以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1A及び図1Bは、本発明の一側面としての自動二輪車1を示す概略側面図である。図2は、自動二輪車1のハンドル部の拡大図であって、自動二輪車1の運転者から見たハンドル部を示している。自動二輪車1は、運転者を乗せて移動する移動体、具体的には、鞍乗型車両である。また、自動二輪車1は、図1Aに示すようなカブ型の自動二輪車であってもよいし、図1Bに示すようなスクーター型の自動二輪車であってもよい。なお、図1A、図1B及び図2を含む各図において、矢印Xは、自動二輪車1の前後方向を示し、矢印Yは、自動二輪車1の車幅方向(幅方向)を示し、矢印Zは、自動二輪車1の上下方向を示している。また、図1Bでは、本発明に関連する特徴的な構成要素(構造)にのみ参照番号を付している。
自動二輪車1は、図1Aに示すように、車両の骨格となる車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されたフロントフォーク12と、エンジン13と、シート14と、スイングアーム15と、センサ16と、メータユニット20と、スピーカ30と、グリップ40と、トルク付与部50と、制御部60と、計測部70と、アクチュエータ80と、一対の板部材90と、アクチュエータ95とを有する。
車体フレーム11は、例えば、フロントフォーク12を操舵可能に支持するヘッドパイプと、ヘッドパイプの下部から後方斜め下方に延在するメインフレームと、メインフレームの後端部から下方に延在するセンターフレームと、メインフレームの後端部から後上がりに延在するシートレールと、メインフレームの前端部から下方斜め後方に延在するダウンフレームと、ヘッドパイプの上部からメインフレームに後下がりに延在するアッパーフレームとを含む。
フロントフォーク12は、上端部において、運転者が操作するハンドル121を支持する。また、フロントフォーク12は、下端部において、車軸122を介して、ハンドル121の操作によって操舵される前輪123を支持する。前輪123は、上方から、フロントフェンダ124でカバーされている。
ハンドル121を含むハンドル部には、図2に示すように、メータユニット20と、スピーカ30と、グリップ40と、トルク付与部50とが設けられている。メータユニット20は、自動二輪車1の車両前方の中央に設けられ、速度計202、インジケータ204、燃料計、時計などを表示可能なユニットである。速度計202は、自動二輪車1の走行中の速度を表示する。インジケータ204は、運転者に対して、自動二輪車1に関する各種の情報を通知する。スピーカ30は、音を出力する。
グリップ40は、ハンドル121の左右に設けられている。右側のグリップ40は、ハンドル121に対して、例えば、回動可能に支持されている。運転者が右側のグリップ40を回動することで、動力源であるエンジン13のスロットル操作が行われる。このように、運転者は、右側のグリップ40を介して、自動二輪車1を走行させる(移動体を移動させる)駆動力を制御することができる。
トルク付与部50は、右側のグリップ40の車両中央側に近接して設けられている。トルク付与部50は、トルクを発生させて、かかるトルクを右側のグリップ40に付与する。本実施形態では、トルク付与部50は、右側のグリップ40に対して、グリップ40を戻す方向に回転させるトルクを間欠的に付与する。換言すれば、トルク付与部50は、右側のグリップ40に対して、自動二輪車1を走行させる駆動力を減らす回転方向に間欠的にトルクを付与する。
図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)は、トルク付与部50の構成の一例を示す図である。トルク付与部50は、モータ(モータ軸)501と、トルク発生部502と、バネ受け部503と、ねじりコイルバネ504と、逆回転防止部505と、バネ受け部506とを含み、図3(a)に示すように、右側のグリップ40に近接して設けられている。モータ501は、ハンドル121に内蔵され、主に、トルクを発生させるための部材として機能する。
図3(b)は、グリップ40を回動させていない状態を示している。トルク付与部50は、グリップ40の側のトルク受け部121Aと、トルク付与部50のトルク発生部502とが近接するように、グリップ40に対して設けられている。図3(c)は、トルク付与部50がグリップ40(トルク受け部121A)にトルクを間欠的に付与する状態を示している。
図3(c)を参照するに、グリップ40を回動させた状態において、モータ501が矢印方向に回転すると、トルク発生部502がトルク受け部121Aに近づいていく。そして、トルク発生部502がトルク受け部121Aに接触すると、トルク発生部502からトルク受け部121Aにトルクが伝わる。この際、バネ受け部503、ねじりコイルバネ504及びバネ受け部506によって、モータ501が設けられた基部に対して、トルク発生部502が回転する(折れる)ため、トルク受け部121Aに必要以上のトルクが伝わることはない。また、トルク発生部502がトルク受け部121Aの下を通過すると、ねじりコイルバネ504及びバネ受け部506によって、モータ501が設けられた基部に対するトルク発生部502の姿勢が元に戻る。なお、トルク発生部502が戻りすぎないように(即ち、モータ501が設けられた基部に対するトルク発生部502の姿勢を規定するために)、逆回転防止部505が設けられている。このような動作を繰り返すことで、トルク付与部50は、右側のグリップ40に対して、グリップ40を戻す方向に回転させるトルクを間欠的に、且つ、所定の周期で付与することが可能となる。
図1Aに戻って、エンジン13は、例えば、クランクケースと、クランクケースに設けられたシリンダ部とを含む。なお、クランクケースの後部には、変速機が一体的に設けられていてもよい。シート14は、シートレールの上部に設けられている。スイングアーム15は、ピボット軸153に上下揺動可能に設けられ、後端部において、車軸151を介して後輪152を支持する。後輪152は、上方から、リアフェンダ154でカバーされている。
センサ16は、障害物、具体的には、自動二輪車1の前方下方、特に、前輪123の前方に存在する障害物を検知する。センサ16の軸方向(検知方向)は、図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示すように、前輪123の径方向と同一方向を指向しており、センサ16から自動二輪車1の車幅方向及び下方向に広がりを有する検知範囲DRが形成される。また、センサ16は、ハンドル121の操作、即ち、前輪123の操舵に連動して、障害物を検知する検知範囲DRが変更されるように、自動二輪車1に設けられている。このように、前輪123の舵角の変化に応じて、センサ16の検知範囲DRが変更されるように構成することで、自動二輪車1の進行方向における前輪123の前方(前方下方)に存在する障害物を、見落とすことなく、確実に検知することができる。
また、センサ16は、図4(a)に示すように、前輪123の前方下方を指向している検知範囲DRを規定(形成)するとよい。これにより、前輪123の前方に存在する障害物が低い高さの障害物であっても容易に検知することができる。また、自動二輪車1の前方(前方上方)に存在する他車両などが検知範囲外となるため、かかる他車両などを障害物として誤検知してしまうことを抑制することができる。
センサ16は、上述したように、自動二輪車1において、前輪123の操舵に連動して移動する位置、本実施形態では、フロントフォーク12に配置されている。また、センサ16は、図4(a)に示すように、自動二輪車1の上下方向において、前輪123の最も高い部分(最上点)よりも下方に位置するようにフロントフォーク12に配置され、好ましくは、フロントフォーク12の下端部に配置される。このように、センサ16を自動二輪車1の下方に配置することで、前輪123の前方に存在する障害物が低い高さの障害物であっても容易に検知することができる。また、自動二輪車1の前方に存在する他車両などが検知範囲外となるため、かかる他車両などを障害物として誤検知してしまうことを抑制することができる。なお、センサ16をフロントフォーク12の下端部(車軸122の近傍)に配置することで、最低地上高を確保することができる。
また、センサ16は、自動二輪車1の車幅方向において、車体フレーム11の両側(前輪123の両側面)に設けていなくてもよい。換言すれば、センサ16は、図4(c)に示すように、自動二輪車1の車幅方向において、前輪123(フロントフェンダ124)の片側、即ち、前輪123の2つの側面のうちの一方の側面の側(図4(c)では、左側)に配置されていればよい。これにより、自動二輪車1に設けるセンサ16の数を1つにして、前輪123の前方に存在する障害物を検知する構成を低コストで実現することができる。
また、センサ16は、障害物を検知可能なセンサであれば、当業界で周知の如何なるセンサをも適用することができるが、超音波センサで構成されていることが好ましい。超音波センサは、送波器から対象物(障害物)に超音波を発信し、対象物からの反射波を受信器で受信することで、対象物の存在(有無)を検知するセンサである。センサ16を超音波センサで構成することで、前輪123の近傍のみに検知範囲DRを規定することが可能となるため、障害物の誤検知を抑制することができる。
計測部70は、自動二輪車1の下部、例えば、車体フレーム11の道路(路面)に最も近い部分に設けられ、水面(液面)の高さを計測する機能を有する。計測部70は、本実施形態では、自動二輪車1が走行している道路(路面)が水没している場合において、その水面の高さを計測する。計測部70としては、種々の原理及び種類の水面(液面)センサを採用可能であるが、非接触で水面を検知する水面センサで計測部70を構成することが好ましい。
アクチュエータ80は、自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢(角度)を変更する。アクチュエータ80は、例えば、センサ16と同様に、フロントフォーク12に設けられている。アクチュエータ80は、センサ16を回動させることで、センサ16の軸方向(検知方向)を自動二輪車1の上下方向に変更する。具体的には、アクチュエータ80は、センサ16の軸方向が前輪123の径方向と同一方向を指向するように、或いは、センサ16の軸方向が前輪123の前方下方の方向を指向するように、センサ16の姿勢を変更する。このように、センサ16は、アクチュエータ80を介して、自動二輪車1に対して姿勢を変更可能に構成されている。
一対の板部材90は、自動二輪車1の下部前方、例えば、車体フレーム11のフロントフェンダ124の近傍に、自動二輪車1の車幅方向において自動二輪車1を挟むように設けられている。一対の板部材90は、例えば、アクチュエータ95を用いて、その姿勢を変更可能に構成され、自動二輪車1が水中を走行していない場合には、図5(a)に示すように、自動二輪車1の前方からの圧力を受けやすい姿勢となり、自動二輪車1が水中を走行している場合には、図5(b)に示すように、自動二輪車1の前方からの圧力(水圧)を受けにくい姿勢となる。これにより、自動二輪車1が水中を走行していない場合には、一対の板部材90を空力(ダウンフォース)の発生に寄与させ、自動二輪車1が水中を走行している場合には、一対の板部材90の抵抗がないようにすることができる。
また、一対の板部材90は、自動二輪車1が水中を走行し、且つ、センサ16が障害物を検知した場合に、アクチュエータ95を介して、自動二輪車1の前方からの圧力(水圧)を受けて、センサ16によって検知された障害物を回避する方向に自動二輪車1を移動させる姿勢となる。例えば、図6に示すように、障害物が自動二輪車1の車幅方向において自動二輪車1の一方の側(右側)に存在する場合、一対の板部材90A及び90Bのうちの自動二輪車1の車幅方向において自動二輪車1の他方の側(左側)の板部材90Aが水圧を受ける(板部材90Aに対する水の抵抗を大きくする)姿勢となる。このように、板部材90Aが受ける水圧が板部材90Bが受ける圧力よりも大きくなるようにする(板部材90Bに対する水の抵抗を小さくする)ことで、自動二輪車1は左側に旋回するため、自動二輪車1の右側前方に存在する障害物を回避することができる。
制御部60は、CPUやメモリなどを含むECU(電子制御ユニット)であって、所定のプログラムに従って自動二輪車1の各部を統括的に制御する。なお、制御部60には、PLD(プログラマブルロジックデバイス)、ASIC(特定用途向け集積回路)などを用いてもよい。制御部60の機能は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれによっても実現可能である。
制御部60は、本実施形態では、自動二輪車1の走行時における自動二輪車1の前方や前輪123の前方に存在する障害物の検知に関する処理(以下、「障害物検知処理」と称する)を制御する。図7は、障害物検知処理における制御部60と自動二輪車1の各部、具体的には、センサ16、メータユニット20、スピーカ30、トルク付与部50、計測部70、アクチュエータ80及びアクチュエータ95(一対の板部材90)との制御関係を示すブロック図である。
本実施形態において、制御部60は、障害物検知処理において、メータユニット20(速度計202)から自動二輪車1の走行速度を取得し、自動二輪車1が所定の速度以下、例えば、時速10km以下で走行しているときだけ、自動二輪車1の前方や前輪123の前方に存在する障害物を検知するようにセンサ16を機能(動作)させる。また、制御部60は、障害物検知処理において、計測部70で計測される水面の高さを取得し、かかる水面の高さが基準値を超えているときだけ、自動二輪車1の前方や前輪123の前方に存在する障害物を検知するようにセンサ16を機能させてもよい。更に、制御部60は、障害物検知処理において、自動二輪車1が所定の速度以下で走行し、且つ、自動二輪車1が所定の高さの水面を走行しているときだけ、自動二輪車1の前方や前輪123の前方に存在する障害物を検知するようにセンサ16を機能させてもよい。このように、障害物の検知が必要であるときだけセンサ16を機能させることで、エネルギー(燃料)を効率よく使用し、無駄なエネルギーの使用を抑制する、即ち、省エネを実現することができる。
また、制御部60は、障害物検知処理において、アクチュエータ80を介して、自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢を変更する。例えば、水面下に存在する障害物を検出する際には、センサ16の検知範囲が更に前輪123の下方(即ち、更に手前側)を指向するように、アクチュエータ80を介して、センサ16の姿勢を変更するとよい。これにより、水面下に存在する障害物を容易に検出することが可能となり、水面下に存在する障害物を検知するのに適した構成にすることができる。
また、制御部60は、障害物検知処理において、センサ16が障害物を検知した場合に、メータユニット20のインジケータ204を点灯させたり、スピーカ30から警告音を出力させたりして、自動二輪車1の前方、特に、前輪123の前方に障害物が存在することを運転者に通知する。これにより、運転者が視認で見落としていた障害物であっても、かかる障害物を回避するように自動二輪車1を運転することが可能となる。
また、制御部60は、障害物検知処理において、センサ16が障害物を検知した場合に、トルク付与部50からグリップ40に対して、自動二輪車1を走行させる駆動力を減らす回転方向に間欠的にトルクを付与する。これにより、運転者に対して、自動二輪車1の走行速度を減速させた方がよいことを通知して、運転者が視認で見落としていた障害物への衝突回避又は衝突軽減のための支援を行うことができる。なお、自動二輪車1の走行の安全性を考慮すると、グリップ40に対して、強すぎず、且つ、弱すぎずにトルクを付与する必要があり、このようなトルクの調整は非常に困難である。但し、本実施形態では、上述したように、グリップ40に対して間欠的にトルクを付与しているため、トルクの調整が不要となる。
更に、制御部60は、障害物検知処理において、計測部70で計測される水面の高さが基準値を超え、且つ、センサ16が障害物を検知した場合に、自動二輪車1に対する障害物の位置に応じて、アクチュエータ95を介して、一対の板部材90の姿勢を制御する。これにより、運転者の運転に関わらず、水面下に存在する障害物を回避することが可能となる。
図8を参照して、本実施形態における障害物検知処理について具体的に説明する。かかる処理は、上述したように、制御部60が自動二輪車1の各部を統括的に制御することで行われる。
S502において、制御部60は、メータユニット20から取得した自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下であるか否かを判定する。自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下でない場合には、リターンに移行する(スタートに戻る)。一方、自動二輪車1の走行速度が所定の速度以上である場合には、S504に移行する。
S504において、制御部60は、自動二輪車1の前方、特に、前輪123の前方に存在する障害物を検知するようにセンサ16を機能させる。このように、自動二輪車1が所定の速度以下で走行しているときだけ、センサ16を機能させることで、上述したように、省エネを実現することができる。
S506において、前輪123の前方に存在する障害物を検知したか否かを判定する。センサ16が障害物を検知していない場合には、S502に移行する。一方、センサ16が障害物を検知している場合には、S508に移行する。
S508において、制御部60は、メータユニット20のインジケータ204を点灯させる。これにより、運転者に対して、前輪123の前方に障害物が存在することが通知される。従って、運転者は、前輪123の前方に存在する障害物を回避するように自動二輪車1を運転することが可能となる。
S510において、制御部60は、インジケータ204を点灯させてから所定の時間が経過したか否かを判定する。インジケータ204を点灯させてから所定の時間が経過していない場合には、S510を繰り返す。一方、インジケータ204を点灯させてから所定の時間が経過した場合には、S512に移行する。
S512において、制御部60は、スピーカ30から警告音を出力させる。これにより、運転者に対して、前輪123の前方に障害物が存在することが通知される。なお、スピーカ30からの警告音の出力は、インジケータ204を点灯させた後、前輪123の前方に存在する障害物を回避するように自動二輪車1を運転していない場合に行われる。この場合、運転者はインジケータ204の点灯(即ち、障害物の存在)に気づいていない可能性が高いと考えられるため、スピーカ30から警告音を出力することで、障害物の存在に気づかせるとよい。このように、本実施形態では、自動二輪車1が障害物に近づくにつれて、前輪123の前方に障害物が存在することを段階的に通知しているが、インジケータ204の点灯と警告音の出力とを同時に行ってもよい。なお、障害物を回避するように自動二輪車1が運転されたか否かは、例えば、センサ16が障害物を検知し続けているか、或いは、前輪123が操舵されたかなどから判定することができる。
S514において、制御部60は、警告音を出力してから所定の時間が経過したか否かを判定する。警告音を出力してから所定の時間が経過していない場合には、S514を繰り返す。一方、警告音を出力してから所定の時間が経過した場合には、S516に移行する。
S516において、制御部60は、トルク付与部50からグリップ40に対して、自動二輪車1を走行させる駆動力を減らす回転方向に間欠的にトルクを付与する。なお、グリップ40に対するトルクの間欠的な付与は、警告音を出力させた後、運転者が前輪123の前方に存在する障害物を回避するように自動二輪車1を運転していない場合に行われる。これにより、運転者に対して自動二輪車1の走行速度を減速させた方がよいことを通知して、インジケータ204の点灯(S508)や警告音の出力(S512)でも運転者が気づかなかった障害物への衝突回避又は衝突軽減のための支援を行う。
このように、図8に示す障害物検知処理は、自動二輪車1の低速走行時において、運転者が見落とす可能性が高い障害物、特に、前輪123の前方に存在する障害物をセンサ16で検知することが可能であり、前輪123の前方に存在する障害物を検知及び回避するのに有利である。
また、自動二輪車1では、道路が水没している場合において、運転者が視認することが困難となる水面下に存在する障害物を検知することが可能となる。図9を参照して、水面下に存在する障害物を検知する障害物検知処理について具体的に説明する。かかる処理は、制御部60が自動二輪車1の各部を統括的に制御することで行われる。
S602において、制御部60は、メータユニット20から取得した自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下であるか否かを判定する。自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下でない場合には、リターンに移行する(スタートに戻る)。一方、自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下である場合には、S603に移行する。
S603において、制御部60は、自動二輪車1が走行する水面の高さを計測部70から取得し、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えたか否かを判定する。自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えていない場合には、リターンに移行する。一方、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えた場合には、S604に移行する。なお、基準値は、例えば、前輪123の80%から90%程度が水没する値に設定されている。また、本実施形態では、S603において、計測部70を用いているが、センサ16を用いることも可能である。センサ16の状態が空中に存在する状態から水中に存在する状態に遷移した瞬間には、センサ16から発信される超音波の反射時間がゼロとなるため、これを検知することで、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えているか否かを判定することができる。
S604において、制御部60は、前輪123の前方に存在する障害物を検知するようにセンサ16を機能させる。これにより、前輪123の前方、即ち、水面下に存在する障害物をセンサ16で検知することが可能となる。また、自動二輪車1が所定の速度以下で走行し、且つ、自動二輪車1が所定の高さの水面を走行しているときだけ、センサ16を機能させることで、上述したように、省エネを実現することができる。また、S604では、センサ16の検知範囲が更に前輪123の下方(即ち、更に手前側)を指向するように、アクチュエータ80を介して、センサ16の姿勢を変更して、水面下に存在する障害物を検知するのに適した構成にするとよい。
なお、S606乃至S614は、S506乃至S614と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
S616において、制御部60は、トルク付与部50からグリップ40に対して、自動二輪車1を走行させる駆動力を減らす回転方向に間欠的にトルクを付与する。具体的には、トルク付与部50は、グリップ40に対して、自動二輪車1を走行させる駆動力を減らす回転方向に所定の周期でトルクを付与する。自動二輪車1が水中を走行している場合、ブレーキをかけたとしても、その制動力が弱いため、ブレーキをかけるよりも駆動力を減らすことが有効であり、障害物への衝突回避又は衝突軽減に有利となる。また、障害物と自動二輪車1(前輪123)との距離が近づくほど、トルク付与部50からグリップ40に付与するトルクの周期を短くする。これにより、運転者に対して障害物に近づいていることを通知することができるため、障害物への衝突回避又は衝突軽減に更に有利となる。なお、本実施形態では、トルク付与部50が図3(a)乃至図3(c)に示す構成を有しているため、簡易な構造でありながら、トルク付与部50からグリップ40に付与するトルクの周期を調整することができる。例えば、トルク付与部50のモータ501の回転を速くすることで、トルク付与部50からグリップ40に付与するトルクの周期を短くすることを実現することができる。
また、トルク付与部50からグリップ40に対してトルクを間欠的に付与するとともに、一対の板部材90を、上述したように、自動二輪車1の前方からの圧力(水圧)を受けて、センサ16によって検知された障害物を回避する方向に自動二輪車1を移動させる姿勢にするとよい。これにより、運転者に障害物を回避する運転を促すとともに、運転者の運転に関わらず、障害物を回避する方向に自動二輪車1を移動させることが可能となり、障害物への衝突回避又は衝突軽減のための支援を効率的に行うことができる。
このように、図9に示す障害物検知処理では、水面下に存在する障害物(前輪123の前方に存在する障害物)を検知及び回避することができる。なお、水面下に存在する障害物を検出する際には、センサ16の検知範囲が更に前輪123の下方(即ち、更に手前側)を指向するように、アクチュエータなどを介して、センサ16の姿勢を変更するとよい。これにより、これにより、水面下に存在する障害物を容易に検出することが可能となり、水面下に存在する障害物を検知するのに適した構成にすることができる。
また、本実施形態では、障害物への衝突回避又は衝突軽減を支援するためにトルク付与部50を用いているが、トルク付与部50は、これ以外の用途にも用いることができる。例えば、センサ16を機能させたときに(障害物を検知する動作を開始したときに)、トルク付与部50を機能させる(グリップ40にトルクを付与する)。これにより、運転者にセンサ16が機能し始めたことを通知して、インジケータ204が点灯しているか、或いは、スピーカ30から警告音が出力されているかを確認するように促すことができる。
また、本実施形態では、障害物検知処理において、センサ16は、障害物を検知する動作モードとして、水没していない道路上、即ち、空中に存在する障害物の検知に適した空中モードと、水没した道路上、即ち、水面下(水中)に存在する障害物の検知に適した水中モードと、境界モードとを含む。そして、制御部60は、センサ16の動作モードを、空中モードと水中モードと境界モードとで切り替え可能に制御する。これにより、自動二輪車1が走行している道路の状態に応じて、センサ16を、空中に存在する障害物を検知するのに適した状態、又は、水面下に存在する障害物を検知するのに適した状態に設定することができる。従って、1つのセンサ16であっても、道路が水没していない場合には、空中に存在する障害物を確実に検知し、道路が水没している場合には、水面下に存在する障害物を確実に検知することができる。また、1つのセンサ16で空中に存在する障害物及び水面下に存在する障害物を検知することができるため、それぞれの障害物に対してセンサを設ける必要がなく、コストの面でも有利である。
図10を参照して、空中に存在する障害物の検知に適した空中モードについて説明する。空中モードでは、図10に示すように、センサ16の軸方向が自動二輪車1の前輪123の径方向と同一方向を指向し、センサ16から自動二輪車1の車幅方向及び上下方向に広がりを有する検知範囲DRが形成されるように、自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢を設定する。これにより、例えば、低速走行時において、自動二輪車1の前方に存在する障害物(死角から急に飛び出してくる人など)を検知するのに有利となる。なお、空中モードにおける自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢の設定には、アクチュエータ80を用いればよい。
また、空中では、センサ16から発信される超音波の伝播速度が水中よりも遅くなる。従って、空中モードでは、障害物を検知する際、詳細には、障害物からの反射波の到達時間に基づいて障害物と自動二輪車1との間の距離を算出する際に用いられる係数を、超音波の空中での伝播速度と超音波の水中での伝播速度との差(超音波の伝播速度の遅延)に応じて変更する。これにより、空中モードにおいて、障害物と自動二輪車1との間の距離をより正確に算出することができる。
図11を参照して、水中に存在する障害物の検知に適した水中モードについて説明する。水中モードでは、図11に示すように、センサ16の軸方向が前輪123の前方下方(手前側)を指向し、センサ16から自動二輪車1の車幅方向及び下方向に広がりを有する検知範囲DRが形成されるように、自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢を設定する。これにより、運転者が視認することが困難である水面下に存在する障害物を検知するのに有利となる。なお、水中モードにおける自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢の設定には、上述したように、アクチュエータ80を用いればよい。
また、水中では、センサ16から発信される超音波の伝播速度が空中よりも速くなる。従って、水中モードでは、障害物を検知する際、詳細には、障害物からの反射波の到達時間に基づいて障害物と自動二輪車1との間の距離を算出する際に用いられる係数を、超音波の空中での伝播速度と超音波の水中での伝播速度との差に応じて変更する。これにより、水中モードにおいて、障害物と自動二輪車1との間の距離をより正確に算出することができる。
図12を参照して、境界モードについて説明する。境界モードは、空中モードにおいてセンサ16が基準値以下の高さの障害物を所定時間継続して検知した場合に移行するモードである。ここで、基準値以下の高さの障害物が所定時間継続して検知される状態は、図12に示すように、道路は水没しているが、その水面の高さが基準値以下である状態であると考えられる。このような場合には、水中モードに移行するのではなく、境界モードに移行するとよい。境界モードでは、図12に示すように、センサ16の軸方向が自動二輪車1の前輪123の径方向と同一方向を指向し、センサ16から自動二輪車1の車幅方向及び上下方向に広がりを有する検知範囲DRが形成されるように、自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢を設定する。これにより、完全には水没していない障害物を検知するのに有利となる。なお、境界モードにおける自動二輪車1に対するセンサ16の姿勢の設定には、上述したように、アクチュエータ80を用いればよい。
また、境界モードでは、センサ16は、水中モードとは異なり、水没していない状態である可能性が高い。そこで、境界モードでは、障害物を検知する際、詳細には、障害物からの反射波の到達時間に基づいて障害物と自動二輪車1との間の距離を算出する際に用いられる係数を、空中モードでの係数と同じにする。これにより、境界モードにおいて、障害物と自動二輪車1との間の距離をより正確に算出することができる。
上述したように、空中モード(境界モード)と水中モードとでセンサ16の姿勢を変更することで、センサ16は、各モードに適した姿勢で障害物を検知することが可能となり、空中モードでは空中に存在する障害物を、水中モードでは水面下に存在する障害物を確実に検知することができる。
図13を参照して、障害物検知処理におけるセンサ16の動作モードの切り替え、具体的には、空中モードと水中モードとの切り替えについて説明する。センサ16の動作モードの切り替えは、上述したように、制御部60によって制御される。また、図13に示すフローは、障害物を検知するようにセンサ16を機能させること(S504、S604)を契機として実行される。
S902において、制御部60は、センサ16の動作モードを、空中に存在する障害物の検知に適した空中モードに設定する。空中モードにおいて、センサ16によって空中(自動二輪車1の前方)に存在する障害物が検知された場合には、その旨を、インジケータ204やスピーカ30を介して運転者に通知する。このように、インジケータ204やスピーカ30は、センサ16によって障害物が検知されたことを運転者に通知する通知部として機能する。
S904において、制御部60は、自動二輪車1が走行する水面の高さを計測部70から取得し、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えているか否かを判定する。自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えていない場合には、S904を繰り返す。一方、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えている場合には、S906に移行する。
S906において、制御部60は、センサ16の動作モードを、水中に存在する障害物の検知に適した水中モードに設定する(空中モードから水中モードに切り替える)。水中モードにおいて、センサ16によって水面下(前輪123の前方)に存在する障害物が検知された場合には、その旨を、インジケータ204やスピーカ30を介して運転者に通知する。
S908において、制御部60は、自動二輪車1が走行する水面の高さを計測部70から取得し、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えているか否かを判定する。自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えている場合には、S908を繰り返す。一方、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えていない場合には、S910に移行する。
S910において、制御部60は、センサ16の動作モードを、空中に存在する障害物の検知に適した空中モードに設定する(水中モードから空中モードに切り替える)。
S912において、制御部60は、メータユニット20から取得した自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下であるか否かを判定する。自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下である場合には、リターンに移行する(スタートに戻る)。一方、自動二輪車1の走行速度が所定の速度以下でない場合には、処理を終了する(センサ16を機能させることを停止する)。
このように、センサ16の動作モードを、空中モードと水中モードとで切り替え可能にすることで、上述したように、空中に存在する障害物及び水面下に存在する障害物の両方を確実に検知することができ、且つ、コストの面でも有利となる。
本実施形態では、センサ16の動作モードの切り替えの判定、具体的には、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えているか否かの判定において、計測部70を用いているが、センサ16を用いることも可能である。センサ16の状態が空中に存在する状態から水中に存在する状態に遷移した瞬間、或いは、センサ16の状態が水中に存在する状態から空中に存在する状態に遷移した瞬間には、センサ16から発信される超音波の反射時間がゼロとなるため、これを検知することで、センサ16の動作モードを、空中モードから水中モードに、又は、水中モードから空中モードに切り替えてもよい。これにより、水面の高さを計測する計測部70を用いることなく、センサ16が水中に存在する状態を検知することができるため、コストの面で有利となる。なお、計測部70を用いる場合には、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えた場合に、センサ16の動作モードを確実に水中モードに切り替えることができる。
また、図13では、センサ16の動作モードを空中モードと水中モードとで切り替える場合について説明したが、図14に示すように、センサ16の動作モードを空中モードと水中モードと境界モードとで切り替えてもよい。図14を参照して、障害物検知処理におけるセンサ16の動作モードの切り替え、具体的には、空中モードと水中モードと境界モードとの切り替えについて説明する。センサ16の動作モードの切り替えは、上述したように、制御部60によって制御される。また、図14に示すフローは、障害物を検知するようにセンサ16を機能させること(S504、S604)を契機として実行される。
S1002において、制御部60は、センサ16の動作モードを、空中に存在する障害物の検知に適した空中モードに設定する。上述したように、空中モードにおいて、センサ16によって空中(自動二輪車1の前方)に存在する障害物が検知された場合には、その旨を、インジケータ204やスピーカ30を介して運転者に通知する。
S1004において、制御部60は、センサ16の動作モードを水中モードに切り替えるための水面の高さを示す基準値以下の(高さの)物体(障害物)をセンサ16が検知したか否かを判定する。基準値以下の物体をセンサ16が検知していない場合には、S1004を繰り返す。一方、基準値以下の物体をセンサ16が検知した場合には、S1006に移行する。
S1006において、制御部60は、センサ16が基準値以下の物体を所定時間継続して検知しているか否かを判定する。基準値以下の物体を所定時間継続して検知していない場合には、S1004に移行する。一方、基準値以下の物体を所定時間継続して検知している場合には、S1008に移行する。
S1008において、制御部60は、センサ16が所定時間継続して検知している基準値以下の物体は水面である可能性が高いため、センサ16の動作モードを、境界モードに変更する(空中モードから境界モードに切り替える)。ここで、センサ16によって所定時間継続して検知されている基準値以下の物体は、上述したように、水面である可能性が高く、自動二輪車1が衝突を回避すべき障害物である可能性は低い。従って、境界モードでは、センサ16によって基準値以下の物体が検知されたことを、運転者に通知しない。具体的には、インジケータ204を点灯させたり、スピーカ30から警告音を出力したりしないようにする。これにより、運転者に対して、水面を障害物として誤って通知してしまうことを抑制することができる。
S1010において、制御部60は、自動二輪車1が走行する水面の高さを計測部70から取得し、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えているか否かを判定する。自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えていない場合には、S1010を繰り返す。一方、自動二輪車1が走行する水面の高さが基準値を超えている場合には、S1012に移行する。
S1012において、制御部60は、センサ16の動作モードを、水中に存在する障害物の検知に適した水中モードに変更する(境界モードから水中モードに切り替える)。水中モードにおいて、センサ16によって水面下(前輪123の前方)に存在する障害物が検知された場合には、その旨を、インジケータ204やスピーカ30を介して運転者に通知する。
S1014、S1016及びS1018は、S908、S910及びS912と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
このように、センサ16の動作モードを、空中モードと水中モードと境界モードとで切り替え可能にすることで、空中に存在する障害物及び水面下に存在する障害物の両方を確実に検知しながら、基準値以下の高さの水面を障害物として誤って通知してしまうことを抑制することができる。
<実施形態のまとめ>
1. 上述の実施形態の移動体は、
運転者を乗せて移動する移動体(例えば、1)であって、
前記運転者が操作するハンドル(例えば、121)と、
前記ハンドルの操作によって操舵される前輪(例えば、123)と、
前記前輪の前方に存在する障害物を検知するセンサ(例えば、16)と、を有し、
前記センサは、前記前輪の操舵に連動して、前記障害物を検知する検知範囲(例えば、DR)が変更され、
前記センサは、前記移動体が所定の速度以下で走行しているときだけ、前記障害物を検知することを特徴とする。
2. 上述の実施形態の移動体は、
運転者を乗せて移動する移動体(例えば、1)であって、
前記運転者が操作するハンドル(例えば、121)と、
前記ハンドルの操作によって操舵される前輪(例えば、123)と、
前記前輪の前方に存在する障害物を検知するセンサ(例えば、16)と、を有し、
前記センサは、前記前輪の操舵に連動して、前記障害物を検知する検知範囲(例えば、DR)が変更され、
前記センサは、前記移動体が走行する水面の高さが基準値を超えているときだけ、前記障害物を検知することを特徴とする。
3. 上述の実施形態の移動体は、
運転者を乗せて移動する移動体(例えば、1)であって、
前記運転者が操作するハンドル(例えば、121)と、
前記ハンドルの操作によって操舵される前輪(例えば、123)と、
前記前輪の前方に存在する障害物を検知するセンサ(例えば、16)と、を有し、
前記センサは、前記前輪の操舵に連動して、前記障害物を検知する検知範囲(例えば、DR)が変更され、
前記センサは、前記移動体が所定の速度以下で走行し、且つ、前記移動体が走行する水面の高さが基準値を超えているときだけ、前記障害物を検知することを特徴とする。
これらの実施形態によれば、運転者が見落とす可能性が高い障害物、具体的には、前輪の前方に存在する障害物を検知することが可能であり、かかる障害物を検知するのに有利である。また、これらの実施形態によれば、障害物の検知が必要であるときだけセンサを機能させることで、省エネを実現することができる。
4. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記センサ(例えば、16)の軸方向は、前記移動体の進行方向と同一方向を指向していることを特徴とする。
この実施形態によれば、前輪の前方に存在する障害物を確実に検知することができる。
5. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記前輪(例えば、123)を支持するフロントフォーク(例えば、12)を更に有し、
前記センサ(例えば、16)は、前記移動体の上下方向において、前記前輪の最も高い部分よりも下方に位置するように、前記フロントフォークに配置されていることを特徴とする。
この実施形態によれば、前輪の前方に存在する障害物が低い高さの障害物であっても容易に検知することができるとともに、移動体の前方に存在する他の移動体などを障害物として誤検知してしまうことを抑制することができる。
6. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記センサ(例えば、16)は、前記フロントフォーク(例えば、12)の下端部に配置されていることを特徴とする。
この実施形態によれば、前輪の前方に存在する障害物が低い高さの障害物であっても容易に検知することができるとともに、移動体の前方に存在する他の移動体などを障害物として誤検知してしまうことを抑制しながら、最低地上高を確保することができる。
7. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記検知範囲は、前記前輪(例えば、123)の前方下方を指向していることを特徴とする。
この実施形態によれば、前輪の前方に存在する障害物が低い高さの障害物であっても容易に検知することができるとともに、移動体の前方に存在する他の移動体などを障害物として誤検知してしまうことを抑制することができる。
8. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記センサ(例えば、16)は、前記移動体の幅方向において、前記前輪(例えば、123)の2つの側面のうちの一方の側面の側に配置されていることを特徴とする。
この実施形態によれば、前輪の前方に存在する障害物を検知する構成を低コストで実現することができる。
9. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記センサ(例えば、16)は、超音波センサを含むことを特徴とする。
この実施形態によれば、前輪の近傍のみに検知範囲を規定して、障害物の誤検知を抑制することができる。
10. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記センサ(例えば、16)は、前記移動体に対して姿勢を変更可能に構成されている。
この実施形態によれば、センサを、障害物を検知するのに適した構成にすることができる。
11. 上述の実施形態の移動体(例えば、1)では、
前記移動体は、鞍乗型車両を含むことを特徴とする。
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。