以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1に示すように、車両姿勢制御装置100は、乗用車などの自車両Vに搭載される。車両姿勢制御装置100は、自車両Vの周囲の物体を検出しつつ、自車両Vのロール角、ピッチ角及び車高等の姿勢を制御し、自車両Vの自動運転を実行する。自動運転とは、自車両Vの加速、減速及び操舵等の運転操作が自車両Vのドライバーの運転操作によらずに実行されることを意味する。
図1に示すように、車両姿勢制御装置100は、外部センサ1、GPS(Global Positioning System)受信部2、内部センサ3、地図データベース4、ナビゲーションシステム5、アクチュエータ6、HMI(Human Machine Interface)7、アクティブサスペンション8、アクティブスタビライザ9、補助機器U及びECU10を備えている。
外部センサ1は、自車両Vの周辺情報である外部状況を検出する検出機器である。外部センサ1は、ライダー(LIDER:Laser Imaging Detection and Ranging)を含む。外部センサ1は、ライダーの替りにレーダー(Radar)又はカメラを含んでいてもよい。外部センサ1は、例えば、自車両Vの前方、左側方及び右側方に検出範囲を有する。外部センサ1の自車両Vの前方、左側方及び右側方の検出範囲は、例えば、自車両Vが走行する路面と平行な方向を検出範囲の中心とする。
ライダーは、光を利用して自車両Vの外部の物体を検出する。ライダーは、光を自車両Vの周囲に送信し、物体で反射された光を受信することで反射点までの距離を計測し、物体を検出する。ライダーは、例えば物体までの距離又は方向を物体情報として出力することができる。ライダーは、検出した物体情報をECU10へ出力する。なお、センサーフュージョンを行う場合には、反射された光の受信情報をECU10へ出力してもよい。
レーダーは、電波を利用して自車両Vの外部の物体を検出する。電波は、例えばミリ波である。レーダーは、電波を自車両Vの周囲に送信し、物体で反射された電波を受信して物体を検出する。レーダーは、例えば物体までの距離又は方向を物体に関する物体情報として出力することができる。レーダーは、検出した物体情報をECU10へ出力する。なお、センサーフュージョンを行う場合には、反射された電波の受信情報をECU10へ出力してもよい。
カメラは、自車両Vの外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば、自車両Vのフロントガラスの裏側に設けられている。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、例えば両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有している。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まれている。カメラは、自車両Vの外部状況に関する撮像情報をECU10へ出力する。なお、ライダー、レーダー及びカメラは、必ずしも重複して備える必要はない。
GPS受信部2は、3個以上のGPS衛星から信号を受信して、自車両Vの位置を示す位置情報を取得する。位置情報には、例えば緯度及び経度が含まれる。GPS受信部2は、測定した自車両Vの位置情報をECU10へ出力する。なお、GPS受信部2に代えて、自車両Vが存在する緯度及び経度が特定できる他の手段を用いてもよい。
内部センサ3は、自車両Vの姿勢に応じた情報及び自車両Vの走行状態に応じた情報を検出する検出器である。内部センサ3は、自車両Vの姿勢に応じた情報を検出するために、少なくとも、ロール角センサ及びピッチ角センサを含む。また、内部センサ3は、自車両Vの姿勢に応じた情報を検出するために、車高センサを含んでいてもよい。
ロール角センサは、自車両Vのロール角を検出するためのセンサである。ロール角は、例えば、自車両Vが走行する路面に対する自車両の前後方向に伸びる軸周りの回転角を意味する。ロール角センサとしては、例えばジャイロ式のセンサを用いることができる。ロール角センサは、自車両Vのロール角に応じた信号をECU10に送信する。
ピッチ角センサは、自車両Vのピッチ角を検出するためのセンサである。ピッチ角は、例えば、自車両Vが走行する路面に対する自車両の左右側方に伸びる軸周りの回転角を意味する。ピッチ角センサとしては、例えばジャイロ式のセンサを用いることができる。ピッチ角センサは、自車両Vのロール角に応じた信号をECU10に送信する。
車高センサは、自車両Vの車高を検出するためのセンサである。車高は、例えば、自車両Vが走行する路面から自車両Vの車体(車輪を除く)の一番低い箇所までの垂直距離である最低地上高又は自車両Vが走行する路面から自車両Vの外部センサ1の設置位置までの垂直距離を意味する。車高センサとしては、例えば、サスペンションアームと車体との上下変位量をポテンメーター等により電圧で検出することにより、車高を検出するセンサを用いることができる。あるいは、車高センサとしては、路面との距離を超音波やレーザーで計測する形式のものでもよい。車高センサは、自車両Vの車高に応じた信号をECU10に送信する。
内部センサ3は、自車両Vの走行状態に応じた情報を検出するために、車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサのうち少なくとも一つを含む。車速センサは、自車両Vの速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、自車両Vの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、自車両Vの速度を含む車速情報(車輪速情報)をECU10へ出力する。
加速度センサは、自車両Vの加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自車両Vの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両Vの横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、自車両Vの加速度を含む加速度情報をECU10へ出力する。
ヨーレートセンサは、自車両Vの重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサが用いられる。ヨーレートセンサは、自車両Vのヨーレートを含むヨーレート情報をECU10へ出力する。
地図データベース4は、地図情報を備えたデータベースである。地図データベース4は、例えば、自車両Vに搭載されたHDD(Hard disk drive)内に形成されている。地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報、交差点及び分岐点の位置情報が含まれる。道路形状の情報には、例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率などが含まれる。さらに、車両姿勢制御装置100が建物又は壁などの遮蔽構造物の位置情報、又はSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を使用する場合には、地図情報に外部センサ1の出力信号を含ませてもよい。なお、地図データベース4は、自車両Vと通信可能な情報処理センターなどの施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
ナビゲーションシステム5は、自車両Vの運転者によって地図上に設定された目的地までの案内を自車両Vの運転者に対して行う装置である。ナビゲーションシステム5は、GPS受信部2によって測定された自車両Vの位置情報と地図データベース4の地図情報とに基づいて、自車両Vの走行するルートを算出する。ルートは、例えば複数車線の区間において自車両Vが走行する走行車線を特定したルートでもよい。ナビゲーションシステム5は、例えば、自車両Vの位置から目的地に至るまでの目標ルートを計算し、ディスプレイの表示及びスピーカの音声出力により目標ルートの報知を運転者に対して行う。ナビゲーションシステム5は、例えば自車両Vの目標ルートの情報をECU10へ出力する。なお、ナビゲーションシステム5は、自車両Vと通信可能な情報処理センターなどの施設のコンピュータに記憶された情報を用いてもよい。あるいは、ナビゲーションシステム5により行われる処理の一部が、施設のコンピュータによって行われてもよい。
アクチュエータ6は、自車両Vの走行制御を実行する装置である。アクチュエータ6は、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ及びステアリングアクチュエータを少なくとも含む。スロットルアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自車両Vの駆動力を制御する。なお、自車両Vがハイブリッド車又は電気自動車である場合には、スロットルアクチュエータを含まず、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。アクセルアクチュエータは、自車両Vのスロットル開度に対応させてアクセルペダルの位置を変動させてもよい。
ブレーキアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自車両Vの車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。ブレーキアクチュエータは、自車両Vの車輪への制動力に対応させてブレーキペダルの位置を変動させてもよい。
ステアリングアクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、ステアリングアクチュエータは、自車両Vの操舵トルク及び操舵角を制御する。ステアリングアクチュエータは、自車両Vの操舵角に対応させてステアリングホイールの回転角度を変動させてもよい。
HMI7は、自車両Vの乗員(運転者を含む)と車両姿勢制御装置100との間で情報の出力及び入力をするためのインターフェイスである。HMI7は、例えば、乗員に画像情報を表示するためのディスプレイパネル、音声出力のためのスピーカ及び乗員が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネルなどを備えている。HMI7は、無線で接続された携帯情報端末を利用して、乗員に対する情報の出力を行ってもよく、携帯情報端末を利用して乗員による入力操作を受け付けてもよい。
アクティブサスペンション8は、ECU10からの制御信号に応じて、自車両Vの各輪を支持するエアサスペンションの駆動部を制御して、エアサスペンションのアブソーバの減衰力、エアサスペンションの変位量及び各輪にかかるタイヤ荷重を変化させる。なお、自車両Vが油圧式のサスペンションを備える場合は、アクティブサスペンション8は、サスペンションの油圧駆動部を制御することにより、サスペンションのアブソーバの減衰力、サスペンションの変位量及び各輪にかかるタイヤ荷重を変化させてもよい。
アクティブスタビライザ9は、ECU10からの制御信号に応じて、旋回時における自車両Vのロール角を制御する。アクティブスタビライザ9は、アクティブサスペンション8の左右のエアサスペンションに連結されたトーションバーを有する。トーションバーには、バーのねじれを制御するアクティブスタビライザ9の駆動部が設けられている。アクティブスタビライザ9の駆動部は、左右のトーションバーを逆方向に回転させることにより、左車輪の接地荷重と右車輪の接地荷重とに差を与え、旋回時における自車両Vのロール角を安定させる。
補助機器Uは、通常、自車両Vの運転者によって操作され得る機器である。補助機器Uは、アクチュエータ6に含まれない機器を総称したものである。ここでの補助機器Uは、例えば方向指示灯、前照灯、ワイパー等を含む。
ECU10は、自車両Vの自動運転を制御する。ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU10は、物体検出部11、姿勢検出部12、予測部13、姿勢制御部14、環境認識部15、走行計画生成部16及び走行制御部17を有している。ECU10では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、上記の物体検出部11等の各部の制御を実行する。ECU10は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
物体検出部11は、外部センサ1により取得された情報に基づいて、自車両Vの周囲の物体を検出する。物体検出部11が検出する物体には、例えば、歩行者、他車両、自動二輪車及び自転車等の移動物や、縁石、ガードレール、ポール、中央分離帯、建物及び樹木等の静止物が含まれる。物体検出部11は、自車両Vの周囲の物体について、自車両Vに対する位置、自車両Vとの距離、自車両Vに対する相対的な移動方向、自車両Vに対する相対速度、自車両Vに対する相対加速度及び大きさ等に関する情報を取得する。
姿勢検出部12は、内部センサ3のロール角センサ、ピッチ角センサ又は車高センサにより取得された情報に基づいて、自車両Vの姿勢の変化を検出する。自車両Vの姿勢の変化には、自車両Vのロール角、ピッチ角又は車高の変化の大きさや、単位時間当たりの自車両Vのロール角、ピッチ角又は車高の変化率が含まれる。
予測部13は、物体検出部11による物体の検出結果と、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果とに基づいて、物体検出部11が物体を検出できなくなるか否かを予測する。また、予測部13は、物体検出部11による物体の検出結果と、内部センサ3により検出された自車両Vの走行状態に応じた情報とに基づいて、物体検出部11が検出し続けるべき物体があるか否かを判定する。なお、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果には、自車両Vの姿勢が変化していないことを検出した検出結果も含まれる。
姿勢制御部14は、予測部13により物体検出部11が物体を検出できなくなると予測された場合に、予測部13による予測結果に基づいて、物体検出部11が物体を検出し続けられるように、アクティブサスペンション8及びアクティブスタビライザ9に制御信号を出力することにより、自車両Vの姿勢を制御する。
環境認識部15は、物体検出部11、GPS受信部2及び地図データベース4により取得された情報に基づいて、自車両V周囲の環境を認識する。環境認識部15は、物体検出部11により取得された情報に基づいて、例えば、道路の車線境界線(白線、黄線)、縁石、ガードレール、ポール、中央分離帯、建物及び樹木等の静止物や、歩行者、他車両、自動二輪車及び自転車等の移動物に関する情報を取得する。環境認識部15は、GPS受信部2及び地図データベース4により取得された情報に基づいて、自車両Vが走行している道路の形状、曲率、勾配、凹凸、車線数、分岐の有無、合流の有無等に関する情報を取得する。
走行計画生成部16は、ナビゲーションシステム5で計算された目標ルート、物体検出部11により認識された自車両V周囲の物体に関する情報、及び地図データベース4から取得された地図情報に基づいて、自車両Vの走行計画を生成する。走行計画は、目標ルートにおいて自車両Vが進む軌跡である。走行計画には、例えば、各時刻における自車両Vの速度、加速度、減速度、方向及び舵角等が含まれる。走行計画生成部16は、目標ルート上において自車両Vが安全、法令順守、走行効率などの基準を満たした走行をするような走行計画を生成する。さらに、走行計画生成部16は、自車両V周囲の物体の状況に基づき、物体との接触を回避するように自車両Vの走行計画を生成する。
走行制御部17は、走行計画生成部16で生成した走行計画に基づいて自車両Vの走行を自動で制御する。走行制御部17は、走行計画に応じた制御信号をアクチュエータ6に出力する。これにより、走行制御部17は、走行計画に沿って自車両Vの自動運転が実行されるように、自車両Vの走行を制御する。
次に、車両姿勢制御装置100で実行される処理について説明する。以下の説明では、車両姿勢制御装置100により、自車両Vの自動運転が実行されている状況を想定する。以下に図2を参照して説明される処理が、車両姿勢制御装置100により、例えば1〜500msごとに繰り返し実行される。
なお、自動運転の開始においては、例えば、自車両VのイグニションがONとなると、物体検出部11により検出された自車両V周囲の物体に基づいて、走行制御部17が、自動運転が可能か否かを判断する。自動運転が可能な場合は、走行制御部17はHMI7により乗員に自動運転が可能である旨を報知する。乗員がHMI7に所定の入力操作を行うことにより、車両姿勢制御装置100は自動運転を開始する。
図2に示すように、ECU10の物体検出部11は、自車両Vの周囲の物体を検出する(S1)。ECU10の姿勢検出部12は、自車両Vの姿勢の変化を検出する(S2)。ECU10の予測部13は、自車両Vの周囲に検出し続けるべき物体があるか否かを判定する(S3)。
予測部13は、例えば、内部センサ3により検出された自車両Vの進行方向に、物体検出部11により検出された物体が存在するときに、当該物体を物体検出部11が検出し続けるべき物体であると判定することができる。また、予測部13は、例えば、物体検出部11により検出された物体の自車両Vに対する相対的な移動方向が自車両Vに接近する方向であるときに、当該物体を物体検出部11が検出し続けるべき物体であると判定することができる。あるいは、予測部13は、例えば、物体検出部11により検出された物体の自車両Vとの距離が所定の閾値以下であるときに、当該物体を物体検出部11が検出し続けるべき物体であると判定することができる。
予測部13が自車両Vの周囲に検出し続けるべき物体がないと判定したときは(S3)、車両姿勢制御装置100は処理を終了する。予測部13が自車両Vの周囲に検出し続けるべき物体があると判定したときは(S3)、予測部13は、物体検出部11による物体の検出結果と、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果とに基づいて、物体検出部11が物体を検出できなくなるか否かを予測する(S4)。
予測部13により物体検出部11が物体を検出できなくなると予測されていない場合は(S4)、車両姿勢制御装置100は処理を終了する。ECU10の姿勢制御部14は、予測部13により物体検出部11が物体を検出できなくなると予測された場合に(S4)、予測部13による予測結果に基づいて、物体検出部11が物体を検出し続けられるように、自車両Vの姿勢を制御する(S5)。以下、S4及びS5の処理の例について説明する。
図3(A)に示すように、路面Sを走行する自車両Vの前方に検出し続けるべき物体O1がある状況を想定する。図3(A)の状況では、物体O1は、外部センサ1の前方検出範囲RF内に位置する。図3(B)に示すように、図3(A)の状況において自車両Vが減速動作を行った状況を想定する。減速動作により自車両Vには、自車両Vのピッチ角における俯角が増大するような外乱Dが作用する。
外乱Dによる自車両Vのピッチ角の変化は姿勢検出部12により検出される。予測部13は、物体検出部11による検出結果の物体O1の位置、大きさ等の情報と、姿勢検出部12により検出された単位時間当たりのピッチ角の変化率に関する情報と、外部センサ1の前方検出範囲RFの大きさに関する情報と、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力に関する情報とに基づいて、外部センサ1の前方検出範囲RFの路面Sへの俯角が増大し、物体O1が外部センサ1の前方検出範囲RF外に位置するようになると予測する。
図3(C)に示すように、姿勢制御部14は、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力に対して減衰力操作量MVAを与えることにより、自車両Vのピッチ角の変化を抑制し、物体O1が、外部センサ1の前方検出範囲RF内に留まるように自車両Vの姿勢を制御する。これにより、物体検出部11は、自車両Vの減速動作による自車両Vの姿勢の変化により検出不可能となる物体O1を検出し続けることができる。
また、別の例として、図4(A)に示すように、路面Sを走行する自車両Vの前方に検出し続けるべき物体O2がある状況を想定する。物体O2は、縁石等の路面Sからの高さが低い物体である。図4(A)の状況では、物体O2は、外部センサ1の前方検出範囲RF内に位置する。図4(B)に示すように、図4(A)の状況において自車両Vが加速動作を行った状況を想定する。加速動作により自車両Vには、自車両Vのピッチ角における仰角が増大するような外乱Dが作用する。
外乱Dによる自車両Vのピッチ角の変化は姿勢検出部12により検出される。予測部13は、物体検出部11による検出結果の物体O2の位置、大きさ等の情報と、姿勢検出部12により検出された単位時間当たりのピッチ角の変化率に関する情報と、外部センサ1の前方検出範囲RFの大きさに関する情報と、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力に関する情報とに基づいて、外部センサ1の前方検出範囲RFの路面Sへの仰角が増大し、路面Sからの高さが低い物体O2が、外部センサ1の前方検出範囲RF外に位置するようになると予測する。
図4(C)に示すように、姿勢制御部14は、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力に対して減衰力操作量MVAを与えることにより、自車両Vのピッチ角の変化を抑制し、物体O2が、外部センサ1の前方検出範囲RF内に留まるように自車両Vの姿勢を制御する。これにより、物体検出部11は、自車両Vの加速動作による自車両Vの姿勢の変化により検出不可能となる物体O2を検出し続けることができる。
また、別の例として、図5(A)に示すように、路面Sを走行する自車両Vの右側方に検出し続けるべき物体O3があり、自車両Vの左側方に検出し続けるべき物体O4がある状況を想定する。物体O4は、縁石等の路面Sからの高さが低い物体である。図5(A)の状況では、物体O3は外部センサ1の右側方検出範囲RR内に位置し、物体O4は外部センサ1の左側方検出範囲RL内に位置する。図5(B)に示すように、図5(A)の状況において自車両Vが左旋回動作を行った状況を想定する。左旋回動作により自車両Vには、自車両Vのロール角における右側への傾斜角が増大するような外乱Dが作用する。
外乱Dによる自車両Vのロール角の変化は姿勢検出部12により検出される。予測部13は、物体検出部11による検出結果の物体O3,O4の位置、大きさ等の情報と、姿勢検出部12により検出された単位時間当たりのロール角の変化率に関する情報と、外部センサ1の右側方検出範囲RR及び左側方検出範囲RLの大きさに関する情報と、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力及びアクティブスタビライザ9による左車輪の接地荷重と右車輪の接地荷重との差に関する情報とに基づいて、外部センサ1の右側方検出範囲RRの俯角及び左側方検出範囲RLの仰角が増大し、物体O3が外部センサ1の右側方検出範囲RR外に位置するようになり、物体O4が外部センサ1の左側方検出範囲RL外に位置するようになると予測する。
図5(C)に示すように、姿勢制御部14は、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力に対して減衰力操作量MVAを与えることにより、自車両Vのロール角の変化を抑制し、物体O3が外部センサ1の右側方検出範囲RR内に留まり、物体O4が外部センサ1の左側方検出範囲RL内に留まるように自車両Vの姿勢を制御する。これにより、物体検出部11は、自車両Vの左旋回動作による自車両Vの姿勢の変化により検出不可能となる物体O3,O4を検出し続けることができる。
また、別の例として、図6(A)に示すように、路面Sを走行する自車両Vの前方の上り勾配A上に他車両等の検出し続けるべき物体O5が走行している状況を想定する。図6(A)の状況では、物体O5は、外部センサ1の前方検出範囲RF内に位置する。図6(B)に示すように、図6(A)の状況において、自車両Vは略水平な路面Sを走行する一方、物体O5は上り勾配Aを登坂し続ける。
略水平な路面Sを走行する自車両Vのピッチ角が略一定であることは姿勢検出部12により検出される。予測部13は、物体検出部11による検出結果の物体O5の位置、大きさ、自車両Vに対する相対的な移動方向等の情報と、姿勢検出部12により検出された単位時間当たりのピッチ角の変化率に関する情報と、外部センサ1の前方検出範囲RFの大きさに関する情報とに基づいて、上り勾配Aを登坂し続ける物体O5が路面Sの上方に移動し、物体O5が外部センサ1の前方検出範囲RF外に位置するようになると予測する。
図6(C)に示すように、姿勢制御部14は、アクティブサスペンション8のエアサスペンションの変位量に対して変位量操作量MVSを与えることにより、自車両Vのピッチ角における仰角を増大させ、物体O5が、外部センサ1の前方検出範囲RF内に留まるように自車両Vの姿勢を制御する。これにより、物体検出部11は、上り勾配Aを登坂し続ける物体O5の位置の変化により検出不可能となる物体O5を検出し続けることができる。
また、図7(A)に示すように、図6(A)の状況と同様に、路面Sを走行する自車両Vの前方の上り勾配A上に他車両等の検出し続けるべき物体O5が走行している状況を想定する。図6(A)の状況と同様に、物体O5は、外部センサ1の前方検出範囲RF内に位置する。図7(B)に示すように、図7(A)の状況において自車両Vが減速動作を行った状況を想定する。減速動作により自車両Vには、自車両Vのピッチ角における俯角が増大するような外乱Dが作用する。また、図6(B)の状況と同様に、自車両Vは略水平な路面Sを走行する一方、物体O5は上り勾配Aを登坂し続ける。
外乱Dによる自車両Vのピッチ角の変化は姿勢検出部12により検出される。予測部13は、物体検出部11による検出結果の物体O5の位置、大きさ、自車両Vに対する相対的な移動方向等の情報と、姿勢検出部12により検出された単位時間当たりのピッチ角の変化率に関する情報と、外部センサ1の前方検出範囲RFの大きさに関する情報と、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力に関する情報とに基づいて、外部センサ1の前方検出範囲RFの路面Sへの俯角が増大し、且つ上り勾配Aを登坂し続ける物体O5が路面Sの上方に移動し、物体O5が外部センサ1の前方検出範囲RF外に位置するようになると予測する。
図7(C)に示すように、姿勢制御部14は、アクティブサスペンション8のアブソーバの減衰力に対して減衰力操作量MVAを与えることにより、外乱Dによる自車両Vのピッチ角の変化を抑制し、且つアクティブサスペンション8のエアサスペンションの変位量に対して変位量操作量MVSを与えることにより、自車両Vのピッチ角における仰角を増大させ、物体O5が、外部センサ1の前方検出範囲RF内に留まるように自車両Vの姿勢を制御する。これにより、物体検出部11は、自車両Vの減速動作による自車両Vの姿勢の変化と上り勾配Aを登坂し続ける物体O5の位置の変化とにより検出不可能となる物体O5を検出し続けることができる。
本実施形態によれば、車両姿勢制御装置100において、予測部13により、物体検出部11による物体の検出結果と、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果とに基づいて、物体検出部11が物体を検出できなくなるか否かが予測され、姿勢制御部14により、予測部13により物体検出部11が物体を検出できなくなると予測された場合に、予測部13による予測結果に基づいて、物体検出部11が物体を検出し続けられるように、自車両Vの姿勢が制御される。このため、自車両Vの周囲の物体を検出する場合において、物体をより検出し続けられるようにすることができる。したがって、自車両Vの周囲の物体や環境を認識する精度を向上させることができる。
また、本実施形態の車両姿勢制御装置100は、自車両Vの周囲の環境を認識する精度の向上により、安全性の向上と、効率的でロバストな運転支援のための走行計画の生成に寄与する。また、効率的でロバストな走行計画の生成により、例えば、不要な加速操作及び減速操作が低減されることで、乗員の乗り心地の向上、燃費の向上及び自車両Vの周囲の交通流の円滑化をもたらす効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、車両姿勢制御装置100の予測部13は、物体検出部11による物体の検出結果とに加えて、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果と、環境認識部15より取得した自車両Vが走行する路面Sの勾配、凹凸等の三次元的な形状とに基づいて、物体検出部11が物体を検出できなくなるか否かを予測し、姿勢制御部14は、予測部13による予測結果に基づいて、物体検出部11が物体を検出し続けられるように、自車両Vの姿勢を制御してもよい。これにより、上り勾配や下り勾配といった路面Sの形状を考慮した自車両Vの姿勢制御を計画的に実行することができる。
また、車両姿勢制御装置100の予測部13は、物体検出部11による物体の検出結果と、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果とに加えて、走行計画生成部16により生成された走行計画中の減速の予定、走行制御部17によるブレーキアクチュエータへの制御信号、ブレーキアクチュエータによる自車両Vの車輪への制動力及びブレーキアクチュエータにより変動させられたブレーキペダルの位置のいずれかとに基づいて、物体検出部11が物体を検出できなくなるか否かを予測し、姿勢制御部14は、予測部13による予測結果に基づいて、物体検出部11が物体を検出し続けられるように、自車両Vの姿勢を制御してもよい。これにより、減速による自車両Vの姿勢の変化を予測し、自車両Vの姿勢制御を計画的に実行することができる。
また、車両姿勢制御装置100の予測部13は、物体検出部11による物体の検出結果と、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果とに加えて、走行計画生成部16により生成された走行計画中の加速の予定、走行制御部17によるアクセルアクチュエータへの制御信号及びアクセルアクチュエータにより制御された自車両Vのスロットル開度及びアクセルアクチュエータにより変動させられたアクセルペダルの位置のいずれかとに基づいて、物体検出部11が物体を検出できなくなるか否かを予測し、姿勢制御部14は、予測部13による予測結果に基づいて、物体検出部11が物体を検出し続けられるように、自車両Vの姿勢を制御してもよい。これにより、加速による自車両Vの姿勢の変化を予測し、自車両Vの姿勢制御を計画的に実行することができる。
また、車両姿勢制御装置100の予測部13は、物体検出部11による物体の検出結果と、姿勢検出部12による姿勢の変化の検出結果とに加えて、走行計画生成部16により生成された走行計画中の旋回の予定、走行制御部17によるステアリングアクチュエータへの制御信号、ステアリングアクチュエータにより制御された自車両Vの操舵トルク、操舵角及びステアリングアクチュエータにより変動させられたステアリングホイールの回転角度のいずれかとに基づいて、物体検出部11が物体を検出できなくなるか否かを予測し、姿勢制御部14は、予測部13による予測結果に基づいて、物体検出部11が物体を検出し続けられるように、自車両Vの姿勢を制御してもよい。これにより、旋回による自車両Vの姿勢の変化を予測し、自車両Vの姿勢制御を計画的に実行することができる。