JP7239221B2 - 炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチドとその用途 - Google Patents

炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチドとその用途 Download PDF

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Description

本出願は、2019年02月20日付で出願された大韓民国特許出願第10-2019-0019957号を優先権として主張し、前記明細書の全体は、本出願の参考文献である。
本発明は、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、配列番号3のアミノ酸配列及び配列番号4のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のアミノ酸配列を含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチドに関する。
本発明は、さらに配列番号1~4のうちいずれか一つ以上のペプチドを含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療用薬学的組成物ないし抗炎症用組成物に関する。
本発明は、さらに配列番号1~4のうちいずれか一つ以上のペプチドを含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法ないし治療薬物の製造時に使用するための用途に関する。
免疫寛容(immune tolerance)とは、ある特定の抗原に免疫反応性のない状態(unresponsiveness)をいい、免疫力が全体的にない免疫不全とは区分される。これは免疫恒常性の維持及び体内の炎症の抑制に重要であるため、もし欠乏する場合、炎症性疾患ないし自己免疫性疾患などの疾患を誘発し得る。
前記疾患のうち関節炎は、大きく二つのカテゴリーに分けられ、100種以上の様々なタイプがある。1番目のカテゴリーとして「骨関節炎」は、関節を保護する軟骨の損傷または退行性変化により、骨ないし靭帯などで炎症と痛みが生じる疾患で、よく「退行性関節炎」と呼ばれる。2番目のカテゴリーは、「炎症性関節炎」で、過度の免疫体系が関節の内壁を攻撃して発生するすべてのタイプを含む。前記炎症性関節炎では、関節リウマチが代表的であるが、これは遺伝的または環境的要因によって発生することが知られており、代表的な自己免疫性疾患でもある。関節リウマチは、全体の人口の約1%が経験しており、女性ホルモンの影響で女性が男性よりもよく発生することが知られている。関節リウマチが発症する原因の一つは、炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインとの間の不均衡であるが、関節リウマチの炎症部位にはTNF-α、IL-1またはIL-6のような炎症を誘発するサイトカイン(cytokine)とリンパ球及びマクロファージのような免疫細胞が活性化されている。前記炎症誘発性サイトカインは、関節内に炎症誘発性サイトカインを集め、破骨細胞を直接活性化させる。また、T cellとB cellを活性化させ、軟骨と軟骨細胞の異化作用(分解する作用)を促進させる。
医薬品産業は、大きく化学的合成を介して生産される低分子化学医薬品産業と生物学的方法によって生産されてタンパク質及びワクチンなどが中心となる高分子のバイオ医薬品産業に分けられる。化学医薬品は、分子量が小さく、体内によく吸収されるので、錠剤などの経口投与剤として多く開発されるが、バイオ医薬品は、分子量が大きく、吸収されにくい点、タンパク質などが胃で分解されるおそれがある点ないし水溶液でより安定した性質などにより、主に注射剤の形態で開発されている。
最近では、生物体の機能及び情報を活用して作られたバイオ医薬品市場が、化学的合成医薬品市場よりも急速に成長して変化しているが、バイオ医薬品は、特異性が高く、副作用が少なく、異常免疫反応確率も少ないだけでなく、体内不足タンパク質の代替医薬品として使用可能であるという長所がある。また、生物由来の物質を用いるため、毒性が低く、安全性が大きく、難治性・慢性疾患においても優れた治療効果を持っている。しかし、合成医薬品に対して大きな分子量と複雑な分子構造を有しており、製造過程が難しいという短所がある。
したがって、大きく複雑な分子構造を持つタンパク質のようなバイオ医薬品においてターゲット受容体に特異的に結合する部分だけを選択的に探し出して低分子のペプチドとして開発する研究が進められている。ペプチドは、機械的な合成による大量生産が可能で、長さが短いので抗原性が低く、生産工程が単純で生産コストが少ないという利点があるため、既存のタンパク質治療剤に代わる製品として注目されている。
また、分子量が高い物質や脂溶性が高い物質が体内に適用されたとき、生体内で肝臓等に蓄積されているものとは異なり、低分子量ペプチドは、生体内で作用後に体外に排出されて生体内の毒性のリスクがなく、タンパク質医薬品とともに体内注射の際、免疫反応による抗体発生などの副作用のリスクが少なく、標的となる物質と特異的に結合するため、高い活性を示すことができる。
最近、白血病細胞株であるK562細胞培養液から最初に分離されたK562タンパク質は、炎症性サイトカイン発現の抑制調節因子で炎症因子と抗炎症因子との間の不均衡を合わせることができる新しい抗炎症剤の候補物質として知られている。また、K562タンパク質全長(full-length)の316番メチオニン(methionine)残基から翻訳されたタンパク質は、truncated K562タンパク質(tK562、19kDa)と呼ばれ、これはK562タンパク質全長と似たような程度の炎症性サイトカイン阻害効果を示すことが確認された。
非特許文献1では、慢性リンパ性白血病(B-cell chronic lymphocytic Leukemia)細胞株にIL-10受容体が発現し、前記細胞株にIL-10を処理する場合、増殖が抑制されることが開示されている。しかし、炎症性疾患、特に自己免疫性関節炎の発生メカニズムは、まだ明確ではなく、治療法は、依然として制限的である。また、慢性骨髄性白血病(chronic myelocytic leukemia)細胞株であるK562細胞株とIL-10との関連性ないしK562タンパク質の抗炎症効果を引き起こす実質的な部位に対する研究ないし記載は開示されたことがない。
1.Jesper Jurlander et al.,「Characterization of InterLeukin-10 Receptor Expression on B-cell Chronic Lymphocytic Leukemia cells」(Blood、Vol 89、No 11(June 1)、1997:pp 4146-4152)
そこで、本発明者らは、抗炎症効果ないし自己免疫性疾患の予防または治療に効果があり、安全かつ医薬品などに開発されるのに適したサイズ(分子量)のペプチドを生物学的製剤として提供するために鋭意努力した。その結果、truncated K562サイトカイン(tK562)の中から実質的に抗炎症効果を起こすのに必ず必要なペプチド(エピトープ)を分離し、これはtK562全長よりサイズも小さく、より効果的に炎症性サイトカインの分泌を抑制することを確認し、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、配列番号3のアミノ酸配列及び配列番号4のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のアミノ酸配列を含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチドを提供するものである。
本発明のさらに他の目的は、配列番号1~4のうちいずれか一つ以上のペプチドを含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療用薬学的組成物ないし抗炎症用組成物を提供するものである。
本発明のさらに他の目的は、配列番号1~4のうちいずれか一つ以上のペプチドを含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法ないし治療薬物の製造時に使用するための用途を提供するものである。
前記目的を達成するため、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、配列番号3のアミノ酸配列及び配列番号4のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のアミノ酸配列を含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチドを提供する。
本発明は、さらに配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む、炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療用薬学的組成物、炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法、ないし炎症性疾患または自己免疫性疾患治療の薬物の製造の際に使用するための用途を提供する。
本発明の好適な一実施例によれば、前記配列番号1を暗号化する塩基配列は、配列番号7であり、前記配列番号2を暗号化する塩基配列は、配列番号8であり、前記配列番号3を暗号化する塩基配列は、配列番号9であり、前記配列番号4を暗号化する塩基配列は、配列番号10であってもよい。
本発明の好適な一実施例によれば、前記炎症性疾患は、膵炎、慢性肝炎、食道炎、胃炎、大腸炎、肺炎、気管支炎、咽喉炎、心筋梗塞、心不全、アルツハイマー病、関節炎、腎不全、乾癬、貧血、糖尿及び線維化症からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のものであってもよい。
本発明の好適な一実施例によれば、前記関節炎は、骨関節炎、退行性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、剥離性骨軟骨炎、関節靭帯損傷、半月板損傷、関節の不正整列、無血性壊死症、及び若年性特発性関節炎からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のものであってもよい。
本発明の好適な一実施例によれば、前記自己免疫性疾患は、アロペシア・グレアータ(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン疾患、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、腹腔スプルー-皮膚炎(celiac sprue-dermatitis)、慢性疲労免疫異常症候群、慢性炎症性脱髓鞘多発性神経病症、Churg-Strauss症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素疾患、クローン病、円板性狼瘡、本態性複合寒冷グロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス疾患、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA神経炎、骨軟骨腫関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、タイプIまたは免疫-媒介糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発軟骨炎、自己免疫性多腺症候群、リウマチ多発性筋痛、多発性筋炎と皮膚筋炎、一次性無ガンマグロブリン血症、一次性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイド症、鞏皮症、スティッフパーソン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、ダガヤス動脈炎、一時的動脈炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、強皮症、ベーチェット病、円形脱毛症、喘息、アレルギー、白斑症及びウェゲナー肉芽腫からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のものであってもよい。
本発明は、さらに配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む抗炎症用組成物を提供する。
以下、本発明の用語を説明する。
本発明の「truncated K562サイトカイン」ないし「tK562」は、K562タンパク質(サイトカイン)の全配列のうち、316番メチオニン(methionine)残基から翻訳されたタンパク質(サイトカイン)を意味する。
本発明の「エピトープ」とは、単一または複数のペプチドを含有するペプチドを意味する。本発明では、tK562を構成するペプチドの中でtK562の抗炎症効果を示すのに実質的に必要なペプチド部分及びこれと実質的に同一のすべての類似体を意味する。
本発明の「抗炎症」とは、炎症に関連した因子ないし症状などが抑制ないし緩和されて炎症が悪化しないようにすることを意味する。
以下、本発明をより詳細に説明する。
上述したように、従来の炎症性疾患の予防または治療のために使用されるK562サイトカインのようなペプチドは、そのサイズないし分子量があまりにも大きすぎて体内吸収が難しいという点など医薬品として開発されるのに問題が存在した。これを克服するため、サイズないし分子量が小さいながらも効果に優れたペプチドに対する研究ないし開発が求められているのが実情である。
本発明による配列番号1~4のうちいずれか一つのアミノ酸配列からなるペプチドは、K562サイトカインないしtruncated K562サイトカインで抗炎症効果を起こすのに実質的に必要なエピトープであって、K562サイトカインないしtruncated K562サイトカイン全長を使用する場合に比べて炎症性サイトカイン分泌抑制効果に優れており、そのサイズないし分子量も小さいので、炎症性疾患ないし自己免疫性疾患の予防または治療効果のある組成物として活用されるのに適している。
本発明は、truncated K562サイトカイン(tK562)の3次元構造を独自的な電算シミュレーション手法を用いた相同性モデリング(homology modeling)を介して最初に生成した(図1)。具体的には、PSI-BLAST検索を通じてtK562と高い相同性を有するタンパク質を探し出し、これを多重配列アラインメント(multiple sequence alignment;、MSA)により様々な鋳型タンパク質を作製した。tK562と前記様々な鋳型タンパク質の相同性モデリングを行った後、エネルギー最小化過程によって構造を最適化してtK562の3次元構造を確定した(図3)。
前記PSI-BLASTは、タンパク質-タンパク質配列の類似性検索方法により、しきい値以上の点数を持つ配列の多重配列アラインメント(MSA)からPSSM(position-specific scoring matrix)を生成する(図2)。PSSMは、反復検索を通じて、高い点数(すなわち、高い類似性)を持つ配列を発見し、結果的に、タンパク質間の遠い関係を検出しうる。本発明のtK562の場合、その全体配列に対して高い相同性を有するタンパク質が存在しないため、配列の一部分と高い相同性を有するタンパク質を選んだ。多重配列アラインメントは、配列データの簡潔かつ有益な要約を生成し、結果から相同性を推論し、配列間の進化関係を検証するために類似した長さの3つ以上の配列を整列する。
IL-10は、関節リウマチなどの自己免疫性疾患において多く生成されるサイトカインであるIL-1、IL-6、TNF-α及びIFN-γの抑制作用をする。IL-10とIL-10受容体(IL-10R-α)との結合は、免疫抑制信号を調節して炎症性サイトカインの合成を抑制し、T細胞及びB細胞の成長及び分化を調節して免疫刺激機能を果たす。具体的には、IL-10は、二量体(dimer)の形態でIL-10受容体に結合することにより、段階的にチロシンキナーゼ(TYK2)とヤヌスキナーゼ(JAK1)をリン酸化させ、STAT3をリン酸化させることにより、結果的に抗炎作用の信号を伝達する。このとき、tK562によってリン酸化されるチロシン496番がまさにヤヌスキナーゼ部位である(実施例2)。
本発明において独自に構築された相同性モデリングによって作製されたtK562構造をドッキングプロトコルを使用して二量体に作製した後、IL-10と比較した結果、量子配列ないし構造的に類似していることを確認しており(実施例3)、特にIL-10がIL-10受容体と結合する部分(活性部位)が有意に類似していることを確認した(実施例4)。
そこで、本発明者らは、前記IL-10の活性部位と相同性の高いtK562部分の中で炎症性疾患ないし自己免疫性疾患に対して予防または治療活性を有することができる短いエピトープを選別し、本発明の配列番号1~4のペプチド(AIP-YK1~4)として提案した(表1)。配列番号5は、tK562のアミノ酸配列を示し、配列番号6は、tK562の塩基配列を示す。
本発明のAIP-YK1~AIP-YK4エピトープが実質的に抗炎症活性を有するかどうかを確認するため、Th17細胞分化実験を行った。Th17細胞は、カビやバクテリアの免疫防御に重要な役割を果たすが、炎症性(inflammatory)サイトカインであるIL-17またはIL-22などを生産し、様々な自己免疫性疾患を誘発する細胞として知られている。その結果、本発明のエピトープは、すべてtK562(配列番号5または配列番号6)と同じであるか、または優れたレベルの抗炎症活性を示し、その中でもAIP-YK4がVIP(neuropeptide vasoactive intestinal peptide)と類似したレベルの抗炎症活性を示した(実施例5)。すなわち、K562の中で実質的に抗炎症活性を示すのに必要な部位は、AIP-YK1~AIP-YK4であることが確認できた。
前記VIP(neuropeptide vasoactive intestinal peptide)は、28個のアミノ酸配列(His Ser Asp Ala Val Phe Thr Asp Asn Tyr Thr Arg Leu Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Asn Ser Ile Leu Asn)を有するニューロ(神経)ペプチドで、関節リウマチの炎症ないし自己免疫成分を減少させる効果があることが知られている。
したがって、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、配列番号3のアミノ酸配列及び配列番号4のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のアミノ酸配列を含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチドを提供しうる。
前記配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドは、そのN末端及びC末端にアミノ酸が追加された形態でも炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有してもよく、これは配列番号1のアミノ酸配列の形態であってもよい。
また、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列を含む炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチドを提供しうる。
前記配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドは、そのN末端及びC末端にアミノ酸が追加された形態でも炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有してもよく、これは配列番号2のアミノ酸配列の形態であってもよい。
また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む、炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療用薬学的組成物、炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法ないし炎症性疾患または自己免疫性疾患治療の薬物の製造の際に使用するための用途を提供しうる。
本発明の前記薬学的組成物は、配列番号1~4のアミノ酸配列をそれぞれ暗号化する塩基配列であれば制限なく含んでもよいが、前記配列番号1を暗号化する塩基配列は、配列番号7であり、前記配列番号2を暗号化する塩基配列は、配列番号8であり、前記配列番号3を暗号化する塩基配列は、配列番号9であり、前記配列番号4を暗号化する塩基配列は、配列番号10であることが好ましい。
本発明の前記炎症性疾患は、Th17またはIL-17が関与する炎症性疾患であれば制限なしに該当し得るが、膵炎、慢性肝炎、食道炎、胃炎、大腸炎、肺炎、気管支炎、咽喉炎、心筋梗塞、心不全、アルツハイマー病、関節炎、腎不全、乾癬、貧血、糖尿及び線維化症からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることが好ましく、さらに好ましくは、関節炎であることが好ましい。
本発明の前記関節炎は、骨関節炎、退行性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、剥離性骨軟骨炎、関節靭帯損傷、半月板損傷、関節の不正整列、無血性壊死症、及び若年性特発性関節炎からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の前記自己免疫性疾患は、Th17またはIL-17が関与する自己免疫性疾患であれば制限なく該当してもよいが、アロペシア・グレアータ(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン疾患、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、腹腔スプルー-皮膚炎(celiac sprue-dermatitis)、慢性疲労免疫異常症候群、慢性炎症性脱髓鞘多発性神経病症、Churg-Strauss症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素疾患、クローン病、円板性狼瘡、本態性複合寒冷グロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス疾患、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA神経炎、骨軟骨腫関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、タイプIまたは免疫-媒介糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発軟骨炎、自己免疫性多腺症候群、リウマチ多発性筋痛、多発性筋炎と皮膚筋炎、一次性無ガンマグロブリン血症、一次性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイド症、鞏皮症、スティッフパーソン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、ダガヤス動脈炎、一時的動脈炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、強皮症、ベーチェット病、円形脱毛症、喘息、アレルギー、白斑症及びウェゲナー肉芽腫からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることが好ましく、さらに好ましくは、関節リウマチであることが好ましい。
本発明の組成物は、経口または非経口の様々な剤形であってもよい。前記組成物を剤形化する場合には、一つ以上の緩衝剤(例えば、生理食塩水またはPBS)、抗酸化剤、静菌剤、キレート化剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、充填剤、増量剤、結合剤、アジュバント(例えば、アルミニウムハイドロオキサイド)、懸濁剤、濃厚剤、湿潤剤、崩解剤または界面活性剤、希釈剤または賦形剤を使用して調製されてもよい。
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、一つ以上の化合物の少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉(トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉などを含む)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールマルチトール、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチル-セルロースまたはゼラチンなどを混合して調剤される。例えば、活性成分を固体賦形剤と配合した後、これを粉砕し、適切な補助剤を添加した後、顆粒混合物に加工することにより、錠剤または糖衣錠剤が得られる。
また、単純な賦形剤の他にステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤としては懸濁剤、内用液剤、乳剤またはシロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤または保存剤などが含まれてもよい。また、場合に応じて架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはナトリウムアルギネートなどを崩解剤として添加してもよく、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などをさらに含んでもよい。
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁溶剤、乳剤、凍結乾燥製剤または坐剤などが含まれる。非水性溶剤及び懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されてもよい。坐剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール、ゼラチンなどが使用されてもよい。
本発明の薬学的組成物は、経口または非経口で投与されてもよく、非経口投与時に皮膚外用と、腹腔内、直腸、静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳血管内に注射する注射剤と、経皮投与剤と、または鼻腔吸入剤の形態で当業界に公知された方法によって剤形化してもよい。
前記注射剤の場合には、必ず滅菌されなければならず、バクテリア及び真菌のような微生物の汚染から保護されなければならない。注射剤の場合、適切な担体の例としては、これに限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの混合物及び/又は植物油を含む溶媒または分散媒質であってもよい。より好ましくは、適切な担体としては、ハンクス溶液、リンガー溶液、トリエタノールアミンが含有されたPBS(phosphate buffered saline)または注射用滅菌水、10%エタノール、40%プロピレングリコール及び5%デキストロースなどの等張溶液などを使用してもよい。前記注射剤を微生物汚染から保護するためには、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの様々な抗菌剤及び抗真菌剤をさらに含んでもよい。また、前記注射剤は、ほとんどの場合、糖又はナトリウムクロリドのような等張化剤をさらに含んでもよい。
経皮投与剤の場合、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、外用液剤、パスタ剤、リニメント剤、エアロール剤などの形態が含まれる。前記において経皮投与は、薬学組成物を局所的に皮膚に投与して薬学組成物に含有された有効な量の活性成分が皮膚内に伝達されることを意味する。
吸入投与剤の場合、本発明により使用される化合物は、適切な推進剤、例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体を使用して、加圧パックまたは煙霧機からエアゾールスプレーの形態で便利に伝達しうる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を伝達する弁を提供して決定してもよい。例えば、吸入器または吹込器に使用されるゼラチンカプセル及びカートリッジは、化合物、及びラクトースまたは澱粉などの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有するように剤形化してもよい。非経口投与用剤形は、すべての製薬化学に一般的に公知された処方書である文献(Remington's Pharmaceutical Science、15th Edition、1975.Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania 18042,Chapter87:Blaug,Seymour)に記載されている。
本発明の組成物は、薬剤学的に有効な量で投与する。薬剤学的に有効な量は、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効容量のレベルは、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出割合、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医療分野によく知られている要素によって決定されてもよい。本発明の組成物は、個別治療剤として投与するか、または他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは、順次または同時に投与されてもよく、単一または多重投与されてもよい。すなわち、本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与されてもよく、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与されてもよい。前記要素をすべて考慮し、副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定され得る。
本発明の薬学的組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度に応じてその範囲は多様である。一日投与量としては、非経口投与時に本発明のペプチドを基準に一日に体重1kg当たり、好ましくは、0.01~50mg、より好ましくは、0.1~30mgの量で投与されるように、そして、経口投与時には、本発明のペプチドを基準に一日に体重1kg当たり、好ましくは、0.01~100mg、より好ましくは、0.01~10mgの量で投与されるように、1ないし数回に分けて投与してもよい。しかし、投与経路、肥満の重症度、性別、体重、年齢などによって増減してもよいので、前記投与量がどのような方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の組成物は単独で、または手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療及び生物学的反応調節剤を使用する方法と併用して使用してもよい。
本発明の薬学組成物は、さらにペプチドを有効成分として含む外用剤の剤形として提供しうる。本発明の炎症性ないし自己免疫性疾患の予防及び治療用薬学組成物を皮膚外用剤として使用する場合、さらに脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型乳化剤、非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性活性剤、親油性活性剤または脂質小胞など皮膚外用剤に通常使用される任意の他の成分のような皮膚科学分野において通常使用される補助剤を含有してもよい。また、前記成分は、皮膚科学分野において一般的に使用される量で導入されてもよい。
本発明の炎症性ないし自己免疫性疾患の予防及び治療用薬学組成物が皮膚外用剤として提供される場合、これに制限されるものではなく、軟膏、パッチ、ゲル、クリームまたは噴霧剤などの剤形であってもよい。
また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む抗炎症用組成物を提供しうる。
本発明の配列番号1~4のアミノ酸配列のうちいずれか一つの配列を含むペプチドは、IL-17などの炎症性サイトカインの分泌ないし発現を有意に抑制でき、炎症性または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有することができる。したがって、前記ペプチドのうちいずれか一つ以上を含む組成物は、炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療用薬学的組成物、治療方法、治療薬物の製造時に使用するための用途ないし抗炎症用組成物として効果的である。
図1は、truncated K562サイトカインの相同性モデリングのために行うコンピュータ模写段階を示す。 図2は、truncated K562サイトカインのPSI-BLAST検索結果を示す。BLOSUM45 scoring matrix及びE-値カットオフ値30を用いて高い点数を持つ6つの相同性タンパク質を確認した。 図3は、本発明の相同性モデリングによって確定されたtruncated K562サイトカインの構造を示す。 図4は、IL-10(上段)及びtruncated K562サイトカイン(下段)のアミノ酸配列の比較結果及びその構造を示す。両配列の類似度が高いほど濃い青色で表示され、類似度が低いほど色は明るくなり、最終的に白色で表示された。 図5は、truncated K562サイトカイン二量体(dimer)構造及び配列番号1(AIP-YK1)、2(AIP-YK2)、3(AIP-YK3)及び4(AIP-YK4)のアミノ酸配列を示す。 図6は、Th17細胞分化実験の結果を示す。本発明の配列番号1(AIP-YK1、pep1)、2(AIP-YK2、pep2)、3(AIP-YK3、pep3)及び4(AIP-YK4、pep4)のペプチドは、IL-17の抑制効果を有し、特にpep4は、陽性対照群であるVIP(neuropeptide vasoactive intestinal peptide)と類似の程度の抗炎症効果を示すことが確認された。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈しないことは、当該技術分野において通常の知識を有する者にとって自明であろう。
truncated K562サイトカイン3次構造確認
truncated K562サイトカイン(tK562)の3次構造を確認するため、すべてのモデリングと計算は、Discovery studio 4.5(Biovia、San Diego、CA、USA)のプロトコルを使用して行った。
具体的には、PSI blast search tool(position-specific iterated basic local alignment search tool)を介してtK562の配列と部分的に相同性の高い多様なタンパク質を確認したが、相同性タンパク質は、E値カットオフ値30を持つBLOSUM45スコアリングマトリックスを使用して調査した。前記相同性の高い様々なタンパク質を再び多重整列(multiple sequence alignments;MSA)を行って多数の鋳型タンパク質とtK562サイトカインの相同性モデリングを行った(図2)。その後、エネルギー最小化過程を介して構造を正確に最適化した。
その結果、図3に示すように、tK562サイトカインの3次元的な構造が得られた。
truncated K562サイトカインのリン酸化パターン分析
K562サイトカインないしtruncated K562サイトカイン(tK562)の抗炎症効果メカニズムを確認するため、リン酸化パターンを分析した。
具体的には、K562サイトカイン全長ないしtK562を発現する形質転換マウスを作製し、その細胞信号伝達タンパク質のリン酸化パターンを分析した。
その結果、マクロファージにおいてリン酸化が大きく変化した受容体または細胞内のタンパク質が発見された。そのうち、IL-10が結合するIL-10受容体サブユニットアルファ(IL-10R-α)のチロシン496がリン酸化されたことを確認した。したがって、本発明者らは、K562サイトカインないしtK562がIL-10と類似したメカニズムでIL-10受容体に作用すると判断した。
truncated K562サイトカインエピトープ選別
本発明者らは、IL-10とtruncated K562サイトカイン(tK562)が類似してIL-10受容体に作用して抗炎症効果を示すものと予想し、tK562とIL-10を比較してtK562で実際の抗炎症効果を示すのに必ず必要な部分(エピトープ;epitope)が存在できる領域の候補を確認した。
具体的には、tK562とIL-10の配列及び構造類似性を比較し、tK562とIL-10R-αの間のドッキングシミュレーションは、ZDOCKアルゴリズムのドッキングプロトコルを使用して行った。これによってtK562二量体を作製して脱溶媒(desolvation)エネルギー、静電気及び構造相補性に基づいて可能なすべての結合モードを探し出し、IL-10の活性部位と相同性の高いtK562エピトープを選別した。
Figure 0007239221000001
その結果、図4に示すように、二つのタンパク質の配列は、約48%の高い相同性を有し、特に前記相同性を有する配列部位は、IL-10とIL-10受容体(IL-10R-α)が結合する部分、すなわち、IL-10の活性部位に該当することを確認した。また、前記表1及び図5に示すように、計4種類の短いペプチド配列を有するtK562エピトープ(AIP-YK1、AIP-YK2、AIP-YK3及びAIP-YK4)を最終的に選別した。各エピトープの分子量は、2kDa未満であった。
truncated K562サイトカインエピトープのTh17細胞分化実験
前記実施例3で提案した4種のtruncated K562サイトカイン(tK562)エピトープの抗炎症効果を確認するため、Th17細胞の分化実験を行った。
具体的には、製作者の指針によって磁気活性化細胞選別(magnetic activated cell sorting;MACS)CD4+T細胞分離キット(Miltenyi Biotec,Cologne,Germany)を使用して野生型Balb/cマウスの脾臓からnaiveCD4+T細胞を分離した。分離したnaive CD4+T細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、VIP(neuropeptide vasoactive intestinal peptide)またはAIP-YK1~4を処理した後、RPMI培地で3日間培養した。前記RPMI培地は、Th17細胞の分化を刺激するため、1g/ml抗-CD3(eBioscience、San Diego、CA、USA)、1g/ml抗-CD28(eBioscience)、2ng/mlTGF-β(R&Dシステム、Minneapolis、MN、USA)、20ng/mlIL-6(BioLegend、San Diego、CA、USA)、5μg/ml抗-IFN-γ(BioLegend)及び5g/ml抗-IL-4(BioLegend)を含む。培養後、抗-CD3及び抗-CD28抗体で24時間刺激してTh17細胞から分泌されたIL-17のレベルをqPCRで測定した。
その結果、図6に示すように、本発明のAIP-YK1~4ペプチドは、すべてIL-17抑制活性を示すことが確認できた。具体的には、IL-17サイトカインの濃度は、炎症誘発時(TH17[W1])に935pg/ml、陽性対照群であるVIP処理時に547pg/ml、AIP-YK1(pep 1)、2(pep 2)、3(pep 3)または4(pep 4)処理時にそれぞれ748,666,750または569pg/mlであった。すなわち、本発明で選別したエピトープは、IL-17を効果的に抑制でき、特にAIP-YK4は、VIPと類似したレベルで最も優れたIL-17の抑制効果を示すことを確認した。
本発明で提供するペプチドは、truncated K562サイトカイン(tK562)の中で実質的に抗炎症効果を起こすのに必ず必要なペプチド(エピトープ)を分離して抗炎症効果ないし自己免疫性疾患の予防または治療に効果があり、安全かつ医薬品などに開発されるのに適したサイズ(分子量)のペプチドなので、産業上の利用可能性が大きい。
配列表Free Text
配列番号1は、本発明で提供する抗炎症効果ないし自己免疫性疾患の予防または治療効果があるAIP-YK1ペプチド(エピトープ)の配列で、31個のアミノ酸配列である。
配列番号2は、本発明で提供する抗炎症効果ないし自己免疫性疾患の予防または治療効果があるAIP-YK2ペプチド(エピトープ)の配列で、31個のアミノ酸配列である。
配列番号3は、本発明で提供する抗炎症効果ないし自己免疫性疾患の予防または治療効果があるAIP-YK3ペプチド(エピトープ)の配列で、26個のアミノ酸配列である。
配列番号4は、本発明で提供する抗炎症効果ないし自己免疫性疾患の予防または治療効果があるAIP-YK4ペプチド(エピトープ)の配列で、18個のアミノ酸配列である。
配列番号5は、truncated K562サイトカイン(tK562)のアミノ酸配列である。
配列番号6は、truncated K562サイトカイン(tK562)の塩基配列である。
配列番号7は、AIP-YK1(配列番号1)の塩基配列である。
配列番号8は、AIP-YK2(配列番号2)の塩基配列である。
配列番号9は、AIP-YK3(配列番号3)の塩基配列である。
配列番号10は、AIP-YK4(配列番号4)の塩基配列である。
なお、一側面において本開示は以下の発明を包含する。
(発明1)
配列番号1のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、配列番号3のアミノ酸配列及び配列番号4のアミノ酸配列からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のアミノ酸配列を含む、炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療活性を有するペプチド。
(発明2)
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む、炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
(発明3)
前記配列番号1を暗号化する塩基配列は、配列番号7であり、前記配列番号2を暗号化する塩基配列は、配列番号8であり、前記配列番号3を暗号化する塩基配列は、配列番号9であり、前記配列番号4を暗号化する塩基配列は、配列番号10であることを特徴とする、発明2に記載の薬学的組成物。
(発明4)
前記炎症性疾患は、膵炎、慢性肝炎、食道炎、胃炎、大腸炎、肺炎、気管支炎、咽喉炎、心筋梗塞、心不全、アルツハイマー病、関節炎、腎不全、乾癬、貧血、糖尿及び線維化症からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明2に記載の薬学的組成物。
(発明5)
前記関節炎は、骨関節炎、退行性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、剥離性骨軟骨炎、関節靭帯損傷、半月板損傷、関節の不正整列、無血性壊死症、及び若年性特発性関節炎からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明4に記載の薬学的組成物。
(発明6)
前記自己免疫性疾患は、アロペシア・グレアータ(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン疾患、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、腹腔スプルー-皮膚炎(celiac sprue-dermatitis)、慢性疲労免疫異常症候群、慢性炎症性脱髓鞘多発性神経病症、Churg-Strauss症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素疾患、クローン病、円板性狼瘡、本態性複合寒冷グロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス疾患、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA神経炎、骨軟骨腫関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、タイプIまたは免疫-媒介糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発軟骨炎、自己免疫性多腺症候群、リウマチ多発性筋痛、多発性筋炎と皮膚筋炎、一次性無ガンマグロブリン血症、一次性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイド症、鞏皮症、スティッフパーソン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、ダガヤス動脈炎、一時的動脈炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、強皮症、ベーチェット病、円形脱毛症、喘息、アレルギー、白斑症及びウェゲナー肉芽腫からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明2に記載の薬学的組成物。
(発明7)
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む、抗炎症用組成物。
(発明8)
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを炎症性疾患または自己免疫性疾患の患者に投与する段階を含む、炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法。
(発明9)
前記配列番号1を暗号化する塩基配列は、配列番号7であり、前記配列番号2を暗号化する塩基配列は、配列番号8であり、前記配列番号3を暗号化する塩基配列は、配列番号9であり、前記配列番号4を暗号化する塩基配列は、配列番号10であることを特徴とする、発明8に記載の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法。
(発明10)
前記炎症性疾患は、膵炎、慢性肝炎、食道炎、胃炎、大腸炎、肺炎、気管支炎、咽喉炎、心筋梗塞、心不全、アルツハイマー病、関節炎、腎不全、乾癬、貧血、糖尿及び線維化症からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明8に記載の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法。
(発明11)
前記関節炎は、骨関節炎、退行性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、剥離性骨軟骨炎、関節靭帯損傷、半月板損傷、関節の不正整列、無血性壊死症、及び若年性特発性関節炎からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明10に記載の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法。
(発明12)
前記自己免疫性疾患は、アロペシア・グレアータ(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン疾患、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、腹腔スプルー-皮膚炎(celiac sprue-dermatitis)、慢性疲労免疫異常症候群、慢性炎症性脱髓鞘多発性神経病症、Churg-Strauss症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素疾患、クローン病、円板性狼瘡、本態性複合寒冷グロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス疾患、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA神経炎、骨軟骨腫関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、タイプIまたは免疫-媒介糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発軟骨炎、自己免疫性多腺症候群、リウマチ多発性筋痛、多発性筋炎と皮膚筋炎、一次性無ガンマグロブリン血症、一次性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイド症、鞏皮症、スティッフパーソン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、ダガヤス動脈炎、一時的動脈炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、強皮症、ベーチェット病、円形脱毛症、喘息、アレルギー、白斑症及びウェゲナー肉芽腫からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明8に記載の炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療方法。
(発明13)
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドと、
配列番号4のアミノ酸配列を含むペプチドと、
からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む、ペプチドの炎症性疾患または自己免疫性疾患の治療薬物の製造時に使用するための用途。
(発明14)
前記配列番号1を暗号化する塩基配列は、配列番号7であり、前記配列番号2を暗号化する塩基配列は、配列番号8であり、前記配列番号3を暗号化する塩基配列は、配列番号9であり、前記配列番号4を暗号化する塩基配列は、配列番号10であることを特徴とする、発明13に記載の用途。
(発明15)
前記炎症性疾患は、膵炎、慢性肝炎、食道炎、胃炎、大腸炎、肺炎、気管支炎、咽喉炎、心筋梗塞、心不全、アルツハイマー病、関節炎、腎不全、乾癬、貧血、糖尿及び線維化症からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明13に記載の用途。
(発明16)
前記関節炎は、骨関節炎、退行性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、剥離性骨軟骨炎、関節靭帯損傷、半月板損傷、関節の不正整列、無血性壊死症、及び若年性特発性関節炎からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明15に記載の用途。
(発明17)
前記自己免疫性疾患は、アロペシア・グレアータ(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン疾患、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、腹腔スプルー-皮膚炎(celiac sprue-dermatitis)、慢性疲労免疫異常症候群、慢性炎症性脱髓鞘多発性神経病症、Churg-Strauss症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素疾患、クローン病、円板性狼瘡、本態性複合寒冷グロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス疾患、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA神経炎、骨軟骨腫関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、タイプIまたは免疫-媒介糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発軟骨炎、自己免疫性多腺症候群、リウマチ多発性筋痛、多発性筋炎と皮膚筋炎、一次性無ガンマグロブリン血症、一次性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイド症、鞏皮症、スティッフパーソン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、ダガヤス動脈炎、一時的動脈炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、強皮症、ベーチェット病、円形脱毛症、喘息、アレルギー、白斑症及びウェゲナー肉芽腫からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、発明13に記載の用途。

Claims (6)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    配列番号4のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む、炎症性疾患または自己免疫性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
  2. 前記配列番号1をコードする塩基配列は、配列番号7であり、前記配列番号2をコードする塩基配列は、配列番号8であり、前記配列番号3をコードする塩基配列は、配列番号9であり、前記配列番号4をコードする塩基配列は、配列番号10であることを特徴とする、請求項に記載の薬学的組成物。
  3. 前記炎症性疾患は、膵炎、慢性肝炎、食道炎、胃炎、大腸炎、肺炎、気管支炎、咽喉炎、心筋梗塞、心不全、アルツハイマー病、関節炎、腎不全、乾癬、貧血、糖尿及び線維化症からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項に記載の薬学的組成物。
  4. 前記関節炎は、骨関節炎、退行性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、剥離性骨軟骨炎、関節靭帯損傷、半月板損傷、関節の不正整列、無血性壊死症、及び若年性特発性関節炎からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項に記載の薬学的組成物。
  5. 前記自己免疫性疾患は、アロペシア・グレアータ(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン疾患、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、腹腔スプルー-皮膚炎(celiac sprue-dermatitis)、慢性疲労免疫異常症候群、慢性炎症性脱髓鞘多発性神経病症、Churg-Strauss症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素疾患、クローン病、円板性狼瘡、本態性複合寒冷グロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス疾患、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA神経炎、骨軟骨腫関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、タイプIまたは免疫-媒介糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発軟骨炎、自己免疫性多腺症候群、リウマチ多発性筋痛、多発性筋炎と皮膚筋炎、一次性無ガンマグロブリン血症、一次性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイド症、鞏皮症、スティッフパーソン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、ダガヤス動脈炎、一時的動脈炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、強皮症、ベーチェット病、円形脱毛症、喘息、アレルギー、白斑症及びウェゲナー肉芽腫からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項に記載の薬学的組成物。
  6. 配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    配列番号2のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    配列番号4のアミノ酸配列からなるペプチドと、
    からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む、抗炎症用組成物。
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