JP2003321492A - タンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル - Google Patents

タンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル

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JP2003321492A
JP2003321492A JP2002132547A JP2002132547A JP2003321492A JP 2003321492 A JP2003321492 A JP 2003321492A JP 2002132547 A JP2002132547 A JP 2002132547A JP 2002132547 A JP2002132547 A JP 2002132547A JP 2003321492 A JP2003321492 A JP 2003321492A
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polymer gel
gel
thermoresponsive
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Norihiko Minoura
憲彦 箕浦
Masayo Ogiso
真佐代 小木曽
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】pH調製剤、塩、反応阻害剤などの添加剤やこれ
らの夾雑物の除去などの後処理操作を必要とすることな
く、単なる温度制御で分取目的のタンパク質を吸着、抽
出することができ、分取目的のタンパク質を効率的に分
離・精製・回収することが可能な熱応答性ポリマーゲル
及びこのゲルを用いた所望タンパク質の分離・精製・回
収方法等を提供する。 【解決手段】支持体上に形成された熱応答性ポリマーゲ
ルからなり、該熱応答性ポリマーゲルはその内部にタン
パク質分子形状鋳型を含有するポリマーが組み込まれて
いるタンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマー
ゲル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なタンパク質
分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲルに関するも
のであり、更に詳しくは、脱塩、夾雑物の除去等の後処
理を必要とすることなく単なる温度制御で分取目的のタ
ンパク質を吸着、抽出することができ、効率的なタンパ
ク質の分離・精製・回収が可能なポリマーゲル及びこれ
を用いた所望タンパク質の分離・精製・回収等に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年のバイオテクノロジーや遺伝子工学
の進歩により、ある種の生物、微生物、細菌の助けを借
りて目的のタンパク質を生合成することが可能となっ
た。これらの生合成されたタンパク質は、主に細胞質、
培養液、分泌液等の液中に分泌、貯蔵された状態で得ら
れるので、医薬品、健康食品、化学薬品等に供するため
には、目的のタンパク質のみを高純度に分取しなければ
ならない。
【0003】タンパク質の分取方法には、これまでに、
硫酸アンモニウム等の塩や有機溶媒による分別沈澱、密
度勾配遠心分離、限外ろ過、膜分離、アフィニティーク
ロマトグラフィーなどが使用されている。
【0004】特にアフィニティークロマトグラフィー
は、特異性が高く、高純度の目的タンパク質を得るのに
有用であるため、タンパク質精製の最終段階で多用され
ている。しかし、アフィニティークロマトグラフィー
は、その原理が抗原-抗体、酵素-基質等の生体親和力を
利用する点にあるため、目的タンパク質の抗体や基質に
対する反応特性や反応機構等についての知識をあらかじ
め必要とし、反応特性等が不明なタンパク質の分取には
適用できないという問題がある。また、カラムの調整
に、分取目的のタンパク質と特異的に結合する抗体や基
質等のリガンドが必要となり、これらのリガンドの探索
や調製等に多大な時間やコストがかかるという難点があ
る。
【0005】本発明者等はかかるアフィニティークロマ
トグラフィーの抱える問題点を解決するために、先に、
ビニル基などの官能基を表面にもつ支持体上に形成され
たタンパク質の分子状鋳型を有する水不溶性重合体から
なるタンパク質を識別する機能を有する物質を提案した
(特許第2946036号)。
【0006】この物質は、高価で調製に手間のかかる抗
体や基質などのリガンドを必要とせず、調製も容易で、
未知のタンパク質にも適用でき、前記アフィニティーク
ロマトグラフィーにみられる欠点を大幅に解消できると
いった利点を有するものである。
【0007】しかしながら、この物質を用いたタンパク
質の分離精製は、タンパク質分子鋳型より吸着したタン
パク質を除く際に、アフィニティークロマトグラフィー
と同様にタンパク質抽出液のpH、誘電率、イオン強度や
塩濃度を変えなければならず、結果的に分取したタンパ
ク質溶液中にpH調製剤、塩、反応阻害剤などの夾雑物が
混在することとなり、そのための後処理操作が必要とな
るといった問題点を依然として包含するものであった。
そのため、低塩濃度の緩衝液から成る溶出液で目的タン
パク質の抽出が可能で、後処理操作の必要のない方法が
求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記特許第特
許第2946036号の発明を更に発展飛翔させ、pH調
製剤、塩、反応阻害剤などの添加剤やこれらの夾雑物の
除去などの後処理操作を必要とすることなく、単なる温
度制御で分取目的のタンパク質を吸着、抽出することが
でき、効率的なタンパク質の分離・精製・回収が可能な
ポリマーゲル及びこれを用いた所望タンパク質の分離・
精製・回収方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、後処理操作
の必要のないタンパク質分取方法を得るべく研究を重ね
た結果、温度変化により収縮と膨潤を可逆的に繰り返す
熱応答性ゲルを応用すると上記課題が解決できることを
知見し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に
よれば、以下の発明が提供される。 (1)支持体上に形成された熱応答性ポリマーゲルから
なり、該熱応答性ポリマーゲルはその内部にタンパク質
分子形状鋳型を含有するポリマーが組み込まれているこ
とを特徴とするタンパク質分子識別機能を有する熱応答
性ポリマーゲル。 (2)支持体が、その表面に反応性官能基を有する多孔
質体であることを特徴とする上記(1)に記載のタンパ
ク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。 (3)反応性官能基が、ビニル基であることを特徴とす
る上記(2)に記載のタンパク質分子識別機能を有する
熱応答性ポリマーゲル。 (4)多孔質体が、無機多孔質体であることを特徴とす
る上記(1)乃至(3)何れかに記載のタンパク質分子
識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。 (5)無機多孔質体が、シリカであることを特徴とする
上記(1)乃至(4)何れかに記載のタンパク質分子識
別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。 (6)熱応答性ポリマーゲルが、温度変化により収縮と
膨潤を可逆的に繰り返すポリマーゲルであることを特徴
とする上記(1)乃至(5)何れかに記載のタンパク質
分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。 (7)熱応答性ポリマーゲルが、ポリ(N−イソプロピ
ルアクリルアミド)を主成分とするポリマーゲルである
ことを特徴とする上記(1)乃至(6)何れかに記載の
タンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲ
ル。 (8)タンパク質分子形状鋳型を有するポリマーが、ビ
ニル重合系ポリマーであることを特徴とする上記(1)
乃至(7)何れかに記載のタンパク質分子識別機能を有
する熱応答性ポリマーゲル。 (9)タンパク質分子形状鋳型が、ビニル重合系ポリマ
ーに含有させたタンパク質の溶出除去跡に形成された微
細空孔であることを特徴とする上記(1)乃至(8)何
れかに記載のタンパク質分子識別機能を有する熱応答性
ポリマーゲル。 (10)支持体上で、タンパク質が結合したモノマーと
熱応答性ゲルを与えるモノマーとを反応させて、該支持
体上に内部にタンパク質が結合したポリマーを含有する
熱応答性ポリマーゲルを形成し、ついで内部に存在する
タンパク質を溶出除去することを特徴とする上記(1)
乃至(9)何れかに記載のタンパク質分子識別機能を有
する熱応答性ポリマーゲルの製造方法。 (11)熱応答性ゲルを与えるモノマーが、N−イソプ
ロピルアクリルアミドであることを特徴とする上記(1
0)に記載のタンパク質分子識別機能を有する熱応答性
ポリマーゲルの製造方法。 (12)タンパク質が結合したモノマーが、ビニル系モ
ノマーであることを特徴とする上記(10)に記載のタ
ンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲルの
製造方法。 (13)上記(1)乃至(9)何れかに記載のタンパク
質識別機能を有する熱応答性ポリマーゲルの温度変化に
よる可逆的な収縮性と膨潤性を利用することを特徴とす
るタンパク質の分離精製方法。 (14)上記(1)乃至(9)何れかに記載のタンパク
質識別機能を有する熱応答性ポリマーゲルの収縮時に、
所定のタンパク質をタンパク質分子形状鋳型に吸着さ
せ、ゲルの膨潤時に吸着された所望のタンパク質を抽出
することを特徴とする上記(13)に記載のタンパク質
の分離精製方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のタンパク質識別機能を有
する熱応答性ポリマーゲルは、支持体上に形成された熱
応答性ポリマーゲルからなり、該熱応答性ポリマーゲル
はその内部にタンパク質分子形状鋳型を含有するポリマ
ーが組み込まれていることを特徴とする。
【0011】このタンパク質識別機能を有する熱応答性
ポリマーゲルは温度変化により収縮と膨潤を可逆的に繰
り返す特性を有する。すなわち、この熱応答性ポリマー
ゲルは収縮相を示す温度環境下ではこれに組み込まれた
タンパク質の分子形状鋳型は変形することなくその鋳型
構造を保持するが、この応答性ポリマーゲルを膨潤相を
与える温度環境下に放置すると、前記鋳型はゲルの膨潤
度に応じて膨潤変形する。この特性を利用することによ
り、たとえば、この熱応答性ポリマーゲルが収縮相を示
す温度環境下で分取目的タンパク質の分子形状鋳型を含
有するポリマーを組み込んだ後、この鋳型に分取目的の
タンパク質を吸着させ、ついでこの応答性ポリマーゲル
を膨潤相を与える温度環境下に置くと、前記鋳型の型が
膨潤するので、分取目的のタンパク質を簡単に抽出する
ことができる。
【0012】したがって、本発明の熱応答性ポリマーゲ
ルを用いると、単に温度環境を変化させるだけで、分取
目的のタンパク質が簡単に吸着、抽出することができる
ことから、従来のように、タンパク質の抽出に際しての
pH調整剤や塩等の添加物を加える必要がなく、また、こ
れらの夾雑物を除くための後処理工程を省くことが可能
となる。
【0013】本発明のタンパク質識別機能を有する熱応
答性ポリマーゲルは、種々の方法で製造することがで
き、たとえば、支持体上で、タンパク質が結合したモノ
マーと熱応答性ゲルを与えるモノマーとを反応させて、
該支持体上に内部にタンパク質が結合したポリマーを含
有する熱応答性ポリマーゲルを形成し、ついで内部に存
在するタンパク質を溶出除去することにより製造するこ
とができる。
【0014】支持体としては特に制限はないが、シリ
カ、ゼオライト、酸化チタンなどの無機多孔質体が好ま
しく使用され、特にシリカが望ましい。支持体の形状
は、粉末状、粒状、プレート状等の各種の形状であるこ
とができる。無機多孔質体の平均孔径に特に制限はない
が、より多くのタンパク質分子形状鋳型の作成を可能に
するために、タンパク質が十分に内部に侵入できるほど
の大きさで、できるだけ小さい方が望ましい。また、そ
の比表面積も同様な理由によりが大きい方が望ましい。
また、支持体表面には、熱応答性ポリマーゲルとの結合
性を強固にするために、ビニル基などの反応性官能基を
あらかじめ導入しておくことが望ましい。
【0015】本発明で用いる熱応答性ポリマーゲルを与
えるモノマーとしては、タンパク質が結合したモノマー
と重合反応して、収縮と膨潤を可逆的に繰り返す熱応答
性ゲルを形成し、かつタンパク質と相互作用を持たず、
これを変性、変質、阻害しないものであれば、特に制限
はなく従来公知のものが何れも使用することができる。
このようなモノマーとしては、たとえば、N-イソプロピ
ルアクリルアミド(以下NIPAAmと略す)、メトキシエチ
ルビニルエーテル、ビニルポリエチレングリコール、メ
タクリロイルアラニンメチルエステル、メタクリロイル
グリシルアラニンエチルエステルなどが挙げられるが、
NIPAAmが好ましく使用される。このNIPAAmの具体的な使
用態様については後述する。
【0016】また、本発明で用いるタンパク質が結合し
たモノマーとしては、特に制限はなく、たとえば、特許
第2946036号に記載されるような、水溶性のもの
であれば任意のものを用いることができる。このような
ものとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ス
チレンスルホン酸、これら酸のアルカリ金属塩、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミド等が
挙げられる。これらのビニルモノマーは単独又は2種以
上の混合物の形で用いられる。ビニルモノマーなどが好
ましく使用されるが、その詳細な態様については後述す
る。
【0017】次に、本発明の熱応答性ポリマーゲルの製
造方法の態様を、支持体としてビニル基を表面に有する
多孔質シリカを、熱応答性ポリマーゲルを与えるモノマ
ーとしてNIPAAmを、タンパク質が結合したモノマーとし
てビニルモノマーを用いた場合を例にとり以下具体的に
説明する。
【0018】この製造方法は、支持体表面にビニル基を
導入する工程(第1工程)、分取目的タンパク質表面に
ビニルモノマーを反応させる工程(第2工程)、NIPAAm
を含むモノマー溶液を支持体表面に重合させると共に分
取目的タンパク質の鋳型を作成する工程(第3工程)か
らなる。各工程の説明図を図1に示す。
【0019】図1に示されるように、第1工程では、ア
ミノ基を表面に持つ多孔質シリカ(丸マーク)にアクロ
レインを反応させ、多孔質シリカ表面にビニル基を導入
する。第2工程では、分取目的タンパク質(星マーク)
表面の荷電部分(図は正荷電の例)に二重結合を持ち、
負荷電を持つビニルモノマー(矢印上のマーク)を反応
させる。第3工程では、第1工程で作成したビニル基を
表面に持つ多孔質性シリカに、第2工程で作成したタン
パク質が結合したモノマーの集合体、ポリマーゲル主成
分のNIPAAmとアクリルアミド(AAm)の混合液、架橋剤
を加えて、多孔質性シリカ表面に熱応答性ポリマーゲル
を重合させる。重合後、熱応答性ゲルを膨潤させ内部の
タンパク質を溶出除去し、溶出除去跡に微細空孔からな
るタンパク質分子形状鋳型を形成する。以下、各工程を
具体的に説明する。
【0020】第1工程では、アミノ基を表面に持つ多孔
性シリカにアクロレインを加え、室温で5時間撹拌する
ことにより、支持体表面にビニル基を導入する操作を行
う。この工程で用いられる多孔質シリカの平均細孔径
は、より多くの分子認識鋳型を作成する目的で、タンパ
ク質分子が通れる程の大きさで、できるだけ小さい方が
望ましい。
【0021】また、上述と同じ理由で、その比表面積は
できるだけ大きい方が望ましい。多孔質シリカの形状
は、特に規定はしないが、板状、球状が扱いやすい。特
に球状のものは、クロマトグラフィー担体として様々な
直径、反応基を持つ物が市販されており、球状のアミノ
基を表面に持つ多孔質シリカは入手が容易である。この
工程で多孔質シリカ表面に導入されたビニル基は、第3
工程で、多孔質シリカ表面を覆う鋳型ゲルを固定するた
めの錨様の働きをする。
【0022】第2工程では、分取目的タンパク質の溶液
にビニルモノマーを混合し、タンパク質表面にビニルモ
ノマーを反応させる操作を行う。
【0023】この工程で用いられるビニルモノマーは、
水溶性で、タンパク質表面の荷電や疎水部分等に非共有
的に結合し、ゲルに重合させるためのビニル基を持つ低
分子の有機化合物が選ばれる。
【0024】このようなビニルモノマーとしては例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、
これら酸のアルカリ金属塩、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、N,N- ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ド、N,N-ジメチルアミド等が挙げられる。
【0025】これらのビニルモノマーは、分取目的のタ
ンパク質溶液に単独又は2種以上混合させて用いられ
る。タンパク質やビニルモノマーを溶解する水溶媒は、
蒸留水、精製水、超純水等の水の他、各種塩溶液、リン
酸などから成るpH緩衝液が用いられる。各種塩溶液、pH
緩衝液等を用いる場合は、例えば数十mM以下等、できる
だけ低い濃度が望ましい。また、pH緩衝液を用いる場
合、タンパク質の変性を起こさないpHでなければならな
い。
【0026】タンパク質としては、従来公知の各種のタ
ンパク質、例えば、酵素タンパク質、細菌タンパク質、
微生物タンパク質、抗原タンパク質、動植物タンパク質
等の生体タンパク質の他、各種の合成タンパク質が挙げ
られる。
【0027】タンパク質とビニルモノマーの混合比は、
用いるタンパク質により異なる。タンパク質溶液とビニ
ルモノマーは混合後、室温あるいは冷蔵庫で一晩放置
し、タンパク質表面に機能性モノマーを結合させる。
【0028】第3工程では、第2工程で作成したタンパ
ク質とビニルモノマーの集合体溶液とNIPAAmモノマーを
含む溶液を混合し、第1工程で作成したビニル基を導入
した支持体上で重合した後、タンパク質を溶出除去して
タンパク質分子形状鋳型を持つ熱応答性ゲルを作成させ
る操作を行う。
【0029】ここで用いられるNIPAAm モノマーを含む
溶液は、NIPAAm とAAmの混合水溶液かNIPAAm単独の水溶
液が用いられる。AAmの混合でNIPAAmの水への溶解性が
増すため、NIPAAm とAAmの混合水溶液を用いるのが好ま
しい。NIPAAm とAAmの混合比(モル比)は、NIPAAmがAA
mと等量(NIPAAm:AAm=5:5)かそれ以上が好まし
く、より好ましくは3以上(NIPAAm:AAm=7.5:2.5)
である。
【0030】NIPAAmがAAmと等量より少ないと加熱によ
るゲルの膨潤効果がなくなり、ポリマーゲルに吸着した
タンパク質を抽出することが困難となる。NIPAAm 含量
が多い程、加熱によるゲルの膨潤度が増す。NIPAAmとAA
m混合液の濃度(NIPAAmとAAmの和)は、20.0-1.0w/v%
の範囲が好ましく、より好ましくは、15.0-5.0w/v%の
範囲である。20.0w/v%より高いと鋳型ゲルが脆くな
り、操作中に鋳型ゲルが割れて崩れてしまう。1.0w/v%
より低いと鋳型ゲルの強度が弱く取り扱いにくい。
【0031】このように調整したNIPAAmとAAm混合液
に、タンパク質が結合したビニルモノマーの集合体液、
架橋剤(例えば、N,N´-メチレンビスアクリルアミド、
N,N´-(1,2- ジヒドロキシエチレン)-メチレンビスア
クリルアミド等)、ビニル基を導入した多孔性シリカを
加えた後、窒素ガスを導入して溶液中の酸素を追い出
し、重合開始剤(例えば、過硫酸アンモニウム等)およ
び重合促進剤(例えば、N,N,N´,N´-テトラメチレンジ
アミン等)を加える。ただちに遠心分離し、多孔質シリ
カを容器底部に集めた後、約1時間、好ましくは35-50
℃の範囲の任意の温度、より好ましくは35-45℃の範囲
の任意の温度で放置し鋳型ゲルを作成する。
【0032】この場合、35℃より放置温度が低いとゲル
膨潤状態で鋳型が作成されてしまうため、吸着されたタ
ンパク質を鋳型より追い出すためにゲルを膨潤させるこ
とが困難となり、効果的にタンパク質を鋳型ゲルより抽
出することができない。50℃より放置温度が高いと、タ
ンパク質が変性し、変性タンパク質の鋳型ができてしま
い、未変性の分取目的タンパク質を認識できなくなって
しまう。重合終了後、容器底部の多孔質シリカの混在し
ているゲル部分を取り出し、乳棒を用いて軽く砕き、目
の開き53μmのふるいを通し粒径を揃える。
【0033】鋳型分子としたタンパク質を除くため、好
ましくは5-30℃の範囲の任意の温度環境下、より好まし
くは5-25℃の範囲の任意の温度環境下においてゲルを膨
潤させ、洗浄する。ここで用いられる洗浄用水溶媒は、
タンパク質とビニルモノマーを溶解した時と同様、蒸留
水、精製水、超純水等の水の他、各種塩溶液、リン酸な
どから成るpH緩衝液が用いられる。タンパク質を除きや
すくするため、タンパク質変性剤(例えば尿素、塩酸グ
アニジン等)や界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリ
ウム、ドデシルピリジニウムクロライド、オクチルグリ
コシド等)の洗浄用水溶媒への混入も行なわれる。これ
ら変性剤、界面活性剤を使用した場合は、タンパク質の
洗浄後、変性剤、界面活性剤等を除くために、蒸留水、
精製水、超純水等の水の他、各種塩溶液、リン酸などか
ら成るpH緩衝液等でさらに洗浄することが望ましい。
【0034】前記のような製造方法等で得られる本発明
のタンパク質識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル
は、たとえば、分取目的タンパク質を含む混合溶液よ
り、目的のタンパク質を分取するために利用される他、
特定のタンパク質を検出するためのセンサーに用いた
り、これまで抗体を用いて行ってきた分析系、測定系に
抗体の代わりに使用することが可能である。その応用態
様は、たとえば、重合時と同じ温度下、目的のタンパク
質を含む混合液と熱応答性ポリマーゲルを接触させ、ポ
リマーゲル中の鋳型に分取目的タンパク質を認識吸着さ
せ、次に、ポリマーゲル表面に非特異的に吸着している
タンパク質を洗い流す目的でポリマーゲルを洗浄した
後、好ましくは5-30℃の範囲の任意の温度環境下、より
好ましくは5-25℃の範囲の任意の温度環境下においてポ
リマーゲルを膨潤させると同時に鋳型を変型させて、目
的タンパク質を抽出、回収する方法、また、上述と同じ
操作により、ポリマーゲルの鋳型に目的タンパク質を認
識吸着させ、吸着による物理的変化(重さの変化など)
や光学的変化(吸光度の変化など)を応用してセンサー
として用いた後、上述と同じ方法で吸着タンパク質を抽
出し、測定前のポリマーゲルに再生するという使用方法
も挙げられる。
【0035】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明を限定することを意図するものではな
い。
【0036】参考例1 熱応答性ゲルの膨潤度測定 様々な割合のNIPAAm とAAm(表1参照NIPAAmとAAm総量
は、0.4g)を12mMリン酸緩衝液(pH5.6)3.9mlに溶解し
た後、架橋剤のN,N′-メチレンビスアクリルアミド32.5
mgおよびN,N′-(1,2- ジヒドロキシエチレン)-メチレ
ンビスアクリルアミド30mg加えた。針の代わりに約7cm
のフッ素樹脂製チューブをつけた注射筒を用いて、この
溶液を吸い込み、フッ素樹脂製チューブ中、室温でモノ
マーを重合させた。重合完了後、フッ素樹脂製チューブ
よりゲルを抜き出し、12mMリン酸緩衝液(pH5.6)に沈
め、緩衝液ごと任意の温度にした後、ゲルの長さを測定
した。表1に結果を示した。結果の数値は、45℃でのゲ
ルの長さを1.00とした時の相対値で示した。NIPAAm含量
がAAmの等量より低いと熱によるゲルの長さの変化はほ
とんどないが、NIPAAm含量がAAm含量よりも多くなると
ゲルの長さの変化が大きくなるとの結果がえられた。NI
PAAm含量がAAm含量よりも多いと鋳型がより変型をし
て、鋳型ゲルに吸着したタンパク質の抽出効果が高まる
と思われる。
【0037】
【表1】
【0038】実施例1 グルコースオキシダーゼを分取
する熱応答性ポリマーゲルの作成 アミノ基を表面に有する多孔性シリカ(粒径25/40μm)
10.0gを蒸留水40mlに加え、減圧下に置き、多孔性シリ
カ中に含まれる気泡を取り除いた。ここにアクロレイン
10ml を加え室温で5時間撹拌を行った。この後、蒸留
水を用いてアクロレイン臭がなくなるまで洗浄し、ビニ
ル基を表面に持つ支持体を用意した。別に、鋳型分子の
グルコースオキシダーゼ(GOD, EC1.1.3.4)30mgを12mM
リン酸バッファー(pH5.6)3.9mlに溶解した後、機能性
モノマーのAAm 1.8mg 、N,N-ジメチルアミノプロピルア
クリルアミド(DMAPAAm) 4.4mgを加え、1時間穏やかに
撹拌してGODとAAm、DMAPAAmの集合体溶液を作成した。
この集合体溶液に、NIPAAm 0.358gとAAm 0.025gを加
え、さらに架橋剤N,N′-メチレンビスアクリルアミド3
2.5mgおよびN,N′-(1,2- ジヒドロキシエチレン)-ビ
スアクリルアミド30mgを溶解させた後、ビニル基を表面
に持つ支持体1gを加えて、5分間窒素ガスを溶液中に
導入し、溶液中の酸素をできるだけ除いた。その後、重
合開始剤として2.9M過硫酸アンモニウム水溶液15μl 、
重合促進剤としてN,N,N′N′-テトラメチルエチレンジ
アミン(TEMED)2μlを加え、約1200×gで30秒遠心を
行い、支持体を容器の底部に集めてから、45℃で重合反
応をさせてゲルを作成した。1時間放置後、支持体を含
有したゲルを取り出し、乳棒で砕き、目の開き53 μmの
ふるいをとおして粒径を揃え、粒子状ゲルとした。得ら
れた粒子状ゲルを、12mMリン酸緩衝液 (pH5.6) を用い
て、5℃のゲル膨潤条件下で洗浄し、本発明のタンパク
質分子識別機能を有する熱応答性ゲルを作成した。
【0039】実施例2 熱応答性ポリマーゲルのGOD吸
着実験 実施例1で得た熱応答性ポリマーゲルを用いてGODの吸
着実験を行った。なお、比較サンプルとしてNIPAAmの代
わりにAAmを加えた他は、実施例2と同様に作成した物
を用意した。これらのポリマーゲル0.005gを45℃または
5℃に保ったGODのリン酸緩衝液(5μg/ml)1.5mlに
加え、3時間放置し、GOD をポリマーゲルに吸着させ
た。この際、30分ごとに容器を数回振って撹拌した。そ
の後、サンプルを遠心し、上澄み水溶液のGOD量の活性
測定を行い、吸着されなかったGODの濃度を求めた。GOD
活性測定は、Swobodaらの方法[J.Biol.Chem., 240, 220
9 (1965)]で行った。すなわち、反応液[4-アミノアン
チピリン0.3mM, m-ヒドロキシ安息香酸1.4mM, β-D(+)-
グルコース3.4mM, ペルオキシダーセ37.5 U/Lを含む12
mMリン酸緩衝液(pH5.6)] 150μlに上澄み水溶液を100
μl加え、上澄み液を加えてから5分間後の吸光度(595n
m)を測定した。あらかじめ作成したGOD濃度と吸光度の
検量線より、上澄み中のGOD濃度を算出した。表2に結
果を示した。表中のGODの吸着量(%)は、以下の式よ
り算出した。 GOD吸着量(%)=(A-B)/A×100 A: ポリマーゲルを加える前のリン酸緩衝液中のGOD濃度
(5μg/ml) B: 上澄み中のGOD濃度 表2より、45℃と5℃の吸着量の差は、NIPAAm/AAm ゲ
ルの方がAAmゲルより大きいことが分かった。この熱応
答性ゲルを45℃でGOD溶液を吸着させ、5℃で吸着タン
パク質を抽出、回収する方法で使用すると、NIPAAm/AA
m ゲルの方がより多くの目的タンパク質を回収できるこ
とが分かる。
【0040】
【表2】
【0041】実施例3 熱応答性ポリマーゲルのGOD抽
出実験 熱応答性ポリマーゲルは、粒子状ゲルを作成する操作ま
で、実施例1と同様に操作した。比較サンプルに、NIPA
Amの代わりにAAmを用いた他は、粒子状ゲルを作成する
操作まで実施例1と同様に操作した物を用意した。上記
各粒子状ゲルに、12mMリン酸緩衝液(pH5.6)6mlを加
え、45℃で放置し、リン酸緩衝液中へGODを抽出させ
た。この際、30分ごとに容器を数回振って撹拌した。そ
の後、サンプルを遠心して上澄み水溶液を分取し、上澄
み中のGOD活性測定より抽出されたGODの濃度を求めた。
残りの粒子状ゲルに、再び12mMリン酸緩衝液(pH5.6)
6mlを加え5℃で放置し、45℃放置と同じ操作を繰り返
して、上澄み水溶液中のGOD濃度を求めた。以上の操作
を上澄み中にGOD活性が認められなくなるまで繰り返し
た。活性測定法は、実施例2と同様に行った。結果を図
2に示した。比較サンプルのAAmゲル(グラフ中AAmと表
記)は、放置温度と関わりなく、放置回数が進むにつ
れ、GOD活性が減少していく様子が観察された。一方、
熱応答性ポリマーゲル(グラフ中NIPAAmと表記)は、45
℃放置でGOD活性が見られず、5℃放置でGOD活性が確認
される鋸状のグラフが得られた。この結果より、熱応答
性ポリマーゲルは、45℃放置でGODの抽出が抑制され、
5℃放置でGODの抽出が促進されていることがわかっ
た。
【0042】実施例4 熱応答性ポリマーゲルの分子識
別能の確認 熱応答性ポリマーゲルは、実施例1で調製したものを使
用した。比較サンプルとして、鋳型分子のGODを加えな
い他は、実施例1と同様に操作したものを用意した。実
験操作は、GODのリン酸緩衝液を用いる代わりに、GOD
とグルコース-6- リン酸脱水素酵素(酵母由来、G6PD、
EC1.1.1.49)を12mMリン酸緩衝液(pH5.6)に等重量づ
つ混合した液(おのおの2.5μg/mlづつ)を使用した。
G6PDの活性測定は、Lowryらの方法[J.Biol.Chem.,224,1
047(1957)]で行った。すなわち、反応液[グルコース-6-
リン酸1ナトリウム 10mM, β-NADP+-Na 0.27mMを含
む100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.8)] 2.6mlに上澄み水
溶液を100μl加え、混合後ただちに、励起波長340nm、
蛍光波長460nmでの蛍光強度の時間変化を測定し、測定
開始より4分後までの蛍光強度の増加速度を求めた。あ
らかじめ作成したG6PD濃度と蛍光強度の増加速度の検量
線より、上澄み中のG6PD 濃度を算出した。GODの吸着量
(%)は、ポリマーゲルを加える前のリン酸緩衝液中の
GOD 濃度が2.5μg/mlである他は、実施例3同様に算出
した。またG6PDの吸着量(%)はGODと同様に以下の式
より算出した。 G6PD吸着量(%)=(C-D)/C×100 C: ポリマーゲルを加える前のリン酸緩衝液中のG6PD濃
度(2.5μg/ml) D: 上澄み中のG6PD濃度 表3に結果を示した。表中の45℃と5℃の吸着量変化率
は、上述の式より算出した45℃における各タンパク質の
吸着量(%)を5℃における各タンパク質の吸着量
(%)で割ったものである。ポリマーゲルのゲル膨潤相
(5℃)条件下、GOD鋳型が正確にできていない状態の吸
着量とゲル収縮相(45℃)条件下、GOD鋳型が出来上が
った状態へ変化した時の吸着量を比較するために用いた
もので、変化率が1より大きい程45℃の吸着量が多く、
変化率が1より小さい程5℃の吸着量が多い。また、表
中の選択性は、GODの45℃と5℃の吸着量変化率をG6PD
の吸着量変化率で割った値で、この値が1より大きいと
ポリマーゲルのGOD の選択性が高いことがわかる。熱応
答性ポリマーゲル(表中GOD-imprintedで表記)は、GOD
の吸着変化率がG6PD の約2倍(選択性が1.80)であり、
GODを選択的に吸着していることがわかった。一方GODの
鋳型を作成しなかった比較サンプル(表中non-imprinte
dと表記)は、GODの吸着変化率とG6PDの吸着変化率が
ほぼ同じ(選択性が0.91)で、得にどちらかのタンパク
質を選択的に認識しているのではないことがわかった。
GOD鋳型で作成された熱応答性ポリマーゲルは、GODを選
択的に認識していることが証明された。
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】本発明のタンパク質分子識別機能を有す
る熱応答性ポリマーゲルは、温度変化により収縮と膨潤
を可逆的に繰り返す特性を有するので、たとえば、この
熱応答性ポリマーゲルが収縮相を示す温度環境下で分取
目的タンパク質の分子形状鋳型を含有するポリマーを組
み込んだ後、この鋳型に分取目的のタンパク質を吸着さ
せ、ついでこの応答性ポリマーゲルを膨潤相を与える温
度環境下に置くと、前記鋳型の型が変化するので、分取
目的のタンパク質を簡単に抽出することができる。した
がって、タンパク質識別機能を有する本発明の熱応答性
ポリマーゲルによれば、単に温度環境を変化させるだけ
で分取目的のタンパク質が簡単に吸着、抽出することが
可能となることから、従来のように、タンパク質の抽出
に際してpH調整剤や塩等の添加物を加える必要がなく、
これらを除くための脱塩、夾雑物の除去等の後処理を必
要としないので、実用的に極めて優れたタンパク質の分
離精製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタンパク質分子識別機能を有する熱応
答性ポリマーゲルの代表的な製造方法のフローチャート
【図2】本発明のタンパク質分子識別機能を有する熱応
答性ポリマーゲル(グラフ中のNIPAAm)と比較サンプル
のAAm ゲル(グラフ中のAAm)からの温度変化によるGOD
抽出の観察図。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に形成された熱応答性ポリマーゲ
    ルからなり、該熱応答性ポリマーゲルはその内部にタン
    パク質分子形状鋳型を含有するポリマーが組み込まれて
    いることを特徴とするタンパク質分子識別機能を有する
    熱応答性ポリマーゲル。
  2. 【請求項2】支持体が、その表面に反応性官能基を有す
    る多孔質体であることを特徴とする請求項1に記載のタ
    ンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。
  3. 【請求項3】反応性官能基が、ビニル基であることを特
    徴とする請求項2に記載のタンパク質分子識別機能を有
    する熱応答性ポリマーゲル。
  4. 【請求項4】多孔質体が、無機多孔質体であることを特
    徴とする請求項1乃至3何れかに記載のタンパク質分子
    識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。
  5. 【請求項5】無機多孔質体が、シリカであることを特徴
    とする請求項1乃至4何れかに記載のタンパク質分子識
    別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。
  6. 【請求項6】熱応答性ポリマーゲルが、温度変化により
    収縮と膨潤を可逆的に繰り返すポリマーゲルであること
    を特徴とする請求項1乃至5何れかに記載のタンパク質
    分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲル。
  7. 【請求項7】熱応答性ポリマーゲルが、ポリ(N−イソ
    プロピルアクリルアミド)を主成分とするポリマーゲル
    であることを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の
    タンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲ
    ル。
  8. 【請求項8】タンパク質分子形状鋳型を有するポリマー
    が、ビニル重合系ポリマーであることを特徴とする請求
    項1乃至7何れかに記載のタンパク質分子識別機能を有
    する熱応答性ポリマーゲル。
  9. 【請求項9】タンパク質分子形状鋳型が、ビニル重合系
    ポリマーに含有させたタンパク質の溶出除去跡に形成さ
    れた微細空孔であることを特徴とする請求項1乃至8何
    れかに記載のタンパク質分子識別機能を有する熱応答性
    ポリマーゲル。
  10. 【請求項10】支持体上で、タンパク質が結合したモノ
    マーと熱応答性ゲルを与えるモノマーとを反応させて、
    該支持体上に内部にタンパク質が結合したポリマーを含
    有する熱応答性ポリマーゲルを形成し、ついで内部のタ
    ンパク質を溶出除去することを特徴とする請求項1乃至
    9何れかに記載のタンパク質分子識別機能を有する熱応
    答性ポリマーゲルの製造方法。
  11. 【請求項11】熱応答性ゲルを与えるモノマーが、N−
    イソプロピルアクリルアミドであることを特徴とする請
    求項10に記載のタンパク質分子識別機能を有する熱応
    答性ポリマーゲルの製造方法。
  12. 【請求項12】タンパク質が結合したモノマーが、ビニ
    ル系モノマーであることを特徴とする請求項10に記載
    のタンパク質分子識別機能を有する熱応答性ポリマーゲ
    ルの製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1乃至9何れかに記載のタンパク
    質識別機能を有する熱応答性ポリマーゲルの温度変化に
    よる収縮性と膨潤性を利用することを特徴とするタンパ
    ク質の分離精製方法。
  14. 【請求項14】請求項1乃至9何れかに記載のタンパク
    質識別機能を有する熱応答性ポリマーゲルの収縮時に、
    所望のタンパク質をタンパク質分子形状鋳型に吸着さ
    せ、ゲルの膨潤時に吸着された所望のタンパク質を抽出
    することを特徴とする請求項13に記載のタンパク質の
    分離精製方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004090529A1 (ja) * 2003-04-08 2004-10-21 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology 光応答型分子識別材料
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