JP7239977B2 - 加熱コイルの保管設備 - Google Patents
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Description
ここで、ワークの大きさや形状は様々であり、異なる大きさ又は形状のワークを、共通の加熱コイルで誘導加熱するのは無理である。例えば、クランクシャフトのピン部の周面とカムシャフトのカム部の周面を、同一の加熱コイルで誘導加熱するのは現実的ではない。また、ワークが例えばクランクシャフトである場合、異なる大きさのクランクシャフトのピン部の周面を、同一の加熱コイルで誘導加熱することはできない。同様に、ワークがカムシャフトである場合、同一の加熱コイルで、異なる大きさのカムシャフトのカム部の周面を誘導加熱することもできない。
さらに、高周波誘導加熱装置は、高周波発振器やトランス等を有する大掛かりの装置であり、ワーク毎に高周波誘導加熱装置を用意するのは現実的ではない。
そのため、従来、個々のワークに対応した加熱コイルが、その都度選択されて、高周波誘導加熱装置に着脱可能に装着して使用されている。
特許文献1に開示された高周波焼入装置は、複数の加熱コイルを共通の高周波誘導加熱装置に対して着脱交換して使用する構造を有している。そして、特許文献1の高周波焼入装置は、コイル保管部を有し、高周波誘導加熱装置に装着されていない加熱コイルは、コイル保管部に保管されている。すなわち、使用済みの加熱コイルはコイル保管部に保管し、次の熱処理対象のワークに対応した加熱コイルを、コイル保管部から取り出して高周波誘導加熱装置に装着する。
また、加熱コイルは、良導体である銅や銅合金等で構成されており、剛性が高いとは言えず、外力が作用すると簡単に変形してしまう。加熱コイルが変形すると、誘導加熱中にワークと接触するコイルタッチと呼ばれる事態が生じる恐れがある。コイルタッチが生じると、ワークの高周波焼入が不良となる。
また、その確認作業を怠ると、コイルタッチ等の事故を招く恐れがあった。
この発明の加熱コイルの保管設備では、ワークを誘導加熱した後、高周波誘導加熱装置から取り外した加熱コイルを保管することができる。加熱コイルが取り外された高周波誘導加熱装置には、別の加熱コイルを取り付けることができる。そのため、次の熱処理を速やかに実施することができる。
また、保管設備は、加熱コイルを整備する整備手段を有しているので、誘導加熱処理を実施していない加熱コイルを整備することができる。すなわち、使用されていない加熱コイルを整備することができる。よって、当該加熱コイルを次回使用する機会に、整備された加熱コイルを直ちに使用することができる。
すなわち、現在、高周波誘導加熱装置に装着されている加熱コイルによってワークを高周波誘導加熱している間に、高周波誘導加熱装置から取り外された加熱コイルの整備を実施することができる。
換言すると、ワークの高周波誘導加熱処理を中断することなく、高周波誘導加熱装置から取り外された使用後の加熱コイルの整備を行うことができる。そのため、加熱コイルは、整備が済んだ状態で保管設備に保管され、次回の使用時に備えることができる。すなわち、次回の使用時に、当該加熱コイルを直ちに使用することができる。また、整備(点検)の結果、加熱コイルに不具合があることが判明すると、整備(修理、又は新規なものと交換)し、次回の使用時に備えることができる。
そのため、整備済みの加熱コイルを直ちに高周波誘導加熱装置に装着し、ワークの熱処理を円滑に速やかに実施することができる。
ここで、「任意の加熱コイルのみを取り出し可能である」とは、保管設備から他の加熱コイルを取り出さなくても、所望の加熱コイルを取り出すことができることを意味している。
また、液体を流通させると、加熱コイルが破損している場合には液漏れが発生し、破損箇所を容易に見つけることができる。すなわち、循環供給手段は、加熱コイルの損傷の有無を確認する点検手段としても機能する。
この発明では、加熱コイルの変形の有無を変形確認手段で確認し、仮に変形していることが判明した場合には、当該加熱コイルの次回の使用時までに修理する機会を得ることができる。換言すると、変形した加熱コイルを修理することなく、次回の高周波誘導加熱に使用する事態を回避することができる。
ここで、加熱コイルの変形とは、歪み、損耗、亀裂、破損を含む。変形確認手段としては、加熱コイルを撮影し、正常な形状の加熱コイルの画像と、使用後の加熱コイルの画像を比較したり、作業者が目視によって確認することを含んでいる。また、ダミーのワークを加熱コイルに近接配置して通電試験を実施し、ダミーのワークと加熱コイルの間の通電の有無を確認してもよい。すなわち、コイルタッチの有無を検出することによっても加熱コイルの変形を確認できる。
請求項2に記載の発明は前記加熱コイルの異常の有無を点検する点検領域と、前記加熱コイルをメンテナンスするメンテナンス領域をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の加熱コイルの保管設備である。
請求項3に記載の発明は、前記点検領域に、前記加熱コイルの変形の有無を確認する変形確認手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の加熱コイルの保管設備である。
請求項4に記載の発明は、前記変形確認手段は、前記加熱コイルを撮影するカメラを含むことを特徴とする請求項3に記載の加熱コイルの保管設備である。
請求項5に記載の発明は、搬送装置をさらに有し、前記搬送装置によって、前記加熱コイルを前記収容領域、前記洗浄領域、前記点検領域、及び前記メンテナンス領域に搬送可能であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の加熱コイルの保管設備である。
請求項6に記載の発明は、前記加熱コイルは中空であって、内部に液体を流通させることができるものであり、前記洗浄領域に、前記加熱コイル内に液体を循環供給する循環供給手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱コイルの保管設備である。
請求項7に記載の発明は、前記複数の加熱コイルを個々に収容する保管棚を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の加熱コイルの保管設備である。
図1に示す本実施形態に係る保管設備1は、図12(a)に示す加熱コイル体10を整備し、さらに保管することができる。まず、加熱コイル体10と保管設備1の構成について説明し、続いて保管設備1に加熱コイル体10を保管する手順について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る保管設備1は、収容部2(収容領域)、洗浄部5(洗浄領域)、点検部6(点検領域)、メンテナンス部18(メンテナンス領域)を有する。
各支持部材7は、左右方向に間隔を置いて配置されている。また、各支持部材7は、一対のフック7a、7bを有している。
フック7a、7bは、L字形状を呈している。フック7a、7bのL字の一片は、各々鉛直姿勢の鉛直部8a、8bを構成し、図示していないが、その上端部分が収容部2の上面(天井面)に固定されている。また、フック7a、7bのL字の他の一片は、各々水平姿勢の水平部8c、8dを構成している。水平部8c、8dの自由端(先端)は、鉛直部8a、8bよりも収容部2の前面側に配置されている。
収容部2の上方には、カメラ6a、6b(変形確認手段)が配置されている。カメラ6a、6bは、所定の間隔を置いて配置されている。カメラ6a、6bの間の空間には、加熱コイル体10を配置することができる。カメラ6a、6bは、加熱コイル体10の全体を撮影することが可能な視野角を有する。
図1に示すように、洗浄部5は、収容部2の右方であって収容部2と隣接する位置に設けられている。
洗浄部5は、下方に液槽3を有し、液槽3の上方には複数のエアーノズル4と、洗浄液供給配管16a、16b(循環供給手段)と、回収配管16c、16d(循環供給手段)と、洗浄液供給配管17a、17bが配置されている。図2~図4では、描写の煩雑化を避けるため、洗浄液供給配管16a、16b、回収配管16c、16d及び洗浄液供給配管17a、17bの描写を省略している。
図示しない高周波焼入装置に装着されて金属製のワークを熱処理した加熱コイル体10を高周波焼入装置から取り外し、図2に示すように、搬送装置9で洗浄部5まで搬送する。すなわち、搬送装置9は、支持アーム9a、9bの水平部33a、33bを加熱コイル体10の支持ブロック40の孔41a、41bに挿通し(図12(a))、支持アーム9a、9bで加熱コイル体10を吊り下げることができる。
円板22、23は、同じ大きさ(直径)の剛性部材であり、同一直線上に互いの中心があり、所定の間隔を置いて互いに平行に対向配置されている。すなわち、平行に対向配置された円板22、23の間には空間が形成されており、当該空間は収容部31として機能する。円板22、23の中心同士は、共通の軸部材24で貫通されている。また、円板22、23、軸部材24は一体化されている。すなわち、軸部材24と円板22、23は、図示しないキーによって一体化されている。
図12(a)に示す加熱コイル体10の支持ブロック40の孔41a又は41bのいずれかに、支持部材32(図10)を挿通する。本実施形態では、孔41bに支持部材32を挿通している。そして、この支持部材32の両端部分を、収容部材26の支持孔29、30に係合させる。これにより、加熱コイル体10が収容部材26によって支持されると共に、加熱コイル体10は、収容部材26の収容部31(図10)内に収容される。
3 液槽(整備手段)
4 エアーノズル(整備手段)
5 洗浄部(洗浄領域、点検領域)
6 点検領域
6a~6d カメラ(変形確認手段)
10 加熱コイル体
11 加熱コイル
16a~16d 洗浄液供給配管(循環供給手段)
Claims (7)
- 高周波誘導加熱装置に着脱可能に装着され、金属製のワークに近接させて当該ワークを誘導加熱する加熱コイルを保管する保管設備であって、
前記高周波誘導加熱装置から取り外された前記加熱コイルを保管及び整備するものであり、
前記加熱コイルを整備する整備手段を有し、
仕切られた空間からなり、前記加熱コイルを収容する収容領域を有し、
前記収容領域で複数の前記加熱コイルを保管可能であり、保管された前記複数の加熱コイルから任意の加熱コイルのみを取り出し可能であり、
前記加熱コイルを洗浄する洗浄領域をさらに有し、
前記洗浄領域に液槽が設けられており、前記液槽に貯留した洗浄液に前記加熱コイルを液没させることが可能であることを特徴とする加熱コイルの保管設備。 - 前記加熱コイルの異常の有無を点検する点検領域と、前記加熱コイルをメンテナンスするメンテナンス領域をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の加熱コイルの保管設備。
- 前記点検領域に、前記加熱コイルの変形の有無を確認する変形確認手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の加熱コイルの保管設備。
- 前記変形確認手段は、前記加熱コイルを撮影するカメラを含むことを特徴とする請求項3に記載の加熱コイルの保管設備。
- 搬送装置をさらに有し、
前記搬送装置によって、前記加熱コイルを前記収容領域、前記洗浄領域、前記点検領域、及び前記メンテナンス領域に搬送可能であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の加熱コイルの保管設備。 - 前記加熱コイルは中空であって、内部に液体を流通させることができるものであり、
前記洗浄領域に、前記加熱コイル内に液体を循環供給する循環供給手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱コイルの保管設備。 - 前記複数の加熱コイルを個々に収容する保管棚を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の加熱コイルの保管設備。
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JP2011042871A (ja) | 2009-07-21 | 2011-03-03 | Neturen Co Ltd | 高周波焼入れ異常判定装置及び方法 |
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