本明細書において用いた用語は、単に特定の実施例を説明するために用いており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、記載された特徴、領域、数字、段階、動作、構成要素、及び/または成分を具体化することであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、領域、数字、段階、動作、構成要素、及び/または成分の存在または付加を除外することではない。
特に異なって定義されていない限り、技術的か科学的な用語を含めてここで用いられるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味のものである。一般的に用いられる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上から持つ意味と一致する意味であると解釈されるべきであり、本明細書で明らかに定義しない限り、理想的か過度に形式的な意味に解釈されない。
本明細書において船舶は、船舶の運航に必須的な必須負荷と運航以外の機能のために付加的に使用されるサービス負荷を含む船舶であって、コンテナ船、燃料運搬船、旅客船などのような多様な船舶を指す。以下、コンテナ船、LNG運搬船、LPG運搬船を中心に本発明を説明するが、本発明がこられのような船舶の類型に制限されないことは通常の技術者にとって明白であろう。
本明細書において、負荷系統が必須負荷系統とサービス負荷系統とに分離されたということは、必須負荷とサービス負荷とが、同じ配電盤を介して電力の供給を受けるといった、同一系統に混在しないことを指す。分離された異なる系統のそれぞれに含まれて異なる主配電盤によって電力の供給を受けるように構成される。負荷系統の分離は永久的なことではなく、異なる負荷系統は電力供給構成要素間を電気的に連結可能な任意の構成要素(例えば、SPDTスイッチ、またはバスタイブレーカ(Bus-tie breaker)など)によって連結され得る。
本明細書において、実施例は船舶の電力システムに関する。船舶の場合、国際規定において直流低圧は1500V以下と規定され、交流低圧は1000V以下と規定されているので、特に限定されない限り、本明細書において用語「低圧」は、直流の場合に1500V以下、交流の場合に1000V以下に該当する電圧を指す。
本発明の実施例に係る船舶用電力供給システムは、主に必須負荷を含む必須負荷電力系統と、主にサービス負荷を含むサービス負荷電力系統とに電力系統が分離されて構成される。
系統の分離によって、単一の電力系統に比べて各々の電力系統の負荷の容量が減少することで低圧配電が可能になるように構成される。
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳述する。
図3は、本発明の第1態様に係る一実施例において、分離された電力系統を含む船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図3を参照すると、船舶用電力供給システム1は、1つ以上の電力系統(100、200など)を含む。電力系統100は、発電部110、主配電盤を含む配電盤130、及び必須負荷を含む必須負荷部150を含む。電力系統200は、発電部210、主配電盤を含む配電盤230、及びサービス負荷を含むサービス負荷部250を含む。
また、前記船舶用電力供給システム1は、電力系統の状態をモニタリングして電力供給を制御する制御部(図示せず)を更に含んでよい。前記制御部は、電力管理システム(PMS;Power Management System)、エネルギー管理システム(EMS:Energy Management System)、エネルギー電力管理システム(EPMS:Energy Power Management System)のうちの1つ以上を含んでよい。
以下、説明の明瞭性のために、船舶用電力供給システム1は、2つの電力系統100、200を含むものとするが、これに制限されると解釈されることではない。また、場合によっては両構成要素のいずれか一方の構成要素のみを代表的に詳述し、もう一方の構成要素についての詳述は割愛することがある。
図3に示されたように、船舶用電力供給システム1は、必須負荷とサービス負荷別に電力系統がそれぞれ分離された状態で構成される。前記必須負荷とサービス負荷とは同じ配電盤を共有しない。
発電部110は配電盤130を介して必須負荷部150に電力を供給し、必須負荷部150の負荷が電力を消耗し駆動するようにする。
発電部110は交流電気信号を出力し、複数の発電機(例えば、図3の発電機111、112)を含む。発電機111、112の属性及び発電容量は負荷に依存する。例えば、船舶の運用のためのモータの負荷が定出力負荷である場合、交流発電機が使用されてよい。また、発電機の収容率が85%で、負荷容量が1MWである場合、発電機の発電容量は約1.2MWであってよい。
一実施例において、必須負荷電力系統100で動作中の発電機(例えば、111)に事故が発生した場合、前記電力供給システム1は、前記必須負荷電力系統100に含まれた待機発電機(例えば、112)から必須負荷部150に電力が供給されるように構成される。
発電機111、112は、ディーゼル発電機、複合燃料発電機、ガス燃料発電機、ガスタービンなどが含まれ得るが、これらに制限されない。
また、発電部110は、状況に応じた電力供給の制御のために1つ以上のスイッチ、及び/または断路器を更に含んでよい。例えば、図3に示されたように、船舶用電力供給システム1は、2つの発電機111、112を含む場合、2つのスイッチ113A、113Bを更に含んでよい。
前記スイッチ及び/または断路器は、高価の高圧用電力連結機器ではなく、低圧用電力連結機器である。
配電盤130では交流で電力供給が行なわれる。一実施例において、配電盤130は、電力系統100の主配電盤を含んでよい。前記主配電盤は、バスケーブルで構成され、この場合、バスケーブルをメインバスと指すことがある。
また、一部の実施例において、配電盤130は、複数のバスケーブルを含んでもよい。例えば、配電盤130は、発電機111に電気的に連結されたメインバス131、発電機112に電気的に連結されたメインバス132といったように、複数のバスケーブルを含んでよい。この場合、配電盤130は、複数のメインバス131、132を普段は電気的に連結するが、非常及び/または事故の際に電気的連結が遮断されるバスタイブレーカ(bus tie breaker)133を更に含んでよい。
配電盤130には低圧が適用されてよく、電力系統100は低圧配電が可能である。例えば、図3のメインバス131及びメインバス132に440Vの交流電圧が適用され電力が負荷に供給される。
電力系統100の構成要素は相互作用するように電気的に連結されてよい。例えば、船舶用電力供給システム1は、発電部110から配電盤130を介して必須負荷部150までを電気的に連結する電力供給線を使用して必須負荷に電力を供給してよい。
電力系統100の必須負荷部150は、船舶の運航のために必須として動作が要求される必須負荷(Essential load)を含む。前記必須負荷(Essential load)は、船舶の規定で定義する必須負荷(Essential load)、及び船舶の運航のために必須として動作が要求されるが、船舶の規定上、必須負荷(Essential load)には含まれない二次必須負荷(secondary Essential load)(例えば、重要負荷(important load))を含む。
コンテナ船の運用のために使用される必須負荷は、例えば、スラスターモータ152、潤滑油ポンプ、エンジン燃料供給ポンプ、冷却ポンプなどを含んでよいが、これらに制限されない。必須負荷部150に含まれた必須負荷の大半は負荷率がほとんど変わらない連続負荷に該当する。
一部の実施例において、必須負荷部150は、可変周波数制御(VFD、Variable Frequency Drive)基盤の負荷を更に含んでもよい。可変周波数制御基盤の負荷は、冷却システム(Central Cooling System)のように、運航特性に合わせて負荷端の電力消耗を最適化する必須負荷である。例えば、VFD負荷は、冷却水の温度を制御できるように構成された冷却ポンプなどのような温度、圧力などを制御するように構成された必須負荷を含む。
前述したように、配電盤130は低圧配電が行なわれるように構成される。したがって、図3に示されたように、少なくとも一部の必須負荷は、別途の変圧器を介さずに電気的に直接連結されて電力の供給を受けることができる。
一実施例において、必須負荷部150は、配電盤130からスラスターモータ152を電気的に連結する電力供給線(図示せず)、そして、電力をより効率的にスラスターモータ152へ供給することができる昇圧変圧器153を更に含んでもよい。
前記スラスターモータ152は、船舶の離岸・接岸に使用されるモータである。スラスターモータ152は、他の連続負荷に比べて大容量の電力を消耗する大型負荷である。例えば、図3のスラスターモータ152A、152Bは、2MW程度の負荷容量を有する。これにより、440Vのような低圧が適用された低圧配電盤130による電力供給の際、断面積が150SQMMのケーブル270Aを8~10本敷設する必要があり、船舶1000内への電力供給線の敷設が容易ではことがある。
電力供給線は、配電盤130からスラスターモータ152までを電気的に連結する構成要素であって、一例として、電力供給線はケーブルであってよい。
昇圧変圧器153は、配電盤130から供給される低圧を昇圧する変圧器であって、前記昇圧変圧器153の出力電圧はスラスターモータ152の駆動電圧に対応するように構成される。前記昇圧変圧器153は図1の減圧変圧器40と異なる変圧器であって、昇圧変圧器153の出力電圧は配電盤130の電圧よりも高い電圧を有するが、依然として1500V以下の低圧を出力するように構成される。
昇圧変圧器153によって電圧が低圧から高圧に増加し、昇圧変圧器153によって当該電力供給線を流れる電流の大きさは減少する。その結果、電圧降下が改善されてケーブルの断面積及び/または本数が減少する。一実施例において、ケーブルの断面積は50SQMMであってもよく、他の一実施例において、ケーブルの断面積は50SQMM~75SQMMであってもよい。また、船舶用電力供給システム1は、1本のケーブルを利用してスラスターモータ152に電力を供給することができる。
その結果、図3において昇圧変圧器153を含まない場合は、断面積が150SQMMのケーブル8~10本が要求されるが、図3に示されたように昇圧変圧器153を利用する場合は、50SQMMのケーブル1本でも負荷容量が2MWのスラスターモータ152に電力供給が可能となる。
また、一部の実施例において、必須負荷部150は、配電盤130の電圧よりも低い電圧(例えば、220V)で電力を供給する1つ以上のサブ配電盤154を更に含んでよい。この場合、必須負荷部150は、配電盤130とサブ配電盤154との間に配置されて電圧を減圧する変圧器155を更に含んでよい。例えば、図3に示されたように、必須負荷部150は、(例えば、450Vが適用された)配電盤130と、(例えば、220Vが適用された)サブ配電盤154A、154Bとの間に変圧器155A、155Bを含んでよい。
必須負荷電力系統100の容量は、図1の単一の電力系統の容量よりも小さいため、必須負荷部150の変圧器は、図1の変圧器よりも容量が小さい小型変圧器である。そのため、変圧器の設置コストやスペースの活用度の面で利点がある。
また、電力系統100は、ブラックアウトのような非常時に電力を供給する非常発電機、及び、このときに動作する負荷を含む非常配電盤160を更に含んでもよい。前記非常配電盤160は、陸電(shore power)、非常用負荷などを含んでよい。
電力系統200の構成要素及び動作は、電力系統100の構成要素及び動作と相当部分類似している。配電盤230もまた、低圧配電を行うように構成される。そのため、電力系統200については電力系統100との相違点を主に説明する。
これに対し、電力系統200のサービス負荷部250は、船舶の運航以外に付加的に使用されるサービス負荷を含む。可変負荷部250は、配電盤230よりも低い電圧で電力を供給する1つ以上のサブ配電盤(図示せず)を更に含んでもよい。
コンテナ船である場合、サービス負荷は、船積物を保管するのに使用される船積物保管用負荷、船舶の搭乗者の便宜のために使用される使用者便宜用負荷などを含む。船舶がコンテナ船である場合、サービス負荷部250は、船舶貨物が保存される冷凍コンテナを含むが、これに制限されない。
前記冷凍コンテナは、時間によって保存温度が変わるように構成される。そのため、サービス負荷の大半は負荷率が変わる可変負荷に該当する。
このように、LPG運搬船用電力供給システム1の分離された各電力系統100、200は、独立した系統構成を有することで、電力系統100、200は、設計目的に応じて多様且つ異なるように構成されてよい。
一実施例において、各電力系統100、200は、主に含まれた負荷の類型に最適化した類型の発電機を構成及び運営するように構成される。
例えば、必須負荷電力系統100は固定RPM発電機を含み、サービス負荷電力系統200は可変速RPM発電機を含んでよい。この場合、図3において必須負荷電力系統の発電機111、112は固定RPM発電機、サービス負荷電力系統200の発電機211、212は可変速RPM発電機であってよい。
連続負荷の場合、定出力特性によって負荷の変動がないので、負荷率の変化がほとんどないのに対し、可変負荷は負荷率が変わることが特徴である。
必須負荷電力系統100の負荷の大半は負荷率が変わらない連続負荷に該当するので、最適の効率区間で動作するように固定RPM発電機を運転する。例えば、図3の発電機111、112は、最適の効率区間(すなわち、75~85%の負荷率の範囲)で動作するように構成される。
図1に示された従来の単一系統基盤の電力供給システムでは、LNG運搬船の電力負荷が単一系統に混在しており、可変負荷によってシステム全体の負荷率が低い負荷区間が発生するようになる。これにより、固定RPM発電の発電効率が低下する。
これに対し、図4の電力供給システム1は、LNG運搬船の大部分の可変負荷が電力系統100から分離されており、サービス負荷電力系統200の可変負荷による負荷率の変化が必須負荷電力系統100の必須負荷に影響を及ぼさない。
一方、サービス負荷電力系統200の負荷の大半は負荷率が変わる可変負荷であるので、負荷率の変動に合わせて可変速運転が可能な可変速RPM発電機を運転する。
このように可変負荷電力系統の可変速RPM発電機を介して負荷区間別の最適の発電効率を有するRPMで発電機の回転速度を制御する場合、単一系統内に連続負荷、可変負荷が混在している場合に比べ、可変負荷に電力を供給する発電機の燃料効率を向上させることができる。
図4は、電力系統内の負荷端の負荷率と前記負荷端に電力を供給する発電機の燃料消耗量との関係を示した図である。
前述したように従来の単一電力系統では固定RPM発電機を利用して可変負荷(例えば、冷凍コンテナ)に電力を供給していた。冷凍コンテナ全体の負荷率は、平均して最大所要電力の30~40%を有する。このような冷凍コンテナ全体に従来のように固定RPM発電機を利用して電力を供給した場合、35%の負荷率を基準に略216g/kwhの燃料を消耗する(図4の地点PF)。これに対し、本発明の一実施例によれば、可変速RPM発電機を利用して可変負荷に電力を供給することができる。本発明の一実施例のように可変速RPM発電機を利用して電力を供給した場合、同じく35%の負荷率を基準に略190g/kwhの燃料を消耗する(図4の地点PV)。
結局、図3の電力供給システム1は、同一の電力を発電するうえで燃料消耗率が略13%改善するという効果を有する。
これにより、$640/tonのMGO(Marin Gas Oil)を燃料として利用するコンテナ船に対して燃料消耗の改善を10%と単純化して計算した場合、OPEX USD2,4000/年(=USD9,636/日×改善効率(10%)×運航日数(通常250日))の燃料費用節減効果を得ることができる。
さらに、サービス負荷が時間帯別に負荷率が変わる負荷区間を有するように構成される場合、負荷区間別に最適の発電効率を有するRPMで発電機の回転速度を制御することで発電効率をさらに改善することができる。
船舶負荷において、低負荷区間L1は負荷率が10~40%の区間であって、略285~210g/kwhの燃料消耗量を有する。重負荷区間L2は負荷率が40~60%の区間であって、略210~194g/kwhの燃料消耗量を有する。高負荷区間L3は負荷率が80~100%の区間であって、略185~190g/kwhの燃料消耗量を有する。図3の電力供給システム1は、高負荷区間L3で燃料消耗が図1の電力供給システムとほぼ同等である。しかし、低負荷区間L1では図1に比べてkwh当たりの燃料消耗率が略6~10%改善され、重負荷区間L2では図1に比べてkwh当たりの燃料消耗率が略10~35%改善される。
このように、図3のサービス電力系統200の可変速RPM発電機は、各負荷区間の負荷率に基づいてRPMを制御することで、発電部210の発電効率を改善することができる。
一方、前記サービス負荷電力系統200が交流配電を行う場合、配電盤230は、特定の周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)を有するように構成されてよい。この場合、発電部210は、各負荷区間の負荷率に基づいて交流電力を発電し、前記配電盤230の周波数にマッチングする周波数(例えば、50Hz、または60Hz)を有する交流(AC)電気信号を出力するように構成される。
一実施例において、発電部210は、発電機211及び配電盤230の間に位置した交流(AC)/交流(AC)コンバータ(図示せず)を含む。前記交流(AC)/交流(AC)コンバータ(図示せず)は、可変RPM発電機で発電した交流(AC)電気信号の周波数を配電盤230の特定の周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)に変換するように構成される。
その結果、各負荷区間の負荷率に基づく可変RPM発電機211のRPM変化があっても、発電部210は配電盤230の特定の周波数を有する交流(AC)電気信号を出力することができる。
図4を参照してサービス負荷電力系統200に係る燃料改善効果について述べたが、これに制限されない。
前述したように、必須負荷部150は、船舶の運航に関連して温度、圧力、冷却水などを制御する可変周波数制御(VFD、Variable Frequency Drive)基盤の負荷を含んでもよい。前記温度、圧力、冷却水などの制御のために可変周波数制御基盤の負荷の負荷率が変化することがある。これにより、可変周波数制御基盤の負荷は、船舶の運航特性に応じて種々の負荷区間を有する。
他の一実施例において、船舶がコンテナ船舶以外である場合(例えば、LNG船舶である場合)、可変速RPM発電機は、必須負荷電力系統100にも含まれてよい。船舶用電力供給システム1が適用される船舶がコンテナ船舶ではない場合、サービス負荷内の可変負荷の比重が相対的に減ることがある。また、このような船舶内に可変周波数制御基盤の負荷が多数設置される場合、相対的な関係によって必須負荷電力系統100が可変負荷電力系統として取り扱われることがある。
必須負荷電力系統100で可変速RPM発電機によって電力供給が行なわれる場合、前記可変速RPM発電機は、必須負荷部150の可変周波数制御(VFD、Variable Frequency Drive)基盤の負荷と連携される。
このように必須負荷電力系統100の可変速RPM発電機を介して負荷区間別の最適の発電効率を有するRPMで発電機の回転速度を制御する場合、単一系統内に連続負荷、可変負荷が混在している場合に比べ、可変負荷に電力を供給する発電機の燃料効率を向上させることができる。これに関しては、前述したサービス負荷電力系統200の実施例と類似しているので、詳しい説明は割愛する。
さらに、前記船舶用電力供給システム1は低圧配電が可能であるので、それぞれの電力系統100、200内の配電方式を低圧直流配電及び/または低圧交流配電が可能になるように構成することができる。
一実施例において、船舶内の負荷が交流電圧を定格電圧として有する場合、配電盤部分で直流配電が行なわれる部分配電構造で構成される。
このような直流配電が行なわれる場合、周波数及び位相同期化、無効電力による電力損失を防止することができる。
図5は、本発明の第1態様に係る一実施例において、必須負荷電力系統は交流配電、サービス負荷電力系統は直流配電で構成された船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図5を参照すると、サービス負荷電力系統200内で直流配電が可能になるように更に構成される。この場合、発電機111、112は固定RPM発電機で、発電機211、212は可変速RPM発電機であってよい。
一実施例において、発電部210は、交流(AC)電気信号を受信して直流(DC)電気信号に変換する交流(AC)/直流(DC)変換器216を更に含み、前記第2負荷部は、直流(DC)電気信号を受信して交流(AC)電気信号に変換する直流(DC)/交流(AC)変換器256を更に含んでよい。
図5に示されたように、電力系統200が2つの発電機211、212を含む場合、発電機211、212と配電盤230との間を電気的に連結する2つの交流(AC)/直流(DC)変換器216A、216Bをそれぞれ含み、配電盤230とそれぞれのサービス負荷との間を電気的に連結する複数の直流(DC)/交流(AC)変換器256A~256Dを含んでよい。交流(AC)/直流(DC)変換器216と直流(DC)/交流(AC)変換器256によって、電力系統200では配電盤230部分で直流配電が可能になる。
前記サービス負荷電力系統200内の配電盤230に適用される電圧は適切な直流配電のために設定され、必須負荷電力系統100内の配電盤130に適用される電圧と異なってもよい。例えば、配電盤130には440Vの電圧が適用されるが、部分直流配電が行なわれる配電盤230には690Vの電圧が適用されてもよい。
このように、電力供給システム1は、必須負荷電力系統は固定RPM発電機基盤の交流配電、サービス負荷電力系統は可変RPM発電機基盤の直流または交流配電で構成されてよい。
図6は、本発明の第1態様に係る他の実施例において、必須負荷電力系統は直流配電、サービス負荷電力系統は交流配電で構成された船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図6を参照すると、必須負荷電力系統100内で直流配電が可能になるように更に構成される。この場合、発電機111、112は可変速RPM発電機で、発電機211、212は固定RPM発電機であってよい。
一実施例において、発電部110は、交流(AC)電気信号を受信して直流(DC)電気信号に変換する交流(AC)/直流(DC)変換器116を更に含み、前記第2負荷部は、直流(DC)電気信号を受信して交流(AC)電気信号に変換する直流(DC)/交流(AC)変換器156を更に含んでよい。
図6に示されたように、電力系統100が2つの発電機111、112を含む場合、発電機111、112と配電盤130との間を電気的に連結する2つの交流(AC)/直流(DC)変換器116A、116Bをそれぞれ含み、配電盤130とそれぞれの必須負荷との間を電気的に連結する複数の直流(DC)/交流(AC)変換器156A~156Mを含んでよい。交流(AC)/直流(DC)変換器116と直流(DC)/交流(AC)変換器156によって、電力系統100では配電盤130部分で直流配電が可能になる。
このように、電力供給システム1は、必須負荷電力系統100は可変RPM発電機基盤の交流または直流配電、サービス負荷電力系統200は固定RPM発電機基盤の交流配電で構成されてよい。
図7は、本発明の第1態様に係るまた他の実施例において、必須負荷電力系統及びサービス負荷電力系統が直流配電で構成された船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
一実施例において、必須負荷電力系統100及びサービス負荷電力系統200ともに直流配電が可能になるように構成されてよい。この場合、サービス負荷電力系統200は図5のサービス負荷電力系統200の構造と類似し、必須負荷電力系統100は図6の必須負荷電力系統100の構造と類似しているので、詳しい説明は割愛する。
追加的に、電力系統100、200は、部品供給の面から効率的に構成されてよい。
図8は、本発明の第1態様に係るまた他の実施例において、必須負荷電力系統及びサービス負荷電力系統は固定RPM基盤の交流配電で構成された船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図8の電力供給システムは、図3の電力供給システムと構成が類似しているので、相違点を主に説明する。
前記船舶用電力供給システム1は、部品供給の面から必須負荷電力系統100の発電部110及びサービス負荷電力系統200の発電部210を固定RPMで運転して電力を生成するように構成されてよい。
図8を参照すると、サービス負荷電力系統200は、発電部210、低圧配電盤230、及びサービス負荷部250を含む。
配電盤230では系統分離による低圧配電が行なわれる。前記配電盤230が交流(AC)電力を配電する場合、配電盤230の周波数は特定の周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)である。
一部の実施例において、前記配電盤230は複数のバスを含んでもよい。例えば、配電盤230は、図8に示されたように2つのバス231、232を含む。この場合、配電盤230は、複数のメインバス231、232を普段は電気的に連結するが、非常及び/または事故の際に電気的連結が遮断されるバスタイブレーカ(bus tie breaker)233を更に含んでよい。
発電部210は、前記配電盤230の周波数にマッチングする周波数(例えば、50Hz、または60Hz)を有する電力を発電するように構成される。例えば、発電部210は、前記配電盤230の周波数にマッチングする周波数のための固定RPMで運転する固定RPM発電機を含んでよい。
一部の実施例において、発電部210は、複数の固定RPM発電機211、212を含んでよい。 前記固定RPM発電機211、212の発電容量は、サービス負荷250の電力容量以上であってよい。固定RPM発電機(211または212)は、重負荷または低負荷区間でサービス負荷電力系統200に電力を供給するのに十分な発電容量を有する。
サービス負荷部250は、負荷率が急変しない負荷(例えば、冷凍コンテナ)を含んでよい。前記船舶用電力供給システム1は、サービス負荷電力系統200が重負荷または低負荷区間でバス231、232をクローズバス(closed-bus)に運営されるようにして、2つの発電機のうちの1つの発電機でサービス負荷部250に電力を供給する。
サービス負荷電力系統200は、低圧配電盤230の電力をサービス負荷部250に供給するために、配電盤230とサービス負荷部250との間に1つ以上の電力伝達構成要素を更に含んでよい。
前記電力伝達構成要素は、例えば、図8に示されたように、変圧器、中間端子函(J/B、junction box)などを含んでよいが、これに制限されず、従来の固定RPM発電機を含む電力系統で低圧配電盤と負荷との間を連結する多様な電力伝達構成要素を含んでよい。
このような発電部210と配電盤230との間の周波数マッチング構造によって、前記サービス負荷電力系統200は、低圧配電盤と発電部との間の周波数マッチングのための追加的な電力機器(例えば、電力変換器)が不要とされ、且つ配電盤230で低圧交流(AC)配電が行なわれ得る。
例えば、サービス負荷電力系統200の発電機(211または212)は可変RPM発電機であって、速度に応じて可変周波数範囲(例えば、37Hz~60Hz)における周波数を有する電力を発電することができる。この場合、特定の周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)を有する配電盤230と前記可変RPM発電機211との間には、周波数のマッチングのために発電部210から出力される電力の周波数を配電盤230の周波数に変換する電力変換器(例えば、マトリックスコンバータ(Matrix Converter))が要求されるが、船舶に使用される発電機の発電容量(例えば、3MW)を変換する大容量コンバータを供給することは容易ではない。さらに、通常、可変RPM発電機の価格が固定RPM発電機の価格よりも高価である。
結局、図8のサービス負荷電力系統200は、低圧配電の長所を維持すると共に可変速発電機の適用時に必要な、低圧配電盤230と可変RPM発電部210の周波数のマッチングのための追加的な電力機器(例えば、電力変換器)が要求されず、より低廉に低圧配電基盤の電力供給システムを船舶に構築することができる。さらには、サービス負荷電力系統200の一部を、既存の供給可能な固定RPM発電を基準に構成することができ、設計の容易性がある。
このように、本発明の実施例に係る船舶用電力供給システム1は、船舶電力負荷の特性に応じて必須負荷用電力系統とサービス負荷用電力系統とに電力系統が分離される。
その結果、各系統の安定性も高まるようになる。既存の場合、サービス負荷端に系統事故が発生すると、単一系統で構成されていることから必須負荷にも影響を及ぼすようになる。系統を分離構成すると、サービス負荷端で事故が発生したとき、当該系統での事故がサービス負荷用電力系内でしか拡散しないので、必須負荷用電力系には影響を及ぼさなくなる。同様に、系統分離すると、必須負荷端の事故の際も当該事故がサービス負荷端に拡散しない。
また、個別電力系統の規模が単一電力系統に比べて縮小する。例えば、14MWの電力容量を有する単一電力系統を、必須負荷電力系統100は9MW、サービス負荷電力系統200は5MWの規模に図3のように分離した場合、個別電力系統の規模は14MWから9MWに、14MWから5MWにそれぞれ縮小する。
そして、6.6kV以上の高圧の代わりに低圧(例えば、440V)が適用された主配電盤を介して電力供給が可能になる。これにより、図1の大容量の減圧変圧器40がもはや不要になる。したがって、CAPEX(Capital expenditures)の面から略2.5億/隻の原価節減効果を得ることができる。
さらに、図2の減圧変圧器40が占めていたスペース(すなわち、既存の変圧器室)1007をより効率的に活用することができる。
再び図2を参照すると、図3の電力供給システム1がコンテナ船に適用される場合、8つの減圧変圧器40が配置され得る変圧器室1007のスペースをコンテナの船積みのためにさらに活用することができる。
一般的に使用されるコンテナの基準は6.058m×2.591m×2.438m大きさを有するTEUコンテナである。該TEUコンテナを基準にして13.25m×6.06m×6.62m大きさの2つの変圧器室のスペースに船積みできるコンテナの数を算出すると、従来の変圧器室1007にはTEUコンテナを最大26(=13×2)個を船積み可能になる。すなわち、図3の船舶用電力供給システム1を有する船舶は、図1の船舶用電力供給システムを有する従来のコンテナ船に比べて26個のTEUコンテナをさらに船積みすることができる。一部の実施例において、コンテナを船積み、積み下ろしする作業を考慮してスペースをより余裕のあるように確保しなければならない点を考慮しても略20(=10×2)個のコンテナをさらに船積みすることができる。
また、減圧変圧器を使用しないと、従来の減圧変圧器の活用に連関したスペースにコンテナをさらに船積みすることもできる。例えば、従来の変圧器室1007において垂直に位置した甲板の表面に変圧器40の存在によって所定の構造物が設置されることがある。しかし、変圧器40が不要になることで所定の構造物も不要となることもあり、甲板の表面にさらにコンテナを垂直に船積みすることもできる。この場合、甲板の表面上に水平に5個、垂直に10個のコンテナをさらに船積みするとした場合、100個のコンテナをさらに船積みすることができる。
したがって、減圧変圧器40が使用されないことで、船舶1000に最大約120個のコンテナをさらに船積みすることができる。前記追加的に既存の変圧器室1007のスペースに船積みされるコンテナの個数は単なる例示に過ぎず、コンテナの形態、変圧器、変圧器室の大きさなどによっては120個以上のコンテナをさらに船積みすることもできる。
さらには、図3の船舶用電力供給システム1の適用によって、既存の変圧器室1007以外のスペースに予め配置されていた物品を変圧器室1007のスペースに移動させることができる。この場合、予め配置されていた物品の移動によって本来置いてあったスペースは空きスペースになる。コンテナは変圧器室1007のスペースに直接船積みする代りに追加的に発生した空きスペースにさらに配置することもできる。
代案的に、既存の変圧器室のスペースをコンテナ船積み以外の多様な目的のために活用することもできる。
図9は、本発明の第1態様に係るまた他の一実施例において、既存の変圧器室のスペースをコンテナ船積み以外の他の目的に活用するための船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図9のサービス負荷電力系統200は、図8のサービス負荷電力系統200と類似しているので、相違点を主に説明する。
図9を参照すると、サービス負荷電力系統200は、配電盤230と冷凍パネル(Reefer Panel、R)との間に電圧を変換する変圧部260を含む。一実施例において、変圧部260は、昇圧変圧器(step-up transformer)261及び減圧変圧器(step-down transformer)266を含む。
昇圧変圧器261は、低圧配電盤230と前記船首部の冷凍パネルRとの間に設置される。前記昇圧変圧器261は、配電盤230の低圧電力を受信し、配電盤230の電圧よりも高い電圧を有する電力(例えば、1.5kV~6.6kV)を出力するように構成される。
減圧変圧器266は、昇圧変圧器261から出力された高圧電力を受信してより低い電圧を有する電力を出力するように構成される。減圧変圧器266からの出力電力は、前記船首部の冷凍パネルRに連結された冷凍コンテナに供給される。
一部の実施例において、サービス負荷電力系統200は、船首部の各冷凍パネルRと配電盤230との間の電力経路をそれぞれ連結するために複数の昇圧変圧器261及び減圧変圧器266を含む。例えば、図9に示されたように、サービス負荷電力系統200は、2つの昇圧変圧器261A、261B及び減圧変圧器266A、266Bを含む。
図10は、図9の電力供給システムが適用された船舶の態様構造図である。
冷凍コンテナを含むコンテナ船舶は、通常、4つの冷凍パネルRを含む。前記冷凍パネルRは、船首部に2つ、船尾部に2つ配置される。冷凍コンテナへの電力供給は、船尾のエンジンルーム1030に位置した発電部210及び配電盤230から各セクション別の冷凍パネルRを介して行われるようになる。
前記エンジンルーム1030に配置された低圧配電盤230から船首部に位置した2つの冷凍パネルRまでの距離は船舶の規模に依るが、通常、数百メートルである。低圧が適用された配電盤230から前記船首部の冷凍パネルまでに電力を低圧で供給するためには、それらの間を連結するケーブルが相当要求される。
図10を参照すると、総長さが350mである船舶(例えば、コンテナ船)において配電盤230が位置した船尾部のエンジンルーム1030から船首部の冷凍コンテナに電力を伝達する船首部の冷凍パネルRまでの距離は略120~130mである。昇圧変圧器261などを利用しない場合、120SQMM断面を有する237Aケーブルが略10~15本要求される。
これに対し、昇圧変圧器261などを利用すると、1本のケーブルでも数百メートルの長距離電力供給を行うことができる。
また、前記サービス負荷電力系統200が昇圧変圧器261及び/または減圧変圧器266を更に含んでも、船舶に船積みされる貨物(例えば、冷凍コンテナ)の規模が減少しないように、前記昇圧変圧器261及び/または減圧変圧器266が船舶内に配置される。
一実施例において、昇圧変圧器261は、従来の単一電力系統の減圧変圧器が設置されるメイン変圧器ルーム1007に設置されてよい。電力系統の分離によって1つの電力系統内の負荷容量が減少するので、前記昇圧変圧器261は前記減圧変圧器に比べて小型である。そして、前記昇圧変圧器261が占有して残ったスペースにコンテナなどの追加の貨物をさらに船積みすることができる。
また、減圧変圧器266は、船舶に船積みされる貨物の規模に影響を及ぼさなく、且つ船首部の冷凍パネルRに低圧で電力を供給しても相当な重量のケーブルが要求されない所に配置される。例えば、貨物が配置されない、船舶の居住区下部スペース(Accomm. under space)に配置されてよい。
図10に示されたように、総長さが350mである船舶(例えば、コンテナ船)において前記変圧器ルーム1007を含むエンジンルーム1030から船舶の居住区下部スペース(Acoom under space)までの距離は略180mである。前記昇圧変圧器261が配電盤230の低圧(例えば、440V)電力から高圧電力を出力する場合、相対的に少量のケーブル(例えば、120SQMMの断面を有するケーブル1本)を利用して船首部の冷凍パネルRまで電力を供給することができる。
このように、図9のサービス負荷電力系統200を利用すると、船首部の冷凍パネルRまでのケーブルの重量が減少し、ケーブルの敷設が容易である効果を得ることができる。
前記昇圧変圧器261及び/または減圧変圧器266の配置は、先述したスペースに制限されず、船舶に船積みされる貨物の規模が減少しない限り、船舶内の他のスペースに配置されてもよい。
さらに、前記船舶用電力供給システム1は、スラスターモータ152と必須負荷電力系統100とが連携されないように構成されてよい。
図11は、本発明の第1態様に係る一実施例において、分離された電力系統を含む船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図11の電力供給システム1は、図9の電力供給システム1の構成と類似しているので、相違点を主に説明する。
図9において、スラスターモータ152と連携された必須負荷電力系統100の発電容量は、前記スラスターモータ152の電力容量、そして船舶の規定(Rule)で必須負荷として定義された、連続的な電力供給が要求される連続負荷の電力容量のいずれもに基づいて設定される。スラスターモータ152は、入港・出港の際に短時間で運転されるが、大容量の負荷であって船舶の運航に必須のものであるためである。
このように連続負荷が大部分含まれている必須負荷電力系統100にスラスターモータ152が連携される場合、必須負荷電力系統100内では、スラスターモータ152が非運転の大部分の船舶運行中に負荷で消耗する電力容量と発電容量との間に相当な差が生じる。すなわち、実質的に必須負荷電力系統100で要求される発電容量よりもオーバースペックの発電機を設置しなければならず、実質的に要求される発電機よりも高価の発電機が要求される。
一実施例において、スラスターモータ152は、必須負荷電力系統100以外の電力系統であるサービス負荷電力系統200に連携され、必須負荷電力系統100の発電容量を設定するうえでスラスターモータ152の電力容量が考慮されないように構成される。また、前記サービス負荷電力系統200は、スラスターモータ152が運転される短時間の間電力を交差使用することで大容量の負荷(すなわち、スラスターモータ152)と連携されるにも係わらず、追加的な発電容量の増加がないように構成される。
図11を参照すると、スラスターモータ152は、配電盤230を介して発電部210の電力を受信する。前記発電部210は固定RPM発電機を含む。
スラスターモータ152は、機能的な面から船舶の運行で重要な重要負荷(Important Load)であるが、船舶運行の間に連続的に電力供給を必要としない二次必須負荷(Secondary Essential load)に該当する。このため、必須負荷に連続的に電力を供給する必須負荷電力系統100に連携されなくても船舶の運航に大きな影響を及ぼさない。
また、サービス負荷電力系統200は、スラスターモータ152の追加連携による発電部210の発電容量の追加がないように、スイッチング部240を含む。
一実施例において、スイッチング部240は、インターロックするように構成されたオートスイッチ(Auto switch)(以下、「インターロックスイッチ(Interlock Switch)」)を含む。前記インターロックスイッチは、配電盤230とサービス負荷電力系統200の負荷(すなわち、スラスターモータ152、及びサービス負荷部250を含む)との間に配置される。前記インターロッキングスイッチは、船舶の制御部によって自動でスイッチングされるオートスイッチである。
前記インターロックスイッチは、図11に示されたように、スラスターモータ152への電力経路またはサービス負荷部250への電力経路の間に設置され、いずれか一方の負荷端(例えば、スラスターモータ152端)への電力供給の際にいずれか他方の負荷端(例えば、サービス負荷部250)への電力供給が禁止されるインターロッキング動作を行う。
また、配電盤230と船舶の船首部に位置したスラスターモータ152及び冷凍パネルRの間の長距離電力供給を少ない本数のケーブルを介して効率的に行うために、昇圧変圧器261、減圧変圧器266、配電盤230のサブ配電盤としての第1サブ配電盤270、及び第2サブ配電盤280を含んでよい。
前記昇圧変圧器261は、スイッチング部240と配電盤230との間に配置され、配電盤230の低圧電力(例えば、440V電力)を受信して高圧電力(例えば、6.6kV電力)を出力するように構成される。前記昇圧変圧器261の高圧電力は、第1サブ配電盤270及びスイッチング部240のスイッチング経路を介してスラスターモータ152またはサービス負荷部250へ伝達される。
スラスターモータ152を運転しないとき(例えば、船舶の一般航海中)、前記スイッチング部240は、発電部210の電力が配電盤230及び第1サブ配電盤270を介してサービス負荷部250へ伝達されるようにスイッチングされる。前記スイッチング部240から出力された高圧電力は、減圧変圧器266を介して低圧が適用された第2サブ配電盤280へ伝達されてスラスターモータ152以外の負荷に伝達される。
スラスターモータ152を運転するとき(例えば、船舶の入港または出港時の略30分)、前記スイッチング部240は、固定RPMを有する発電部210の電力が配電盤230及び第1サブ配電盤270を介してスラスターモータ152へ伝達されるようにスイッチングされる。
このようなスイッチング構造によって、スラスターモータ152がサービス負荷電力系統200に追加連携されても、サービス負荷電力系統200の発電容量がさらに増加することがない。
さらに、サービス負荷部250がサービス負荷として冷凍コンテナを含む場合、スラスターモータ152へのスイッチングによる冷凍コンテナへの電力供給中断は、冷凍コンテナの機能に影響を及ぼさない。一般的に冷凍コンテナは略30~40分程度電力の供給を受けなくても一定温度を保持するからである。
また、前記電力供給システム1は、船首部に位置したスラスターモータ152及び他の負荷(例えば、冷凍コンテナ)への電力供給においても、図9及び図10を参照して述べた、前記昇圧変圧器261などを利用したケーブル節減効果を得ることができる。
前記スラスターモータ152が複数の場合、前記サービス負荷電力系統200は、各スラスターモータ152に電力を供給するための複数の経路で構成されてよい。
例えば、図11に示されたように、サービス負荷電力系統200にスラスターモータ152A、152Bが連携された場合、スラスターモータ152Aのための経路及びスラスターモータ152Bのための経路で構成され、複数のスラスターモータ152A、152Bへの効率的な電力供給のための複数の昇圧変圧器261A、261Bを含んでよい。そして、複数の昇圧変圧器261A、261Bの高圧電力を低圧電力に変換する複数の減圧変圧器266A、266Bを含んでよい。
図12は、本発明のまた他の一実施例に係る、分離された電力系統を含む船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図12は、本発明の第1態様に係る他の実施例において、分離された電力系統を含む船舶用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
一実施例において、スラスターモータ152が必須負荷電力系統100以外の電力系統(例えば、サービス負荷電力系統200)に連携された電力供給システム1において、サービス負荷電力系統200は、可変RPM発電機を利用して前記スラスターモータ152またはサービス負荷250に電力を供給する。
図12を参照すると、発電部210は可変RPM発電機211を含む。そして、サービス負荷電力系統200は、可変RPM発電機211と配電盤230の周波数のマッチングのために電力変換器220を含んでよい。この場合、発電機211の運転速度を制御して発電効率を増加させることができる。
図11及び図12に示されたように、電力供給システム1は、スラスターモータ152を必須負荷電力系統100以外の電力系統に連携し、且つサービス負荷電力系統内の負荷端の特性に合わせて固定RPMまたは可変RPM発電機で構成することができる。
一方、前記図11及び図12を参照して述べた電力供給システム1は、多様な形態で変形して具現することができる。
一実施例において、図8と同様に、サービス負荷電力系統200は、配電盤230からサービス負荷250まで低圧配電になるように構成される。また、サービス負荷電力系統200は、スラスターモータ152が配電盤230から昇圧変圧器261及び/またはスターターパネル(Starter Panel、S/T)を介して電力を受けるように構成される。
他の一実施例において、サービス負荷電力系統200は、スラスターモータ152への電力供給のために配電盤230とスラスターモータ152との間に昇圧変圧器261及び/またはスターターパネルが配置され、サービス負荷部250への電力供給のために配電盤230とサービス負荷部250との間に前記昇圧変圧器261とは別の昇圧変圧器(図示せず)及び減圧変圧器266が配置されるように構成されてよい。
さらに、電力供給システム1は、時間帯(または、運転モード)に応じて発電機の運転を制御し、負荷部に供給される電力供給量を調節することができる。例えば、電力系統100の必須負荷部150が2つの発電機111、112の発電容量を不要とする場合、船舶用電力供給システム1は、少なくとも1つの発電機(例えば、発電機111)を待機発電機として設定して運転を中止し、必要な場合に待機発電機を利用して必須負荷部150への電力供給及びその他の目的にて使用することができる。
上述したように、必須負荷電力系統100とサービス負荷電力系統200とに分離された電力供給システム1を有する船舶は、必須負荷とサービス負荷とが単一電力系統で構成された従来の船舶とは異なって低圧配電が可能であるため、高価の高圧用遮断設備を不要とする。また、発電効率の低下の問題や船内スペースの活用度の低下の問題を改善することができる。これまではコンテナ船を中心にシステムの構成及び効果を述べたが、本発明の実施例がコンテナ船に制限されないことは通常の技術者にとって明白である。
以下、コンテナ船以外の他の類型の船舶として、LNG運搬船及びLPG運搬船を参照して本発明の他の態様についてより詳述する。
先ず、LNG運搬船に係る本発明の実施例に関して後述する。
LNGは一般的に極低温(例えば、-160℃)の液化状態で特殊製作された貨物タンク(Cargo Tank)に貯蔵されて海上運送される。一般の航海途中に前記貨物タンクの温度や圧力を制御せずにはLNGを海上輸送することが不可能である。
したがって、LNG運搬船は、船舶を運行するために推進されるように構成されると共に、LNGを安全に海上輸送できるように構成される。
LNG運搬船内の電力負荷は、運航に関連した必須負荷(例、Essential load-Fuel oil supply pump、Fuel valve cooling pumpなど)と、運航に関連しないサービス負荷(例、Service Load)を含んでよい。
LNG運搬船内の必須負荷は、スラスターモータ(Thruster Motor)、推進モータ(Propulsion Motor)、冷却ポンプ(Cooling Sea Water Pump)、及び潤滑油ポンプ(L.O Pump)などの推進及び航海のための電気モータである。LNG運搬船内のサービス負荷は、LNG運搬船のパイプライン及び貨物タンクの外部温度に応じて冷却・圧縮工程システムが動作するように構成されたLNG保管用負荷、及びLNGから発生したBOG(Boil-Off Gas)を燃料として使用するためのLNG燃料用負荷を含む。
このようなLNG運搬船の必須負荷とサービス負荷は、運転時に一定電力を消耗する連続負荷と、運転特性に応じて電力消耗量が変化する可変負荷を含んでよい。通常、LNG運搬船は、交流系統の電力供給システムが適用されており、連続負荷と可変負荷とが混在して単一電力系統に連携されている。
従来の場合、推進のための必須負荷と、LNG保管用負荷、及びLNG燃料用負荷のようなサービス負荷が単一系統で構成されており、システム全体の電力容量が非常に大きい。
したがって、特定規模以上の電力系統が適用されるLNG運搬船の場合、低圧系統の高電流によるケーブルの物量、系統の容量限界を解消するためにやむを得ずに高圧で電力を生成しこれを低圧に変圧して負荷に電力を供給する電力供給システムを有する。すなわち、従来のLNG運搬船は、従来のコンテナ船の場合と同様に、高圧配電で電力供給を行う電力供給システムを有するようになる。
図13は、従来の他の一実施例に係る、必須負荷、サービス負荷が混在して単一系統で構成されたLNG運搬船用電力供給システムのシステム構造を示した図である。
図13を参照すると、単一電力系統内に必須負荷、サービス負荷が混在している従来のLNG運搬船用電力供給システムは、高圧発電部10;高圧配電盤21;高圧配電盤21の高圧電気信号を減圧する変圧器31、32、33、34;低圧配電盤41、42、43;連続負荷及び可変負荷が混在している負荷部50を含む。
図13のように、単一系統のLNG運搬船用電力供給システムをLNG運搬船に適用する際に系統規模が一定大きさ以上である場合、負荷の定格電圧が低圧であっても主配電は高圧配電を適用し負荷が連携されている下位系統に分岐されるときに高圧を低圧に減圧する減圧変圧器31、32、33、34を介して電力を供給する。
図13の配電盤20に6.6kVの高圧が適用されていると、負荷までの電力供給過程は次のとおりである:6.6kV発電機→6.6kV高圧主配電盤(high voltage main switchboard)→6.6kV/440V変圧器→440V以下の低圧サブ配電盤(low voltage sub-switchboard)。すなわち、図13のLNG運搬船用電力供給システムは、高圧で電力を生成し、これを低圧に減圧して負荷に電力を供給する。
図14は、図13のLNG運搬船用電力供給システムを有する従来のLNG運搬船の内部構造を説明するための図である。
図14を参照すると、LNG運搬船1000はエンジンルーム1030を含む。エンジンルーム1030内部は、発電機などのような多様なエンジン設備、及びエンジン設備に連結されたその他の設備を含み、且つエンジンを制御するECR(Engine control Room)及び/または配電盤が配置されるスペースであるECR-配電盤室1005、そして減圧変圧器31、32、33、34が配置されるスペースである変圧器室(transformer room)1007を含む。
前述したように、高圧配電が一部適用された図13の電力系統では、負荷に電力を供給するために大容量の減圧変圧器31、32、33、34が要求される。大容量負荷を有するLNG運搬船では高圧配電が行なわれるため、減圧変圧器31、32、33、34が配置される変圧器室1007の大きさは相当である。
結局、多数の減圧変圧器(図13の31、32、33、34)が占めるスペース分、船内の活用可能なスペースが減るようになる。
また、図13の電力供給システムは単一電力系統で構成されており、発電効率の面でも低い性能を有する。
LNG運搬船に適用される発電機は、通常、固定RPM発電機である。前記固定RPM発電機は、負荷率が略75~85%の間の値である場合に合わせて発電するとき、高い燃料効率を有する。
一方、発電部10に含まれた固定RPM発電機の発電容量は、連続負荷、可変負荷の最大負荷電力に基づいて算定される。LNG運搬船の必須負荷の大半は連続負荷であるので、必須負荷の負荷率の変動が大きくない。
これに対し、船舶の推進とは関係がなくLNG Tank Operation、LNG Fuel Supplyに関連した動作を行う、LNG運搬船のサービス負荷の大半は時間によって負荷率が変動する可変負荷に該当する。
例えば、LNG運搬船は、貨物パート(Cargo part)負荷をサービス負荷として含んでよい。図13のシステムが適用されたLNG運搬船において貨物パート(Cargo part)全体の負荷容量は略5.5MWであって、運転モード(operation mode)別に略30~100の間の急激な負荷率(load factor)を有する。
したがって、固定RPM発電機が適用された図13の電力供給システムでは、サービス負荷と必須負荷とが単一系統に混在しており、重負荷または低負荷区間で電力供給システムの発電効率が低下するという問題がある。
結局、従来のLNG運搬船もまた、発電効率の低下の問題や船内スペース活用度の低下の問題を有する。
図15は、本発明の第2態様に係る一実施例において、分離された電力系統を含むLNG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図15を参照すると、LNG運搬船用電力供給システム1は、1つ以上の電力系統(100、200など)を含む。電力系統100は、発電部110、主配電盤を含む配電盤130、及び必須負荷を含む必須負荷部150を含む。電力系統200は、発電部210、主配電盤を含む配電盤230、及びサービス負荷を含むサービス負荷部250を含む。
また、前記LNG運搬船用電力供給システム1は、電力系統の状態をモニタリングして電力供給を制御する制御部(図示せず)を更に含んでよい。前記制御部は、電力管理システム(PMS;Power Management System)、エネルギー管理システム(EMS:Energy Management System)、エネルギー電力管理システム(EPMS:Energy Power Management System)のうちの1つ以上を含んでよい。
以下、説明の明瞭性のために、LNG運搬船用電力供給システム1は2つの電力系統100、200を含むものとするが、これに制限されると解釈されることではない。また、場合によっては両構成要素のいずれか一方の構成要素のみを代表的に詳述し、もう一方の構成要素についての詳述は割愛することがある。
図15に示されたように、LNG運搬船用電力供給システム1は、必須負荷とサービス負荷別に電力系統がそれぞれ分離された状態で構成される。
発電部110は配電盤130を介して必須負荷部150に電力を供給し、必須負荷部150の負荷が電力を消耗して駆動する。
発電部110は交流電気信号を出力し、複数の発電機(例えば、図15の発電機111、112)を含む。発電機111、112の発電類型及び発電容量は負荷に依存する。例えば、LNG運搬船の運用のためのモータ負荷が定出力負荷である場合、交流発電機が使用されてよい。また、発電機の収容率が85%で、負荷容量が1MWである場合、発電機の発電容量は約1.2MWであってよい。
発電部110に含まれた発電機の1つの容量は、一般航海モードで必須負荷部150に電力を供給するうえで十分な容量を有する。この場合、前記複数の発電機111、112のうちの少なくとも1つは待機発電機と指定され、当該待機発電機は、一般航海時には動作しないように設定される。
一実施例において、必須負荷電力系統100で動作中の発電機(例えば、111)に事故が発生した場合、前記電力供給システム1は、前記必須負荷電力系統100に含まれた待機発電機(例えば、112)から必須負荷部150へ電力が供給されるように構成される。
一実施例において、必須負荷電力系統100の待機発電機は、サービス負荷電力系統200のサービス負荷に電力を供給するために動作することができる。これについては、下の図19及び図20を参照してより詳述する。
発電機111、112は、ディーゼル発電機、複合燃料発電機、ガス燃料発電機、ガスタービンなどが含まれ得るが、これらに制限されない。また、発電部110は、状況に応じた電力供給制御のために1つ以上のスイッチ、及び/または断路器を更に含んでよい。例えば、図15に示されたように、LNG運搬船用電力供給システム1は、2つの発電機111、112を含む場合、2つのスイッチを更に含んでよい。
配電盤130では交流(AC)で電力供給が行なわれる。一実施例において、配電盤130は、電力系統100の主配電盤を含んでよい。前記主配電盤はバスケーブルで構成され、この場合、バスケーブルをメインバスと指すことがある。
また、一部の実施例において、配電盤130は複数のバスケーブルを含んでもよい。例えば、配電盤130は、発電機111に電気的に連結されたメインバス131、発電機112に電気的に連結されたメインバス132のように、複数のバスケーブルを含んでよい。この場合、配電盤130は、複数のメインバス131、132を普段は電気的に連結するが、非常及び/または事故の際に電気的連結が遮断されるバスタイブレーカ(bus tie breaker)133を更に含んでよい。
配電盤130には低圧が適用されてよく、電力系統100は低圧配電が可能である。例えば、図15のメインバス131及びメインバス132に440Vの低圧が適用され、電力を負荷に供給することができる。
電力系統100の構成要素は相互作用するように電気的に連結されてよい。例えば、LNG運搬船用電力供給システム1は、発電部110から配電盤130を介して必須負荷部150までを電気的に連結する電力供給線を使用して必須負荷に電力を供給することができる。
電力系統100の必須負荷部150は、船舶の運航のために必須として動作が要求される必須負荷(Essential load)を含む。前記必須負荷(Essential load)は、船舶の規定で定義する必須負荷(Essential load)及び船舶の運航のために必須として動作が要求されるが、船舶の規定上、必須負荷(Essential load)には含まれない二次必須負荷(secondary Essential load)(例えば、重要負荷(important load))を含む。
LNG運搬船の運用のために使用される必須負荷は、例えば、推進モータ、バラストポンプ、潤滑油ポンプ、エンジン燃料供給ポンプ、冷却ポンプ、ウォータースプレーポンプ(water spray pump)などを含んでよいが、これらに制限されない。必須負荷部150に含まれた必須負荷の大半は負荷率がほとんど変わらない連続負荷に該当する。
一部の実施例において、必須負荷部150は、可変周波数制御(VFD、Variable Frequency Drive)基盤の負荷を更に含んでもよい。可変周波数制御基盤の負荷は、冷却システム(Central Cooling System)のように、運航特性に合わせて負荷端の電力消耗を最適化する必須負荷である。例えば、VFD負荷は、冷却水の温度を制御できるように構成された冷却ポンプなどのような温度、圧力などを制御するように構成された必須負荷を含む。
前述したように、配電盤130は低圧配電が行なわれるように構成される。したがって、図15に示されたように、少なくとも一部の必須負荷は、別途の変圧器を介さずに電気的に連結されて電力の供給を受けることができる。
また、必須負荷部150は、配電盤130の電圧と同一か、それより低い電圧で電力を供給する1つ以上のサブ配電盤を含んでよい。この場合、必須負荷部150は、配電盤130とサブ配電盤との間に配置されて電圧を減圧する変圧器155を更に含んでよい。例えば、図15に示されたように、必須負荷部150は、(例えば、450Vが適用された)配電盤130と(例えば、220Vが適用された)サブ配電盤との間に変圧器155A、155B、155C、155Dを含んでよい。
前記変圧器155は、低圧を更に低い電圧(例えば、220V)に減圧する変圧器であって、高圧を低圧に減圧する図13の減圧変圧器31、32、33、34に比べて小型化した変圧仕様を有する。
また、電力系統100は、ブラックアウトのような非常時に電力を供給する非常発電機、及び、このときに動作する負荷を含む非常配電盤を更に含んでもよい。前記非常配電盤は、陸電(shore power)、非常用負荷などを含んでよい。
電力系統200の構成要素及び動作は、電力系統100の構成要素及び動作と相当部分類似しているので、相違点を主に説明する。
これに対し、電力系統200のサービス負荷部250は、LNG運搬船の運航以外のときに付加的に使用されるサービス負荷を含む。また、可変負荷部250は、配電盤230よりも低い電圧で電力を供給する1つ以上のサブ配電盤(図示せず)を更に含んでもよい。
サービス負荷部250は、LNGを保管するのに使用されるLNG保管用負荷、LNGから発生した及びLNG運搬船の搭乗者の便宜のために使用される使用者便宜用負荷などを含む。
LNGは可燃性物質であって、LNG運搬船は、LNGを容易に船積みまたは荷役するために貨物タンクまたはパイプラインの温度、圧力を制御しなければならない。また、LNGを海上で安全に輸送するために一般航海時でも貨物タンクの温度、圧力を持続的に制御しなければならない。
したがって、LNG運搬船にLNGを船積み、荷役、貯蔵するために動作する負荷、そして、運航途中に貯蔵されているLNGの管理(例えば、LNGの冷却、圧縮など)のために動作する負荷を含むLNG保管用負荷は可変負荷に該当する。
また、サービス負荷部250は、BOG(Boil-Off Gas)を燃料として使用するためのLNG燃料用負荷を含んでよい。
LNG運搬船は、環境規制によってデュアルフューエルエンジン(Dual Fuel Engine)システムが設置され運用されている。前記デュアルフューエルエンジンシステムは、LNG燃料用負荷のうちの少なくとも一部をGas ModeまたはHFO Modeに制御することができる。ここで、Gas Modeは貨物タンク内で自然発生するBOG、及び強制気化させたBOGをLNG運搬船の燃料として使用するモードであり、HFO Modeは高硫黄燃料油、バンカー油のような、HFO(Heavy Fuel Oil)をLNG運搬船の燃料として使用するモードである。
したがって、このようなBOGを燃料として使用するためのLNG燃料用負荷もまた、可変負荷に該当する。これにより、サービス負荷の大半は負荷率が変動する可変負荷に該当する。
前記LNG保管用負荷は、例えば、HDコンプレッサー(High duty compressor)、カーゴポンプ、カーゴ補助機器(Cargo Auxiliary Machine)などを含むが、これらに制限されない。
前記LNG燃料用負荷は、例えば、LDコンプレッサー(Low duty compressor)、気化器(Vaporizer)などを含むが、これらに制限されない。
また、可変負荷部250は、配電盤230よりも低い電圧で電力を供給する1つ以上のサブ配電盤(図示せず)を更に含んでもよい。
一部の実施例において、図15に示されたように、必須負荷部150またはサービス負荷部250の少なくとも一部の電力負荷は、負荷の動作時に受信する電力量を制御する構成要素(例えば、スターターパネル(Starter Panel、S/T)を含んでよい。
また、LNG運搬船用電力供給システム1の分離された各電力系統100、200は、独立した系統構成を有することで、各系統の安定性も高まるようになる。既存の場合、サービス負荷端に系統事故が発生すると、単一系統で構成されているため必須負荷にも影響を及ぼすことになる。系統を分離構成すると、サービス負荷端で事故が発生したとき、当該系統での事故がサービス負荷用電力系内でしか拡散しないので、必須負荷用電力系には影響を及ぼさなくなる。同様に、系統分離すると、必須負荷端での事故のときも当該事故がサービス負荷端に拡散しない。
また、個別電力系統の規模が単一電力系統に比べて縮小する。例えば、14MWの電力容量を有する単一電力系統を、必須負荷電力系統100は9MW、サービス負荷電力系統200は5MWの規模に図15のように分離した場合、個別電力系統の規模は14MWから9MWに、14MWから5MWにそれぞれ縮小される。
そして、6.6kV以上の高圧の代わりに低圧(例えば、440V)が適用された主配電盤を介して電力供給が可能になる。これにより、図13の大容量の減圧変圧器31、32、33、34をもはや不要とする。したがって、CAPEX(Capital expenditures)の面から原価節減効果を得ることができる。
さらに、大容量の減圧変圧器31、32、33、34を不要とするため、図2に示された変圧器室1007の既存の減圧変圧器31、32、33、34が占めていたスペースをより効率的に活用することができる。例えば、図15の電力供給システム1がLNG運搬船に適用される場合、変圧器室1007のスペースを多数の減圧変圧器の配置のための用途の代りに(例えば、貨物船積みなど)別の用途に活用することができる。
さらには、電力系統100、200は、系統の分離によって、設計目的に応じて多様且つ異なるように構成されてよい。
一実施例において、各電力系統100、200は、主に含まれた負荷特性に最適化した類型の発電機を構成及び運営するように構成される。例えば、必須負荷電力系統100は固定RPM発電機を含み、サービス負荷電力系統200は可変RPM発電機を含んでよい。
図16は、本発明の第2態様に係る一実施例において、サービス負荷電力系統が可変RPM発電機を有するように構成されたLNG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図16の電力供給システム1は図15の電力供給システム1と類似しているので、相違点を主に説明する。
図16を参照すると、必須負荷電力系統の発電機111、112は固定RPM発電機、サービス負荷電力系統200の発電機211、212は可変RPM発電機である。連続負荷の場合、定出力特性によって負荷変動がないので、負荷率の変化がほとんどないのに対し、可変負荷は負荷率が変わることが特徴である。
必須負荷電力系統100の負荷の大半は負荷率が変わらない連続負荷に該当するので、最適効率区間(すなわち、75~85%の負荷率の範囲)で動作するように固定RPM発電機を運転する。
図13に示された従来の単一系統基盤の電力供給システムでは、LNG運搬船の電力負荷が単一系統に混在しており、可変負荷によってシステム全体の負荷率が低い負荷区間が発生するようになる。これにより、固定RPM発電の発電効率が低下する。
これに対し、図16の電力供給システム1は、LNG運搬船の大半の可変負荷が電力系統100から分離されており、サービス負荷電力系統200の可変負荷による負荷率の変化が必須負荷電力系統100の必須負荷に影響を及ぼさない。
したがって、必須負荷電力系統100に固定RPM発電機を適用しても、重負荷または低負荷区間で高い発電効率を有する。
これに対し、前述したように、サービス負荷電力系統200の負荷の大半は負荷率が変わる可変負荷である。
したがって、図15の電力供給システム1のサービス負荷電力系統200は、電力系統200の負荷率の変動に合わせて可変速運転が可能な可変RPM発電機を運転するように構成される。
このような可変RPM発電機を含むサービス負荷電力系統200において、負荷区間別に最適の発電効率を有するRPMで可変RPM発電機の回転速度を制御する場合、単一系統内に連続負荷、可変負荷が混在している場合に比べて、可変負荷に電力を供給する発電機の燃料効率を向上させることができる。
図17は、電力系統内の負荷端の負荷率と前記負荷端に電力を供給する発電機の燃料消耗量との関係を示した図である。
前述したように従来の単一電力系統では、固定RPM発電機を利用して可変負荷(例えば、LNG保管用負荷)に電力を供給した。貨物パート全体のサービス負荷は30~100%水準の平均負荷率を有する。
このように重負荷または低負荷に変動するLNG運搬船のサービス負荷の全体に従来のように固定RPM発電機を利用して電力を供給する場合、負荷率が低い重負荷または低負荷区間では低い発電効率を有する。
これに対し、本発明の一実施例のように可変RPM発電機を利用して負荷率が変動するサービス負荷に電力を供給する場合、図13の電力供給システムに比べて、負荷率が低い低負荷区間で発電効率が向上する。
図17を参照すると、図13の電力供給システムは、低負荷区間の例示として45%の負荷率でPFに該当する燃料効率を有する。これに対し、図16の電力供給システム1は、PVに該当する燃料効率を有する。PFとPVとを比較したとき、図16の電力供給システム1が1kwhの電力を発電するうえでより少ない燃料量を消耗することを示す。結局、図16の電力供給システム1は、LNG運搬船のサービス負荷のための同一電力を発電するにあたって、図13の電力供給システムに比べて略8%の燃料消耗率の改善結果を有すると算出される。
前記8%は単なる例示であって、サービス負荷が時間帯別に負荷率が変動する負荷区間を有するように構成される場合、負荷区間に対応する、最適の発電効率を有するRPMで発電機の回転速度を制御することで発電効率をさらに改善することができる。
LNG運搬船の負荷において、低負荷区間L1は負荷率が10~40%の区間であって、略285~210g/kwhの燃料消耗量を有する。重負荷区間L2は負荷率が40~60%の区間であって、略210~194g/kwhの燃料消耗量を有する。高負荷区間L3は負荷率が80~100%の区間であって、略185~190g/kwhの燃料消耗量を有する。図15の電力供給システム1は、高負荷区間L3での燃料の消耗が図13の電力供給システムとほぼ同様である。しかし、低負荷区間L1では、図13に比べてkwh当たりの燃料消耗率が略6~10%改善され、重負荷区間L2では、図13に比べてkwh当たりの燃料消耗率が略10~35%改善される。
このように、図16のサービス電力系統200の可変RPM発電機は、各負荷区間の負荷率に基づいてRPMを制御することで、発電部210の発電効率を改善することができる。
一方、前記サービス負荷電力系統200が交流配電を行う場合、配電盤230は、特定周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)を有するように構成されてよい。この場合、発電部210は、各負荷区間の負荷率に基づいて交流電力を発電し、前記配電盤230の周波数にマッチングする周波数(例えば、50Hz、または60Hz)を有する交流(AC)電気信号を出力するように構成される。
一実施例において、発電部210は、発電機211及び配電盤230の間に位置した交流(AC)/交流(AC)コンバータ214を含む。前記交流(AC)/交流(AC)コンバータ214は、可変RPM発電機で発電した交流(AC)電気信号の周波数を配電盤230の特定周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)に変換するように構成される。
その結果、各負荷区間の負荷率に基づく可変RPM発電機211のRPM変化があっても、発電部210は配電盤230の特定周波数を有する交流(AC)電気信号を出力することができる。
また、前記LNG運搬船用電力供給システム1は、低圧配電が可能であるため、それぞれの電力系統100、200内の配電方式を低圧直流(DC)配電及び/または低圧交流(AC)配電が可能になるように構成することができる。
図18は、本発明の第2態様に係る一実施例において、必須負荷電力系統は固定RPM発電機を有して交流配電を行うように構成され、サービス負荷電力系統は可変RPM発電機を有して部分的に直流配電を行うように構成されたLNG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図18の電力供給システム1は、図16の電力供給システム1と類似しているので、相違点を主に説明する。
図18を参照すると、サービス負荷電力系統200は、更に、部分的に直流配電が可能になるように構成される。前記電力供給システム1において発電機111、112は固定RPM発電機で、発電機211、212は可変RPM発電機である。
一実施例において、発電部210は、交流(AC)電気信号を受信して直流(DC)電気信号に変換する交流(AC)/直流(DC)コンバータ216を更に含み、前記第2負荷部は、直流(DC)電気信号を受信して交流(AC)電気信号に変換する直流(DC)/交流(AC)インバータ226を更に含んでよい。
このように直流配電が行なわれる場合、周波数及び位相同期化、無効電力による電力損失を防止することができる。
また、図18に示されたように、電力系統200は、発電部210と配電盤230との間に直流(DC)メインバス221を含む直流(DC)配電盤220を更に含んでよい。前記直流(DC)配電盤220を利用すると、運搬船内に配置された複数のサービス負荷に効率的に電力を供給することができる。この場合、電力系統200は、配電盤220と配電盤230のそれぞれのサービス負荷との間を電気的に連結する複数の直流(DC)/交流(AC)インバータ226A~226Bを含んでよい。
交流(AC)/直流(DC)コンバータ216と直流(DC)/交流(AC)インバータ226によって、電力系統200では発電部210と配電盤230との間の部分で直流配電が可能になる。
このように、電力供給システム1は、必須負荷電力系統は固定RPM発電機基盤の交流配電、サービス負荷電力系統は可変RPM発電機基盤の直流または交流配電で構成されてよい。
また、電力供給システム1は、各電力系統100、200の配電のための電圧を互いに異なるように構成することができる。
一実施例において、電力供給システム1は、必須負荷電力系統100では配電盤130を介して低圧配電を行い、サービス負荷電力系統200では、配電盤230を介して高圧配電を行うように構成される。ここで、必須負荷電力系統100の低圧配電は固定RPM発電機を利用して行われ、サービス負荷電力系統200の高圧配電は可変RPM発電機を利用して行われてよい。この場合、サービス負荷電力系統200の発電部210は高圧(例えば、6.6kV)電気信号を配電盤230に出力するように構成される。
さらに、電力系統100、200は、部品供給の面から効率的に構成されてよい。
一実施例において、サービス負荷電力系統200では配電盤230を介して低圧配電を行うが、前記低圧配電は固定RPM発電機を利用して行われてよい。また、図15を参照すると、サービス負荷電力系統200は、発電部210、低圧配電盤230、及びサービス負荷部250を含む。
配電盤230では系統分離による低圧配電が行なわれる。前記配電盤230が交流(AC)電力を配電する場合、配電盤230の周波数は特定周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)である。
発電部210は、前記配電盤230の周波数にマッチングする周波数(例えば、50Hz、または60Hz)を有する電力を発電するように構成される。例えば、発電部210は、前記配電盤230の周波数にマッチングする周波数のための固定RPMで運転する固定RPM発電機を含んでよい。大容量発電機の場合、固定RPM発電機が可変RPM発電機に比べて価格がより低廉で需給が容易という長所を有する。
一部の実施例において、発電部210は、複数の固定RPM発電機211、212を含んでよい。前記固定RPM発電機211、212の発電容量は、サービス負荷250の電力容量以上であってよい。固定RPM発電機(211または212)は、重負荷または低負荷区間でサービス負荷電力系統200に電力を供給するうえで十分な発電容量を有する。
このような発電部210と配電盤230との間の周波数マッチング構造によって、前記サービス負荷電力系統200では低圧配電盤と発電部との間の周波数マッチングのための追加的な電力機器(例えば、電力変換器)を不要とし、且つ配電盤230から低圧交流(AC)配電を行うことができる。
例えば、サービス負荷電力系統200の発電機(211または212)は、可変RPM発電機であって、速度に応じて可変周波数の範囲(例えば、37Hz~60Hz)での周波数を有する電力を発電することができる。この場合、特定周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)を有する配電盤230と前記可変RPM発電機211との間には、周波数マッチングのために発電部210から出力される電力の周波数を配電盤230の周波数に変換する電力変換器(例えば、マトリックスコンバータ(Matrix Converter))が要求されるが、船舶に使用される発電機の発電容量(例えば、3MW)を変換する大容量コンバータを供給することは容易ではない。さらには、通常、可変RPM発電機の価格が固定RPM発電機の価格よりも高価である。
結局、固定RPM発電機を含むサービス負荷電力系統200は、低圧配電の長所を維持すると共に、可変速発電機の適用時に必要となる、低圧配電盤との周波数マッチングのための追加的な電力機器(例えば、電力変換器)を不要とし、より低廉に低圧配電基盤の電力供給システムを船舶に構築することができる。さらには、サービス負荷電力系統200の一部を既存の供給可能な固定RPM発電基準で構成することができ、設計の容易性がある。
一方、前記固定RPM発電機を含むサービス負荷電力系統200は、配電盤230に低圧を適用して交流(AC)配電する、低圧交流(AC)配電構造に制限されない。他の一実施例において、前記固定RPM発電機を含むサービス負荷電力系統200は、図18と同様に、低圧直流(DC)配電構造で構成されてよい。また他の一実施例において、前記固定RPM発電機を含むサービス負荷電力系統200は、高圧交流(AC)配電構造で構成されてよい。
追加的に、前記船舶用電力供給システム1は、スラスターモータ152と必須負荷電力系統100とが連携されないように構成されてよい。
図19は、本発明の第2態様に係る他の一実施例において、分離された電力系統を含むLNG運搬船の電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図19の電力供給システム1は、図15の電力供給システム1の構成と類似しているので、相違点を主に説明する。
図15において、スラスターモータ152と連携された必須負荷電力系統100の発電容量は、前記スラスターモータ152の電力容量、そして船舶の規定(Rule)で必須負荷と定義された、連続的な電力供給が要求される連続負荷の電力容量のいずれも基づいて設定される。スラスターモータ152は、入港・出港時に短時間で運転されるが、大容量の負荷であって船舶の運航に必須のものであるため、図15の電力供給システム1では必須負荷電力系統100に含まれる。
一方、連続負荷が大部分含まれた必須負荷電力系統100にスラスターモータ152が連携される場合、必須負荷電力系統100内では、スラスターモータ152が非運転の大部分の船舶運行中に負荷で消耗する電力容量と発電容量とでは相当な差が発生する。すなわち、実質的に必須負荷電力系統100で要求される発電容量よりもオーバースペックの発電機を設置しなければならず、実質的に要求される発電機よりも高価の発電機が要求される。
一実施例において、スラスターモータ152は、必須負荷電力系統100以外の電力系統であるサービス負荷電力系統200に連携され、必須負荷電力系統100の発電容量を設定するにあたってスラスターモータ152の電力容量が考慮されないように構成される。また、前記サービス負荷電力系統200は、スラスターモータ152が運転される短時間の間電力を交差使用することで大容量の負荷(すなわち、スラスターモータ152)と連携されるにも係わらず、更なる発電容量の増加がないように構成される。この場合、LNG運搬船用電力供給システム1は、更に、スラスターモータ152の動作の有無に応じて電力供給を制御するように構成される。
図19を参照すると、スラスターモータ152は、配電盤230を介して発電部210の電力を受信する。一実施例において、発電部210は可変RPM発電機を含む。他の一実施例において、発電部210は固定RPM発電機を含む。
スラスターモータ152は、機能的な面から船舶運行で重要な重要負荷(Important Load)であるが、船舶運行の間連続的に電力供給を必要としない二次必須負荷(Secondary Essential load)に該当する。このため、必須負荷に連続的に電力を供給する必須負荷電力系統100に連携されない構成が可能になる。例えば、図19に示されたように、スラスターモータ152A、152Bは、サービス負荷電力系統200の配電盤230に連携される。
このように、必須負荷電力系統100とスラスターモータ152とが連携されないため、必須負荷電力系統100は一般航海時に負荷率が増加するようになる。その結果、燃料効率がさらに増加するようになり、運営費用を節減することができる。そして、必須負荷電力系統100の発電容量は、スラスターモータ152と連携された場合(例えば、図15)に比べて減少するので、より小型化した発電機を必須負荷電力系統100に適用することができ、発電機の費用を節減することができる。
また、サービス負荷電力系統200は、スラスターモータ152の追加連携による発電部210の発電容量の追加がないように、スイッチング部125を含む。前記スイッチング部125によって、サービス負荷電力系統200に連携されたスラスターモータ152が動作しても他のサービス負荷への電力供給が不足することがない。
一実施例において、スイッチング部125は、発電部110の電力を配電盤230を介してスラスターモータ152に供給させる。スイッチング部125は、図19に示されたように、SPDT(Single Pole Double Throw)を含んでよい。前記SPDTは、発電部110(例えば、発電機112)から配電盤130に進む第1経路、または前記発電部110(例えば、発電機112)からサービス負荷電力系統200の配電盤230に進む第2経路を連結するように構成される。
スイッチング部125による電力供給は、次のように説明することができる。LNG運搬船の出港のために、制御部によってスイッチング部125は前記第2経路を連結するようにスイッチングされ、発電部110の電力が配電盤230を介してスラスターモータ152に供給される。出港が完了した後、制御部によってスイッチング部125は前記第1経路を連結するようにスイッチングされ、一般航海の間はスラスターモータ152が動作しない。また、LNG運搬船の入港のために、制御部によってスイッチング部152は前記第2経路を連結するようにスイッチングされ、発電部110の電力が配電盤230を介してスラスターモータ152に供給される。
このようなスイッチング構造によって、スラスターモータ152がサービス負荷電力系統200に追加連携されても、サービス負荷電力系統200の発電容量がさらに増加することがない。
一方、前記図19の電力系統100、200は低圧交流(AC)配電に制限されない。前述したように電力系統200の特性に合わせて固定RPM発電機、または可変RPM発電機を適用することができる。また、低圧交流(AC)配電、高圧交流(AC)配電、または低圧直流(DC)構造で構成されてよい。
一実施例において、図19の電力系統100、200は、高圧交流(AC)配電を行うように構成される。この場合、発電部110、210は高圧電気信号(例えば、6.6KV)を出力するように構成される。
図20は、本発明の第2態様に係るまた他の一実施例において、分離された電力系統を含むLNG運搬船の電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図20の電力供給システム1は、図19の電力供給システム1と類似しているので、相違点を主に説明する。
図20を参照すると、必須負荷電力系統100は配電盤130を介して低圧配電を行うように構成され、サービス負荷電力系統200は配電盤230を介して高圧配電を行うように構成される。この場合、発電部110は低圧電気信号(例えば、440V)を出力するように構成され、発電部21は高圧電気信号(例えば、6.6kV)を出力するように構成される。
この実施例において、発電部110から出力される電力は交差電力用変圧器126を介してスラスターモータ152に提供される。前記交差電力用変圧器126は、発電部110から出力された低圧電気信号を昇圧して、高圧が適用された配電盤230を介してスラスターモータ152に提供する。前記交差電力用変圧器126の入力電圧は発電部110の出力電圧に依存し、変圧器126の出力電圧は配電盤230の適用電圧に依存する。
図19及び図20を参照して詳述したように、LNG運搬船用電力供給システム1は、スラスターモータ152を必須負荷電力系統100以外の電力系統に連携し、且つサービス負荷電力系統内の負荷端の特性に合わせて多様な発電機(例えば、固定RPMまたは可変RPM発電機)を適用したり、多様な配電構造(例えば、低圧直流(DC)配電、低圧交流(AC)配電または高圧交流(AC)配電)で構成することができる。
このように、サービス負荷と必須負荷別に電力系統をそれぞれ構成することで、発電効率の低下の問題や船内スペース活用度の低下の問題を改善することができる。
さらに、LPG運搬船に係る本発明の実施例に関して後述する。
LPGは一般的に低温(例えば、-50℃)の液化状態で特殊製作された貨物タンク(Cargo Tank)に貯蔵されて海上運送される。一般の航海途中に前記貨物タンクの温度や圧力を制御せずにはLPGを海上輸送することが不可能である。
したがって、LPG運搬船は、船舶を運行するように構成されると共に、LPGを安全に海上輸送できるように構成される。
LPG運搬船内の電力負荷は、運航に関連した必須負荷(例、Essential load-Fuel oil supply pump、Fuel valve cooling pumpなど)と、運航に関連しないサービス負荷(例、Service Load)を含んでよい。
LPG運搬船内の必須負荷は、冷却ポンプ(Cooling Sea Water Pump)、潤滑油ポンプ(L.O Pump)、バラストポンプ(Ballast Pump)などの推進及び航海のための電気モータである。サービス負荷は、LPG運搬船のパイプライン及び貨物タンクの外部温度に応じて冷却・圧縮工程システムが動作するように構成されたLPG保管用負荷を含む。
このようなLPG運搬船の必須負荷とサービス負荷は、運転時に一定電力を消耗する連続負荷と、運転特性に応じて電力消耗量が変化する可変負荷を含んでよい。通常、LPG運搬船は、交流系統の電力供給システムが適用され連続負荷と可変負荷とが混在して単一電力系統に連携されており、非常に大きな負荷容量を有する。
図21は、従来の一実施例に係る、必須負荷、サービス負荷が混在して単一系統で構成されたLPG運搬船用電力供給システムのシステム構造を示した図である。
図21を参照すると、単一電力系統内に必須負荷、サービス負荷が混在しているLPG運搬船用電力供給システムは、発電部10、発電部10から電力を受けて負荷または他の配電盤に伝達する低圧配電盤20、前記低圧配電盤20を介して電力の供給を受ける、必須負荷及びサービス負荷が混在している負荷部50、及び他の低圧配電盤60を含む。
このような図21の電力供給システムは、単一電力系統で構成されており、発電効率の面でも低い性能を有する。
LPG運搬船に適用される発電機は、通常、固定RPM発電機である。前記固定RPM発電機は、負荷率が略75~85%の間の値である場合に合わせて発電するとき、高い燃料効率を有する。
一方、発電部10に含まれた固定RPM発電機の発電容量は、連続負荷、可変負荷の最大負荷電力に基づいて算定される。LPG運搬船の必須負荷の大半は連続負荷であるので、必須負荷の負荷率の変動が大きくない。
これに対し、LPG貨物の冷却、圧縮、そして貯蔵、荷役などの動作を行う、LPG運搬船のサービス負荷は、時間によって負荷率が変動する可変負荷に該当する。例えば、LPG運搬船は、貨物パート負荷をサービス負荷として含んでよい。図21のシステムが適用されたLPG運搬船において貨物パート(Cargo part)全体のサービス負荷の平均負荷率は略30~60%の間の値を有する。
したがって、可変負荷のように運転特性によって電力系統の所要電力が最大負荷電力に比べて低くなるようになる場合が生じると、単一電力系統では系統全体の負荷率の低下につながるようになり、結局、システムの発電効率が低下するようになる。
通常、図21の電力供給システムが適用されたLPG運搬船は、運転モード(operation mode)別に略40~70%(例えば、43%~71%)の間の負荷率(load factor)を有するようになる。
結局、サービス負荷と必須負荷とが単一系統に混在されており、重負荷または低負荷区間で電力供給システムの発電効率が低下するという問題がある。
また、単一電力系統で構成されるので、発電機の発電容量が単一電力系統の全体の負荷容量に依存する。これにより、大容量の発電機が設置され、エンジンルーム内のスペース活用度が相対的に低下するという問題がある。
本発明の第3態様に係る実施例において、LPG運搬船用電力供給システムは、主に必須負荷を含む必須負荷電力系統と、主にサービス負荷を含むサービス負荷電力系統とに電力系統が分離されて構成される。前記必須負荷とサービス負荷とは配電盤を共有しない。前記電力供給システムは、50k以上100k未満の中型LPG船舶に適用され、低圧配電が可能になるように構成される。
図22は、本発明の一実施例に係る、分離された電力系統を含むLPG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図22を参照すると、LPG運搬船用電力供給システム1は、1つ以上の電力系統(100、200など)を含む。電力系統100は、発電部110、主配電盤を含む配電盤130、及び船舶運航のために動作する必須負荷を含む必須負荷部150を含み、以下、必須負荷電力系統と称する。電力系統200は、発電部210、主配電盤を含む配電盤230、及びLPG運搬のために動作するサービス負荷を含むサービス負荷部250を含む。
また、前記LPG運搬船用電力供給システム1は、電力系統の状態をモニタリングして電力供給を制御する制御部(図示せず)を更に含んでよい。前記制御部は、電力管理システム(PMS;Power Management System)、エネルギー管理システム(EMS:Energy Management System)、エネルギー電力管理システム(EPMS:Energy Power Management System)のうちの1つ以上を含んでよい。
以下、説明の明瞭性のために、LPG運搬船用電力供給システム1は2つの電力系統100、200を含むものとするが、これに制限されると解釈されることではない。また、場合によっては両構成要素のいずれか一方の構成要素のみを代表的に詳述し、もう一方の構成要素についての詳述は割愛することがある。
図22に示されたように、LPG運搬船用電力供給システム1は、必須負荷とサービス負荷別に電力系統がそれぞれ分離された状態で構成される。
発電部110は配電盤130を介して必須負荷部150に電力を供給し、必須負荷部150の負荷が電力を消耗して駆動する。
発電部110は交流電気信号を出力し、複数の発電機(例えば、図22の発電機111、112)を含む。発電機111、112の属性及び発電容量は負荷に依存する。例えば、LPG運搬船の運用のためのモータ負荷が定出力負荷である場合、交流発電機が使用されてよい。また、発電機の収容率が85%で、負荷容量が1MWである場合、発電機の発電容量は約1.2MWであってよい。
発電部110に含まれた発電機の1つの容量は、一般航海モードで必須負荷部150に電力を供給するうえで十分な容量を有する。この場合、前記複数の発電機111、112のうちの少なくとも1つは待機発電機と指定され、当該待機発電機は一般航海時には動作しないように設定される。
一実施例において、必須負荷電力系統100で動作中の発電機(例えば、111)に事故が発生した場合、前記電力供給システム1は、前記必須負荷電力系統100に含まれた待機発電機(例えば、112)から必須負荷部150に電力が供給されるように構成される。
一実施例において、必須負荷電力系統100の待機発電機は、サービス負荷電力系統200のサービス負荷に電力を供給するために動作することができる。これについては、下記の図26~図28を参照してより詳述する。
発電機111、112は、ディーゼル発電機、複合燃料発電機、ガス燃料発電機、ガスタービンなどが含まれ得るが、これらに制限されない。また、発電部110は、状況に応じた電力供給制御のために1つ以上のスイッチ、及び/または断路器を更に含んでよい。例えば、図22に示されたように、LPG運搬船用電力供給システム1は、2つの発電機111、112を含む場合、2つのスイッチを更に含んでよい。
配電盤130では交流で電力供給が行なわれる。一実施例において、配電盤130は、電力系統100の主配電盤を含んでよい。前記主配電盤はバスケーブルで構成され、この場合、バスケーブルをメインバスと指すことがある。
また、一部の実施例において、配電盤130は複数のバスケーブルを含んでもよい。例えば、配電盤130は、発電機111に電気的に連結されたメインバス131、発電機112に電気的に連結されたメインバス132のように、複数のバスケーブルを含んでよい。この場合、配電盤130は、複数のメインバス131、132を普段は電気的に連結するが、非常及び/または事故の際に電気的連結が遮断されるバスタイブレーカ(bus tie breaker)133を更に含んでよい。
電力系統100は低圧配電が可能であり、配電盤130には交流電圧が適用されて電力を負荷に供給する。
電力系統100の構成要素は相互作用するように電気的に連結されてよい。例えば、LPG運搬船用電力供給システム1は、発電部110から配電盤130を介して必須負荷部150までを電気的に連結する電力供給線を使用して必須負荷に電力を供給することができる。
電力系統100の必須負荷部150は、船舶運行のために必須として動作が要求される必須負荷(Essential load)を含む。前記必須負荷(Essential load)は、船舶の規定で定義する必須負荷(Essential load)及び船舶の運航のために必須として動作が要求されるが、船舶の規定上、必須負荷(Essential load)には含まれない二次必須負荷(secondary Essential load)(例えば、重要負荷(important load))を含む。
LPG運搬船の運用のために使用される必須負荷は、例えば、潤滑油ポンプ、エンジン燃料供給ポンプ、冷却ポンプ、ウォータースプレーポンプ(water spray pump)などを含んでよいが、これらに制限されない。必須負荷部150に含まれた必須負荷の大半は負荷率がほとんど変わらない連続負荷に該当する。
一部の実施例において、必須負荷部150は、可変周波数制御(VFD、Variable Frequency Drive)基盤の負荷を更に含んでもよい。可変周波数制御基盤の負荷は、冷却システム(Central Cooling System)のように、運航特性に合わせて負荷端の電力消耗を最適化する必須負荷である。例えば、VFD負荷は、冷却水の温度を制御できるように構成された冷却ポンプなどのような温度、圧力などを制御するように構成された必須負荷を含む。
また、必須負荷部150は、図22に示されたように、配電盤130の電圧と同一か、それより低い電圧で電力を供給する1つ以上のサブ配電盤を含んでよい。この場合、必須負荷部150は、配電盤130とサブ配電盤との間に配置されて電圧を減圧する変圧器を更に含んでよい。
必須負荷電力系統100の容量は、図21の単一電力系統の容量よりも小さいため、必須負荷部150の変圧器は図21の変圧器よりも容量が小さい小型変圧器である。このため、変圧器の設置費用及びスペース活用度において利点がある。
また、電力系統100は、ブラックアウトのような非常時に電力を供給する非常発電機、及び、このときに動作する負荷を含む非常配電盤を更に含んでよい。前記非常配電盤は、陸電(shore power)、非常用負荷などを含んでよい。
電力系統200の構成要素及び動作は、電力系統100の構成要素及び動作と相当部分類似しているので、相違点を主に説明する。
これに対し、電力系統200のサービス負荷部250は、LPG運搬船の運航以外のときに付加的に使用されるサービス負荷を含む。また、可変負荷部250は、配電盤230よりも低い電圧で電力を供給する1つ以上のサブ配電盤(図示せず)を更に含んでもよい。
サービス負荷は、LPGを保管するのに使用されるLPG保管用負荷、LPG運搬船の搭乗者の便宜のために使用される使用者便宜用負荷などを含む。
LPGは可燃性物質であって、LPG運搬船は、LPGを効率的且つ安定的に船積みまたは荷役するために貨物タンクまたはパイプラインの温度、圧力を制御しなければならない。また、LPGを海上で安全に輸送するために一般航海時でも貨物タンクの温度、圧力を持続的に制御しなければならない。
したがって、LPG運搬船にLPGを船積み、荷役、貯蔵するために動作する負荷、そして、運航途中に貯蔵されているLPGの管理(例えば、LPGの冷却、圧縮など)のために動作する負荷を含むLPG保管用負荷は可変負荷に該当する。これにより、サービス負荷の大半は負荷率が変動する可変負荷に該当する。
前記LPG保管用負荷は、例えば、カーゴコンプレッサー(Cargo Compressor)、カーゴポンプ(Cargo Pump)、カーゴスプレーポンプ(Cargo Spray Pump)、ストリッピングポンプ(stripping pump)、ディープウェル(Depp Well)ポンプ、ブースターポンプ(Booster Pump)などを含むが、これらに制限されない。
このように、LPG運搬船用電力供給システム1の分離された各電力系統100、200は、独立した系統構成を有することで、電力系統100、200は設計目的に応じて多様且つ異なるように構成されてよい。
一実施例において、各電力系統100、200は、主に含まれた負荷類型に最適化した発電機を構成及び運営するように構成される。
例えば、必須負荷電力系統100(例えば、発電部110)は固定RPM発電機を含み、サービス負荷電力系統200は可変RPM発電機を含んでよい。
図23は、本発明の一実施例に係る、サービス負荷電力系統が可変RPM発電機を有するように構成されたLPG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図23の電力供給システム1は、図22の電力供給システム1と類似しているので、相違点を主に説明する。
図23を参照すると、必須負荷電力系統100の発電機111、112は固定RPM発電機、サービス負荷電力系統200の発電機211は可変RPM発電機である。連続負荷の場合、定出力特性によって負荷変動がないので、負荷率の変化がほとんどないのに対し、可変負荷は負荷率が変わることが特徴である。
必須負荷電力系統100の負荷の大半は負荷率が変わらない連続負荷に該当する。図23の発電機111、112は、最適効率区間(すなわち、75~85%の負荷率の範囲)で動作するように構成される。
図21に示された従来の単一系統基盤の電力供給システムでは、LPG運搬船の船舶負荷が単一系統に混在しており、LPG運搬船の運転モード(operation mode)別に略40~70%(例えば、43~71%)の範囲の負荷率(load factor)を有する。
これに対し、図22の電力供給システム1は、LPG運搬船の船舶負荷が電力系統100、200で分離されており、サービス負荷電力系統200の可変負荷による負荷率の変化が必須負荷電力系統100の必須負荷に影響を及ぼさない。
また、図23の電力供給システム1はLPG運搬船の船舶負荷が電力系統100、200で分離されており、必須負荷を含む電力系統全体の負荷容量が、図21において必須負荷を含む電力系統(すなわち、図21の電力供給システム全体)に比べて減少する。これにより、図21の電力供給システムに比べて必須負荷に電力を供給するために使用される発電機(または、エンジン)の容量を縮小させることができる。その結果、必須負荷のための発電機設備の費用が減少し、且つエンジンルーム内スペース活用度が高まる。
これに対し、前述したように、サービス負荷電力系統200の負荷の大半は負荷率が変わる可変負荷である。
したがって、図23の電力供給システム1のサービス負荷電力系統200は、電力系統200の負荷率の変動に合わせて可変速運転が可能な可変RPM発電機を運転するように構成される。
このような可変RPM発電機を含むサービス負荷電力系統200において、負荷区間別に最適の発電効率を有するRPMで可変RPM発電機の回転速度を制御する場合、単一系統内に連続負荷、可変負荷が混在している場合に比べて、可変負荷に電力を供給する発電機の燃料効率を向上させることができる。
図24は、電力系統内の負荷端の負荷率と前記負荷端に電力を供給する発電機の燃料消耗量との関係を示した図である。
前述したように従来の単一電力系統では、固定RPM発電機を利用して可変負荷(例えば、LPG保管用負荷)に電力を供給した。貨物パート全体のサービス負荷は30~60%水準の平均負荷率を有する。
このように重負荷または低負荷に変わるLPG運搬船のサービス負荷の全体に従来のように固定RPM発電機を利用して電力を供給する場合、負荷率が低い重負荷または低負荷区間では低い発電効率を有する。
これに対し、本発明の一実施例のように可変RPM発電機を利用して負荷率が変動するサービス負荷に電力を供給する場合、図21の電力供給システムに比べて、負荷率が低い低負荷区間で発電効率が向上する。
図24を参照すると、図21の電力供給システムは、低負荷区間の例示として45%の負荷率でPFに該当する燃料効率を有する。これに対し、図23の電力供給システム1は、PVに該当する燃料効率を有する。PFとPVとを比較したとき、図23の電力供給システム1が1kwhの電力を発電するうえでより少ない燃料量を消耗することを示す。結局、図23の電力供給システム1は、LPG運搬船のサービス負荷のための同一電力を発電するにあたって、図21の電力供給システムに比べて略8%の燃料消耗率の改善結果を有すると算出される。
前記8%は単なる例示であって、サービス負荷が時間帯別に負荷率が変動する負荷区間を有するように構成される場合、負荷区間に対応する、最適の発電効率を有するRPMで発電機の回転速度を制御することで発電効率をさらに改善することができる。
LPG運搬船の負荷において、低負荷区間L1は負荷率が10~40%の区間であって、略285~210g/kwhの燃料消耗量を有する。重負荷区間L2は負荷率が40~60%の区間であって、略210~194g/kwhの燃料消耗量を有する。高負荷区間L3は負荷率が80~100%の区間であって、略185~190g/kwhの燃料消耗量を有する。図23の電力供給システム1は、高負荷区間L3での燃料消耗が図21の電力供給システムとほぼ同様である。しかし、低負荷区間L1では、図21に比べてkwh当たりの燃料消耗率が略6~10%改善され、重負荷区間L2では図21に比べてkwh当たりの燃料消耗率が略10~35%改善される。
このように、図23のサービス電力系統200の可変RPM発電機は、各負荷区間の負荷率に基づいてRPMを制御することで、発電部210の発電効率を改善することができる。
一方、前記サービス負荷電力系統200が交流配電を行う場合、配電盤230は、特定周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)を有するように構成されてよい。この場合、発電部210は、各負荷区間の負荷率に基づいて交流電力を発電し、前記配電盤230の周波数にマッチングする周波数(例えば、50Hz、または60Hz)を有する交流(AC)電気信号を出力するように構成される。
一実施例において、発電部210は、発電機211及び配電盤230の間に位置した交流(AC)/交流(AC)コンバータ214を含む。前記交流(AC)/交流(AC)コンバータ214は、可変RPM発電機で発電した交流(AC)電気信号の周波数を配電盤230の特定周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)に変換するように構成される。
その結果、各負荷区間の負荷率に基づく可変RPM発電機211のRPM変化があっても、発電部210は配電盤230の特定周波数を有する交流(AC)電気信号を出力することができる。
また、前記LPG運搬船用電力供給システム1は、低圧配電が可能であるため、それぞれの電力系統100、200内の配電方式を低圧直流配電及び/または低圧交流配電が可能になるように構成することができる。
図25は、本発明の一実施例に係る、必須負荷電力系統が固定RPM発電機を有して交流配電を行うように構成され、サービス負荷電力系統が可変RPM発電機を有して部分的に直流配電を行うように構成されたLPG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図25の電力供給システム1は、図23の電力供給システム1と類似しているので、相違点を主に説明する。
図25を参照すると、サービス負荷電力系統200は、更に、部分的に直流配電が可能になるように構成される。前記電力供給システム1において発電機111、112は固定RPM発電機であってよく、発電機211は可変RPM発電機であってよい。
一実施例において、発電部210は、交流(AC)電気信号を受信して直流(DC)電気信号に変換する交流(AC)/直流(DC)コンバータ216を更に含み、前記第2負荷部は、直流(DC)電気信号を受信して交流(AC)電気信号に変換する直流(DC)/交流(AC)インバータ226を更に含んでよい。
このように直流配電が行なわれる場合、周波数及び位相同期化、無効電力による電力損失を防止することができる。
また、図25に示されたように、電力系統200は、発電部210と配電盤230との間に直流(DC)メインバス221を含む直流(DC)配電盤220を更に含んでよい。前記直流(DC)配電盤220を利用すると、運搬船内に配置された複数のサービス負荷に効率的に電力を供給することができる。この場合、電力系統200は、配電盤220と配電盤230のそれぞれのサービス負荷との間を電気的に連結する複数の直流(DC)/交流(AC)インバータ226A~226Bを含んでよい。
交流(AC)/直流(DC)コンバータ216と直流(DC)/交流(AC)インバータ226によって、電力系統200では発電部210と配電盤230との間の部分で直流配電が可能になる。
このように、電力供給システム1は、必須負荷電力系統は固定RPM発電機基盤の交流配電、サービス負荷電力系統は可変RPM発電機基盤の直流または交流配電で構成されてよい。
追加的に、LPG運搬船用電力供給システム1は、更に、電力系統の状態をモニタリングし、電力供給を制御するように構成される。
図26は、本発明の一実施例に係る、非常時サービス負荷に配電可能になるように更に構成されたLPG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図26の電力供給システム1は、図22の電力供給システム1と類似しているので、相違点を中心に説明する。
前述したように、必須負荷電力系統100は、複数の発電機(例えば、図26の111、112)を含み、前記複数の発電機は、航海時に動作する発電機(例えば、図26の111)及び前記発電機に事故が発生したときに動作する待機発電機(例えば、図26の112)を含む。
一実施例において、電力供給システム1は、サービス負荷電力系統200の発電機211に事故が発生したとき、必須負荷電力系統100の待機発電機がサービス負荷部250に電力を供給するように構成される。
図26を参照すると、必須負荷電力系統100は、サービス負荷電力系統200に電力供給を行わせる二重化部120を含む。
必須負荷電力系統100及びサービス負荷電力系統200が交流(AC)基盤の電力系統で構成された場合、前記二重化部120は、配電盤130及び配電盤230を連結するバス連携用スイッチを含む。
図26の電力供給システム1は、(例えば、制御部によって)電力系統200の電気信号または電力供給状態をモニタリングし、前記モニタリング結果に基づいて電力系統200の発電機の事故の発生を検知する。前記電力供給システム1は、発電機の事故発生の検知に応答して二重化部120を制御して、分離されていた必須負荷電力系統100の配電盤130とサービス負荷電力系統200の配電盤230とを電気的に連結し、前記待機発電機を利用して事故が発生した電力系統の負荷部(すなわち、サービス負荷部250)への電力供給が維持されるように構成される。
制御部は、発電部210の電気信号が所定の臨界範囲以内である場合に事故が発生していない正常状態と決定する。これに対し、発電部210の電気信号が所定の臨界範囲を超えた場合に事故が発生していると決定する。前記臨界範囲は、発電機の発電規模、発電系統に応じて種々設定されてよい。
一方、図26を参照して述べた、二重化部120を制御してサービス負荷電力系統200への電力供給を行うように構成された電力供給システム1は、図26の構成に制限されないことが通常の技術者にとって明らかである。例えば、図26の電力供給システム1は、発電機211は固定RPM発電機であり、発電部210は交流(AC)/交流(AC)コンバータ214を含まない実施例としても具現され得る。
図27は、本発明の他の一実施例に係る、非常時サービス負荷に配電可能になるように更に構成されたLPG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
前記図27の電力供給システム1は、図26と類似しているので、図26との相違点を主に説明する。
図27を参照すると、前記二重化部120は、SPDT(Single Pole Double Throw)を含んでよい。前記SPDTは、待機発電機(例えば、112)から配電盤130に進む第1経路、または待機発電機からサービス負荷電力系統200の配電盤230に進む第2経路を連結するように構成される。
図27において発電機211の事故発生時に二重化部120を制御してサービス負荷部250への電力供給を維持する制御動作は図26と類似しているので、詳しい説明は割愛する。
図28は、本発明の一実施例に係る、非常時に可変RPM発電機を有して部分的に直流配電を行うように構成されたサービス負荷に配電可能になるように更に構成されたLPG運搬船用電力供給システムの概略的なシステム構造図である。
図28の電力供給システム1は、図25の電力供給システムと類似しているので、図25との相違点を主に説明する。
図28を参照すると、サービス負荷電力系統200は、部分的に直流電流を配電するように構成される。また、必須負荷電力系統100は、待機発電機(例えば、112)からサービス負荷部250に電力を供給させる二重化部120を含む。
一実施例において、前記二重化部120はSPDTを含む。前記SPDTは、待機発電機(例えば、112)から配電盤130に進む第1経路、または待機発電機からサービス負荷電力系統200の交流(AC)/直流(DC)コンバータ216に進む第2経路を連結するように構成される。
図28の二重化部120は、発電部110の待機発電機が既に設計された交流(AC)/直流(DC)コンバータ216を介してサービス負荷部250に電力を供給するように構成され、前記待機発電機の電力をサービス負荷電力系統200内で直流に変換させる変換器を更に要求しないように構成される。
図28の二重化部120は、発電機211の事故発生時に二重化部120を制御して待機発電機がサービス負荷部250に電力を供給するようにし、また前記待機発電機の電力が交流(AC)/直流(DC)コンバータ216及び直流(DC)/交流(AC)インバータ226を介して伝達されるようにすることで、電力供給システム1は、直流配電でサービス負荷部250に非常時待機発電機の電力を供給するようにする。
図28において発電機211の事故発生時に二重化部120を制御してサービス負荷部250への電力供給を維持する制御動作は図26及び図27と類似しているので、詳しい説明は割愛する。
図26~図28を参照して述べた電力供給システム1は、分離されたサービス負荷電力系統200内で発電機事故が発生するときでも、サービス負荷部250に電力を供給することができる。これにより、LPGを貯蔵する貨物タンクなどのような、LPG保管用負荷に電力供給が維持され、貨物タンクの温度、圧力などに対する制御を維持することができ、結局、LPGを安全に運送することができる。
このように、電力系統を必須負荷及びサービス負荷に分離すると共に、二重化構造に設計することで、サービス負荷電力系統の安定性と信頼性を強化することができる。
本明細書において、図3を中心に示された電力供給システム1の構造は、船舶に含まれた負荷容量のような船舶の環境に応じて異なっていてよい。例えば、電力系統100に含まれた発電機は3つであってよい。また、3つの発電機の発電容量は、同一か、または全て同一でなくもよい。
また、図3の配電盤130に適用された440Vは、単に図1の6.6kVに比べて低い電圧を示す例示的な電圧であって、配電盤130、230は場合に応じて異なる電圧で電力を供給することもできる。例えば、異なる負荷の定格電圧によって450Vが配電盤130に適用されてよく、または、交流(AC)/直流(DC)変換器によって690Vが配電盤230に適用されてもよい。
さらに、電力供給システム1は、時間帯(または、運転モード)に応じて発電機の運転を制御し、負荷部に供給される電力供給量を調節することができる。例えば、電力系統100の必須負荷部150が2つの発電機111、112の発電容量を不要とする場合、船舶用電力供給システム1は少なくとも1つの発電機(例えば、発電機111)を待機発電機として設定して運転を中止し、必要に応じて待機発電機を利用して必須負荷部150への電力供給及びその他の目的に使用することができる。
以上で説明した本発明は図面に示された実施例を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であればこれより種々の変形及び実施例の変形が可能である点が理解できるであろう。なお、このような変形は本発明の技術的保護範囲内にあると思われるべきである。よって、本発明の真正な技術的保護範囲は添付の特許請求の範囲の技術的思想によって決められるべきである。