JP7229811B2 - 帯電部材、帯電部材の製造方法、電子写真装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
一方、近年、帯電部材と、該帯電部材と接触配置されている、電子写真感光体の如き被帯電体とを独立に駆動させて、帯電部材と被帯電体との周速差を大きくすることによって、電子写真画像形成工程における帯電部材の汚れのさらなる抑制を図る電子写真画像形成方法が提案されている。
また、本発明の他の態様は、被帯電体と帯電部材との周速差が大きい場合にも電位の安定性が高い帯電部材の製造方法の提供に向けたものである。
さらに、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真装置の提供に向けたものである。
さらにまた、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジの提供に向けたものである。
導電性支持体と、帯電部材の表面を構成するマトリックスの表面に接触させた原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA1とし、
導電性支持体と、帯電部材の表面を構成するドメインの表面に接触させたAFMのカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA2としたとき、A2が、A1の20倍以上である帯電部材が提供される。
(A)カーボンブラックおよびゴムを含み、該ドメインとなるカーボンマスターバッチを調製する工程、
(B)該カーボンマスターバッチと、該マトリックスとなるゴム組成物と、を混練して、ドメイン・マトリックス構造を有するゴム組成物を調製する工程、および
(C)該ドメイン・マトリックス構造を有するゴム組成物を、クロスヘッドから芯金と共に押し出して、該芯金の周囲を、該ドメイン・マトリックス構造を有するゴム組成物で被覆する工程を有し、
該カーボンマスターバッチのダイスウェル値をDS(d)とし、該マトリックスとなるゴム組成物のダイスウェル値をDS(m)としたときに、ダイスウェル値の比DS(m)/DS(d)を、1.0よりも大きくする帯電部材の製造方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、被帯電体と帯電部材との周速差が大きい場合にも電位の安定性が高い帯電部材の製造方法を得ることができる。さらに、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真装置を得ることができる。さらにまた、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジを得ることができる。
その結果、当該電子写真画像形成プロセスにおいては、帯電部材と被帯電体との接触部において、帯電部材から被帯電体に電荷注入が生じるためであると考えられる。すなわち、電荷注入に伴って、被帯電体の表面電位が一定の値に収束することなく、被帯電体が回転して帯電部材とこすれ合うたびに被帯電体の表面電位が上昇し、被帯電体の表面電位が安定しないものと考えられる。
その結果、電子導電性のドメインが、被帯電体に対して接触しにくくした構成の帯電部材が、上記の目的の達成に有効であることを見出した。
すなわち、本発明の一態様に係る帯電部材は、導電性支持体と弾性層とを有し、該弾性層は、単層で構成された該帯電部材の表面層であり、かつ、カーボンブラックおよびゴムを含むドメインと、ゴムを含み該ドメインよりも高い電気抵抗を有するマトリックスと、を含む。
該弾性層の体積抵抗率は、1×105Ωcm以上1×108Ωcm以下である。
また、該導電性支持体と、該帯電部材の表面を構成する該マトリックスの表面に接触させた原子間力顕微鏡のカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA1とし、
該導電性支持体と、該帯電部材の表面を構成する該ドメインの表面に接触させた原子間力顕微鏡のカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA2としたとき、A2が、A1の20倍以上である。
帯電部材として、適切な体積抵抗を有している前提で、弾性層の表面におけるドメイン部から流れる電流値がマトリックス部から流れる電流値の20倍以上であることで、被帯電体へのマトリックス部からの電荷の注入が抑制されること、および、ドメイン部からの十分な放電による被帯電体の帯電が両立する。
ドメインは電子導電性ゴム材料からなる。電子導電性ゴム材料とは、例えば、それ自体は導電性を示さないバインダーポリマーに、カーボンブラックを分散して電気抵抗を調整したものを含む。
また、マトリックスを形成するゴム組成物には、例えば、粒子径が1μm~90μmの範囲にある球状粒子を添加してもよい。具体的には例えば、フェノール樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリアクリロニトリル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリカ粒子、及びアルミナ粒子から選ばれる少なくとも一つの球状粒子が挙げられる。このようなゴム組成物を用いることにより、弾性層の外表面が、球状粒子に由来する凸部を有する帯電部材とすることができる。
導電性支持体は、導電性を有し、表面層等を支持可能であって、かつ、帯電部材としての、典型的には帯電ローラとしての強度を維持し得るものであればよい。
本発明の一態様に係る帯電部材の製造方法の一例として、製造工程が簡略であるという観点から有効な方法を説明する。その製造方法は、下記工程(A)~(D)を含む。
(A)カーボンブラックおよびゴムを含む、ドメイン形成用のカーボンマスターバッチ(CMB)を調製する工程;
(B)マトリックスとなるゴム組成物を調製する工程;
(C)該カーボンマスターバッチと該ゴム組成物とを混練して、ドメイン・マトリックス構造を有するゴム組成物を調製する工程;
(D)該マトリックス・ドメイン構造を有するゴム組成物を、クロスヘッドから芯金と共に押し出して、該芯金の周囲を、該マトリックス・ドメイン構造を有するゴム組成物で被覆する工程。
ダイスウェル値について説明する。ゴムをダイスの押出機を用いて押し出すと、押出機内では、圧力が加わっていることにより圧縮されていたゴムが、押出口から押し出されたことにより圧力が解放され、押し出されたゴムは膨張し、その厚みが、ダイスの押出口の隙間のサイズよりも厚くなる。ダイスウェル値は、押出口から押し出されたときのゴムの膨張の程度を表す指標である。
(i)ドメインとなるCMB、および、マトリックスとなる未加硫ゴム組成物のそれぞれを、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用して混合した後に、オープンロールの様な開放型の混合機を使用して、ドメインとなるCMBとマトリックスとなる未加硫ゴム組成物と加硫剤や加硫促進剤といった原料とを混練して一体とする方法。
(ii)ドメインとなるCMBを、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用して混合した後に、ドメインとなるCMBとマトリックスとなる未加硫ゴム組成物の原材料を密閉型混合機にて混合した後に、オープンロールの様な開放型の混合機を使用して加硫剤や加硫促進剤といった原料を混練して一体とする方法。
表面層には、紫外線や電子線を照射することによる表面処理を行ってもよい。
本発明の一態様に係る帯電部材は、レーザープリンターの如き電子写真装置、および、その電子写真装置に着脱可能なプロセスカートリッジに用いることができる。
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジを図8に示す。当該プロセスカートリッジは、電子写真装置に着脱可能である。当該プロセスカートリッジは、電子写真感光体81、電子写真感光体81を帯電可能に配置された帯電ローラ80、現像ローラ82及びクリーニング部材83を具備している。そして、帯電ローラ80として、本発明の一態様に係る帯電部材を用いている。
<カーボンマスターバッチ(CMB)1の調製>
下記の表1に記載のカーボンマスターバッチ(CMB)原料を表1に示す配合量で混合してCMB1を調製した。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
上記で調製したCMB1について、以下の方法によってダイスウェルの値(DS(d))を算出した。
すなわち、ダイスウェルの測定は、キャピラリーレオメーター(商品名:キャピログラフ1D型、株式会社東洋精機製)を用い、JIS K 7199:1999に準拠して行う。
キャピラリー長:10mm、キャピラリー直径D:2mm、炉体径:9.55mm、ロードセルタイプ:20kN、測定温度=80℃にて測定した。ダイスウェルとしては、ピストンスピード:100mm/分(剪断速度:1.52×102)において押し出されたストランドの直径R[mm]を測定し、ダイスウェルDS=R/Dとして算出した。
A練りゴム組成物の原料として、表2に記載の材料を用意した。
これらの材料を表2に記載の配合量で混合した。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。得られた混合物について、CMBのダイスウェルの算出方法と同様にして、当該混合物のダイスウェルの値(DS(m))を算出した。
上記CMB1に対して、表2に示す原料を加えて混練することにより、A練りゴム組成物を得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
得られたA練りゴム組成物に、表3に示す原料を加えてさらに混練することにより、B練りゴム組成物としての未加硫ゴム組成物1を得た。混合機は、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールを用いた。混合条件は、前ロール回転数10rpm、後ロール回転数8rpmで、ロール間隙2mmとして合計20回左右の切り返しを行った後、ロール間隙を0.5mmとして10回薄通しを行った。
CMB1の体積分率の測定は、CMB1の比重および配合質量部、未加硫ゴム組成物1の比重および配合質量部から、下記計算式(1)に従って計算した。
計算式(1)
CMB1の体積分率(%)=((CMB1の配合質量部)/(CMB1の比重))/((未加硫ゴム組成物1の質量部)/(未加硫ゴム組成物1の比重))×100
まず、加硫ゴム層を接着する接着層を有する芯金を得るため、次の操作を行った。すなわち、直径6mm、長さ252mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の軸方向の中央部222mmに導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU-20;東洋化学研究所製)を塗布し、80℃で30分間乾燥した。
得られた加硫ゴムローラの表面に電子線を照射して、弾性層(表面層)の表面に硬化された領域を有する帯電ローラ1を得た。電子線の照射には、最大加速電圧150kV・最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素を充填した。電子線の照射条件は加速電圧:150kV、電子電流:35mA、線量:1323kGy、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmであった。
帯電ローラから、厚さ1mmの弾性層の切片を切り出した。この切片をリンタングステン酸5%水溶液に15分浸漬し、次いで、当該切片を取り出し、純水で洗浄し、更に室温(25℃)で乾燥させた。このようにして得た染色された切片をFIB-SEMを用いてマトリックス・ドメイン構造の観察をした。具体的には、FIB-SEM(商品名:デュアルビームSEM Helios600、FEI社製)を用いた。具体的な測定手法を以下に示す。
帯電ローラの弾性層をカミソリにて切出し、かまぼこ状のゴムの切片を得た。このゴムの切断面の体積抵抗率を4端子4探針法で測定した。測定の条件としては抵抗率計(商品名:ロレスタGP、三菱化学アナリテック社製)にて、23℃/50%RH(相対湿度)の環境下で、印加電圧90V、荷重10N、ピン間距離1.0mm、ピン先0.04R、バネ圧250gとした。体積抵抗率は4.7×105Ωcmであった。
帯電部材の表面形状、および、凹部の底部にドメインが存在していることの確認、および、ドメインとマトリックスの電流値は、原子間力顕微鏡(AFM)(Easy Scan2、Nanosurf社)を用いて、広がり抵抗モードによって測定した測定値を採用することができる。図4に導電性測定装置の構成図を示す。帯電ローラ41の導電性基体に直流電源(PL-650-0.1、松定プレシジョン株式会社)44を接続して80Vを印加し、表面層にはカンチレバー42の自由端を接触させ、AFM本体43を通して電流像を得る。測定の条件は、カンチレバー:ANSCM-PC、動作モード:広がり抵抗、測定環境:大気中、セットポイント:20nN、P-ゲイン:3000、I-ゲイン:600、D-ゲイン:0、ティップ電圧:3V、画像幅:100μm、線数:256とした。
作製した帯電ローラを、電子写真装置(商品名:LBP7200C キヤノン株式会社製、A4紙縦出力用、)の被帯電体(OPCドラム)と当接させ、帯電ローラと被帯電体を独立に駆動できる治具(図5)に組み込み、電荷の注入性を評価した。30℃/80%RH(相対湿度)の環境下で、帯電ローラ51に-500V印加し、被帯電体52の回転速度180mm/sec、帯電ローラの回転速度200mm/secとして、表面電位計53(model370、トレックジャパン株式会社)で電位を測定した。そして、電圧を印加して被帯電体回転1周目の表面電位の平均値を電荷の注入による電位とした。印加電圧を-500Vとしたのは、放電による帯電がほとんど起こらず、注入による電位の変化を計測するためである。
<CMB2~CMB13の調製>
表4に記載の材料を、表4に示す配合量にて用いた以外は、CMB1と同様にしてCMB2~CMB13を調製した。また、CMB1と同様にしてダイスウェル値を算出した。
表5に記載の材料を表5に記載の配合量にて用いた以外は、実施例1と同様にしてA練りゴム組成物形成用原料のダイスウェル値を算出した。
上記CMB2~CMB13およびA練りゴム組成物形成用原料2~13を用いた以外は、実施例1に係る未加硫ゴム組成物1と同様にして、未加硫ゴム組成物2~13を調製した。
そして、未加硫ゴム組成物2~13を用いた以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ2~13を作製し、評価した。
<A練りゴム組成物形成用原料14~15のダイスウェル値の算出>
表6に記載の材料を表6に記載の配合量にて用いた以外は、実施例1と同様にしてA練りゴム組成物形成用原料14~15のダイスウェル値を算出した。
上記A練りゴム組成物形成用原料14~15を用いた以外は、実施例5に係る未加硫ゴム組成物5と同様にして、未加硫ゴム組成物14~15を調製した。未加硫ゴム組成物14~15を用いた以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ14~15を作製し、評価した。
実施例1の工程において、(加硫ゴム層の成形)後(押出後の加硫ゴム層の電子線照射)前の加硫ゴムローラの加硫ゴム層の表面をプランジカットの研磨方式の研磨機で研磨し、端部直径8.3mm、中央部直径8.5mmのクラウン形状とした。研磨工程の後に、実施例1の(押出後の加硫ゴム層の電子線照射)工程を行うこと以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラ16を作製し、同様に評価した。
実施例1の工程における、(加硫ゴム層の成形)を押出ではなく型で成形し、端部直径8.5mm、中央部直径8.6mmのクラウン形状とした以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラ17を作製し、同様に評価した。
型の成形条件は、割型とプレス機を用い、加圧:10MPa、温度:160℃、時間:40分とした。
実施例1の工程における、(カーボンマスターバッチの調製)を行わず、(未加硫ゴム組成物の調製)において、NBRとSBRとカーボンブラックを含むA練り原料を同時に混練した以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラ18を作製し、同様に評価した。
実施例1の<未加硫ゴム組成物1の調製>において、CMB1、及び表2に示す原料、及び、球状アクリル樹脂粒子(商品名:テクポリマーMBX-20、粒子径20μm、積水化成品工業社製)を、配合量にして10質量追加した。それ以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ19を作成し、評価した。
球状アクリル樹脂粒子は、架橋されているのでマトリックスを構成するNBRとは相溶しない。
なお、球状アクリル樹脂粒子は電気絶縁性であるため、ゴムを含みドメインよりも高い電気抵抗を有するマトリックスの一部として扱い、ドメインの体積分率を算出し、DS(m)/DS(d)、ドメインの数、及び、A2/A1を測定した。
実施例1の<未加硫ゴム組成物1の調製>において、CMB1および表2に示す原料に加え、球状ウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC-400透明、粒子径20μm、根上化学工業社製)を、配合量にして10質量部追加した。それ以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ21を作成し、評価した。
球状ウレタン樹脂粒子は、架橋されているため、マトリックスを構成するNBRとは相溶しない。
なお、球状ウレタン樹脂粒子は電気絶縁性であるため、実施例14と同様に、ゴムを含みドメインよりも高い電気抵抗を有するマトリックスの一部として扱い、ドメインの体積分率を算出し、DS(m)/DS(d)、ドメインの数、及び、A2/A1を測定した。
実施例14は実施例1と同じく電子線照射している。この電子線照射の代わりに、以下の条件で紫外線照射をするように工程を入れ替える以外は、実施例14と同様に、帯電ローラ21を作成し、評価した。
紫外線照射は低圧水銀ランプ(商品名:GLQ500US/11、東芝ライテック社製)を用いて、帯電ローラを回転させながら均一に照射した。紫外線の光量は、254nmのセンサーにおける感度で8000mJ/cm2になるようにした。
実施例15は実施例1と同じく電子線照射している。電子線照射の代わりに、以下の条件で紫外線照射をするように工程を入れ替える以外は、実施例15と同様に、帯電ローラ22を作成し、評価した。
紫外線照射は低圧水銀ランプ(商品名:GLQ500US/11、東芝ライテック社製)を用いて、帯電ローラを回転させながら均一に照射した。紫外線の光量は、254nmのセンサーにおける感度で8000mJ/cm2になるようにした。
球状ポリエチレン樹脂粒子マスターバッチPE-MB1を以下のようにして調製した。
原材料として、表9に記載の材料を用意した。これらの材料を表9に記載の配合量で混合して、球状ポリエチレン樹脂粒子マスターバッチPE-MB1を得た。
混合機は、6リットル加圧ニーダー(商品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率:50vol%、ブレード回転数10rpm、5分間とした。混合時の最大到達温度は、80℃であり、ポリエチレンの融点である120℃よりも十分に低い値であった。
オープンロール混練時の未加硫ゴム組成物16の最大到達温度は92℃であった。
球状ポリエチレン樹脂粒子は、溶融温度以下で混練しているのでマトリックスのNBRとは相溶しない。
なお、球状ポリエチレン樹脂粒子は電気絶縁性であるため、ゴムを含みドメインよりも高い電気抵抗を有するマトリックスの一部として扱い、ドメインの体積分率を算出し、DS(m)/DS(d)、ドメインの数、A2/A1を測定した。
未加硫ゴム組成物1に変えて未加硫ゴム組成物16を用いた以外は、実施例1と同様にして帯電ローラ23を作成し、評価した。
12‥‥ドメインよりも高い電気抵抗を有するマトリックス
13‥‥弾性層の表面
14‥‥弾性層の表面の凹部に露出したドメイン
Claims (7)
- 導電性支持体と弾性層とを有する帯電部材であって、
該弾性層は、単層で構成された該帯電部材の表面層であり、
かつ、カーボンブラックおよびゴムを含むドメインと、ゴムを含み該ドメインよりも高い電気抵抗を有するマトリックスと、を含み、
該帯電部材の表面は、該マトリックスの表面と、該ドメインの表面とで構成され、複数個の凹部を有し、
該ドメインは、該凹部の底部に存在し、かつ、該凹部の底部においてのみ該帯電部材の表面に露出しており、
該弾性層の体積抵抗率は、1×105Ωcm以上1×108Ωcm以下であり、
該導電性支持体と、該帯電部材の表面を構成する該マトリックスの表面に接触させた原子間力顕微鏡のカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA1とし、
該導電性支持体と、該帯電部材の表面を構成する該ドメインの表面に接触させた原子間力顕微鏡のカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA2としたとき、A2が、A1の20倍以上であることを特徴とする帯電部材。 - 前記弾性層の体積を基準として、前記ドメインの体積分率が5体積%以上25体積%以下である請求項1に記載の帯電部材。
- 前記弾性層における一片10μmの立方体中に存在する前記ドメインの数が、1個以上500個以下である請求項1または2に記載の帯電部材。
- 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置されている帯電部材とを具備している電子写真装置であって、該帯電部材が、請求項1~3のいずれか一項に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真装置。
- 電子写真装置の本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置されている帯電部材とを具備し、該帯電部材が、請求項1~3のいずれか一項に記載の帯電部材である、ことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 帯電部材の製造方法であって、
該帯電部材は、導電性支持体と弾性層とを有し、
該弾性層は、単層で構成された該帯電部材の表面層であり、
かつ、カーボンブラックおよびゴムを含むドメインと、ゴムを含み該ドメインよりも高い電気抵抗を有するマトリックスと、を含み、
該帯電部材の表面は、該マトリックスの表面と、該ドメインの表面とで構成され、複数個の凹部を有し、
該ドメインは、該凹部の底部に存在し、かつ、該凹部の底部においてのみ該帯電部材の表面に露出しており、
該弾性層の体積抵抗率は、1×10 5 Ωcm以上1×10 8 Ωcm以下であり、
該導電性支持体と、該帯電部材の表面を構成する該マトリックスの表面に接触させた原子間力顕微鏡のカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA1とし、
該導電性支持体と該帯電部材の表面を構成する前記ドメインの表面に接触させた原子間力顕微鏡のカンチレバーと、の間に80Vの直流電圧を印加した際の電流値をA2としたとき、A2が、A1の20倍以上であり、
該製造方法は、下記工程(A)~(C)を有し:
(A)カーボンブラックおよびゴムを含み、該ドメインとなるカーボンマスターバッチを調製する工程、
(B)該カーボンマスターバッチと、該マトリックスとなるゴム組成物と、を混練して、ドメイン・マトリックス構造を有するゴム組成物を調製する工程、および
(C)該ドメイン・マトリックス構造を有するゴム組成物を、クロスヘッドから芯金と共に押し出して、該芯金の周囲を、該ドメイン・マトリックス構造を有するゴム組成物で被覆する工程、
該カーボンマスターバッチのダイスウェル値をDS(d)とし、該マトリックスとなるゴム組成物のダイスウェル値をDS(m)としたときに、ダイスウェル値の比DS(m)/DS(d)が、1.0よりも大きいことを特徴とする帯電部材の製造方法。 - 前記DS(m)/DS(d)が、1.1以上である請求項6に記載の帯電部材の製造方法。
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