JP7236863B2 - 間仕切壁及びその作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、間仕切壁及びその作製方法に関する。
建築物の天井躯体(天井スラブ)に支持される上側ランナーと、建築物の床躯体(床スラブ)に支持される下側ランナーと、上側ランナーと下側ランナーとの間で支持され、水平方向に間隔を空けて並ぶ複数のスタッドと、複数のスタッドに跨がる状態で支持される壁面部材とを有する間仕切壁が従来から知られている。
スタッドに壁面部材を支持する間仕切壁には種々のタイプがあり、具体例として、例えば片面2枚張りタイプや、両面2枚張りタイプを挙げることができる。このうち、片面2枚張りタイプでは、スタッドの片側に壁面部材が固定され、壁面部材が、スタッドに固定される下張りと、下張りに固定される上張りとを有する。一方、両面2枚張りタイプでは、スタッドの両側に壁面部材が固定され、各壁面部材が下張りと、上張りとを有する。
このような上張りと下張りとを有する壁面部材では、通常、上張り及び下張りのそれぞれが、壁状をなすように配列される複数の面材により形成されている。
間仕切壁では耐火性能を要求される場合があり、この場合、壁面部材を構成する面材として、石膏ボードやケイ酸カルシウム板等の不燃性を有する面材が用いられることがある。このような石膏ボード等を用いる片面2枚張りタイプ及び両面2枚張りタイプの従来の間仕切壁では、通常、上張りを構成する面材が下張りを構成する面材に対して接着剤によって留め付けられるとともに、ステープルやビス(ねじくぎ)等によって固定されている。
特許文献1には、面材として石膏ボード等を用いる片面2枚張りタイプ及び両面2枚張りタイプの間仕切壁が開示される。この間仕切壁では、上張りに形成される目地に沿って延びる厚み方向の間隙(25)又は面内方向の溝(6)が上張りと下張りとの間に形成され、シーリング材がこの間隙又は溝内で帯状膜又はコアを形成するように当該間隙又は溝に充填される。
特許文献1の間仕切壁では、スタッド側から火災による熱を受けた際に、スタッド、下張り及び上張りが湾曲して、下張りの目地及び上張りの目地が拡開しようとする。この際、シーリング材が上張りの目地を塞ぐように形成されていることで、目地が拡開したとしても熱風や燃焼ガスの通過が抑制され、その結果、耐火性能を向上できる。
特許文献1の技術では、シーリング材が、変性シリコーン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材であり、目地に充填された際に気密性の機能を発揮するという、シーリング材としての一般的な機能を十分に発揮し得る。そのため、特許文献1の間仕切壁では、耐火性能を効果的に向上できるものと考えられる。
特許第5363852号公報
上述したように、石膏ボード等を用いる従来の片面2枚張りタイプ及び両面2枚張りタイプの間仕切壁では、通常、上張りを構成する面材が下張りを構成する面材に対して接着剤によって結合されるとともに、ステープルやビスによって固定される。これに対して、特許文献1の間仕切壁では、シーリング材を上張り面材と下張り面材との間に充填する作業が生じる。そして、このシーリング材の充填作業では、シーリング材が上張りと下張りとの間の間隙又は溝内で帯状膜又はコアを形成するように、シーリング材を充填する必要がある。そして、シーリング材が間隙で帯状膜を形成するとともに、隙間でコアを形成することで、良好な耐火性能が得られる。
しかしながら、上記帯状膜又はコアといったシーリング材の形状は、必ずしも単純な形状とは言えず、特に帯状膜及びコアの両方を形成しようとする場合には、施工者の技能に応じて、形状の仕上がりに大きなバラツキが生じ得る。そのため、シーリング材の仕上がりによっては、期待された耐火性能が発揮されなくなるリスクがある。
より詳しく説明すると、シーリング材は、柔軟性を有するものであり、熱の影響による上張りの湾曲を抑制する機能及び目地の拡開を抑制する機能は有していない。そのため、例えばシーリング材のコアが目地に密に充填されていない場合等の仕上がりに不良が生じている場合に、火災時に生じる熱風や燃焼ガスの通過をシーリング材が適正に抑制できなくなり、所望の耐火性能を発揮できない状況が生じ得る。そのため、特許文献1の間仕切壁では、所望の耐火性能を安定的に確保することに関し、改善の余地がある。
また、特許文献1の間仕切壁においては、従来の一般的な耐火用の間仕切壁の施工における上張りの張り上げ工程では使用しないシーリング材が必要となるため、作業負荷及びコストの増加が生じ得る。とりわけ、ビル等の大型の建築物において作製される大型の間仕切壁において特許文献1の技術を用いる場合には、上張りに形成される縦目地及び横目地の数は決して少ないとは言えず、予期しない工期の長期化やコスト増加が生じるリスクが考えられる。
以上のような特許文献1の間仕切壁に関する懸念を考慮すると、耐火性能の向上のための施工について作業負担及びコストを可及的に抑制しつつ、施工者の技能によらず耐火性能を安定的に向上できる技術を確立すれば、建築業界に非常に高い価値を提供することが可能となる。本件発明者は、この観点から鋭意研究を行った。
本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、容易に且つコストを抑制しつつ、安定的に耐火性能を向上できる間仕切壁の提供を目的とする。
本発明にかかる間仕切壁は、間隔を空けて並ぶ複数の柱状の下地材と、前記下地材に支持される下張りと該下張りに支持される上張りとを有する壁面部材と、を備え、前記上張りは、壁状をなすように配列される複数の上張り面材を有し、隣り合う前記上張り面材の互いに対向する端面が、流動状態から固化又は硬化することにより接着機能を発揮する有機系接着剤により結合されている。
本発明にかかる間仕切壁では、上張りにおいて隣り合う上張り面材と、これら隣り合う上張り面材の間で固化又は硬化することで上張り面材の互いに対向する端面を結合する有機系接着剤と、が剛体をなすように結合する。これにより、火災時等において熱を受けた際の壁面の変形が抑制されることで、熱の影響により上張り面材における目地が拡開することが抑制される。その結果、火災時に生じ得る熱風や燃焼ガスの通過を効果的に抑制できるため耐火性能が向上する。
また、隣り合う上張り面材の結合は、施工者が直接的に目視できる上張り面材の端面に有機系接着剤を供給して行うことができるため、所望の結合状態を安定的に得ることができ、上張りの変形の抑制による耐火性能の向上の効果が安定的に得られる。しかも、上張り面材の結合に用いる有機系接着剤は、間仕切壁の施工において汎用的に用いられるものであるため、入手の負荷及びコストを抑制でき、且つセメント等の無機質系接着剤よりも取り扱いが容易で結合作業の負荷が小さい。
したがって、本発明にかかる間仕切壁によれば、容易に且つコストを抑制しつつ、安定的に耐火性能を向上できる間仕切壁を提供できる。
有機系接着剤は、通常、可燃性のものであるため、耐火性能を向上させる間仕切壁においては、極力使用量を抑えることが、この分野において常識であった。しかしながら、本件発明者は、目地を塞ぐことによって耐火性能を向上させるという観点で有機系接着剤を目地間の接着に使用したところ、予想外の耐火性能を極めて低コストで且つ容易に実現できることを知見し、本発明に至った。このような本発明は、耐火の間仕切壁の分野におけるこれまでの技術常識を覆すものであり、予測困難なものと考える。
前記有機系接着剤は、水系接着剤であってもよい。
また、前記有機系接着剤は、非弾性接着剤であってもよい。
特に、前記有機系接着剤は、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤であることが好ましい。
本件発明者は、隣り合う上張り面材を有機系接着剤として酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤を用いて結合させた間仕切壁において、十分な耐火性能が得られることを確認している。また、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤は、広く流通しているため、入手の手間及びコストを抑制できる。よって、この場合、確実に、耐火性能の向上のための作業負担及びコストを抑制しつつ、容易に且つ安定的に耐火性能を向上させることができるようになる。
また、前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の固化前の粘度は、30Pa・S以上120Pa・S以下でもよい。
この場合、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の粘度が比較的高くなり、例えば上下方向に延びる上張り面材の端面に酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤を塗布した際の流れ落ちが抑制されるため、隣り合う上張り面材の端面同士をムラなく安定的に結合できる。そのため、間仕切壁の耐火性能を安定的に向上させることができるようになる。
また、隣り合う前記上張り面材の互いに結合される端面の間の前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の塗布量は、238g/m以上2856g/m(この時のmは、端面(小口)の面積を表す)以下になっていてもよい。
なお、ここで言う塗布量は、乾燥前の塗布量である。
本件発明者は、鋭意研究及び実験の結果、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の塗布量を、238g/m以上2856g/m以下として、隣り合う上張り面材の端面同士を結合させた際には、良好な耐火性能が得られる程度に間仕切壁の熱による変形を抑制できることを知見した。詳しくは、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の塗布量が238g/mよりも大幅に少なくなると結合強度が低下し、目地の拡開を十分に抑制できなくなること、及び、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の塗布量が2856g/mよりも大幅に多くなると、酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤が上張り面材の表面側に過剰に漏れ出して、外観が損なわれ易くなり、素地仕上げの仕上がりに影響を及ぼし得ることを知見した。これらの知見から、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の塗布量が、238g/m以上2856g/m以下となるようにすることで、良好な耐火性能が得られる程度に間仕切壁の熱による変形を抑制できる。また、上述の塗布量の範囲は、外観の観点からも好ましい。
また、前記下張り面材及び前記上張り面材は、石膏ボードであり、前記石膏ボードは、無機繊維及び無機骨材のうちの少なくともいずれかを含んでもよい。
この場合、耐火性能を効果的に向上させることができる。無機繊維としては、ガラス繊維を用いることが好ましい。
また、前記上張り面材の裏面は、前記下張り面材の表面に前記有機系接着剤と同一の接着剤により留め付けられてもよい。
この場合、上張り面材の裏面と下張り面材の表面との結合の際に用いた有機系接着剤を、上張り面材の端面同士の結合の際にも用いることで、結合作業の効率向上及び低コスト化を図ることができる。
本発明にかかる間仕切壁の作製方法は、間隔を空けて並ぶ複数の柱状の下地材に、壁状をなす下張りを形成する下張り形成工程と、前記下張りに、複数の上張り面材を壁状をなすように配列して支持することで、上張りを形成する上張り形成工程と、を備え、前記上張り形成工程では、隣り合う前記上張り面材の互いに対向する端面を、流動状態から固化又は硬化することにより接着機能を発揮する有機系接着剤により結合する。
本発明によれば、容易に且つコストを抑制しつつ、安定的に耐火性能を向上できる間仕切壁を提供できる。
本発明の一実施の形態にかかる間仕切壁の部分破断斜視図である。 図1のII-II線に沿う断面図である。 図1のIII-III線に沿う断面図である。 本発明の実施例にかかる間仕切壁に対する耐火試験の結果を示すグラフを示した図である。 比較例にかかる間仕切壁に対する耐火試験の結果を示すグラフを示した図である。
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる間仕切壁1の部分破断斜視図である。本実施の形態にかかる間仕切壁1は耐火性能を向上させた壁体であり、建築物(鉄筋コンクリート造のビル等)の内部空間を区画するために形成されている。
以下の実施の形態では、間仕切壁1が建築物の内部空間を水平方向で区画する例を説明する。しかしながら、本発明でいう間仕切壁は、建築物の内部空間を水平方向に区画する壁体に限定されるものではなく、建築物の内部空間と外部空間とを区画する壁体や、建築物の内部空間を鉛直方向に区画する天井を構成する壁体等を含む概念のものである。
図1に示すように、間仕切壁1は、建築物の天井躯体(天井スラブ)2に支持された上側ランナー4と、建築物の床躯体(床スラブ)3に支持された下側ランナー5と、上側ランナー4と下側ランナー5との間で支持され、水平方向に間隔、本例では等間隔を空けて並ぶ複数の柱状のスタッド6と、複数のスタッド6に跨がるようにしてスタッド6に支持された壁面部材10と、を備えている。
上側ランナー4及び下側ランナー5は、金属製の板材(例えば、板厚0.4mmの溶融亜鉛メッキ鋼板)の両側縁が起立するように折り曲げられ、かつ内側に溝が形成されるように断面コの字型に加工されたものからなる。上側ランナー4及び下側ランナー5は、全体的には、水平方向に沿って延びた長手状をなしている。
上側ランナー4は、溝が下方を向く形で、天井躯体2の表面にランナー固定ピン等の係止具を利用して固定されている。下側ランナー5は、溝が上方を向く形で、床躯体3の表面にランナー固定ピン等の係止具を利用して固定されている。上側ランナー4及び下側ランナー5は、互いに対向しつつ平行に並ぶ形で、それぞれ天井躯体2の表面及び床躯体3の表面に配されている。
スタッド6は本発明でいう下地材に相当するものであり、上側ランナー4及び下側ランナー5と同様に、スタッド6も、金属製の板材(例えば、板厚0.4mmの溶融亜鉛メッキ鋼板)が略コの字型に加工されてなる部材である。また、スタッド6は、全体的には、鉛直方向(上下方向)に沿って延びた長手状をなしている。また、スタッド6は矩形断面の角スタッド等であってもよい。
スタッド6の上端は、上側ランナー4の溝内に挿入された状態で、天井躯体2側で位置決めされ、また、スタッド6の下端は、下側ランナー5の溝内に挿入され、かつ床躯体3上に載せられた状態で位置決めされている。このようにして複数のスタッド6は、等間隔で一列に並んだ状態で、天井躯体2(上側ランナー4)と床躯体3(下側ランナー5)との間に立設されている。
なお、本実施の形態では、各スタッド6が鉛直方向(上下方向)に沿って延びるが、各スタッド6は鉛直方向に対して傾斜した状態で間隔を空けて並んでいてもよい。
また、図1に示されるように、スタッド6の開口部分には、スペーサ7が取り付けられている。1つのスタッド6に対し、複数のスペーサ7がスタッド6の長手方向に沿って所定間隔を置く形で設けられている。特に本実施の形態では、各スタッド6において、スペーサ7の高さ位置が同じになるように設定されている。
また、一列に並んだ各スタッド6を横切る形で長手状の振れ止め8が設けられている。振れ止め8は、各スタッド6の同じ高さ位置の各スペーサ7に固定されつつ、各スタッド6の内部を貫通する形で水平方向に沿って配されている。
本実施の形態にかかる間仕切壁1は、所謂、両面2枚張りタイプであり、スタッド6を挟む状態で一対の壁面部材10がスタッド6に支持されている。一対の壁面部材10はそれぞれ、2枚張りであるため、スタッド6に支持される壁状の下張り21と、下張り21に重なるように配置されて、下張り21に支持される壁状の上張り31とを備える。
下張り21は複数の下張り面材22を有し、上張り31は複数の上張り面材32を有している。本実施の形態では、壁面部材10において、スタッド6を向く側を裏側(裏面側)と呼び、その逆側を表側(表面側)と呼び、スタッド6との位置関係を基準に下張り21及び下張り面材22の表裏面、並びに、上張り31及び上張り面材32の表裏面が規定される。
一対の壁面部材10のうちの一方と他方とは、設置位置が異なる点を除いて基本的に互いに同一の構成を備える。そのため、以下では、図1の紙面手前側に設けられた壁面部材10のみの説明を行い、紙面奥側の壁面部材10の説明は省略する。
まず、壁面部材10における下張り21は、図1に示すように壁状をなすように平面上に配列される複数の下張り面材22を有してなり、各下張り面材22は、裏面をスタッド6側に向けた状態でスタッド6に支持されている。
本実施の形態における下張り面材22は長方形の板状部材であり、石膏ボードからなる。詳しくは、本実施の形態において下張り面材22として用いられる石膏ボードは、石膏の他に、ガラス繊維等の無機繊維及び無機骨材のうちの少なくともいずれかを含むことにより、耐火性能を向上させている。なお、下張り面材22は正方形をなす場合もある。
ただし、下張り面材22の材質はスタッド6に支持されつつ耐火性能を向上させ得るものであり、とりわけ不燃性の材料がよく、上述のような無機繊維や無機骨材等を含まない石膏ボードでもよいし、その他の添加物を含む石膏ボードでもよい。また、下張り面材22はケイ酸カルシウム板でもよい。なお、不燃性の材料とは、不燃材料、準不燃材料、難燃材料のことを意味する。
本実施の形態においては、複数の下張り面材22が、所謂、横張り状態で、1つの壁(下張り21)を構成するように配列されている。つまり、各下張り面材22は、長辺側が水平方向に沿い、かつ短辺側が上下方向(鉛直方向)に沿う状態で、下張り21を構成している。ただし、このような下張り面材22の向きも特に限られるものではなく、下張り面材22は縦張りで配置されてもよい。
各下張り面材22は、図1に示されるように、表面からタッピンねじ、ビス等の固定部材23を貫通されて、固定部材23がスタッド6に差し込まれることにより固定されている。また、隣り合う下張り面材22は、所謂、突き付け張りにて配列されており、隣り合った下張り面材22の端面同士は、互いに突き当てられた状態となっている。すなわち、隣り合う下張り面材22の互いに対向する端面間に形成される目地は、突き付け目地になっている。なお、下張り面材22の端面とは、下張り面材22において表面と裏面の間に位置する四辺部の一部であり、下張り面材22は、上端面と、下端面と、上端面及び下端面の両側に位置する一対する側端面とを有する。なお、端面は、小口と呼ばれることもある。
一方で、上張り31は、図1に示すように壁状をなすように平面上に配列される複数の上張り面材32を有してなり、各上張り面材32は、裏面を下張り面材22の表面側に向けた状態で下張り21に(対応する下張り面材22)に支持されている。
本実施の形態における上張り面材32も長方形の板状部材であり、石膏ボードからなる。詳しくは、本実施の形態において上張り面材32として用いられる石膏ボードも、石膏の他に、ガラス繊維等の無機繊維及び無機骨材のうちの少なくともいずれかを含むことにより、耐火性能を向上させている。なお、上張り面材32は正方形をなす場合もある。
ただし、上張り面材32の材質も、下張り面材22に支持されつつ耐火性能を向上させ得るものであり、とりわけ不燃性の材料がよく、上述のような無機繊維や無機骨材等を含まない石膏ボードでもよいし、その他の添加物を含む石膏ボードでもよい。また、上張り面材32はケイ酸カルシウム板でもよい。
本実施の形態においては、複数の上張り面材32が、所謂、縦張り状態で、1つの壁(上張り31)を構成するように配列されている。つまり、各上張り面材32は、長辺側が上下方向(鉛直方向)に沿い、かつ短辺側が水平方向に沿う状態で、上張り31を構成している。ただし、このような上張り面材32の向きも特に限られるものではなく、上張り面材32は縦張りで配置されてもよい。
本実施の形態では、下張り面材22が横張りで、上張り面材32が縦張りとなるが、下張り面材22が縦張りで、上張り面材32が横張りとなっていてもよいし、下張り面材22及び上張り面材32が共に縦張りであってもよいし、横張りであってもよい。また、下張り面材22及び上張り面材32は表裏を入れ替えても使用することができる。
各上張り面材32は、裏面が下張り面材22の表面に有機系接着剤により留め付けられることで下張り面材22に固定支持されている。ここで用いられる有機系接着剤は流動状態から固化又は硬化することにより接着機能を発揮する接着剤であり、具体的に本実施の形態では、乾燥によって流動状態から固化する酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤が用いられる。なお、本実施の形態の説明において、流動状態とは接着剤が液状であることを意味する。
上張り面材32の裏面を下張り面材22の表面に留め付ける際、有機系接着剤としての酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤は点付けされてもよいし、層状に塗布されてもよい。上張り面材32を下張り面材22に留め付ける際の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の塗布量は、具体的には、塗布量が、50g/m2以上となるように設定することが好ましい。
また、上張り面材32の裏面は、下張り面材22の表面に対して、有機系接着剤以外にステープル、タッピンねじ等からなる固定部材33を利用して固定されている。固定部材33は、上張り面材32の表面側から、下張り面材22に向かって差し込まれている。なお、固定部材33は、基本的には、下張り面材22を貫通しないような長さに設定されている。
一方で、本実施の形態では、隣り合う上張り面材32の互いに対向する端面が、流動状態から固化又は硬化することにより接着機能を発揮する有機系接着剤により結合されている。言い換えると、隣り合う上張り面材32の互いに対向する端面は、有機系接着剤からなる接着層を介して突き付け張りの状態とされている。
図2は、図1のII-II線に沿う断面図であり、上下方向で切断された際の下張り面材22及び上下方向に隣り合う上張り面材32の断面が示され、図3は、図1のIII-III線に沿う断面図であり、水平方向で切断された際の下張り面材22及び水平方向に隣り合う上張り面材32の断面が示されている。
上張り面材32は、表面と裏面との間に、上端面と、下端面と、上端面及び下端面の両側に位置する一対する側端面とを有しており、本実施の形態では、図2に示すように、上下方向で隣り合う上張り面材32のうちの一方の上張り面材32の上端面32Aと、他方の上張り面材32の下端面32Bとが有機系接着剤40により結合されている。また、図3に示すように、水平方向で隣り合う上張り面材32のうちの一方の上張り面材32の側端面32Cと、他方の上張り面材32の側端面32Dとが有機系接着剤40により結合されている。
すなわち、上張り31においては、隣り合う上張り面材32の互いに対向する端面の間に形成される縦目地及び横目地が有機系接着剤40によって充填され且つ互いに対向する端面が接着されている。縦目地及び横目地に充填された有機系接着剤40は酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤であることで、固化によって硬質の性状を呈する。
石膏ボートからなる上張り面材32は、板状の石膏ボード芯材と、石膏ボード芯材の表面、裏面、及び短手方向で互いに対向する一対の端面を覆うように固定される紙材とを有し、石膏ボード芯材の長手方向で互いに対向する一対の端面は紙材によって覆われていない。つまり、本実施の形態では、上張り面材32の上端面及び下端面が石膏ボード芯材の端面によって形成され、上張り面材32の一対の側端面が紙材によって形成されている。
したがって、上下方向で隣り合う上張り面材32では、一方の上張り面材32の上端面32Aを形成する石膏ボード芯材の端面と、他方の上張り面材32の下端面32Bを構成する石膏ボード芯材の端面とが有機系接着剤40により結合されている。また、水平方向で隣り合う上張り面材32では、一方の上張り面材32の側端面を形成する紙材と、他方の上張り面材32の側端面を構成する紙材とが有機系接着剤40により結合されている。
上述のように上張り面材32の互いに対向する端面同士を結合する酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤としては、29質量%以上70質量%以下の酢酸ビニル樹脂と、0.1質量%以上3質量%以下の酢酸ビニルモノマーと、29質量%以上70質量%以下の水とを含むものでもよい。また、上記有機系接着剤40には、耐火性能の向上のために、難燃剤として、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、赤リン、デカブロモフェニルエーテルのうちの少なくともいずれかが含まれてもよい。
また、上張り面材32の互いに対向する端面同士を結合する酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の固化前の粘度は、30Pa・S以上120Pa・S以下に調整されることが好ましく、65Pa・S以上95Pa・S以下がより好ましく、75Pa・S以上85Pa・S以下がさらに好ましい。
酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の粘度が30Pa・Sよりも大幅に小さくなると、上下方向に延びる端面に塗布された際に流れ落ちが生じ易くなり、端面同士の安定した結合状態を得ることが困難となり得る。一方、粘度が120Pa・Sよりも大幅に大きくなると、容器から接着剤を吐出する作業が困難となり易く、取り扱い性が損なわれる虞がある。このような事情から、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の粘度は、作業性を考慮すると、65Pa・S以上95Pa・S以下がより好ましく、75Pa・S以上85Pa・S以下がさらに好ましい。
酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の固化前の粘度の調整は、含有される水の量を比較的低めに設定することにより行われてもよいし、増粘剤を添加することにより行われてもよい。増粘剤を用いる場合には、有機系でも、無機系でもよいが、耐火性能を考慮すると、無機系増粘剤を用いることが好ましい。例えば、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤として、34質量%以上38質量%以下の酢酸ビニル樹脂と、0.1質量%以上0.3質量%以下の酢酸ビニルモノマーと、62質量%以上66質量%以下の水とを含むものを用いて、65Pa・S以上95Pa・S以下の粘度を得てもよい。
なお、作業効率の観点を考慮すると、上張り面材32を下張り面材22に留め付ける際の有機系接着剤と、隣り合う上張り面材32の端面同士を結合する際の有機系接着剤とが同一であることが好ましく、本実施の形態では、両接着剤は、同じ酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤となっている。また、上張り面材32と下張り面材22とを接着する有機系接着剤は、上張り面材32の表面を構成する紙材と下張り面材22の裏面を構成する紙材とを接着する。
上述のような有機系接着剤40としての酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤により、隣り合う上張り面材32の端面同士を結合する際、有機系接着剤40は点付けされてもよいし、層状に塗布されてもよい。ここで、隣り合う上張り面材32の端面同士を結合する際の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の塗布量は、具体的には、塗布量が、238g/m以上2856g/m以下となるように設定することが好ましい。また、この塗布量の範囲において、縦目地と横目地とで塗布量をかえてもよい。
なお、図3に示す例においては、水平方向で隣り合う上張り面材32における一方の上張り面材32の側端面32Cと、他方の上張り面材32の側端面32Dとの間に隙間が形成され、当該隙間を埋めるように有機系接着剤40が充填されている。このような隙間は、積極的に形成されている場合と、製造上の誤差により生じている場合とがある。
上張り面材32の厚みは、例えば9.5mm~25mmの間等に設定され得るが、厚みがこのような範囲である際には、上記隙間が積極的に形成されている場合及び製造上の誤差により生じている場合のいずれであっても、基本的には、面内方向での隙間の幅が3mm程度に収まる。したがって、上張り面材32の端面間の有機系接着剤40の厚みは基本的には、面内方向で3mm程度に収まる。本件発明者は、上記のような隙間が形成される場合であっても、隙間が形成されてない場合であっても、上述したように塗布量が238g/m以上2856g/m以下となるように酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤を塗布すれば、上張り面材32の側端面は安定的に結合されることを確認している。
次に、本実施の形態にかかる間仕切壁1の作製方法の一例について説明する。
まず、複数のスタッド6に、裏面をスタッド6の側に向けた状態の複数の下張り面材22を、壁状をなすように配列して支持することで、下張り21を形成する(下張り形成工程)。
この際、本実施の形態では、上述したように、下張り面材22が、所謂、横張り状態で、表面からタッピンねじ、ビス等の固定部材23を貫通されて、固定部材23がスタッド6に差し込まれることにより固定される。隣り合う下張り面材22は、所謂、突き付け張りの状態で配列されており、隣り合った下張り面材22の端面同士は、互いに突き当てられた状態となっている。
次に、上述のようにして下張り21を形成した下張り面材22に、裏面を下張り面材22の表面側に向けた状態の複数の上張り面材32を壁状をなすように配列して、対応する下張り面材22に支持することで、上張り31を形成する(上張り形成工程)。
この際、本作製例では、上張り面材32の裏面が、有機系接着剤を介して下張り面材22の表面に留め付けられるとともに、固定部材33により固定される。また、隣り合う上張り面材32の互いに対向する端面が有機系接着剤40により結合される。ここで、上張り面材32の裏面と下張り面材22の表面とを留め付ける有機系接着剤と、隣り合う上張り面材32の互いに対向する端面を結合する有機系接着剤は、同じ酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤であることで、結合作業を効率的に行うことができる。
隣り合う上張り面材32の互いに対向する端面を結合する際には、既に下張り面材22に結合されている上張り面材32の端面に、有機系接着剤40を塗布した後、塗布された有機系接着剤40に他の上張り面材32の端面を突き合わせて、端面間を結合してもよい。有機系接着剤40を介して端面間を結合する際には、本実施の形態では、有機系接着剤40が酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤であるため、一方の端面を他方の端面に有機系接着剤40を介して押し付けた後に、乾燥させる。
以上に説明した本実施の形態にかかる間仕切壁1では、上張り31において隣り合う上張り面材32と、これら隣り合う上張り面材32の間で固化することで上張り面材32の互いに対向する端面を結合する有機系接着剤40と、が剛体をなすように結合する。これにより、火災時等において熱を受けた際の壁面の変形が抑制されることで、熱の影響により上張り面材32における目地が拡開することが抑制される。その結果、火災時に生じ得る熱風や燃焼ガスの通過を効果的に抑制できるため耐火性能が向上する。
また、隣り合う上張り面材32の結合は、施工者が直接的に目視できる上張り面材32の端面に有機系接着剤40を供給して行うことができるため、所望の結合状態を安定的に得ることができ、壁面の変形の抑制による耐火性能の向上の効果が安定的に得られる。しかも、隣り合う上張り面材32の結合に用いる有機系接着剤40は、間仕切壁1の施工において汎用的に用いられるものであるため、入手の負荷及びコストを抑制でき、且つ無機質系接着剤よりも取り扱いが容易で結合作業の負荷が小さい。
したがって、本実施の形態にかかる間仕切壁1によれば、容易に且つコストを抑制しつつ、安定的に耐火性能を向上できる間仕切壁を提供できる。
とりわけ、本実施の形態では、上記有機系接着剤40として、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤を用いるが、本件発明者は、この構成の間仕切壁において十分な耐火性能が得られることを確認している。また、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤は、広く流通しているため、入手の手間及びコストを抑制できる。よって、この場合、確実に、耐火性能の向上のための作業負担及びコストを抑制しつつ、容易に且つ安定的に耐火性能を向上させることができる。
(実施例)
次に、本実施の形態にかかる間仕切壁1を具体的に作製した実施例の耐火性能と、比較例にかかる間仕切壁の耐火性能について説明する。
実施例にかかる間仕切壁1は、下張り面材22として厚さ21mmの石膏ボードを用いるとともに、上張り面材32として厚さ21mmの石膏ボードを用いた、片面2枚張りの間仕切壁である。隣り合う上張り面材32の端面間は、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤により結合されている。隣り合う上張り面材32の端面間を結合する際の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤は、塗布量が、縦目地に関して1190g/m以下となるように設定し、横目地に関して476g/m以下となるように設定した。
一方で、比較例にかかる間仕切壁は、隣り合う上張り面材の端面間を結合しない点を除き、実施例と同様に作製されており、従来の一般的な間仕切壁の構成を有する。
実施例及び比較例の耐火性能は、耐火試験により評価した。本例の耐火試験は、対象の間仕切壁を、3000mm×3000mm角の大型試験炉に設置し、炉内の燃焼作動により炉内温度を標準加熱曲線に従って上昇させて、対象の間仕切壁を加熱することにより行った。評価は、以下の項目(1)~(3)を計測又は観察することに基づき行った。
(1)炉に面しない非加熱側の面の縦目地、横目地、縦目地と横目地との交差部、目地以外の表面所定位置における各温度
(2)炉内貫通の有無(目視観察)
(3)間仕切壁の面外方向への変位量
そして、加熱時間72分間において、計測した温度の最高温度が、初期温度(例えば、23℃)から+180℃以下であり、計測した温度の平均温度が、初期温度(例えば、23℃)から+140℃以下であり、炉内貫通がなかった場合に、耐火性能が所望の基準を充足すると評価するようにした。
これに対して、初期温度(例えば、23℃)から+180℃を越えた場合、計測した温度の平均温度が、初期温度(例えば、23℃)から+140℃を越えた場合、又は、炉内貫通が生じた場合に、耐火性能が所望の基準に対して不足すると評価するようにした。
また、面外方向の変位量が過剰である場合には、耐火性能が所望の基準に対して不足するものと評価するようにした。
図4は、実施例に対する上記耐火試験の結果を示すグラフであり、図5は、比較例に対する耐火試験の結果を示すグラフである。
図4に示すように、実施例では、加熱直後に、間仕切壁の一部が加熱側(炉側)に40mm程度まで変位するように湾曲したが、その後、間仕切壁の変形は進まず、加熱時間72分間において、計測した温度の最高温度が、初期温度(例えば、23℃)から+180℃以下であり、計測した温度の平均温度が、初期温度(例えば、23℃)から+140℃以下であり、炉内貫通もなかった。よって、耐火性能が所望の基準を充足すると評価できた。また、間仕切壁の変位量も過剰ではなかった。
一方、比較例では、加熱直後に、間仕切壁の一部が加熱側に40mm程度まで変位するように湾曲し、その後、間仕切壁は、非加熱側へ湾曲した。そして、加熱時間50分において、計測した温度の最高温度が、初期温度(例えば、23℃)から+180℃を越え、炉内貫通も観測された。一方で、間仕切壁の変位量も過剰ではなかったが、耐火性能が所望の基準を充足するとは評価できなかった。
以上の実施例の耐火性能の評価からも、本発明による間仕切壁の耐火性能は、従来よりも向上していることが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施の形態においては種々の変更が行われてもよい。例えば、上述の実施の形態では、隣り合う上張り面材32の端面の結合のための有機系接着剤として、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤を用いたが、所望の耐火性能が得られるのであれば、他の有機化合物を含有する有機系接着を用いてもよい。
例えば、上張り面材32の端面の結合のために好適な有機系接着剤として、エチレン酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤や、アクリル樹脂系エマルジョン形接着剤等を挙げることができる。これら溶媒が水である水系接着剤は、乾燥によって固化する点や、1液形で塗布作業が容易である点等で取り扱いが容易で、安価で、且つ環境に優しいため、有用である。一方で、溶媒が有機溶剤である溶剤形接着剤も用いてもよい。この場合も、乾燥によって固化する点や、1液形で塗布作業が容易である点等で取り扱いが容易である。
また、上述のように取り扱いに関して溶媒希散タイプは有益であるが、化学反応タイプの接着剤も、上張り面材32の端面の結合のために用いてもよい。すなわち、流動状態から硬化することにより接着機能を発揮する化学反応タイプの接着剤も用いられ得る。化学反応タイプの接着剤を用いる場合には、作業性を考慮すると、熱硬化形接着剤や、硬化剤配合形接着剤よりも、常温硬化形の接着剤が好ましい。常温硬化形の接着剤の中でも、湿気硬化形接着剤や、嫌気硬化形接着剤が好ましい。
また、本発明にかかる間仕切壁1では、上述したように、隣り合う上張り面材32と、これら隣り合う上張り面材32の間で固化する有機系接着剤40と、が剛体をなすように結合する。これにより、熱を受けた際の上張り31の変形が抑制されることで、熱の影響により上張り面材32における目地が拡開することが抑制され、耐火性能が確保される。すなわち、耐火性能の確保のために上張り31の変形を抑制することが望ましいことから、上張り面材32の端面の結合のための有機系接着剤は、非弾性接着剤であることが好ましい。したがって、本発明では、有機系接着剤40が変性シリコーン系弾性接着剤等の弾性接着剤である場合を除外するものではないが、有機系接着剤40が非弾性接着剤である方が容易に所望の効果が得られ易くなる点で有利である。
なお、上張り面材32の端面同士の安定した結合状態を得ることを考慮すると、有機系接着剤の種類によらず、有機系接着剤の固化又は硬化前の粘度は、30Pa・S以上120Pa・S以下であることが好ましく、65Pa・S以上95Pa・S以下がより好ましく、75Pa・S以上85Pa・S以下がさらに好ましい。
また、上張り面材32の形状、厚み等も、上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。また、上述の実施の形態にかかる間仕切壁1は両面2枚張りタイプであるが、間仕切壁1は片面2枚張りタイプであってもよい。
1…間仕切壁、2…天井躯体、3…床躯体、4…上側ランナー、5…下側ランナー、6…スタッド、7…スペーサ、8…振れ止め、10…壁面部材、21…下張り、22…下張り面材、23…固定部材、31…上張り、32…上張り面材、32A…上端面、32B…下端面、32C,32D…側端面、33…固定部材、40…有機系接着剤

Claims (7)

  1. 間隔を空けて並ぶ複数の柱状の下地材と、
    前記下地材に支持される下張りと該下張りに支持される上張りとを有する壁面部材と、を備え、
    前記上張りは、壁状をなすように配列され前記下張りに固定されて支持される複数の上張り面材を有し、
    前記上張り面材は、石膏ボードであり、
    隣り合う前記上張り面材の互いに対向する端面が、流動状態から固化又は硬化することにより接着機能を発揮する非弾性接着剤である有機系接着剤により結合され、一体化された隣り合う前記上張り面材と前記有機系接着剤とが剛体をなしている、間仕切壁。
  2. 前記有機系接着剤は、水系接着剤である、請求項1に記載の間仕切壁。
  3. 前記有機系接着剤は、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤である、請求項1又は2に記載の間仕切壁。
  4. 前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤の固化前の粘度は、30Pa・S以上120Pa・S以下である、請求項に記載の間仕切壁。
  5. 隣り合う前記上張り面材の互いに結合される端面の間の前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤の塗布量が、238g/m以上2856g/m以下になっている、請求項又はに記載の間仕切壁。
  6. 前記上張り面材の裏面は、前記下張り面材の表面に前記有機系接着剤と同一の接着剤により留め付けられている、請求項1乃至のいずれかに記載の間仕切壁。
  7. 間隔を空けて並ぶ複数の柱状の下地材に、壁状をなす下張りを形成する下張り形成工程と、
    前記下張りに、複数の上張り面材を壁状をなすように配列して固定して支持することで、上張りを形成する上張り形成工程と、を備え、
    前記上張り面材は、石膏ボードであり、
    前記上張り形成工程では、隣り合う前記上張り面材の互いに対向する端面を、流動状態から固化又は硬化することにより接着機能を発揮する非弾性接着剤である有機系接着剤により結合し、一体化された隣り合う前記上張り面材と前記有機系接着剤とが剛体をなすように形成される、間仕切壁の作製方法。
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