JP7232403B2 - ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグ - Google Patents

ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグ Download PDF

Info

Publication number
JP7232403B2
JP7232403B2 JP2019072941A JP2019072941A JP7232403B2 JP 7232403 B2 JP7232403 B2 JP 7232403B2 JP 2019072941 A JP2019072941 A JP 2019072941A JP 2019072941 A JP2019072941 A JP 2019072941A JP 7232403 B2 JP7232403 B2 JP 7232403B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
boron
elution
slag
containing slag
predetermined temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019072941A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020169957A (ja
Inventor
裕介 加藤
陽太郎 井上
克美 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2019072941A priority Critical patent/JP7232403B2/ja
Publication of JP2020169957A publication Critical patent/JP2020169957A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7232403B2 publication Critical patent/JP7232403B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

本発明は、ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグに関する。
工業の発展にともない、各種産業において発生する産業副産物の量も増加の一途を辿っている。近年、地球環境保全の観点から、このような産業副産物の有効利用が行われている。例えば、製鉄所から発生する高炉スラグや製鋼スラグなどの鉄鋼スラグ、火力発電所から発生する石炭灰、及び廃棄物や下水汚泥の焼却灰等を高温で溶融し冷却・固化した溶融スラグ等は、適正な粒度調整を施された後、路盤材や地盤改良材などの土木建築用資材として再利用されている。
産業副産物を再利用する際には、これに含まれる有害物質の環境中への排出を抑制する必要がある。代表的な有害物質としては、カドミウム、水銀、クロム及び鉛等の重金属類が例示できるが、これら重金属類以外に、例えば、フッ素、セレン、ヒ素及びホウ素等についても、環境に悪影響を与える成分として、環境への排出(溶出)が厳しく規制されている。
このような環境に悪影響を及ぼす成分のうち、ホウ素の溶出を抑制する方法としては、例えば、ホウ素が含まれる焼却灰に、酸化マグネシウムを粉末状またはスラリー状で添加、混合する方法(特許文献1)、及び火力発電所等から排出される石炭灰を所定期間加湿養生する方法(特許文献2)等が知られている。
特開2004-298741号公報 特開2007-90155号公報
しかし、特許文献1に記載された方法では、ホウ素の溶出抑制材として使用される酸化マグネシウムが高価であること、及び溶出抑制材を添加した混合物(最終生成物)が硬化して比較的高強度の塊状体となるため、これを資材とするための粒度調整に手間がかかることが問題となる。また、特許文献2に記載された方法では、ホウ素の溶出を抑制するために長期間の加湿養生が必要であり、特に、溶出量が多い石炭灰については、所期の溶出量とするためにより長期間の加湿養生を必要とするため、生産性が低いことが問題となる。
これに加えて、ホウ素含有物質からのホウ素の溶出を判定する方法としては、特許文献1にも記載されている、環境庁告示第46号に規定される方法が知られているが、試料の作成、試料液の調製、溶出処理及び検液の作成を経て分析を行う必要があり、判定に時間及び手間がかかることも問題となる。
そこで、本発明は、前述の問題点を解決し、産業副産物を始めとするホウ素含有物質からのホウ素の溶出を、簡便に判定ないし抑制できる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために種々の検討を行ったところ、ホウ素含有物質の組成から、平衡計算を利用して、固液共存状態にあるホウ素含有物質における液相中のホウ素濃度を算出し、該ホウ素濃度が所定の閾値以下であるか否かによって、該ホウ素含有物質からのホウ素溶出量が環境基準を満たすか否かを判定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するための本発明の第1の実施形態は、ホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法であって、前記ホウ素含有物質の組成に基づく平衡計算により、該ホウ素含有物質が固液共存状態にある所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を算出すること、及び前記ホウ素濃度が所定の閾値C以下の場合に合格と判定し、該閾値Cを超える場合に不合格と判定することを含む、ホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法である。
また、前記課題を解決するための本発明の第2の実施形態は、ホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法であって、前記ホウ素含有物質について、前述した第1の実施形態に係るホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法により合否を判定すること、該判定方法で不合格と判定されたホウ素含有物質に、前記所定温度T以上にある状態で改質材を添加して、前記平衡計算で算出される前記所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を、前記閾値C以下とすること、及び前記ホウ素含有物質を薄層状に流し込み、該薄層の厚み方向中央部における冷却速度が、前記所定温度Tから1000℃まで、10℃/min以上となるように冷却することを含む、ホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法である。
また、本発明の第3の実施形態は、土木建築用資材の製造方法であって、前述した第1の実施形態に係るホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法で合格と判定されたホウ素含有物質、又は前述した第2の実施形態に係るホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法により得られたホウ素含有物質を材料として使用することを特徴とする、土木建築用資材の製造方法である。
さらに、本発明の第4の実施形態は、ホウ素の含有量が0.15質量%を超えるホウ素含有スラグであって、組成に基づく平衡計算により算出される、1100℃~1200℃の範囲内にある所定温度Tにおける液相中のホウ素濃度が、0.5~1.0質量%の範囲内にあり、かつ環境庁告示第46号に定める溶出試験によるホウ素溶出量が1mg/L以下であることを特徴とするスラグである。
本発明によれば、産業副産物を始めとするホウ素含有物質からのホウ素の溶出を、簡便に判定ないし抑制できる方法を提供することができる。
以下、本発明の各実施形態を詳細に説明するが、本発明は該各実施形態に限定されるものではない。また、以下に述べる作用機構については推定を含んでおり、その正否は、本発明を制限するものではない。なお、数値範囲の記載(2つの数値を「~」でつないだ記載)については、下限及び上限として記載された数値をも含む意味である。
本発明者は、上述の課題を解決するための検討の過程で、ホウ素含有物質からのホウ素溶出量の多寡が、必ずしも該物質のホウ素濃度の高低と一致しないこと、及び同じ組成を有するホウ素含有物質であっても、溶融状態からの冷却速度が異なると、異なるホウ素溶出量を示すことを見出した。そこで、これらの原因を解明すべく、ホウ素含有物質について、X線回折(XRD)測定結果に基づくガラス相比率の算出、電子線マイクロアナライザ(EPMA)によるホウ素の偏在状態の確認、及び透過型電子顕微鏡付属の電子エネルギー損失分光(TEM-EELS)装置によるガラス相へのホウ素の分配観察を実施した。その結果、ホウ素含有物質からのホウ素溶出量の多寡には、ガラス相中のホウ素濃度及びガラス相中のホウ素の安定性が大きく影響することが判明した。
後述する本発明の各実施形態は、この知見に基づくものである。
[ホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法]
本発明の第1の実施形態に係るホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法(以下、単に「第1実施形態」と記載することがある。)は、ホウ素含有物質の組成に基づく平衡計算により、該ホウ素含有物質が固液共存状態にある所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を算出すること、及び前記ホウ素濃度が所定の閾値C以下の場合に合格と判定し、該閾値Cを超える場合に不合格と判定することを含む。
判定対象とするホウ素含有物質は、ホウ素を含有するとともに、ホウ素の溶出が問題となる環境下に置かれ得るものであれば特に限定されない。ホウ素含有物質の例としては、製鉄所から発生する高炉スラグや製鋼スラグなどの鉄鋼スラグ、火力発電所から発生する石炭灰、廃棄物や下水汚泥の焼却灰等を高温で溶融し冷却・固化した溶融スラグ等の各種スラグ及びペーパースラッジ焼却灰等が挙げられる。なお、各種スラグをはじめとする、生成時に溶融状態であるものについては、溶融状態にある間に判定を行ってもよい。
第1実施形態では、ホウ素含有物質の組成に基づいて平衡計算を行い、該ホウ素含有物質が固液共存状態にある所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を算出する。
平衡計算に用いるホウ素含有物質の組成は、判定対象とするホウ素含有物質について、蛍光X線(XRF)分析等により定量したものを使用できる。また、所定の条件で生成したホウ素含有物質の分析結果に基づいて、該条件の変化から予想されるホウ素含有物質の組成を使用してもよい。
平衡計算では、まず、ホウ素含有物質の組成から、該ホウ素含有物質が固液共存状態にある温度範囲を算出し、該温度範囲内にある所定温度Tを決定する。次いで、ホウ素含有物質の組成及び該所定温度Tから、該所定温度Tにおいて存在する液相中のホウ素濃度を算出する。
算出された液相中のホウ素濃度は、実際のホウ素含有物質中に常温で存在するガラス相中のホウ素濃度に対応する。そこで、第1実施形態では、上述の知見に基づき、該ホウ素濃度が所定の閾値C以下となるホウ素含有物質は、ガラス相中のホウ素濃度が低く、ホウ素の溶出量が十分に少ないものとして合格と判定する。ここで、本明細書における「常温」とは、特に冷却又は加熱を行わない温度を意味し、概ね5℃~35℃程度の温度のことをいう。
前記所定の閾値Cは、ホウ素含有物質中に常温で存在するガラス相中のホウ素の安定性を考慮して、該ホウ素含有物質から溶出するホウ素の量が環境基準を超えない範囲で適宜決定すればよい。例えば、ホウ素含有物質が、溶融物を冷却・固化して得られたスラグである場合、急冷により得られたものは、ガラス中のホウ素の安定性が高く溶出しにくいため、前記閾値Cは比較的大きく設定できる。反対に、溶融状態から徐冷により得られたホウ素含有物質では、ホウ素が溶出し易いため、前記閾値Cを比較的小さく設定する。溶融状態にあるホウ素含有物質について閾値Cを設定する場合には、通常の操業条件における冷却速度等を考慮して該閾値Cを設定すればよい。
平衡計算で算出される液相中のホウ素濃度を、実際のホウ素含有物質中に常温で存在するガラス相中のホウ素濃度により近づけて、ホウ素溶出をより正確に判定するためには、前記所定温度Tを1100℃~1200℃とすることが好ましい。
前記所定温度Tを1100℃~1200℃とすることで、平衡計算から算出される液相の割合及びその組成を、判定対象となるホウ素含有物質中に常温で存在するガラス相の割合及びその組成により近いものとすることができ、合否判定の精度が向上する。前記所定温度Tは、前記ホウ素含有物質の粉末X線回折測定結果から算出した該ホウ素含有物質中に常温で存在するガラス相の割合に、前記平衡計算で算出される固液共存状態における液相の割合が一致する温度±50℃とすることがより好ましい。
また、ホウ素含有物質中に常温で存在するガラス相中に含まれるホウ素の安定性を、合否判定により正確に反映させるためには、前記閾値Cを0.5質量%~1.0質量%とすることが好ましい。
前記閾値Cを1.0質量%以下とすることで、ガラス相中に含まれるホウ素の安定性が低い場合でも、ホウ素含有物質から実際に溶出するホウ素の量が環境基準を超えることを効果的に防止できる。前記閾値Cは、0.8質量%以下とすることがより好ましい。
他方、前記閾値を0.5質量%以上とすることで、実際に溶出するホウ素の量が環境基準を満たすホウ素含有物質を不合格と判定する可能性を小さくできる。前記閾値Cは、0.6質量%以上とすることがより好ましい。
[ホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法]
本発明の第2の実施形態に係るホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法(以下、単に「第2実施形態」と記載することがある。)は、前記ホウ素含有物質について、前述した第1実施形態により合否を判定すること、該判定方法で不合格と判定されたホウ素含有物質に、前記所定温度T以上にある状態で改質材を添加して、前記平衡計算で算出される前記所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を、前記閾値C以下とすること、及び前記ホウ素含有物質を薄層状に流し込み、該薄層の厚み方向中央部における冷却速度が、前記所定温度Tから1000℃まで、10℃/min以上となるように冷却することを含む。
第2実施形態では、ホウ素含有物質のホウ素溶出の合否を、第1実施形態により判定する。第1実施形態により合格と判定されたホウ素含有物質は、他の試験及び処理を経て再利用又は最終処分すればよい。これに対し、第1実施形態により不合格と判定されたホウ素含有物質は、そのままでは再利用又は最終処分が困難であるため、後述するホウ素溶出を抑制するための処理を行う。
この処理においては、まず、第1実施形態により不合格と判定されたホウ素含有物質に、該実施形態における所定温度T以上にある状態で改質材を添加して、平衡計算で算出される該所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を、前記閾値C以下とする。すなわち、該所定温度Tにおける液相中のホウ素濃度が閾値C以下となるように、ホウ素含有物質の組成を変更する。
前記所定温度T以上のホウ素含有物質は、常温にあるものを加熱して得てもよく、溶融状態で生成したものを温度調節して得てもよい。前記所定温度T以上のホウ素含有物質は、溶融状態又は固液共存状態となり、液相を含むものとなる。この状態における液相の割合は、50質量%以上とすることが、高い流動性を示し、後述する改質材による改質が迅速に進行する点で好ましい。
改質材としては、冷却後のガラス相の生成に影響するSiOやAlを主成分とするものが使用できる。高い改質効果を得る点で、改質材中のSiO含有量は、30質量%以上とすることが好ましく、70質量%以上とすることがより好ましい。また、改質材の形状としては、改質を迅速に行う点で、粉末状ないし粒子状とすることが好ましい。さらに、改質材の添加によるホウ素含有物質の温度低下を抑制するために、改質材は予め加熱しておくことが好ましい。
ホウ素含有物質に改質材を添加した後は、撹拌や流動を行うことが、改質が均一に進行する点で好ましい。
次いで、改質後のホウ素含有物質を薄層状に流し込み、該薄層の厚み方向中央部における冷却速度が、前記所定温度Tから1000℃まで、10℃/min以上となるように冷却する。
改質後のホウ素含有物質を薄層状に流し込むことで、該ホウ素含有物質全体を高速で冷却することができ、生成するガラス相中に含まれるホウ素の安定性が高まるとともに、生産性が向上する。薄層の厚みは、高い冷却速度を得る点で、70mm以下とすることが好ましく、50mm以下とすることがより好ましい。他方、薄層の厚みは、冷却に要する面積を抑える点で、5mm以上とすることが好ましい。
その際には、1000℃までの冷却速度を10℃/min以上とすることで、生成するガラス相中に含まれるホウ素の安定性が高まり、ホウ素含有物質からのホウ素の溶出が抑制される。前記冷却速度は、20℃/min以上とすることが好ましく、30℃/min以上とすることがより好ましい。
第2実施形態で使用するホウ素含有物質としては、スラグが好ましい。スラグは、前述した改質処理により、ホウ素の溶出が顕著に抑制されるためである。また、該スラグは、ホウ素含有量が0.15質量%を超えるものであることが、より好ましい。ホウ素含有量が0.15質量%を超えるスラグは、ホウ素の溶出判定試験において不合格となることが多いが、前述した第2実施形態の改質処理により、ホウ素の溶出を抑えて環境基準値ないし自主基準値を満たすものとすることができるためである。
[土木建築用資材の製造方法]
本発明の第3の実施形態に係る土木建築資材の製造方法(以下、単に「第3実施形態」と記載することがある。)は、上述した第1実施形態に係るホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法で合格と判定されたホウ素含有物質、又は上述した第2実施形態に係るホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法により得られたホウ素含有物質を材料として使用することを特徴とする。
第3実施形態では、ホウ素溶出が環境基準を満たすホウ素含有物質の粒度を、路盤材や地盤改良材等の土木建築資材の用途に応じて調整することが好ましい。粒度調整の例として、ホウ素含有物質を路盤材に用いる場合に、ホウ素含有物質を40mm以下となるように破砕ないし篩い分けすることが挙げられる。
[ホウ素含有スラグ]
本発明の第4実施形態に係るスラグ(以下、単に「第4実施形態」と記載することがある)は、ホウ素を0.15質量%以上含有するホウ素含有スラグであって、組成に基づく平衡計算により算出される、1100℃~1200℃の範囲内にある所定温度Tにおける液相中のホウ素濃度が、0.5~1.0質量%の範囲内にあり、かつ環境庁告示第46号に定める溶出試験によるホウ素溶出量が1mg/L以下であることを特徴とする。
前述したとおり、ホウ素含有量が0.15質量%を超えるスラグは、ホウ素の溶出量が多く、ホウ素の溶出判定試験において不合格となることが多い。しかし、上述した第2実施形態により改質処理されたものについては、ホウ素の溶出が抑制され、環境基準値ないし自主基準値を満たすものとすることができる。前記改質処理による効用は、スラグのホウ素含有量は0.16質量%以上であればより大きく、0.18質量%以上であればさらに大きく、0.20質量%以上であれば顕著に大きく享受することができる。
第4実施形態における平衡計算の条件等については、第1実施形態で説明したものを採用できる。
第4実施形態は、環境庁告示第46号に定める溶出試験によるホウ素溶出量が1mg/L以下である。含有するホウ素の量が多いにもかかわらず、溶出するホウ素の量が少ないことから、第4実施形態は、土木建築用資材等として再利用可能なスラグの範囲を拡大できる点で有用である。前記ホウ素溶出量は、0.9mg/L以下であることが好ましく、0.8mg/L以下であることがより好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
[実施例1~4](スラグのホウ素溶出判定方法)
ホウ素含有物質として、表1に示す組成を有する4種類のスラグ(A~D)を準備した。これらのスラグは、金属製錬工程で常態的に発生するものである。なお、表1に示すスラグの組成は、普段の操業条件から推定したものである。
Figure 0007232403000001
これらの組成を熱力学平衡計算ソフトウェアFactSage7.2に入力し、前記各スラグが固液共存状態にある温度範囲内である1150℃を所定温度Tとして、該温度における液相組成を計算した。FactSage7.2のデータベースには、FToxideを用いた。スラグのホウ素溶出判定の閾値Cは、普段の操業時の冷却速度を考慮して、0.8質量%とした。
各スラグのホウ素溶出判定結果を、表2にまとめて示す。表中には、実測に基づくホウ素の溶出量の判定結果も合わせて示す。該判定では、ホウ素の溶出量が自主基準値以下となった場合を合格とし、該自主基準値を超えた場合を不合格とした。
Figure 0007232403000002
表2から、本発明のホウ素溶出判定方法による合否は、実測に基づく合否に一致することが判る。このことから、本発明のホウ素溶出判定方法は、実測に基づく判定に代替し得るものといえる。
[実施例5~13、比較例1~4、参考例1](スラグからのホウ素溶出抑制方法)
スラグのホウ素溶出判定方法において不合格となったスラグ(A、C、D)について、ホウ素溶出抑制方法の適用効果を検証した。
対象となる溶融状態のスラグ(温度:1250℃)に、改質材として、1250℃に加熱した珪砂(主成分:SiO)を種々の量で添加し、撹拌した。この際のスラグ組成に基づいて、平衡計算により、所定温度T(1150℃)における液相中のホウ素濃度を算出した。次いで、厚さ20mmの鉄板上に、スラグを種々の厚みで薄層状に流し込み、該各厚みに対応する冷却速度にて冷却して凝固させた。凝固したスラグを鉄板上で3時間ほど静置し、完全に凝固した後スラグを採取し、40mm以下となるように破砕して、該スラグからのホウ素溶出量を、環境庁告示第46号の規定に準拠して実測し、これが自主基準値以下となったものを合格と判定した。なお、自主基準値はそれぞれの用途により公に定められる基準値と同じか、それよりも低く設定できる。公に定められる基準値としては、例えば、環境庁告示第46号によれば1mg/Lである。
また、改質材の添加効果を確認するため、改質材としての珪砂を添加しなかった以外は実施例5、8、11と同様にして、比較例1~3に係る処理を行った。
さらに、冷却速度によるホウ素溶出量の変化を確認するため、スラグBについて、改質材としての珪砂を添加しなかった以外は実施例7、10、13と同様にした参考例1に係る処理、及び1250℃から1000℃までの温度範囲における、薄層の厚み方向中央部の冷却速度を5℃/minと遅くした以外は参考例1と同様にした比較例4に係る処理を行った。
各実施例、比較例及び参考例の処理条件及びホウ素溶出量の判定結果を、まとめて表3に示す。
Figure 0007232403000003
表3から、本発明のホウ素溶出判定方法で不合格となったスラグに、平衡計算により算出される所定温度Tでの液相中のホウ素濃度が閾値C以下となるように改質材を添加し、1000℃までの冷却速度を10℃/min以上とした実施例によるスラグは、ホウ素溶出量の実測値が自主基準値以下となり、ホウ素の溶出が抑制されたことが判る。これに対し、溶融状態で改質材を添加しなかった比較例1~3によるスラグは、高速で冷却した場合でもホウ素溶出量が多いままであることが判る。
また、参考例1と比較例4との対比からは、組成に基づく平衡計算により所定温度Tでの液相中のホウ素濃度が低くなるスラグであっても、溶融状態から徐冷した場合には、ホウ素溶出量が多くなることが判る。この結果から、溶融状態からの冷却速度が遅いスラグについて、本発明のホウ素溶出判定方法で判定を行う際には、ガラス相中に含まれるホウ素の安定性が低いことを考慮して、閾値Cを低めに設定する必要があるといえる。
本発明によれば、産業副産物を始めとするホウ素含有物質からのホウ素の溶出を、簡便に判定できる方法が提供される。このため、各種産業副産物を再利用又は最終処分する際に、該産業副産物からのホウ素の溶出量が環境基準を超えるか否かの判断を簡便に行うことができる点で、本発明は有用なものである。また、本発明によれば、ホウ素の溶出量が環境基準を超えるホウ素含有物質について、ホウ素の溶出量を低減できる簡便な方法が提供される。このため、ホウ素の溶出量が環境基準を超えることのみを理由として再利用ができなかったホウ素含有物質の再利用が可能となる点、及び同じ理由により最終処分時に別途処置が必要であったホウ素含有物質について、該処置を省略して簡便に最終処分が可能となる点で、本発明は有用なものである。

Claims (5)

  1. ホウ素含有スラグのホウ素溶出判定方法であって、
    前記ホウ素含有スラグの組成に基づく、熱力学平衡計算ソフトウェアを用いた平衡計算により、該ホウ素含有スラグが固液共存状態にある所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を算出すること、及び
    前記ホウ素濃度が所定の閾値C以下の場合に合格と判定し、該閾値Cを超える場合に不合格と判定すること
    を含む、ホウ素含有スラグのホウ素溶出判定方法。
    ただし、前記所定温度Tは1100℃~1200℃とし、かつ前記閾値Cは0.5質量%~1.0質量%とする。
  2. 前記所定温度Tを、前記ホウ素含有スラグの粉末X線回折測定結果から算出した該ホウ素含有スラグ中に常温で存在するガラス相の割合に、前記平衡計算で算出される固液共存状態における液相の割合が一致する温度±50℃とする、請求項1に記載のホウ素含有物質のホウ素溶出判定方法。
  3. ホウ素含有スラグからのホウ素溶出抑制方法であって、
    前記ホウ素含有スラグについて、請求項1又は2に記載のホウ素溶出判定方法により合否を判定すること、
    該判定方法で不合格と判定されたホウ素含有スラグに、前記所定温度T以上にある状態で、SiOを70質量%以上含有する改質材を添加して、前記平衡計算で算出される前記所定温度Tでの液相中のホウ素濃度を、前記閾値C以下とすること、及び
    前記ホウ素含有スラグを薄層状に流し込み、該薄層の厚み方向中央部における冷却速度が、前記所定温度Tから1000℃まで、10℃/min以上となるように冷却すること
    を含む、ホウ素含有スラグからのホウ素溶出抑制方法。
  4. 前記スラグのホウ素含有量が0.15質量%を超える、請求項3に記載のホウ素含有スラグからのホウ素溶出抑制方法。
  5. 土木建築用資材の製造方法であって、請求項1又は2に記載のホウ素含有スラグのホウ素溶出判定方法で合格と判定されたホウ素含有スラグ、又は請求項3若しくは4に記載のホウ素含有スラグからのホウ素溶出抑制方法により得られたホウ素含有スラグを材料として使用することを特徴とする、土木建築用資材の製造方法。
JP2019072941A 2019-04-05 2019-04-05 ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグ Active JP7232403B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019072941A JP7232403B2 (ja) 2019-04-05 2019-04-05 ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019072941A JP7232403B2 (ja) 2019-04-05 2019-04-05 ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020169957A JP2020169957A (ja) 2020-10-15
JP7232403B2 true JP7232403B2 (ja) 2023-03-03

Family

ID=72747110

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019072941A Active JP7232403B2 (ja) 2019-04-05 2019-04-05 ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7232403B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7244803B2 (ja) * 2020-10-06 2023-03-23 Jfeスチール株式会社 ホウ素含有スラグの改質方法及びこれを利用した土木建築用資材の製造方法、並びに改質スラグ
JP7300092B2 (ja) * 2021-02-10 2023-06-29 Jfeスチール株式会社 ホウ素およびマンガンを含有するスラグの処理方法ならびに土木建築用資材の製造方法。

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003212616A (ja) 2002-01-28 2003-07-30 Astec Irie Co Ltd 製鋼スラグの粉塵化抑制剤
JP2005272275A (ja) 2004-03-26 2005-10-06 Jfe Steel Kk クロム鉱石溶融還元炉スラグの改質方法
JP2015178098A (ja) 2014-02-27 2015-10-08 Jfeスチール株式会社 ホウ素含有物質のホウ素溶出抑制方法およびホウ素溶出改質処理材
JP2017014087A (ja) 2015-07-06 2017-01-19 株式会社神戸製鋼所 路盤材用造粒物の製造方法
JP2017067522A (ja) 2015-09-29 2017-04-06 株式会社クボタ 溶出量推定方法、スラグの製造方法及び溶融装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4522926A (en) * 1983-03-10 1985-06-11 Combustion Engineering, Inc. Aluminum resistant refractory composition
JPH1111991A (ja) * 1997-06-27 1999-01-19 Nippon Chem Ind Co Ltd スラグ粉化防止剤及び粉化防止方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003212616A (ja) 2002-01-28 2003-07-30 Astec Irie Co Ltd 製鋼スラグの粉塵化抑制剤
JP2005272275A (ja) 2004-03-26 2005-10-06 Jfe Steel Kk クロム鉱石溶融還元炉スラグの改質方法
JP2015178098A (ja) 2014-02-27 2015-10-08 Jfeスチール株式会社 ホウ素含有物質のホウ素溶出抑制方法およびホウ素溶出改質処理材
JP2017014087A (ja) 2015-07-06 2017-01-19 株式会社神戸製鋼所 路盤材用造粒物の製造方法
JP2017067522A (ja) 2015-09-29 2017-04-06 株式会社クボタ 溶出量推定方法、スラグの製造方法及び溶融装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020169957A (ja) 2020-10-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7232403B2 (ja) ホウ素含有物質からのホウ素溶出判定方法、これを利用したホウ素含有物質からのホウ素溶出抑制方法及びこれらを利用した土木建築用資材の製造方法、並びにスラグ
JP2006289306A (ja) 廃棄物からのフッ素および重金属の溶出を抑制する方法および安定化処理剤
WO2021186964A1 (ja) スラグ製品の製造方法及びスラグ製品
JP6996453B2 (ja) ホウ素含有物質のホウ素溶出抑制方法、および、ホウ素溶出抑制処理材の製造方法
JP7300092B2 (ja) ホウ素およびマンガンを含有するスラグの処理方法ならびに土木建築用資材の製造方法。
JP5329762B2 (ja) 水溶性六価クロム低減セメント組成物及びその製造方法
JP7244803B2 (ja) ホウ素含有スラグの改質方法及びこれを利用した土木建築用資材の製造方法、並びに改質スラグ
JP2015124095A (ja) スラグの製造方法
JP5824719B2 (ja) 固化剤の製造方法
Mutuk et al. The effects of cast industry waste of scale instead of cement on the mechanical and microstructural properties
JP6353264B2 (ja) 流動性改善型セメントクリンカー
JP6888592B2 (ja) ホウ素含有物質のホウ素溶出抑制方法、および、ホウ素溶出抑制処理材の製造方法
JP7303989B2 (ja) ホウ素含有物質の改質方法及び土木建築用資材の製造方法
JP4204922B2 (ja) 路盤材およびその製造方法
CN114149268A (zh) 一种钢包渣线用石灰砖及加工工艺
JP2006297426A (ja) 取鍋摺動開閉装置用充填材
Botha et al. Effect of silica concentration on degree of sintering of chromite-silica ladle well filler sand based on South African raw materials
JP6056888B2 (ja) ホウ素含有物質のホウ素溶出抑制方法およびホウ素溶出改質処理材
JP6442346B2 (ja) 固化材及び固化材の製造方法
Nayak et al. Insights into Non-free Opening of Ladles: Filler Sand Chemistry Modifications for High Mn Steel Billet Casting
KARAYANNIS Extruded and sintered clay ceramics containing steel-making dust
JP5359669B2 (ja) スラグからのフッ素溶出抑制方法
Kriskova et al. Transforming a Carbon Rich Metallurgical Residue from a Sponge Iron Production into a Hydraulic Binder
JP5824718B2 (ja) 固化剤の製造方法
JP2019151547A (ja) 鉄鋼スラグの処理方法及び鉄鋼スラグの再利用品製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211022

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220412

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220915

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7232403

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150