図面を用いて、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。なお、図1ないし図3、および図5ないし図7のそれぞれの図中の右下部分には、上(U)、下(D)、前(F)、後(B)、左(L)および右(R)をそれぞれ示す矢印が描かれている。実施形態の説明において方向を述べる際には、これらの矢印に従う。
[第1の実施形態]
(画像形成装置)
図1は本発明の第1の実施形態の画像形成装置1を示している。図1に示すように、画像形成装置1は、本体11、中継搬送ユニット41および後処理ユニット51を備えている。本体11は例えば印刷機能および複写機能等を有している。後処理ユニット51は、平綴じまたは中綴じ等を行う紙綴じ機能を有している。中継搬送ユニット41は本体11から後処理ユニット51へ用紙を搬送する機能を有している。
本体11は、用紙上に画像を形成する画像形成機構12、用紙を収容する複数の給紙カセット13、本体11の外部から本体11内へ用紙を供給することを可能にする供給部14、本体11から中継搬送ユニット41へ用紙を搬出する搬出部15、および本体11内において用紙を搬送するための第1の搬送路16を備えている。本体11内において、用紙は、第1の搬送路16を通って、複数の給紙カセット13および供給部14のそれぞれから画像形成機構12まで、さらには画像形成機構12から搬出部15まで移動することができる。
また、本体11は、各給紙カセット13から用紙を引き出す給紙ローラー17、第1の搬送路16に沿って用紙を移動させる搬送ローラー18、および画像形成機構12に向けて用紙を移動させるタイミングを調節するレジストローラー19を備えている。給紙ローラー17は給紙カセット13ごとに設けられている。搬送ローラー18は第1の搬送路16に沿って複数設けられている。レジストローラー19は画像形成機構12の上流側に設けられている。また、レジストローラー19の上流側には、第1の搬送路16を搬送されている用紙がレジストローラー19に到達したことを検出するための用紙センサー20が設けられている。
また、本体11は、第1の搬送路16において画像形成機構12の下流側に搬送された用紙を反転させ、反転した用紙を第1の搬送路16においてレジストローラー19の上流側に供給する反転機構21を備えている。反転機構21は、用紙の表裏が逆になると共に、用紙の搬送方向における一端側部分と他端側部分とが逆になるように用紙を反転させる。
また、本体11は、第1の搬送路16を搬送されている用紙を撮像するスキャナー22を備えている。スキャナー22は、レジストローラー19と画像形成機構12との間に設けられている。スキャナー22は例えばコンタクトイメージセンサーであり、光源、レンズアレイおよびイメージセンサーを備えている。本実施形態において、スキャナー22は第1の搬送路16の上方に配置されており、第1の搬送路16を搬送されている用紙がスキャナー22の下方を通るときに、用紙の上を向いている面を撮像する。
また、本体11は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きを補正するための前補正ローラー23、後ろ補正ローラー24、および補正ローラー駆動モーター25、26を備えている。ここで、図2は、前補正ローラー23、後ろ補正ローラー24、補正ローラー駆動モーター25、26および補正ローラー支持板27を示している。図2に示すように、本実施形態においては、前補正ローラー23と後ろ補正ローラー24との組合せが2組設けられている。前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24は、第1の搬送路16の搬送路幅方向(前後方向)において異なる2箇所に設けられている。本実施形態においては、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24は、第1の搬送路16の搬送路幅方向の中心を挟んで搬送路幅方向に並んでおり、第1の搬送路16の搬送路幅方向の中心からそれぞれ等しい距離、離れた位置に配置されている。また、2組の前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24はそれぞれ補正ローラー支持板27に回転可能に支持されている。また、補正ローラー駆動モーター25、26は、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24をそれぞれ回転させるためのモーターである。補正ローラー駆動モーター25、26は、例えば、補正ローラー支持板27の下側に配置されている。
また、本体11は、図1に示すように、画像形成装置1を操作するための操作パネル28を備えている。操作パネル28には操作スイッチ29およびディスプレイ30が設けられている。
中継搬送ユニット41は、本体11から中継搬送ユニット41内へ用紙を搬入する搬入部42、中継搬送ユニット41内から後処理ユニット51へ用紙を搬出する搬出部43、および中継搬送ユニット41内において用紙を搬送するための第2の搬送路44を備えている。用紙は、第2の搬送路44を通って、搬入部42から搬出部43へ移動することができる。また、中継搬送ユニット41は、第2の搬送路44に沿って用紙を移動させる複数の搬送ローラー45を備えている。
後処理ユニット51は、中継搬送ユニット41から後処理ユニット51内へ用紙を搬入する搬入部52、後処理ユニット51から用紙を排出する排出部53、後処理ユニット51内において用紙を搬送するための第3の搬送路54、および排出部53から排出された用紙を載置する排紙トレイ55を備えている。用紙は、第3の搬送路54を通って、搬入部52から排出部53へ移動することができる。また、後処理ユニット51は、第3の搬送路54に沿って用紙を移動させる複数の搬送ローラー56と、排出部53から排紙トレイ55へ用紙を排出させる排紙ローラー57とを備えている。
また、後処理ユニット51は、用紙に対して紙綴じ処理を行うための機構として、中間トレイ58、複数の固定紙揃え部材59、一対の可動紙揃え部材60、紙揃え部材駆動モーター61およびステープラー62を備えている。ここで、図3は、中間トレイ58、各固定紙揃え部材59、各可動紙揃え部材60、紙揃え部材駆動モーター61およびステープラー62を示している。
図3において、中間トレイ58は、紙綴じ処理を行う場合に、搬入部52から第3の搬送路54に搬入された用紙を蓄積するための部材である。各固定紙揃え部材59は、中間トレイ58に蓄積された複数の用紙を左右方向において揃えるための部材である。各固定紙揃え部材59は例えば中間トレイ58の右端側部分に固定されている。一対の可動紙揃え部材60は、中間トレイ58に蓄積された複数の用紙を前後方向において揃えるための部材である。一対の可動紙揃え部材60は、中間トレイ58の上面における前側部分および後側部分に前後方向に移動可能に支持されている。紙揃え部材駆動モーター61は、一対の可動紙揃え部材60のそれぞれを前後方向に移動させるためのモーターである。紙揃え部材駆動モーター61の回転は、例えばラックおよびピニオン等を有する動力伝達機構を介して各可動紙揃え部材60に伝達されるようになっている。ステープラー62は、中間トレイ58に蓄積された複数の用紙を綴じる装置であり、中間トレイ58の右方に配置されている。また、ステープラー62は、例えば綴じ方法または用紙サイズ等に応じて綴じ位置を変えるために、前後方向に移動することができる。
搬入部52から第3の搬送路54に搬入された用紙は、中間トレイ58の左上側から中間トレイ58に運び込まれる。中間トレイ58に運び込まれた用紙は、中間トレイ58に運び込まれた向きにおいて、右端が各固定紙揃え部材59に当接し、前端および後端が一対の可動紙揃え部材60にそれぞれ当接した状態で中間トレイ58上に載置される。例えば、画像形成装置1により、10枚の用紙を綴じて1つの印刷物を作成する場合、10枚の用紙が間隔を置いて連続的に中間トレイ58上に運び込まれ、中間トレイ58上に積み重ねられ、蓄積されていく。
また、通常、複数の用紙が中間トレイ58上に載置されたとき、画像形成装置1は揃え処理を行う。揃え処理は、中間トレイ58上に載置された複数の用紙の前後方向の位置を正し、中間トレイ58に蓄積された複数の用紙を前後方向において整合させる処理である。揃え処理の実行時には、紙揃え部材駆動モーター61が駆動され、一対の可動紙揃え部材60が、紙揃え部材駆動モーター61の動力により前後方向に移動する。一対の可動紙揃え部材60の移動により、中間トレイ58上に載置された複数の用紙が前後方向に押し動かされる。この結果、各用紙の前後方向の位置が正される。
1つの印刷物の作成に要する複数の用紙のすべてが中間トレイ58上に積み重ねられた後、これらの用紙の例えば右端側部分がステープラー62により綴じられる。
図4は画像形成装置1の電気的構成を示している。図4に示すように、画像形成装置1は、CPU(中央演算処理装置)65、記憶装置66および通信回路67を備えている。CPU65、記憶装置66および通信回路67は本体11に設けられている。記憶装置66は、例えば、ROM(リードオンリーメモリ-)、RAM(ランダムアクセルメモリー)、フラッシュメモリ等、半導体記憶素子を備えた半導体記憶装置、または例えばハードディスクドライブ等、磁気ディスクを備えた磁気記憶装置である。通信回路67は、画像形成装置1と他の装置との間でコンピュータネットワーク等を介して相互に情報通信を行うための回路である。
また、CPU65には、記憶装置66、通信回路67、操作パネル28、スキャナー22、用紙センサー20、補正ローラー駆動モーター25、26および紙揃え部材駆動モーター61等が電気的に接続されている。また、CPU65は、例えば記憶装置66に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って実行することにより、スキャナー制御部71、傾き検知部72、補正ローラー制御部73、通知出力部74、傾き発生情報生成部75および総合制御部76として機能する。スキャナー制御部71はスキャナー22を制御する。傾き検知部72は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向および程度を検知する。補正ローラー制御部73は、傾き検知部72による検知結果に基づき、補正ローラー駆動モーター25、26を制御し、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24のそれぞれの回転速度を制御する。通知出力部74は、傾き検知部72による検知結果に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙が傾いていることを知らせるための状態通知を出力する。傾き発生情報生成部75は、傾き検知部72による検知結果に基づいて、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生回数を記録した傾き発生情報を生成する。総合制御部76は画像形成装置1のその他の制御を行う。
なお、本実施形態において、用紙が特許請求の範囲の記載における「記録媒体」の具体例である。また、各給紙カセット13および各給紙ローラー17が特許請求の範囲の記載における「供給機構」の具体例である。また、供給部14も「供給機構」の具体例である。また、第1の搬送路16、第2の搬送路44および第3の搬送路54が特許請求の範囲における「搬送路」の具体例である。また、排出部53、排紙ローラー57および排紙トレイ55が特許請求の範囲の記載における「排出機構」の具体例である。また、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24が特許請求の範囲の記載における「一対の補正ローラー」の具体例である。また、後処理ユニット51が特許請求の範囲の記載における「後処理装置」の具体例である。また、中間トレイ58が特許請求の範囲の記載における「蓄積機構」の具体例である。また、一対の可動紙揃え部材60が特許請求の範囲の記載における「揃え機構」の具体例である。
(画像形成装置の機能)
画像形成装置1は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内における傾きを検知する機能を有している。さらに、画像形成装置1は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの検知結果に基づいて、本体11内の第1の搬送路16を搬送されている用紙が後処理ユニット51の排出部53に到達するまでの間に、用紙の傾きを補正する機能を有している。具体的には、第1の実施形態の画像形成装置1は、用紙の傾きを補正する機能として、本体11における各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の回転速度を制御し、第1の搬送路16内において用紙の傾きを補正する機能を有している。さらに、画像形成装置1は、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生回数を記録した傾き発生情報を生成する機能を有している。以下、これらの機能について詳細に説明する。
(用紙の傾き方向の検知方法)
画像形成装置1の傾き検知部72は、次に述べる方法により、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向を検知する。図5(1)は、用紙81が第1の搬送路16内を、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において傾くことなく、理想的な状態で搬送されている様子を示している。なお、図5(1)中の白抜き矢印は、第1の搬送路16内における用紙81の移動方向を示している。
画像形成装置1においては、図5(1)に示すように、第1の搬送路16内において、第1の搬送路16を搬送される用紙81の搬送路幅方向における中心を配置させるべき位置Csが予め定められている。以下、この位置を「基準中心位置」という。本実施形態においては、基準中心位置Csが、第1の搬送路16の搬送路幅方向の中心に設定されている。用紙81が、図5(1)に示すように、第1の搬送路16内を搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において傾くことなく、理想的な状態で搬送されているとき、用紙81の搬送方向における一端側部分81Aの搬送路幅方向における中心位置P、および用紙81の搬送方向における他端側部分81Bの搬送路幅方向における中心位置Qがそれぞれ基準中心位置Csと一致する。
一方、図5(2)は用紙81が第1の搬送路16内を傾いた状態で搬送されている様子の一例を示している。第1の搬送路16を搬送されている用紙81が、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において傾いたとき、用紙81の中心位置PおよびQのうちのいずれか一方または双方が基準中心位置Csに対してずれる。ここで、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の搬送方向における一端側部分81Aの搬送路幅方向における中心位置Pの基準中心位置Csに対するずれ量を「第1のずれ量」という。また、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の搬送方向における他端側部分81Bの搬送路幅方向における中心位置Qの基準中心位置Csに対するずれ量を「第2のずれ量」という。図5(2)に示す例では、用紙81の中心位置PおよびQの双方が基準中心位置Csに対してずれており、第1のずれ量がaであり、第2のずれ量がbである。傾き検知部72は、第1のずれ量および第2のずれ量をそれぞれ認識し、第1のずれ量および第2のずれ量に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の傾きの方向を検知する。
具体的には、傾き検知部72は、第1のずれ量および第2のずれ量の認識を次のようにして行う。図1に示すように、画像形成装置1の本体11は反転機構21を備えている。画像形成装置1により用紙の両面に画像が形成されるとき、用紙は、いずれかの給紙カセット13または供給部14から第1の搬送路16に搬入された後、第1の搬送路16においてレジストローラー19が設けられた位置まで移動し、続いて、スキャナー22の下方を通る。続いて、用紙は、画像形成機構12内を通る。このとき、用紙の一の面(例えば表面)に画像形成機構12により画像が形成される。続いて、用紙は、反転機構21へ移動する。続いて、用紙は、反転機構21により、用紙の表裏が逆になると共に、用紙の搬送方向における一端側部分と他端側部分とが逆になるように反転される。続いて、反転された用紙は、第1の搬送路16においてレジストローラー19の上流側へ移動し、レジストローラー19に到達する。続いて、反転された用紙は、スキャナー22の下方を通る。続いて、反転された用紙は、画像形成機構12内を通る。このとき、用紙の他の面(例えば裏面)に画像形成機構12により画像が形成される。続いて、反転された用紙は、搬出部15へ移動し、続いて、中継搬送ユニット41に搬入される。このように、画像形成装置1により用紙の両面に画像が形成されるとき、まず、反転機構21により反転される前の用紙がスキャナー22の下方を通り、その後、反転機構21により反転された後の用紙がスキャナー22の下方を通る。スキャナー22は、スキャナー制御部71による制御に従い、反転される前の用紙と、反転された後の用紙とをそれぞれ撮像する。そして、傾き検知部72は、スキャナー22により撮像された、反転される前の用紙の画像に基づいて第1のずれ量を認識し、スキャナー22により撮像された、反転された後の用紙の画像に基づいて第2のずれ量を認識する。
図5(2)は、反転される前の用紙が、傾いた状態で、スキャナー22の上流側からスキャナー22に接近した状態を示している。スキャナー制御部71は、例えば用紙センサー20による用紙81の位置の検出結果に基づいて撮像のタイミングを計り、反転される前の用紙81の全体が撮像されるようにスキャナー22を制御する。これにより、反転される前の用紙81の全体とその背景とが重なり合った画像が取得される。続いて、傾き検知部72は、取得された画像に基づき、用紙81の外形を認識し、認識した用紙81の外形に基づき、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置を認識する。続いて、傾き検知部72は、取得された画像中における基準中心位置Csを認識する。スキャナー22のイメージセンサーは、その搬送路幅方向の中心位置が基準中心位置Csと一致するように配置されている。したがって、取得された画像の幅方向の中心位置が取得された画像中における基準中心位置Csとなる。続いて、傾き検知部72は、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置と基準中心位置Csとの間の距離を認識する。図5(2)に示すように、反転される前の用紙81は、用紙81の一端側部分81Aが搬送方向の先頭に位置している。したがって、取得された画像において、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置は、用紙81の一端側部分の中心位置Pに当たる。そして、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置と基準中心位置Csとの間の距離aは、第1のずれ量に当たる。
また、図5(3)は、図8に示す傾いた用紙が、反転機構21により反転された後にスキャナー22の上流側からスキャナー22に接近した状態を示している。なお、図5(3)中の用紙81の面内に描いたハッチングは、用紙81が反転されたことを表している。スキャナー制御部71は、例えば用紙センサー20による用紙81の位置の検出結果に基づいて撮像のタイミングを計り、反転された後の用紙81の全体が撮像されるようにスキャナー22を制御する。これにより、反転された後の用紙81の全体とその背景とが重なり合った画像が取得される。続いて、傾き検知部72は、取得された画像に基づき、用紙81の外形を認識し、認識した用紙81の外形に基づき、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置を認識する。続いて、傾き検知部72は、取得された画像中における基準中心位置Csを認識する。続いて、傾き検知部72は、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置と基準中心位置Csとの間の距離を認識する。図5(3)に示すように、反転された後の用紙81は、用紙81の他端側部分81Bが搬送方向の先頭に位置している。したがって、取得された画像において、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置は、用紙81の他端側部分の中心位置Qに当たる。そして、用紙81の搬送方向における先頭側端部の搬送路幅方向における中心位置と基準中心位置Csとの間の距離bは、第2のずれ量に当たる。
このように、傾き検知部72は、反転される前の用紙81を撮像することにより取得された画像に基づき、用紙81の搬送方向における先端側端部の搬送路幅方向における中心位置と基準中心位置Csとの間の距離を認識し、かつ、反転された後の用紙81を撮像することにより取得された画像に基づき、搬送方向における先端側端部の搬送路幅方向における中心位置と基準中心位置Csとの間の距離を認識することにより、第1のずれ量および第2のずれ量をそれぞれ認識する。
傾き検知部72は、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の第1のずれ量および第2のずれ量をそれぞれ認識した後、当該用紙81につき、「第1のずれ値」および「第2のずれ値」を算出する。ここで、図6は、第1の搬送路16を搬送されている、反転された後の用紙81を示している。図6において、用紙81は、図5(3)中の用紙81と同様に傾いている。なお、後述する、用紙81の傾きを補正する処理が、反転された後の用紙81に対して行われるので、説明の便宜上、反転された後の用紙81に基づいて第1のずれ値および第2のずれ値の算出につき説明する。
第1のずれ値とは、第1の搬送路16内における搬送方向および搬送路幅方向に広がる面において、基準中心位置Csを0とし、基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側(後ろ側)の領域を正とし、基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側(前側)の領域を負とした場合に、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の一端側部分81Aの中心位置Pの位置を示す値である。第1の搬送路16を搬送されている用紙81の一端側部分81Aの中心位置Pが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側に位置している場合、第1のずれ値は、第1のずれ量に対応する大きさを有する正の値となる。また、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の一端側部分81Aの中心位置Pが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側に位置している場合、第1のずれ値は、第1のずれ量に対応する大きさを有する負の値となる。また、第2のずれ値とは、第1の搬送路16内における搬送方向および搬送路幅方向に広がる面において、基準中心位置Csを0とし、基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側の領域を正とし、基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側の領域を負とした場合に、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の他端側部分81Bの中心位置Qの位置を示す値である。第1の搬送路16を搬送されている用紙81の他端側部分81Bの中心位置Qが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側に位置している場合、第2のずれ値は、第2のずれ量に対応する大きさを有する正の値となる。また、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の他端側部分81Bの中心位置Qが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側に位置している場合、第2のずれ値は、第2のずれ量に対応する大きさを有する負の値となる。例えば、図6に示す例においては、第1のずれ値はaとなり、第2のずれ値は-bとなる。
傾き検知部72は、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の第1のずれ値および第2のずれ値をそれぞれ算出した後、当該用紙81につき、「傾きパターン」を選択する。ここで、図7は、6つの傾きパターンを示している。傾きパターンとは、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の傾きの態様のパターンである。なお、後述する、用紙81の傾きを補正する処理が、反転された後の用紙81に対して行われるので、説明の便宜上、反転された後の用紙81に基づいて傾きパターンにつき説明する。
図7(A)は傾きパターンAを示している。傾きパターンAの特徴は、用紙81の中心位置Pが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側(後ろ側)に位置し、かつ用紙81の中心位置Qが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側(前側)に位置し、それゆえ、反転された後の用紙81を第1の搬送路16の上方から見た場合に、用紙81が反時計回り方向に傾いている点にある。第1のずれ値が0または正であり、かつ第2のずれ値が負である場合、傾き検知部72は傾きパターンAを選択する。
図7(B)は傾きパターンBを示している。傾きパターンBの特徴は、用紙81の中心位置Pが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側(前側)に位置し、かつ用紙81の中心位置Qが基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側(後ろ側)に位置し、それゆえ、反転された後の用紙81を第1の搬送路16の上方から見た場合に、用紙81が時計回り方向に傾いている点にある。第1のずれ値が負であり、かつ第2のずれ値が0または正である場合、傾き検知部72は傾きパターンBを選択する。
図7(C)は傾きパターンCを示している。傾きパターンCの特徴は、用紙81の中心位置Pおよび中心位置Qがいずれも基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側(前側)に位置し、かつ中心位置Qの基準中心位置Csに対するずれ量が、中心位置Pの基準中心位置Csに対するずれ量よりも大きく、それゆえ、反転された後の用紙81を第1の搬送路16の上方から見た場合に、用紙81が反時計回り方向に傾いている点にある。第1のずれ値が負であり、かつ第2のずれ値が負であり、第2のずれ値の絶対値が第1のずれ値の絶対値よりも大きい場合、傾き検知部72は傾きパターンCを選択する。
図7(D)は傾きパターンDを示している。傾きパターンDの特徴は、用紙81の中心位置Pおよび中心位置Qがいずれも基準中心位置Csよりも搬送路幅方向他側(前側)に位置し、かつ中心位置Pの基準中心位置Csに対するずれ量が、中心位置Qの基準中心位置Csに対するずれ量よりも大きく、それゆえ、反転された後の用紙81を第1の搬送路16の上方から見た場合に、用紙81が時計回り方向に傾いている点にある。第1のずれ値が負であり、かつ第2のずれ値が負であり、第1のずれ値の絶対値が第2のずれ値の絶対値よりも大きい場合、傾き検知部72は傾きパターンDを選択する。
図7(E)は傾きパターンEを示している。傾きパターンEの特徴は、用紙81の中心位置Pおよび中心位置Qがいずれも基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側(後ろ側)に位置し、かつ中心位置Pの基準中心位置Csに対するずれ量が、中心位置Qの基準中心位置Csに対するずれ量よりも大きく、それゆえ、反転された後の用紙81を第1の搬送路16の上方から見た場合に、用紙81が反時計回り方向に傾いている点にある。第1のずれ値が正であり、かつ第2のずれ値が正であり、第1のずれ値の絶対値が第2のずれ値の絶対値よりも大きい場合、傾き検知部72は傾きパターンEを選択する。
図7(F)は傾きパターンFを示している。傾きパターンFの特徴は、用紙81の中心位置Pおよび中心位置Qがいずれも基準中心位置Csよりも搬送路幅方向一側(後ろ側)に位置し、かつ中心位置Qの基準中心位置Csに対するずれ量が、中心位置Pの基準中心位置Csに対するずれ量よりも大きく、それゆえ、反転された後の用紙81を第1の搬送路16の上方から見た場合に、用紙81が時計回り方向に傾いている点にある。第1のずれ値が正であり、かつ第2のずれ値が正であり、第2のずれ値の絶対値が第1のずれ値の絶対値よりも大きい場合、傾き検知部72は傾きパターンFを選択する。
(用紙の傾き程度の検知方法)
また、画像形成装置1の傾き検知部72は、次に述べる方法により、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の傾きの程度を検知する。すなわち、画像形成装置1の傾き検知部72は、用紙81の搬送方向における長さ、第1のずれ量および第2のずれ量に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内における傾きの程度を検知する。具体的には、傾き検知部72は、第1のずれ値から第2のずれ値を引くことにより得られた値の絶対値と、用紙81の搬送方向における長さとの比率に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙81傾きの程度を検知する。より具体的には、傾き検知部72は、次の計算式に従って、第1の搬送路16を搬送されている用紙81の傾きの程度を表す「傾き程度値」を求める。
傾き程度値=|第1のずれ値-第2のずれ値|/用紙の搬送方向における長さ
例えば、図6に示す例では、用紙の搬送方向における長さをhとすると、傾き程度値は次式により求まる。
(a+b)/h
傾き程度値を算出する際、用紙81の搬送方向における長さを認識する必要がある。画像形成装置1は、印刷処理を行う際に、例えば利用者の入力に従って用紙のサイズおよび向きを設定し、用紙のサイズおよび向きの設定情報を記憶装置66に記憶する。傾き検知部72は、記憶装置66に記憶された用紙のサイズおよび向きの設定情報から、用紙81の搬送方向における長さを認識する。例えば、用紙のサイズがA4であり、用紙の向きが縦向きである場合、用紙の搬送方向における長さは297mmである。
(前補正ローラー・後ろ補正ローラーの制御)
画像形成装置1の補正ローラー制御部73は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向および程度の検知結果に基づいて、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の回転速度を、以下に述べるように制御し、第1の搬送路16内において用紙の傾きを補正する。なお、補正ローラー制御部73による用紙の傾き補正は、反転機構21により反転された後の用紙に対して行われる。
図8は、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の回転速度の制御の内容を示す表である。図8において、kは傾き程度値であり、R1、R2、R3はそれぞれ傾き程度基準値であり、Wは用紙の重さであり、Wrは用紙重さ基準値である。図8に示すように、補正ローラー制御部73は、傾き検知部72により選択された傾きパターンA~F、傾き検知部72により算出された傾き程度値k、3つの傾き程度基準値R1、R2、R3、用紙の重さw、および用紙重さ基準値Wrを用いて各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の回転速度を制御する。
「傾き程度基準値R1」、「傾き程度基準値R2」、「傾き程度基準値R3」はそれぞれ、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾き程度の基準値であり、予め設定され、記憶装置66に記憶されている。傾き程度基準値R1、R2、R3には次のような関係がある。
R1<R2<R3
用紙の重さwは、第1の搬送路16を搬送されている用紙の重さである。画像形成装置1は、印刷処理を行う際に、例えば利用者の入力に従って用紙の重さを設定し、用紙の重さの設定情報を記憶装置66に記憶する。用紙の重さwは、記憶装置66に記憶された用紙の重さの設定情報を参照することにより認識することができる。「用紙重さ基準値Wr」は用紙の重さの基準値であり、予め設定され、記憶装置66に記憶されている。
図8において、傾き程度値kが傾き程度基準値R1よりも小さい場合、補正ローラー制御部73は、傾き検知部72により選択された傾きパターンに拘わらず、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24のそれぞれの回転速度をVsに設定する。Vsは例えば各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の標準速度である。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙が傾いておらず、または当該用紙の傾きの程度が無視できるほどに小さい場合には、用紙の傾きを補正する必要がないので、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24のそれぞれの回転速度が標準速度Vsとなる。具体的には、印刷処理開始当初、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24のそれぞれの回転速度は標準速度Vsに設定される。用紙が傾いておらず、または用紙の傾きの程度が無視できるほどに小さい場合には、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24のそれぞれの回転速度は標準速度Vsのまま変化しない。この場合、前補正ローラー23の回転速度と後ろ補正ローラー24の回転速度とが互いに等しいので、第1の搬送路16を搬送されている用紙は、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において回転せず、そのまま搬送される。
図8において、傾き検知部72により選択された傾きパターンがAであり、傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上であり、傾き程度基準値R2よりも小さく、かつ用紙の重さwが用紙重さ基準値Wrよりも小さい場合、補正ローラー制御部73は、各前補正ローラー23の回転速度を第1設定速度V1に設定し、各後ろ補正ローラー24の回転速度を標準速度Vsに設定する。第1設定速度V1は標準速度Vsよりも大きい値である。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾き方向が反時計回り方向であり(図7(A)参照)、当該用紙の傾きの程度が小さいが無視できるほどではなく、かつ当該用紙が軽い場合には、各前補正ローラー23の回転速度が第1設定速度V1となり、後ろ補正ローラー24ーの回転速度が標準速度Vsとなる。この場合、前補正ローラー23の回転速度が後ろ補正ローラー24の回転速度よりも速くなるので、第1の搬送路16を搬送されている用紙は、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において時計回りに回転し、その結果、用紙の傾きが補正される。
図8において、傾き検知部72により選択された傾きパターンがAであり、傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上であり、傾き程度基準値R2よりも小さく、かつ用紙の重さwが用紙重さ基準値Wrよりも大きい場合、補正ローラー制御部73は、各前補正ローラー23の回転速度を第2設定速度V2に設定し、各後ろ補正ローラー24の回転速度を標準速度Vsに設定する。第2設定速度V2は第1設定速度V1よりも大きい値である。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾き方向が反時計回り方向であり(図7(A)参照)、当該用紙の傾きの程度が小さいが無視できるほどではなく、かつ当該用紙が重い場合には、各前補正ローラー23の回転速度が第2設定速度V2となり、各後ろ補正ローラー24の回転速度が標準速度Vsとなる。この場合、前補正ローラー23の回転速度が後ろ補正ローラー24の回転速度よりも速くなるので、第1の搬送路16を搬送されている用紙に、当該用紙を搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において時計回りに回転させようとする力が作用する。また、各前補正ローラー23の回転速度は、第1設定速度V1よりも大きい第2設定速度V2となるので、各前補正ローラー23の回転速度が第1設定速度V1である場合と比較して、用紙に加わる上記力が大きくなり、重い用紙を搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において回転させるのに十分な力となる。その結果、第1の搬送路16を搬送されている用紙は、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において時計回りに回転し、用紙の傾きが補正される。
図8において、傾き検知部72により選択された傾きパターンがAであり、傾き程度値kが傾き程度基準値R2以上であり、傾き程度基準値R3よりも小さく、かつ用紙の重さwが用紙重さ基準値Wrよりも小さい場合、補正ローラー制御部73は、各前補正ローラー23の回転速度を第2設定速度V2に設定し、各後ろ補正ローラー24の回転速度を標準速度Vsに設定する。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾き方向が反時計回り方向であり(図7(A)参照)、当該用紙の傾きの程度が大きいが補正可能な範囲内であり、かつ当該用紙が軽い場合には、各前補正ローラー23の回転速度が第2設定速度V2となり、各後ろ補正ローラー24の回転速度が標準速度Vsとなる。この場合、前補正ローラー23の回転速度が後ろ補正ローラー24の回転速度よりも速くなるので、第1の搬送路16を搬送されている用紙が搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において時計回りに回転する。このとき、各前補正ローラー23の回転速度は、第1設定速度V1よりも大きい第2設定速度V2となるので、各前補正ローラー23の回転速度が第1設定速度V1である場合と比較して、用紙の回転量が大きくなる。その結果、第1の搬送路16を搬送されている用紙は、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において時計回りに比較的大きく回転し、用紙の傾きが補正される。
図8において、傾き検知部72により選択された傾きパターンがAであり、傾き程度値kが傾き程度基準値R2以上であり、傾き程度基準値R3よりも小さく、かつ用紙の重さwが用紙重さ基準値Wrよりも大きい場合、補正ローラー制御部73は、各前補正ローラー23の回転速度を第3設定速度V3に設定し、各後ろ補正ローラー24の回転速度を標準速度Vsに設定する。第3設定速度V3は第2設定速度V2よりも大きい値である。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾き方向が反時計回り方向であり(図7(A)参照)、当該用紙の傾きの程度が大きいが補正可能な範囲内であり、かつ当該用紙が重い場合には、各前補正ローラー23の回転速度が第3設定速度V3となり、各後ろ補正ローラー24の回転速度が標準速度Vsとなる。この場合、前補正ローラー23の回転速度が後ろ補正ローラー24の回転速度よりも速くなるので、第1の搬送路16を搬送されている用紙に、当該用紙を搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において時計回りに回転させようとする力が作用する。また、各前補正ローラー23の回転速度は、第2設定速度V2よりも大きい第3設定速度V3となるので、各前補正ローラー23の回転速度が第2設定速度V2である場合と比較して、用紙に加わる上記力が大きくなり、重い用紙を搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において比較的大きく回転させるのに十分な力となる。その結果、第1の搬送路16を搬送されている用紙は、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において時計回りに比較的大きく回転し、用紙の傾きが補正される。
図8において、傾き検知部72により選択された傾きパターンがBであり、傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上であり、傾き程度基準値R2よりも小さく、かつ用紙の重さwが用紙重さ基準値Wrよりも小さい場合、補正ローラー制御部73は、各前補正ローラー23の回転速度を標準速度Vsに設定し、各後ろ補正ローラー24の回転速度を第1設定速度V1に設定する。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾き方向が時計回り方向であり(図7(B)参照)、当該用紙の傾きの程度が小さいが無視できるほどではなく、かつ当該用紙が軽い場合には、各前補正ローラー23の回転速度が標準速度Vsとなり、各後ろ補正ローラー24の回転速度が第1設定速度V1となる。この場合、後ろ補正ローラー24の回転速度が前補正ローラー23の回転速度よりも速くなるので、第1の搬送路16を搬送されている用紙は、搬送方向および搬送路幅方向に広がる面内において反時計回りに回転し、その結果、用紙の傾きが補正される。
図8において、傾き程度値kが傾き程度基準値R3以上である場合、補正ローラー制御部73は、傾き検知部72により選択された傾きパターンに拘わらず、印刷処理を停止させる。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度が大きく、補正可能な範囲を逸脱している場合には、印刷処理が停止される。印刷処理の停止により、各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24はそれぞれ停止する。
以上、補正ローラー制御部73による各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の回転速度の制御の態様を6通り説明した。図8に示すように、補正ローラー制御部73による各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の回転速度の制御の態様は他にもあるが、それら他の態様の制御の内容は、以上説明した6通りの態様の制御の内容から明確に推測することができるので、説明を省略する。
(傾き発生情報の生成)
画像形成装置1の傾き発生情報生成部75は、傾き検知部72による検知結果に基づいて、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生回数を記録した傾き発生情報を、以下に述べるように生成する。
図9は、傾き発生情報生成部75により生成された傾き発生情報の一例を示している。傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生回数を、給紙カセット13ごと、用紙の傾きの程度ごと、および用紙の傾きの方向ごとに記録した傾き発生情報を生成する。具体的には、傾き発生情報生成部75は、図9に示すように、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生回数を、給紙カセット番号ごと、傾き程度値の区分ごと、および傾きパターンごとに記録した傾き発生情報を生成する。
傾き発生情報を生成するに当たり、傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生を、給紙カセット番号ごと、傾き程度値の区分ごと、および傾きパターンごとに計数する。このような計数を行うに当たり、傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生を認識し、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙を第1の搬送路16に供給した給紙カセット13の給紙カセット番号を認識し、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙の傾き程度値の区分を認識し、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙の傾きパターンを認識する。
傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生を例えば次のようにして認識する。すなわち、傾き発生情報生成部75は、傾き検知部72により算出された、用紙の傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上である場合に、当該用紙につき、第1の搬送路16において傾きが発生したと認識する。
また、傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙を第1の搬送路16に供給した給紙カセット13の給紙カセット番号を例えば次のようにして認識する。すなわち、画像形成装置1には、図1に示すように、複数の給紙カセット13が設けられ、これら複数の給紙カセット13がそれぞれ第1の搬送路16に接続されている。複数の給紙カセット13にはそれぞれ、給紙カセットの識別番号として、給紙カセット番号が割り当てられている。画像形成装置1は、印刷処理を行う際に、例えば利用者の入力に従って、印刷処理に用いる用紙を供給する給紙カセット13を選択し、例えば選択した給紙カセット13の給紙カセット番号を記憶装置66に記憶する。傾き発生情報生成部75は、記憶装置66に記憶された給紙カセット番号を参照し、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙を第1の搬送路16に供給した給紙カセット13の給紙カセット番号を認識する。
また、傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙の傾き程度値の区分を例えば次のようにして認識する。すなわち、傾き程度値の区分として、例えば次の3つの区分が予め設定されている。
(i)傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上であり、かつ傾き程度基準値R2よりも小さい区分
(ii)傾き程度値kが傾き程度基準値R2以上であり、かつ傾き程度基準値R3よりも小さい区分
(iii)傾き程度値kが傾き程度基準値R3以上である区分
傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙について傾き検知部72により算出された傾き程度値kを傾き程度基準値R2、R3と比較し、傾き程度値kが上記3つの区分のうちのどの区分に属するかを判断する。
また、傾き発生情報生成部75は、第1の搬送路16において傾きが発生した用紙の傾きパターンを、当該用紙について傾き検知部72により行われた傾きパターンの選択の結果を参照することにより認識する。
(処理の流れ)
図10は、第1の実施形態の画像形成装置1における、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向および程度を検知する処理、当該用紙の傾きを補正する処理、および傾き発生情報を生成する処理の流れを示している。
図10において、例えば利用者が操作スイッチ29を操作し、両面印刷処理を開始する指示を画像形成装置1に入力する。この指示の中には、印刷処理に用いる用紙を供給する給紙カセット13の指定に関する情報、および印刷処理に用いる用紙の重さの設定に関する情報が含まれている。また、この指示の中には、利用者が指定した枚数の用紙をステープラー62により綴じる処理を行う旨の指示が含まれているものとする。画像形成装置1の総合制御部76は、利用者により入力された指示に応じ、印刷処理を開始する(ステップS1:YES)。印刷処理が開始されると、給紙ローラー17および搬送ローラー18が駆動され、利用者が入力した指示に含まれている、給紙カセット13の指定に関する情報に従って選択された給紙カセット13から第1の搬送路16へ用紙が供給され、その用紙が第1の搬送路16に沿って移動する。
用紙がスキャナー22の下方を通過するとき、スキャナー22は、スキャナー制御部71の制御に従って当該用紙を撮像する(ステップS2)。この結果、反転される前の用紙81の全体とその背景とが重なり合った画像が記憶装置66に記憶される。
用紙は、スキャナー22の下方を通過した後、反転機構21により反転され、スキャナー22の下方を再び通過する。反転された後の用紙がスキャナー22の下方を通過するとき、スキャナー22は、スキャナー制御部71の制御に従って当該用紙を撮像する(ステップS3)。この結果、反転された後の用紙81の全体とその背景とが重なり合った画像が記憶装置66に記憶される。
続いて、傾き検知部72が、ステップS2およびS3で記憶装置66にそれぞれ記憶された画像に基づいて、上述した方法により、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きパターンを選択し、かつ当該用紙の傾き程度値を算出する(ステップS4)。
続いて、補正ローラー制御部73が、傾き検知部72により選択された傾きパターン、および傾き検知部72により算出された傾き程度値に基づいて、上述した方法により、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24のいずれか一方または双方の回転速度を制御する(ステップS5)。これにより、第1の搬送路16を搬送されている用紙が傾いている場合には、その傾きが補正される。
その後、用紙は、本体11の搬出部15から搬出され、続いて、中継搬送ユニット41の第2の搬送路44に沿って移動し、続いて、後処理ユニット51の第3の搬送路54に搬入され、中間トレイ58に載置される。利用者により指定された枚数の用紙が中間トレイ58に蓄積された後、それらの用紙がステープラー62により綴じられ、綴じられたそれらの用紙が排紙トレイ55に排出される。
なお、図10において図示を省略しているが、図8に示す通り、傾き程度値kが傾き程度基準値R3以上である場合には、図10中のステップS5において、印刷処理が停止される。この場合には、用紙の傾きにより印刷処理が停止されたことを告げる通知がディスプレイ30に表示され、または通信回路67を介して他の装置に送信される。
傾き程度値kが傾き程度基準値R3以上でない場合には印刷処理が継続される。続いて。通知出力部74が、傾き検知部72による検知結果に基づき、第1の搬送路16における用紙の搬送状態を知らせる状態通知を出力する(ステップS6)。例えば、第1の搬送路16を搬送されている用紙につき傾き検知部72により算出された傾き程度値kが傾き程度基準値R1よりも小さい場合には、通知出力部74は、用紙の搬送に異常がない旨の告げる状態通知を出力する。また、第1の搬送路16を搬送されている用紙につき傾き検知部72により算出された傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上であり、かつ傾き程度基準値R2よりも小さい場合には、通知出力部74は、用紙上の画像の品質が低下する可能性がある旨を告げる状態通知を出力する。また、第1の搬送路16を搬送されている用紙につき傾き検知部72により算出された傾き程度値kが傾き程度基準値R2以上であり、かつ傾き程度基準値R3よりも小さい場合には、通知出力部74は、用紙上の画像の品質が低下していないかどうかを確認すべき旨を警告する状態通知を出力する。このような状態通知は、ディスプレイ30に表示され、または通信回路67を介して他の装置に送信される。
印刷処理中において用紙の傾き程度値kが傾き程度基準値R3未満にとどまっている場合には、印刷処理が完了するまで、ステップS2からステップS7までの処理が繰り返し実行される。印刷処理が完了した場合には(ステップS7:YES)、傾き発生情報生成部75が、上述した方法により、傾き発生情報を生成し、生成した傾き発生情報を記憶装置66に記憶する。なお、既に過去に生成された傾き発生情報が記憶装置66に記憶されている場合には、傾き発生情報生成部75は、その傾き発生情報を更新する(ステップS8)。
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態の画像形成装置1は、本体11内の第1の搬送路16を搬送されている用紙をスキャナーで撮像し、それにより得られた画像に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きを検知し、その検知結果に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きを補正する。この構成によれば、商業印刷向けの画像形成装置のように、搬送路が長い画像形成装置において発生する可能性の高い、搬送路内における用紙の傾きを補正することができ、用紙の傾きに起因する用紙詰まりまたは画像の品質低下等を抑制することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1によれば、第1の搬送路16を搬送中の用紙の傾きを検知して補正するので、給紙カセット13から第1の搬送路16に用紙が供給されるとき、または供給された直後等に発生した用紙の傾きを補正することができる。例えば、給紙カセット13に投入された用紙中に品質の悪い用紙が混在しており、そのために、給紙カセット13から第1の搬送路16への用紙供給の円滑性が損なわれ、これに起因して用紙が傾いた状態で第1の搬送路16に供給された場合には、そのような用紙の傾きを用紙の搬送途中において検知して補正することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、第1の搬送路16を搬送されている用紙81についての第1のずれ量および第2のずれ量を、スキャナー22により撮像された用紙の画像に基づいて認識し、第1のずれ量および第2のずれ量に基づいて、当該用紙81の傾きの方向を検知する。この構成により、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾き方向を精度良く検知することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、反転機構21により反転される前の用紙と、反転機構21により反転された後の用紙とをそれぞれ撮像し、反転される前の用紙の画像に基づいて第1のずれ量を認識し、反転された後の用紙の画像に基づいて第2のずれ量を認識する。この構成によれば、用紙の搬送方向における先頭側部分の外形に基づいて、第1のずれ量および第2のずれ量の双方を認識することができる。したがって、用紙の傾きを容易に検知することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、用紙の搬送方向における長さ、第1のずれ量および第2のずれ量に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度を検知する。これにより、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度に応じた用紙の傾き補正を行うことができ、傾き補正の精度を高めることができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、図6において、用紙81の一端側部分81Aの中心位置Pと基準中心位置Csとの位置関係および第1のずれ量に基づいて第1のずれ値を算出し、用紙81の他端側部分81Bの中心位置Qと基準中心位置Csとの位置関係および第2のずれ量に基づいて第2のずれ値を算出し、第1のずれ値から第2のずれ値を引くことにより得られた値の絶対値と、用紙81の搬送方向における長さとの比率に基づいて、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度を算出する。これにより、用紙の傾き程度を容易に算出することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向に応じて、前補正ローラー23の回転速度と後ろ補正ローラー24の回転速度とを互いに相違させることにより、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きを補正する。この構成によれば、用紙の搬送中に用紙の傾きを補正することができ、用紙詰まりまたは画像の品質低下等を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度に応じて、前補正ローラー23または後ろ補正ローラー24の回転速度を制御するので、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度に応じた用紙の傾き補正を行うことができ、傾き補正の精度を高めることができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の重さに応じて、前補正ローラー23または後ろ補正ローラー24の回転速度を制御するので、第1の搬送路16を搬送されている用紙の重さに応じた用紙の傾き補正を行うことができ、傾き補正の精度を高めることができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、傾き検知部72による用紙の傾きの検知結果に基づき、第1の搬送路16を搬送されている用紙が傾いていることを知らせる状態通知を出力する。画像形成装置1の利用者は状態通知に基づいて用紙の搬送状態を知ることができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、傾き検知部72による用紙の傾きの検知結果等に基づき、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生回数を給紙カセット13ごとに記録した傾き発生情報を生成する。利用者は、この傾き発生情報に基づいて、例えば、用紙の傾きの発生状況の把握、その原因の究明、用紙の傾きを解消するための画像形成装置1のメンテナンス等を効率良く行うことができる。例えば、利用者は、画像形成装置1に設けられた複数の給紙カセット13の中から、用紙の傾きの発生原因を作り出している給紙カセット13を傾き発生情報に基づいて容易に特定することができる。
さらに、本実施形態の画像形成装置1は、第1の搬送路16における用紙の傾きの発生回数を用紙の傾き方向ごとに、および傾きの程度ごとに記録した傾き発生情報を生成する。この傾き発生情報に基づいて、利用者は、画像形成装置1における用紙の傾きの発生状況の詳細に把握することができる。
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態の画像形成装置2を示している。なお、本発明の第2の実施形態の画像形成装置2において、本発明の第1の実施形態の画像形成装置1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。上述したように、本発明の第1の実施形態の画像形成装置1は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの検知結果に基づいて、本体11内の第1の搬送路16を搬送されている用紙が後処理ユニット51の排出部53に到達するまでの間に用紙の傾きを補正する機能として、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向および程度の検知結果に基づいて、本体11における各前補正ローラー23および各後ろ補正ローラー24の回転速度を制御する機能を有している。これに対し、本発明の第2の実施形態の画像形成装置2は、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの検知結果に基づいて、本体11内の第1の搬送路16を搬送されている用紙が後処理ユニット51の排出部53に到達するまでの間に用紙の傾きを補正する機能として、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度の検知結果に基づいて、後処理ユニット51における揃え処理の頻度を変化させ、後処理ユニット51において用紙の傾きを補正(用紙の傾きに起因する用紙の不整合を是正)する機能を有している。
図11において、CPU65は、記憶装置66に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って実行することにより、スキャナー制御部71、傾き検知部72、揃え処理制御部77、通知出力部74、傾き発生情報生成部75および総合制御部76として機能する。揃え処理制御部77は、傾き検知部72による検知結果に基づいて、後処理ユニット51において揃え処理を行う頻度を変化させる。
図12は、後処理ユニット51において揃え処理の頻度を変化させる制御の内容を示す表である。図12において、kは傾き程度値であり、R1、R2、R3はそれぞれ傾き程度基準値である。また、「要蓄積枚数」とは、1つの印刷物を作成するために中間トレイ58に蓄積する必要がある用紙の枚数を意味する。例えば、10枚の用紙を綴じて1つの印刷物を作成する場合、当該1つの印刷物を作成するために中間トレイ58に蓄積する必要がある用紙の枚数は10枚である。この場合、要蓄積枚数は10枚である。
図12に示すように、揃え処理制御部77は、傾き検知部72により算出された傾き程度値k、および3つの傾き程度基準値R1、R2、R3を用いて揃え処理の頻度を変化させる制御を行う。本実施形態における傾き程度基準値R1、R2、R3はそれぞれ、上述した第1の実施形態における傾き程度基準値R1、R2、R3と同じである。
図12において、傾き程度値kが傾き程度基準値R1よりも小さい場合、揃え処理制御部77は、要蓄積枚数の用紙が中間トレイ58上に蓄積された後に1回揃え処理を行うように各可動紙揃え部材60を制御する。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙が傾いておらず、または当該用紙の傾きの程度が無視できるほどに小さい場合には、用紙の傾きに起因して用紙の不整合の程度が増大することがないので、1つの印刷物の作成に要する用紙のすべてが中間トレイ58に蓄積された後に1回揃え処理が行われる。すなわち、印刷処理開始当初は、1つの印刷物の作成に要する用紙のすべてが中間トレイ58に蓄積された後に1回揃え処理が行われるように設定される。傾き程度値kが傾き程度基準値R1よりも小さい場合には、この設定が維持される。
図12において、要蓄積枚数が5枚以下であり、かつ傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上であり、傾き程度基準値R2よりも小さい場合には、揃え処理制御部77は、要蓄積枚数の用紙が中間トレイ58上に蓄積された後に1回揃え処理を行うように各可動紙揃え部材60を制御する。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度が小さいが無視できるほどではない場合には、用紙の傾きに起因して用紙の不整合の程度が増大することがあり得るが、要蓄積枚数が5枚以下であれば、1回の揃え処理により用紙の不整合を是正することができるので、1つの印刷物の作成に要する用紙のすべてが中間トレイ58に蓄積された後に1回揃え処理が行われる。
図12において、要蓄積枚数が6枚以上であり、かつ傾き程度値kが傾き程度基準値R1以上であり、傾き程度基準値R2よりも小さい場合には、揃え処理制御部77は、5枚の用紙が中間トレイ58上に載置されるごとに1回揃え処理を行うように各可動紙揃え部材60を制御する。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度が小さいが無視できるほどではなく、かつ要蓄積枚数が6枚以上である場合には、中間トレイ58上に用紙が5枚蓄積されたときに1回揃え処理が行われ、その後、中間トレイ58上の用紙の枚数が5枚増加するごとに1回揃え処理が行われる。その結果、用紙の傾きに起因する用紙の不整合が是正される。
図12において、傾き程度値kが傾き程度基準値R2以上であり、傾き程度基準値R3よりも小さい場合には、揃え処理制御部77は、1枚の用紙が中間トレイ58上に載置されるごとに1回揃え処理を行うように各可動紙揃え部材60を制御する。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度が大きいが許容範囲内である場合には、中間トレイ58上に用紙が1枚載置されたときに1回揃え処理が行われ、その後、中間トレイ58上に用紙が1枚積み重ねられるごとに1回揃え処理が行われる。その結果、用紙の傾きに起因する用紙の不整合が是正される。
図12において、傾き程度値kが傾き程度基準値R3以上である場合には、揃え処理制御部77は印刷処理を停止させる。この制御によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度が大きく、許容範囲を逸脱している場合には、印刷処理が停止される。印刷処理の停止により揃え処理も停止する。
図13は、第2の実施形態の画像形成装置2における、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向および程度を検知する処理、当該用紙の傾きに起因する用紙の不整合を是正する処理、および傾き発生情報を生成する処理の流れを示している。図13中のステップS21からステップS24までの処理は、図10中のステップS1からS4までの処理と同じである。ステップS25において、揃え処理制御部77が、傾き検知部72により算出された傾き程度値に基づいて、上述した方法により、後処理ユニット51における揃え処理の頻度を制御する。これにより、第1の搬送路16を搬送されている用紙が傾いている場合には、この用紙の傾きに起因する用紙の不整合が是正される。なお、図13において図示を省略しているが、図12に示す通り、傾き程度値kが傾き判断基準値R3以上である場合には、図13中のステップS25において、印刷処理が停止される。この場合には、用紙の傾きにより印刷処理が停止されたことを告げる通知がディスプレイ30に表示され、または通信回路67を介して他の装置に送信される。図13中のステップS26からステップS28までの処理は、図10中のステップS6からステップS8までの処理と同じである。
本発明の第2の実施形態の画像形成装置2によれば、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの程度に応じて、中間トレイ58に蓄積された複数の用紙に対して揃え処理を行う頻度を変化させる構成としたから、後処理を行うに当たり、用紙搬送中の用紙の傾きに起因する用紙の不整合を是正することができ、印刷物の品質の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の画像形成装置2では、中間トレイ58に蓄積する用紙の枚数および用紙の傾きの程度に応じて揃え処理の頻度を変化させる。これにより、揃え処理を行う頻度を適切に調節することができ、後処理の迅速性または効率性を確保することができる。
なお、上記各実施形態では、両面印刷処理を行う際に、反転機構21により反転される前の用紙の撮像と、反転機構21により反転された後の用紙の撮像とを行う場合を例にあげたが、片面印刷処理を行う際にも反転機構21により用紙を反転させることとし、反転される前の用紙の撮像と反転された後の用紙の撮像を行うこととしてもよい。
また、上記各実施形態では、本体11内にスキャナー22を設け、第1の搬送路16を搬送されている用紙をスキャナー22により撮像し、それにより取得された画像に基づいて用紙の傾きを検知する場合を例にあげた。しかしながら、これに代え、またはこれに加え、中継搬送ユニット41にスキャナーを設け、第2の搬送路44を搬送されている用紙をそのスキャナーにより撮像し、それにより取得された画像に基づいて用紙の傾きを検知してもよいし、後処理ユニット51にスキャナーを設け、第3の搬送路54を搬送されている用紙をそのスキャナーにより撮像し、それにより取得された画像に基づいて用紙の傾きを検知してもよい。
また、上記第1の実施形態では、第1のずれ値および第2のずれ値に基づいて傾きパターンを選択し、選択した傾きパターンに基づいて、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24の回転速度の制御を行う場合を例にあげたが、傾きパターンの選択を省き、直接、第1のずれ値および第2のずれ値に基づいて、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24の回転速度の制御を行ってもよい。
また、上記第1の実施形態では、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24のいずれか一方の回転速度を速くすることで用紙の傾きを補正する場合を例にあげたが、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24のいずれか一方の回転速度を遅くすることで用紙の傾きを補正してもよい。
また、上記第1の実施形態では、用紙の傾きの検知結果に基づいて前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24の回転速度の制御を行う場合を例にあげ、上記第2の実施形態では、用紙の傾きの検知結果に基づいて揃え処理の頻度の制御を行う場合を例にあげた。しかしながら、1つの画像形成装置において、用紙の傾きの検知結果に基づき、前補正ローラー23および後ろ補正ローラー24の回転速度の制御と、揃え処理の頻度の制御との双方を行ってもよい。
また、上記第2の実施形態において、揃え処理の頻度を制御するに当たり、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きの方向を検知しなくてよい。
また、上記第2の実施形態では、紙綴じを行うための中間トレイ58に蓄積された用紙に対して行う揃え処理の頻度を、第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きに基づいて制御する場合を例にあげたが、他の後処理、例えば中折り等を行うためのトレイに蓄積された用紙に対して行う揃え処理の頻度を第1の搬送路16を搬送されている用紙の傾きに基づいて制御してもよい。
また、本発明の画像形成装置1の供給機構は、本体11の一部として本体11内に組み込まれるタイプの給紙カセット13に限らず、例えば多段トレイや大容量トレイのような、本体11と独立しており、本体11の横側に本体11と並べて配置するタイプの給紙トレイでもよい。また、本発明は、商業印刷向けの画像形成装置に限らず、一般事務向けの画像形成装置にも適用することができる。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた本発明の技術思想に含まれる。