記合成樹脂成型体の外周部を被覆するように、硬質樹脂材料からなる所要の厚さの外皮部を形成せしめた後に、前記研削加工を行うことによって、先端部表面に、前記合成樹脂成型体を顕出させて、前記所望の形状のタッチ部を構成してもよい。
前記タッチパネル用ペン先において、前記空隙については、互いに大きさの異なる複数の空間が連通してなる一または複数の空隙、あるいは互いに大きさの異なる複数の空隙で構成することができる。
このような構成によって、前記タッチパネル用ペン先の製造に際し、毛細管現象を利用して、前記空隙内に、導電性素材を含む液を供給して導電層を形成する場合には、この液は、比較的小さい空隙ないし空間、すなわち毛細管力が強い方に入り込む。
したがって、導電性が高い部分(空隙)と低い部分を、意図的に作り分けることや、所望の位置(空隙)において、導電性を高めることが可能となる。
前記タッチパネル用ペン先においては、前記導電層は、前記導電性素材を、前記空隙の壁面上に接着剤を用いて固定することによって、形成することができる。
このような構成によって、前記導電性素材が、前記空隙の壁面上から脱落することを、より確実に防止又は抑制することができる。
前記タッチパネル用ペン先については、先端から後端まで軸線方向に沿って延びる一または複数の空隙を有する合成樹脂成型体を形成し、前記空隙内に導電性素材を含む溶液、分散体または塗料、あるいはこれらのいずれかに接着剤を配合したものを、供給した後、乾燥させることによって、容易に製造することができる。
なお、この発明において、前記製造の際、前記合成樹脂成型体は、その外周部から内側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、 前記リブにより囲まれた、先端から後端まで軸線方向に沿って延びる、一または複数の空隙と、を有するように形成される。
この発明にかかるタッチパネル用ペン先の一例を示す概略説明図である。 前記タッチパネル用ペン先を構成する合成樹脂成型体の横断面図で、複数のリブと、各リブの外端を連結する環状部と、リブや環状部により囲まれて形成された複数の空隙とで構成されたものである。 前記タッチパネル用ペン先を構成する合成樹脂成型体の他の例を示す横断面図で、径方向内側から外側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、リブ間に形成された複数の空隙とで構成されたものである。 前記タッチパネル用ペン先を構成する合成樹脂成型体の他の例を示す横断面図で、径方向内側から外側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、2以上のリブの外端を連結する連結リブと、リブ間に形成された複数の空隙と、リブと連結リブにより囲まれて形成された複数の空隙とで構成されたものである。 前記タッチパネル用ペン先を構成する合成樹脂成型体の他の例を示す横断面図で、互いに大きさの異なる複数の空間を有する一つの空隙と、この空隙によって形成された複数のリブとで構成されたものである。 前記タッチパネル用ペン先の横断面の一例を示す電子顕微鏡写真である。 前記タッチパネル用ペン先の横断面の、他の例を示す電子顕微鏡写真である。 図1に示すタッチパネル用ペン先のA-A’断面図である。 この発明にかかるタッチパネル用ペン先の製造工程の一例を示す概略説明図で、合成樹脂成型体として図3に示す横断面を有するものが使用される場合を示すものである。 この発明にかかるタッチパネル用ペン先の製造方法の一例を示す概略説明図で、合成樹脂成型体として図2~5に示す横断面を有するものが使用される場合を示すものである。 前記タッチパネル用ペン先の他の例を示す概略説明図で、合成樹脂成型体の外周に外皮部を形成したものである。 図11に示すタッチパネル用ペン先のB-B’断面図である。 図11に示すタッチパネル用ペン先の他の例を示すB-B’断面図で、合成樹脂成型体として図3に示す横断面を有する合成樹脂成型体を使用したものである。 前記タッチパネル用ペン先の他の例を示す概略説明図で、合成樹脂成型体の外周を外皮(外皮部)で被覆し得た後、その先端部の外皮部を除去して、内部の合成樹脂成型体を顕出させたものである。 前記タッチパネル用ペン先の他の例を示す概略説明図で、合成樹脂成型体の後端部に、これを収容する保持部材5を備えるものである。 前記タッチパネル用ペン先の他の例を示す概略説明図で、合成樹脂成型体2の後端部に、これを収容する保持部材5を具備し、かつ合成樹脂成型体2の先端側のタッチ部2aの外周面と保持部材5の外周面との接続部位を、段差のない又は少ない状態で滑らかに繋がるように構成したものである。 前記タッチパネル用ペン先を使用したタッチペンの一例を示す概略説明図で、図17Aは、図1に示されるペン先1を、その長さを短くし、さらに、その後端部に、これを収容する保持部材5を備えるものを、図17Bは、図11に示されるペン先1を、その長さを短くし、さらに、その後端部に、これを収容する保持部材5を備えるものを示す。 前記タッチパネル用ペン先を使用したタッチペンの一例を示す概略説明図で、図18Aは、図1に示されるペン先1を、その先端部のみが顕出するようペンホルダ4に装着させたものを、図18Bは、図11に示されるペン先1を、その後端部を収容する固定部材6を用いてペンホルダ4内に固定したものを、図18Cは、図15に示されるペン先1を、その後端部を収容する固定部材6を用いてペンホルダ4内に固定したものを示す。
以下、この発明にかかるタッチパネル用ペン先の実施の形態を、添付の図面に基づいて具体的に説明する。
なお、この発明のタッチパネル用ペン先は、図示の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲内で改良を加えることができるものである。
この発明において、「摺動性」とは、使用時、すなわち筆記時の適度な滑りをいい、「防滑性」とは、筆記を阻害する過剰な滑りを防止する特性をいう。
この発明にかかるタッチパネル用ペン先1(以下、「ペン先1」という。)は、図1に示されるように、合成樹脂材料からなる合成樹脂成型体2で構成されたもので、タッチパネルの画面と接触するタッチ部2aと、軸部2bとから構成されている。
前記合成樹脂成型体2を構成する合成樹脂材料としては、カーボンや金属酸化物、導電性フィラーなどの導電性素材を含まない樹脂素材、例えば、エラストマ又はプラスチックが選択される。
前記合成樹脂成型体2自体には、導電性素材は配合されないため、タッチの際には、前記合成樹脂成型体2を構成している素材特有の性質(ねばりや、靱性、耐久性、曲げ強度、摺動性、筆記抵抗(防滑性)、書き味、タッチパネルに対する操作性など)は、導電性素材によって損なわれることがなく、発揮される。
前記エラストマとして、例えば、ポリエステルエラストマ、ナイロンエラストマ、ウレタンエラストマなどの高弾性を有するものが選択される。
前記合成樹脂成型体の素材として、エラストマを選択した場合には、その素材特有の柔軟性や成型性などが発揮され、さらに、後述する空隙Sの圧縮変形による柔軟性に起因する筆記性能が発揮される。
さらに、選択されるエラストマの種類に応じて、様々な筆記感を得ることができる。
なお、前記合成樹脂成型体2をエラストマで構成する場合において、前記合成樹脂成型体の空隙率については、90%~5%の範囲とすることが好ましい。
前記空隙率が90%を上回ると、使用時の耐久性が悪くなり、5%を下回ると筆感が、内部構造が無垢(中実)なものに近くなり、使用に際して摺動性、防滑性、弾性など特性が適度に得られず、良好な筆感が得られない。
さらに、前記合成樹脂成型体2をエラストマで構成する場合において、前記エラストマの表面硬さ(JIS K 7215;タイプD)は、好ましくは40~63の範囲である。
前記表面硬さが40未満では成形が難しく、63を超える場合は、硬くなりすぎて使用感が良くないので好ましくない。
前記表面硬さの値を前記範囲に設定することによって、より適度な摺動性と防滑性が実現できる。
前記プラスチックとして、例えば、
ポリアセタール、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、フッ素系樹脂、PEEK、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、PPS、及びPES
が選択される。
前記合成樹脂成型体の素材として、プラスチックを選択した場合には、適度な摺動性、強度、耐久性、耐摩耗性、タッチパネルに対する良好な操作性などが発揮される。
具体的には、前記プラスチックとして、ポリアセタールや、フッ素系樹脂を選択した場合には、特に摺動性が向上する。
また、PEEKや、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、PPS、PESなどの、いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックを選択した場合には、特に強度や、耐久性、耐摩耗性が向上する。
前記ペン先1を構成する合成樹脂成型体2は、その先端から後端まで軸線方向に沿って延びる空隙Sが形成されるように構成される。
この発明においては、前記空隙Sとして、所要の大きさの空隙が、一又は複数形成されていればよい。
したがって、前記空隙Sは互いに大きさの等しい、もしくは異なる複数の空隙で構成されてもよく、あるいは互いに大きさの等しい、もしくは異なる複数の空間が連通して形成される一の空隙、またはその複数で構成されてもよい。
例えば、前記合成樹脂成型体2を、前記合成樹脂成型体2を構成する素材による筆記特性と、空隙S内の導電層Eによる導電性とのバランスを考慮して、図2に示すように、横断面が、中心Cから外側に向かって放射状に延びる複数のリブLと、各リブL,L・・・の外端を連結する環状部RLと、前記リブLや環状部RLにより囲まれて形成された複数の空隙Sとで形成されるよう構成することができる。
あるいは、前記合成樹脂成型体2を、生産性やコストなどを考慮して、図3に示すように、その軸方向に直交する横断面視において、径方向内側から外側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブLと、各リブL,L間に形成された複数の空隙Sとで形成されるよう構成することもできる。
なお、例えば図4に示すように、軸方向に直交する横断面視において、径方向内側から外側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブLと、2以上のリブL,L・・・の外端を連結する一又は複数の連結リブCL(例えば環状部RLの一部に相当するもの)と、リブL,L間に形成された、一又は複数の空隙Sと、前記リブLや連結リブCLにより囲まれて形成された一又は複数の空隙Sとで形成されるよう構成した合成樹脂成型体も、本発明において使用される合成樹脂成型体に包含される。
あるいは、前記合成樹脂成型体2を、図5に示すように、横断面が、互いに連通する複数の空間によって形成された一の空隙Sと、前記空隙Sを囲むように形成された複数のリブL,L・・・とで形成されるように構成することができる。
なお、この発明において、好ましくは、前記合成樹脂成型体2は、その外周部から中心部に向かって、互いに所定の間隔で所定の長さに放射状に延設した複数のリブLと、前記リブLにより囲まれた複数の空隙Sとを有するように構成される。
このような構成によれば、前記空隙S内には、後述するように導電層Eが設けられるので、タッチの際には、前記合成樹脂成型体2(特にそのリブL)と導電層Eの両方が同時に接地し易く、前記合成樹脂成型体2の素材に由来する特性と、前記導電層Eによる導電性が同時に発揮され易い。
また、好ましくは、前記合成樹脂成型体2は、その軸方向に直交する横断面視において、径方向内側から外側に向かって放射状に延びる複数のリブLと、前記リブLにより囲まれて形成された複数の空隙Sとを有するように、すなわち、各リブL,L・・・の外端に、これらを連結する環状部RLや2以上のリブL,L・・・の外端を連結する連結リブCLを有しないように構成される。
このような構成によれば、後述するように、前記空隙S内に導電層Eを設ける際には、前記合成樹脂成型体2の外周側から導電性素材又はこれを含む分散液、溶液もしくは塗料を充填することができるので、ペン先をきわめて容易に製造することができる。
前記リブLについては、所要の大きさの一又は複数の空隙Sによって適当数、形成されるように構成されていればよい。
さらに、前記リブLは、その適当な位置において、2本以上に枝分かれさせたものであってもよい。
その際、各リブL,L間は、互いに等間隔であっても、等間隔でなくてもよいが、後述する毛細管作用を利用して導電層を形成する場合には、前記空隙(リブL,L間の間隙)の大きさは、好ましくは1~400μm、より好ましくは5~200μm、さらに好ましくは10~200μmである。
前記リブLや、環状部RL、連結リブCLについては、その大きさ乃至厚さを調整することで、所望の筆記感にすることができる。
例えば、リブLが細い場合には、筆記(使用)時の柔軟性が向上し、前記合成樹脂成型体2を構成する素材として、エラストマを選択した場合には、エラストマ特有の防滑性が適度に発生する。
前記空隙S又はこの空隙Sを構成する空間については、互いに大きさが異なるもので構成することができる。
このような構成によって、毛細管現象を利用して前記空隙S内に導電性素材を供給(吸引)して導電層Eを形成する場合には、比較的小さい空隙又は空間の方、すなわち毛細管力が強い方に導電性素材を含む液が入り込んで、比較的導電性が高い層が形成される。
例えば、前記合成樹脂成型体を、その横断面中心部において、導電性が高められるように構成したい場合には、この横断面中心部の空隙乃至空間を狭くすることによって、毛細管力が強くなるように構成すればよい。
図6は、ペン先の横断面の電子顕微鏡写真である。
このペン先は、合成樹脂成型体に互いに大きさがほぼ等しい複数の空隙を形成した後、これらの空隙内に、毛細管現象を利用して、導電性素材を充填(供給)して、導電層を形成することによって得られたものである。
図6において、各導電層は、ほぼ均一に形成されているのが分かる。
一方、図7は、ペン先の横断面の電子顕微鏡写真である。
このペン先は、合成樹脂成型体に、互いに大きさが異なる複数の空隙を形成、より具体的には、横断面において、中心部近傍と外周部近傍の空隙が他の空隙よりも小さくなるよう複数の空隙を形成した後、これらの空隙内に、毛細管現象を利用して、導電性素材を充填(供給)して、導電層を形成することによって得られたものである。
図7において、前記中心部近傍と外周部近傍の空隙には、多量の導電性素材が入り込んで、より密な導電層が形成されていることが分かる。
したがって、前記空隙S又はこの空隙Sを構成する空間の大きさを適宜調整することによって、導電性が高い部分(空隙乃至空間)と低い部分を意図的に作り分けることや、所望の位置(空隙)において導電性を高めることが可能となる。
前記合成樹脂成型体2の外径は、その用途によっても異なるが、好ましくはφ0.4~φ3.0、より好ましくはφ0.8~φ3.0、さらに好ましくはφ1.0~φ3.0である。
前記合成樹脂成型体2については、例えば、押出成形によって製造することができる。
この発明において、前記空隙Sには、図8に示すように、その内部に導電性素材で構成された所要の厚さの導電層Eが形成される。
この導電層Eは、前記空隙Sの先端から後端に亘って、軸線方向に沿って形成されるものである。
したがって、前記ペン先1において、先端と後端を導通する導電性が発揮される。
前記導電層Eは、各空隙S表面上において、所要の厚さの層が少なくとも形成されるように構成されていればよい。
したがって、この発明において、前記空隙S内に前記導電性素材を充填したものも、当然、前記導電層Eに含まれる。
なお、前記合成樹脂成型体2をエラストマで構成する場合には、各空隙Sの圧縮変形による柔軟性に起因する筆記性能を発揮させるため、各空隙S表面上に所要の厚さの層を形成して空隙を残すようにすることが好ましい。
その際、前記導電性素材の形態については、特段の制限はない。
したがって、前記導電性素材を、固形状や粉末状など固体系の他、ゲル状、ペースト状、液状などの液体系などの各種形態に調製してもよい。
前記導電性素材としては、例えば、
導電性カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、金属もしくは金属酸化物、導電性セラミックス、導電性有機材料(例えば、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリピロール系導電性高分子、炭素繊維)
などが挙げられる。
さらに、適当な金属粉末や樹脂粉末、無機粉末に低抵抗率の金属をメッキしたものを使用してもよい。
さらにまた、これらの素材の形状として、球状や回転楕円体状、円筒状、多面体状、鱗片状、円盤状、繊維状、針状などから選択することができる。
これらの1種又は2種以上を、任意に混合して使用することができる。
なお、前記導電性素材は、その種類によって導電性が異なるので、用途に応じて適宜選択することができる。
例えば、高い導電性が求められる場合には、金属微粉末を選択し、低い導電性で十分である場合には、導電性カーボンブラックを選択することができる。
前記導電性素材の固着量は、特に限定されるものではなく、タッチパネルに対する検知精度が十分に得られる導電性に応じて最適な量を選択することができる。
したがって、高い導電性が求められる場合には、導電性素材の固着量を多くし、低い導電性で十分である場合には、導電性素材の固着量を少なくすればよい。
前記導電層Eを形成する方法については、前記空隙S内に所要の厚さの導電層を形成することを可能にする方法であればよく、特段の制限はない。
例えば、前記導電性素材を適当な溶媒に分散もしくは溶解させて得られる分散液、溶液又は塗料を、空隙に対して、噴霧、塗布、印刷する方法や、毛細管現象やバキューム(吸引手段)を利用して空隙内に吸い上げて供給する方法、シリンジなどの注入手段による圧入によって空隙内に供給する方法、などの公知の方法を用いて前記導電性素材を前記空隙S内に供給した後、溶媒を乾燥によって除去することによって、あるいは前記導電性素材の粉末を、前記合成樹脂成型体2の空隙S内に直接噴射、塗布等して供給することによって行うことができる。
その際、前記分散液、溶液又は塗料は、その電気抵抗ないし電気伝導率が所望の値になるように調製されていることが好ましい。
あるいは、前記合成樹脂成型体が、図3に示されるように、その軸方向に直交する横断面視において、径方向内側から外側に向かって放射状に延びる複数のリブLと、前記リブL,L間に形成された複数の空隙Sとで形成されるよう構成されたものである場合、前記合成樹脂成型体は環状部RLや連結リブCLを有しないため、各リブL,L間に形成される空隙Sは、径方向外側に向かって開口している(開口部に相当する)ので、この開口側から、前記導電性素材を適当な溶媒に分散もしくは溶解させて得られる分散液、溶液又は塗料を、例えば、ディッピング法、スプレー法、インクジェット法、ディスペンス法、印刷法などの公知の充填方法を用いて、前記空隙S内に供給し、その後、溶媒を乾燥・除去することによって前記導電層Eの形成を行うこともできる。
図9は、前記合成樹脂成型体として、図3に示される、軸方向に直交する横断面視において、径方向内側から外側に向かって放射状に延びる複数のリブLと、前記リブL,L間に形成された複数の空隙Sとで形成されるよう構成された合成樹脂成型体が使用される場合の、ペン先1の製造工程の一例を示すものである。
これらは、いずれも、長尺な合成樹脂成型体2の空隙S内に導電層Eの形成を行い、ロールtoロール方式により長尺なペン先1を連続的に走行させながら行うものである。
このような製造工程によれば、ペン先1を安価に効率良く量産することが可能となる。
なお、図9(A)~図9(C)において、長尺な合成樹脂成型体2は、ロール状に巻回されて成型体供給部(合成樹脂成型体ロール)7にセットされているが、ロール状に巻回する以外の公知の方法によって、合成樹脂成型体2を供給してもよい。
さらに、図9(A)~図9(C)において、導電性素材供給部8の下流側には、乾燥・固化手段10が配置されているが、この乾燥・固化手段10については、連続工程として、前記下流側に適宜配置することができる他、別工程として配置して液状の導電性素材が充填された合成樹脂成型体2を乾燥してもよいし、導電性素材が粉末の状態にある場合には、前記乾燥・固化手段を省略してもよい。
図9(A)において、長尺な合成樹脂成型体2は、成型体供給部(合成樹脂成型体ロール)7から矢印Pの方向に順次供給される。前記供給部7の下流側には、液状の導電性素材(導電性素材を含有する分散液、溶液又は塗料)を供給する導電性素材供給部8が設けられている。前記成型体供給部7から供給された合成樹脂成型体2は、前記導電性素材供給部8を通過する。前記導電性素材供給部8から供給された液状の導電性素材は、合成樹脂成型体2上に供給され、空隙S内に充填される。前記導電性素材供給部8の下流側には、乾燥・固化手段10が配置されており、これを用いて液状の導電性素材が充填された合成樹脂成型体2を乾燥することによって、合成樹脂成型体2の空隙S内に導電層Eが形成される。乾燥・固化手段10の下流側には、成型体回収部(合成樹脂成型体(ペン先)巻き取りロール)11が配置されており、導電層Eが形成された合成樹脂成型体(ペン先1)がロール状に巻き取られて回収される。
なお、図9(A)においては、導電性素材供給部8を一対のスプレー手段8a,8aで構成し、これらの間を合成樹脂成型体2が通過するようにしているが、前記導電性素材供給部8については、一又は複数のスプレー手段で構成してもよい。
さらに、図9(A)においては、スプレー手段8a,8aから液状の導電性素材を合成樹脂成型体2に噴霧することによって導電層Eが形成されるよう構成されているが、前記スプレー手段8a,8aを配設する代わりに一対の送出ローラを設置し、これらのローラ間に供給される合成樹脂成型体2に液状の導電性素材を塗布して導電層Eを形成する等、導電性素材供給部8として公知の手段を用いて、合成樹脂成型体2に導電層Eが形成されるよう構成してもよい。
図9(B)において、長尺な合成樹脂成型体2は、成型体供給部(合成樹脂成型体ロール)7から矢印Pの方向に順次供給される。前記成型体供給部7から供給された合成樹脂成型体2は、ガイドローラ12及び13を介して、液状の導電性素材が貯蔵される導電性素材液槽9中に搬送・浸漬され、液状の導電性素材と接触する。その際、液状の導電性素材と接している合成樹脂成型体2の空隙S内に導電性素材が充填される。導電性素材が充填された合成樹脂成型体2は、前記導電性素材液槽9からガイドローラ14を介して搬送される。前記導電性素材液槽9の下流側には、乾燥・固化手段10が配置されており、これを用いて、液状の導電性素材が充填された合成樹脂成型体2を乾燥することによって、合成樹脂成型体2の空隙S内に導電層Eが形成される。乾燥・固化手段10の下流側には、成型体回収部(合成樹脂成型体(ペン先)巻き取りロール)11が配置されており、導電層Eが形成された合成樹脂成型体(ペン先1)がロール状に巻き取られて回収される。
図9(C)において、長尺な合成樹脂成型体2は、成型体供給部(合成樹脂成型体ロール)7から矢印Pの方向に順次供給される。前記成型体供給部7から供給された合成樹脂成型体2は、ガイドローラ15を介して、液状の導電性素材が貯蔵される導電性素材液槽9中に搬送・浸漬され、液状の導電性素材と接触する。その際、液状の導電性素材と接している合成樹脂成型体2の空隙S内に導電性素材が充填される。導電性素材が充填された合成樹脂成型体2は、前記導電性素材液槽9からガイドローラ15を介して搬送される。前記導電性素材液槽9の下流側には、乾燥・固化手段10が配置されており、これを用いて、液状の導電性素材が充填された合成樹脂成型体2を乾燥することによって、合成樹脂成型体2の空隙S内に導電層Eが形成される。乾燥・固化手段10の下流側には、成型体回収部(合成樹脂成型体(ペン先)巻き取りロール)11が配置されており、導電層Eが形成された合成樹脂成型体(ペン先1)がロール状に巻き取られて回収される。
図9(B)および9(C)に示される製造工程によれば、合成樹脂成型体2の空隙S内に、導電性素材を充填する工程において、合成樹脂成型体2を、液状の導電性素材(導電性素材を含有する分散液、溶液又は塗料)16に浸漬するので、その空隙S内に液状の導電性素材が充填され、その結果、合成樹脂成型体2の空隙S内に対して、むらなく均一に導電性素材を吸着させて導電層Eを形成することができる。さらに、合成樹脂成型体2を、ロール状に巻いた状態で、その空隙S内に、むらなく均一に連続的に導電性素材を充填することができるので、ペン先1を連続的に製造することができる。
なお、前記導電性素材を含む分散液、溶液又は塗料を用いて、前記合成樹脂成型体の空隙内に前記導電性素材を供給する場合、前記導電性素材の導電性やその分散状態、分散液、溶液又は塗料の粘度などに応じて、適当な供給方法を選択することが好ましい。
例えば、前記導電性素材の溶媒への分散性が低く、前記導電性素材の分散液中の分散状態が良好でない場合、毛細管現象を利用した自然吸引では、前記導電性素材が均一に吸引されにくく、その結果、前記合成樹脂成型体において、先端と後端が導通しなくなるおそれがある。
したがって、その場合には、バキュームによる吸引や、シリンジによる圧入によって空隙内に前記導電性素材を供給する方法を選択する。
例えば、前記導電性素材を含む分散液、溶液又は塗料の粘度が低い場合には、高い導電性を有するものであれば、毛細管現象を利用して空隙内に吸い上げて供給する方法を採用することができる。
この場合において、前記ペン先1を構成する合成樹脂成型体2を、その長さが比較的短いもの、例えば、0.2~5mm程度或いは3~5mm程度のものにし、その後端部を保持部材5に収容させる場合には、図10に示されるように、保持部材5内に予め前記導電性素材を含む分散液、溶液又は塗料を供給しておけば、前記保持部材5への前記合成樹脂成型体2の装着時に、前記合成樹脂成型体2の空隙S内に前記導電性素材を含む分散液、溶液又は塗料が毛細管現象或いは圧入によって供給される。
一方、前記導電性素材を含む分散液、溶液又は塗料の粘度が高く、毛細管現象を利用して空隙内に吸い上げて供給する方法を利用できない場合や、バキュームによる吸引や、シリンジによる圧入によって空隙内に前記導電性素材を供給する方法ではペン先の生産性が落ちると見込まれる場合には、前記合成樹脂成型体として、その軸方向に直交する横断面視において、環状部RLを有しない、径方向内側から外側に向かって放射状に延びる複数のリブと、前記リブLにより囲まれて形成された複数の空隙Sを有するもので構成されたものを選択し、公知の充填方法を用いて、前記空隙内に前記導電性素材を供給することができる。
前記溶媒については、特に制限はなく、一般的に塗料に用いられる溶媒を選択することができる。
前記溶媒としては、例えば、
アセトンなどのケトン類、メチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類、水など
を挙げることができる。
これらの1種又は2種以上を、任意に混合して使用することができる。
なお、前記溶媒の使用量については、目的に応じて適宜選択すればよい。
なお、前記分散液、溶液又は塗料には、この発明の効果(導電性)を損なわない範囲において、必要に応じて消泡剤、分散剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、増粘剤、色素などの添加剤を配合することができる。
前記導電層Eは、接着剤によって、これを空隙S内に固定することができる。
前記接着剤としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、酢酸ビニル、ラテックスやシリコンゴム、ニトリルゴムなどのゴム系、ポリビニルアルコールやでんぷん等が挙げられる。
このような構成によって、前記導電性素材が、前記空隙Sから脱落することを、より確実に防止又は抑制することができる。
前記接着剤については、前記導電性素材又はこれを含む分散液、溶液もしくは塗料に配合することによって、あるいは前記導電層Eに塗布することによって、使用することができる。
前記合成樹脂成型体2の外周には、図11~13に示すように、硬質樹脂材料からなる所要の厚さの被膜を形成(コーティング)することによって、外皮部3を形成してもよい。
前記合成樹脂成型体2をエラストマで構成すると、エラストマは極めて優れた柔軟性・防滑性を有するので、この合成樹脂成型体2からなるペン先1は、筆記感において極めて優れたものになる。
一方、その長さによっては、そのまま使用した場合には、柔らか過ぎて軸部2bにおいて折れ曲がりやすく、ペン本体に保持し難くなる。
しかしながら、図11~13に示すように、前記合成樹脂成型体2の外周を被覆するように、前記外皮部3を形成すると、前記合成樹脂成型体2は、これをペン先として使用した場合には、その軸部(保持部)における折れ曲がりが防止されるので、ペン先において優れた保持性能と筆記感を得ることができる。
なお、図13に示すように、前記合成樹脂成型体2が、その軸方向に直交する横断面視において、リブL,L間に径方向外側に向かって開口する空隙Sを有するものである場合(例えば図3および図4)には、外皮部3を、リブL,L間において、径方向内側に向かってやや膨出するよう構成してもよい。
その際、前記合成樹脂成型体2の先端側のタッチ部2a表面と前記外皮部3表面とを、同色又は同色調とすることができる。
このような構成によって、ペン先において、意匠的な調和感、同質感、統一感などが得られる。
前記外皮部3を構成する材料については、前記合成樹脂成型体2をペン先として使用した場合の、軸部2bにおける折れ曲がりを防止できる程度の硬さを有する硬質性樹脂材料であれば、特段の制限はない。
なお、前記ペン先1において、前記合成樹脂成型体2は、その空隙Sに導電層Eが形成されていることによって、導電性を有するので、前記外皮部3は、必ずしも導電性を有する必要がない。
しかしながら、前記外皮部3が導電性を有している場合には、前記外皮部3と前記合成樹脂成型体2の両方が導電性を有するので、タッチパネルに、より検知され易くなる。
一方、前記外皮部3を、絶縁材料又は電気抵抗率が高い素材で構成した場合には、芯部材である前記合成樹脂成型体2のみが導電性を有することになる。
したがって、タッチパネルの画面に接触又は近接することによる誤動作を、防止又は極めて高い確率で抑止することができ、高い精度での入力が可能になる。
前記外皮部(被膜)3については、押出成形などによって形成することができる。
例えば、予め押出成形などで形成された合成樹脂成型体2の外周に対して、ポリアセタール(POM)やポリアミドなどの樹脂を、押出成型で被覆して外皮部3を形成することができる。
その際、前記外皮部(被膜)を構成する材料に顔料を添加して、前記外皮部を着色することが可能である。
さらに、図14に示すように、前記合成樹脂成型体2を、硬質性樹脂材料からなる外皮(外皮部3)で被覆することによって軸部材を得た後、この軸部材の先端部の外皮部3を除去して、内部の合成樹脂成型体2を顕出させ、顕出させた合成樹脂成型体2の先端部をタッチ部とすることができる。
この実施例においては、図14に示すように、前記合成樹脂成型体2の先端部を砲弾状(半球状)とするとともに、外皮部3が先端側に向かって順次肉薄となるように研削加工し、合成樹脂成型体2を先端部表面に顕出させて、タッチ部2aとしたが、前記外皮部3の先端側の一部を切除し、内部の合成樹脂成型体2を表面に顕出させることができれば、先端部の形状については、特段の制限はない。
その際、前記合成樹脂成型体2や、タッチ部2aの長さは、用途に応じて決定することができる。
なお、前記ペン先1を構成する合成樹脂成型体2の長さを比較的短くする、例えば、0.2~5mm程度或いは3~5mm程度にすることによっても、軸部2bにおける折れ曲がりを防止することができる。
その際、図15に示すように、前記合成樹脂成型体2に、その後端部を収容(嵌合)する保持部材5を装着させることによって、ペン先として使用することが可能となる。
図15において、前記保持部材5は、比較的硬質の材料からなるもので、その先端部に、前記合成樹脂成型体2の後端部を収容する筒状部を有する棒状体からなるものである。
この場合において、前記保持部材の前記合成樹脂成型体への装着については、圧入、接
着、溶着など公知の方法によって、行うことができる。
前記保持部材5を主として構成する材料については、前記外皮部3と同様、前記合成樹脂成型体2を収容してペン先として使用する場合に、折れ曲がらない程度の硬さを有する材料であれば、特段の制限はない。
例えば、硬質プラスチック(硬質性樹脂材料)や、金属材料などの硬質性の材料が選択される。
このような硬質性の材料で、前記保持部材5を構成する場合には、その後端部を細くする等して、ペン先自体を小型化することが可能となる。
特に、前記合成樹脂成型体2をエラストマで構成した場合には、ペン先1の先端部においては、柔軟な筆感が得られると同時に、後端部においては、優れた取り扱い性が発揮される。
前記合成樹脂成型体2の先端側のタッチ部2aの外周面(湾曲面)と前記保持部材5の外周面(湾曲面)との接続部位を、図16に示すように、段差のない又は少ない状態で滑らかに繋がるように構成することができる。
このような構成によって、前記タッチ部2aの表面と前記保持部材5の表面とを連続した面のように見せることができるので、ペン先としての外観品質が向上する。
さらに、前記合成樹脂成型体2の先端側のタッチ部2a表面と前記保持部材5表面とを、同色又は同色調とすることができる。
このような構成によって、ペン先において、意匠的な調和感、同質感、統一感などが得られる。
なお、前記保持部材5には、導電性を付与するため、導電性素材を配合してもよい。
このような構成によれば、軸部2bにおける折れ曲がりが防止されることに加え、ペン先1に、その先端から後端まで導通する導電性を付与することができる。
しかも、前記合成樹脂成型体2自体の長さを短くすることができるので、前記導電性素材の空隙S内への供給が容易になるという作用効果が得られ、この空隙S内に形成される導電層の距離(長手方向の長さ)が短くなることから、導電性が向上する(電気抵抗が低くなる)という作用効果も期待できる。
前記合成樹脂成型体2の長さを比較的短くして、これに前記保持部材5を装着させる場合においては、図17(A)に示すように、前記合成樹脂成型体2をそのまま前記保持部材5に収容させてもよいが、図17(B)に示すように、前記合成樹脂成型体2として、前記合成樹脂成型体2の外周を、硬質性樹脂材料からなる外皮(外皮部3)で被覆したものを使用し、これを前記保持部材5に収容させてもよい。
このような構成によれば、前記保持部材5に対して、前記外皮部3を有する合成樹脂成
型体2が、強固に嵌合される。
さらにまた、前記ペン先1については、前記外皮部3の有無に関わらず、図18に示すように、ペンホルダ4内に保持される形態で使用することができる。
図18(A)において、図1に示されるペン先1は、その先端部のみを顕出させた状態で保持されるように、ペンホルダ4に装着されている。
この場合には、このペンホルダ4に、前記合成樹脂成型体2が、その先端部のみが顕出するよう内包されているので、その軸部(保持部)2bにおける折れ曲がりが防止されると同時に、先端部において優れた保持性能と筆記感を得ることができる。
なお、別の形態として、図18(B)において、図11に示されるペン先1は、その後端部を収容(嵌合)固定する筒状の固定部を先端に有する棒状体からなる固定部材6によって、中空のペンホルダ4内に固定されている。
さらに別の形態として、図18(C)において、図15に示されるペン先1は、その後端部を収容(嵌合)固定する筒状の固定部を先端に有する棒状体からなる固定部材6によって、中空のペンホルダ4内に固定されている。
前記ペンホルダの材質については、特に制限はなく、金属材料や硬質樹脂材料などを選択することができる。
なお、使用の際の接触などによって、タッチパネルの表面が傷つくことを防止する観点から、好ましくは硬質樹脂材料が選択される。
かかる構成のペン先は、検知性能と筆記感において極めて優れたもので、静電容量方式や電磁誘導方式など各種の方式のタッチパネル上で位置を検出するためのタッチペン用のペン先として利用可能なものである。
前記ペン先1は、先端から後端まで軸線方向に沿って延びる一又は複数の空隙Sを有する合成樹脂成型体2を形成し、この合成樹脂成型体2の空隙S内に、導電性素材を直接供給して、あるいは導電性素材を含む溶液もしくは分散体、導電性素材と接着剤を含む溶液もしくは分散体、または導電性素材を含む導電性塗料を供給した後に乾燥させて、前記導電性素材を固定して導電層Eを形成せしめることによって、容易に得られる。
その際、前記合成樹脂成型体2の中心C(図8参照)の大きさやその有無、リブL、環状部RL、連結リブCL(図4参照)の大きさなどを調節することによって、タッチパネルへの接地面積を調節し、タッチ部の硬さや摩擦力を調節することができるので、前記ペン先1に適度な筆記感を付与することができる一方、前記空隙S(又はこの空隙Sを構成する空間)の大きさや数、この空隙S内に形成される導電層Eの厚さなどを調節することによって、ペン先1に適度な導電性を付与することができる。
したがって、この発明によれば、前記中心C、リブL、環状部RL、連結リブCL、空隙S、および導電層Eを適宜調節することによって、適度な筆記性能と導電性とを兼ね備えたペン先を提供することができる。
以下に、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明するが、この発明はこれら実施例により制限されることはない。
<実施例1>
(ペン先の製造)
(1)合成樹脂成型体の製造
表面硬さ(JIS K7215:タイプD)53のエラストマ(導電性なし)を、押出成型し、図2に示す横断面形状を構成する複数のリブと空隙を有する合成樹脂成型体(外径φ1.4mm)を得た。
(2)外皮部の形成
得られた合成樹脂成型体の外周に、押出成型によってポリアセタール(導電性なし)をコーティングして外皮部(外径φ2.4mm)を形成して、軸部材を得た。
(3)先端部の研削加工
得られた軸部材の先端の外皮を、研削加工にて除去して合成樹脂成型体を顕出させ、先端を砲弾形状に加工して、全長30mmのペン先を得た。
(4)導電層の形成
得られたペン先の後端部を、導電性カーボンブラック分散液(W-311N;ライオン製)に浸して、合成樹脂成型体の空隙内に、その毛細管作用を利用して、導電性カーボンブラック分散液を吸引させ、後端から先端部に亘って導電性カーボンブラックを付着させた。
得られたものを、乾燥して溶媒を除去して、導電性カーボンブラックを各リブの内壁に固定させて、目的とする導電性のペン先を得た。
<実施例2>
(ペン先の製造)
導電性カーボンブラック分散液に代えて導電性有機材料の水分散液(PEDOT/PSS)を用いること以外は、実施例1と同様の方法により、導電性のペン先を製造した。
<実施例3>
(ペン先の製造)
導電性カーボンブラック分散液に代えて、コロイド状銀微粉末の水分散液を用いること以外は、実施例1と同様の方法により、導電性のペン先を製造した。
<実施例4>
(ペン先の製造)
導電性カーボンブラック分散液に代えてカーボンナノチューブの水分散液を用い、毛細管作用を利用して分散液を吸引する方法に代えて、バキュームにより分散液を強制的に吸引する方法を用いること以外は、実施例1と同様の方法により、導電性のペン先を製造した。
<比較例1>
導電層の形成を行わないこと以外は、実施例1と同様の方法により、ペン先を製造した。
<試験例1> 導電性の評価
上記得られたペン先について、下記試験方法に基づき導電性の評価を行った。
(試験方法)
ペン先の先端部と後端部にテスターを当てて、電気抵抗を測定するとともに、電磁誘導式によるデジタイザーを使用した端末のタッチペンのペン先として実際に使用して、問題なく使用できるかどうかを確認した。
Figure 0007241277000001

(結 果)
実施例1~4において得られたペン先は、いずれも導電性を有し、電磁誘導式によるデジタイザーを使用した端末の、タッチペンのペン先として使用可能なものであった。
以上のことから、この発明のペン先は、適度な導電性を有し、タッチペン用のペン先として有用であることは、明らかである。
<実施例5>
(ペン先の製造)
表面硬さ(JIS K7215:タイプD)53のエラストマ(導電性なし)に代えて表面硬さ(JIS K7215:タイプD)47のエラストマ(導電性なし)を用いること以外は、実施例1と同様の方法により、導電性のペン先を製造した。
<実施例6>
(ペン先の製造)
表面硬さ(JIS K7215:タイプD)53のエラストマ(導電性なし)に代えて表面硬さ(JIS K7215:タイプD)63のエラストマ(導電性なし)を用いること以外は、実施例1と同様の方法により、導電性のペン先を製造した。
<試験例2>
摺動性と防滑性と弾力感のバランス(筆記性能)の評価
上記実施例1~6において得られたペン先の摺動性と防滑性と弾力感のバランスについて、下記評価方法に基づき、評価を行った。
その結果を、表2に示す。
<評価方法>
得られたペン先について、官能評価パネル10名に使用(筆記)時の摺動性と防滑性と弾力感を判別してもらい、下記の評価基準に従って官能評価を行った。
なお、評価は、ポリアセタール(POM)製で、内部構造が無垢(中実)の合成樹脂成型体を対照とし、この対照と比較することによって行った。
Figure 0007241277000002

(結 果)
実施例1~6において得られたペン先は、いずれも対照のペン先と同等以上の摺動性と防滑性と弾力感のバランスを有しており、書きやすさと、筆記性能において優れていた。
以上から、この発明のペン先は、優れた導電性と筆記性能を有することは、明らかである。
この発明のタッチパネル用ペン先は、特定の構造からなる合成樹脂成型体で構成されたもので、その先端から後端まで軸線方向に沿って延びる一または複数の空隙を形成し、前記空隙には、その内部の先端から後端に亘って軸線方向に沿って、導電性素材で構成された所要の厚さの導電層を形成したものである。
したがって、このタッチパネル用ペン先は、タッチパネルの画面との接触の際には、前記合成樹脂成型体を構成する素材に由来する特性は維持されたまま、前記導電層による導電性が発揮されるので、静電容量方式や電磁誘導方式などの各種方式のタッチパネル用ペン先として、より広い用途での使用が可能なものである。
1 タッチパネル用ペン先
2 合成樹脂成型体
2a タッチ部
2b 軸部
3 外皮部
4 ペンホルダ
5 保持部材
6 固定部材
7 成型体供給部
8 導電性素材供給部
8a スプレー手段
9 導電性素材液槽
10 乾燥・固化手段
11 成型体回収部
12,13,14,15 ガイドローラ
16 液状の導電性素材
L リブ
CL 連結リブ
RL 環状部
C 中心部
S 空隙
E 導電層
P 合成樹脂成型体の進行方向

Claims (13)

  1. 合成樹脂成型体で構成されるタッチパネル用ペン先であって、
    前記合成樹脂成型体は、
    その外周部から内側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、前記リブにより囲まれた、一または複数の空隙とを有するもので構成され、
    前記空隙は、
    前記合成樹脂成型体の先端から後端まで、軸線方向に沿って延びるように構成され、かつその内部の先端から後端に亘って軸線方向に沿って形成される、導電性素材で構成された所要の厚さの導電層を有し、
    前記導電層は、
    前記空隙の表面上に所要の厚さの層が少なくとも形成されるように構成され、かつ前記合成樹脂成型体の空隙率が90%~5%になるよう、前記空隙が残されるように構成されていること
    を特徴とするタッチパネル用ペン先。
  2. 前記合成樹脂成型体を構成する樹脂材料は、
    エラストマであること
    を特徴とする請求項に記載のタッチパネル用ペン先。
  3. 前記エラストマは、
    その表面硬さ(JIS K 7215;タイプD)が、40~63のものであること
    を特徴とする請求項に記載のタッチパネル用ペン先。
  4. 前記合成樹脂成型体は、
    その外周を被覆するように形成された、硬質樹脂材料からなる所要の厚さの外皮部を備えること
    を特徴とする請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
  5. 前記合成樹脂成型体は、
    その先端部を、研削加工によって、半球ないし砲弾状、筆状、チーゼル状、クサビ状に形成することによってタッチ部が構成されたものであること
    を特徴とする請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
  6. 前記空隙は、
    互いに大きさの異なる複数の空間が連通してなる一または複数の空隙、あるいは互いに大きさの異なる複数の空隙で構成されていること
    を特徴とする請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
  7. 前記導電性素材は、
    導電性カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、金属もしくはその酸化物、導電性セラミックスおよび導電性有機材料から選択されること
    を特徴とする請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
  8. 前記導電層は、
    前記導電性素材を前記空隙の壁面上に、接着剤を用いて固定することによって形成されていること
    を特徴とする請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
  9. 前記合成樹脂成型体と、前記合成樹脂成型体の後端部を収容する保持部材で構成されること
    を特徴とする請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先。
  10. 外周部から内側に向かって、互いに所定の間隔で放射状に延設した複数のリブと、前記リブにより囲まれた、先端から後端まで軸線方向に沿って延びる、一または複数の空隙と、を有する合成樹脂成型体を形成する工程と、
    前記合成樹脂成型体の空隙内に、導電性素材を含む溶液、分散体または塗料、あるいはこれらのいずれかに接着剤を配合したものを、供給した後、乾燥させて、前記導電性素材を固定して導電層を形成せしめる工程を含み、
    前記導電層は、
    前記空隙の表面上に所要の厚さの層が少なくとも形成されるように構成され、かつ前記合成樹脂成型体の空隙率が90%~5%になるよう、前記空隙が残されるように構成されていること
    を特徴とするタッチパネル用ペン先の製造方法。
  11. 前記タッチパネル用ペン先の電気抵抗ないし電気伝導率が、所望の値になるよう前記溶液、前記分散体または前記塗料を調製する工程を含むこと
    を特徴とする請求項10に記載のタッチパネル用ペン先の製造方法。
  12. 請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先、あるいは請求項10又は11に記載の製造方法によって得られるタッチパネル用ペン先を備えること
    を特徴とするタッチペン。
  13. タッチパネル用ペン先と、前記タッチパネル用ペン先を保持する中空のペンホルダを具備するタッチペンであって、
    前記タッチパネル用ペン先は、
    請求項1~のいずれかに記載のタッチパネル用ペン先、あるいは請求項10又は11に記載の製造方法によって得られるタッチパネル用ペン先であって、
    前記タッチパネル用ペン先の後端部を収容する保持部材と、前記保持部材の後端部を収容して、前記ペンホルダの内部に固定する固定部材を備えること
    を特徴とするタッチペン。
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