JP7238452B2 - アンテナモジュール、移動通信装置、車両、切替方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
従って、第5世代移動通信システムに対応した移動局においては、ビームフォーミングのために、水平方向の見通しが確保できる位置にアンテナを設置する必要がある。例えば、上記特許文献1では、車両の天井(ルーフ)にアンテナ装置(アンテナモジュール)が設置されている。
このため、アンテナモジュールを車両に搭載し、車両の周囲各方向へ向けたビームを形成する場合、指向性を有するアレイアンテナを複数組み合わせて用いることが考えられる。
この場合、各アレイアンテナそれぞれが車両の周囲各方向のうちの一部におけるビームを分担する。これによりアンテナモジュールは車両の周囲各方向へ向けたビームを形成することができる。
例えば、複数のアレイアンテナそれぞれにレシーバを接続し、各アレイアンテナが受信した信号を各レシーバで復調し、最も通信品質の高いアレイアンテナを対象アンテナに選択するという方法(以下、方法1ともいう)が考えられる。
そこで、複数のアレイアンテナに対して単一のレシーバを接続し、切替スイッチ等によって、レシーバに接続されるアレイアンテナを順次切り替えることで、各アレイアンテナが受信した信号を順次復調し、最も通信品質の高いアレイアンテナを対象アンテナに選択するという方法(以下、方法2ともいう)も考えられる。
その一方、複数のアレイアンテナのうちの1つが、対象アンテナとして選択されている場合、レシーバは対象アンテナに選択されているアレイアンテナのみに接続されることとなるので、対象アンテナに選択されていない他のアレイアンテナで信号を受信できず通信品質を取得することができない。
例えば、車両が移動することにより、基地局装置との相対的な位置関係が変化して、対象アンテナとして選択されているアレイアンテナの通信品質が低下し、当該アレイアンテナに隣接するアレイアンテナを対象アンテナとして選択しなければならない状況となった場合について考える。
[実施形態の概要]
(1)一実施形態であるアンテナモジュールは、基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールであって、前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第1アレイアンテナ、及び、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第2アレイアンテナを含む複数のアレイアンテナと、前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択する選択部と、前記第1アレイアンテナ及び前記第2アレイアンテナのいずれか一方のアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替部と、を備える。
この場合、移動通信装置における基地局装置の方向を、両アレイアンテナが形成するビームの指向方向として把握し、切替処理を実行するか否かを判定することができる。
この場合、第1範囲及び第2範囲が互いに重複する重複範囲を有することで、ビームの指向方向が第1範囲と第2範囲とを行き来する際にヒステリシスを持たせることができ、ビームの指向方向が第1範囲と第2範囲とを頻繁に行き来するハンチングが生じるのを抑制できる。
この場合、移動通信装置が移動しておらず、一方のアンテナが形成するビームの指向方向が変化していない可能性があるときに、切替処理を実行するのを抑制することができる。
この場合、一方のアンテナが形成するビームの指向方向が、重複範囲に到達する直前であって切替処理が実行される前に、他方のアンテナの指向方向を予め調整することができ、より速やかにアレイアンテナを切り替えることができる。
この場合、方向情報に基づいて、移動通信装置の周囲各方向のうちの基地局装置の方向を把握できる。
この場合、第1範囲及び第2範囲が互いに重複する重複範囲を有することで、基地局装置の方向が第1範囲と第2範囲とを行き来する際にヒステリシスを持たせることができ、基地局装置の方向が第1範囲と第2範囲とを頻繁に行き来するハンチングが生じるのを抑制することができる。
この場合、より正確に基地局装置の方向の変化を把握することができる。
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、以下に記載する各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
図1は、車載通信装置が搭載された車両を示す図である。
図1中、車載通信装置1は車両2に搭載されている。車載通信装置(移動通信装置)1は、移動通信システムの基地局装置4と無線通信を行う移動局である。車両2は、通常の乗用車の他、バスや鉄道車両等も含む。
基地局装置4は、建物の屋上等の比較的高所に設置され、地上の車載通信装置1と無線通信を行う。
第5世代移動通信システムでは、例えば、6GHz以上の非常に高い周波数の電波を用いるため、伝搬時の減衰が大きい。このため、車載通信装置1及び基地局装置4は、電波の減衰を補償するために、ビームフォーミングを行う。車載通信装置1は、ビームフォーミングによって特定の方向にビームの指向性を向けて利得を向上させることができる。ビームフォーミングは、車載通信装置1及び基地局装置4の両方で行われる。
つまり、車載通信装置1は、移動端末8と、基地局装置4との間の通信を中継する機能を有している。
通信処理部12は、ベースバンド信号に関する処理を行う機能を有している。通信処理部12は、ベースバンド信号をアンテナモジュール10へ与える。また、通信処理部12は、アンテナモジュール10から与えられるベースバンド信号を受信する。
アンテナモジュール10は、複数のアンテナ素子24を備えている。複数のアンテナ素子24はアレイアンテナを構成している。これにより、アンテナモジュール10は、ビームフォーミングを行いつつ、基地局装置4との間で無線波の送受信を行う機能を有する。
図2Aは、アンテナモジュール10の斜視図であり、図2Bは、アンテナモジュール10の部分断面図である。
図2Bに示すように、アンテナモジュール10は、車両2のルーフ(天井)2aに設けられている。
アンテナモジュール10は、4つのアレイアンテナ20と、これらアレイアンテナ20が固定された矩形板状のベース板22とを備えている。
各基板21は、ベース板22の端縁に沿って立設されている。各アンテナ面21aは、車両2の前後左右斜め上方に向いている。よって、アンテナモジュール10は、四角錐台の箱状である。
各アレイアンテナ20は、方位角方向において約100度の範囲でビームの指向方向を向けることが可能である。また、各アレイアンテナ20は、仰角方向において約90度の範囲内でビームの指向方向を向けることが可能である。
よって、アンテナモジュール10は、4つのアレイアンテナ20を組み合わせることで、当該アンテナモジュール10(車載通信装置1)の周囲各方向に向けてビームを形成することができる。
また、以下の説明では、Z方向が鉛直方向を示し、X-Y平面は、鉛直方向に直交する水平面として説明する。
つまり、以下の説明では、車両2が坂道に位置することで車両2全体が傾斜する場合や、移動に伴う車両2の姿勢変化によって車両2全体が傾斜する場合については考慮せず、車両2のルーフ2aは、常に水平面に平行であるものとして説明する。
よって、アンテナモジュール10は、常に水平面に平行に設置されるものとして説明する。
なお、図2A及び図2Bでは、アンテナモジュール10は、外部に露出しているが、例えば、レドーム等によって覆われることで外部に対して保護される。
図3中、アンテナモジュール10は、4つのアレイアンテナ20の他、切替スイッチ32と、送受信機34と、制御装置36とを備えている。
各アレイアンテナ20は、切替スイッチ32を介して送受信機34に接続されている。
また、送受信機34は、アレイアンテナ20が受信したRF信号に対して、増幅、復調等の処理を行い、ベースバンド信号を生成する。生成したベースバンド信号は、通信処理部12へ与えられる。
よって、基地局装置4との間の無線通信は、4つのアレイアンテナ20のうちのいずれか1つを用いて行われる。
なお、切替スイッチ32による切り替えは、制御装置36によって制御される。
アレイアンテナ20は、上述の複数のアンテナ素子24の他、位相調整器40と、合成分配器42とをさらに備えている。
指向性制御回路44は、位相調整器40に制御命令を与えることで、位相調整器40を制御し、アレイアンテナ20が形成するビームの指向方向の制御を行う。
指向性制御回路44は、アレイアンテナ20のビームの指向方向を後述する送受信範囲内で制御する。
指向性制御回路44は、基地局装置4からの指示に応じてビームの指向方向を制御してもよいし、指向性制御回路44が自ら基地局装置4からの信号の到来方向をサーチしその結果に基づいてビームの指向方向を制御してもよい。
制御装置36は、CPU(Central Pprocessing Unit)や、メモリ等の記憶装置を備えたコンピュータによって構成されている。制御装置36の記憶装置には、CPUが実行するためのコンピュータプログラム等が記憶されており、このコンピュータプログラムをCPUが読み出して実行することにより、後述の各機能が実現される。
選択部36a及び切替部36bは、切替スイッチ32の切り替え制御を含んだ処理を実行する機能を有している。選択部36a及び切替部36bの機能については、後に説明する。
図5は、各アレイアンテナ20の送受信範囲を説明するための図である。
図5は、アンテナモジュール10を上面視した図であり、紙面上側が車両2の前方、紙面下側が車両2の後方である。
従って、各アレイアンテナ20が基地局装置4と送受信可能な送受信範囲は、各アレイアンテナ20が形成するビームの指向方向を変化させることができる範囲によって定まる。
また、方位角方向とは、鉛直方向に平行な軸周りの回転方向である。
また、仰角とは、水平面に対する方向を特定するための角度であり、ここでは、水平面に対するビームの中心角度である。
また、仰角方向とは、仰角を表す際の中心軸周りの回転方向である。
また、車両2の右方向に向けて配置されたアレイアンテナ20Dの送受信範囲R4は、アレイアンテナ20Dがビームの指向方向を変化させることが可能な方位角方向の範囲である。
送受信範囲R1は、送受信範囲R2と、隣り合っている。よって、送受信範囲R1と、送受信範囲R2とは、互いに重複する重複範囲R12を含む。また、送受信範囲R1は、送受信範囲R4とも隣り合っている。よって、送受信範囲R1と、送受信範囲R4とは、互いに重複する重複範囲R14を含む。
同様に、送受信範囲R2と、送受信範囲R3とは、互いに重複する重複範囲R23を含む。また、送受信範囲R3と、送受信範囲R4とは、互いに重複する重複範囲R34を含む。
アンテナモジュール10は、基地局装置4との間で無線通信を行うために、指向方向が基地局装置4の方向へ向くビームを形成する。
よって、アンテナモジュール10は、ビームを形成するためのアレイアンテナ20を選択する必要がある。そこで、アンテナモジュール10の選択部36aは、4つのアレイアンテナ20の中から基地局装置4との無線通信に使用する使用対象のアレイアンテナ(対象アンテナ)を選択する選択処理を実行する。
まず、選択部36aは、現在、基地局装置4との無線通信に使用する対象アンテナとして送受信機34に接続されているアレイアンテナ20が受信した基地局装置4からの信号に基づいて受信電力を取得し、取得した受信電力が所定の閾値よりも低いか否かを判定する(ステップS1)。
パイロット信号の受信電力の値は、対象アンテナが受信したRF信号を復調する送受信機34から得られる。
選択部36aは、送受信機34からパイロット信号の受信電力の値を得る。
よって、車載通信装置1と基地局装置4との間で問題なく無線通信が可能な程度の受信電力を維持する場合、選択部36aは、ステップS1を繰り返し実行する。
ここで、選択部36aは、切替スイッチ32を制御することで、送受信機34の接続先のアレイアンテナ20を順次切り替える。
選択部36aは、送受信機34に接続されたアレイアンテナ20の受信電力を求めると、送受信機34の接続先を他のアレイアンテナ20に切り替え、他のアレイアンテナ20の受信電力を求める。これを繰り返すことで、4つのアレイアンテナ20の受信電力を求める。
このように選択部36aは、選択したアレイアンテナ20を使用して、基地局装置4との無線通信を車載通信装置1に行わせる。
本実施形態のアンテナモジュール10の切替部36bは、4つのアレイアンテナ20のうちの1つが対象アンテナに選択されて基地局装置4との無線通信に使用されているときに、対象アンテナを他のアレイアンテナ20へ切り替える切替処理を実行する。
図7では、位置Hの車両2が紙面上方へ向かって道路50を走行している場合を示している。
位置Hの車両2は、基地局装置4に対して前面を向けて走行している。車両2に搭載されているアンテナモジュール10(車載通信装置1)は、位置Hにおいて、車両2の前方の基地局装置4と無線通信を行う。
このとき、アンテナモジュール10は、車両2の前方に向けて配置されたアレイアンテナ20Aを対象アンテナに選択し、アレイアンテナ20Aによってビームを形成し、基地局装置4と無線通信を行っている。
位置I及び位置Jの車両2は左側面を基地局装置4側に向けている。
よって、図7に示すように、アンテナモジュール10は、位置I及び位置Jにおいて、車両2の左方向に向けて配置されたアレイアンテナ20Bを対象アンテナに選択し、アレイアンテナ20Bによってビームを形成する。
車両2は、右折するまでは、基地局装置4に対して前面を向けて走行する。その後、車両2が位置Iへ到達して右折を開始すると、車両2における基地局装置4の方向が変化し、車両2において基地局装置4側に向く面は、前面から、左側面を経て、後面へと遷移する。
また、車両2が位置Hから位置Jへ直進する場合においても、同様であり、車両2において基地局装置4側に向く面は、前面から左側面を経て、後面へと遷移する。
車両2において基地局装置4側に向く面が左側面から後面へ遷移する場合においても同様であり、アンテナモジュール10は、対象アンテナをアレイアンテナ20Bからアレイアンテナ20Cへ切り替える必要がある。アレイアンテナ20Bの受信電力が低下し、アレイアンテナ20Cを選択するまでの間、アンテナモジュール10は、受信電力の最も高いアレイアンテナ20を選択するために、基地局装置4との無線通信を中断することとなる。
このような無線通信の中断は、通信速度等の通信品質の低下に繋がるため、好ましくない。
これにより、車両2が移動し、車両2における基地局装置4の方向が変化することにより、対象アンテナを切り替える必要が生じた場合においても、選択処理による選択を行わずに速やかに対象アンテナを切り替えることができる。
まず、アンテナモジュール10の切替部36bは、選択部36aにより選択処理が実行中か否かを判定する(ステップS11)。
アンテナ情報は、例えば、選択部36aから取得することができるし、切替スイッチ32から取得することもできる。
指向方向情報は、対象アンテナであるアレイアンテナ20の指向方向を制御する指向性制御回路44から取得する。
よって、切替部36bは、ビームIDからビームの指向方向や、そのビームの指向方向が属する範囲等を把握できる。
切替部36bは、指向方向情報としてビームIDを指向性制御回路44から取得する。
なお、過去直近に取得したアンテナ情報とは、ステップS13での判定前に取得された最新のアンテナ情報をいう。
切替部36bは、ステップS12で取得したビームIDによって、現在の対象アンテナが形成するビームの指向方向が重複範囲か否かを判定する。
切替部36bは、ステップS16において、切替処理を実行し、ステップS11へ戻る。
つまり、切替部36bは、互いに隣り合って配置された一対のアレイアンテナ20のうちのいずれか一方のアレイアンテナ20が対象アンテナであるときに、一方のアレイアンテナ20が形成するビームの指向方向が、互いの送受信範囲が重複する重複範囲内に制御されると、対象アンテナを一方のアレイアンテナ20から他方のアレイアンテナ20へ切り替える処理(切替処理)を実行する(ステップS16)。
切替部36bは、他方のアレイアンテナ20と送受信機34とを接続させる。これにより、他方のアレイアンテナ20は対象アンテナとなる。
このように、切替部36bは、車両2が移動しておらず、現在の対象アンテナによるビームの指向方向が変化していない可能性があるときに、切替処理を実行するのを抑制する。
そこで、切替部36bは、ステップS17において、対象アンテナのビームの指向方向が重複範囲直前であると判定すると、他方のアレイアンテナ20が形成すべきビームの指向方向が重複範囲となるように制御させる。
この場合、対象アンテナのビームの指向方向は、重複範囲外を維持し、重複範囲直前でもないので、切替処理を行わず、また、隣接する他のアレイアンテナ20の指向性制御も実行せず、ステップS11へ戻る。
これにより、車両2が移動し、車両2における基地局装置4の方向が変化することにより、対象アンテナを切り替える必要が生じた場合においても、選択処理による選択を行わずに速やかに対象アンテナを切り替えることができる。
これにより、車載通信装置1における基地局装置4の方向を対象アンテナによるビームの指向方向として把握し、切替処理を実行するか否かを判定することができる。
つまり、本実施形態では、ビームの指向方向を車載通信装置1における基地局装置4の方向を示す方向情報として用いる。
なお、図9では、水平面上において形成されるビームを示している。
なお、図9に示すビームは、アレイアンテナ20A及びアレイアンテナ20Bが形成することができるビームのうちの一部を示している。
アレイアンテナ20Aが形成するビームB14の指向方向は、送受信範囲R1内であって、重複範囲R12内である。
アレイアンテナ20Bが形成するビームB21の指向方向は、送受信範囲R2内であって、重複範囲R12内である。
車両2が図7中の位置Hから前進すると、車両2における基地局装置4の方向は、車両2の移動に伴って、前方から左方向へ向かって徐々に変化する。
よって、アレイアンテナ20Aのビームは、図9中、ビームB11、B12、B13、及びB14と、車両2の左方向に向くビームに順次切り替えられる。
これにより、アレイアンテナ20によるビームの指向方向は、基地局装置4からの信号の到来方向へ向くように離散的に変化する。
ここで、アレイアンテナ20AのビームがビームB12からビームB13に切り替わった直後において切替部36bが行う切替判定について説明する。
この場合、ビームB13の指向方向は、送受信範囲R1内であって、重複範囲R12直前の方向である。
よって、切替部36bは、アレイアンテナ20Bによって形成されるビームが、重複範囲R12内のビームB21となるように制御させる(図8中、ステップS17)。
これにより、次に対象アンテナとして選択されるアレイアンテナ20Bの指向方向を重複範囲R12内のビームB21となるように予め設定することができるので、より速やかにアレイアンテナ20を切り替えることができる。
この場合、ビームB14の指向方向は、送受信範囲R1内であって、重複範囲R12内の方向である(図8中、ステップS14)。
また、過去直近のビームB13の指向方向は、送受信範囲R1内であって、重複範囲R12外の方向である(図8中、ステップS15)。
切替部36bは、切替スイッチ32を制御することで、送受信機34の接続先をアレイアンテナ20Aからアレイアンテナ20Bへ切り替えさせる。これにより、アレイアンテナ20Bは対象アンテナとなる。
切替部36bは、アレイアンテナ20Bを使用して、基地局装置4との無線通信を車載通信装置1に行わせる。
アレイアンテナ20AのビームB14と、アレイアンテナ20BのビームB21とは、共に重複範囲R12内で重複している。
よって、切替部36bが切替処理を実行して対象アンテナをアレイアンテナ20Aからアレイアンテナ20Bへ切り替えたとしても、無線通信に影響を与えることなくスムーズに切り替えることができる。
つまり、アレイアンテナ20Aからアレイアンテナ20Bへ切り替える場合と、アレイアンテナ20Bからアレイアンテナ20Aへ切り替える場合とで、切替処理を実行する判定基準が異なっている。
よって、アレイアンテナ20Bのビームは、図9中、ビームB21、B22、B23、及びB24と、順次切り替えられる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
上記実施形態では、切替処理を実行するか否かの判定において、アレイアンテナ20が形成するビームの指向方向を、車載通信装置1における基地局装置4の方向を示す方向情報として用いる場合を例示したが、方向情報として、例えば、車載通信装置1と基地局装置4との相対的な位置関係を示す相対位置情報を用いてもよい。
なお、相対位置情報は、例えば、車両2に搭載されるカーナビゲーションシステム等から取得してもよいし、基地局装置4から当該基地局装置4の位置情報の提供を受けることで相対位置情報を求めてもよい。
この場合、車載通信装置1における基地局装置4の方向の変化を経時的に把握でき、より正確に基地局装置4の方向の変化を把握することができる。
つまり、図9において、アレイアンテナ20Aが対象アンテナである場合、アレイアンテナ20AのビームがビームB11から順次変化してビームB14に至り、ビームB14の受信電力(通信品質)が低下することで、アンテナモジュール10における基地局装置4の方向がアレイアンテナ20Aの送受信範囲R1(重複範囲R12)から外れたと判定されるときに、対象アンテナをアレイアンテナ20Aからアレイアンテナ20Bへ切り替えるように構成してもよい。
この場合においてもビームの指向方向が送受信範囲R1と送受信範囲R2とを行き来する際にヒステリシスを持たせることができ、ビームの指向方向が送受信範囲R1と送受信範囲R2とを頻繁に行き来するハンチングが生じるのを抑制することができる。
2 車両
2a ルーフ
4 基地局装置
6 無線部
8 移動端末
10 アンテナモジュール
12 通信処理部
20 アレイアンテナ
20A アレイアンテナ
20B アレイアンテナ
20C アレイアンテナ
20D アレイアンテナ
21 基板
21a アンテナ面
22 ベース板
24 アンテナ素子
28 回路基板
32 切替スイッチ
34 送受信機
36 制御装置
36a 選択部
36b 切替部
40 位相調整器
40a 位相器
42 合成分配器
44 指向性制御回路
50 道路
52 脇道
C1 中心線
C2 中心線
R1 送受信範囲
R2 送受信範囲
R3 送受信範囲
R4 送受信範囲
R12 重複範囲
R14 重複範囲
R23 重複範囲
R34 重複範囲
B11 ビーム
B12 ビーム
B13 ビーム
B14 ビーム
B21 ビーム
B22 ビーム
B23 ビーム
B24 ビーム
Claims (12)
- 基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールであって、
前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第1アレイアンテナ、及び、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第2アレイアンテナを含む複数のアレイアンテナと、
前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択する選択部と、
前記第1アレイアンテナ及び前記第2アレイアンテナのいずれか一方のアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替部と、
前記第1アレイアンテナが形成する第1ビームの指向方向を、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第1範囲内で制御する第1指向性制御部と、
前記第2アレイアンテナが形成する第2ビームの指向方向を、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第2範囲内で制御する第2指向性制御部と、
を備え、
前記第1範囲と前記第2範囲とは、互いに重複する重複範囲を含み、
前記切替部は、前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲内である場合において、前記一方のアンテナが形成するビームの過去直近の指向方向が前記重複範囲外であるか否かに応じて、前記切替処理を実行するか否かを決定する
アンテナモジュール。 - 前記切替部は、前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が、前記重複範囲外において前記重複範囲側へ近づくように制御されたか否かを判定し、前記一方のアンテナのビームの指向方向が前記重複範囲側へ近づくように制御されたと判定すると、前記他方のアンテナが形成するビームの指向方向を前記重複範囲に対応する方向へ向くように制御させる
請求項1に記載のアンテナモジュール。 - 請求項1又は請求項2に記載のアンテナモジュールを備えた移動通信装置。
- 請求項3に記載の移動通信装置を備えた車両。
- 基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールが有する複数のアレイアンテナに含まれる第1アレイアンテナ及び第2アレイアンテナの切替方法であって、
前記第1アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第2アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第1アレイアンテナが形成する第1ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第1範囲内で制御可能であり、
前記第2アレイアンテナが形成する第2ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第2範囲内で制御可能であり、
前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択するステップと、
前記第1アレイアンテナ及び前記第2アレイアンテナのいずれか一方のアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替ステップと、を含み、
前記第1範囲と前記第2範囲とは、互いに重複する重複範囲を含み、
前記切替ステップでは、前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲内である場合において、前記一方のアンテナが形成するビームの過去直近の指向方向が前記重複範囲外であるか否かに応じて、前記切替処理を実行するか否かが決定される
切替方法。 - 基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールが有する複数のアレイアンテナに含まれる第1アレイアンテナ及び第2アレイアンテナの切替処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記第1アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第2アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第1アレイアンテナが形成する第1ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第1範囲内で制御可能であり、
前記第2アレイアンテナが形成する第2ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第2範囲内で制御可能であり、
コンピュータに
前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択するステップと、
前記第1アレイアンテナ及び前記第2アレイアンテナのいずれか一方のアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替ステップと、を実行させるコンピュータプログラムであり、
前記第1範囲と前記第2範囲とは、互いに重複する重複範囲を含み、
前記切替ステップでは、前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲内である場合において、前記一方のアンテナが形成するビームの過去直近の指向方向が前記重複範囲外であるか否かに応じて、前記切替処理を実行するか否かが決定される
コンピュータプログラム。 - 基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールであって、
前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第1アレイアンテナ、及び、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第2アレイアンテナを含む複数のアレイアンテナと、
前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択する選択部と、
前記第1アレイアンテナ及び前記第2アレイアンテナのいずれか一方のアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替部と、
前記第1アレイアンテナが形成する第1ビームの指向方向を、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第1範囲内で制御する第1指向性制御部と、
前記第2アレイアンテナが形成する第2ビームの指向方向を、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第2範囲内で制御する第2指向性制御部と、
を備え、
前記第1範囲と前記第2範囲とは、互いに重複する重複範囲を含み、
前記切替部は、
前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲内である場合、前記切替処理を実行し、
さらに、前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が、前記重複範囲外において前記重複範囲側へ近づくように制御されたか否かを判定し、前記一方のアンテナのビームの指向方向が前記重複範囲側へ近づくように制御されたと判定すると、前記他方のアンテナが形成するビームの指向方向を前記重複範囲に対応する方向へ向くように制御させる
アンテナモジュール。 - 請求項7に記載のアンテナモジュールを備えた移動通信装置。
- 請求項8に記載の移動通信装置を備えた車両。
- 基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールが有する複数のアレイアンテナに含まれる第1アレイアンテナ及び第2アレイアンテナの切替方法であって、
前記第1アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第2アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第1アレイアンテナが形成する第1ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第1範囲内で制御可能であり、
前記第2アレイアンテナが形成する第2ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第2範囲内で制御可能であり、
前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択するステップと、
前記第1アレイアンテナ及び前記第2アレイアンテナのいずれか一方のアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替ステップと、を含み、
前記第1範囲と前記第2範囲とは、互いに重複する重複範囲を含み、
前記切替ステップでは、
前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲内である場合、前記切替処理が実行され、
さらに、前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が、前記重複範囲外において前記重複範囲側へ近づくように制御されたか否かを判定し、前記一方のアンテナのビームの指向方向が前記重複範囲側へ近づくように制御されたと判定すると、前記他方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲に対応する方向へ向くように制御される
切替方法。 - 基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールが有する複数のアレイアンテナに含まれる第1アレイアンテナ及び第2アレイアンテナの切替処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記第1アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第2アレイアンテナは、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能であり、
前記第1アレイアンテナが形成する第1ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第1範囲内で制御可能であり、
前記第2アレイアンテナが形成する第2ビームの指向方向が、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第2範囲内で制御可能であり、
コンピュータに
前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択するステップと、
前記第1アレイアンテナ及び前記第2アレイアンテナのいずれか一方のアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記一方のアンテナから他方のアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替ステップと、を実行させるコンピュータプログラムであり、
前記第1範囲と前記第2範囲とは、互いに重複する重複範囲を含み、
前記切替ステップでは、
前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲内である場合、前記切替処理が実行され、
さらに、前記一方のアンテナが形成するビームの指向方向が、前記重複範囲外において前記重複範囲側へ近づくように制御されたか否かを判定し、前記一方のアンテナのビームの指向方向が前記重複範囲側へ近づくように制御されたと判定すると、前記他方のアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲に対応する方向へ向くように制御される
コンピュータプログラム。 - 基地局装置と無線通信する移動通信装置に用いられるアンテナモジュールであって、
前記移動通信装置の周囲各方向のうち第1範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第1アレイアンテナ、及び、前記移動通信装置の周囲各方向のうち前記第1範囲と隣り合う第2範囲に含まれる方向において前記基地局装置と信号の送受信が可能な第2アレイアンテナを含む複数のアレイアンテナと、
前記複数のアレイアンテナによる受信信号それぞれの通信品質に基づいて、前記複数のアレイアンテナの中から前記基地局装置との無線通信に使用する対象アンテナを選択する選択部と、
前記第1アレイアンテナが、前記対象アンテナに選択されて前記基地局装置との無線通信に使用されているときに、前記対象アンテナを前記第1アレイアンテナから前記第2アレイアンテナへ切り替える切替処理を実行する切替部と、
前記第1アレイアンテナが形成する第1ビームの指向方向を、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第1範囲内で制御する第1指向性制御部と、
前記第2アレイアンテナが形成する第2ビームの指向方向を、前記基地局装置からの信号の到来方向に応じて前記第2範囲内で制御する第2指向性制御部と、
を備え、
前記第1範囲と前記第2範囲とは、互いに重複する重複範囲を含み、
前記切替部は、前記第1アレイアンテナが形成するビームの指向方向が前記重複範囲内である場合において、前記第1アレイアンテナが形成するビームの通信品質に基づいて、前記切替処理を実行するか否かを決定する
アンテナモジュール。
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