JP7233327B2 - 点火プラグ - Google Patents

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Description

本発明は、点火プラグに関する。
従来、内燃機関の点火プラグとして、副室を有するものが使用されている。例えば、特許文献1に開示の構成では、点火プラグの構造内に副室を有し、当該副室内に中心電極の先端が位置している。そして、副室内には内部電極が設けられており、内部電極の一端が副室の奥側の位置で中心電極の先端と対向して第1の放電ギャップを形成している。そして、第1の放電ギャップでの放電により副室内の燃料ガスに着火して生じた火炎を副室に設けられた一つの噴孔から主燃焼室に噴出させて、主燃焼室内の燃料ガスに着火するように構成されている。さらに、内部電極の他端は副室に設けられた噴孔とは別の位置から副室の底部を貫通して主燃焼室に突出して外部電極を形成している。そして、外部電極はハウジングから主燃焼室側に突出形成された接地電極に対向して第2の放電ギャップを形成している。当該第2の放電ギャップでの放電により、主燃焼室内の燃料ガスに直接着火するように構成されている。
特許文献1に開示の構成では、内燃機関の運転状態が部分負荷や高負荷領域にあるときには、副室内に十分な量の燃料ガスが存在するため、副室の奥側に位置する第1の放電ギャップの放電によって生じる火炎において副室の内壁などへの熱損失の割合が小さい。そのため、当該火炎は副室内で十分に成長して噴孔から主燃焼室内に噴出して、主燃焼室内の燃料ガスへの着火性を高めている。また、内燃機関の運転状態が低負荷領域にあるときや触媒暖気条件で運転するときは、副室内の燃料ガスが相対的に少ないため、副室の奥側に位置する第1の放電ギャップで生じた火炎は副室の内壁などへの熱損失の割合が大きくなり、その火炎成長が阻害されて十分な火炎噴出が得られない。しかし、第2の放電ギャップが主燃焼室側に突出した位置にあるため、第2の放電ギャップの放電によって主燃焼室内の燃料ガスに直接着火して、主燃焼室内の燃料ガスへの着火性を高めている。
欧州特許第6694542号明細書
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、内燃機関の運転状態が部分負荷や高負荷領域にあるときには、第1の放電ギャップの放電によって生じる火炎が噴孔に到達して主燃焼室内に噴出するだけであるため、火炎噴出を促進して着火性を向上するには改善の余地がある。一方、内燃機関の運転状態が低負荷領域にあるときや触媒暖気条件で運転するときは、主燃焼室側に突出した位置にある第2の放電ギャップでの放電によって主燃焼室内の燃料ガスに直接着火しているが、当該放電は第2の放電ギャップの位置に形成されて主燃焼室内の極めて狭い領域にしか到達しないため、主燃焼室内の燃料ガスへの着火性を向上するには改善の余地がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、着火性の向上が図られる点火プラグを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、筒状の絶縁碍子(20)と、
上記絶縁碍子の内側において上記絶縁碍子と同軸上に配置されるとともに、上記絶縁碍子よりもプラグ軸方向先端側に突出した中心電極先端部(11)を有する中心電極(10)と、
上記絶縁碍子のプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成するとともに、該副室と主燃焼室(3)とを連通する貫通孔(32)を有するハウジング(30)と、
上記ハウジングの内側に設けられた浮遊電極(50)と、
上記ハウジングの内側に設けられるとともに、上記浮遊電極と上記ハウジングとを絶縁させる絶縁層(40)と、
を有し、
上記浮遊電極は、上記中心電極との間で放電を生じさせる第1放電ギャップ(G1)を形成するとともに、上記ハウジングにおいて上記貫通孔を形成する貫通孔形成部(31)との間で放電を生じさせる第2放電ギャップ(G2)を形成するように構成されている、点火プラグ(1)にある。
上記点火プラグにおいては、副室内の第1放電ギャップとハウジングの貫通孔に形成された第2放電ギャップとの両方で放電を生じさせる。内燃機関の運転状態が部分負荷や高負荷領域にあるときには副室内に十分な量の燃料ガスが存在するため、第1放電ギャップの放電によって生じた火炎において副室の内壁などへの熱損失の割合が小さくなっている。そのため、当該火炎は副室内で十分に成長することができ、貫通孔から十分な量の火炎が主燃焼室内に噴出することとなる。さらに、第2放電ギャップの放電はハウジングの貫通孔又はその周囲に発生することとなる。そのため、主燃焼室内のピストン上昇に伴って貫通孔を介して燃料ガスが主燃焼室から副室内に流れ込んで発生する主燃焼室から副室内に向かう流入気流によって、第2放電ギャップの放電が副室内側に引き延ばされることとなる。その結果、当該放電によって副室内の燃料ガスにエネルギが与えられ、副室内の燃焼が促進される。これとともに、副室内で第1放電ギャップの放電による火炎成長にともなって副室内に発生する主燃焼室側に向かう下降気流と、貫通孔から副室内に流れ込む流入気流とが副室内でぶつかり合うこととなり、副室内の気流の乱れが促進されて副室内の燃焼が一層促進される。これらにより、火炎の噴出が促進されて主燃焼室側の燃料ガスの着火性を向上することができる。
一方、内燃機関の運転状態が低負荷領域にあるときや触媒暖気条件で運転するときは、副室内の燃料ガスが相対的に少ないため、副室内の火炎成長が阻害されて十分な火炎噴出が得られない。しかしながら、主燃焼室内のピストン下降に伴って貫通孔を介して副室内から主燃焼室側に向かう流出気流が生じて、当該流出気流によって第2放電ギャップの放電が主燃焼室側に引き延ばされる。これにより、放電が主燃焼室内に広がって主燃焼室側の燃料ガスの着火性を向上することができる。さらに、火炎が主燃焼室内に広がることにより、副室の内壁などへの熱損失が抑制されるため、燃料ガスへの着火性を一層向上することができる。
以上のごとく、上記形態によれば、着火性の向上が図られる点火プラグを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、点火プラグの正面図。 図1における、II-II線位置断面拡大図。 図2における、中心電極先端部付近の一部拡大図。 図2における、浮遊電極先端部付近の一部拡大図。 実施形態1における、点火プラグの底面図 実施形態1における、(a)放電発生を示す概念図、(b)火炎成長を示す概念図。 実施形態1における、(a)火炎成長を示す概念図、(b)火炎噴出を示す概念図。 実施形態1における、(a)放電発生を示す概念図、(b)火炎成長を示す概念図。 実施形態1における、(a)火炎成長を示す概念図、(b)火炎噴出を示す概念図。 シミュレーション試験における、(a)試験例の結果を示す図、(b)比較例の結果を示す図。 シミュレーション試験における、試験例と比較例の結果を示す図。 比較試験における、比較例としての従来の点火プラグの正面図。 比較試験における、試験例及び比較例の結果を示す図。 変形形態1における、断面一部拡大図。 変形形態2における、断面一部拡大図。 変形形態3における、断面一部拡大図。 変形形態4における、断面一部拡大図。 変形形態5における、断面一部拡大図。 変形形態6における、断面一部拡大図。 変形形態7における、断面一部拡大図。 変形形態8における、断面一部拡大図。 変形形態9における、断面一部拡大図。 変形形態10における、断面一部拡大図。 図23における、XXIV-XXIV線位置断面拡大図。 変形形態11における、断面一部拡大図。
(実施形態1)
点火プラグ装置の実施形態について、図1~図13を用いて説明する。
図1に示す本実施形態の点火プラグ1は、図2に示すように、中心電極10、絶縁碍子20、ハウジング30、絶縁層40及び浮遊電極50を有する。
絶縁碍子20は、筒状をなしている。
中心電極10は、絶縁碍子20の内側において絶縁碍子20と同軸上に配置されるとともに、絶縁碍子20よりもプラグ軸方向先端側Y1に突出した中心電極先端部11を有する。
ハウジング30は、絶縁碍子20のプラグ軸方向先端側Y1に副室2を形成するとともに、該副室2と主燃焼室3とを連通する貫通孔32を有する。
浮遊電極50は、ハウジング30の内側に設けられている。
絶縁層40は、ハウジング30の内側に設けられているとともに、ハウジング30と浮遊電極50とを絶縁させる。
そして、浮遊電極50は、中心電極10との間で放電を生じさせる第1放電ギャップG1を形成するとともに、ハウジング30において貫通孔32を形成する貫通孔形成部31との間で放電を生じさせる第2放電ギャップG2を形成するように構成されている。
以下、本実施形態の点火プラグ1について、詳述する。
図1に示すように、本実施形態の点火プラグ1において、ハウジング30はプラグ軸方向Yを長手方向とする筒状をなしている。ハウジング30内にはハウジング30と同軸上に絶縁碍子20が配置されており、絶縁碍子20は筒状をなしている。
絶縁碍子20の内側には絶縁碍子20と同軸上に中心電極10が配置されている。中心電極10はプラグ軸方向先端側Y1の端部に設けられてハウジング30内に露出した中心電極先端部11を有る。中心電極先端部11は、プラグ軸方向先端側Y1に延びるとともに径方向Xに折り曲げられている。
図2に示すように、ハウジング30の内側には絶縁層40が設けられている。本実施形態では、絶縁層40は、絶縁碍子20とは別体で形成されている。また、絶縁層40は筒状をなしているとともに、絶縁層40の外周面がハウジング30の内周面に沿った形状となっている。絶縁層40におけるプラグ軸方向基端側Y2の端部には貫通形成された基端貫通孔41が設けられており、プラグ軸方向先端側Y1の端部には先端貫通孔42が形成されている。基端貫通孔41及び先端貫通孔42はいずれもプラグ軸線20a上に位置している。そして、基端貫通孔41を介して中心電極先端部11が絶縁層40の内側に入り込んでいる。
図2に示すように、ハウジング30の内側には浮遊電極50が設けられている。本実施形態では、浮遊電極50は線状の金属製部材であって、絶縁層40の内壁に沿ってプラグ軸方向Yに延びている。浮遊電極50におけるプラグ軸方向先端側Y1の端部である浮遊電極先端部51は絶縁層40の先端貫通孔42から突出して、後述する副室2の底壁部35における第1貫通孔321まで到達している。一方、図3に示すように、浮遊電極50のプラグ軸方向基端側Y2の端部である浮遊電極基端部52は絶縁層40の内側に位置している。浮遊電極基端部52と中心電極10の中心電極先端部11とは互いに離間した状態で対向している。そして、浮遊電極基端部52と中心電極先端部11との間の空間部が放電S1を生じさせる第1放電ギャップG1となっている。図2に示すように、第1放電ギャップG1は副室2内のプラグ軸方向基端側Y2側、すなわち、副室2の奥側の位置にある。
図2に示すように、ハウジング30の内側の空間部が副室2を形成している。図4に示すように、ハウジング30はプラグ軸方向先端側Y1に、副室2の底部を形成する底壁部35と、副室2の側部を形成する側壁部36と、底壁部35と側壁部36とをつなぐ連結部37とを有する。底壁部35、側壁部36及び連結部37によってハウジング30のプラグ軸方向先端側Y1はカップ状をなしている。ハウジング30は金属製であって導電性を有する。なお、底壁部35、側壁部36及び連結部37からなるカップ状部分がハウジング30から分割されて別体となっていてもよい。また、当該カップ状部分を主燃焼室を形成するシリンダヘッドと一体で形成してもよい。
図1、図2に示すように、ハウジング30のプラグ軸方向先端側Y1には、貫通孔32が設けられている。そして、底壁部35において貫通孔32の壁面及び開口部を形成する部位を貫通孔形成部31とする。本実施形態では貫通孔32として、第1貫通孔321と第2貫通孔322とを含む。また、本実施形態では第1貫通孔321の壁面及び開口部を形成する部位を第1貫通孔形成部311とし、第2貫通孔322の壁面及び開口部を形成する部位を第2貫通孔形成部312とする。図4に示すように、本実施形態では第1貫通孔321は底壁部35におけるプラグ軸線20a上に設けられており、プラグ軸方向Yに平行に形成された貫通孔となっている。
図4に示すように、第1貫通孔321の内側には浮遊電極先端部51が位置している。本実施形態では、浮遊電極先端部51の先端面51aと底壁部35の主燃焼室3側の面とは同一平面上にある。そして、浮遊電極先端部51と第1貫通孔321を形成する第1貫通孔形成部311との間の空間部が、放電S2を生じさせる第2放電ギャップG2となる。
図4に示すように、第2貫通孔322は連結部37に設けられている。第2貫通孔322は、プラグ軸方向Yに対して傾斜した仮想軸線322aに沿って形成されている。仮想軸線322aはプラグ軸方向先端側Y1に向かうにつれて互いに離れるように、プラグ軸線20aに対して所定角度で傾斜している。図5に示すように、本実施形態では第2貫通孔322は4個設けられている。4個の第2貫通孔322はプラグ軸方向Yから見たときにプラグ軸線20aを中心として周方向に等間隔に位置している。図4に示すように、本実施形態では、各仮想軸線322aのプラグ軸線20aに対する傾斜角度は同一となっている。
図3に示すように、絶縁層40の基端貫通孔41の壁面には径方向内側に突出した突出部41aが形成されている。これにより、絶縁層40の表面を介した浮遊電極基端部52とハウジング30の内面との最短沿面距離L2は、突出部41aがない場合に比べて長くなっている。そして、第1放電ギャップG1における浮遊電極基端部52と中心電極先端部11との最短距離L1は最短沿面距離L2よりも短くなっている。これにより、絶縁層40の表面を介した沿面放電が生じることが防止されている。
また、図4に示すように、絶縁層40の先端貫通孔42の壁面には径方向内側に突出した突出部42aが形成されている。これにより、絶縁層40の表面を介した浮遊電極50とハウジング30内面との最短沿面距離L4は、突出部42aがない場合に比べて長くなっている。そして、図4に示すように、第2放電ギャップG2において浮遊電極先端部51と第1貫通孔形成部311との最短距離L3は最短沿面距離L4よりも短くなっている。これにより、絶縁層40の表面を介した沿面放電が生じることが防止されている。
次に、本実施形態の点火プラグ1の使用態様について説明する。
まず、内燃機関の負荷が部分負荷から高負荷領域にあるときは、副室2内に十分な量の燃料ガスが存在する。そのため、図6(a)に示すように、副室2の奥の位置にある第1放電ギャップG1に生じた放電により、図6(b)に示すように副室2の奥側で初期火炎F0は、図6(b)に示すように副室2内のプラグ軸方向先端側Y1に向けて成長する。初期火炎F0に対して副室2を形成するハウジング30などによる熱損失が生じるが、上述の通り副室2内には十分な量の燃料ガスが存在するため、燃料ガスが燃焼しやすく、発生熱量が多い。これにより、発生熱量に対する熱損失の割合は比較的小さいため、副室2内において十分な火炎成長がなされる。
そして、本実施形態において部分負荷から高負荷領域では、内燃機関における点火時期はBTDC(Before Top Dead Center)に設定されており、図7(a)に示すように、ピストン上昇に伴って生じる主燃焼室から副室2内に流れ込む流入気流P1により、第2放電ギャップG2に生じた放電S2が副室2内に引き延ばされる。これにより、放電S2により副室2内の燃料ガスに与えるエネルギ量が高まり、副室2内での燃焼が促進される。さらに、副室2の奥側に生じた初期火炎F0の成長に伴って副室2内にプラグ軸方向先端側Y1に向かう下降気流P2が発生する。そして、流入気流P1と下降気流P2とが副室2内で互いに衝突することにより、副室2内において気流の乱れが増加する。その結果、副室2内での燃料ガスの燃焼、すなわち火炎の成長が促進され、図6(b)に示すように、第2貫通孔322から火炎F1が主燃焼室内に勢いよく噴出されることとなる。これに伴って第1貫通孔321からは火炎F2が噴出されるとともに放電S2が主燃焼室3側に引き延ばされることとなる。
一方、内燃機関の負荷が低負荷領域にあるとき又は内燃機関の始動時などの触媒暖気条件下では、副室2内に存在する燃料ガスが少ないため、高負荷領域にある場合に比べて、燃料ガスの燃焼が少なくなり、発生熱量も少ない。これにより、発生熱量に対する熱損失の割合が比較的大きくなるため、図8(a)に示すように第1放電ギャップG1に放電S1が発生しても、図8(b)に示すように高負荷領域の場合に比べて火炎の十分な成長が見込めない。しかしながら、本実施形態において冷間始動時などの低負荷領域では、点火時期がATDC(After Top Dead Center)に設定されており、図9(a)に示すように、ピストン下降に伴って生じる副室2内から主燃焼室3に向かう流出気流P3が発生する。そして、副室2の先端の位置にある第2放電ギャップG2に生じた放電S2は流出気流P3によって主燃焼室3側に引き延ばされる。これにより、主燃焼室側への火炎の拡大を図ることができる。特に冷間始動時には、ハウジング30や絶縁碍子20の表面温度が低いが、火炎が主燃焼室3側へ積極的に拡大されるため、当該火炎とハウジング30や絶縁碍子20との接触面積を低減して火炎におけるエネルギ損失を抑制して主燃焼室3における燃料ガスの燃焼を促進することができる。
次に本実施形態の点火プラグ1について、火炎噴出のシミュレーション試験を行った。本シミュレーション試験では、CFD(Computational Fluid Dynamics)に基づいて、試験例として、本実施形態の点火プラグ1において、第1放電ギャップG1と第2放電ギャップG2の両方に放電を発生させた場合の温度変化と筒内圧力変化を解析した。また、比較例として、本実施形態の点火プラグ1における絶縁層40及び浮遊電極50を有さず、中心電極10の先端が第1貫通孔321に到達して第2放電ギャップG2を形成している構成とし、当該第2放電ギャップG2に放電を発生させた場合の温度変化を解析した。本シミュレーション試験の試験条件は、試験例では各放電ギャップG1、G2において25mJのエネルギが消費されるものとし、比較例では放電ギャップG2において50mJのエネルギが消費されるものとした。なお、その他の条件は点火時圧力0.6MPa、燃料種プロパン、ストイキ条件とした。
図10(a)、図10(b)に示した本シミュレーション試験における温度変化の結果から、試験例では比較例に比べて経時的に火炎の噴出量が増大することが示された。また、図11に示した筒内圧力変化の解析結果から、試験例では比較例に比べて早期に筒内圧力が上昇することが示された。
次に本実施形態の点火プラグ1において、燃焼変動率の比較試験を行った。
本比較試験では、試験例として本実施形態1の点火プラグ1を用いた。また、比較例として図12に示す従来の点火プラグ9を用いた。従来の点火プラグ9は、中心電極91、絶縁碍子92、ハウジング93及び接地電極94を備え、中心電極91の先端と接地電極94の端部との間に放電ギャップG9が形成されている。なお、従来の点火プラグ9は副室を有していない。
本比較試験は、ATDC点火時の燃焼変動率を算出して試験例と比較例とを比較した。試験条件は、エンジン回転数1200r/m、ストイキ条件、負荷150kPaとした。
本比較試験によれば、図13に示すように、試験例の点火プラグ1では、比較例の点火プラグ9に比べて燃焼変動率が低下していた。これは、試験例の点火プラグ1では、ATDC点火において、図9(a)、図9(b)に示すように、ピストン下降に伴って副室2から主燃焼室3側に向かう流出気流P3によって第2放電ギャップG2の放電S2が主燃焼室3側に引き延ばされたことにより、着火性が向上したことに起因すると推察される。
次に、本実施形態の点火プラグ1における作用効果について、詳述する。
本実施形態の点火プラグ1では、副室2内の第1放電ギャップG1と第1貫通孔321に形成された第2放電ギャップG2との両方で放電S1、S2を生じさせる。内燃機関の運転状態が部分負荷や高負荷領域にあるときには副室2内に十分な量の燃料ガスが存在するため、第1放電ギャップG1の放電S1によって生じた火炎において副室2の内壁などへの熱損失の割合が小さくなっている。そのため、当該火炎は副室2内で十分に成長することができ、貫通孔32から十分な量の火炎が主燃焼室3内に噴出することとなる。さらに、主燃焼室3内のピストン上昇に伴って貫通孔32を介して燃料ガスが主燃焼室3から副室2内に流れ込んで主燃焼室3から副室2内に向かう流入気流P1が生じる。そして、流入気流P1によってハウジング30の第1貫通孔321に位置する第2放電ギャップG2の放電S2が副室2内側に引き延ばされる。その結果、放電S2によって副室2内の燃料ガスにエネルギが与えられることとなり、副室2内の燃焼が促進される。これとともに、副室2内で第1放電ギャップG1の放電S1による火炎が成長することにより副室2内で主燃焼室3側に向かう下降気流P2が生じる。そして、下降気流P2と貫通孔32から副室2内に流れ込む流入気流P1とが副室2内でぶつかり合うこととなり、副室2内の気流の乱れが促進されて副室2内の燃焼が一層促進される。これらにより、火炎の噴出が促進されて主燃焼室3側の燃料ガスの着火性を向上することができる。
一方、内燃機関の運転状態が低負荷領域にあるときや触媒暖気条件で運転するときは、副室2内の燃料ガスが相対的に少ないため、副室2内の火炎成長が阻害されて十分な火炎噴出が得られない。しかしながら、主燃焼室3内のピストン下降に伴って貫通孔32を介して副室2内から主燃焼室3側に向かう流出気流P3が生じて、流出気流P3によって第2放電ギャップG2の放電S2が主燃焼室3側に引き延ばされる。これにより、主燃焼室3側の燃料ガスへ着火することができる。その結果、放電S2が第2放電ギャップG2に形成されるだけの場合に比べて、放電S2が主燃焼室3内に広がりやすいため、副室2の内壁などへの熱損失を抑制して燃料ガスへの着火性を向上することができる。
また、本例では、ハウジング30は、プラグ軸方向先端側Y1に位置して、副室2の底部を形成する底壁部35と、副室2の側壁を形成する側壁部36と、底壁部35と側壁部36とをつなぐ連結部37とを有する。貫通孔32は、底壁部35におけるプラグ軸線20a上に設けられた第1貫通孔321と、連結部37に設けられた第2貫通孔322とを含む。そして、浮遊電極50は、第1貫通孔321を形成する第1貫通孔形成部311との間に第2放電ギャップG2を形成するように構成されている。これにより、第2放電ギャップG2に発生した放電S2が、ピストンの上昇又は下降によって、プラグ軸方向先端側Y1又はプラグ軸方向基端側Y2に引き延ばされやすくなるため、燃料ガスへの着火性を一層向上することができる。
また、本実施形態では、絶縁碍子20と絶縁層40とは互いに別体となっている。絶縁碍子20をプラグ軸方向先端側Y1に延長して絶縁層40を形成して両者を一体物とした場合には、絶縁層40の内径が小さくなる。そのため、副室2内で形成された火炎に対する絶縁層40による冷損が増加して着火性が低下することとなる。本実施形態では、上述の通り、絶縁碍子20と絶縁層40とは互いに別体であるため、絶縁層40の内径を比較的大きくしやすい。その結果、絶縁層40による冷損を低減することができる。
また、本実施形態では、絶縁層40として絶縁体を筒状に成形してなることとしたが、これに替えて、図14に示す変形形態1のように、絶縁層40はハウジング30の内壁面に形成された膜からなることとしてもよい。当該絶縁層40はハウジング30の内壁面に絶縁体を溶射、めっき、蒸着などすることにより形成することができ、変形形態1ではハウジング30の内壁面の全体に絶縁層40が形成されている。変形形態1によれば、浮遊電極50とハウジング30との間で沿面放電が生じることを一層防止することができる。なお、図15に示す変形形態2のように、浮遊電極基端部52をプラグ軸線20aに向けて延設してプラグ軸方向基端側Y2に屈曲して、直線状に形成した中心電極先端部11と対向させてもよい。
また、本実施形態では、浮遊電極50を線状の金属製部材としたが、これに替えて、図16に示す変形形態3のように、浮遊電極50は絶縁層40の内側に形成された膜部50aを有することとしてもよい。当該変形形態2における膜部50aは、絶縁層40の内壁面に導電性材料を溶射、めっき、蒸着などすることにより形成することができる。当該変形形態3では、膜部50aは絶縁層40の内壁面に筒状に形成されている。さらに、浮遊電極50は、膜部50aのプラグ軸方向先端側Y1の端部から第1貫通孔321に向けて延設された浮遊電極先端部51と、膜部50aのプラグ軸方向基端側Y2の端部から中心電極先端部11に向けて延設された浮遊電極基端部52とを有する。当該変形形態3によれば、本実施形態と同等の効果を奏するとともに、浮遊電極50を保持することが容易となる。
また、図17に示す変形形態4のように、絶縁層40をハウジング30の内壁面に形成された膜により形成し、さらに、浮遊電極50が絶縁層40の内壁面に形成された膜部50aを有する。そして、浮遊電極50のプラグ軸方向先端側Y1には、浮遊電極先端部51を有するリング部材53が挿嵌されている。浮遊電極基端部52は膜部50aのプラグ軸方向基端側Y2の端部により形成される。当該変形形態4によれば、絶縁層40によって意図しない沿面放電を防止できるとともに、浮遊電極50を保持することが容易となる。なお、当該変形形態4でも本実施形態と同等の効果を奏する
また、図18に示す変形形態5のように、浮遊電極50は、絶縁層40のプラグ軸方向先端側Y1の領域に挿嵌された先端側リング部材54と、絶縁層40のプラグ軸方向基端側Y2の領域に挿嵌された基端側リング部材55と、両者の間に設けられて両者に接続されるとともに絶縁層40の内側面に沿って形成された接続部56とからなることとしてもよい。当該変形形態5によれば、本実施形態と同等の効果を奏するとともに、先端側リング部材54と基端側リング部材55との間に浮遊電極50が形成されていない部分が存在するため、軽量化を図ることができる。
また、図19に示す変形形態6のように、筒状の絶縁層40の内側に金属製の管状部材からなる浮遊電極50を挿嵌してもよい。当該変形形態6では、浮遊電極先端部51は浮遊電極50の管状部のプラグ軸方向先端からプラグ軸線20aに向けて延設されるとともにプラグ軸方向先端側Y1に屈曲して第1貫通孔321に向けて延設されて形成される。一方、浮遊電極基端部52は浮遊電極50を形成する管状部のプラグ軸方向基端側Y2の端部により形成される。当該変形形態6によっても本実施形態と同等の作用効果を奏する。なお、図20に示す変形形態7のように、浮遊電極基端部52をプラグ軸線20aに向けて延設してプラグ軸方向基端側Y2に屈曲して、中心電極先端部11と対向させてもよい。
また、図21に示す変形形態8のように、中心電極先端部11及び浮遊電極基端部52を高融点の貴金属により形成してもよい。かかる貴金属としては、例えば、Ir、Pt,Rh、W、Taなどを用いることができる。また、図22に示す変形形態9のように、浮遊電極先端部51及び第1貫通孔形成部311を高融点の貴金属により形成してもよい。第1貫通孔形成部311は、例えば、ハウジング30の底壁部35に形成した貫通孔に高融点貴金属から鍔部311aを有する筒状部材を挿入することにより形成することができる。当該変形形態8及び変形形態9によれば、電極の消耗を抑制することができる。
また、図23に示す変形形態10のように、筒状の絶縁層40の内壁面にプラグ軸方向Yに延びる溝部45が設けられている。そして、図24に示すように、変形形態10の溝部45の幅は棒状の浮遊電極50の幅と同等となっており、当該溝部45に浮遊電極50が挿嵌されることにより、浮遊電極50が保持されている。これにより、浮遊電極50の保持と位置決めが容易となる。
また、図25に示す変形形態11のように、浮遊電極50はプラグ軸方向Yに延びるらせん状に成形されて筒状の絶縁層40の内側に挿嵌されていてもよい。当該変形形態11によれば、浮遊電極50の組付け性が向上することとなる。本変形形態11においても実施形態1と同等の作用効果を奏する。
以上のごとく、本実施形態及び変形形態によれば、着火性の向上が図られる点火プラグを提供することができる。
本発明は上記実施形態及び各変形生体に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 点火プラグ
2 副室
3 主燃焼室
10 中心電極
20 絶縁碍子
30 ハウジング
31 貫通孔形成部
311 第1貫通孔形成部
312 第2貫通孔形成部
32 貫通孔
321 第1貫通孔
322 第2貫通孔
35 底壁部
36 側壁部
37 連結部
40 絶縁層
50 浮遊電極
G1 第1放電ギャップ
G2 第2放電ギャップ

Claims (5)

  1. 筒状の絶縁碍子(20)と、
    上記絶縁碍子の内側において上記絶縁碍子と同軸上に配置されるとともに、上記絶縁碍子よりもプラグ軸方向先端側に突出した中心電極先端部(11)を有する中心電極(10)と、
    上記絶縁碍子のプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成するとともに、該副室と主燃焼室(3)とを連通する貫通孔(32)を有するハウジング(30)と、
    上記ハウジングの内側に設けられた浮遊電極(50)と、
    上記ハウジングの内側に設けられるとともに、上記浮遊電極と上記ハウジングとを絶縁させる絶縁層(40)と、
    を有し、
    上記浮遊電極は、上記中心電極との間で放電を生じさせる第1放電ギャップ(G1)を形成するとともに、上記ハウジングにおいて上記貫通孔を形成する貫通孔形成部(31)との間で放電を生じさせる第2放電ギャップ(G2)を形成するように構成されている、点火プラグ(1)。
  2. 上記ハウジングは、プラグ軸方向先端側に位置して、上記副室の底部を形成する底壁部(35)と、上記副室の側壁を形成する側壁部(36)と、上記底壁部と上記側壁部とをつなぐ連結部(37)とを有し、
    上記貫通孔は、上記底壁部におけるプラグ軸線上に設けられた第1貫通孔(321)と、上記連結部に設けられた第2貫通孔(322)とを含み、
    上記浮遊電極は、上記第1貫通孔を形成する第1貫通孔形成部(311)との間に上記第2放電ギャップを形成するように構成されている、請求項1に記載の点火プラグ。
  3. 上記絶縁碍子と上記絶縁層とは互いに別体である、請求項1又は2に記載の点火プラグ。
  4. 上記絶縁層は、上記ハウジングの内壁面に形成された膜からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の点火プラグ。
  5. 上記浮遊電極は、上記絶縁層の内側に形成された膜部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の点火プラグ。
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