JP3085341B2 - 外形測定装置及びその被測定物配置方法 - Google Patents

外形測定装置及びその被測定物配置方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ビームを走査して被
測定物により光ビームが遮断された期間を検出すること
により被測定物の外形を測定する外形測定装置に関し、
特に走査される光ビームが集束される走査面付近に被測
定物を配置すれば検出精度が向上するが、このような配
置が容易に確認できる外形測定装置及びその装置におけ
る被測定物配置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】円筒物の外径や板状物の長さを非接触で
測定するため、平行に走査される光ビーム内に被測定物
を配置し、遮断された光ビームの幅で長さを測定する外
形測定装置が広く利用されている。図7は従来の外形測
定装置の基本構成を示す図である。
【0003】図7において、711は平行な光ビームを
発生する光ビーム発生器であり、半導体レーザ(レーザ
ダイオード)とコリメータレンズを組み合わせたものが
一般的であるが、He−Neレーザが使用されることも
ある。712はポリゴンミラーであり、精密な多面鏡が
等速回転して光ビームを等角速度で偏向する。713は
fθレンズであり、偏向された光ビームを軸に平行にな
るように方向を変化させ、軸に垂直な方向に等速で移動
させる。これにより光ビームは走査されることになる。
72は集光レンズであり、走査された光ビームを集光す
る。73はフォトセンサであり、集光レンズ62で集光
された光ビームを受光して電気信号に変換する。74は
電気信号を処理して光ビームが遮断された幅を算出す
る。
【0004】図7において、700は被測定物であり、
被測定物700を走査ビーム中に配置することにより走
査光ビームが被測定物700の部分を走査している期間
だけ走査光ビームが遮断され、フォトセンサ73からの
電気信号の強度もこれに応じて変化する。従って電気信
号が強度が低下する期間を検出すれば、走査ビームの走
査速度を乗じることにより光ビームが遮断された幅が求
まる。図7ではこの幅が被測定物700の外径に相当す
る。
【0005】平行な光ビームは光の回折現象により広が
り、しかも光ビームの径が小さい程広がり角が大きくな
る。そのためfθレンズ713から射出される光ビーム
は平行ビームでなく、被測定物を配置する付近で集束さ
れるようになっている。図8はその集束状態を示した図
である。図8において、713はfθレンズであり、7
2は集光レンズである。fθレンズ713を含む光ビー
ム走査装置は、fθレンズ713を射出した光ビーム7
0がBで示した線上に集束するように設計されている。
Bを走査線と称し、走査線Bを含む紙面に垂直な空間内
の仮想面を走査面と称している。ここではこの走査面も
Bで示すこととする。走査面Bでの光ビームの径が小さ
い程分解能が高くなるが、走査面Bでの光ビームの径を
小さくするにはfθレンズ713から射出される光ビー
ムの径を大きくする必要がある。そのため走査面Bから
光軸方向に移動するに従って光ビームの径は大きくな
る。従って被測定物は走査面B付近に配置するのが望ま
しい。
【0006】板状の被測定物700をX,Y,Zで示し
た位置に配置した時に被測定物700の縁を通過する光
ビームの状態を図8の下側に示す。図示のように、走査
面B付近の点Yに被測定物を配置した時には光ビームは
完全に遮断されるか完全に通過し、その中間の一部のみ
遮断される光ビームはほとんどない。これに対して点X
とZに配置された被測定物の縁では、光ビーム70の一
部が遮断される状態が広い範囲にわたって生じる。
【0007】図9は上記のX,Y,Zの各点に被測定物
を配置した時に受光素子から出力される電気信号を模式
的に示した図である。(a),(b),(c)がそれぞ
れX点、Y点、Z点に配置した時を示している。中央の
信号強度が低下している部分が光ビームが遮断された範
囲に対応する。Y点における中央部の信号強度の変化は
急激であるが、X点とZ点における変化は緩いことがわ
かる。これは図7に示したように、X点とZ点では被測
定物の縁で光ビームの一部が遮断される状態が広い範囲
で生じるためである。
【0008】光ビームの遮断幅の検出は、図9のように
閾値を設定し、中央の部分でこの閾値以下になる信号の
期間を検出することにより行う。そのため信号の強度レ
ベルが変化した時には、検出した幅に誤差が生じるが、
X点とZ点に配置した時の方が信号の変化が緩いためY
点に配置した時に比べて誤差が大きくなるという問題が
ある。そのためにも被測定物は走査面の近くに配置する
必要がある。
【0009】しかし走査面は仮想面であり、実際にはこ
れを識別することはできない。そこで外形装置を製作す
る段階で走査面に光ビームが集束されるように設定し、
その走査面の位置を示す目印を光ビームが通過する部分
の周囲に設けている。使用者はこの目印に沿って被測定
物を設置して測定を行う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし目印に沿って行
う被測定物の配置は目視で行われ、実際の配置位置が適
当であるかを確認することはできないのが現状である。
特に被測定物の形状から上記の目印が確認できない場合
があり、そのような場合は測定の信頼性がまったく確認
できないという問題がある。
【0011】また走査面付近に被測定物を配置する必要
があるだけでなく、走査される光ビームに対して被測定
物を垂直に配置することも重要である。図10は板状の
被測定物900を光ビームに対して傾斜して配置した時
の検出誤差の発生を説明するための図である。図示のよ
うに幅dの被測定物を光ビームに対してθだけ傾斜して
配置した時には、その幅はdcosθとして検出される。光
ビームに対して垂直に配置されているかについてもこれ
までは上記の目印に沿って目視で配置するだけで、傾斜
を確認できなかったという問題がある。
【0012】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、外形測定装置において被測定物の位置及び傾き
が確認できるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の外形測定
装置の基本構成を示す図である。図1に示すように、本
発明の外形測定装置は、光ビーム走査手段1と、集光手
段2と、受光手段3と処理手段4とを備えているが、上
記目的を達成するため、変化率検出手段5を備える。
【0014】光ビーム走査手段1は、空間の所定面を走
査面Aとして光ビーム10を走査し、光ビーム10は走
査面A上を走査されると共に走査面Aに集束される。集
光手段2は走査面Aを通過した光ビーム10を集光す
る。受光手段3は集光された光ビーム10を受光し、光
ビーム10の強度に対応した電気信号を出力する。処理
手段4は走査される光ビーム10の途中に被測定物10
0を配置した時の電気信号から光ビーム10の遮断期間
を導出し、光ビーム走査手段1の走査速度と遮断期間に
基づいて被測定物100の走査される光ビームに対する
幅を算出する。変化率検出手段5は受光手段3から出力
される電気信号の変化率を検出する。
【0015】また別の態様では上記の電気信号の変化を
表示する表示手段を設ける。
【0016】
【作用】図8に示したように、被測定物100を配置す
る位置に応じて受光手段3から出力される電気信号の変
化率が異なる。従ってこの変化率を検出すれば光ビーム
を遮断する被測定物の縁が走査面からずれているかが判
定できる。上記の変化率は、例えば、図1の下部に示す
ように電気信号の変化部分の傾斜等で表わせるが、他に
も電気信号の微分波形をとることによって算出できる。
図2は変化率を求めるため受光手段3から出力される電
気信号の処理例を示す図であり、被測定物が走査面上に
ある時と走査面以外にある時の2つの電気信号を対比さ
せて示してある。
【0017】(a)は電気信号そのものであり、中央部
の強度の低下部分が被測定物で光ビームが遮断される。
遮断部分の前後の強度変化は、走査面上にある時は急激
であるが、走査面以外では緩やかになり、走査面から離
れる程より緩やかになる。走査範囲の周辺部ではレンズ
枠等によって光ビームが遮断されるため信号強度が変化
するが、この分はあらかじめ判っているので除くことが
できる。
【0018】(b)は電気信号(a)を微分した微分電
気信号であり、変化率が大きい程大きな値になるが、変
化の方向によって正負逆の値になる。(c)は微分電気
信号(b)の絶対値をとった微分絶対値信号である。微
分信号の絶対値は変化の大きさをそのまま示しているの
で、その最大値を比較すれば変化率が大きいかどうかが
判定できる。(d)はそのためのピークホールド信号で
あり、一回の走査の間に最大値を順次更新した信号であ
る。走査が終了した時点でこのピークホールド信号
(d)の出力値は最大の変化率を示すので、走査毎にこ
の値を検出すれば変化率が求まる。
【0019】(e)は微分絶対値信号(c)を図中の閾
値レベルより大きいかどうかを比較したコンパレート信
号である。走査面上にある時には微分信号の絶対値は大
きくなるが、閾値レベル以上である期間の長さは走査面
以外にある時に比べて短くなる。もちろんこれは閾値レ
ベルによるが、閾値レベルを低く設定すればこのような
ことが生じる。図においてはt1とt2はt3とt4よ
り短い。従ってこの期間の長さは変化率を示すといえ
る。
【0020】ピークホールド信号(d)とコンパレート
信号(e)を微分信号(b)に対して正負別々に導出す
れば、上記と同様に変化率を示す信号が求まる。更にこ
の場合は、負の信号が前側の縁での変化を示し、正の信
号が後側の縁での変化を示すため、それぞれの縁の配置
が適正であるかを判断できる。もし2つの信号の値が異
なる場合には、被測定物が光ビームに対して傾斜して配
置されていると判断できる。またたとえ変化率が同じで
あっても、位置変化させた時の変化率の変化方向が逆で
あれば、走査面に対して両縁が対称になるように傾斜し
て配置されていると考えられる。
【0021】
【実施例】まず図2に示したフォトセンサから出力され
る電気信号から変化率を導出するための回路の実施例を
説明する。図3は電気信号から微分電気信号を導出する
ための微分回路の実施例を示す図である。この回路は、
オペアンプとコンデンサ、及び抵抗で構成される一般的
な微分回路であり、詳しい説明は省略する。
【0022】図4は微分電気信号から絶対値信号を導出
する絶対値回路と、その出力から最大値を導出するピー
クホールド回路の実施例を示す図である。図において4
1が絶対値回路であり、42がピークホールド回路であ
る。ピークホールド回路の出力はA/D変換器43によ
ってディジタル信号に変換される。このディジタル信号
を走査毎に読み取って数値表示する。ピークホールド回
路42は、走査終了後にリセットされる。
【0023】図5は微分電気信号を正と負の所定値と比
較する2個のコンパレータ回路と、その出力のパルス幅
を計数するパルス長検出回路の実施例を示す図である。
図において、51と52はコンパレータであり、微分電
気信号を基準電圧r1, r2と比較し、r1以上又はr
2以下の期間のパルス幅を有する信号を出力する。53
は計数用のクロック信号を発生する発振器であり、カウ
ンタ54,55で上記のパルス幅の期間中クロック信号
を計数してパルス幅の長さを検出する。ラッチ56と5
7はパルスの立ち下がり時にカウンタ54,55の値を
ラッチする。その出力はデータバスを介してマイクロコ
ンピュータ等に読み取られ、表示される。表示は例えば
バーグラフのようなグラフィック表示を行う。
【0024】図3から図5は電気信号を処理して変化率
を導出するための回路であるが、各回路部分を組み合わ
せることにより変化率を示す各種の信号が得られる。例
えば、図4のピークホールド回路42をそれぞれ正と負
の2種類の最大値を保持する2つの回路とし、図3の微
分回路の出力を入力させることにより正と負の最大値が
それぞれ検出できる。
【0025】図6は変化率を表示する表示装置を備えた
外形測定装置を示している。この装置は、図1の基本構
成に電気信号の変化を表示する表示装置66と、検出し
た被測定物の幅を数値表示する数値数示部67を加えた
ものである。フォトセンサ63から出力される電気信号
は、図2の(a)に示すような変化を示すので、オシロ
スコープ等でその変化を示せば、使用者はその表示を見
て電気信号の変化具合いが判定できる。
【0026】またこれまで説明した変化率検出回路65
を設け、その検出結果を表示してもよい。もし数値表示
するならば、表示装置67として数値表示装置を用いる
ことができる。使用者は、表示を見ながらもっとも変化
率が大きくなるように位置調整し、更に両側で同じ変化
率になるように傾きを調整した後測定を行う。
【0027】
【発明の効果】本発明により、外形測定装置において被
測定物が適切に配置されているかが確認できるようにな
り、測定の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外形測定装置の基本構成を示す図であ
る。
【図2】電気信号を処理して変化率を導出する例の説明
図である。
【図3】微分回路の実施例を示す図である。
【図4】絶対値回路とピークホールド回路の実施例を示
す図である。
【図5】コンパレータ回路とパルス長検出回路の実施例
を示す図である。
【図6】受光信号の変化を表示することのできる外形測
定装置の構成例を示す図である。
【図7】従来の外形測定装置の構成を示す図である。
【図8】走査面上に集束される光ビームの状態と被測定
物の配置関係を示す図である。
【図9】受光素子の信号波形を示す図である。
【図10】被測定物を傾斜して配置した時の誤差発生の
説明図である。
【符号の説明】
1…光ビーム走査手段 2…集光手段 3…受光手段 4…処理手段 5…変化率検出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 11/00 - 11/30 G02B 26/10 102

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間の所定面を走査面(A)として光ビ
    ーム(10)を走査し、該光ビーム(10)は前記走査
    面(A)上を走査されると共に前記走査面(A)に集束
    される光ビーム走査手段(1)と、 前記走査面(A)を通過した前記光ビーム(10)を集
    光する集光手段(2)と、 集光された前記光ビーム(10)を受光し、前記光ビー
    ム(10)の強度に対応した電気信号を出力する受光手
    段(3)と、 走査される前記光ビーム(10)の途中に被測定物(1
    00)を配置した時の前記電気信号から前記光ビーム
    (10)の遮断期間を導出し、前記光ビーム走査手段
    (1)の走査速度と前記遮断期間に基づいて前記被測定
    物(100)の走査される前記光ビームに対する幅を算
    出する処理手段(4)とを備える外形測定装置におい
    て、 前記電気信号の変化率を検出する変化率検出手段(5)
    を備えることを特徴とする外形測定装置。
  2. 【請求項2】 前記変化率検出手段(5)は、前記電気
    信号を微分し、微分電気信号を出力する微分回路を備え
    ることを特徴とする請求項1に記載の外形測定装置。
  3. 【請求項3】 前記変化率検出手段(5)は、前記微分
    電気信号の絶対値信号を出力する絶対値出力回路を備え
    ることを特徴とする請求項2に記載の外形測定装置。
  4. 【請求項4】 前記変化率検出手段(5)は、前記絶対
    値信号のピーク値を検出するピークホールド回路を備
    え、前記ピーク値を変化率として出力することを特徴と
    する請求項3に記載の外形測定装置。
  5. 【請求項5】 前記変化率検出手段(5)は、前記絶対
    値信号を所定値と比較するコンパレータ回路と、前記絶
    対値信号が所定値以上であるパルス長を検出するパルス
    長検出回路とを備え、前記パルス長を変化率として出力
    することを特徴とする請求項3に記載の外形測定装置。
  6. 【請求項6】 前記変化率検出手段(5)は、前記微分
    電気信号の正と負のピーク値をそれぞれ検出する正と負
    のピークホールド回路を備え、正と負の前記ピーク値を
    変化率として出力することを特徴とする請求項2に記載
    の外形測定装置。
  7. 【請求項7】 前記変化率検出手段(5)は、前記微分
    電気信号を正と負の所定値と比較する正と負のコンパレ
    ータ回路と、前記微分電気信号が正の所定値以上又は負
    の所定値以下であるパルス長を検出する2個のパルス長
    検出回路とを備え、前記正と負のパルス長を変化率とし
    て出力することを特徴とする請求項2に記載の外形測定
    装置。
  8. 【請求項8】 前記変化率を表示する変化率表示手段を
    備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれ
    か1項に記載の外形測定装置。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項のいずれか1項に
    記載の外形測定装置における被測定物の配置方法であっ
    て、 前記被測定物の縁に対応する前記電気信号の変化部分の
    変化率が最大になるように前記被測定物を配置すること
    を特徴とする外形測定装置における被測定物配置方法。
  10. 【請求項10】 前記被測定物の両方の縁に対応する前
    記電気信号の変化率が略同一になるように前記被測定物
    を配置することを特徴とする請求項に記載の外形測定
    装置における被測定配置方法。
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