JP7230699B2 - 高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置 - Google Patents

高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7230699B2
JP7230699B2 JP2019107125A JP2019107125A JP7230699B2 JP 7230699 B2 JP7230699 B2 JP 7230699B2 JP 2019107125 A JP2019107125 A JP 2019107125A JP 2019107125 A JP2019107125 A JP 2019107125A JP 7230699 B2 JP7230699 B2 JP 7230699B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
seal water
water supply
seal
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019107125A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020200500A (ja
Inventor
篤 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2019107125A priority Critical patent/JP7230699B2/ja
Publication of JP2020200500A publication Critical patent/JP2020200500A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7230699B2 publication Critical patent/JP7230699B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Accessories For Mixers (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

本発明は、高温高圧容器に設置された撹拌機の軸シール部に供給するシール水の供給装置に関する。
酸性のスラリーを高温高圧下で処理する反応槽に適した材料が開発されたことにより、原料のニッケル酸化鉱石に対して硫酸を添加して高温高圧下で処理する高圧酸浸出法(HPAL:High Pressure Acid Leach)による湿式製錬法が実用化されている。この湿式製錬法は、ニッケル酸化鉱石の一般的な製錬方法である乾式製錬法とは異なり、還元工程や乾燥工程等の乾式工程を含まず、一貫した湿式工程で処理を行うのでエネルギー的及びコスト的に有利であるという利点を有している。また、上記高圧酸浸出法では、反応槽内においてニッケル酸化鉱石スラリーを高温高圧下で浸出処理することにより生成される浸出液の酸化還元電位及び温度を制御することによって、該ニッケル酸化鉱石に含まれる主な不純物である鉄をヘマタイト(Fe)の形態で浸出残渣に固定することができる。このように、鉄に対して選択的にニッケル等の有価金属を浸出することができるので、この点においても湿式製錬法は非常に大きな利点を有している。
例えば特許文献1には、上記のHPALプロセスにより原料の低品位ニッケル酸化鉱石を湿式製錬する技術が開示されており、該ニッケル酸化鉱石に硫酸を添加して高温高圧下でNiの浸出処理を行う反応槽に、オートクレーブ装置と称する酸性のスラリーの高温高圧下での処理条件に対して耐久性を有する圧力容器が用いられている。この圧力容器は浸出効率を高めるために内部が堰(隔壁)により複数の区画室に分けられており、該複数の区画室の各々に撹拌機が設置されている。
上記のように、圧力容器に撹拌機を設置する場合は、該撹拌機を回転駆動させるモーターは該圧力容器の外側に設置されるため、該撹拌機の回転軸の一端部を該圧力容器の上方壁部を貫通させることで容器外部に突出させ、この突出した一端部にモーターの駆動軸を結合させることが必要になる。この回転軸の一端部が貫通する圧力容器の貫通孔を通って圧力容器の内部のガスが外部に漏出しないようにするため、該貫通孔を封止することが必要になる。そのため、該撹拌機の回転軸のうち、該圧力容器の壁部を貫通する部分にはメカニカルシールが設けられており、これにより圧力容器の内部と外部との間でガスが流通するのを遮断することができる。
このメカニカルシールには、その固定部と回転部とが互いに摺動する部分において上記ガスが流通するのを確実に遮断すると共に摺動により生ずる摩擦熱を除去するため、シール水と呼ばれる水が該圧力容器内部の圧力よりも高い圧力で供給されている。このシール水のメカニカルシール内での流路は完全な密封構造にはなっておらず、メカニカルシールに供給されたシール水のうち極微量の一部シール水は圧力容器の外部や内部に漏洩する。そのため、例えば特許文献2に開示されているように、メカニカルシールにシール水を供給するシール水供給システムは、シール水圧力を常に一定以上に保つため、上記のシール水の漏洩によってシール水圧力が低下した場合にメカニカルシールにシール水を供給するようになっている。
特開2014-88620号公報 特開平6-81761号公報
しかしながら、上記のシール水供給システムに何らかのトラブルが発生した場合、圧力容器に設置されている撹拌機の回転軸のメカニカルシールへのシール水の供給が停止したり、シール水は供給されるもののその圧力が極端に低下したりする問題が生ずることがあった。この場合、前述したようにメカニカルシールでは極微量のシール水が常に圧力容器の外部や内部に漏洩しているため、最終的にメカニカルシールにおけるシール水が失われ、該圧力容器の内部と外部とを遮断することが不可能となり、圧力容器内部の高温高圧雰囲気の内容物質が外部に放出され、当該圧力容器の周囲環境や作業者に悪影響を及ぼすおそれがある。また、メカニカルシールの摺動部が摩擦熱で破損するおそれがある。
本発明は上記の従来のシール水供給装置が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、圧力容器に設置される撹拌機の回転軸のメカニカルシールに供給されるシール水の供給圧力を適正に保つべく、該シール水の供給システムの故障を早期に発見することができるシール水供給装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係るシール水供給装置は、高温高圧雰囲気で酸性のスラリーを処理する圧力容器に設置されている撹拌機の回転軸のメカニカルシールにシール水を供給するシール水供給装置であって、シール水を貯留するタンクと、該タンクの底部から抜き出したシール水を昇圧するシール水供給ポンプと、該シール水供給ポンプで昇圧されたシール水を該メカニカルシールに供給する供給配管系と、該供給配管系に設けられた減圧弁と、該減圧弁の1次側及び2次側の圧力をそれぞれ測定する1次圧力計及び2次圧力計とを有し、該1次圧力計の測定値に基づいて該シール水供給ポンプの起動停止を制御すると共に、該2次圧力計の測定値が所定の閾値以下になった時に警報が発せられることを特徴とする。
本発明によれば、シール水供給システムの不具合を早期に発見することができるので、高温高圧雰囲気で処理が行われる圧力容器であるオートクレーブ装置に設置されている撹拌機の回転軸のメカニカルシールに安定的にシール水を供給することができる。
本発明の実施形態のシール水供給装置が好適に適用されるオートクレーブ装置で行われる高圧酸浸出工程を含んだ湿式製錬法の工程図である。 本発明の実施形態のシール水供給装置が好適に適用されるオートクレーブ装置の概略図であり、(a)はオートクレーブ装置をその中心軸を含む面で水平方向に切断した横断面図であり、(b)はオートクレーブ装置をその中心軸を含む面で鉛直方向に切断した縦断面図であり、(c)は上記(a)のA-A線でオートクレーブ装置を鉛直方向に切断した縦断面図である。 図2のオートクレーブ装置の撹拌機が備えるメカニカルシールとベアリングユニットを示す縦断面図である。 図2のオートクレーブ装置の撹拌機が備えるメカニカルシールに本発明の実施形態のシール水供給装置からシール水を供給する概略系統図である。 本発明の実施形態のシール水供給装置の概略構成図である。 本発明の実施形態のシール水供給装置が有するシール水供給ポンプの吐出圧力及びシール水供給圧力のトレンドを示すグラフである。
以下、本発明に係るシール水供給装置の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、先ず本発明のシール水供給装置が好適に適用される撹拌機を備えた圧力容器で行われる浸出工程を含んだ湿式製錬法について説明した後、該圧力容器としてのオートクレーブ装置について説明し、その撹拌機の回転軸に設けたメカニカルシール及びベアリングユニットについて説明し、最後に該メカニカルシールにシール水を供給する本発明の実施形態のシール水供給装置について説明する。
1.高圧酸浸出法による湿式製錬法
原料のニッケル酸化鉱石に対して高圧酸浸出処理を含んだ一連の湿式処理によりニッケル・コバルト混合硫化物を生成する高圧酸浸出法による湿式製錬法について図1の工程図を参照しながら説明する。この図1に示す湿式製錬法は、原料のニッケル酸化鉱石を前処理して鉱石スラリーの調製を行う前処理工程S1と、該鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を行う浸出工程S2と、該浸出処理により生成した浸出スラリーから固液分離により浸出残渣を除去して有価金属であるニッケル及びコバルトを含む浸出液(粗硫酸ニッケル水溶液)を得る固液分離工程S3と、該浸出液に中和剤を添加することで生成した中和澱物を除去して中和終液を得る中和工程S4と、該中和終液に硫化水素ガスを添加して生成した亜鉛硫化物を沈殿除去して脱亜鉛終液を得る脱亜鉛工程S5と、該脱亜鉛終液に硫化水素ガスを添加することでニッケル・コバルト混合硫化物を生成し、これをニッケル貧液から分離して回収する硫化工程S6と、上記固液分離工程S3で除去された浸出残渣と、上記硫化工程S6で除去されたニッケル貧液とを無害化処理する無害化工程S7とからなる。以下、これら工程の各々について具体的に説明する。
(1)前処理工程
前処理工程S1では、原料のニッケル酸化鉱石をジョークラッシャーなどの粉砕設備で粉砕や解砕を行った後、所定の目開きを有するスクリーンなどの篩別設備に導入して粒径2mm以下程度の粉粒体からなる鉱石を篩下側から回収にする。この鉱石に水を加えて湿式分級を行うことで、所定のスラリー濃度の鉱石スラリーが得られる。
上記の原料に用いるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は一般に0.8~2.5質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含まれている。このニッケル酸化鉱石は、鉄の含有量が10~50質量%であり、これは主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態を有しており、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含まれている。上記の原料には、上記のラテライト鉱のほか、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する例えば深海底に賦存するマンガン瘤等の酸化鉱石が用いられることがある。
(2)浸出工程S2
浸出工程S2では、上記前処理工程S1で調製した鉱石スラリーをプレヒーター(昇温昇圧設備)で段階的に昇温及び昇圧した後、同程度に昇温及び昇圧した硫酸と共にオートクレーブ装置に装入する。該鉱石スラリーは、このオートクレーブ装置内で高温高圧条件下で撹拌されながら浸出処理が施される。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、有価金属であるニッケル及びコバルトの硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが得られる。なお、この浸出工程S2で得た浸出スラリーは、後工程の該固液分離工程S3で固液分離する前に、予備中和処理を行ってフリー硫酸(浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸であり、遊離硫酸とも称する)を中和処理してもよい。
(3)固液分離工程S3
固液分離工程S3では、上記浸出工程S2で生成した浸出スラリーをフラッシュベッセルで常温常圧まで降温降圧した後、固液分離により浸出残渣を除去して、有価金属であるニッケル及びコバルトのほか、不純物イオンとして鉄、マグネシウム、マンガン等を含む浸出液を得る。この固液分離では、直列に連結した複数基のシックナーに、上記浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流になるように連続的に導入することで多段洗浄しながら重力沈降により固液分離を行うCCD法(Counter Current Decantation)と称する向流洗浄法を採用するのが好ましい。これにより、より少ない量の洗浄液で効率よく浸出液を回収することができる。なお、上記洗浄液にはpH1.0~3.0程度の水溶液を用いることが好ましい。
(4)中和工程S4
中和工程S4では、上記固液分離工程S3で得た浸出液に対して、炭酸カルシウム等の中和剤を添加してpHを好適には2.0~4.0程度に調整する。これにより、浸出液に含まれる不純物イオンのうち主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオンから中和澱物が生成される。上記の中和澱物を含むスラリーは、好適にはシックナーで固液分離することでシックナー底部から該中和澱物を濃縮スラリーの形態で除去することができる。他方、有価金属としてのニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用の中和終液は、該シックナーの上端部からオーバーフローにより回収することができる。
(5)脱亜鉛工程S5
上記中和終液には一般的に亜鉛が含まれているため、脱亜鉛工程S5では、上記中和終液を微加圧された脱亜鉛反応槽に導入し、更にその気相中に硫化水素ガスを吹き込むことにより、ニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化する。これにより生成される亜鉛硫化物を固液分離により除去することで、ニッケル回収用の脱亜鉛終液が得られる。
(6)硫化工程S6
硫化工程S6では、上記脱亜鉛工程S5で得たニッケル回収用の脱亜鉛終液を加圧下の硫化反応槽に導入し、更に硫化水素ガス等の硫化剤を添加することにより、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成させる。この混合硫化物を含むスラリーをフィルタープレスなどの固液分離装置に導入することで混合硫化物を回収することができ、その際、液相側にニッケル貧液が排出される。なお、上記のニッケル回収用の脱亜鉛終液には、不純物としてFe、Mg、Mn等の金属イオンが各々数g/L程度含まれる場合があるが、これら金属イオンはニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記混合硫化物側にはほとんど分配されない。
(7)無害化工程S7
無害化工程S7では、上記硫化処理S6において排出される硫酸水溶液からなるニッケル貧液及び固液分離工程S3において排出される浸出残渣に対して、石灰石等の中和剤を添加して無害化処理を行う。無害化処理された後は、系外の例えばテーリングダムに放出される。
2.オートクレーブ装置
次に、上記の浸出工程S2における鉱石スラリーの浸出処理が行われるオートクレーブ装置について図2を参照しながら説明する。図2の(a)横断面図及び(b)縦断面図に示すように、オートクレーブ装置100は、硫酸の存在下で鉱石スラリーを高温加圧酸浸出して有価金属を回収する装置であるため、反応容器1の本体には、かかる腐食性流体を高温高圧で取り扱う条件に対して耐久性を有する圧力容器が用いられる。この反応容器1は、両端部に略半球状又は皿状の鏡板が設けられた横型円筒形状を有しており、その内部は、該円筒形状の反応容器1の中心軸に垂直な面を有する6枚の隔壁10A、10B、・・・10Fにより7つの区画室20A、20B、・・・20Gに区画されている。そして、これら区画室20A、20B、・・・20Gにそれぞれ7個の撹拌機30A、30B、・・・30Gが設置されている。
上記隔壁10A~10Fの各々は、そのすぐ上流側の区画室で処理された処理液が隣接する下流側の区画室にオーバーフローできるように上部が開口している。具体的には、図2(c)に例示するように、隔壁10Cの上端部は凹状部11Cが形成されており、該凹状部11Cを塞ぐことができるように略矩形の板状部材12Cが設けられている。この板状部材12Cは上下方向に移動自在に隔壁10Cに取り付けられており、隔壁10Cの上部をオーバーフローする量を調整できるようになっている。また、上記隔壁10A~10Fは、図2(a)、(b)の紙面左側から右側に向うに従って高さが徐々に低くなるように形成されている。
かかる構成により、オートクレーブ装置100の前段で加熱及び加圧された鉱石スラリーからなる原料スラリーは、硫酸と共に最上流側の区画室20Aに導入管2A、2Bを介してそれぞれ導入され、該区画室20Aで撹拌されながら高温加圧酸浸出処理された後、隣接する下流側の区画室20Bに移送され、同様に撹拌されながら高温加圧酸浸出処理される。以降、同様にオーバーフローにより下流側の区画室20C~20Gに順次移送されて高温加圧酸浸出による有価金属の浸出処理が行われた後、最も下流側の区画室20Gから抜出管3を介して抜き出される。なお、撹拌機の回転速度は、例えば、72rpmに設定される。
上記の高温加圧酸浸出処理の処理条件には特に制限はないが、温度条件が220~280℃程度が好ましく、240~270℃程度がより好ましい。この程度の温度範囲であれば、例えば、反応容器1内に供給する高圧水蒸気の供給量により制御することができる。上記の220~280℃の温度範囲内で浸出処理を行うことにより、より効率的に鉄をヘマタイトとして固定化することができる。浸出処理時の温度が220℃未満では、高温熱加水分解反応の速度が遅くなって反応後の浸出スラリー中に鉄が溶存して残り、この鉄を除去するために後工程の中和工程における負荷が増加してニッケルとの分離が困難になる。逆に浸出処理時の温度が280℃を超えると、高温熱加水分解反応自体は促進されるものの、高温加圧酸浸出に用いる当該オートクレーブ装置100の反応容器1の材質の選定が難しいだけでなく、その温度まで昇温するために要する高圧水蒸気のコストがかかるため好ましくない。
また、上記高温加圧酸浸出処理時の反応容器1内の圧力条件としては、例えば、3~6MPaG程度に加圧することが好ましい。この場合の反応容器1内の圧力条件は、該反応容器1に供給する高圧酸素や上述した高圧水蒸気の供給量により制御することができる。
また、上記の高温加圧酸浸出処理において添加する硫酸の添加量にも特に制限はないが、一般的には乾燥鉱石1トン当たり200~250kg[すなわち、200~250kg(硫酸)/t(乾燥鉱石)]程度とすることが好ましい。この硫酸添加量が乾燥鉱石1トン当たり250kgより多くなると、硫酸の使用に伴うコストがかさむうえ、後工程の中和工程における中和剤の使用量も多くなるので好ましくない。なお、上記の硫酸の添加により生成される浸出液のpHは0.1~1.0の範囲内に調整することが好ましく、これにより、生成したヘマタイトを含む浸出残渣を分離するためのろ過性を向上させることができる。
3.メカニカルシールとベアリングユニット
次に、上記のオートクレーブ装置100に設けられている7個の撹拌機30A~30Gが各々備えるメカニカルシール及びベアリングユニットの構成について図3を参照しながら説明する。図3に示すように、各撹拌機の回転軸31の上端部は、反応容器1の上部に設けられた貫通孔1Aを貫通して上方に突出しており、この突出部にメカニカルシール32とベアリングユニット33とが取り付けられている。メカニカルシール32は、反応容器1の内側を上記した高圧状態に維持するために設けられたものであり、オートクレーブ装置100において上記の高温加圧酸浸出処理が行われる場合にさらされる高温高圧雰囲気に対して充分な耐久性をもつものが選定される。
一方、このメカニカルシール32の上方に配置されているベアリングユニット33は、撹拌機の荷重を支えながらその回転軸31を回転自在に支持するものである。このベアリングユニット33には、回転軸31の軸方向(アキシャル方向)に作用するアキシャル荷重と、回転軸31の該軸方向に直交する半径方向(ラジアル方向)に作用するラジアル荷重とがかかるため、例えば3個のベアリングが回転軸31の周方向に均等に配された構造を有している。
4.シール水供給装置
次に上記の撹拌機のメカニカルシールにシール水を供給する本発明の実施形態のシール水供給装置について説明する。本発明の実施形態のシール水供給装置は、図4に示すように、7台の撹拌機30A~30Gにそれぞれ設置されている7個のメカニカルシールに対して1基のシール水供給装置50からシール水を供給している。前述したように、メカニカルシールのシール水の流路はほぼ閉じられており、シール水は循環しないシステムになっている。
すなわち、図5に示すように、本発明の実施形態のシール水供給装置50は、シール水として使用する純水を貯留する純水タンク51と、該純水タンク51の底部から抜き出した純水を所定の圧力に昇圧するシール水供給ポンプ52A、52Bと、該シール水供給ポンプ52A、52Bで昇圧した純水をシール水として前述した6ヶ所のメカニカルシールに分岐して供給する供給配管系53と、該供給配管系53のうち上記7ヶ所にシール水を供給するための分岐点よりも上流側の配管に設けられた減圧弁54と、該供給配管系53において該減圧弁54の上流側及び下流側にそれぞれ設けられた1次圧力計55及び2次圧力計56と、これら1次圧力計55で測定した圧力値に基づいて上記シール水供給ポンプ52A、52Bの起動を制御する制御手段61とから主に構成されている。なお、シール水供給ポンプ52A、52Bのうちの一方は、故障や定期メンテナンス等の際に切り替えるためのスペアであり、通常運転ではどちらか一方のみが運転することになる。また、図5において塗潰しの弁は常時閉であり、白抜きの弁は常時開であることを示している。
シール水供給ポンプ52A、52Bと減圧弁54との間にはストレーナー57A、57Bが設けられており、シール水に混入した異物が減圧弁54に導入されないようになっている。上記の供給配管系53において上記の分岐点以降の各シール水供給ラインには逆止弁58が設けられており、メカニカルシールに供給されたシール水がシール水供給装置50側に逆流するのを防止している。この逆止弁58の下流側にはアキュミュレータ59が設けられており、撹拌機のメカニカルシールでの漏れによるシール水の圧力の低下を防止して長時間に亘ってシール水の圧力を加圧状態に保つ役割を担っている。なお、本発明の実施形態のシール水供給装置50においては、アキュミュレータ59は逆止弁58の上流側にも設けられている。
減圧弁54はメカニカルシールに適正な圧力のシール水を供給するため、該減圧弁54の2次側の圧力レベルに応じて開閉するように調整されている。この減圧弁54の2次側には、シール水の供給量を指示する流量計60が設けられている。なお、流量計60の測定値は制御手段61に入力されているが、シール水が減圧弁54を流れる頻度は少ないので、流量計60の指示値はゼロが表示される時間が長い。この流量計60の下流側には遮断弁が設けられており、制御手段61によって開閉できるようになっている。
シール水供給ポンプ52A、52Bは、減圧弁54の上流側に位置する1次圧力計55によって運転が自動制御されており、減圧弁54の1次側(上流側)を所定の圧力値以上に維持している。この所定の圧力はポンプ最低圧力とも称され、該ポンプ最低圧力と、オートクレーブ装置の反応容器1内の通常運転時の最高圧力との間にメカニカルシールのシール水供給圧力が維持されるように減圧弁54が調整される。かかる構成により、シール水供給圧力が所定の圧力値以下に低下した場合、シール水供給装置50の減圧弁54が自動的に開閉することで、上記通常運転時の最高圧力よりも高い圧力を有するシール水が自動的にメカニカルシールに供給される。これにより、該メカニカルシールのシール水の圧力が所望の圧力値以上に保たれる。
上記のように、メカニカルシールにおけるシール水の圧力は、オートクレーブ装置の反応容器1内の通常運転時の最高圧力よりも常に高く維持される必要がある。一方で、メカニカルシールのシール水は、オートクレーブ装置の反応容器1内への内漏れがあるので徐々に圧力は低下する。そこで、上記通常運転時の最高圧力までメカニカルシールのシール水の圧力が低下することがないように、シール水供給装置50では、減圧弁54の1次側は該通常運転時の最高圧力より高く且つ上記ポンプ最低圧力よりも高い圧力が維持されている。しかしながら、減圧弁54の2次側(下流側)は、メカニカルシールの摺動部における極微量のリークを除いて閉鎖されているため、該減圧弁54の1次側圧力と2次側圧力とが過渡的に等しくなることがある。また、減圧弁54が異物の噛み込み等により正しく作動しないことがある。
そこで、本発明の実施形態のシール水供給装置は、減圧弁54の2次側に設けた2次圧力計56の測定値を制御手段61に入力することで、オペレータが常時シール水供給圧力を監視できるようになっている。また、減圧弁54の2次側の該シール水供給圧力が所定の閾値以下になった場合、制御手段61から出力した信号により警報手段62を作動させるようになっている。これにより、オペレータにシール水供給圧力が異常に低いことを知らせることができる。オペレータは、この警報手段62の作動に対して、シール水供給ポンプ52A又は52Bを手動で起動する等の適切な対応を早期にとることができる。なお、減圧弁54の1次側圧力は6000~7000kPa程度が好ましく、減圧弁54の2次側圧力は6000kPa程度に設定するのが好ましい。
図6に、2次圧力計56で検知した減圧弁54の2次側のシール水供給圧力が上記の閾値(最低シール水供給圧力とも称する)以下になって警報手段62が作動し、これによりシール水供給装置50のシール水供給ポンプ52Aを手動で作動させて該シール水供給圧力を早期に正常化させた場合のトレンドが示されている。この図6の事例は、減圧弁54が突然故障したことでシール水供給圧力が低下したケースであり、シール水供給装置50の異常に早期に気付いたことで、撹拌機のメカニカルシールのシール水の圧力が異常に低下することを防ぐことができた。すなわち、シール水供給ポンプ52Aの吐出圧力とシール水供給圧力の差異が通常運転時に生ずる差異よりも顕著に大きくなったことで、減圧弁54の故障を早期に発見することができた。
なお、この事例では、1次圧力計55で測定した圧力値が6000kPa以下のときにシール水供給ポンプ52Aが起動し、該圧力値が7000kPaまで昇圧したときにシール水供給ポンプ52Aが停止するようにした。また、上記最低シール水供給圧力を5600kPaに設定し、上記最低シール水供給圧力をオートクレーブ装置の反応容器1内の該通常運転時の最高圧力4400kPaGに対して120%に相当する5280kPaGにした。
一般的には、上記の最低シール水供給圧力の設定値は、シール水供給圧力と該通常運転時の最高圧力との圧力差の50~90%、好ましくは70~80%、より好ましくは75%程度の圧力を該通常運転時の最高圧力に足した値に設定する。なお、上記の5280kPaGは、シール水供給圧力と該通常運転時の最高圧力との圧力差の約75%に対応する。この設定値が圧力差の50%未満では、警報手段62が作動してから適切な対応をとるまでの時間が短すぎてシール水供給圧力が該反応容器1内の通常運転時の最高圧力を下まわるおそれがあり、逆にこの設定値が圧力差の90%を超えると頻繁に警報手段62が作動し、かえって安定的な運転に支障をきたすおそれがある。
上記のように、シール水供給装置50のトラブルの大半は、減圧弁54のトラブルに起因している。すなわち、減圧弁54の上流側にはストレーナー57A、57Bが設けられており、ここで異物などを除去することが行われているが、このストレーナー57A、57Bを通り抜けた異物による噛み込みや、減圧弁54自体の機械的故障により減圧弁54が正常に作動しないことがある。その他は、シール水供給ポンプ52A、52Bの故障があるが、スペアが設けられていることもあってトラブル発生の頻度は極めて低い。
S1 前処理工程
S2 浸出工程
S3 固液分離工程
S4 中和工程
S5 脱亜鉛工程
S6 硫化工程
S7 無害化工程
1 反応容器
1A 貫通孔
2A、2B 導入管
3 抜出管
10A、10B、・・・10F 隔壁
11C 凹状部
12C 板状部材
20A、20B、・・・20G 区画室
30A、30B、・・・30G 撹拌機
31 回転軸
32 メカニカルシール
33 ベアリングユニット
50 シール水供給装置
51 純水タンク
52A、52B シール水供給ポンプ
53 供給配管系
54 減圧弁
55 1次圧力計
56 2次圧力計
57A、57B ストレーナー
58 逆止弁
59 アキュミュレータ
60 流量計
61 制御手段
62 警報装置
100 オートクレーブ装置

Claims (4)

  1. 高温高圧雰囲気で酸性のスラリーを処理する反応容器に設置されている撹拌機の回転軸のメカニカルシールにシール水を供給するシール水供給装置であって、シール水を貯留するタンクと、該タンクの底部から抜き出したシール水を昇圧するシール水供給ポンプと、該シール水供給ポンプで昇圧されたシール水を該メカニカルシールに供給する供給配管系と、該供給配管系に設けられた減圧弁と、該減圧弁の1次側及び2次側の圧力をそれぞれ測定する1次圧力計及び2次圧力計とを有し、該1次圧力計の測定値に基づいて該シール水供給ポンプの起動停止を制御すると共に、該2次圧力計の測定値が所定の閾値以下になった時に警報が発せられることを特徴とするシール水供給装置。
  2. 前記閾値は、前記シール水供給ポンプの吐出圧力と前記反応容器の運転時圧力との間に設定されることを特徴とする、請求項1記載のシール水供給装置。
  3. 前記反応容器には前記撹拌機が複数個設けられており、これら複数の撹拌機がそれぞれ有する複数のメカニカルシールの全てにシール水を供給することを特徴とする、請求項1又は2に記載のシール水供給装置。
  4. 前記反応容器は、ニッケル酸化鉱石を含んだスラリーを硫酸と共に装入し、温度220~270℃、圧力3000~6000kPaGの条件で高温加圧酸浸出処理を行うものであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のシール水供給装置。
JP2019107125A 2019-06-07 2019-06-07 高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置 Active JP7230699B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019107125A JP7230699B2 (ja) 2019-06-07 2019-06-07 高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019107125A JP7230699B2 (ja) 2019-06-07 2019-06-07 高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020200500A JP2020200500A (ja) 2020-12-17
JP7230699B2 true JP7230699B2 (ja) 2023-03-01

Family

ID=73741845

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019107125A Active JP7230699B2 (ja) 2019-06-07 2019-06-07 高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7230699B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003190755A (ja) 2001-12-25 2003-07-08 Kitagawa Iron Works Co Ltd 混合機の軸部シール装置
JP2003278921A (ja) 2002-03-25 2003-10-02 Eagle Ind Co Ltd 軸封装置
CN101948956A (zh) 2010-09-03 2011-01-19 罗光臣 矿石湿法冶金自热升温搅拌浸出方法
JP2018130646A (ja) 2017-02-13 2018-08-23 日本スピンドル製造株式会社 撹拌システム及びその運転方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009000661A (ja) * 2007-06-25 2009-01-08 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 攪拌装置およびこれを用いた反応槽
JP7110578B2 (ja) * 2017-10-23 2022-08-02 住友金属鉱山株式会社 オートクレーブの制御システム、及び制御方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003190755A (ja) 2001-12-25 2003-07-08 Kitagawa Iron Works Co Ltd 混合機の軸部シール装置
JP2003278921A (ja) 2002-03-25 2003-10-02 Eagle Ind Co Ltd 軸封装置
CN101948956A (zh) 2010-09-03 2011-01-19 罗光臣 矿石湿法冶金自热升温搅拌浸出方法
JP2018130646A (ja) 2017-02-13 2018-08-23 日本スピンドル製造株式会社 撹拌システム及びその運転方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020200500A (ja) 2020-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2012365089B2 (en) Flash vessel and method for operating same
JP4888578B2 (ja) ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プラント及びその操業方法
AU2011243578B2 (en) Liquid-storage device and pressure-control method thereof
JP5287010B2 (ja) ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
JP7230699B2 (ja) 高温高圧容器の撹拌機の軸封用シール水供給装置
AU2012365088B2 (en) Method for operating flash vessel
EP3249061A1 (en) Sulfuric acid adding facility and operation method therefor
JP7298126B2 (ja) ニッケル酸化鉱石のオートクレーブ装置
JP2019214010A (ja) ニッケル酸化鉱石スラリーの移送配管系の閉塞防止方法
JP7277074B2 (ja) 残存硫化水素の除去方法及び硫化反応容器
JP7047502B2 (ja) 高圧蒸気の供給遮断システム及びこれを備えた高圧酸浸出設備
EP3453774A1 (en) Sulfuric acid adding facility
JP6862970B2 (ja) 硫化物の製造設備
JP7226181B2 (ja) 硫化水素ガスの除害設備
JP7215373B2 (ja) 硫化水素ガスの除害設備
WO2017130693A1 (ja) 残存硫化水素の除去方法
JP2022075169A (ja) フラッシュベッセル内からの残留物の排出方法
JP2020132945A (ja) 硫化反応設備及びその運転方法
JP2020185560A (ja) 高圧酸浸出処理を行うオートクレーブ装置
JP2019026868A (ja) 残留硫化水素の除去方法
JP2022139188A (ja) ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7230699

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150