[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態に係る光学式測定装置について説明する。
[概略構成]
図1に示す様に、本実施形態に係る光学式測定装置は、測定部100と、測定部100を制御する制御部200(信号処理部)と、制御部200に接続されたPC300と、を備える。測定部100は、測定対象物Wが配置される測定領域101と、測定領域101に光ビーム(レーザ光L)を照射してこの光ビームを走査方向(-Z方向)に走査する光ビーム走査部110と、測定領域101を通過した光ビームを受光する受光部120と、光ビーム走査部110及び受光部120を連結する連結部130と、を備える。
尚、図1の例では、光ビーム走査部110及び受光部120がX方向に離間しており、光ビーム走査部110及び受光部120の間の空間が測定領域101となっている。また、測定領域101にはY方向に延伸する円柱状の測定対象物Wと、この測定対象物Wを支持する支持具140と、が配置されている。支持具140は、連結部130の上面に載置される台座部141と、測定対象物Wを支持する支持部142と、これら台座部141と支持部142との位置関係をX方向及びZ方向に調整可能な図示しない調整機構と、を備える。また、光ビーム走査部110は、光ビーム走査部110の筐体110aに設けられた窓部110bを介して-X方向に進行するレーザ光Lを出射し、-Z方向に走査している。
図2は、測定部100の光ビーム走査部110及び受光部120、並びに、制御部200の構成を例示している。
光ビーム走査部110は、レーザ光Lを出射するレーザ光源111と、出射されたレーザ光Lを反射するミラー112と、ミラー112で反射されたレーザ光Lを更に反射するポリゴンミラー113と、ポリゴンミラー113で反射されたレーザ光Lを測定領域101に導くfθレンズ114(照射光学系)と、レーザ光Lの走査終了時にリセット信号RST(第2受光信号)を出力するフォトダイオード等の受光素子115と、を備える。また、光ビーム走査部110は、ポリゴンミラー113を回転させるモータ116と、モータ116を駆動するモータ駆動回路117と、クロック信号CLKに応じてモータ駆動回路117に同期信号を入力するモータ同期回路118と、を備える。
受光部120は、測定領域101を通過したレーザ光Lを集光する集光レンズ121と、集光されたレーザ光Lを受光するフォトダイオード等の受光素子122と、受光素子122の出力信号を増幅して受光信号S1(第1受光信号)として出力するアンプ123と、を備える。
制御部200は、受光信号S1を2値化してエッジ検出信号S2を出力するエッジ検出回路201と、エッジ検出信号S2の立ち上がり及び立ち下がりに応じてエッジ選択信号S3を立ち上げるセグメント選択回路202と、エッジ選択信号S3及びクロック信号CLKのAND信号を一又は複数のゲート信号S4として出力するゲート回路203と、一又は複数のゲート信号S4に含まれるクロックパルスの数を数えるカウント回路204と、補正テーブルが記録されるメモリ205と、を備える。また、制御部200は、バス206を介してこれらの構成に接続されたCPU207と、これらの構成にクロック信号CLKを出力するクロック信号出力回路208と、を備える。
尚、本実施形態に係るエッジ検出回路201は、受光信号S1の傾きの大きさが所定の大きさ以上となる時間の長さを検出して、スロープ検出信号S2´を出力する。スロープ検出信号S2´は、例えば、受光信号S1の微分信号dSt/dtの絶対値が所定のしきい値より大きい場合に“H”状態となり、それ以外の場合に“L”状態となる信号とすることも出来る。また、スロープ検出信号S2´は、例えば、受光信号S1が第1のしきい値より大きく、且つ、第2のしきい値より小さい場合に“H”状態となり、それ以外の場合に“L”状態となる信号とすることも出来る。
[寸法測定時の動作]
図3は、本実施形態に係る光学式測定装置の寸法測定時の動作を模式的に示している。図3の例では、上記光学式測定装置によって4つのエッジE1~E4を検出する例について説明する。
レーザ光Lの走査は、ポリゴンミラー113(図2)を回転させることによって行う。例えばポリゴンミラー113が正16角柱状の形状を有し、16個の反射面を備えている場合、ポリゴンミラー113を1回回転させるごとに、レーザ光Lは16回ずつ走査される。
タイミングt1では、レーザ光Lの中心部がエッジE1に到達する。エッジE1は、例えば、光ビーム走査部110の筐体110aに設けられる窓部110bの上端である(図1参照)。タイミングt1では、レーザ光Lが測定領域101を通過して受光部120に受光される。また、受光信号S1がしきい値Vthよりも大きい値となり、エッジ検出信号S2が立ち上がる。また、カウント回路204は、エッジE1に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、エッジE1に対応するクロックパルスの数を、「エッジカウント値ECV(E1)」等と呼ぶ。
タイミングt2では、レーザ光Lの中心部がエッジE2に到達する。エッジE2は、例えば、測定対象物Wの上端である。タイミングt2では、レーザ光Lが測定対象物Wによって遮光され、測定領域101を通過しなくなる。また、受光信号S1がしきい値Vthよりも小さい値となり、エッジ検出信号S2が立ち下がる。また、カウント回路204は、エッジE2に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、エッジE2に対応するクロックパルスの数を、「エッジカウント値ECV(E2)」等と呼ぶ。
タイミングt3では、レーザ光Lの中心部がエッジE3に到達する。エッジE3は、例えば、測定対象物Wの下端である。タイミングt3では、レーザ光Lが測定領域101を通過して受光部120に受光される。また、受光信号S1がしきい値Vthよりも大きい値となり、エッジ検出信号S2が立ち上がる。また、カウント回路204は、エッジE3に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、エッジE3に対応するクロックパルスの数を、「エッジカウント値ECV(E3)」等と呼ぶ。
タイミングt4では、レーザ光Lの中心部がエッジE4に到達する。エッジE4は、例えば、光ビーム走査部110の筐体110aに設けられる窓部110bの下端である(図1参照)。タイミングt4では、レーザ光Lが光ビーム走査部110の筐体110aによって遮光され、測定領域101を通過しなくなる。また、受光信号S1がしきい値Vthよりも小さい値となり、エッジ検出信号S2が立ち下がる。また、カウント回路204は、エッジE4に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、エッジE4に対応するクロックパルスの数を、「エッジカウント値ECV(E4)」等と呼ぶ。
その後のタイミングt5において、レーザ光Lは光ビーム走査部110の筐体110a内部に配置された受光素子115(図2)によって受光され、リセット信号RSTが立ち上がる。カウント回路204は、リセット信号RSTを受信して、エッジE1~E4に対応する4通りのエッジカウント値ECV(E1~E4)をCPU207に出力する。また、カウント回路204は、保持していたエッジカウント値ECV(E1~E4)をリセットする。CPU207は、例えば、メモリ205に記録された補正テーブルを参照し、エッジカウント値ECVを補正して、補正後のエッジカウント値ECV´を取得する。その後、例えば補正後のエッジカウント値ECV´(E2)から補正後のエッジカウント値ECV´(E3)を減算して差分値を取得する。また、この差分値と、レーザ光Lが1クロックあたりに-Z方向に走査される距離と、を乗算し、その結果を測定対象物Wの外径を示す寸法データとしてPC300に出力する。PC300は、出力された寸法データを記録し、寸法データが示す外径をディスプレイ(表示部)に表示する。
尚、図3には4通りのエッジカウント値ECV(E1~E4)を取得する例を示したが、何通りのエッジカウント値を取得するかは、測定の目的等によって適宜調整することが出来る。例えば、図3に例示した様な測定対象物Wの外径を測定する場合、又は、メモリ205に記録される補正テーブルを取得する場合であれば、図3に例示する様に、4通りのエッジカウント値ECV(E1~E4)を取得することが出来る。また、測定の態様に応じて、6通り以上のエッジカウント値ECVを取得することも出来る。ただし、測定の原理上、取得するエッジカウント値ECVの数は、受光信号S1の立ち上がり及び立ち下がりに対応する偶数通りの値となる。
[測定対象物Wの位置決め]
図4及び図5は、本実施形態に係る光学式測定装置の位置決め時の動作を模式的に示している。尚、図4に示す動作は、図3に示す動作とは別に実行することも出来るし、図3に示す動作と並行して実行することも出来る。
タイミングt11では、レーザ光Lの下端がエッジE2に到達する。タイミングt11では、レーザ光Lの測定対象物Wによる遮光が開始される。また、受光信号S1の減少が開始される。本実施形態に係るエッジ検出回路201は、受光信号S1の減少の開始を検出して、スロープ検出信号S2´を立ち上げる。また、カウント回路204は、タイミングt11に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、タイミングt11に対応するクロックパルスの数を、「スロープカウント値SCV(t11)」等と呼ぶ。
タイミングt12では、レーザ光Lの上端がエッジE2に到達する。タイミングt12では、レーザ光Lが測定対象物Wによって完全に遮光される。また、受光信号S1の減少が終了する。本実施形態に係るエッジ検出回路201は、受光信号S1の減少の終了を検出して、スロープ検出信号S2´を立ち下げる。また、カウント回路204は、タイミングt12に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、タイミングt12に対応するクロックパルスの数を、「スロープカウント値SCV(t12)」等と呼ぶ。
タイミングt13では、レーザ光Lの下端がエッジE3に到達する。タイミングt13では、レーザ光Lの測定領域101の通過が開始される。また、受光信号S1の増大が開始される。本実施形態に係るエッジ検出回路201は、受光信号S1の増大の開始を検出して、スロープ検出信号S2´を立ち上げる。また、カウント回路204は、タイミングt13に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、タイミングt13に対応するクロックパルスの数を、「スロープカウント値SCV(t13)」等と呼ぶ。
タイミングt14では、レーザ光Lの上端がエッジE3に到達する。タイミングt14では、レーザ光Lが測定領域101を完全に通過する。また、受光信号S1の増大が終了する。本実施形態に係るエッジ検出回路201は、受光信号S1の増大の終了を検出して、スロープ検出信号S2´を立ち下げる。また、カウント回路204は、タイミングt14に対応するクロックパルスの計数を開始する。以下、タイミングt14に対応するクロックパルスの数を、「スロープカウント値SCV(t14)」等と呼ぶ。
その後のタイミングt15において、レーザ光Lは光ビーム走査部110の筐体110a内部に配置された受光素子115(図2)によって受光され、リセット信号RSTが立ち上がる。カウント回路204は、リセット信号RSTを受信して、タイミングt11~t14に対応する4通りのスロープカウント値SCV(t11~t14)をCPU207に出力する。また、カウント回路204は、保持していたスロープカウント値SCV(t11~t14)をリセットする。CPU207は、例えば、メモリ205に記録された補正テーブルを参照し、スロープカウント値SCV(t11~t14)を補正して、補正後のスロープカウント値SCV´(t11~t14)を取得する。その後、例えば補正後のスロープカウント値SCV´(t11)から補正後のスロープカウント値SCV´(t12)を減算して差分値を取得する。また、補正後のスロープカウント値SCV´(t13)から補正後のスロープカウント値SCV´(t14)を減算して差分値を取得する。また、これら2通りの差分値の平均値と、4通りのスロープカウント値SCV(t11~t14)の平均値と、を取得して、PC300に出力する。
PC300は、例えば図5に示す様に、PC300のディスプレイ(表示部)上に、横軸301、縦軸302及び円303を表示する。円303の半径は、X方向における測定対象物Wの位置と、焦点面Fとの位置関係に対応しており、測定対象物Wの位置が焦点面Fと近づく程、円303の半径は小さくなる。円303の半径は、例えば、上記差分値の平均値と比例する大きさとすることが出来る。また、円303の縦方向の位置は、Z方向における測定対象物Wの位置に対応しており、測定対象物Wが上方に位置している場合程、円303も上方に表示される。円303の縦方向の位置は、例えば、上記スロープカウント値SCV(t11~t14)の平均値に比例する大きさとすることが出来る。尚、この様な表示は、例えば、PC300中に含まれるメモリ等にインストールされたソフトウェア等によって実現される。
次に、本実施形態に係る測定対象物Wの位置決め方法について説明する。
図6に示す様に、レーザ光Lのスポット径は、レーザ光Lの焦点面F上で最小となる。従って、測定対象物Wの上端及び下端がレーザ光Lの焦点面F上に位置決めされた状態でレーザ光Lを走査すると、図4に示す様に、レーザ光Lが測定対象物Wの上端を通過するタイミングt11からタイミングt12にかけてレーザ光L全体が速やかに遮光され、受光信号S1が急峻に立ち下がる。同様に、レーザ光Lが測定対象物Wの下端を通過するタイミングt13からタイミングt14にかけてレーザ光L全体が速やかに測定領域101を通過する様になり、受光信号S1が急峻に立ち上がる。この様な場合には、図5に示す様に、PC300のディスプレイに表示された円303の半径が小さくなる。
一方、図7に示す様に、レーザ光Lのスポット径は、レーザ光Lの焦点面F上から離れた位置において、ある程度の大きさを有する。従って、測定対象物Wの上端及び下端がレーザ光Lの焦点面F上に位置決めされていない状態でレーザ光Lを走査すると、図8に示す様に、レーザ光Lが測定対象物Wの上端を通過するタイミングt11からタイミングt12にかけてレーザ光Lが徐々に遮光され、受光信号S1がなだらかに立ち下がる。同様に、レーザ光Lが測定対象物Wの下端を通過するタイミングt13からタイミングt14にかけてレーザ光Lが徐々に測定領域101を通過する様になり、受光信号S1がなだらかに立ち上がる。この様な場合には、図9に示す様に、PC300のディスプレイに表示された円303の半径が大きくなる。従って、測定者は、円303の半径が最小となる様に支持具140(図1)を操作して、測定対象物WをX方向に移動させる。
尚、PC300のディスプレイ上には、測定対象物Wの位置決めを開始してから表示された最小の円303と同じ半径を有する円303´を、円303と重ねて表示することも出来る。この場合、測定者は、例えば、測定対象物Wが焦点面Fを通過する様に測定対象物WをX方向に移動させ、円303の輪郭線が円303´の輪郭線に重なる様に、測定対象物Wを-X方向に移動させることが出来る。
また、図10に示す様に、測定対象物WがZ軸方向の基準位置よりも上方に位置する場合、図11に示す様に、受光信号S1の立ち上がり及び立ち下がりのタイミングt11~t14が早めのタイミングとなり、上記エッジカウント値(t11~t14)は大きめの値となる。この様な場合には、図12に示す様に、PC300のディスプレイに表示された円303の位置が、基準位置よりも上となる。従って、測定者は、円303の位置が基準位置と合う様に支持具140(図1)を操作して、測定対象物Wを-Z方向に移動させる。
尚、PC300のディスプレイ上には、円303の中心点304表示することも出来る。この場合、測定者は、例えば、円303の中心点304が基準位置を示す線305と重なる様に、測定対象物WをZ方向に移動させる。
以上の様な表示は、例えば、カメラのピントを合わせる際に、ピントが合っている場合には被写体が明確に観察され、ピントが合っていない場合には被写体の輪郭がぼやけて観察される様子と似ている。従って測定者は、この様な表示によって、測定対象物Wとレーザ光Lの焦点面Fとの位置関係を直感的に把握して、測定対象物Wを容易に位置決めすることが出来る。
また、この様な表示によって測定対象物WのZ軸方向の位置を直感的に把握して、測定対象物Wを容易に位置決めすることが出来る。
尚、この様な表示方法は例示に過ぎず、具体的な構成、方法等は適宜調整することが出来る。
例えば、図5、図9及び図12の例では、PC300のディスプレイに円303を表示し、この円303の半径及び高さ位置によって、測定対象物Wとレーザ光Lの焦点面Fとの関係、及び、測定対象物WのZ方向の位置を表現した。
しかしながら、PC300のディスプレイに表示される幾何学形状は、円でなくても良く、矩形又はその他の多角形とすることも出来るし、測定対象物Wと同様の形状とすることも出来るし、その他の形状とすることも出来る。
また、測定対象物Wとレーザ光Lの焦点面Fとの関係を示す表示は、幾何学形状の大きさでなくても良く、例えば、幾何学形状の左右方向の位置とすることも出来る。この様な場合には、例えば図13に示す様に、円303の中心点304から理想値を示す線306までの距離が、X方向における測定対象物Wの位置と、焦点面Fとの位置関係に対応する。この距離は、例えば、上記差分値の平均値と比例する大きさとすることが出来る。この場合、測定者は、円303の中心点304から理想値を示す線306までの距離が最小となる様に支持具140(図1)を操作して、測定対象物WをX方向に移動させる。この様な表示によっても、測定者は、測定対象物WのX方向の位置とPC300のディスプレイに表示される円300の位置との関係を直感的に把握することが出来る。
また、測定対象物Wとレーザ光Lの焦点面Fとの関係を示す表示は、形状の変更によるもの(例えば、アスペクト比等の変更等)とすることも出来る。また、この様な表示は、模様又は色の変更によるものとすることも出来る。例えば、測定対象物WのX方向の位置が許容範囲内である場合には幾何学形状の色を緑色に表示し、許容範囲外である場合には幾何学形状の色を赤色に表示し、その中間である場合には幾何学形状の色を黄色に表示することも出来る。
また、測定対象物WのZ方向の位置を示す表示も、適宜調整することが出来る。
[エッジ検出回路201]
次に、エッジ検出信号S2及びスロープ検出信号S2´を生成するエッジ検出回路201の構成例について説明する。
図14は、エッジ検出回路201の構成例を示す模式的なブロック図である。本実施形態に係るエッジ検出回路201は、比較回路211と、しきい値調整回路212と、比較回路213と、を備える。
比較回路211は、しきい値Vth及び受光信号S1を受信して、エッジ検出信号S2を出力する。
しきい値調整回路212は、レーザ光Lが走査される間に受光信号S1を取得し、この受光信号S1に基づいてしきい値Vthを調整する。しきい値調整回路212は、例えば、受光信号S1の微分信号dSt/dtを取得し、微分信号dSt/dtが最小値V1となるタイミングの受信信号の値V2と、微分信号dSt/dtが最大値V3となるタイミングの受信信号の値V4と、を取得し、これらの値V2及びV4の平均値をしきい値Vthとして出力する。尚、しきい値調整回路212は、例えば、レーザ光Lの走査が1回以上行われた後でしきい値Vthを更新する。レーザ光Lのm(mは自然数)回目の走査に際して取得されたしきい値Vthは、例えば、レーザ光Lのm+1回目以降の走査に際して比較回路211に出力される。
しきい値調整回路212は、受光信号S1をA/D変換するA/D変換器221と、A/D変換器221から出力されたデータをラッチするラッチ回路222及びフリップフロップ回路223と、フリップフロップ回路223から出力されたデータをラッチするラッチ回路224と、を備える。A/D変換器221及びフリップフロップ回路223には、所定の周期でA/Dスタート信号が入力される。レーザ光Lの走査が開始されてからn+1(nは自然数)回目のA/Dスタート信号が入力されると、A/D変換器221は、受光信号S1のn+1回目のサンプリングを開始する。これにより、A/D変換された受光信号S1を構成するデータ列のうちのn+1番目のデータ(以下、「受光信号S1のn番目のデータ」等と呼ぶ。)が生成される。また、A/D変換器221は、受光信号S1のn番目のデータを出力する。ラッチ回路222及びフリップフロップ回路223は、受光信号S1のn番目のデータを受信してラッチする。また、フリップフロップ回路223は、スタート信号の入力に応じて、受光信号S1のn-1番目のデータを出力する。ラッチ回路224は、受光信号S1のn-1番目のデータを受信してラッチする。
また、しきい値調整回路212は、ラッチ回路222にラッチされたデータが示す値(以下、「ラッチ回路222にラッチされた値」等と呼ぶ。)からラッチ回路224にラッチされた値を減算する減算回路225と、ラッチ回路222にラッチされた値とラッチ回路224にラッチされた値とを加算する加算回路226と、加算回路226から出力されたデータが示す値(以下、「加算回路226から出力された値」等と呼ぶ。)を1/2倍する割算回路227と、減算回路225から出力された値をラッチするラッチ回路228と、割算回路227から出力された値をラッチするラッチ回路229と、を備える。減算回路225から出力されるデータは、微分信号dS1/dtのn番目のデータに対応する。割算回路227から出力されるデータは、受光信号S1のn番目のデータが示す値と受光信号S1のn-1番目のデータが示す値との平均値を示す。
また、しきい値調整回路212は、上述の値V2及び値V4を抽出する抽出回路230を備える。抽出回路230は、例えば、上記微分信号dSt/dtの最小値V1及びこれに対応するエッジ検出信号S2の値V2、並びに、上記微分信号dSt/dtの最大値V3及びこれに対応するエッジ検出信号S2の値V4の候補となる値を保持する。また、抽出回路230は、例えば、保持している最小値V1よりもラッチ回路228にラッチされた値の方が小さかった場合には、最小値V1をラッチ回路228にラッチされた値に更新し、値V2をラッチ回路229にラッチされた値に更新する。同様に、保持している最大値V3よりもラッチ回路228にラッチされた値の方が大きかった場合には、最大値V3をラッチ回路228にラッチされた値に更新し、値V4をラッチ回路229にラッチされた値に更新する。また、抽出回路230は、例えば、リセット信号RSTの受信に応じて値V2及び値V4を示すデータを出力し、ラッチしているデータをリセットする。
また、しきい値調整回路212は、抽出回路230から出力された値V2及び値V4を加算する加算回路231と、加算回路231から出力された値を1/2倍する割算回路232と、割算回路232から出力された値をラッチするラッチ回路233と、ラッチ回路233にラッチされたデータをD/A変換してしきい値Vthを示す信号として出力するD/A変換器234と、を備える。
また、しきい値調整回路212は、ラッチ回路228の出力信号を絶対値に変換する変換回路235と、変換回路235の出力信号をD/A変換して出力するD/A変換器236を備える。
比較回路213は、D/A変換器236の出力信号及び所定のしきい値を受信して、スロープ検出信号S2´を出力する。
ここで、しきい値調整回路212に含まれる構成のうち、変換回路235及びD/A変換器236以外の構成はエッジ検出信号S2の生成に用いられる。即ち、図14に例示した構成によれば、エッジ検出信号S2の生成に用いる回路構成の一部を利用して、構成等の増大をほぼ招くことなくスロープ検出信号S2´を生成することが出来る。
尚、図14を参照して説明した構成はあくまでも例示であり、具体的な構成は適宜調整することが出来る。例えば、図14を参照して説明した工程には、ノイズ除去のためのフィルタ等を設けても良い。また、例えば、ラッチ回路222、フリップフロップ回路223、ラッチ回路224、減算回路225、加算回路226、割算回路227、ラッチ回路228、ラッチ回路229、抽出回路230、加算回路231、割算回路232、ラッチ回路233及び変換回路235は、電子回路等によって実現されていても良いし、CPU又はFPGA等によって実現されても良い。
[その他の実施形態]
以上、第1の実施形態に係る光学式測定装置について説明した。しかしながら、第1の実施形態は例示に過ぎず、具体的な構成等は適宜調整することが出来る。
例えば、第1の実施形態では、図1を参照して説明した様に、測定部100の連結部130上に支持具140が載置され、この支持具140によって測定対象物Wが支持されている例を説明した。この場合には、上述の通り、位置決めに際して支持具140を操作して、測定対象物WのX方向及びZ方向の位置を調整する。しかしながら、位置決めに際しては、測定部100のX方向及びZ方向の位置を調整することも出来る。
また、第1の実施形態では、測定対象物WのX方向の位置決めに際して、スロープカウント値SCVを利用していた。しかしながら、スロープカウント値SCVを用いることなく測定対象物Wの位置決めを行うことも出来る。例えば、測定対象物Wが焦点面F上に位置決めされている場合、上記受光信号S1の傾きの大きさは最大値となる。従って、例えば、上記微分信号dSt/dtの絶対値に対応する情報を幾何形状の位置、大きさ等に対応させることも出来る。この場合、測定者は、例えば、上記微分信号dSt/dtが最大値となる様に、測定対象物WをX方向に位置決めする。また、上記スロープカウント値SCV及び上記微分信号dSt/dtの双方を用いて測定対象物Wの位置決めを行うことも出来る。