JP7232072B2 - 変性セルロースナノファイバー、ガスバリア用材料及びガスバリア性成形体 - Google Patents

変性セルロースナノファイバー、ガスバリア用材料及びガスバリア性成形体 Download PDF

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Description

本発明は、変性セルロースナノファイバー、ガスバリア用材料及びガスバリア性成形体に関する。
食品や医薬品や自動車分野等に広く利用されている包装材料及び遮蔽材料には、内容物を保護するために、酸素、水蒸気、水素等の気体が材料を透過することを防止させる機能、いわゆるガスバリア性を備えることが求められる。従来、ガスバリア性材料としては、温度や湿度の影響が少ないアルミニウムあるいはポリ塩化ビニリデン等の素材が用いられてきた。しかし、近年では、環境汚染、労働安全衛生、省資源、非危険物化等の観点から、有機溶剤型から水性型の材料への転換が進んでいる。この観点から、ガスバリア用材料として、天然に多量に存在するバイオマス由来の水不溶性繊維で形成される材料が注目されている。
このような材料としては、例えば、セルロース繊維が知られており、特に、ナノサイズの繊維径を有するセルロースナノファイバーが着目されている。セルロースナノファイバーは、生分解性を有することに加え、強度、弾性率、寸法安定性、耐熱性、結晶性等の物理特性にも優れるため、機能性材料への応用が期待されている材料である。
例えば、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(以下、「TEMPO」という)触媒による酸化反応から得られるセルロースを、分散処理することで得られるアニオン変性セルロースナノファイバーが提案されている(例えば、特許文献1)。このようなアニオン変性セルロースナノファイバーは、前述のセルロース系材料の性質に加え、透明性が高く、乾燥条件下における高いガスバリア性を有する。
また、ガスバリア性能をさらに向上させるべく、種々の技術も提案されている。例えば、特定のセルロース繊維を含む層を基材に設け、さらに樹脂層を積層する方法、特定のセルロース繊維と水溶性高分子とを組み合わせる方法、あるいは、架橋構造を有するセルロース繊維層を形成する方法等が提案されている(特許文献2、3等)。
特開2009-57552号公報 特開2018-69676号公報 特開2015-227517号公報
しかしながら、従来のセルロースナノファイバーを用いたガスバリア性材料では、例えば、高湿度下におけるガスバリア性は、未だ実用レベルには達していないのが現状であり、近年求められている高いガスバリア性の水準には到達させるべく、改善の余地があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、高湿度環境下においても高いガスバリア性を有する変性セルロースナノファイバー、ガスバリア用材料及びガスバリア性成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、変性セルロースナノファイバーを形成するセルロース構成単位が特定のイオン対を有することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
変性セルロースナノファイバーにおいて、
平均繊維径が200nm以下であり、
セルロース構成単位はアニオン性基を有し、
前記アニオン性基は、塩基性アミノ酸を対イオンとして有する、変性セルロースナノファイバー。
項2
前記アニオン性基が、カルボキシル基、リン酸基及び硫酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の変性セルロースナノファイバー。
項3
前記塩基性アミノ酸が、リシン、ヒスチジン及びアルギニンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1又は2に記載の変性セルロースナノファイバー。
項4
項1~3のいずれか1項に記載の変性セルロースナノファイバーを備える、ガスバリア用材料。
項5
項4に記載のガスバリア用材料を含む層を備える、ガスバリア性成形体。
項6
項5に記載のガスバリア性成形体の製造方法であって、
基材に、前記ガスバリア用材料を付着してガスバリア性成形体を得る工程を有する、ガスバリア性成形体の製造方法。
本発明に係る変性セルロースナノファイバーによれば、高湿度環境下においても高いガスバリア性を有する材料を形成することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.変性セルロースナノファイバー
本発明の変性セルロースナノファイバーは、平均繊維径が200nm以下であり、セルロース構成単位はアニオン性基を有し、前記アニオン性基は、塩基性アミノ酸を対イオンとして有する。
本発明の変性セルロースナノファイバーによれば、高湿度環境下においても高いガスバリア性を有する材料を形成することができる。
以下、本発明の変性セルロースナノファイバーを単に「変性セルロースナノファイバー」と表記する。変性セルロースナノファイバーとは、セルロースナノファイバーが変性されたものであって、特に、セルロースナノファイバーがアニオン性基で修飾されている構造を有することを意味する。
変性セルロースナノファイバーは、セルロース分子を構成単位(以下、「セルロース構成単位」と表記する)として有する材料であり、特に、ナノメートルレベルの繊維径を有する繊維状の材料である。
変性セルロースナノファイバーは、平均繊維径が200nm以下である限り、高湿度環境下においても優れたガスバリア性を発揮することができる。変性セルロースナノファイバーの平均繊維径の下限値は特に限定されず、例えば、1nm以上とすることができる。高湿度環境下においてより優れたガスバリア性を発揮することができる点で、変性セルロースナノファイバーの平均繊維径は50nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、変性セルロースナノファイバーの平均繊維径は、次のようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05~0.1質量%の変性セルロースナノファイバーの水分散体を調製する。この水分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。
そして、変性セルロースナノファイバーを構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。この観察の際、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像あたり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく(例えば、ノギスで計測)。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る。これにより、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が取得可能である。このようにして得られた繊維径のデータから、変性セルロースナノファイバーの平均繊維径を算出する。つまり、本明細書において変性セルロースナノファイバーの平均繊維径とは、変性セルロースナノファイバーの数平均繊維径を意味する。
変性セルロースナノファイバーにおいて、セルロース構成単位が形成する結晶構造は特に限定されず、例えば、I型結晶構造であることが好ましい。セルロース構成単位がI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により判定することができる。具体的に広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14~17°付近と、2θ=22~23°付近との2つの位置に典型的なピークがある場合、セルロース構成単位がI型結晶構造を有すると判定することができる。
変性セルロースナノファイバーにおいて、セルロース構成単位はアニオン性基を有する。より具体的には、セルロース構成単位を形成するグルコースユニットがアニオン性基を有する。アニオン性基とは、アニオン性を示す置換基のことをいう。
アニオン性基は、セルロース構成単位を形成するすべてのグルコースユニットに一つ又は一つ以上結合していてもよいし、あるいは、アニオン性基は、セルロース構成単位を形成する一部のグルコースユニットに一つ又は一つ以上結合していてもよい。結合部位としては、グルコースユニットの1位炭素に直接又は間接的に結合していることが好ましい。
アニオン性基は、変性セルロースナノファイバーにおいて特に表面に配置されているセルロース構成単位に有しやすい。
アニオン性基の種類は特に限定されず、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、硫酸基等を挙げることができ、これらのいずれか1種又は2種以上とすることができる。高湿度環境下においてより優れたガスバリア性を発揮することができる点で、アニオン性基は、カルボキシル基、リン酸基及び硫酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらのアニオン性基は、グルコースユニットに直接結合することもできるし、あるいは間接的に結合することもできる。間接的に結合している場合、グルコースユニットとアニオン性基との間には、例えば、炭素数1~4のアルキレン基が存在していてもよい。より具体的には、アニオン性基としてカルボキシル基が、炭素数1のアルキレン基(メチレン基)を介してグルコースユニット結合している構造を挙げることができる。言い換えれば、この場合、アニオン性基はカルボキシメチル基であり、これがグルコースユニットに直接結合しているということができる。
変性セルロースナノファイバーにおいて、アニオン性基の含有量は特に限定されない。変性セルロースナノファイバーを基準として、例えば、アニオン性基を0.05~3.0mmol/g含有することができ、0.6~2.5mmol/g含有することが好ましい。
変性セルロースナノファイバー中のアニオン性基の含有量の測定は、例えば、次のように行うことができる。まず、アニオン性基がカルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基である場合、乾燥質量を精秤した変性セルロースナノファイバー試料から0.5~1質量%スラリー(水分散液)を60mL調製する。当該スラリーは、0.1Mの塩酸水溶液によって、そのpHを約2.5に調整した後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、電気伝導度をpHが約11になるまで測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記の式(1)に従い、変性セルロースナノファイバー中のアニオン性基の含有量を求めることができる。
アニオン性基含有量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/W〕・・・(1)
(式(1)中、Wは変性セルロースナノファイバーの質量(g)である。)
アニオン性基がリン酸基及び/又はその塩である場合、その含有量についても、上記同様の電気伝導度測定により測定することができる。その他のアニオン性基についても公知の方法で測定することができる。
前記アニオン性基は、塩基性アミノ酸を対イオンとして有する。例えば、変性セルロースナノファイバーにおいて、前記アニオン性基は塩基性アミノ酸で中和されている。アニオン性基が塩基性アミノ酸を対イオンとして有することで、変性セルロースナノファイバーの解繊が容易になることに加えて、高湿度環境下において優れたガスバリア性を発揮することができる。限定的な解釈を望むものではないが、塩基性アミノ酸の存在により、変性セルロースナノファイバーの塗膜が形成された場合にアミノ酸どうしの水素結合が起こりやすく、これにより従来の対カチオンに比べて水分の影響を受けにくくなる。この結果、変性セルロースナノファイバーの耐湿性、つまり、高湿度環境下におけるガスバリア性が向上すると推察される。
塩基性アミノ酸とは、分子内に1つのアミノ基に加えて、さらに塩基性を示す残基を有するアミノ酸をいう。塩基性アミノ酸の種類は特に限定されず、例えば、リシン、ヒスチジン及びアルギニンからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。リシン水溶液の等電点は9.7、ヒスチジン水溶液の等電点は7.6、アルギニン水溶液の等電点は10.8とされている。
塩基性アミノ酸は、セルロース構成単位のすべてのアニオン性基と対イオンを形成することができ、あるいは、セルロース構成単位の一部のアニオン性基と対イオンを形成することもできる。セルロース構成単位の一部のアニオン性基と対イオンを形成する場合、例えば、アニオン性基の全量に対して50%以上のアニオン性基が塩基性アミノ酸と対イオンを形成している場合、ファイバーをナノ分散させやすい。この場合、変性セルロースナノファイバーは高湿度環境下においてより優れたガスバリア性を発揮することができる。
セルロース構成単位の一部のアニオン性基が対イオンを有している場合、対イオンを形成していないアニオン性基は酸型になっていてもよく、あるいは、塩基性アミノ酸以外のカチオンを対イオンとして有していてもよく、その両方であってもよい。塩基性アミノ酸以外のカチオンの種類は特に限定されず、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アンモニウム、アミン、ホスホニウム等が挙げられる。
変性セルロースナノファイバーにおいて、アニオン性基に塩基性アミノ酸を対イオンとして形成させる方法は特に限定されず、公知の方法を広く採用することができる。例えば、アニオン性基を有するセルロースナノファイバーに塩基性アミノ酸を反応させる方法、つまり、セルロースナノファイバーを塩基性アミノ酸で中和処理をする方法等を挙げることができる。例えば、アニオン性基を有するセルロースナノファイバーの水分散液と塩基性アミノ酸とを、pHが7になるまで混合することができる。
<変性セルロースナノファイバーの製造方法>
変性セルロースナノファイバーを製造する方法は特に限定されず、公知の製造方法を広く採用することができる。その製造方法の一例として、セルロース構成単位を形成するグルコースユニットの水酸基が酸化された酸化セルロース(以下、「酸化セルロース(A)」と表記する)を用いて、変性セルロースナノファイバーを製造することができる。この場合、アニオン性基はカルボン酸基を含む。
酸化セルロース(A)は、例えば、グルコースユニットの6位の水酸基が選択的に酸化された構造を有することが好ましい。酸化セルロース(A)がグルコースユニット上の6位の水酸基が選択的に酸化されていることの判断は、例えば、13C-NMRチャートにより確認することができる。なお、酸化セルロース(A)は、カルボン酸基(COOH)及び/又はカルボン酸塩基(COOX、ここでXはカルボン酸と塩を形成する陽イオン)とともに、アルデヒド基及び/又はケトン基を有してもよいが、好ましくはアルデヒド基及び/又はケトン基を実質的に有しないことである。
酸化セルロース(A)を使用した変性セルロースナノファイバーの製造方法は、公知の方法を広く採用でき、例えば、(1)酸化反応工程、(2)還元工程、(3)精製工程、(4)分散工程(微細化処理工程)等を備える製造方法を挙げることができる。
(1)酸化反応工程
酸化反応工程は、例えば、セルロース原料とN-オキシル化合物とを水(分散媒)に分散させた後、共酸化剤を添加して反応を行う工程である。当該反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10~11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なすことができる。共酸化剤とは、直接的にセルロース水酸基を酸化する物質ではなく、酸化触媒として用いられるN-オキシル化合物を酸化する物質を示す。
前記セルロース原料として天然セルロースを挙げることができる。天然セルロースは、植物、動物、バクテリア産生ゲル等のセルロースの生合成系から単離した精製セルロースを意味する。より具体的に、天然セルロースとしては、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ、バクテリアセルロース(BC)、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロース等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプが好ましい。
前記N-オキシル化合物としては、例えば、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物が挙げられる。N-オキシル化合物は、水溶性の化合物が好ましく、なかでもピペリジンニトロキシオキシラジカルが好ましく、特に2,2,6,6-テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)または4-アセトアミド-TEMPOが好ましい。N-オキシル化合物の添加は、触媒量で充分であり、例えば0.1~4mmol/Lの範囲で反応水溶液に添加してもよい。
前記共酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、過有機酸等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、反応速度の点から、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属の存在下で反応を進めることが好ましい。共酸化剤の使用量は、セルロース原料に対して、例えば、0.1~100mmol/gとなるように調節することができる。
酸化反応工程で行う反応において、反応時のpHは約8~11の範囲で維持されることが好ましい。反応温度は約4~40℃において任意であり、特に温度の制御は必要としない。最終的に得られる変性セルロースナノファイバーのアニオン性基の含有量は、共酸化剤の添加量及び反応時間により酸化の程度を制御することで、所望の範囲に調節することができる。通常、酸化反応工程で行う反応の反応時間は約5~120分、長くとも240分以内で完了し得る。酸化反応工程での反応で得られた反応液は、適宜、各種の酸によりpH等を調整することができ、例えば、塩酸でpHを中性付近に調整することができる。
(2)還元工程
還元工程では、前記酸化反応工程の反応で得られた生成物の還元反応を行う工程である。当該還元工程は必須の工程ではなく、必要に応じて設ける工程である。前記酸化反応工程の反応で得られた生成物の還元反応を行うことで、酸化反応工程で形成されたアルデヒド基およびケトン(つまり、カルボン酸まで酸化されなかった基)の一部ないし全部が還元され、水酸基に戻る。これにより、最終的に得られる変性セルロースナノファイバーが分解しにくくなる。
還元工程では、酸化反応工程で得られた生成物、つまり、微細酸化セルロースを精製水に分散し、水分散体のpHを約10に調整し、各種還元剤により還元反応を行うことができる。還元剤としては、公知の還元剤を広く使用でき、例えば、LiBH、NaBHCN、NaBH等が挙げられる。
還元剤の量は、微細酸化セルロースを基準として、0.1~4質量%の範囲で使用することが好ましい。還元反応は、室温(例えば、25℃)又は室温より若干高い温度で、通常、10分~10時間、好ましくは30分~2時間行う。反応終了後、各種の酸により反応混合物のpHを約2に調整し、精製水をふりかけながら遠心分離機で固液分離を行い、ケーキ状の微細酸化セルロースを得ることができる。
(3)精製工程
前記酸化反応工程又は還元工程の後、精製工程を行う。これにより、酸化セルロース(A)が得られる。この精製工程は、例えば、酸化セルロース(A)から、未反応の共酸化剤(次亜塩素酸等)や各種副生成物等を除く目的で行う。酸化セルロース(A)は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返す。これにより、高純度(99質量%以上)水分散体が得られる。精製工程における精製方法は、遠心脱水を利用する方法(例えば、連続式デカンダー)のように、上述した目的を達成できる装置であればどのような装置を利用しても差し支えない。精製工程では、必要に応じて、塩酸等の無機酸で酸洗浄を行うことができる。
(4)分散工程(微細化処理工程)
分散工程(微細化処理工程ともいう)は、前記精製工程にて得られた酸化セルロース(A)の水分散体に対して、アニオン性基(カルボン酸基)の中和を目的とし、塩基性アミノ酸を添加する工程である。塩基性アミノ酸は、前記と同様であり、例えば、リシン、ヒスチジン及びアルギニンからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
分散工程では、酸化セルロース(A)の水分散体と塩基性アミノ酸とを混合して得られた混合液に対し、分散機にて酸化セルロース(A)の予備解繊を行った後、マイクロフルイタイザー等の解繊機にて本解繊を行う。
本解繊を続けることによって、混合液の粘度が上昇し、微細化処理(即ち、解繊処理)された変性セルロースナノファイバーの水分散体を得ることができる。
分散工程において、酸化セルロース(A)の水分散体と塩基性アミノ酸とを混合して得られた混合液のpHは、得られる変性セルロースナノファイバーが高湿度環境下においてより優れたガスバリア性を有する観点から6.0~12.0に調整することが好ましく、7.0~10.0に調整することがより好ましい。
分散工程で予備解繊のために使用する分散機としては、高圧ホモミキサー等のほか、超音波分散処理機、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等の強力で叩解能力のある装置を使用することができる。高圧ホモミキサーを使用する場合、回転数は、例えば、2000~15000rpmとすることができる。
解繊機としてマイクロフルイタイザーを使用する場合、処理時の圧力は、例えば、30~200MPaとすることができる。
分散工程で使用する塩基性アミノ酸の使用量は特に限定されず、例えば、前述のように、最終的に得られる変性セルロースナノファイバーを基準として、例えば、アニオン性基の含有量が0.05~3.0mmol/g(好ましくは0.6~2.5mmol/g)となるように塩基性アミノ酸を使用することが好ましい。
以上の(1)酸化反応工程と、任意である(2)還元工程と、(3)精製工程と、(4)分散工程(微細化処理工程)とを経て、変性セルロースナノファイバーが得られる。
(変性セルロースナノファイバーの他の製造方法)
次に、アニオン性基がカルボキシメチル基である変性セルロースナノファイバー(以下、カルボキシメチル化セルロース(B)という。)の製造方法を説明する。この製造方法を以下、「製造方法2」と表記する。製造方法2では、上記セルロース原料を用いて次のように製造することができる。
製造方法2では、上記セルロース原料と、該原料に対して3~20倍質量の低級アルコール及び水との混合溶媒とを混合し、そこへ塩基性アミノ酸を混合させてアルカリ処理を行うことができる。低級アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等を使用することができ、これらは1種又は2種以上とすることができる。低級アルコールと水との混合溶媒中、低級アルコールは60~95質量%含むことができる。アルカリ処理の温度は、例えば、0~70℃とすることができ、アルカリ処理時間は15分~8時間とすることができる。
製造方法2において、アルカリ処理の後、カルボキシメチル化剤を加えることで、エーテル化反応を行う。カルボキシメチル化剤としては、モノクロロ酢酸ナトリウム等が例示される。エーテル化反応では、カルボキシメチル化剤の使用量は特に限定されず、例えば、セルロース原料におけるグルコース残基あたり0.05~10倍モル量の使用量とすることができる。エーテル化反応の温度は30~90℃とすることができ、反応時間は30分~10時間とすることができる。
エーテル化反応の後は、前述の酸化セルロース(A)を用いた変性セルロースナノファイバーの製造方法と同様、分散工程を行う。製造方法2において、分散工程の条件はすべて、前述の酸化セルロース(A)を用いた変性セルロースナノファイバーの製造方法で採用され得る分散工程の条件と同様である。当該分散工程により、アニオン性基としてカルボキシメチル基を含み、その対イオンとして塩基性アミノ酸を有する変性セルロースナノファイバーを得ることができる。
<変性セルロースナノファイバーの他の製造方法>
次に、アニオン性基としてリン酸基を含むアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法を説明する。アニオン性基としてリン酸基を含むアニオン変性セルロースナノファイバーの製造方法として、乾燥状態又は湿潤状態のセルロース原料と、リンを含有する化合物の粉末又は水溶液とを混合する工程を備える製造方法P1、あるいは、セルロース原料の分散液と、リンを含有する化合物の水溶液とを混合する工程を備える製造方法P2が挙げられる。
前記製造方法P1及びP2で使用するセルロース原料は、前述の酸化セルロース(A)を用いた製造方法で例示列挙したセルロース原料と同様の種類を挙げることができる。
製造方法P1及びP2において、リンを含有する化合物としては、例えば、リン酸又はリン酸誘導体を挙げることができる。リンを含有する化合物は1種単独で使用することができ、あるいは2種以上を併用することもできる。
リン酸誘導体としては、リン原子を含有するオキソ酸、ポリオキソ酸あるいはそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が例示される。
リンを含有する化合物のさらなる具体例として、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸水素二ナトリウム等を挙げることができる。
前記製造方法P1及びP2において、セルロース原料と、リンを含有する化合物とを混合することで、脱水反応が進行してセルロース原料のセルロース構成単位にリン酸エステルが形成され、リン酸基又はその塩がセルロース構成単位に導入される。
前記製造方法P1及びP2において、セルロース原料と、リンを含有する化合物とを混合方法は特に限定されず、公知の混合方法を広く採用できる。例えば、セルロース原料に、リンを含有する化合物を含むリン酸化剤を噴霧する方法を採用することもできる。
前記製造方法P1及びP2のいずれにおいても、通常、セルロース原料と、リンを含有する化合物とを混合した後は、必要に応じて脱水処理及び加熱処理等を行う。脱水処理及び加熱処理は、例えば、公知のセルロースナノファイバーの製造方法と同様の条件とすることができる。
製造方法P1及びP2において、セルロース原料と、リンを含有する化合物とを混合した後に必要に応じて脱水処理及び加熱処理をした後は、前記分散工程(微細化処理工程)と同様の工程を行う。分散工程の条件はすべて、前述の酸化セルロース(A)を使用した製造方法で採用され得る分散工程の条件と同様である。当該分散工程により、アニオン性基としてリン酸基を含み、その対イオンとして塩基性アミノ酸を有する変性セルロースナノファイバーを得ることができる。
(変性セルロースナノファイバーの他の製造方法)
次に、アニオン性基が硫酸基である変性セルロースナノファイバーの製造方法を説明する。この製造方法を以下、「製造方法3」と表記する。製造方法3では、上記セルロース原料を用いて次のように製造することができる。
製造方法3では、上記セルロース原料の硫酸エステル化反応を行うことで、アニオン性基が硫酸基である変性セルロースナノファイバーを得ることができる。
製造方法3において、硫酸エステル化反応は、例えば、公知の方法を広く採用することができる。例えば、セルロース原料と、スルファミン酸とを反応させることで、セルロースの水酸基の一部を硫酸基に置換する方法が挙げられる。この場合、スルファミン酸の使用量は特に限定されず、セルロース繊維への置換基の導入量を考慮して適宜調整することができる。スルファミン酸の使用量は、例えば、セルロース分子中のアンヒドログルコース単位1モルあたり、好ましくは0.01~50モル、より好ましくは0.1~30モルとすることができる。
硫酸エステル化反応の温度は、0~100℃とすることができ、好ましくは10~80℃、さらに好ましくは20~70℃である。反応温度を適切に調節することで、反応完結に長時間を要することなく、また、セルロース分子内のグリコシド結合が切断する等の現象も起こりにくくすることができる。硫酸エステル化反応は、通常、30分~5時間で完結する。
製造方法3において、硫酸エステル化反応の後、前述の酸化セルロース(A)を用いた変性セルロースナノファイバーの製造方法と同様、分散工程を行う。製造方法3において、分散工程の条件はすべて、前述の酸化セルロース(A)を用いた変性セルロースナノファイバーの製造方法で採用され得る分散工程の条件と同様である。当該分散工程により、アニオン性基として硫酸基を含み、その対イオンとして塩基性アミノ酸を有する変性セルロースナノファイバーを得ることができる。
2.ガスバリア用材料
ガスバリア用材料は、前記変性セルロースナノファイバーを備える。ガスバリア用材料の一態様として、変性セルロースナノファイバーが分散媒に分散した分散体を挙げることが。あるいは、ガスバリア用材料の他の態様として、分散媒は含まず、固体状、例えば、粉末状の変性セルロースナノファイバーを挙げることができる。
ガスバリア用材料が分散体である場合、分散媒の種類は特に限定されず、種々の溶媒を適用することができ、例えば、水系溶媒を挙げることができる。水系溶媒としては、水、炭素数1~3程度のアルコール、あるいはこれらの混合溶媒を挙げることができる。水は、蒸留水、水道水、工業用水、イオン交換水、脱イオン水、純水、電解水などの各種の水を用いることができる。
ガスバリア用材料が分散体である場合、分散体における変性セルロースナノファイバーの濃度は特に限定されない。例えば、変性セルロースナノファイバーの製膜性に優れ、形成された膜が高湿度環境下においてより優れたガスバリア性を発揮することができる点で、0.01~10質量%とすることができ、0.03~8質量%であることが好ましく、0.05~5質量%であることがより好ましい。
ガスバリア用材料が分散体である場合、製膜性及び防腐性を付与するため、分散媒とは異なる親水性媒体を別途含むこともできる。親水性媒体は、水酸基などの親水基を分子内に有する媒体を指し、水溶性、即ち水に溶解する有機化合物を挙げることができる。
親水性媒体としては、水よりも高沸点で製膜時に膜中に残存する化合物、あるいは、熱分解性を有し、製膜後には残存しにくい化合物を挙げることができる。親水性媒体としては、例えば、n-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコール-t-ブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,4-ブチレングリコール、エチレングリコール-2-エキルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル(即ち、フェノキシプロパノール)、エチレングリコールモノフェニールエーテル(即ち、フェノキシエタノール)、プロピレングリコール-モノ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2,2’-(シクロヘキシルイミノ)ビスエタノール、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒が挙げられる。好ましくは、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコール-t-ブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,4-ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノフェニールエーテル、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンまたは2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4-クロロ-2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、又は2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン等が挙げられる。
親水性媒体は1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いることができる。分散体における親水性媒体の濃度も特に限定されない。例えば、製膜後の膜物性の低下を起こしにくいという観点から、分散媒及び変性セルロースナノファイバーの全量に対し、親水性媒体の含有量を1~300質量%とすることができ。好ましくは1~100質量%であり、より好ましくは1~10質量%である。
ガスバリア用材料が分散体である場合、ガスバリア用材料の透明性は特に限定されない。例えば、ガスバリア用材料から形成される後記ガスバリア層が優れた透明性を有する観点から、紫外可視分光光度計によって測定される波長660nmにおけるガスバリア用材料の透過率が70~100%であることが好ましい。
ガスバリア用材料が分散体である場合、ガスバリア用材料の粘度は特に限定されない。例えば、ガスバリア用材料の塗工性及び製膜製に優れる観点から、固形分濃度を0.75%である変性セルロースナノファイバーの水分散液を、BH型粘度計で測定した場合の粘度が40000~100000mPa・sであることが好ましい。
ガスバリア用材料は、本発明の効果を損なわない限り、その他の添加剤を含むことができ、例えば、公知のガスバリア用材料に使用されている添加剤を広く含有することができる。
ガスバリア用材料を使用することで、例えば、後記するように塗膜を形成することができる。このような塗膜は、前述の変性セルロースナノファイバーを含むので、優れたガスバリア性を有する。
3.ガスバリア性成形体
ガスバリア性成形体は、前記ガスバリア用材料を含む層を備える。例えば、ガスバリア用材料を含む層(以下、「ガスバリア層」と略記する)は、基材に形成される。あるいは、ガスバリア層を単独でガスバリア性成形体として使用することもできる。
基材の種類としては特に制限されず、例えば、公知のガスバリア性成形体で使用されている基材を広く使用することができる。具体的な基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5T等のナイロン、ナイロンの誘導体等の樹脂材料;アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板、鉄板、真鍮等の金属材料;等が例示される。基材は、2種以上の材料を組み合わせて形成される複合材料であってもよい。
基材の形状も特に限定されず、フィルム状、板状、ブロック状、シート状等の種々の形状を挙げることができる。
ガスバリア層の厚みは特に限定されない。例えば、ガスバリア層は、1~100μmとすることができ、1~40μmとすることがより好ましい。
ガスバリア性成形体の製造方法は特に限定されず、例えば、種々の方法でガスバリア層の形成することでガスバリア性成形体を得ることができる。
ガスバリア性成形体の製造方法の一例として、前記基材に、前記ガスバリア用材料を付着してガスバリア性成形体を得る工程1を有する製造方法を挙げることができる。
工程1において、基材にガスバリア用材料を付着する方法としては、例えば、前述した分散体の状態であるガスバリア用材料を基材表面に塗工する方法を挙げることができる。
ガスバリア用材料の塗工方法としては、凸版印刷方式、凹版印刷方式、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、スプレー塗装方式、ドクターブレード方式、ナイフコーター方式、ダイコーター方式、浸漬方式、バーコーター方式等の種々の方法を挙げることができる。
ガスバリア用材料の塗工条件も限定されず、例えば、公知の条件と同様とすることができる。塗工後の塗膜の厚みも限定されず、目的とするガスバリア層の厚みに応じて適宜、とこ条件を調節することで、塗膜の厚みを調整することができる。
ガスバリア用材料を基材に塗工することで、基材上に塗膜が形成される。該塗膜が、ガスバリア層である。基材上に塗膜を形成した後は、必要に応じて乾燥処理することができる。乾燥処理の条件は特に限定されず、例えば、公知の塗膜形成条件を広く適用することができる。
その他、基材上にガスバリア用材料を付着する方法としてはキャスト法を挙げることができ、例えば、ガスバリア用材料を基材上にキャストすることで、基材上にガスバリア層を形成することができる。
以上の工程1により、ガスバリア性成形体を得ることができる。
工程1の後、必要に応じて前記工程1で得られたガスバリア性成形体を加熱処理する工程2を備えることもできる。
工程2において、加熱処理の方法は特に限定されない。例えば、加熱乾燥方式、減圧乾燥方式、送風乾燥方式、マイクロ波乾燥方式、赤外線乾燥方式、凍結乾燥方式、ろ過脱水方式等の各種方法で加熱処理を行うことができる。
工程2において、加熱処理の温度も特に限定されず、例えば、60~150℃とすることができ、80~120℃とすることが好ましい。このような温度範囲は、前述の加熱乾燥方式を採用する場合に特に有効である。また、工程2の加熱処理において、加熱時間も特に限定されず、例えば、1~3000分とすることができ、5~180分とすることが好ましい。加熱温度は常に一定でもよく、段階的に上昇させても良い。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
<変性セルロースナノファイバーを含むガスバリア性材料の製造>
[TEMPO酸化セルロース繊維]
(実施例1)
針葉樹パルプ2gに、水150mLと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPOを0.025gとを反応器に加え、充分撹拌して分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプに対して次亜塩素酸ナトリウム量が6.5mmol/gとなるように前記反応器に加え、反応を開始した。当該反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10~11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間は120分であった)。反応終了後、0.1N塩酸を添加してpHを7.0に調整し、ろ過と水洗を繰り返して精製し、アニオン変性セルロース繊維を含む生成物を得た(酸化反応工程)。
前記生成物を遠心分離機で固液分離して固形分を取り出し、該固形分に純水を加えて固形分濃度4質量%のスラリーを得た。その後、24質量%NaOH水溶液を用いて前記スラリーのpHを10に調整した。次いで、スラリーの温度を30℃に保持して水素化ホウ素ナトリウムをアニオン変性セルロース繊維に対して0.2mmol/g加え、2時間反応させることで還元処理した(還元工程)。この還元処理の後、0.1N塩酸を添加し、ろ過と水洗を繰り返して精製し、酸化セルロース得た(精製工程)。酸化セルロースにおいて、アニオン性基(カルボキシル基)の含有量は2.0~2.2mmol/gであった。
その後、得られた酸化セルロースに純水を加えて固形分濃度2質量%である水分散液を調製し、該水分散液に対してpH=7.0になるようにリシンを添加した。このリシンが添加された水分散液を、PRIMIX社製のTKロボミックスを用いて回転数8000rpmで10分間攪拌することにより、酸化セルロースを塩基性アミノ酸で中和処理すると共に予備解繊を行った。次いで、予備解繊した水分散液をマイクロフルイタイザーにて20℃、140MPaの圧力で1回処理した(分散工程)。これにより、水を媒体とする変性セルロースナノファイバーの分散体をガスバリア用材料として得た。
(実施例2)
pH=9.7になるようにリシンを添加したこと以外は実施例1と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(実施例3)
リシンの代わりにヒスチジンを添加したこと以外は実施例1と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(実施例4)
リシンの代わりにアルギニンを添加したこと以外は実施例1と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(比較例1)
リシンの代わりに水酸化ナトリウムを添加したこと以外は実施例1と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(比較例2)
リシンの代わりにテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を添加したこと以外は実施例1と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
[リン酸化セルロース繊維]
(実施例5)
尿素を20gと、リン酸二水素ナトリウム二水和物12gと、リン酸水素二ナトリウム8gとを、水20gに溶解させてリン酸化剤を調製した。一方、家庭用ミキサーで粉砕した針葉樹パルプ(LBKP)20gをニーダーで攪拌しながら前記リン酸化剤をスプレー噴霧し、パルプにリン酸化剤を含浸させた。次いで、リン酸化剤が含浸されたパルプを140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機内で60分間、加熱処理してリン酸化パルプを得た。
得られたリン酸化パルプは蒸留水で洗浄後、改めて送風乾燥機内で60分乾燥した。得られたリン酸化パルプに純水を加えて固形分濃度2質量%の水分散液を調製し、該水分散液に対してpH=7.0になるようにリシンを添加した。このリシンが添加された水分散液を、TKロボミックスを用いて回転数8000rpmで10分間攪拌することにより、酸化セルロースを塩基性アミノ酸で中和処理すると共に予備解繊を行った。次いで、予備解繊した水分散液をマイクロフルイタイザーにて20℃、150MPaの圧力で1回処理した(分散工程)。これにより、水を媒体とする変性セルロースナノファイバーの分散体をガスバリア用材料として得た。
(実施例6)
pH=9.7になるようにリシンを添加したこと以外は実施例5と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(実施例7)
リシンの代わりにヒスチジンを添加したこと以外は実施例5と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(実施例8)
リシンの代わりにアルギニンを添加したこと以外は実施例5と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(比較例3)
リシンの代わりに水酸化ナトリウムを添加したこと以外は実施例5と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
(比較例4)
リシンの代わりにテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を添加したこと以外は実施例5と同様の方法でガスバリア用材料を得た。
[カルボキシメチル化セルロース繊維]
(実施例9)
家庭用ミキサーで粉砕した針葉樹パルプ(NBKP)20gに、イソプロピルアルコール(IPA)112gと水48gとの混合溶媒160gを加え、次にリシンを32g加え、撹拌、混合させた後、30℃で60分間攪拌した。次いで、反応液を70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウムを12g(有効成分換算)添加した。1時間反応させた後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、アニオン変性セルロース繊維を得た。その後、水を加えてアニオン変性セルロース繊維を固形分濃度2質量%とし、高圧ホモジナイザーを用いて圧力140MPaで5回処理することにより、アニオン性基としてカルボキシメチル基を有する変性セルロースナノファイバーの水分散体をガスバリア用材料として得た。
[硫酸化セルロース繊維]
(実施例10)
240g測り取ったDMF中に6.4gのスルファミン酸を入れ十分攪拌し、スルファミン酸溶液を作製した。前記溶液中に家庭用ミキサーで粉砕した針葉樹パルプ(NBKP)7gを加え、60℃で4時間攪拌した。反応後のスルファミン酸溶液を取り除いた硫酸化パルプを0.1mol/Lに調製したリシン水溶液にて中和した。中和後取り出した硫酸化パルプを、500mLの水中で洗浄と脱水を合計3回繰り返すことで、残留するスルファミン酸、DMFなどの副生成物の除去を行い、アニオン変性セルロース繊維を得た。水を加えてアニオン変性セルロース繊維を固形分濃度2質量%とし、高圧ホモジナイザーを用いて圧力140MPaで5回処理することにより、アニオン性基として硫酸基を有するセルロースナノファイバーの水分散体をガスバリア用材料として得た。
[未変性セルロース繊維]
(比較例5)
針葉樹パルプ(LBKP)を水に分散させ、分散液を家庭用ミキサーで粉砕後、LBKPを石臼式摩砕機で解繊し、更に水を加えて固形分濃度2%の水分散液とした。該水分散液を、高圧ホモジナイザーを用いて圧力140MPaで1回処理し、未変性セルロースナノファイバー水分散体をガスバリア用材料として得た。
(比較例6)
東洋紡株式会社製「コスモシャインA-4300」(PET:25μm)をガスバリア性成形体として準備した。
[評価方法]
各実施例及び比較例で得たガスバリア用材料を用いて、以下の評価を行った。
<塗工液の透明性評価>
ガスバリア用材料に純水を加えて固形分濃度を0.75%のサンプルを調製した。サンプルを攪拌脱気した後、紫外可視分光光度計「日立U-3900H」にて紫外吸収スペクトルを測定した。この紫外吸収スペクトルにおいて、波長660nmの吸光度から透過率を計測した。得られた吸光度Aを下記の計算式で透過率Tを算出した。
Log(1/T)=A
<塗工液の粘度評価>
ガスバリア用材料に純水を加えて固形分濃度を0.75%のサンプルを調製した。サンプルを攪拌脱気した後、12時間25℃で保存したサンプルを、BH型粘度計にて25℃、ローター番号NO.4、回転数2.5rpmで3分攪拌した後の粘度を測定した。
<ガスバリア性評価>
各実施例及び比較例で得たガスバリア用材料を用いて塗膜を形成し、該塗膜のガスバリア性を以下のように評価した。
(酸素ガス透過試験)
基材として、表面処理された易接着面を有するPETフィルム(東洋紡株式会社製「コスモシャインA-4300」(25μm))を準備し、該PETフィルムの易接着面上に、固形分濃度2質量%に調整したガスバリア用材料を、バーコーター#50にて塗工し、室温で1時間乾燥することで、基材上に膜厚が1μmである塗膜を形成した。膜厚は塗布前後の重量変化から算出した。このように形成した塗膜を乾燥機にて105℃、3時間で乾燥させ、ガスバリア性成形体を得た。ガスバリア性成形体の膜厚は26μmであった。このガスバリア性成形体を直径10cmに切り取ってサンプルを作製した。当該サンプルの酸素ガス透過度を、ILLINOIS社製酸素透過率測定装置「MODEL8001」(cc/m・day)を用い、等圧法にて、23℃、0%RH及び50%RHの2種類の湿度条件にて測定した。酸素ガスは、濃度が99.9995%以上、10cc/minの流量で供給し測定を行った。
(水素ガス透過試験)
固形分濃度を2質量%に調整したガスバリア用材料を、40gに水160gを加えて得たサンプルを、高圧ホモジナイザーにて8000rpmで10分間攪拌した。その後、サンプルを脱気した後、直径9cmのポリスチレンシャーレ中にサンプルを40g入れ、70℃で6時間ホップレートにて乾燥を行い、約25μmの塗膜を形成した。形成した塗膜を105℃で3時間乾燥させ、塗膜を得た。該塗膜をサンプルとして、一般財団法人化学物質評価研究機構にて東洋精機製作所製のガス透過率測定装置BR-3を用い、23℃、0%RH及び50%RH、水素を100kPaの圧力で流すことで、水素ガス透過率を差圧法「圧力センサ法」(JIS K7126-1:2006)にて測定した。
Figure 0007232072000001
表1より、塩基性アミノ酸をアニオン性基の対イオンとして有する変性セルロースナノファイバーを含むガスバリア用材料は、アニオン性基未修飾のセルロースナノファイバー水分散液(比較例5)に比べ、高い透明性、高い粘度、及び小さい繊維径を有することがわかり、解繊されやすい材料であることが確認できた。
Figure 0007232072000002
Figure 0007232072000003
表2及び表3からわかるように、塩基性アミノ酸をアニオン性基の対イオンとして有する変性セルロースナノファイバーを含むガスバリア用材料を用いて形成された塗膜は、比較例1~5に比べて酸素及び水素ガスに対して優れたガスバリア性を有しており、特に、高湿環境下(50%RH)において、優れたガスバリア性を有していた。塩基性を示すアミノ酸で中和することで得られたアニオン変性ナノファイバーは、塗膜にした際にアミノ酸どうしの強い水素結合により、塗膜が水分の影響を受けにくくなったからではないかと推察される。

Claims (6)

  1. ガスバリア用材料に用いられるガスバリア用変性セルロースナノファイバーにおいて、
    前記変性セルロースナノファイバーは、平均繊維径が200nm以下であり、
    セルロース構成単位はアニオン性基を有し、
    前記アニオン性基は、塩基性アミノ酸を対イオンとして有する、ガスバリア用変性セルロースナノファイバー。
  2. 前記アニオン性基が、カルボキシル基、リン酸基及び硫酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のガスバリア用変性セルロースナノファイバー。
  3. 前記塩基性アミノ酸が、リシン、ヒスチジン及びアルギニンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のガスバリア用変性セルロースナノファイバー。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリア用変性セルロースナノファイバーを備える、ガスバリア用材料。
  5. 請求項4に記載のガスバリア用材料を含む層を備える、ガスバリア性成形体。
  6. 請求項5に記載のガスバリア性成形体の製造方法であって、
    基材に、前記ガスバリア用材料を付着してガスバリア性成形体を得る工程を有する、ガスバリア性成形体の製造方法。
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