JP7230699B2 - 高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置 - Google Patents
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Description
原料のニッケル酸化鉱石に対して高圧酸浸出処理を含んだ一連の湿式処理によりニッケル・コバルト混合硫化物を生成する高圧酸浸出法による湿式製錬法について図1の工程図を参照しながら説明する。この図1に示す湿式製錬法は、原料のニッケル酸化鉱石を前処理して鉱石スラリーの調製を行う前処理工程S1と、該鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を行う浸出工程S2と、該浸出処理により生成した浸出スラリーから固液分離により浸出残渣を除去して有価金属であるニッケル及びコバルトを含む浸出液(粗硫酸ニッケル水溶液)を得る固液分離工程S3と、該浸出液に中和剤を添加することで生成した中和澱物を除去して中和終液を得る中和工程S4と、該中和終液に硫化水素ガスを添加して生成した亜鉛硫化物を沈殿除去して脱亜鉛終液を得る脱亜鉛工程S5と、該脱亜鉛終液に硫化水素ガスを添加することでニッケル・コバルト混合硫化物を生成し、これをニッケル貧液から分離して回収する硫化工程S6と、上記固液分離工程S3で除去された浸出残渣と、上記硫化工程S6で除去されたニッケル貧液とを無害化処理する無害化工程S7とからなる。以下、これら工程の各々について具体的に説明する。
前処理工程S1では、原料のニッケル酸化鉱石をジョークラッシャーなどの粉砕設備で粉砕や解砕を行った後、所定の目開きを有するスクリーンなどの篩別設備に導入して粒径2mm以下程度の粉粒体からなる鉱石を篩下側から回収にする。この鉱石に水を加えて湿式分級を行うことで、所定のスラリー濃度の鉱石スラリーが得られる。
浸出工程S2では、上記前処理工程S1で調製した鉱石スラリーをプレヒーター(昇温昇圧設備)で段階的に昇温及び昇圧した後、同程度に昇温及び昇圧した硫酸と共にオートクレーブ装置に装入する。該鉱石スラリーは、このオートクレーブ装置内で高温高圧条件下で撹拌されながら浸出処理が施される。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、有価金属であるニッケル及びコバルトの硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが得られる。なお、この浸出工程S2で得た浸出スラリーは、後工程の該固液分離工程S3で固液分離する前に、予備中和処理を行ってフリー硫酸(浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸であり、遊離硫酸とも称する)を中和処理してもよい。
固液分離工程S3では、上記浸出工程S2で生成した浸出スラリーをフラッシュベッセルで常温常圧まで降温降圧した後、固液分離により浸出残渣を除去して、有価金属であるニッケル及びコバルトのほか、不純物イオンとして鉄、マグネシウム、マンガン等を含む浸出液を得る。この固液分離では、直列に連結した複数基のシックナーに、上記浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流になるように連続的に導入することで多段洗浄しながら重力沈降により固液分離を行うCCD法(Counter Current Decantation)と称する向流洗浄法を採用するのが好ましい。これにより、より少ない量の洗浄液で効率よく浸出液を回収することができる。なお、上記洗浄液にはpH1.0~3.0程度の水溶液を用いることが好ましい。
中和工程S4では、上記固液分離工程S3で得た浸出液に対して、炭酸カルシウム等の中和剤を添加してpHを好適には2.0~4.0程度に調整する。これにより、浸出液に含まれる不純物イオンのうち主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオンから中和澱物が生成される。上記の中和澱物を含むスラリーは、好適にはシックナーで固液分離することでシックナー底部から該中和澱物を濃縮スラリーの形態で除去することができる。他方、有価金属としてのニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用の中和終液は、該シックナーの上端部からオーバーフローにより回収することができる。
上記中和終液には一般的に亜鉛が含まれているため、脱亜鉛工程S5では、上記中和終液を微加圧された脱亜鉛反応槽に導入し、更にその気相中に硫化水素ガスを吹き込むことにより、ニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化する。これにより生成される亜鉛硫化物を固液分離により除去することで、ニッケル回収用の脱亜鉛終液が得られる。
硫化工程S6では、上記脱亜鉛工程S5で得たニッケル回収用の脱亜鉛終液を加圧下の硫化反応槽に導入し、更に硫化水素ガス等の硫化剤を添加することにより、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成させる。この混合硫化物を含むスラリーをフィルタープレスなどの固液分離装置に導入することで混合硫化物を回収することができ、その際、液相側にニッケル貧液が排出される。なお、上記のニッケル回収用の脱亜鉛終液には、不純物としてFe、Mg、Mn等の金属イオンが各々数g/L程度含まれる場合があるが、これら金属イオンはニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記混合硫化物側にはほとんど分配されない。
無害化工程S7では、上記硫化処理S6において排出される硫酸水溶液からなるニッケル貧液及び固液分離工程S3において排出される浸出残渣に対して、石灰石等の中和剤を添加して無害化処理を行う。無害化処理された後は、系外の例えばテーリングダムに放出される。
次に、上記の浸出工程S2における鉱石スラリーの浸出処理が行われるオートクレーブ装置について図2を参照しながら説明する。図2の(a)横断面図及び(b)縦断面図に示すように、オートクレーブ装置100は、硫酸の存在下で鉱石スラリーを高温加圧酸浸出して有価金属を回収する装置であるため、反応容器1の本体には、かかる腐食性流体を高温高圧で取り扱う条件に対して耐久性を有する圧力容器が用いられる。この反応容器1は、両端部に略半球状又は皿状の鏡板が設けられた横型円筒形状を有しており、その内部は、該円筒形状の反応容器1の中心軸に垂直な面を有する6枚の隔壁10A、10B、・・・10Fにより7つの区画室20A、20B、・・・20Gに区画されている。そして、これら区画室20A、20B、・・・20Gにそれぞれ7個の撹拌機30A、30B、・・・30Gが設置されている。
次に、上記のオートクレーブ装置100に設けられている7個の撹拌機30A~30Gが各々備えるメカニカルシール及びベアリングユニットの構成について図3を参照しながら説明する。図3に示すように、各撹拌機の回転軸31の上端部は、反応容器1の上部に設けられた貫通孔1Aを貫通して上方に突出しており、この突出部にメカニカルシール32とベアリングユニット33とが取り付けられている。メカニカルシール32は、反応容器1の内側を上記した高圧状態に維持するために設けられたものであり、オートクレーブ装置100において上記の高温加圧酸浸出処理が行われる場合にさらされる高温高圧雰囲気に対して充分な耐久性をもつものが選定される。
次に上記の撹拌機のメカニカルシールにシール水を供給する本発明の実施形態のシール水供給装置について説明する。本発明の実施形態のシール水供給装置は、図4に示すように、7台の撹拌機30A~30Gにそれぞれ設置されている7個のメカニカルシールに対して1基のシール水供給装置50からシール水を供給している。前述したように、メカニカルシールのシール水の流路はほぼ閉じられており、シール水は循環しないシステムになっている。
S2 浸出工程
S3 固液分離工程
S4 中和工程
S5 脱亜鉛工程
S6 硫化工程
S7 無害化工程
1 反応容器
1A 貫通孔
2A、2B 導入管
3 抜出管
10A、10B、・・・10F 隔壁
11C 凹状部
12C 板状部材
20A、20B、・・・20G 区画室
30A、30B、・・・30G 撹拌機
31 回転軸
32 メカニカルシール
33 ベアリングユニット
50 シール水供給装置
51 純水タンク
52A、52B シール水供給ポンプ
53 供給配管系
54 減圧弁
55 1次圧力計
56 2次圧力計
57A、57B ストレーナー
58 逆止弁
59 アキュミュレータ
60 流量計
61 制御手段
62 警報装置
100 オートクレーブ装置
Claims (4)
- 高温高圧雰囲気で酸性のスラリーを処理する反応容器に設置されている撹拌機の回転軸のメカニカルシールにシール水を供給するシール水供給装置であって、シール水を貯留するタンクと、該タンクの底部から抜き出したシール水を昇圧するシール水供給ポンプと、該シール水供給ポンプで昇圧されたシール水を該メカニカルシールに供給する供給配管系と、該供給配管系に設けられた減圧弁と、該減圧弁の1次側及び2次側の圧力をそれぞれ測定する1次圧力計及び2次圧力計とを有し、該1次圧力計の測定値に基づいて該シール水供給ポンプの起動停止を制御すると共に、該2次圧力計の測定値が所定の閾値以下になった時に警報が発せられることを特徴とするシール水供給装置。
- 前記閾値は、前記シール水供給ポンプの吐出圧力と前記反応容器の運転時圧力との間に設定されることを特徴とする、請求項1記載のシール水供給装置。
- 前記反応容器には前記撹拌機が複数個設けられており、これら複数の撹拌機がそれぞれ有する複数のメカニカルシールの全てにシール水を供給することを特徴とする、請求項1又は2に記載のシール水供給装置。
- 前記反応容器は、ニッケル酸化鉱石を含んだスラリーを硫酸と共に装入し、温度220~270℃、圧力3000~6000kPaGの条件で高温加圧酸浸出処理を行うものであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のシール水供給装置。
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