JP7235276B2 - 運行管理装置及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
熟練した運転乗務員による車両事故は、一瞬の油断(集中力欠如等)が原因になる場合が多いといわれる。そして、そのような集中力欠如を生じさせる兆候、例えば睡眠不足、ストレス、本人も気がついていない病気の前兆は、その運転乗務員と長く接している運行管理者であれば察知できる可能性があると考えられるが、そうでない運転管理者の場合、それは困難である。
このような問題は、運転乗務員の労働管理の観点からも改善が求められていた。
本発明は、上記の問題を解消し、乗務員本人ですら認識できない、集中力欠如を生じさせる兆候を察知することを容易にし、これにより、労働管理を適正なものとすることができる技術を提供することを主たる課題とする。
この実施形態では、運転業務における出庫点呼(乗務前点呼)の際に、点呼対象の運転乗務員が運転者本人であることの確認や、運転乗務員の当日の運転の危険度を診断する乗務員管理システムについて説明する。運転の危険度は、運転乗務者の車両運転状況と、不随意反応とにより診断される。運転の危険度により、運転乗務員の当日の運転適格性の客観的な判断が行われる。
図1は、本発明を適用した乗務員管理システムの全体構成例を示す図であり、主として特徴的な部分を掲示してある。この乗務員管理システム1は、インターネット等のデジタルネットワークNに接続された運行管理装置である管理サーバ10を含んで構成される。
デジタルネットワークNには、例えば運転業務を管理する事業所等に設置される点呼端末20、データサーバ30の他、図示しない携帯電話等の情報端末も適宜接続され、それぞれ管理サーバ10とアクセスできるようになっている。
点呼端末20は、図1ではデジタルネットワークNに2台接続される構成であるが、この数は、何台であってもよい。点呼端末20は、撮像装置21、集音器22、カードリーダ・ライタ(R/W)23、表示装置24、アルコール検出器25、及び運転免許証リーダ26が接続される。撮像装置21は、点呼対象の運転乗務員の顔画像を撮像するカメラである。集音器22は、点呼対象の運転乗務員の音声を取得するマイクである。表示装置24は、点呼の際の案内画面や点呼による結果(運転危険度)を表示するディスプレイである。
データサーバ30は、Webサーバであり、点呼端末20から取得する撮像データ、発話音データ、及び運行データを、運転乗務員毎に蓄積するデータベースとして機能する。図2は、データサーバ30に蓄積されるデータの構成説明図である。データサーバ30は、運転乗務員IDに紐付けて撮像データ、発話音データ、及び運行データを蓄積する。これらのデータは、点呼時に、点呼端末20からデータサーバ30へ送信される。データサーバ30は、撮像データ、発話音データ、及び運行データを取得した日時(ここでは日付)毎に格納する。
管理サーバ10は、例えばパーソナルコンピュータにより構成され、本発明の運行管理用コンピュータプログラムを実行することで、通信部11、解析部12、検出部13、診断部14、及び出力部15として機能する。管理サーバ10には表示装置16が接続される。管理サーバ10は、点呼端末20から取得する点呼時(検出日)の撮像データ及び発話音データと、データサーバ30に格納された点呼時を起算とする所定期間の撮像データ、発話音データ及び運行データと、に基づいて運転乗務員の運転の危険度を診断する。管理サーバ10は、診断した危険度に応じた指示情報を表示装置16或いは点呼端末20へ出力する。なお、本実施形態では、危険度の診断に撮像データ及び発話音データを用いる場合について説明するが、これらのデータの少なくとも一方と運行データとにより危険度の診断が行われてもよい。
解析部12は、通信部11によりデータサーバ30から取得した運転乗務員の運行データに基づいて、該運転乗務員の運転操作の傾向解析を行う。そのために解析部12は、運転乗務員の運転開始日直前の運行データをデータサーバ30から取得する。解析部12は、運行データに含まれるブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作、又はこれらの複合操作の傾向解析を行う。解析部12は、複数の運転乗務員の運行データをデータサーバ30から取得し、複数の運行乗務員の運行データを解析する。解析部12は、運転乗務員の運転開始日直前の運行データの解析結果を、複数の運転乗務員の運行データの解析結果の統計値に基づいて定量化する。
検出部13は、運転開始前に、当日の運転乗務員の顔画像の撮像データと当日の運転乗務員の発話音データとの少なくとも一方を、通信部11を介して点呼端末20から取得し、取得したデータを用いて運転乗務員の不随意反応を検出する。検出部13は、データサーバ30から該運転乗務員の以前の顔画像と発話音データとの少なくとも一方を取得し、当日の顔画像或いは発話音の特徴と、以前の顔画像或いは発話音の特徴とを比較することで、運転乗務員の当日の不随意反応を検出する。
顔画像の撮像データを用いて不随意反応を検出する場合、検出部13は、撮像データと所定の参照データとの照合処理により運転乗務員の表情を抽出する。参照データは、顔画像から表情を抽出する際の判断基準となる画像である。検出部13は、顔画像と参照データとを比較し、その差異に応じて運転乗務員の表情を抽出する。検出部13は、点呼時点で取得した顔画像から抽出した表情と、それ以前の顔画像から抽出した当該運転乗務員の表情とを比較することで、不随意反応を検出する。検出部13は、照合処理により、怒り、軽蔑、嫌悪、恐怖、喜び、悲しみ、驚きのうち、それ以前に抽出して記憶されたものと異なる一以上の特徴を不随意反応として検出する。
図7は、顔画像分析の説明図である。図7(a)の例では、7分類の感情要素の評点(スコア)は、「喜び」が「100.00」、「驚き」が「05.00」であり、他が「00.00」である。検出部13は、点呼時の顔画像から取得した7分類の各感情要素と、各感情要素の平均スコアとを比較することで 不随意反応を表す値を検出する。
発話音データを用いて不随意反応を検出する場合、検出部13は、発話音データの音声
処理により該運転乗務員に固有の発話音の特徴を抽出する。検出部13は、抽出した発話音の特徴をそれ以前に抽出した当該運転乗務員の発話音の特徴と比較することで、運転乗務員の不随意の反応を検出する。例えば検出部13は、点呼時点で取得した発話音データから抽出した発話音の特徴と、それ以前に抽出した運転乗務員の発話音の特徴との比較結果に応じて、体調に応じて数値が変化する元気圧を算定する。検出部13は、それ以前に算定して記憶された該運転乗務員の元気圧との差分値を不随意反応として検出する。
診断部14は、解析部12による定量化された解析結果及び検出部13による不随意反応の検出結果を所定条件と照合することにより、運転乗務員の検出日の運転危険度を診断する。診断部14は、診断結果である危険度を出力部15へ出力する。出力部15は、危険度に応じた指示情報を表示装置16により出力する。なお、出力部15は、指示情報を表示装置16に表示させる他に、通信部11により点呼端末20へ送信して、点呼端末20の表示装置24に表示させてもよい。
図10は、管理サーバ10による出庫点呼処理の説明図である。管理サーバ10は、出庫点呼時に点呼端末20から点呼処理の依頼を受け付けることで、出庫点呼処理を開始する。管理サーバ10は、出庫点呼処理を開始すると、まず、点呼端末20から運行データと、顔画像の画像データ及び発話音データの少なくとも一方と、アルコールの検出結果と、運転免許証による運転乗務員の本人確認結果と、を通信部11により取得する(S101)。管理サーバ10は、取得したアルコールの検出結果及び運転免許証による運転乗務員の本人確認結果により、アルコールの検出結果が規定値以上であるか否か及び運転免許証が運転者本人であるか否かを確認して、出庫点呼処理を継続するか否かを判定する(S102)。
このように本実施形態の乗務員管理システム1を用いることで、運行管理者は、主観のみの判断ではなく、過去に取得してデータサーバ30に格納しているビッグデータから得られる平素のデータとの比較分析結果を考慮した、総合的な定量化されたデータにより、運転乗務員の安全運転に資する高度な出庫点呼を行うことができる。具体的には、運行管理者は、運転乗務員の運転危険度やその時点の運転乗務員の状態を、点呼に際して取得したデータと過去に取得したデータとの比較分析結果を含む点呼記録表を参照して判断することができる。これにより運行管理者は、乗務員管理システム1により運転乗務員本人ですら認識できない集中力欠如を表示させる兆候の察知を容易に行い、労働管理を適正なものとすることができる。
乗務員管理システム1は、検出された差分値に対して所定の基準に基づくスコアを付与するとともに、検出日を起算とする所定期間毎にスコアを集計し、集計結果に基づいて検出日における不随意反応を複数レベルの危険度のうちいずれのレベルに属するかを決定する。このような乗務員管理システム1は、運転者の過去の元気圧との比較により検出される不随意反応に基づく危険度の決定が可能となる。そのために運行管理者は、乗務員管理システム1により運転乗務員本人ですら認識できない集中力欠如を表示させる兆候の察知を容易に行い、労働管理を適正なものとすることができる。
Claims (10)
- 運行開始前所定期間の運転者による車両運転状況を表す運行データに基づいて前記運転者の運転操作傾向を解析する解析手段と、
運転開始前の前記運転者の顔を撮像した撮像データと前記運転者の発話内容を表す発話音データとの少なくとも一方を取得し、取得したデータを用いて前記運転者の検出日における不随意反応を運転開始前に検出する検出手段と、
前記解析手段による解析結果及び前記検出手段の検出結果を所定条件と照合することにより前記運転者による前記検出手段による検出日の運転の危険度を運転開始前に診断する診断手段と、
前記診断手段が診断した危険度に応じた指示情報を運転開始前に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする、運行管理装置。 - 前記解析手段は、運転開始日直前のブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作又はこれらの複合操作の傾向解析の結果を複数の運転者の解析結果の統計値に基づいて定量化し、
前記診断手段は、前記傾向解析の結果に対して所定の基準に基づくスコアを付与するとともに、前記検出日を起算とする所定期間毎に前記スコアを集計し、集計結果に基づいて前記検出日における運転操作傾向を複数レベルの危険度のうちいずれのレベルに属するかを決定する、請求項1に記載の運行管理装置。 - 前記解析手段は、運転開始日直前のブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作又はこれらの複合操作の傾向解析の結果を、複数の運転者のブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作又はこれらの複合操作の解析結果の散布図に基づいて定量化する、
請求項2に記載の運行管理装置。 - 前記検出手段は、前記撮像データと所定の参照データとの照合処理により前記運転者の表情を抽出し、抽出した表情をそれ以前に抽出して記憶された前記運転者の表情と比較することにより、前記不随意反応を検出する、請求項1に記載の運行管理装置。
- 前記検出手段は、前記照合処理により、怒り、軽蔑、嫌悪、恐怖、喜び、悲しみ、驚きのうち、それ以前に抽出して記憶されたものと異なる一つ以上の特徴を前記不随意反応として検出し、
前記診断手段は、検出された特徴に対して所定の基準に基づくスコアを付与するとともに、前記検出日を起算とする所定期間毎に前記スコアを集計し、集計結果に基づいて前記検出日における不随意反応を複数レベルの危険度のうちいずれのレベルに属するかを診断結果として出力する、請求項4に記載の運行管理装置。 - 前記検出手段は、前記発話音データの音声処理により前記運転者の発話音の特徴を抽出し、抽出した発話音の特徴をそれ以前に抽出した前記運転者の発話音の特徴と比較することにより、前記不随意反応を検出する、請求項1に記載の運行管理装置。
- 前記検出手段は、前記発話音の特徴から体調に応じて数値が変化する元気圧を算定するとともに、それ以前に算定された前記運転者の元気圧との差分値を前記不随意反応として検出し、
前記診断手段は、検出された差分値に対して所定の基準に基づくスコアを付与するとともに、前記検出日を起算とする所定期間毎に前記スコアを集計し、集計結果に基づいて前記検出日における不随意反応を複数レベルの危険度のうちいずれのレベルに属するかを診断結果として出力する、
請求項6に記載の運行管理装置。 - 前記診断手段は、前記診断結果を赤、黄又は緑の色画像と対応付けて、所定の表示装置に表示させる、
請求項5又は7に記載の運行管理装置。 - 前記診断手段は、赤、黄又は緑の色画像毎に、当該診断結果に対応するメッセージ情報
を出力する、
請求項8に記載の運行管理装置。 - コンピュータを、
運行開始前所定期間の運転者による車両運転状況を表す運行データに基づいて前記運転者の運転操作傾向を解析する解析手段、
運転開始前の前記運転者の顔を撮像した撮像データと前記運転者の発話内容を表す発話音データとの少なくとも一方を取得し、取得したデータを用いて前記運転者の検出日における不随意反応を運転開始前に検出する検出手段、
前記解析手段による解析結果及び前記検出手段の検出結果を所定条件と照合することにより前記運転者による前記検出手段による検出日の運転の危険度を運転開始前に診断する診断手段、
前記診断手段が診断した危険度に応じた指示情報を運転開始前に出力する出力手段、として機能させる運行管理用コンピュータプログラム。
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