JP7228236B2 - 遠心分離カラム及び分析対象物質の分析方法 - Google Patents

遠心分離カラム及び分析対象物質の分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、遠心分離カラム及び分析対象物質の分析方法に関する。
例えば液体クロマトグラフを用いて血清等の生体試料中の分析対象物質を分析する場合、前処理によって夾雑物質を除去することで、分析精度が向上し、また液体クロマトグラフィーカラムを保護できる。
試料の前処理方法としては、ろ過、限外ろ過、タンパク質変性による沈殿、溶媒抽出、固相抽出等が挙げられる。ろ過及び限外ろ過は、測定対象物質と夾雑物質とをサイズの違いによって分離する。タンパク質変性による沈殿は、タンパク質が夾雑物質である場合に、タンパク質を変性させて沈殿させることで分析対象物質を分離する。溶媒抽出及び固相抽出は、分析対象物質と夾雑物質とを溶媒への溶出率の違いによって分離する。しかし、これらの前処理方法は、操作が煩雑であり、また分離性能が低い。
特許文献1には、1次元目で試料から分離された成分を一旦トラップカラムで補足、濃縮し、前記トラップカラムで補足された成分を2次元目でさらに分離して分析する2次元液体クロマトグラフ分析装置が開示されている。2次元液体クロマトグラフ分析装置を用いれば前処理を省略できるが、装置が高価であり、メンテナンスが難しく、また条件設定が複雑である。
特開2008-96455号公報
本発明は、低コストに、簡便に、短時間で試料中の分析対象物質を夾雑物質から分離できる遠心分離カラム、及びそれを用いた分析対象物質の分析方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]温度応答性ポリマーを含む分離層を有する遠心分離カラム。
[2]分析対象物質及び夾雑物質を含む試料を[1]に記載の遠心分離カラムに供給し、前記分離層の温度を0~80℃の範囲に制御しつつ遠心処理し、前記分析対象物質を前記夾雑物質から分離した後、前記分析対象物質を分析する、分析対象物質の分析方法。
本発明によれば、低コストに、簡便に、短時間で試料中の分析対象物質を夾雑物質から分離できる遠心分離カラム、及びそれを用いた分析対象物質の分析方法を提供できる。
本発明の遠心分離カラムの一例を示した模式図である。 図1の遠心分離カラムをマイクロチューブに装着した様子を示した模式図である。 例1における分画の組成の分析結果を示した図である。 例2における分画の組成の分析結果を示した図であって、図4(A)は40℃で遠心分離した結果であり、図4(B)は4℃で遠心分離した結果である。 例3における分画の組成の分析結果を示した図である。 例4における分画の組成の分析結果を示した図であって、図6(A)は40℃で遠心分離した結果であり、図6(B)は4℃で遠心分離した結果である。
[遠心分離カラム]
本発明の遠心分離カラムは、温度応答性ポリマーを含む分離層を有する。
温度応答性ポリマーとしては、0~80℃の温度範囲内で水和力が変化するポリマーを例示できる。温度に応じて温度応答性ポリマーの水和力が変化することで、生体成分や医薬品等を吸着させたり、脱離させたりすることができる。本発明の遠心分離カラムを用いて0~80℃の温度範囲内で遠心分離を行い、分析対象物質又は夾雑物質のいずれか一方を分離層の温度応答性ポリマーに吸着させることで、分析対象物質を夾雑物質から分離することができる。
温度応答性ポリマーとしては、水に対する下限臨界溶解温度が0~80℃のポリマーが好ましく、水に対する下限臨界溶解温度が20~50℃のポリマーがより好ましい。
温度応答性ポリマーの水に対する下限臨界溶解温度は、公知の方法で測定できる。例えば、種々の濃度の温度応答性ポリマーの水溶液を調製した後、水溶液の温度を上下させて2相分離する温度を測定することで、水に対する下限臨界溶解温度を求めることができる。
温度応答性ポリマーは、1種のモノマーのホモポリマーであってもよく、2種以上のモノマーのコポリマーであってもよい。温度応答性ポリマーがコポリマーである場合、ランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。温度応答性ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で架橋してもよい。
温度応答性ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、温度応答性を有するアクリルアミドモノマー(以下、「モノマー(a)」と記す。)、正電荷を帯びる荷電官能基を有するモノマー(以下、「モノマー(b)」と記す。)、架橋性アクリルアミドモノマー(以下、「モノマー(c)」と記す。)、疎水性モノマー(以下、「モノマー(d)」と記す。)を例示できる。モノマー(a)を用いた温度応答性ポリマーは、下限臨界溶解温度よりも高温で疎水性となり、下限臨界溶解温度よりも低温で親水性となる。
モノマー(a)としては、例えば、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミドを例示できる。なかでも、親水性及び疎水性の変化が大きい点から、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましく、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)が特に好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド及びメタクリルアミドの総称である。
温度応答性ポリマーに用いるモノマー(a)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
モノマー(b)としては、例えば、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミドエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートを例示できる。なかでも、正電荷の強さの点から、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミドが好ましく、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(DMAPAAm)が特に好ましい。
温度応答性ポリマーに用いるモノマー(b)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
モノマー(c)としては、例えば、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミドを例示できる。なかでも、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(BIS)が好ましい。
温度応答性ポリマーに用いるモノマー(c)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
モノマー(d)は、モノマー(a)よりも疎水性のモノマーである。モノマー(d)を用いることで、温度応答性ポリマーの下限臨界溶解温度を容易に低い温度に調節できる。
モノマー(d)としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、フェニル(メタ)アクリルアミドを例示できる。なかでも、疎水性度の点から、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレートがより好ましく、n-ブチルメタクリレートが特に好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
温度応答性ポリマーに用いるモノマー(d)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
温度応答性ポリマーとしては、温度に応答して疎水性を変化させる点、電荷を有する点、適切な温度範囲で相転移を起こす点から、モノマー(a)~(d)のコポリマー(以下、「ポリマー(A)」と記す。)が好ましい。
ポリマー(A)中のモノマー(a)に基づく構成単位(以下、「モノマー(a)単位」と記す。他のモノマーに基づく構成単位も同様に記す。)の割合は、全モノマー単位に対して、50~99.7モル%が好ましく、80~99.7モル%がより好ましい。モノマー(a)単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、温度に応答した相転移挙動は得られる。モノマー(a)単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、電荷を導入することができる。
ポリマー(A)中のモノマー(b)単位の割合は、全モノマー単位に対して、0.1~40モル%が好ましく、0.5~10モル%がより好ましい。モノマー(b)単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、正電荷が得られる。モノマー(b)単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性が得られる。
ポリマー(A)中のモノマー(c)単位の割合は、全モノマー単位に対して、0.1~10モル%が好ましく、0.5~5モル%がより好ましい。モノマー(c)単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、ポリマー(A)が架橋される。モノマー(c)単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性が得られる。
ポリマー(A)中のモノマー(d)単位の割合は、全モノマー単位に対して、0.1~30モル%が好ましく、0.5~20モル%がより好ましい。モノマー(d)単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、疎水性が得られる。モノマー(d)単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性が得られる。
なお、モノマー(a)単位、モノマー(b)単位、モノマー(c)単位及びモノマー(d)単位の合計は100モル%を超えない。
温度応答性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1000~200000が好ましく、2000~50000がより好ましい。Mwが前記範囲の下限値以上であれば、温度応答性を示す。Mwが前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性の鋭敏性がある。
なお、Mwは、テトラヒドロフランを溶離液とするゲル浸透クロマトグラフィーを使用し、分子量既知のポリスチレンを用いて検量線を作成して測定したポリスチレン換算分子量である。
分離層の形態としては、特に限定されず、例えば、ビーズ表面に温度応答性ポリマーが修飾されたポリマー修飾ビーズ、多孔質体の表面に温度応答性ポリマーが修飾されたポリマー修飾多孔質体を例示できる。
ビーズ及び多孔質体を形成する材料としては、例えば、シリカゲル、ポリスチレン、ポリグリシジルメタクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート等の樹脂を例示できる。
ビーズ又は多孔質体にポリマーを修飾する方法としては、例えば、以下の方法を例示できる。官能基を有するビーズ又は多孔質体と、前記官能基と反応する反応性基を有する重合開始剤とを、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で反応させ、ビーズ又は多孔質体の表面に重合開始剤を結合する。表面に重合開始剤を結合したビーズ又は多孔質体の存在下、温度応答性ポリマーを形成するモノマー成分を重合し、表面に温度応答性ポリマーがグラフトしたポリマー修飾ビーズ又はポリマー修飾多孔質体を得る。
前記官能基と前記反応性基の組み合わせとしては、例えば、アミノ基とカルボキシ基の組み合わせを例示できる。
官能基を有するビーズ及び多孔質体の具体例としては、例えば、アミノプロピルシリカゲル(ワコーシル(登録商標)NH2(64~210μm)、富士フィルム和光純薬工業社製)、アミノプロピル基修飾ポリグリシジルメタクリレート樹脂、アミノプロピル基修飾ポリヒドロキシメタクリレート樹脂を例示できる。ビーズ及び多孔質体は、1種でもよく、2種以上でもよい。
反応性基を有する重合開始剤としては、例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等のアゾ系化合物を例示できる。重合開始剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記官能基と前記反応性基の反応には、必要に応じて、縮合剤を用いてもよい。
縮合剤としては、例えば、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、二炭酸ジ-tert-ブチル(BocO)を例示できる。縮合剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記官能基と前記反応性基の反応させる際の反応温度は、適宜設定でき、例えば、20~40℃とすることができる。
重合溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、エチルベンゼン、キシレン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶媒(酢酸ブチル等)を例示できる。重合溶媒は、1種でもよく、2種以上でもよい。
重合温度は、適宜設定でき、例えば、50~90℃とすることができる。
例えば、図1に示すように、スピンカラム12のフィルタ14上にポリマー修飾ビーズやポリマー修飾多孔質体を充填することで、温度応答性ポリマーを含む分離層16を有する遠心分離カラム10とすることができる。
遠心分離カラムにおける分離層の充填率は、適宜設定でき、例えば、カラム容積に対して、20~90%とすることができる。
[分析対象物質の分析方法]
分析対象物質及び夾雑物質を含む試料中の分析対象物質を液体クロマトグラフ、液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LC-MS/MS)等で分析する際、本発明の遠心分離カラムを用いて前処理を行うことで、分析対象物質を夾雑物質から分離できる。
本発明の分析対象物質の分析方法では、分析対象物質及び夾雑物質を含む試料を本発明の遠心分離カラムに供給し、分離層の温度を0~80℃の範囲に制御しつつ遠心処理し、分析対象物質を夾雑物質から分離した後、分析対象物質を分析する。夾雑物質を除去することにより、分析精度が向上し、また分析装置(特に液体クロマトグラフィーカラム)の保護効果が高くなる。
分析対象物質及び夾雑物質を含む試料としては、例えば、血清等の生体試料を例示できる。試料中の分析対象物質としては、例えば、アルブミン、血清等の生体成分、ミダゾラム、ジアゼパム、カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトイン等の医薬品を例示できる。
夾雑物質は、試料中の分析対象物質以外の物質のうち、温度応答性ポリマーへの吸着特性が分析対象物質と異なる物質である。夾雑物質としては、分析対象物質として例示したものと同様の物質を例示できる。試料中のどの物質が分析対象物質となり、どの物質が夾雑物質となるかは、分析の目的に応じて決まる。例えば、生体試料中の特定の医薬品を分析対象物質とし、生体成分を夾雑物質として除去することで、生体試料中の医薬品の量を高精度に分析できる。
例えば、図2に示すように、マイクロチューブ20に装着した遠心分離カラム10に、アルブミン等の生体成分とミダゾラム等の医薬品を含む生体試料を供給し、分離層16の温度を0~80℃の範囲に制御しつつ遠心処理する。
分離層16の温度が温度応答性ポリマーの下限臨界溶解温度よりも高温の場合、温度応答性ポリマーが疎水性となり、生体成分が分離層16に吸着され、医薬品が分離層16を通過してマイクロチューブ20に回収される。これにより、ミダゾラム等の医薬品を精製できる。
分離層16の温度が温度応答性ポリマーの下限臨界溶解温度よりも低温の場合、温度応答性ポリマーが親水性となり、医薬品が分離層16に吸着され、生体成分が分離層16を通過してマイクロチューブ20に回収される。これにより、アルブミン等の生体成分を精製できる。
分離層16に生体成分を吸着させた場合、別のマイクロチューブ20に装着した遠心分離カラム10に溶出液を供給し、分離層16の温度を温度応答性ポリマーの下限臨界溶解温度よりも低温に制御した状態で遠心処理する。これにより、分離層16から生体成分を溶出させて回収できる。
また、分離層16に医薬品を吸着させた場合、別のマイクロチューブ20に装着した遠心分離カラム10に溶出液を供給し、分離層16の温度を温度応答性ポリマーの下限臨界溶解温度よりも高温に制御した状態で遠心処理するする。これにより、分離層16から医薬品を溶出させて回収できる。
溶出液としては、有機溶媒であってもよく、水やリン酸緩衝液等の水系溶媒であってもよい。
本発明では、温度応答性ポリマーを利用して、分離層16の温度を制御して分析対象物質及び夾雑物質の吸着及び脱離を制御するため、必ずしも溶出液として有機溶媒を用いなくてもよい。溶離液を水系から有機系に移行させる液体クロマトグラフやLC-MS/MSでは、溶出液が有機溶媒であると、液体クロマトグラフィーカラム内での分析対象物質の吸着が不安定になり、分析精度が低下する。液体クロマトグラフやLC-MS/MS等での分析精度が高くなる点では、溶出液は水系溶媒が好ましい。
分析対象物質を分離層に一旦吸着させた後に溶出する場合、必要に応じて、分離層の温度を吸着時の温度に保ったまま、水やリン酸緩衝液等の水系溶媒を供給し、遠心処理することによって洗浄してもよい。
遠心処理時の分離層の温度は、0~80℃の範囲内において、温度応答性ポリマーの種類に応じて設定でき、0~50℃の範囲が好ましい。
遠心処理時の分離層の温度を制御する方法は、特に限定されず、例えば、特定の温度に制御した試料や溶出液を遠心分離カラムに供給して遠心処理する方法、温度制御機能を有する遠心分離機によって温度を制御しつつ遠心処理する方法を例示できる。なかでも、分離層の温度を容易に制御できる点から、特定の温度に制御した試料や溶出液を遠心分離カラムに供給して遠心処理する方法が好ましい。
遠心分離カラムを遠心処理する際の遠心力は、特に限定されず、例えば、10~5000gとすることができる。
前処理で回収した分析対象物質の分析は、公知の方法で行える。
以上説明したように、本発明においては、温度応答性ポリマーを利用し、温度制御によって分析対象物質及び夾雑物質の吸着及び脱離を制御できる遠心分離カラムを前処理に用いて、分析対象物質を遠心分離する。これにより、低コストに、簡便に、短時間で試料中の分析対象物質を夾雑物質から分離できる。また、試料の分離層への供給速度は遠心分離時の遠心力(回転数)によって容易に制御できるため、分離効率の個人差を減らすこともできる。
また、本発明では、従来の固相抽出のように有機溶媒による抽出を行う必要がない。分離層に一旦吸着させた分析対象物質を溶出する場合に水系溶媒を使用することで、液体クロマトグラフやLC-MS/MS等での分析精度をさらに向上させることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[製造例1]
(1)アミノプロピルシリカゲル表面への重合開始剤(v-501)の導入
二口ナスフラスコ(100mL)に、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を約10mL入れた後、重合開始剤としてV-501(4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、富士フィルム和光純薬工業社製)を3.50g(12.5mmol)、縮合剤として1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ、シグマアルドリッチ社製)を6.18g(25.0mmol)溶解した。次いで、アミノプロピルシリカゲル(ワコーシル(登録商標)NH2(64~210μm)、富士フィルム和光純薬工業社製)をステンレス試験用ふるいにかけて分級したものを5.0g入れ、最終的にDMFの全量を50mLとした。次いで、超音波槽で脱気しながら30分間窒素バブリングし、フラスコ内を完全に窒素置換した。室温(25℃)で6時間振とうし、反応させた。反応後、吸引ろ過し、エタノール(特級)(500mL)で洗浄し、デシケーターで減圧乾燥し、表面に重合開始剤が結合されたシリカゲルS-1(5.0g)を得た。
(2)ポリマー修飾シリカの合成
二口ナスフラスコ(100mL)に、溶媒としてエタノール(特級)を約40mL入れた後、モノマー(c)としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド(BIS)を0.135g(0.876mmol)、モノマー(a)としてN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)を4.0g(35.3mmol)、モノマー(d)としてn-ブチルメタクリレート(BMA)を287mg(2.02mmol)、モノマー(b)としてN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(DMAPAAm)を473mg(3.03mmol)溶解した。次いで、シリカゲルS-1(2g)を入れ、最終的にエタノール(特級)の全量を100mLとした。次いで、超音波槽で脱気しながら30分間窒素バブリングし、フラスコ内を完全に窒素置換した後、PEGバス(70℃)内で5時間反応させた。反応後、吸引ろ過し、エタノール(特級)で洗浄し、デシケーター内で減圧乾燥し、表面にポリマーA-1(温度応答性ポリマー)がグラフトされたポリマー修飾シリカS-2(2.0g)を得た。ポリマーA-1の共重合組成は、モル比でNIPAAm単位:DMAPAAm単位:BIS単位:BMA単位=85.6:7.3:2.1:4.9であった。
(3)ポリマー修飾シリカのカラムへの充填
サンプル管にポリマー修飾シリカS-2を50mg秤量し、水:メタノール(質量比)=1:1の混合液600μLで懸濁した懸濁液をスピンカラム(NucleoSpin RNA、タカラバイオ社製)に流し込み、遠心分離機にて1000gで2分間遠心処理した。次いで、超純水50mLを流し込み、遠心分離機にて1000gで2分間遠心処理する操作を繰り返し行って洗浄し、ポリマー修飾シリカS-2を含む分離層を有する遠心分離カラムX-1を得た。
[例1]
(試料調製)
1.0mg/mLのミダゾラム(和光純薬工業社製)を200μLサンプル管に移し、窒素乾固させた後、1.0mg/mLのアルブミンを1mL入れて溶解させ、試料B-1とした。
(前処理)
遠心分離カラムX-1をマイクロチューブに装着し、40℃、600μLのリン酸緩衝液(16.7mmol/L、pH7.0)を遠心分離カラムX-1に供給し、遠心分離機にて1000gで2分間遠心処理してコンディショニングを行った。次いで、40℃、100μLの試料B-1を遠心分離カラムX-1に供給し、遠心分離機にて1000gで4分間遠心分離し、分離層を通過したマイクロチューブ内の液を回収した。
(HPLC分析)
回収液の分画の組成をHPLCで分析した。HPLC分析の条件は、以下のとおりとした。結果を図3に示す。
カラム:PNIPAAm修飾シリカビーズ充填カラム(4.6mm×150mm)、
溶離液:10mM Ammonium acetate (pH 6.5)、
流速:1.0mL/分。
図3に示すように、遠心分離カラムX-1を用いて試料B-1を40℃で遠心分離することで、ミダゾラムを精製できた。
[例2]
遠心分離カラムX-1を用い、例1と同様にして、40℃の試料B-1と4℃の試料B-1をそれぞれ遠心分離し、分離層を通過した回収液中の分画の組成を分析した。40℃の試料B-1を遠心分離して得た回収液の分析結果を図4(A)、4℃の試料B-1を遠心分離して得た回収液の分析結果を図4(B)に示す。
図4(A)に示すように、遠心分離カラムX-1を用いて試料B-1を40℃で遠心分離すると、アルブミンが分離層のポリマーA-1に吸着され、ミダゾラムを精製できた。一方、図4(B)に示すように、遠心分離カラムX-1を用いて試料B-1を4℃で遠心分離すると、ミダゾラムが分離層のポリマーA-1に吸着され、アルブミンを精製できた。
[例3]
(試料調製)
1.0mg/mLのジアゼパム(和光純薬工業社製)を200μLサンプル管に移し、窒素乾固させた後、1.0mg/mLのアルブミンを1mL入れて溶解させ、試料B-2とした。
(前処理)
40℃の試料B-1の代わりに40℃の試料B-2を用いる以外は、例1と同様にして遠心分離し、分離層を通過した回収液中の分画の組成を分析した。結果を図5に示す。
図5に示すように、遠心分離カラムX-1を用いて試料B-2を40℃で遠心分離することで、ジアゼパムを精製できた。
[例4]
遠心分離カラムX-1を用い、例1と同様にして、40℃の試料B-2と4℃の試料B-2をそれぞれ遠心分離し、分離層を通過した回収液中の分画の組成を分析した。40℃の試料B-2を遠心分離して得た回収液の分析結果を図6(A)、4℃の試料B-2を遠心分離して得た回収液の分析結果を図6(B)に示す。
図6(A)に示すように、遠心分離カラムX-1を用いて試料B-2を40℃で遠心分離すると、アルブミンが分離層のポリマーA-1に吸着され、ジアゼパムを精製できた。一方、図6(B)に示すように、遠心分離カラムX-1を用いて試料B-2を4℃で遠心分離すると、ジアゼパムが分離層のポリマーA-1に吸着され、アルブミンを精製できた。
10…遠心分離カラム、12…スピンカラム、14…フィルタ、16…分離層、20…マイクロチューブ。

Claims (2)

  1. 温度に応じて水和力が変化する温度応答性ポリマーを含む分離層を有する遠心分離カラムに分析対象物質及び夾雑物質を含む試料を供給し、前記分離層の温度を0~80℃の範囲で且つ前記夾雑物質が前記温度応答性ポリマーに吸着される温度に制御しつつ遠心処理し、前記夾雑物質を前記分離層に吸着させ、前記分析対象物質は前記分離層を通過させることにより、前記分析対象物質を前記夾雑物質から分離した後、前記分析対象物質を分析する、分析対象物質の分析方法。
  2. 前記分離層に前記夾雑物質を吸着させた後、前記分離層の温度を前記夾雑物質が前記温度応答性ポリマーから脱離される温度に制御しつつ遠心処理し、前記夾雑物質を溶出させて回収する、請求項1に記載の分析対象物質の分析方法。
JP2019056963A 2019-03-25 2019-03-25 遠心分離カラム及び分析対象物質の分析方法 Active JP7228236B2 (ja)

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