JP7228458B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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本発明は、流体を圧縮するスクロール圧縮機に関する。
スクロール圧縮機は、スクロール部材として、固定スクロールと、固定スクロールに対して自転が規制された状態で公転旋回運動する旋回スクロールとからなるスクロール圧縮機構を備えている。固定スクロールと旋回スクロールとが、それぞれの渦巻き状のラップの先端部を相手スクロールの端板に突き当てるようにして配置されると、固定スクロールと旋回スクロールとの間に圧縮室が形成される。旋回スクロールの旋回運動により圧縮室の容積が漸次縮小するのに伴い、冷媒ガス等の流体が圧縮される。
圧縮室からの流体の漏れを低減するため、典型的には、ラップの先端部に形成された溝にシール部材が配置されている。シール部材は、流体の圧力により端板に向けてラップの高さ方向に移動可能であり、熱等によるラップの変形に対応して、圧縮室の気密性の確保に寄与する。
さらに、ラップの先端部と端版との間に、冷媒ガス中に含まれる潤滑油によって形成される油膜も、圧縮室の気密性の確保に寄与する。
特許文献1では、圧縮室への給油を促進するため、ラップの先端部に、潤滑油が供給される給油孔と、給油孔からラップの巻き終わり方向に延びた油溝と、油溝と圧縮室とを連通させる連通孔とを形成している。特許文献1によれば、圧縮室への給油により、圧縮室が冷媒ガスを閉じ込む行程および圧縮を開始する行程における圧縮室間の漏れを低減でき、体積効率の向上が図られる。
特開2011-085038号公報
ラップの加工の制約等から、ラップの先端部の全域に溝を加工したり、孔を加工したりすることが難しい場合がある。特に、ラップの巻き終わりに相当する終端や、ラップの高さが変化している段差の近傍には、シール部材を配置するための溝や、給油のための溝や孔等を加工することが難しい。
また、溝や孔等を加工できたとしても、加工誤差、組立誤差による圧縮室の気密性の低下が避けられない場合がある。
以上より、本発明は、スクロール部材の加工によらず、圧縮室の気密性を向上させて圧縮効率を改善することが可能なスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
本発明のスクロール圧縮機は、固定スクロールと、固定スクロールに対して旋回する旋回スクロールと、を含む圧縮機構を備え、固定スクロールは、固定ラップおよび固定端板を備え、旋回スクロールは、旋回ラップおよび旋回端板を備える。
そして、本発明は、旋回ラップの終端が、圧縮機構における油溜まり部に位置し、終端には、水平面に対して交差する軌道が設定されていることを特徴とする。
本発明のスクロール圧縮機において、軌道は、油溜まり部における油面の高さが最大となる位置で重力方向に引いた直線に対して交差することが好ましい。
本発明のスクロール圧縮機において、終端は、径方向外側における旋回ラップと固定ラップとの間の導入空間の容積が増加する角度範囲において、油溜まり部における油面を通過することが好ましい。
本発明のスクロール圧縮機において、終端は、導入空間の容積が増加し、かつ、終端と固定ラップの側壁との間の距離が減少する角度範囲において、油溜まり部における油面を通過することが好ましい。
本発明のスクロール圧縮機において、終端における接線は、接点から旋回ラップの延長側で、重力方向の下方へ延びることが好ましい。
本発明のスクロール圧縮機において、終端は、径方向外側における旋回ラップと固定ラップとの間の導入空間の容積が減少する角度範囲において、油溜まり部における油面を通過し、終端における接線は、接点から旋回ラップを延長する側で、重力方向の上方へ延びることが好ましい。
本発明のスクロール圧縮機において、旋回ラップおよび固定ラップは、インボリュート曲線に従った形状に形成され、径方向外側における旋回ラップと固定ラップとの間の導入空間が締め切られた時の角度を0°としたとき、導入空間の容積が増加する角度範囲と、導入空間の容積が減少する角度範囲との境界は、約295°であることが好ましい。
「295°」は、厳密には、インボリュート曲線に基づく所定の角度296.1…°(小数点第二位以下省略)である。導入空間の容積が増加する角度範囲と、導入空間の容積が減少する角度範囲との境界は、約295°、つまり295°およびその前後近傍の角度、例えば、292°~300°に設定することができる。
本発明のスクロール圧縮機において、圧縮機構を収容するハウジングには、固定スクロールおよび旋回スクロールの軸線が略水平方向に沿っている状態で支持体に取り付けられる取付部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、旋回スクロールの旋回に伴って、旋回ラップの終端が軌道上を変位することにより、例えば、終端が潤滑油に接触する、終端が油面から脱し、終端に付着した潤滑油が流体の流れに伴って固定スクロールと旋回スクロールとの間に吸入されるといった過程が繰り返されて、圧縮機構への給油が促進される。そのため、圧縮機構における油膜の形成を促進でき、圧縮室の気密性を向上させて冷媒漏れを低減することができ、圧縮機構の体積効率を向上させることができる。
本発明では、旋回ラップの終端の油面に対する位置や向き等に基づいて給油を促進することができるため、スクロール部材への給油用の孔や溝等の加工が必要ない。したがって、製造コストを抑えながら、スクロール圧縮機の信頼性を向上させることができる。
本発明の第1~第5各実施形態に係るスクロール圧縮機を示す縦断面図である。 図1のII-II線断面図である。 (a)~(d)は、第1実施形態に関し、旋回スクロールのラップ終端の軌道と、油溜まり部の最大油面高さ位置で重力方向に引いた直線との関係を示す模式図である。 (a)~(d)は、第2実施形態に関し、径方向外側における旋回スクロールと固定スクロールとの間の容積の変化を示す模式図である。 旋回スクロールと固定スクロールとの間の導入空間の容積と、旋回スクロールの旋回に伴い変化する角度との関係を示すグラフである。 (a)~(d)は、第3実施形態に関し、流体吸入ステップにおける旋回スクロールのラップ終端と固定ラップの側壁との間の距離の変化を示す模式図である。 (a)~(d)は、第4実施形態に関し、流体吸入ステップにおける旋回スクロールのラップ終端の向きを示す模式図である。 (a)~(d)は、第5実施形態に関し、流体吐出ステップにおける旋回スクロールのラップ終端の向きを示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
まず、図1および図2を参照し、第1~第5実施形態に共通するスクロール圧縮機1の構成について説明する。
(スクロール圧縮機)
スクロール圧縮機1は、例えば車両に装備されて空気調和機を構成する。本実施形態のスクロール圧縮機1は、エンジン等の動力源から伝達される駆動力により駆動され、冷媒を圧縮するが、モータの駆動力により駆動されるものであってもよい。
スクロール圧縮機1は、図1に示すように、スクロール部材である固定スクロール10および旋回スクロール20を含む圧縮機構Cと、旋回スクロール20に回転駆動力を伝達するシャフト11と、シャフト11を回転自在に支持する軸受121,122と、ハウジング13とを備えている。スクロール圧縮機1は、ハウジング13に設けられた吸入部13Aを通じてハウジング13内に冷媒を吸入して圧縮機構Cにより圧縮し、圧縮された冷媒を図示しない吐出部を通じて吐出する。
スクロール圧縮機1が電動圧縮機である場合は、シャフト11に駆動力を入力するモータをハウジング13に収容することができる。
ハウジング13は、圧縮機構Cおよびシャフト11を軸線周りに包囲するハウジング本体131と、ハウジング本体131の開口を塞ぐフロントハウジング132とからなる。固定スクロール10はハウジング本体131に固定されている。
ハウジング13には、エンジン等の支持体に取り付けられる取付部133~136が設けられている。取付部133~136はそれぞれ、ねじ止めによりハウジング13を支持体に固定する。図1には、ハウジング本体131の孔に挿入される取付部133~136の各々の軸部を示している。これらの取付部133~136により、スクロール圧縮機1は、シャフト11およびスクロール10,20の軸線が略水平方向に沿っている状態で支持体に設置される。なお、スクロール圧縮機1が支持体に設置された状態において、当該軸線が水平方向に対して傾斜していてもよい。
ハウジング13の内部には、軸受121,122等の摺動部の潤滑や冷却のため、あるいは、圧縮機構Cにおけるスクロール部材の隙間をシールするため、潤滑油が封入される。ハウジング13の内部に溜まる潤滑油の一部は、ハウジング13内で冷媒の流れにより巻き上げられ、摺動部に供給される。ハウジング13内に溜まった潤滑油を摺動部に供給する経路等を含む給油機構が、ハウジング13やシャフト11、フロントハウジング132に固定された軸受121,122等に形成されていてもよい。潤滑油は、自重により、ハウジング13内の所定の領域に溜まる。
また、冷媒の流れにより巻き上げられて冷媒中にミスト状に含まれる潤滑油は、圧縮機構Cに吸入され、圧縮された冷媒と共に吐出されると、冷媒回路を循環する。
図2には、圧縮機構Cにおける油溜まり部30が示されている。油溜まり部30は、固定スクロール10および旋回スクロール20の付近で潤滑油が溜まる領域、およびその領域に溜まった潤滑油を含む。
油溜まり部30において潤滑油は、圧縮機構Cを囲むハウジング13の内壁における重力方向D1(鉛直方向)の下側の領域に溜まり、固定スクロール10や旋回スクロール20に接触する。
なお、図2に示す油溜まり部30の形状はあくまで一例であり、ハウジング13や、ハウジング13内に配置される部材の形状等に応じて、ハウジング13内の所定の領域に油溜まり部30が与えられる。油溜まり部30に貯留される潤滑油の量が変化すると、油溜まり部30における油面30Aの高さが変化する。
シャフト11は、主軸111と、主軸111の軸線A1に対して所定の距離だけ偏心した偏心軸112とを備えている。軸線A1と偏心軸112の軸線との距離が旋回半径rに相当する。
主軸111は、ハウジング本体131から軸線方向の一方側に突出している。主軸111の周りに設けられたシール14により、ハウジング13の内部が気密に保持されている。
偏心軸112には、駆動軸受15を介して旋回スクロール20が連結される。偏心軸112には、旋回する旋回スクロール20とつり合いを取るためのカウンターウェイト16が設けられている。
主軸111には、動力源から図示しないVベルト等を介してプーリ17に伝達される駆動力が入力される。電磁クラッチ18は、プーリ17からシャフト11への動力伝達を断続する。プーリ17は、ハウジング本体131のボス部131Aに軸受19を介して回転自在に設けられている。
(圧縮機構)
図1および図2を参照し、圧縮機構Cの構成を説明する。
固定スクロール10は、渦巻状の固定ラップ101と、固定ラップ101を支持する固定端板102とを備えている。固定ラップ101は、インボリュート曲線に従った形状に形成されることが好ましい。旋回スクロール20の旋回ラップ201も同様である。
旋回スクロール20は、固定ラップ101と同様の旋回ラップ201と、旋回ラップ201を支持する旋回端板202とを備えている。
旋回スクロール20は、固定スクロール10に対して、旋回半径rに相当する偏心距離にて偏心している。
固定スクロール10と旋回スクロール20とは、図2に示すように、固定ラップ101と旋回ラップ201とを180°位相をずらして噛み合わせた状態に配置される。固定スクロール10と旋回スクロール20との間には、冷媒が圧縮される圧縮室100がスクロールの中心部Xに対して対称に形成される。
噛み合わせられた固定スクロール10と旋回スクロール20とのそれぞれのラップと端板との間、つまり、固定ラップ101と旋回端板202との間、および、旋回ラップ201と固定端板102との間には、クリアランスが設定されている。
固定スクロール10と旋回スクロール20とのそれぞれのラップと端板との間の隙間を封止するため、シール部材21,22が用いられることが好ましい。
図2に示すように、固定端板102から起立した固定ラップ101の先端部101Aには、シール部材21が配置されるシール溝101Bが形成されている。シール溝101Bに流入した冷媒の圧力によりシール部材21がシール溝101Bの底部に対して浮上し、旋回端板202(図1)に押し付けられることで、固定ラップ101と旋回端板202との間が封止される。
シール溝101Bは、固定スクロール10の中心側に位置する固定ラップ101の始端101Sの近傍から、インボリュート曲線に従って、終端101Eに向けて延びている。但し、終端101Eから始端101Sに向けて所定の長さの領域には、加工コストや、冷媒の漏れ低減への寄与度等を考慮して、シール溝101Bが形成されていない。
図1に示すように、旋回ラップ201の先端部201Aにも、シール部材22が配置されたシール溝が形成されている。
固定端板102がハウジング本体131にボルト131Bにより締結されることで、スクロール圧縮機1における固定スクロール10の位置が固定されている。なお、固定スクロール10は例えば焼き嵌めなどの適宜な方法によりハウジング本体131に固定されていてもよい。
旋回スクロール20は、旋回端板202の背面側に突出したボス部202Aの内側に駆動軸受15および偏心軸112が挿入されることでシャフト11と連結され、フロントハウジング132に設けられたスラスト部材132Aにより支持される。軸受121は、圧縮室100の冷媒の圧力によるスラスト荷重をスラスト部材132Aに受ける。旋回スクロール20と軸受121との間には、旋回スクロール20の自転を規制するオルダムリンク等の自転規制機構が設けられている。
偏心軸112と結合した旋回スクロール20は、シャフト11の回転に伴い、自転が規制されながら固定スクロール10に対して公転旋回運動する。
旋回スクロール20の公転旋回運動に伴い、ハウジング13内の冷媒が固定スクロール10と旋回スクロール20との間に吸入される。このとき、例えば図4(c)に示すように、固定ラップ101の終端101Eと旋回ラップ201の側壁201Wとの間の吸入開口103から冷媒が吸入されるとともに、旋回ラップ201の終端201Eと固定ラップ101の側壁との間の吸入開口203から冷媒が吸入される。
その後、吸入開口203が閉じることで、径方向外側における固定スクロール10と旋回スクロール20との間の空間205(以下、導入空間205)が締め切られると、圧縮室100が形成される。以降、旋回スクロール20の旋回により、冷媒を閉じ込めた圧縮室100の容積が次第に減少することで、冷媒圧縮工程が進行し、規定圧力にまで圧縮された冷媒が、固定端板102においてスクロールの中心部X(図2)に相当する位置に形成された吐出ポート104(図1)から吐出される。
(オイルシール)
上述したように、冷媒中に含まれる微細な油滴(オイルミスト)が、固定スクロール10と旋回スクロール20との間に吸入される。このオイルミストにより、固定ラップ101および旋回ラップ201のそれぞれの先端部101A,201Aと相手の端板との隙間や、固定ラップ101の側壁101Wと旋回ラップ201の側壁201Wとの隙間に油膜が形成されると、油膜は、圧縮機構Cにおける摺動部の潤滑と冷媒の漏れ低減とに寄与する。
以下で説明するように、第1~第5実施形態では、油溜まり部30(図2)から液状の潤滑油を固定スクロール10と旋回スクロール20との間に効率良く導入することにより、オイルミストのみによる給油と比べて、圧縮機構Cへの給油の促進を図る。
油溜まり部30から潤滑油を効率良く圧縮機構Cに導入するための基本的な構成として、図2に示すように、旋回ラップ201の終端201Eが油溜まり部30に位置している。つまり、終端201Eを重力方向D1の下方に向けて圧縮機構Cが配置されている。
ここで、仮に終端201Eが油面30Aよりも上方に位置しているため潤滑油には接触していないとしても、油溜まり部30に溜まる潤滑油と、固定ラップ101の側壁101Wとの間に吸入開口203を形成する終端201Eとが近いことで、油溜まり部30の潤滑油が、吸入開口203から固定スクロール10と旋回スクロール20との間に吸入される冷媒ガスの流れにより搬送され、固定スクロール10と旋回スクロール20との間に導入される。
図2では、中心部Xと終端201Eとを結ぶ直線L1が、重力方向D1に沿って延びているが、これに限られない。直線L1が重力方向D1に対して傾斜していてもよい。例えば、図6~図8では、直線L1の図示は省略しているが、直線L1が重力方向D1に対して傾斜している例に相当する。
旋回ラップ201の終端201Eには、油溜まり部30の水平面Hpに対して交差する軌道24(図3)が設定されている。旋回スクロール20の旋回に伴って、終端201Eは、円形の軌道24上を変位する。軌道24の半径は、旋回半径rに相当する。固定スクロール10に対して旋回スクロール20が0°~360°まで1回転する間に、終端101Eは軌道24を1周する。水平面Hpは、必ずしも現実の油面30Aのことを言わない。
油溜まり部30における油量は必ずしも一定ではないが、一定量以上の潤滑油が油溜まり部30に溜まっているとき、終端201Eは、軌道24の少なくとも一部において潤滑油と接触するか、あるいは潤滑油に接触しないとしても、油面30Aに近づく。
終端201Eが油溜まり部30の潤滑油に接触する場合は、終端201Eから、固定スクロール10と旋回スクロール20との間に液状の潤滑油を直接的に導入することができるし、終端201Eが潤滑油に接触しないとしても、冷媒ガスと共にスクロール10,20間に吸入される。油溜まり部30の油量によっては、終端201Eが潤滑油に接触する、終端201Eが油面30Aから脱し、終端201Eに付着した潤滑油が冷媒ガスと共にスクロール10,20間に吹き込まれるといった過程が繰り返される。
したがって、本実施形態によれば、圧縮機構Cへの給油が促進されるため、圧縮機構Cにおいて油膜の形成を促進でき、油膜により、ラップ101,201の先端部においてシール部材21が配置されていない領域と相手端板との間の隙間をも封止することができる。そのため、圧縮室100の気密性を向上させて冷媒漏れを低減することができ、圧縮機構Cの体積効率を向上させることができる。
本実施形態によれば、旋回ラップ201の終端201Eの油面30Aに対する位置に基づいて給油を促進することができるため、スクロール10,20に対する給油用の孔や溝等の加工が必要ない。したがって、製造コストを抑えながら、スクロール圧縮機1の信頼性を向上させることができる。
軌道24は、油面30Aの高さが最大となる位置P1(図2)で重力方向D1に引いた直線L0に対して交差することが好ましい。直線L0は、本実施形態では、上述の直線L1と一致している。この場合の終端201Eと油面30Aとの位置関係を図3(a)~(d)に模式的に示している。終端201Eは、図3(a)~(d)の順に、軌道24上を矢印の向きに変位する。図3、図4、図6、図7、および図8に示すスクロール10,20のいずれも、インボリュート曲線に従って形成されている。
なお、直線L0は、必ずしも直線L1と一致していなくてもよい。直線L0の位置は、油溜まり部30の形状等によって変わる。
軌道24が直線L0に対して交差する場合は、終端201Eが、油面30Aの最大位置で油面30Aを通過する。そのため、油溜まり部30における油量が少ないとしても終端201Eを油溜まり部30の潤滑油と接触させ、油溜まり部30に一定の油量が確保される場合は、終端201Eを油溜まり部30のより多くの潤滑油に接触させることができる。したがって、固定スクロール10と旋回スクロール20との間に液状の潤滑油をより十分に導入することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図4および図5を参照し、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態以降は、第1実施形態を前提としつつ、油溜まり部30から潤滑油をより効率良く圧縮機構Cに導入するための構成を開示する。
図4(a)~(d)は、固定スクロール10に対して旋回スクロール20が旋回する過程を示している。図4(b)~(d)に斜線パターンで示しているように、吸入開口203が開いている間は、スクロールの径方向外側において、スクロール10,20の外部と連通した導入空間205が存在する。
図4(a)に示すように吸入開口203が閉じることで導入空間205は締め切られる。
図4(b)、(c)に示すように、旋回スクロール20が旋回すると、吸入開口203が開き、導入空間205の容積が増加する。図4(c)に示すように吸入開口203が最大、つまり、終端201Eと固定ラップ101の側壁101Wとの間の距離Dsが最大となる角度を経た後、図4(d)に示すように、導入空間205の容積はさらに増加する。
第2実施形態では、導入空間205への冷媒ガスの導入が開始されてから導入空間205が締め切られるまでの導入空間205の容積の増減に基づいて、油面30Aに対する旋回ラップ201の終端201Eの位置を定める。
図5は、導入空間205の容積と、締め切り時を360°としたときの旋回スクロール20の角度(位相)との関係を示している。ここでは、インボリュート曲線に従った形状のスクロール10,20に対応する角度を示している。
角度0°から、吸入開口203が最大となる180°を経て、約295°までの角度範囲において、導入空間205の容積は増加する。容積の増加により冷媒圧力が減少した導入空間205にスクロール10,20の外部から冷媒ガスが流入するため、導入空間205の容積が増加する間は、導入空間205に冷媒ガスが吸入される。そのため、0°~約295°の角度範囲のことを吸入ステップS1と称するものとする。
この吸入ステップS1において、終端201Eを潤滑油の油面30Aに近づけることができれば、冷媒ガスの流れにより、油溜まり部30から潤滑油を冷媒ガスと共に効率良くスクロール10,20の内部へと取り込むことができる。
したがって、吸入ステップS1に相当する角度範囲における所定の角度、例えば、図4(c)に示す180°のときに終端201Eが想定の油面30Aを通過するように、終端201Eの位置を定めるとよい。
特に、角度変化に対する導入空間205の容積の増加率が大きい角度のとき、吸入される冷媒ガスの流量が大きいため、容積の増加率が大きい角度で終端201Eが油面30Aを通過するようにすると、潤滑油をより効率良く取り込むことができる。
なお、約295°から360°までの角度範囲において、導入空間205の容積は減少し、360°で導入空間205が締め切られて圧縮室100となる。導入空間205がスクロール10,20の外部と連通している間に容積が減少する間は、導入空間205に導入されていた冷媒ガスの一部が吸入開口203からスクロール10,20の外側へ吐出される。約295°~360°の角度範囲のことを吐出ステップS2と称するものとする。
〔第3実施形態〕
次に、図6を参照し、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態では、終端201Eと油面30Aとの位置関係を定めるにあたり、導入空間205の容積に加えて、終端201Eと固定ラップ101の側壁101Wとの間の距離も考慮する。
図6(a)に示すように吸入開口203が閉じている0°の状態から、旋回スクロール20の旋回に伴い、図6(b)に示すように終端201Eと側壁101Wとの間の距離Dsが次第に増加する。そして、図6(c)に示すように距離Dsが最大となるまで吸入開口203が開いた後は、距離Dsが減少に転じるため、図6(d)に示すように吸入開口203が次第に閉じていく。このときの吸入開口203の開口面積減少に伴い、吸入開口203を通じてスクロール10,20の間に吸入される冷媒ガスの流速が増加する。
したがって、吸入ステップS1に相当する角度範囲であり、かつ、距離Dsが減少する角度範囲において、例えば図6(d)に示す270°のときに終端201Eが油面30Aを通過するようにするとよい。そうすることで、第2実施形態に対し、吸入される冷媒ガスと共に潤滑油をより効率良くスクロール10,20の内部に取り込むことができる。
〔第4実施形態〕
次に、図7を参照し、本発明の第4実施形態を説明する。
第4実施形態では、第2実施形態または第3実施形態と同様に、吸入ステップS1においてスクロール10,20の間に吸入される冷媒ガスの流れを給油に利用しつつ、給油の効率をさらに高めるため、終端201Eにおける接線L4と、重力方向D1との関係を定めている。
例えば図7(a)に示しているように、終端201Eにおける接線L4は、接点P4から旋回ラップ201を延長する延長側Exで、重力方向D1の下方へ延びている。
そうすると、旋回ラップ201の終端201Eが油面30Aを向くので、旋回ラップ201の側壁201Wに妨げられることなく、例えば図7(c)に矢印で示すように、終端201Eと側壁101Wとの間からスクロール10,20間に、冷媒ガスの流れと共に潤滑油をスムーズに流入させることができる。
旋回ラップ201の延長側Exは、軌道24を重力方向D1に沿った中心線Lcにより二等分したとき、中心線Lcに対して、旋回ラップ201を旋回ラップ201が延びている方向へ延長する側、つまり図7で言うと中心線Lcよりも右側を言うものとする。
延長側Exとは反対側である反延長側OExは、中心線Lcよりも左側を言うものとする。
加えて、終端201Eは、油面30Aの高さが最大となる位置で重力方向D1に引いた上述の直線L0に対して、軌道24における旋回ラップ201の延長側Exで交差することが好ましい。
〔第5実施形態〕
次に、図8を参照し、本発明の第5実施形態を説明する。
第5実施形態では、第2~第4実施形態とは異なり、導入空間205の容積が減少する吐出ステップS2に関して、終端201Eの向きを定めている。
第5実施形態では、容積減少に伴い導入空間205から冷媒ガスが吐出される角度範囲において、終端201Eが油面30Aを通過する。
加えて、例えば図8(a)に示しているように、終端201Eにおける接線L5は、接点P5から旋回ラップ201の反延長側OExで、重力方向D1の下方へ延びている。換言すると、旋回ラップ201には、終端201Eに向けて上り勾配が与えられている。
そうすると、例えば図8(c)に矢印で示すように導入空間205から冷媒ガスが吐出され、その後導入空間205が締め切られるまでの間、旋回ラップ201の終端201E近傍に、それまでに取り込まれた潤滑油を留めて、スクロール10,20間に流入させることができる。
加えて、終端201Eは、油面30Aの高さが最大となる位置で重力方向D1に引いた上述の直線L0に対して、軌道24における旋回ラップ201の反延長側OExで交差することが好ましい。
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
スクロール圧縮機1は、車両に限らず、建物等の空気調和機を構成していてもよい。また、スクロール圧縮機1の用途は、空気調和機に限らず、冷凍機や給湯機であってもよい。スクロール圧縮機1により圧縮される流体は、冷媒に限らず、例えば空気を圧縮するものであってもよい。
本発明による圧縮機構Cへの給油促進により、圧縮室100の気密性の確保に足りる油膜がスクロール10,20の隙間に形成される場合は、必ずしもシール部材21をラップ101,201に設ける必要はない。
本発明におけるスクロール圧縮機構は、上記実施形態に限らず、スクロールの径方向外側におけるラップの高さに対してスクロールの中心側におけるラップの高さが低く、これに対応して端板に段差が形成されているものであってもよい。
1 スクロール圧縮機
10 固定スクロール
11 シャフト
13 ハウジング
13A 吸入部
14 シール
15 駆動軸受
16 カウンターウェイト
17 プーリ
18 電磁クラッチ
19 軸受
20 旋回スクロール
21,22 シール部材
24 軌道
30 油溜まり部
30A 油面
100 圧縮室
101 固定ラップ
101A 先端部
101B シール溝
101E 終端
101S 始端
101W 側壁
102 固定端板
103 吸入開口
104 吐出ポート
111 主軸
112 偏心軸
121,122 軸受
131 ハウジング本体
131A ボス部
131B ボルト
132 フロントハウジング
132A スラスト部材
133~136 取付部
201 旋回ラップ
201A 先端部
201E 終端
201W 側壁
202 旋回端板
202A ボス部
203 吸入開口
205 導入空間
A1 軸線
C 圧縮機構
D1 重力方向
Ds 距離
Ex 延長側
OEx 反延長側
L0,L1 直線
L4,L5 接線
Lc 中心線
P1 位置
P4,P5 接点
S1 吸入ステップ
S2 吐出ステップ
Hp 水平面
X 中心部
r 旋回半径

Claims (7)

  1. スクロール圧縮機であって、
    固定スクロールと、前記固定スクロールに対して旋回する旋回スクロールと、を含む圧縮機構を備え、
    前記固定スクロールは、固定ラップおよび固定端板を備え、
    前記旋回スクロールは、旋回ラップおよび旋回端板を備え、
    前記旋回ラップの終端は、前記圧縮機構における油溜まり部に位置し、
    前記終端には、水平面に対して交差する軌道が設定されており
    前記終端は、径方向外側における前記旋回ラップと前記固定ラップとの間の導入空間の容積が減少する角度範囲において、前記油溜まり部における油面を通過し、
    前記終端における接線は、接点から前記旋回ラップを延長する側で、重力方向の上方へ延びる、ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記軌道は、前記油溜まり部における油面の高さが最大となる位置で重力方向に引いた直線に対して交差する、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記終端は、径方向外側における前記旋回ラップと前記固定ラップとの間の導入空間の容積が増加する角度範囲において、前記油溜まり部における油面を通過する、
    請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記終端は、前記導入空間の容積が増加し、かつ、前記終端と前記固定ラップの側壁との間の距離が減少する角度範囲において、前記油溜まり部における油面を通過する、
    請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記終端における接線は、接点から前記旋回ラップの延長側で、重力方向の下方へ延びる、
    請求項3または4に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記旋回ラップおよび前記固定ラップは、インボリュート曲線に従った形状に形成され、
    径方向外側における前記旋回ラップと前記固定ラップとの間の導入空間が締め切られた時の前記旋回スクロールの角度を0°としたとき、
    前記導入空間の容積が増加する角度範囲と、前記導入空間の容積が減少する角度範囲との境界は、約295°である、
    請求項1からのいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記圧縮機構を収容するハウジングには、
    前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールの軸線が略水平方向に沿っている状態で支持体に取り付けられる取付部が設けられている、
    請求項1からのいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
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