JP7236983B2 - 電力融通システム及び電力融通方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の電力供給システムでは、複数の施設それぞれに設けられた複数の分散型発電装置である燃料電池の特性が経時的に劣化し、発電効率の特性も経時的に変動することに着目し、燃料電池それぞれについて発電電力毎に発電効率を算出している。そして、複数の燃料電池の全体の発電効率が最大になるように、各燃料電池の発電電力量を燃料電池ごとの発電効率に基づいて制御している。これにより、電力供給システムにおいて、各燃料電池の発電効率を向上した上で複数の施設間で電力を融通できるシステムを構築している。
この事態を特許文献1の場合に当てはめると、発電効率の良い燃料電池はより多くの発電電力を他の施設に融通するため、発電効率の悪いものよりも累積発電電力量が多くなりメンテナンス実施タイミングが早くなる。逆に、発電効率の悪いものは、発電効率の良いものよりも累積発電電力量が少ないため、メンテナンス実施タイミングが遅くなる。
前記分散型発電装置のそれぞれは、運転が行われるのに伴って増加又は減少する運転状態値が所定のメンテナンス基準値に達すると、当該分散型発電装置のメンテナンス実施タイミングに到達したと判定するように構成され、
複数の前記分散型発電装置から前記運転状態値を取得する取得部と、
融通目標電力を決定する融通制御部とを備え、
複数の前記施設のそれぞれの前記分散型発電装置は、前記負荷が必要とする負荷電力を賄うことを目標として発電可能電力の範囲内で決定される個別目標電力と、他の前記施設に電力を融通することを目標として前記融通制御部が決定した前記融通目標電力との合計の電力を出力し、
前記融通制御部は、前記負荷電力が前記発電可能電力を超えることで不足電力が生じる施設が存在する場合、前記負荷電力が前記発電可能電力に満たないことで余剰電力が生じる施設に設けられる前記分散型発電装置のうち、前記運転状態値と前記メンテナンス基準値との差分の絶対値が最も大きい分散型発電装置に、前記融通目標電力に基づく情報を優先的に送信する融通制御を行う点にある。
これにより、互いに電力の融通が行われる複数の施設のうち、特定の施設の分散型発電装置だけメンテナンス実施タイミングが大きく異なる状況になってしまうことを回避できる。また、複数の分散型発電装置に対してメンテナンスに伴う作業を同時期に一括して行える等、管理が容易になる。
なお、運転状態値とは、分散型発電装置の運転に伴って増加する累積発電電力量等の値であり、また、分散型発電装置の運転に伴って減少するセルスタック電圧等の値である。
前記分散型発電装置のそれぞれは、運転が行われるのに伴って増加又は減少する運転状態値が所定のメンテナンス基準値に達すると、当該分散型発電装置のメンテナンス実施タイミングに到達したと判定するように構成され、
複数の前記分散型発電装置から前記運転状態値を取得する取得ステップと、
融通目標電力を決定する融通制御ステップとを備え、
複数の前記施設のそれぞれの前記分散型発電装置は、前記負荷が必要とする負荷電力を賄うことを目標として発電可能電力の範囲内で決定される個別目標電力と、他の前記施設に電力を融通することを目標として前記融通制御ステップで決定された前記融通目標電力との合計の電力を出力し、
前記融通制御ステップでは、前記負荷電力が前記発電可能電力を超えることで不足電力が生じる施設が存在する場合、前記負荷電力が前記発電可能電力に満たないことで余剰電力が生じる施設に設けられる前記分散型発電装置のうち、前記運転状態値と前記メンテナンス基準値との差分の絶対値が最も大きい分散型発電装置に、前記融通目標電力に基づく情報を優先的に送信する融通制御を行う点にある。
以下、本実施形態に係る電力融通システム及び電力融通方法について説明する。
(1)電力融通システムの全体構成
図1は、電力融通システムの全体構成図である。電力融通システムは、分散型発電装置及び負荷を有する複数の施設間で電力を互いに融通可能に構成されている。図1に示す例では、電力融通システム100は、受電盤20を介して電力系統10に接続されており、電力系統10から系統電力の供給を受けることが可能である。電力融通システム100は、分散型発電装置40、負荷50及び個別制御装置45を有する複数の施設A、B、C、Dと、受電盤20と、全体制御装置30とを備えている。図1において、施設Aは分散型発電装置40A、負荷50A及び個別制御装置45Aを備えており、施設Bは分散型発電装置40B、負荷50B及び個別制御装置45Bを備えており、その他の施設C、Dも同様の構成である。本実施形態では、複数の施設A、B、C、Dは、互いに発電電力の融通が可能なグループを構成している。つまり、分散型発電装置40A、40B、40C、40Dは、互いに発電電力の融通が可能なグループを構成している。
本実施形態の融通制御を説明するにあたり、まずは本実施形態の融通制御が行われない場合の電力の融通の概略について以下に説明する。
図2には、本実施形態の融通制御が行われない場合の電力の融通の様子が示されている。図2よると、2019年3月1日12時の時点において、施設Aでは、分散型発電装置40Aは発電電力が定格発電電力の700W、運転開始からの累積発電電力量が12000kWh、負荷50Aの負荷電力が700Wである。よって、負荷50Aが必要とする700Wの負荷電力は、分散型発電装置40Aの700Wの発電電力で賄われている。
施設Bでは、分散型発電装置40Bは発電電力が500W、累積発電電力量が19000kWh、負荷50Bの負荷電力が500Wである。よって、負荷50Bが必要とする500Wの負荷電力は、分散型発電装置40Bの500Wの発電電力で賄われている。
施設Dでは、分散型発電装置40Dは発電電力が300W、累積発電電力量が10000kWh、負荷50Dの負荷電力が300Wである。よって、負荷50Dが必要とする300Wの負荷電力は、分散型発電装置40Dの300Wの発電電力で賄われている。
次に、本実施形態の電力融通システムで行われる融通制御について説明する。
本実施形態に係る電力融通システム100では、前述の図2を用いて説明したような、電力を融通し合う複数の施設において特定の施設の分散型発電装置だけメンテナンス実施タイミングが大きく異なる状況を回避するため、つまり、電力を融通し合う複数の施設においてメンテナンス実施タイミングができるだけ同時期になるように電力の融通にあたり融通制御が行われる。
なお、メンテナンス実施タイミングを同時期にするとは、融通制御の対象である複数の分散型発電装置40(発電電力の融通が可能なグループを構成している複数の分散型発電装置)について、メンテナンスが実施される月、日、時間等を同時期に揃えることをいう。
本実施形態の融通制御について、図4~図7を用いてさらに説明する。まずは、個別制御装置45及び全体制御装置30の各機能部につい説明する。
各施設の個別制御装置45は、記憶部(図示せず)を備えており、分散型発電装置40に関する情報及び負荷50の負荷電力に関する情報等を記憶している。
分散型発電装置40に関する情報は、分散型発電装置40の運転の状態を示す運転状態値、分散型発電装置40の発電可能電力、現在の発電電力、発電可能電力の上限値(定格発電電力)と現在の発電電力との差分等である。
個別制御装置45の記憶部(図示せず)は、その他、施設での不足電力及び余剰電力等を記憶している。不足電力は、施設内の負荷50の負荷電力が発電可能電力を超える場合、現在の発電電力が施設内の分散型発電装置40の発電可能電力(上限電力値)に達しているため、負荷電力から分散型発電装置40の現在の発電電力を減算して得られる値である。余剰電力は、負荷電力が発電可能電力に満たない場合、現在の発電電力が負荷電力に供給されているため、発電可能電力から現在の発電電力を減算して得られる値である。
例えば、各施設の個別制御装置45は、各施設の負荷50が必要とする負荷電力を賄うことを目標として発電可能電力の範囲内で決定される個別目標電力を決定する。さらに、各施設の個別制御装置45は、他の施設に電力を融通するための後述の融通目標電力に基づく情報を全体制御装置30から受信する。そして、各施設の個別制御装置45は、個別目標電力と融通目標電力との合計の発電電力を発電するように、各施設の分散型発電装置40の運転開始及び運転停止の制御、及び発電電力の調整制御等を行う。
なお、各分散型発電装置40の発電可能電力は、例えば定格発電電力である。
全体制御装置30は、図4に示すように、取得部31、記憶部33及び融通制御部35を備えている。
全体制御装置30の取得部31は、随時、分散型発電装置40の運転の状態を示す運転状態値、分散型発電装置40の発電可能電力、現在の発電電力、発電可能電力の上限値(定格発電電力)と現在の発電電力との差分等を含む各分散型発電装置40に関する情報、各負荷50の負荷電力に関する情報、施設での不足電力及び余剰電力等を各施設の個別制御装置45から取得する。
全体制御装置30の記憶部33は、本実施形態では運転状態値として累積発電電力量を記憶する。累積発電電力量は、図5に示すように各分散型発電装置40A~40Dの初回の運転開始日以降から積算されて増加し、図3の2019年3月1日12時の時点でそれぞれ12000kWh、19000kWh、14000kWh、10000kWhである。そして、記憶部33は、図6に示すように、例えば施設Aについて、所定の日時ごとに、運転状態値としての累積発電電力量、累積発電時間、累積起動回数及び発電電力と、定格発電電力と現在の発電電力との差分と、負荷電力と、不足電力とを記憶する。そのほか、記憶部33は余剰電力も記憶できる。記憶部33は、他の複数の施設についても同様に運転状態値等の経時変化を記憶する。
全体制御装置30の融通制御部35は、電力融通システム100に含まれる複数の分散型発電装置40をグループ化する。グループ化の基準は、前述の通り記憶部33に記憶されている。本実施形態では、融通制御部35は、図1~3に示す4つの分散型発電装置40A~40Dを1つのグループとする。ただし、グループ内の分散型発電装置40の数は4つに限定されず、2つ以上であれば限定されない。
まず、2019年3月1日12時の時点の直前において、本実施形態の電力の融通制御が行われる前の電力を融通し合う各施設A~Dの累積発電電力量及び現在の発電電力等の運転状態値、発電可能な余剰電力、負荷電力等の状態を説明する。
施設Dの個別制御装置45Dは、当該情報を受信すると、個別目標電力の300Wに融通目標電力の300Wを加えた600Wの合計の発電電力を発電するように分散型発電装置40Dを制御する。
これにより、互いに電力の融通が行われる複数の施設のうち、特定の施設の分散型発電装置40だけメンテナンス実施タイミングが大きく異なる状況になってしまうことを回避できる。また、複数の分散型発電装置40に対してメンテナンスに伴う作業を同時期に一括して行える等、管理が容易になる。
次に、全体制御装置30が行う融通制御の流れ(融通制御方法)について図7を用いて説明する。
ステップS10:取得部31は、随時、分散型発電装置40の運転の状態を示す運転状態値、分散型発電装置40の発電可能電力、現在の発電電力、発電可能電力の上限値(定格発電電力)と現在の発電電力との差分等を含む各分散型発電装置40に関する情報、各負荷50の負荷電力に関する情報、施設での不足電力及び余剰電力等を各施設の個別制御装置45から取得する。記憶部33は、取得部31が取得した運転状態値等を記憶する。
(1)上記実施形態では、融通制御部35は、運転状態値とメンテナンス基準値との差分の絶対値が最も大きい施設に、融通目標電力に関する情報を送信することで融通制御を行う。しかし、電力を融通し合う複数の施設において、メンテナンス実施タイミングを同時期にできればよく、次のように融通制御を行ってもよい。
なお、ここでは、融通制御基準値を1回目メンテナンス基準値の半分としたが、これに限定されない。融通制御基準値は、1回目メンテナンス基準値までのいずれかの値でよく、例えば、1回目メンテナンス基準値の1/3以降の値であり、好ましくは1回目メンテナンス基準値の1/2以降の値である。また、融通制御基準値は、例えば1回目メンテナンス基準値の4/5以下の値であり、好ましくは3/4以下の値である。
しかし、融通制御部35は、電力融通システム100内の、複数の分散型発電装置40のうちの2以上の分散型発電装置40で構成されるグループを定め、そのグループ内の分散型発電装置40を有する複数の施設間でそれぞれ別個の融通制御を行ってもよい。
上記のように、初回の運転開始日等が同程度の分散型発電装置を同一グループとして融通制御を行うことで、運転状態値の相違が小さい分散型発電装置40間で融通制御を効率よく行うことができる。
この場合、同一の階層に設けられる施設間で融通制御が行われる。これにより、同一の階層に設置される分散型発電装置40のメンテナンス実施タイミングが互いに近くなる。これにより、同一の階層毎にメンテナンスに伴う作業を同時期に一括して行うことができる。
35 :融通制御部
40 :分散型発電装置
100 :電力融通システム
Claims (9)
- 分散型発電装置及び負荷を有する複数の施設間で電力を互いに融通可能な電力融通システムであって、
前記分散型発電装置のそれぞれは、運転が行われるのに伴って増加又は減少する運転状態値が所定のメンテナンス基準値に達すると、当該分散型発電装置のメンテナンス実施タイミングに到達したと判定するように構成され、
複数の前記分散型発電装置から前記運転状態値を取得する取得部と、
融通目標電力を決定する融通制御部とを備え、
複数の前記施設のそれぞれの前記分散型発電装置は、前記負荷が必要とする負荷電力を賄うことを目標として発電可能電力の範囲内で決定される個別目標電力と、他の前記施設に電力を融通することを目標として前記融通制御部が決定した前記融通目標電力との合計の電力を出力し、
前記融通制御部は、前記負荷電力が前記発電可能電力を超えることで不足電力が生じる施設が存在する場合、前記負荷電力が前記発電可能電力に満たないことで余剰電力が生じる施設に設けられる前記分散型発電装置のうち、前記運転状態値と前記メンテナンス基準値との差分の絶対値が最も大きい分散型発電装置に、前記融通目標電力に基づく情報を優先的に送信する融通制御を行う、電力融通システム。 - 前記融通制御部は、複数の前記分散型発電装置それぞれにおける1回目のメンテナンス実施タイミングが同時期となるように前記融通制御を行う、請求項1に記載の電力融通システム。
- 前記融通制御部は、複数の前記分散型発電装置の前記運転状態値のうち、少なくとも1以上の前記運転状態値が前記メンテナンス基準値に対して所定の割合に到達した場合に前記融通制御を行う、請求項1又は2に記載の電力融通システム。
- 前記融通制御部は、複数の前記分散型発電装置のうち、前記運転状態値と前記メンテナンス基準値との差分の絶対値が最も小さい分散型発電装置に対し、前記発電可能電力を抑制する指示を優先的に送信する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電力融通システム。
- 各運転状態値は、各分散型発電装置における、累積発電電力量、累積発電時間、累積起動又は停止回数、前記分散型発電装置での発電に伴って排出された排ガスとの熱交換に用いられる冷却水を脱イオン化するイオン交換樹脂を通過した前記冷却水の累積水通過量、発電に用いる燃料ガスの脱硫を行う脱硫器を通過した前記燃料ガスの累積ガス通過量、発電に用いる空気に含まれる異物を除去するためのエアフィルタを通過した前記空気の累積空気通過量、及び、各分散型発電装置が燃料電池である場合における発電を行うセルが積層されたスタックのスタック電圧の少なくともいずれか1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電力融通システム。
- 前記融通制御部は、複数の前記分散型発電装置のうちの2以上の前記分散型発電装置で構成されるグループを定め、そのグループ内の前記分散型発電装置を有する複数の前記施設間で前記融通制御を行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の電力融通システム。
- 前記融通制御部は、前記運転状態値、初回の運転開始日、引き渡し日、及び、前記分散型発電装置が燃料電池である場合における発電を行うセルが積層されたスタックのスタック電圧の少なくともいずれか1つが所定範囲内にある2以上の前記分散型発電装置で構成される前記グループを定める、請求項6に記載の電力融通システム。
- 複数の階層を有する建物において、各階層に2以上の前記施設が設けられ、
前記融通制御部は、同一の前記階層に設けられる前記分散型発電装置の全てを同一の前記グループに含める、請求項6に記載の電力融通システム。 - 分散型発電装置及び負荷を有する複数の施設間で電力を互いに融通可能な電力融通システムにおける電力融通方法において、
前記分散型発電装置のそれぞれは、運転が行われるのに伴って増加又は減少する運転状態値が所定のメンテナンス基準値に達すると、当該分散型発電装置のメンテナンス実施タイミングに到達したと判定するように構成され、
複数の前記分散型発電装置から前記運転状態値を取得する取得ステップと、
融通目標電力を決定する融通制御ステップとを備え、
複数の前記施設のそれぞれの前記分散型発電装置は、前記負荷が必要とする負荷電力を賄うことを目標として発電可能電力の範囲内で決定される個別目標電力と、他の前記施設に電力を融通することを目標として前記融通制御ステップで決定された前記融通目標電力との合計の電力を出力し、
前記融通制御ステップでは、前記負荷電力が前記発電可能電力を超えることで不足電力が生じる施設が存在する場合、前記負荷電力が前記発電可能電力に満たないことで余剰電力が生じる施設に設けられる前記分散型発電装置のうち、前記運転状態値と前記メンテナンス基準値との差分の絶対値が最も大きい分散型発電装置に、前記融通目標電力に基づく情報を優先的に送信する融通制御を行う、電力融通方法。
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