JP7228057B2 - 宇宙交通管理システム、宇宙交通管理装置、メガコンステレーション衛星事業装置、コンステレーション衛星事業装置、衛星事業装置、および、宇宙情報レコーダー - Google Patents

宇宙交通管理システム、宇宙交通管理装置、メガコンステレーション衛星事業装置、コンステレーション衛星事業装置、衛星事業装置、および、宇宙情報レコーダー Download PDF

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Description

本発明は、宇宙交通管理システム、宇宙交通管理装置、宇宙物体総数制限方法、メガコンステレーション衛星事業装置、コンステレーション衛星事業装置、衛星事業装置、宇宙状況監視事業装置、国ないし権限を有する組織の事業装置、および、宇宙情報レコーダーに関する。
近年、数百から数千機に及ぶ大規模衛星コンステレーション、所謂メガコンステレーションの構築が始まり、軌道上における衛星の衝突のリスクが高まっている。また、故障により制御不能となった衛星、あるいは、ロケットの残骸といったスペースデブリが増加している。
このような宇宙空間における衛星およびスペースデブリといった宇宙物体の急激な増加に伴い、宇宙交通管制(STM)では、宇宙物体の衝突を回避するための国際的なルール作りの必要性が高まっている。
特許文献1には、同一の円軌道に複数の衛星から成る衛星コンステレーションを形成する技術が開示されている。
特開2017-114159号公報
宇宙空間のデブリの増加、メガコンステレーションの登場による衛星数の増加、および地上監視能力の向上に伴い、従来の米国CSpOCによる警報発令サービスの継続が難しくなっている。
しかしながら、特許文献1には、宇宙空間のデブリの増加、メガコンステレーションの登場による衛星数の増加、および地上監視能力の向上に伴う宇宙物体の衝突回避の方式については記載されていない。
本発明は、宇宙空間のデブリの増加、メガコンステレーションの登場による衛星数の増加、および地上監視能力の向上に伴い、衛星群ごとに飛行安全対策を行うことを目的とする。
本発明に係る宇宙交通管理システムは、宇宙を飛行する宇宙物体を管理する事業装置に実装され、宇宙物体の軌道情報を記録する宇宙情報レコーダーを具備し、宇宙物体の飛行安全対策をする宇宙交通管理装置を備えた宇宙交通管理システムにおいて、
前記宇宙情報レコーダーは、
100機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるメガコンステレーション衛星事業装置、あるいは、10機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるコンステレーション衛星事業装置に実装され、
公称軌道高度が同一の複数衛星群で連携してミッションを遂行する衛星群を識別する衛星群ID(Identifier)のカテゴリーを具備し、
前記衛星群IDのカテゴリーは、衛星群の飛行の安全対策を表す飛行安全対策情報を含む。
本発明に係る宇宙交通管理システムでは、衛星群ごとに飛行安全対策を行うことができるという効果がある。
複数衛星が連携して地球の全球に亘り通信サービスを実現する例。 単一軌道面の複数衛星が地球観測サービスを実現する例。 極域近傍で交差する複数の軌道面を有する衛星コンステレーションの例。 極域以外で交差する複数の軌道面を有する衛星コンステレーションの例。 衛星コンステレーション形成システムの構成図。 衛星コンステレーション形成システムの衛星の構成図。 衛星コンステレーション形成システムの地上設備の構成図。 衛星コンステレーション形成システムの機能構成例。 は、本実施の形態に係る宇宙交通管理装置の例5-1および宇宙交通管理装置の例1-1を示す構成図。 実施の形態1に係る軌道予報情報の例。 実施の形態1に係る宇宙交通管理装置の例1-2を示す構成図。 実施の形態1に係る宇宙交通管理装置の例1-3を示す構成図。 実施の形態1に係る宇宙交通管理システムの例5-2を示す構成図。 実施の形態1に係る飛行安全対策情報の一例を示す図。 実施の形態1に係る飛行安全対策情報の別例を示す図。 実施の形態1の変形例に係る宇宙交通管理装置の構成図。 実施の形態1は、(Nreal)/(Nauthorized)=5となる事例を示す図。 実施の形態1は、(Nreal)/(Nauthorized)=5となる宇宙物体総数の推移を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法による(Nreal)/(Nauthorized)=2.01となる事例を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法による(Nreal)/(Nauthorized)=2.01となる宇宙物体総数の推移を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法による(Nreal)/(Nauthorized)=1.202となる事例を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法を用いたメガコンステレーション衛星(メガコンステレーションA)事業装置の例を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法を用いたメガコンステレーション衛星(メガコンステレーションB)事業装置の例を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法を用いたSSA事業者Aの事業装置の例を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法を用いたSSA事業者Bの事業装置の例を示す図。 実施の形態2に係る宇宙物体総数制限方法を用いた宇宙交通管理システムの例5-3の構成図。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。また、以下の図面では各構成の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった方向あるいは位置が示されている場合がある。それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置、器具、あるいは部品といった構成の配置および向きを限定するものではない。
実施の形態1.
以下の実施の形態に係る宇宙交通管理システムの前提となる衛星コンステレーションの例について説明する。
図1は、地上に対し、複数衛星が連携して地球70の全球に亘り通信サービスを実現する例を示す図である。
図1は、全球に亘り通信サービスを実現する衛星コンステレーション20を示している。
同一軌道面を同一高度で飛行している複数の衛星の各衛星では、地上に対する通信サービス範囲が後続衛星の通信サービス範囲とオーバーラップしている。よって、このような複数の衛星によれば、地上の特定地点に対して、同一軌道面上の複数の衛星が時分割的に交互に交代しながら通信サービスを提供することができる。また、隣接軌道面を設けることにより、隣接軌道間の地上に対する通信サービスを面的に網羅することが可能となる。同様に、地球の周りに多数の軌道面を概ね均等配置すれば、全球に亘り地上に対する通信サービスが可能となる。
図2は、単一軌道面の複数衛星が地球観測サービスを実現する例を示す図である。
図2は、地球観測サービスを実現する衛星コンステレーション20を示している。図2の衛星コンステレーション20は、光学センサあるいは合成開口レーダーといった電波センサである地球観測装置を具備した衛星が同一軌道面を同一高度で飛行する。このように、地上の撮像範囲が時間遅れで後続衛星がオーバーラップする衛星群300では、地上の特定地点に対して軌道上複数の衛星が時分割的に交互に交代しながら地上画像を撮像することにより地球観測サービスを提供する。
このように、衛星コンステレーション20は、各軌道面の複数の衛星からなる衛星群300により構成される。衛星コンステレーション20では、衛星群300が連携してサービスを提供する。衛星コンステレーション20とは、具体的には、図1に示すような通信事業サービス会社、あるいは、図2に示すような観測事業サービス会社による1つの衛星群から成る衛星コンステレーションを指す。
図3は、極域近傍で交差する複数の軌道面21を有する衛星コンステレーション20の例である。また、図4は、極域以外で交差する複数の軌道面21を有する衛星コンステレーション20の例である。
図3の衛星コンステレーション20では、複数の軌道面の各軌道面21の軌道傾斜角が約90度であり、かつ、複数の軌道面の各軌道面21が互いに異なる面に存在する。
図4の衛星コンステレーション20では、複数の軌道面の各軌道面21の軌道傾斜角が約90度ではなく、かつ、複数の軌道面の各軌道面21が互いに異なる面に存在する。
図3の衛星コンステレーション20では、任意の2つの軌道面が極域近傍の地点で交差する。また、図4の衛星コンステレーション20では、任意の2つの軌道面が極域以外の地点で交差する。図3では、極域近傍において、衛星30の衝突が発生する可能性がある。また、図4に示すように、軌道傾斜角が90度よりも傾斜している複数の軌道面の交点は軌道傾斜角に応じて極域から離れていく。また、軌道面の組合せによって赤道近傍を含む多様な位置で軌道面が交差する可能性がある。このため、衛星30の衝突が発生する可能性のある場所が多様化する。衛星30は人工衛星ともいう。
特に、近年、数百から数千機に及ぶ大規模衛星コンステレーションの構築が始まり、軌道上における衛星の衝突のリスクが高まっている。また、故障により制御不能となった人工衛星、あるいは、ロケットの残骸といったデブリが増加している。大規模衛星コンステレーションは、メガコンステレーションともいう。このようなデブリはスペースデブリともいう。
このように、宇宙空間におけるデブリ増加、および、メガコンステレーションを始めとする衛星数の急激な増加に伴い、宇宙交通管制(STM)の必要性が高まっている。
また、宇宙物体の軌道遷移のために、軌道上のミッション終了後の軌道離脱(PMD)あるいは故障した衛星、および、浮遊するロケット上段といったデブリをデブリ除去衛星といった外的手段により軌道離脱させるADRの必要性が高まっている。このようなADRの必要性について、STMとして国際的な議論が始まっている。ここで、PMDは、Post Mission Disposalの略語である。ADRは、Active Debris Removalの略語である。STMは、Space Traffic Managementの略語である。
また、宇宙状況監視(SSA: Space Situational Awareness)の国際協力を含む体制強化および観測精度向上に伴う、把握可能な宇宙物体のサイズは、より小さなものまで監視可能となっている。また、監視可能な宇宙物体の総数はより多くなっている。
メガコンステレーション整備に伴う宇宙物体数の激増は、宇宙空間の衝突リスクを増加される原因のひとつとなる。しかし、仮に人工宇宙物体同士の衝突はSTMといった人為的な活動の効果として回避できたとすると、宇宙空間に浮遊するデブリ衝突がトリガとなる連鎖衝突リスクは依然深刻な問題である。
デブリ自体が微小物体であったとしても、相対速度が大きい衝突条件であれば、衛星が爆裂的に破壊するリスクがあり、飛散した破片による高次被害が連鎖するリスクがある。
数千機のメガコンステレーションでは、同一高度に2500機程度の衛星が飛翔する構想が発表されている。定常運用時には前衛星の飛翔位置を時間管理することにより、自システム内の衝突を回避する方針が主流となっている。しかしながらデブリ衝突がトリガとなり、1機の衛星に軌道姿勢制御の異常が発生して当初の時間管理の制御を逸脱する場合、あるいは、破片が飛散した場合に、同一軌道高度を飛翔する他の衛星に衝突するリスクが非常に高い。
このような衝突リスクを回避するためには、デブリの軌道情報と、メガコンステレーションの軌道情報を一元的に管理して、衝突予測解析を実施するのが合理的である。デブリ情報は、SSAの領域において、バスケットボール大のデブリ約2万個が監視可能と言われてきた。さらに将来米国のスペースフェンスと呼ばれる監視能力向上に伴い、ソフトボール大20万個の監視が可能になると言われている。
仮に20万個のデブリ情報をSSA事業者が情報更新しながら維持管理するとした場合、さらにメガコンステレーション事業者が保有する1万機以上の軌道情報を一元的に管理することには多くの課題がある。例えば自然現象に基づく軌道予測のみならず、衛星自身が保有する軌道姿勢制御を用いた場合に、その効果を軌道予測解析に反映する必要があり、膨大な作業量を伴う。また、メガコンステレーション事業者が常に最新かつ精度の高い衛星情報をSSA事業者に開示するとは限らない。また20万個のデブリ監視は決して必要十分な規模ではない。ソフトボールよりも小さな微小デブリでも衛星を破壊できるほどのポテンシャルを持ち得る。よって、将来はさらにサイズが小さく、膨大な量のデブリを監視する必要性が増す。
一方メガコンステレーション事業者が、20万に及ぶデブリ情報を含めて一元管理することも作業量などの観点で現実的ではない。さらに複数のメガコンステレーション事業者の情報を一元的に集約することは容易ではない。
以上のような状況下において、SSA事業者がデブリ軌道情報をメガコンステレーション事業者に渡し、メガコンステレーション事業者が自システム内の衛星との衝突解析を実施するのが好適である。メガコンステレーションでは特定軌道高度に数千機の衛星が飛翔する。よって、デブリ軌道情報としては、メガコンステレーションが運用する特定軌道高度を通過する予測時刻および位置、速度ベクトル情報があれば、メガコンステレーション事業者側に衝突リスクのある衛星を識別して衝突予測解析を実施することが可能となる。
ここで、図5から図8を用いて衛星コンステレーション20を形成する衛星コンステレーション形成システム600における衛星30と地上設備700の一例について説明する。例えば、衛星コンステレーション形成システム600は、メガコンステレーション事業装置41、LEOコンステレーション事業装置42、あるいは衛星事業装置43のような衛星コンステレーション事業を行う事業者により運用される。
図5は、衛星コンステレーション形成システム600の構成図である。
衛星コンステレーション形成システム600は、コンピュータを備える。図5では、1つのコンピュータの構成を示しているが、実際には、衛星コンステレーション20を構成する複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備700の各々にコンピュータが備えられる。そして、複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備700の各々に備えられたコンピュータが連携して、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する。以下において、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現するコンピュータの構成の一例について説明する。
衛星コンステレーション形成システム600は、衛星30と地上設備700を備える。衛星30は、地上設備700の通信装置950と通信する衛星通信装置32を備える。図5では、衛星30が備える構成のうち衛星通信装置32を図示している。
衛星コンステレーション形成システム600は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。衛星コンステレーション形成システム600のハードウェアについては、図9において後述する宇宙交通管理装置100のハードウェアと同様である。
衛星コンステレーション形成システム600は、機能要素として、衛星コンステレーション形成部11を備える。衛星コンステレーション形成部11の機能は、ハードウェアあるいはソフトウェアにより実現される。
衛星コンステレーション形成部11は、衛星30と通信しながら衛星コンステレーション20の形成を制御する。
図6は、衛星コンステレーション形成システム600の衛星30の構成図である。
衛星30は、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35とを備える。その他、各種の機能を実現する構成要素を備えるが、図6では、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35について説明する。衛星30は、宇宙物体60の一例である。
衛星制御装置31は、推進装置33と姿勢制御装置34とを制御するコンピュータであり、処理回路を備える。具体的には、衛星制御装置31は、地上設備700から送信される各種コマンドにしたがって、推進装置33と姿勢制御装置34とを制御する。
衛星通信装置32は、地上設備700と通信する装置である。具体的には、衛星通信装置32は、自衛星に関する各種データを地上設備700へ送信する。また、衛星通信装置32は、地上設備700から送信される各種コマンドを受信する。
推進装置33は、衛星30に推進力を与える装置であり、衛星30の速度を変化させる。具体的には、推進装置33は、アポジキックモーターまたは化学推進装置、または電気推進装置である。アポジキックモーター(AKM:Apogee Kick Motor)は、人工衛星の軌道投入に使われる上段の推進装置のことであり、アポジモーター(固体ロケットモーター使用時)、またはアポジエンジン(液体エンジン使用時)とも呼ばれている。
化学推進装置は、一液性ないし二液性燃料を用いたスラスタである。電気推進装置としては、イオンエンジンまたはホールスラスタである。アポジキックモーターは軌道遷移に用いる装置の名称であり、化学推進装置の一種である場合もある。
姿勢制御装置34は、衛星30の姿勢と衛星30の角速度と視線方向(Line Of Sight)といった姿勢要素を制御するための装置である。姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に変化させる。もしくは、姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に維持する。姿勢制御装置34は、姿勢センサとアクチュエータとコントローラとを備える。姿勢センサは、ジャイロスコープ、地球センサ、太陽センサ、スター・トラッカ、スラスタおよび磁気センサといった装置である。アクチュエータは、姿勢制御スラスタ、モーメンタムホイール、リアクションホイールおよびコントロール・モーメント・ジャイロといった装置である。コントローラは、姿勢センサの計測データまたは地上設備700からの各種コマンドにしたがって、アクチュエータを制御する。
電源装置35は、太陽電池、バッテリおよび電力制御装置といった機器を備え、衛星30に搭載される各機器に電力を供給する。
衛星制御装置31に備わる処理回路について説明する。
処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
処理回路において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。つまり、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。
専用のハードウェアは、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
図7は、衛星コンステレーション形成システム600が備える地上設備700の構成図である。
地上設備700は、全ての軌道面の多数衛星をプログラム制御する。地上設備700は、地上装置の例である。地上装置は、地上アンテナ装置、地上アンテナ装置に接続された通信装置、あるいは電子計算機といった地上局と、地上局にネットワークで接続されたサーバあるいは端末としての地上設備から構成される。また、地上装置には航空機、自走車両、あるいは移動端末といった移動体に搭載された通信装置を含んでも良い。
地上設備700は、各衛星30と通信することによって衛星コンステレーション20を形成する。地上設備700は、宇宙交通管理装置100に備えられる。地上設備700は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。地上設備700のハードウェアについては、図9において後述する宇宙交通管理装置100のハードウェアと同様である。
地上設備700は、機能要素として、軌道制御コマンド生成部510と、解析予測部520を備える。軌道制御コマンド生成部510および解析予測部520の機能は、ハードウェアあるいはソフトウェアにより実現される。
通信装置950は、衛星コンステレーション20を構成する衛星群300の各衛星30を追跡管制する信号を送受信する。また、通信装置950は、軌道制御コマンド55を各衛星30に送信する。
解析予測部520は、衛星30の軌道を解析予測する。
軌道制御コマンド生成部510は、衛星30に送信する軌道制御コマンド55を生成する。
軌道制御コマンド生成部510および解析予測部520は、衛星コンステレーション形成部11の機能を実現する。すなわち、軌道制御コマンド生成部510および解析予測部520は、衛星コンステレーション形成部11の例である。
図8は、衛星コンステレーション形成システム600の機能構成例を示す図である。
衛星30は、さらに、衛星コンステレーション20を形成する衛星コンステレーション形成部11bを備える。そして、複数の衛星の各衛星30の衛星コンステレーション形成部11bと、地上設備700の各々に備えられた衛星コンステレーション形成部11とが連携して、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する。なお、衛星30の衛星コンステレーション形成部11bは、衛星制御装置31に備えられていてもよい。
***構成の説明***
宇宙交通管理システム500は、宇宙交通管理装置100を備える。宇宙交通管理システム500は、宇宙物体侵入警報システムともいう。また、宇宙交通管理装置100は、宇宙物体侵入警報装置ともいう。
宇宙交通管理システム500は、宇宙を飛行する宇宙物体を管理する複数の管理事業者の各々の事業装置に実装される宇宙交通管理装置100を複数備える。宇宙交通管理装置100は、宇宙物体の飛行安全対策を行う宇宙交通管理装置を複数備える。複数の宇宙交通管理装置100は、互いに通信回線で接続されている。飛行安全対策は、飛行安全管理ともいう。
図9は、本実施の形態に係る宇宙交通管理装置100の例5-1および宇宙交通管理装置100の例1-1を示す構成図である。
宇宙交通管理装置100は、他の管理事業装置40と通信する。宇宙交通管理装置100は、地上設備701に搭載されていてもよい。また、宇宙交通管理装置100は、衛星コンステレーション形成システム600に搭載されていてもよい。
管理事業装置40は、人工衛星、あるいは、デブリといった宇宙物体60に関する情報を提供する。管理事業装置40は、人工衛星、あるいは、デブリといった宇宙物体60に関する情報を収集する事業者のコンピュータである。
管理事業装置40には、メガコンステレーション事業装置41、LEOコンステレーション事業装置42、衛星事業装置43、軌道遷移事業装置44、デブリ除去事業装置45、ロケット打ち上げ事業装置46、およびSSA事業装置47といった装置が含まれる。LEOが、Low Earth Orbitの略語である。
メガコンステレーション事業装置41は、大規模衛星コンステレーション、すなわちメガコンステレーション事業を行うメガコンステレーション事業者のコンピュータである。 LEOコンステレーション事業装置42は、低軌道コンステレーション、すなわちLEOコンステレーション事業を行うLEOコンステレーション事業者のコンピュータである。
衛星事業装置43は、1機から数機の衛星を扱う衛星事業者のコンピュータである。
軌道遷移事業装置44は、衛星の宇宙物体侵入警報を行う軌道遷移事業者のコンピュータである。
デブリ除去事業装置45は、デブリを回収する事業を行うデブリ除去事業者のコンピュータである。
ロケット打ち上げ事業装置46は、ロケット打ち上げ事業を行うロケット打ち上げ事業者のコンピュータである。
SSA事業装置47は、SSA事業、すなわち、宇宙状況監視事業を行うSSA事業者のコンピュータである。
管理事業装置40は、人工衛星、あるいは、デブリといった宇宙物体に関する情報を収集し、収集した情報を宇宙交通管理システム500に提供する装置であれば、その他の装置でもよい。また、宇宙交通管理装置100が、SSAの公開サーバ上に搭載される場合は、宇宙交通管理装置100がSSAの公開サーバとして機能する構成でもよい。
なお、管理事業装置40から宇宙交通管理装置100に提供される情報については、後で詳しく説明する。
宇宙交通管理装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
宇宙交通管理装置100は、機能要素の一例として、飛行安全対策部110と記憶部140を備える。記憶部140には、軌道予報情報51が記憶されている。
飛行安全対策部110の機能は、ソフトウェアにより実現される。記憶部140は、メモリ921に備えられる。あるいは、記憶部140は、補助記憶装置922に備えられていてもよい。また、記憶部140は、メモリ921と補助記憶装置922に分けられて備えられてもよい。
軌道予報情報51は、後述する宇宙情報レコーダーの例である。
また、飛行安全対策部110は、例えば、公称軌道高度が同一の複数衛星群で連携してミッションを遂行する衛星群を識別する衛星群IDのカテゴリーを具備する宇宙情報レコーダーを用いて、衛星群の飛行安全対策を行う。
プロセッサ910は、宇宙交通管理プログラムを実行する装置である。宇宙交通管理プログラムは、宇宙交通管理装置100および宇宙交通管理システム500の各構成要素の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった表示機器941のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。宇宙交通管理装置100は、通信装置950を介して、管理事業装置40との通信を行う。
宇宙交通管理プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、宇宙交通管理プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、宇宙交通管理プログラムを実行する。宇宙交通管理プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている宇宙交通管理プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、宇宙交通管理プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
宇宙交通管理装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、プログラムを実行する装置である。
プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
宇宙交通管理装置の各部の「部」を「処理」、「手順」、「手段」、「段階」あるいは「工程」に読み替えてもよい。また、通過判定処理と警報生成処理と警報通知処理の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」に読み替えてもよい。「処理」、「手順」、「手段」、「段階」あるいは「工程」は、互いに読み換えが可能である。
宇宙交通管理プログラムは、宇宙交通管理システムの各部の「部」を「処理」、「手順」、「手段」、「段階」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順、各手段、各段階あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。また、宇宙交通管理方法は、宇宙交通管理装置100が宇宙交通管理プログラムを実行することにより行われる方法である。
宇宙交通管理プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、各プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
図10は、本実施の形態に係る軌道予報情報51の例を示す図である。
宇宙交通管理装置100は、宇宙物体60の軌道の予報値が設定された軌道予報情報51を記憶部140に記憶する。宇宙交通管理装置100は、例えば、複数の宇宙物体60を管理する管理事業者により利用される管理事業装置40から、複数の宇宙物体60の各々の軌道の予報値を取得し、軌道予報情報51として記憶してもよい。あるいは、宇宙交通管理装置100は、複数の宇宙物体60の各々の軌道の予報値が設定された軌道予報情報51を管理事業者から取得し、記憶部140に記憶してもよい。
管理事業者は、衛星コンステレーション、各種の衛星、ロケット、およびデブリといった宇宙を飛行する宇宙物体60を管理する事業者である。また、上述したように、各管理事業者により利用される管理事業装置40は、メガコンステレーション事業装置41、LEOコンステレーション事業装置42、衛星事業装置43、軌道遷移事業装置44、デブリ除去事業装置45、ロケット打ち上げ事業装置46、およびSSA事業装置47といったコンピュータである。
軌道予報情報51には、衛星軌道予報情報52とデブリ軌道予報情報53とが含まれる。衛星軌道予報情報52には、衛星の軌道の予報値が設定されている。デブリ軌道予報情報53には、デブリの軌道の予報値が設定されている。本実施の形態では、衛星軌道予報情報52とデブリ軌道予報情報53とが軌道予報情報51に含まれる構成であるが、衛星軌道予報情報52とデブリ軌道予報情報53とが、個々の情報として記憶部140に記憶されていても構わない。
軌道予報情報51には、例えば、宇宙物体ID(Identifier)511、予報元期512、予報軌道要素513、および予報誤差514といった情報が設定される。
宇宙物体ID511は、宇宙物体60を識別する識別子である。図10では、宇宙物体ID511として、衛星IDとデブリIDが設定されている。宇宙物体は、具体的には、宇宙空間に打ち上げられるロケット、人工衛星、宇宙基地、デブリ除去衛星、惑星探査宇宙機、ミッション終了後にデブリ化した衛星あるいはロケットといった物体である。
予報元期512は、複数の宇宙物体の各々の軌道について予報されている元期である。
予報軌道要素513は、複数の宇宙物体の各々の軌道を特定する軌道要素である。予報軌道要素513は、複数の宇宙物体の各々の軌道について予報されている軌道要素である。図10では、予報軌道要素513として、ケプラー軌道6要素が設定されている。
予報誤差514は、複数の宇宙物体の各々の軌道において予報される誤差である。予報誤差514には、進行方向誤差、直交方向誤差、および誤差の根拠が設定されている。このように、予報誤差514には、実績値が内包する誤差量が根拠とともに明示的に示される。誤差量の根拠としては、計測手段、位置座標情報の精度向上手段として実施したデータ処理の内容、および、過去データの統計的評価結果の一部あるいはすべてが含まれる。
なお、本実施の形態に係る軌道予報情報51では、宇宙物体60について、予報元期512と予報軌道要素513が設定されている。予報元期512と予報軌道要素513により、宇宙物体60の近未来における時刻と位置座標を求めることができる。例えば、宇宙物体60についての近未来の時刻と位置座標が、軌道予報情報51に設定されていてもよい。
このように、軌道予報情報51には、元期と軌道要素、あるいは、時刻と位置座標を含む宇宙物体の軌道情報が具備され、宇宙物体60の近未来の予報値が明示的に示されている。
次に、宇宙交通管理装置100および宇宙交通管理システム500の別例について説明する。宇宙交通管理装置100のハードウェア構成については上述した通りである。
図11は、本実施の形態に係る宇宙交通管理装置100の例1-2および例1-3を示す構成図である。
宇宙交通管理システム500が備える複数の宇宙交通管理装置100は、互いに通信回線で接続されている。宇宙交通管理装置100は、複数の管理事業装置40の各々に備えられる。以下において、管理事業装置40を、単に事業装置と呼ぶ場合がある。
宇宙交通管理装置100は、宇宙物体の飛行安全対策を行う。宇宙交通管理装置100は、宇宙を飛行する宇宙物体を管理する事業装置に実装される。飛行安全対策については後で詳しく説明する。
宇宙交通管理装置100は、宇宙情報レコーダー101と、危険警報装置102と、宇宙物体の軌道解析をする危険解析装置103と、危険回避行動支援装置104と、セキュリティー装置105とを備える。
宇宙情報レコーダー101は、宇宙物体の軌道情報を記録する。宇宙情報レコーダー101の具体例は、図10の軌道予報情報51である。
危険警報装置102は、宇宙物体の接近あるいは衝突の危険を報知する。
危険解析装置103は、宇宙物体の軌道解析をする。
危険回避行動支援装置104は、宇宙物体の回避行動の役割分担を表示する。
セキュリティー装置105は、情報改ざんを防止する。
宇宙情報レコーダー101は、100機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるメガコンステレーション衛星事業装置、あるいは、10機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるコンステレーション衛星事業装置に実装される。
メガコンステレーション衛星事業装置の例は、メガコンステレーション事業装置41である。また、コンステレーション衛星事業装置の例は、LEOコンステレーション事業装置42である。
宇宙交通管理装置100の例1-2は、メガコンステレーション衛星事業装置に具備されている。
宇宙交通管理装置100の例1-3は、コンステレーション衛星事業装置に具備されている。
メガコンステレーション衛星事業装置およびコンステレーション衛星事業装置の宇宙情報レコーダー101は、公称軌道高度が同一の複数衛星群で連携してミッションを遂行する衛星群を識別する衛星群ID112のカテゴリーを具備する。
衛星群IDのカテゴリーは、衛星群の飛行の安全対策を表す飛行安全対策情報115を含む。
具体的には、衛星群ID112のカテゴリーは、軌道情報113、公開条件情報114、および飛行安全対策情報115を含む。
図12は、本実施の形態に係る宇宙交通管理装置100の例1-4および例1-5を示す構成図である。
図12の宇宙交通管理装置100の例1-4および例1-5は、宇宙を飛行する宇宙物体を管理する事業装置に実装され、宇宙物体の軌道情報を記録する宇宙情報レコーダー101を具備する。
宇宙交通管理装置100の例1-4は、衛星事業装置に具備されている。
宇宙交通管理装置100の例1-5は、各国の宇宙機関である各国宇宙機関事業装置に具備されている。
宇宙交通管理装置100の例1-4の宇宙情報レコーダー101は、衛星事業装置に実装されており、飛行安全対策情報115を具備する。衛星事業装置は、例えば、10機より少ない衛星コンステレーションを管理する事業装置である。
具体的には、宇宙交通管理装置100の例1-4の宇宙情報レコーダー101では、宇宙物体を識別する宇宙物体ID116と、軌道情報113、公開条件情報114、および飛行安全対策情報115が対応付けられている。
一方、宇宙交通管理装置100の例1-5の宇宙情報レコーダー101のように、飛行安全対策情報115は設けられていない場合もある。
図13は、本実施の形態に係る宇宙交通管理システム500の例5-2を示す構成図である。
宇宙交通管理システム500の例5-2は、宇宙を飛行する宇宙物体を管理する複数の管理事業者の各々の事業装置に実装された宇宙交通管理装置100を複数備える。
複数の宇宙交通管理装置100は、互いに通信回線で接続されている。
また、複数の宇宙交通管理装置100の各々は、宇宙物体の軌道情報113を記録する宇宙情報レコーダー101を備える。
宇宙情報レコーダー101は、宇宙物体を識別する宇宙物体ID116と軌道情報113と公開条件情報114、および、事業装置を識別する事業装置IDと公開条件情報を具備する。
また、複数の宇宙交通管理装置100は、データ形式の互換性を有すると共に、宇宙物体IDと事業装置IDとを共有し、公開条件情報に適合する事業装置間で、宇宙物体IDの宇宙情報および飛行安全対策情報を共有する。軌道情報113は、宇宙情報の例である。
宇宙交通管理システム500の例5-2は、メガコンステレーション衛星事業装置と、コンステレーション衛星事業装置と、衛星事業装置との全てまたは一部を構成要素として含む。
メガコンステレーション衛星事業装置は、図11に示す宇宙交通管理装置100の例1-2の事業装置である。具体的には、メガコンステレーション衛星事業装置は、100機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置である。
コンステレーション衛星事業装置は、図11に示す宇宙交通管理装置100の例1-3の事業装置である。具体的には、コンステレーション衛星事業装置は、10機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置である。
衛星事業装置は、図12に示す宇宙交通管理装置100の例1-4の事業装置である。具体的には、衛星事業装置は、10機より少ない衛星コンステレーションを管理する事業装置である。
その他の事業装置は、図12に示す宇宙交通管理装置100の例1-5を具備しているものとする。
図14は、本実施の形態に係る飛行安全対策情報115の一例を示す図である。
図14の飛行安全対策情報115は、メガコンステレーション衛星群の自システム内の衝突防止対策情報を有する。メガコンステレーション衛星群の衝突防止対策情報は、法線方向の異なる多数の軌道面同士の軌道高度を変えて、軌道面同士の交わる直線状であっても軌道の交点が存在せず衝突確率がゼロとなる軌道面毎の軌道高度および軌道傾斜角を変更する方式を含む。
具体的には、飛行安全対策情報115は、人為的制御が不能な緊急事態に陥った状況下であっても、基本的な衝突確率をゼロとするpassive safetyを基本とする飛行安全設計ポリシーを含む。
本実施の形態に係る飛行安全対策情報115について、より詳しく説明する。
宇宙空間のデブリの空間密度がある臨界値を超えると、衝突によって生成されたデブリが連鎖的に次の衝突を起こすことで、デブリが自己増殖する状態に陥る。この状態は、ケスラーシンドロームと呼ばれ、デブリ挙動のシミュレーション結果が有名である。
これに対して現状ではケスラーシンドローム発生を予防抑止する規制が存在しない。さらに、メガコンステレーションの自システム内衝突連鎖を予防抑止する規制もない。自然発生的デブリの飛行はランダム現象であるのに対して、メガコンステレーション衛星群は人為的規則性により飛行している。このため、制御能力範囲内にあれば衝突回避が可能である。しかし、外来デブリ衝突による連鎖事故などにより制御不能に陥ると、多数機が飛行する同一軌道高度あるいは軌道面内、および極域密集領域の存在など、自然現象以上に連鎖衝突リスクが高いという欠点もある。
国際的にデブリ発生抑止ないし低減努力をしている事業者にインセンティブを与えるべく、WEFにおいて、SRRと呼ばれる国際的なレーティングスキームの導入が検討されている。WEFは、World Economic Forumの略である。SRRは、Space Sustainability Ratingの略である。
そこでSRRの評価指標の一つとして、国ないし権限を有する機関から許可された定常運用衛星数に対する、軌道上物体数の比率を「物体数評価関数:F(X,Y,Z)」と定義し、レーティングスキームの評価指標としての活用を提案する。
また同様に国ないし権限を有する機関から許可された定常運用衛星数に対する、軌道上物体数の比率に対して「物体数制限基準:α」を「制限値」として設定する。そして、この「制限値」を超えた事業者の後継機打上げを許可しないことによる実効的な宇宙物体総数制限方法を提案する。宇宙物体総数制限方法については後述する。
物体数評価関数をF(X,Y,Z)=(Nreal)/(Nauthorized)と定義する。
Nrealは、軌道上物体数すなわち宇宙物体総数である。Nrealは、実態軌道上物体数ともいう。
Nauthorizedは、認許された定常運用宇宙物体数すなわち認許物体数である。
「物体数評価関数:F(X,Y,Z)=(Nreal)/(Nauthorized)」に寄与する要因として、
設計依存変数群X
飛行安全対策依存変数群Y
外来要因変数群Z
と大別することができる。この場合に、飛行安全対策依存変数群Yは、1000機超の衛星群から構成されるメガコンステレーション衛星群、あるいは、それ以下の多数機で構成されるコンステレーション衛星群の飛行安全設計ポリシーに依存する変数である。
例えば、法線方向の異なる多数の軌道面毎に多数機が飛行するメガコンステレーションにおいて、全衛星が極軌道の同一高度を飛行する設計を採用して、特段の飛行安全を考慮しなかった場合には、極域では全ての軌道面の衛星が通過し、軌道面同士が交差する。このような極域において、自システム内衝突リスクが極めて高い状況となり、永続的に運用継続をすれば、必然的に衝突事故が発生する。
メガコンステレーションの自システム内衝突事故は、当該事業者の損害のみならず、ケスラーシンドロームの事例のように、宇宙事業者全てにとって損害を及ぼすリスクがある。このため、情報共有により早期に飛行安全設計ポリシーを客観評価できる仕組みを構築し、上述のように無策で臨む事業者を早期に発見して、是正させる必要がある。是正案として具体的な推奨方式について情報共有することも効果的と考えられる。
衝突現象は2物体の位置と時間(t,x,y,z)が一致する状態であり、人工衛星の場合は極座標表示するのが合理的となる。
よって、2物体の時間と位置座標を極座標表示した場合に
(t1,r1,θaz1,θel1)=(t2,r2,θaz2,θel2)
となる状況が衝突である。
衝突を回避する手段としては、以下の方式などがある。
t1≠t2となるべく衛星通過タイミングをずらす「時分割方式」。
r1≠r2となるべく軌道高度を変更する方式。
θel1≠θel2となるべく軌道傾斜角を変更する方式。
人工衛星の軌道は軌道高度とアジマス角度とエレベーション角度の相関があり、例えば複数の軌道面が同じ公転周期を維持するためには、パラメータ同士が独立には扱えない。このため、衝突回避手段としては、「同一軌道高度の時分割方式」と「軌道面毎の軌道高度および軌道傾斜角を変更する方式」として大別するのが妥当である。
「同一軌道高度の時分割方式」では、法線方向の異なる多数の軌道面同士の軌道高度が同一であり、軌道同士の交点が存在しても、衛星の通過タイミングをずらす能動的安全管理(active safety)をする。これにより、定常運用時に自システム内の衝突回避をする運用は可能である。但し衛星数が1000機を超える衛星群では時間的余裕が減るために、時分割方式による衝突回避は難しくなる。さらに、外来デブリ衝突などに起因して、人為的制御不能な状況に陥った場合には、自システム内連鎖衝突リスクが高いという弱点がある。
これに対して、「軌道面毎の軌道高度および軌道傾斜角を変更する方式」は、法線方向の異なる多数の軌道面同士の軌道高度を変更する方式である。「軌道面毎の軌道高度および軌道傾斜角を変更する方式」は、軌道面同士の交わる直線状であっても軌道の交点が存在しないので、衝突確率がゼロとなる。
現実的には軌道投入あるいは離脱時などの非定常運用時の不慮の衝突リスク、および、外来デブリ衝突といったリスクは残る。しかし、仮に人為的制御が不能な状況に陥った状況下であっても、基本的な衝突確率をゼロとするpassive safetyを基本とする飛行安全設計ポリシーの方が衝突回避効果の観点で優れている。
「軌道面毎の軌道高度および軌道傾斜角を変更する方式」の選択肢として、軌道面毎に変更した相対高度を維持する方式と、相対高度を動的に変動する方式が有効である。
さらに、「軌道面毎に変更した相対高度を動的に変動する方式」の選択肢として、正弦波状に変動する方式と、離心率長軸をエレベーション方向に分散配置して変動する方式が有効である。
法線ベクトルの異なる軌道面同士で、衛星飛行対地速度が異なってもよい場合には、軌道面毎に軌道高度を変更して、適切な軌道傾斜角を設定すれば、公転周期を同期させたメガコンステレーションが実現可能である。
一方異なる軌道面であっても衛星飛行対地速度が同じである必要がある場合には、軌道高度を動的に変動させることにより、公転周期の平均値を一定に維持し、衛星飛行対地速度の平均値を一致させることが可能となる。
動的な高度変動を実現する手段としては、衛星が具備する推進装置を動作させる手段の他、離心率を与えた楕円軌道を採用するアイデアも有効である。
また同一軌道面内の衝突回避の手段としては、同一高度で位相間隔を略均等に配置して同期制御して飛行すれば、θel1≠θel2となり衝突が回避可能となる。
これらの有効な飛行安全設計ポリシーおよび具体的な方策を予め情報共有する宇宙情報レコーダー101の中にメニュー化する。これにより、合理的かつ効果的な宇宙交通管理方式の選択が可能となり、衝突回避に有効である。
図15は、本実施の形態に係る飛行安全対策情報115の別例を示す図である。
図15の飛行安全対策情報115は、コンステレーション衛星群および個別衛星の密集軌道領域における衝突防止対策情報として、太陽同期軌道か太陽非同期軌道かを示す軌道の種別と、回避行動の機能有無と、近傍飛行宇宙物体の管理事業者との飛行安全に資する調整有無との全てまたは一部を含む。
飛行安全対策情報115は、上記密集軌道領域における衝突防止対策情報として、太陽同期軌道のLSTと軌道高度を表示する。
飛行安全対策情報115は、上記密集軌道領域における衝突防止対策情報として、近傍飛行宇宙物体の管理事業者との飛行安全に資する調整有りの場合の調整内容を表示する。この調整内容として、同一軌道面内同期制御と、極域通過タイミング管理と、回避行動ルールとの全てまたは一部を表示する。
低軌道衛星の密集領域として、LST10:30近傍、LST13:30近傍、およびLST6:00ないし18:00近傍などが衝突危険領域となる。LST10:30近傍は、太陽同期軌道において光学衛星が多用する。LST13:30近傍は、地球観測衛星群A-Train等が飛行する。LST6:00ないし18:00近傍は、レーダー衛星が多用する。なお、LST6:00ないし18:00は赤道上空を横切る昇交点か降交点かの条件に依存している。
また軌道傾斜角が90度近傍の極軌道衛星では全ての軌道面が極域で密集するため、衝突危険領域となる。低軌道太陽同期軌道は必然的にこの状況となる。
太陽同期軌道LST10:30近傍には商業活動に供する実用衛星の他、大学の実験衛星なども飛行している。また、太陽同期軌道LST10:30近傍においては、衝突リスクが予見された場合に回避行動機能を有する衛星もあれば、推進装置を具備しない超小型衛星まで千差万別のバリエーションがある。このためこの密集領域にデブリ侵入が予見された場合に、いかなる手段で危険回避をするべきかを迅速に判断する必要があり、予め衛星群ないし衛星の飛行安全対策情報を共有することが必要不可欠である。
***他の構成***
本実施の形態では、宇宙交通管理装置100の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、宇宙交通管理装置100の機能がハードウェアで実現されてもよい。
図16は、本実施の形態の変形例に係る宇宙交通管理装置100の構成を示す図である。
宇宙交通管理装置100は、プロセッサ910に替えて電子回路909を備える。
電子回路909は、宇宙交通管理装置100の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。
宇宙交通管理装置100の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、宇宙交通管理装置100の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、宇宙交通管理装置100の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
実施の形態2.
本実施の形態では、主に、実施の形態1に追加する点について説明する。本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
***構成の説明***
本実施の形態において、衛星コンステレーション形成システム600、宇宙交通管理システム500、および宇宙交通管理装置100の構成は、実施の形態1の図5から図9で説明したものと同様である。
本実施の形態では、軌道上の宇宙物体総数を効果的に低減させる宇宙物体総数制限方法について説明する。
ケスラーシンドロームは、「物体数評価関数:F(X,Y,Z)=(Nreal)/(Nauthorized)」が単調増加し続ける状況である。よって、物体数評価関数を一定値以下に管理することは、ケスラーシンドロームの予防抑止の効果を持つ。
特定宇宙物体事業者の物体数評価関数が「物体数制限基準:α」を超えた場合は、当該事業者に対して定常運用宇宙物体数(Nauthorized)の認許を与えた国ないし権限を有する組織が、後継機打上げを許可しない。この運用により、宇宙物体数増加を抑止する現実的な規制手段となる効果がある。許諾された定常運用宇宙物体数(Nauthorized)は、認許物体数Nauthorizedともいう。
さらに、宇宙物体事業者に対して、本来変数である「物体数評価関数;F(X,Y,Z)=(Nreal)/(Nauthorized)」を一定値以下に抑止するモチベーションを与えることにより、結果的に宇宙物体の衝突回避と物体数増加抑止の効果がある。
上述したように、「物体数評価関数;F(X,Y,Z)=(Nreal)/(Nauthorized)」に寄与する要因としては、設計依存変数群X、飛行安全対策依存変数群Y、および外来要因変数群Zに大別することができる。設計依存変数群Xとしては、宇宙物体の設計寿命、同時打上げ機数、PMD実施度、故障時のADRの実施度、軌道離脱後大気圏突入にて消失するまでのデオービット期間、および宇宙物体の故障率といった因子により構成される。PMDは、Post Mission Disposalの略である。ADRは、Active Debris Removalの略である。
例えば、1機の宇宙物体を1機のロケットで打ち上げる場合、N機のメガコンステレーションを完成させた時点で、前記宇宙物体とロケット上段のみが軌道上に残留すると仮定しても軌道上物体総数は2Nとなる。
仮に軌道上寿命が2.5年と仮定すると、初期整備完了から2.5年後にミッション終了した宇宙物体のPMDが始まり、代替機を第二世代として打ち上げると軌道上物体総数は初期整備における軌道上物体総数1Nに加えて、代替機の宇宙物体とロケット上段を合算して3Nとなる。
仮に宇宙物体をPMD後、大気圏突入するまでのデオービット時間に3年かかると仮定した場合、第二世代の代替機を第三世代として打ち上げると軌道上物体総数は初期整備における軌道上物体総数3Nに加えて、代替機の宇宙物体とロケット上段を合算して5Nとなる。
仮に定常運用宇宙物体数Nが1万機のメガコンステレーションだった場合、上記過程では軌道上物体数は5万に上り、現状観測されている軌道上物体数を上回る規模となり、ケスラーシンドロームを警戒すべき危険な状況と思われる。
宇宙物体総数を低減させる手段としては、軌道上寿命の延伸と、打上げ時の多数機同時打上げによるロケット上段数の低減と、デオービット期間短縮がある。上記過程の軌道上寿命を2.5年から10年に延伸し、100機同時打上げの想定で、デオービット時間を1年以内に短縮すれば、初期整備完了時点の軌道上物体総数は1.01Nである。そして、第二世代整備完了段階の軌道上物体総数は第一世代宇宙物体のN機+第二世代宇宙物体N機+ロケット上段0.01N機の合算で2.01N機となる。そして、第三世代整備完了段階では第一世代の宇宙物体もロケット上段と、第二世代のロケットが大気圏突入後のため、第二世代宇宙物体のN機+第三世代宇宙物体N機+ロケット上段0.01N機の合算で2.01N機となる。このように、永続的に軌道上宇宙物体総数を2.01Nに維持できることがわかる。
したがって、外来事故要因を除けば、物体数評価関数;F(X,Y,Z)を物体数制限基準:αの定数以下に管理する設計管理努力が可能である。
なおデオービット期間は推進装置を動作させて減速させるために投じるエネルギー量に相当するΔVに依存する設計管理値のひとつである。
飛行安全対策依存変数群Yは、1000機超の衛星群から構成されるメガコンステレーション衛星群や、それ以下の多数機で構成されるコンステレーション衛星群の飛行安全設計方針に依存する変数である。
法線方向の異なる多数の軌道面毎に多数機が飛行するメガコンステレーションにおいて、全衛星が極軌道の同一高度を飛行する設計を採用して、特段の飛行安全を考慮しなかった場合には、極域では全ての軌道面の衛星が通過し、軌道面同士が交差する。このような極域において、自システム内衝突リスクが極めて高い状況となり、永続的に運用継続をすれば、必然的に衝突事故が発生する。
一方同じ衛星数であっても、法線方向の異なる多数の軌道面同士の軌道高度が異なっていれば、軌道面同士の交わる直線状であっても軌道の交点が存在しないので、衝突確率がゼロとなる。現実的には軌道投入や離脱時などの非定常運用によるリスクは残る。しかし、仮に人為的制御は不能な状況に陥った状況下であっても、基本的な衝突確率をゼロとするpassive safetyを基本とする飛行安全設計方針の採用が効果的である。
法線方向の異なる多数の軌道面同士の軌道高度が同一であり、軌道同士の交点が存在しても、衛星の通過タイミングをずらす能動的安全管理(active safety)をすることで、定常運用時に自システム内の衝突回避をする運用は可能である。但し外来デブリ衝突などに起因して、人為的制御不能な状況に陥った場合には、自システム内連鎖衝突する危険性がある。
メガコンステレーションにおける飛行安全対策の基本は上記飛行安全設計方針の内容であり、次に重要なのが関係事業者との情報共有である。
メガコンステレーションは天空網羅的に衛星群を配備することがビジネスモデルの基本構成となるので、当該軌道高度を通過する宇宙物体は全て衝突リスクを伴う宿命をもつ。
低高度に構成されるメガコンステレーションは、ロケット、軌道遷移する衛星、デオービット過程の衛星などと衝突するリスクがあるため、適切に情報公開をする仕組みを構築して衝突回避対策を講じる必要がある。
また高高度に構成されるメガコンステレーションは、打上げから軌道投入に至る過程と、ミッション終了後にPMDで軌道離脱してから大気圏突入するまでの過程において、自システムよりも低軌道高度に構成されたメガコンステレーション衛星群あるいは多数衛星が密集する領域を通過する。このため、適切に情報公開をする仕組みを構築して衝突回避対策を講じる必要がある。
また地球観測衛星の光学衛星が多用する太陽同期軌道のLST10:30近傍で軌道高度500から1000km程度の範囲は多数の事業者が多種多様な衛星を飛行させる密集領域であり、飛行安全対策が必要な危険領域のひとつである。
飛行安全対策の第一歩は関係事業者との情報共有であり、当該危険領域に関わる事業者の識別、衛星の識別、衛星数、軌道情報、推進装置の有無、および衝突回避能力の有無といった情報を共有することが、リスク認識の共有化の効果がある。
次のステップは同期運用(Synchronization)の管理であり、同一軌道面の同一軌道高度に複数事業者の衛星が混在する場合には、同一軌道面内の位相を均等配置して同期運用することが、衝突回避に効果的となる。静止軌道上の衛星群はこの好例であり、300以上の定常運用中衛星が衝突なく飛行できるのは、同一軌道面の同一軌道高度において位相をほぼ均等配置して同期運用している効果である。
本実施の形態に係る図15では、宇宙交通管理装置100の宇宙情報レコーダー101に衛星群の飛行安全対策情報115を明示する仕組みを示した。この飛行安全対策情報115は、1000機以上の衛星群を管理するメガコンステレーション事業者の自衛星同士の衝突防止と、低軌道衛星が密集する太陽同期軌道LST10:30近傍、極軌道衛星が密集する極域での衝突防止とをSTMのルール作りに組み込む手段となる。
外来要因変数群Zは、自システム以外の宇宙物体が衝突するリスク要因である。自然発生的デブリの衝突はランダム現象である。しかし、現実的にはミッション終了後の衛星、ロケット上段、さらに宇宙物体衝突に伴い飛散した残骸といったデブリの識別は困難である。デブリの総称にはこれら人工物体の構成品も含まれており、宇宙空間の分布状況および飛行経路は必ずしもランダムではない。
また低高度に構成されたロケット打上げおよび他事業者宇宙物体のデオービットにおける通過経路に構成されたメガコンステレーションは、外来要因による衝突リスクが高い。
「物体数評価関数:F(X,Y,Z)=(Nreal)/(Nauthorized)」の構成要素の中で、外来要因変数群Zは事業者の自助努力のみで低減できない要因である。但し外来要因に起因する衝突事故がトリガであったとしても、連鎖発生した自システム内衝突事象は事業者の飛行安全設計ポリシーに依存して被害規模が左右されることを考慮すれば、目標値を設定して実態管理すべき事項である。
本実施の形態では、事業者が「国ないし権限を有する機関から許可された定常運用宇宙物体数:Nauthorized」と、制限値としての物体数制限基準:α、および実態軌道上物体数:Nrealを宇宙交通管理装置100の具備する宇宙情報レコーダー101に記録する仕組みを有する。
そして、複数の宇宙物体を管理する複数の事業装置間は通信回線で接続され、宇宙交通管理装置100の宇宙情報レコーダー101の記録内容を情報共有する。
メガコンステレーション事業者が自己管理する実態軌道上物体数が第三者にも確認できる透明性を確保する。
さらに、メガコンステレーション事業者が自己管理する実態軌道上物体数は、SSA事業者が保有する宇宙状況監視装置で計測した計測結果としての実態軌道上物体数と比較評価できる仕組みとする。
この結果としてメガコンステレーション事業者の実態軌道上物体数を、事業者自己管理値だけでなく、SSA事業者が計測した計測結果として管理できるので、客観的かつ公正な宇宙物体数管理ができるという効果がある。
また複数のメガコンステレーション事業者と複数のSSA事業者を通信回線で接続することにより、相互監視機能が働き、客観的かつ公正な宇宙物体数管理ができるという効果がある。
軌道上物体数を制限する手段としては、物体総数が制限値を上回った事業者に対して定常運用宇宙物体数Naを認許した国ないし権限を有する組織が、当該事業者による後続機の打上げを許可しないことにより、軌道上物体数を制限できるという効果がある。
情報公開による透明性確保の結果として、メガコンステレーション事業者による実態宇宙物体数を減少するためのモチベーションが向上する。そして、宇宙物体管理事業者の寿命延伸努力と同時打上げ機数増加努力、およびデオービット期間短縮努力を促す効果があり、この結果として宇宙物体総数を適正に管理できるという効果がある。
図17は、(Nreal)/(Nauthorized)=5となる事例を示す図である。
図18は、(Nreal)/(Nauthorized)=5となる宇宙物体総数の推移を示す図である。
例えば、1機の宇宙物体を1機のロケットで打ち上げる場合、N機のメガコンステレーションを完成させた時点で、前記宇宙物体とロケット上段のみが軌道上に残留すると仮定すると軌道上物体総数は2Nとなる。
仮に軌道上寿命が2.5年と仮定すると、初期整備完了から2.5年後にミッション終了した宇宙物体のPMDが始まる。代替機を第二世代として打ち上げると軌道上物体総数は初期整備における軌道上物体総数2Nに加えて、代替機の宇宙物体とロケット上段を合算して4Nとなる。
仮に宇宙物体をPMD後、大気圏突入して喪失するまでの期間をデオービット時間と呼び、デオービット時間に3年かかると仮定する。この場合、第二世代の代替機を第三世代として打ち上げる時点では、第一世代のロケット上段は大気圏突入後である。しかし、第一世代の宇宙物体はデオービット途中のため軌道上物体総数は初期整備の1Nと第二世代の2Nに加えて、代替機の宇宙物体とロケット上段の2Nを合算して合計5Nとなる。
仮に定常運用宇宙物体数Nが1万機のメガコンステレーションだった場合、上記過程では軌道上物体数は5万に上り、観測されている有意な大きさの軌道上物体数を上回る規模となる。
図19は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法による(Nreal)/(Nauthorized)=2.01となる事例を示す図である。
図20は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法による(Nreal)/(Nauthorized)=2.01となる宇宙物体総数の推移を示す図である。
本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法は、国ないし権限を有する組織から認許された定常運用宇宙物体数である認許物体数Nauthorizedに対して物体数制限基準αを設定し、宇宙物体総数がα×Nauthorizedを超えないことを特徴とする。
また、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法では、物体数制限基準αが2以上3未満であることを特徴とする。
図19および図20では、物体数制限基準αが2以上3未満である。
宇宙物体総数を低減させる手段としては、軌道上寿命の延伸と、打上げ時の多数機同時打上げによるロケット上段数の低減と、デオービット期間短縮がある。上記過程の軌道上寿命を2.5年から10年に延伸し、100機同時打上げの想定で、デオービット時間を1年以内に短縮すれば、初期整備完了時点の軌道上物体総数は1.01Nとなる。また、第二世代整備完了段階の軌道上物体総数は第一世代宇宙物体のN機+第二世代宇宙物体N機+ロケット上段0.01N機の合算で2.01N機となる。
第三世代整備完了段階では第一世代の宇宙物体もロケット上段と、第二世代のロケットが大気圏突入後のため、第二世代宇宙物体のN機+第三世代宇宙物体N機+ロケット上段0.1N機の合算で2.01N機となる。このように、永続的に軌道上宇宙物体総数を2.01Nに維持できる。
したがって、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法によれば、宇宙物体管理事業者の寿命延伸努力と同時打上げ機数増加努力、およびデオービット期間短縮努力を促す効果があり、この結果として宇宙物体総数を維持できるという効果がある。
但し故障した衛星のADMあるいは代替機打上げなどの緊急事態では100機同時打上げが困難となることには留意を要する。
宇宙物体をPMD後に大気圏突入して消失するまでの時間をデオービット時間と呼ぶ。デオービット時間よりも軌道上寿命が短いと3未満の物体数制限基準:αを維持できない。そして、大気圏突入までに要する時間にばらつきがあること、および宇宙物体の故障確率を考慮すると、想定される標準的なデオービット時間に対して軌道上の設計寿命をその数倍確保する必要がある。
また宇宙物体1機につきロケット1機でシングル打上げを続けた場合、物体数制限基準:αは3未満とすることは実現不可能である。よって、複数機同時打上げ努力が必要となる。
但し国ないし権限を有する組織から認許された定常運用宇宙物体数Nが100機以下の規模の小さなコンステレーションにおける同時打上げ数には限界がある。よって、物体数制限基準:αが2以上3未満は宇宙物体総数制限クライテリアとして実現可能で、かつ上限数の限定される小さな規模のコンステレーションの宇宙物体数制限の効果がある。
図21は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法による(Nreal)/(Nauthorized)=1.202となる事例を示す図である。
本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法では、物体数制限基準αが2未満であってもよい。図20は、物体数制限基準αが2未満である例を表す図である。
上記仮定では第一世代から第二世代の衛星群を一斉に交代させた。しかし、例えば軌道上設計寿命10年の設計をした上で、デオービット時間を1年に短縮したと仮定すると、10年間の軌道上寿命の間にデオービットする期間1年が時間的に分散して平準化されれば、軌道上物体総数を2N以下に維持するオペレーションも可能となる。
国ないし権限を有する組織から認許された定常運用宇宙物体数Nauthorizedが1000機を超えるようなメガコンステレーションでは、物体総数の宇宙環境に与える弊害が甚大なので、2未満の物体数制限基準:αにより物体数制限努力を促すのが効果的であり、実現可能である。
このように、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法では、宇宙物体管理事業者の寿命延伸努力と同時打上げ機数増加努力、およびデオービット期間短縮努力を促す効果があり、この結果として宇宙物体総数を維持できるという効果がある。
次に、上述した宇宙物体総数制限方法を用いた宇宙交通管理装置100および宇宙交通管理システム500について説明する。
図22は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法を用いたメガコンステレーション衛星(メガコンステレーションA)事業装置の例を示す図である。
図23は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法を用いたメガコンステレーション衛星(メガコンステレーションB)事業装置の例を示す図である。
メガコンステレーションA事業装置に搭載された宇宙情報レコーダー101を例101-1とする。メガコンステレーションB事業装置に搭載された宇宙情報レコーダー101を例101-2とする。
図24は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法を用いたSSA事業者Aの事業装置の例を示す図である。
図25は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法を用いたSSA事業者Bの事業装置の例を示す図である。
SSA事業者Aの事業装置に搭載された宇宙情報レコーダー101を例101-3とする。SSA事業者Bの事業装置に搭載された宇宙情報レコーダー101を例101-4とする。
宇宙情報レコーダー101は、事業装置を識別する事業装置IDと、国ないし権限を有する組織から認許された定常運用宇宙物体数である認許物体数Nauthorizedと、物体数制限基準αと、実態軌道上物体数Nrealを記録する。
図22では、認許物体数Nauthorizedとして「Na」が記録され、物体数制限基準αとして「αa」が記録されている。よって、物体総数制限値は、αa×Naとなる。実態軌道上物体数Nrealは、x1+x2+x3+x4である。実態軌道上物体数Nrealと物体総数制限値αa×Naとの関係は、x1+x2+x3+x4<αa×Naが維持されることが適正となる。
メガコンステレーション事業者の事業装置に実装された宇宙交通管制装置が具備する宇宙情報レコーダーには、自己が管理する衛星群および自己の事業活動由来の宇宙物体数を実態軌道上物体数として記録する。
また、宇宙状況監視をするSSA事業者の事業装置に実装された宇宙交通管制装置が具備する宇宙情報レコーダーには、他事業者が管理する衛星群および当該事業者由来の宇宙物体数を、自己が保有する宇宙状況監視装置により計測し、実態軌道上物体数として記録する。
図26は、本実施の形態に係る宇宙物体総数制限方法を用いた宇宙交通管理システム500の例5-3の構成を示す図である。
図26の宇宙交通管理システム500の例5-3では、SSA事業者により管理されるSSA事業装置と、メガコンステレーション事業者により管理されるメガコンステレーション衛星事業装置とを含む複数の事業装置が通信回線で接続されている。
SSA事業装置は、図24および図25で示すように宇宙情報レコーダー101の例101-3を具備する。メガコンステレーション衛星事業装置は、図22および図23で示すように宇宙情報レコーダー101の例101-1あるいは例101-2を具備する。
宇宙交通管理システム500の例5-3によれば、メガコンステレーション事業者の実態軌道上物体数を、事業者自己管理値だけでなく、SSA事業者が計測した計測結果として管理できるので、客観的かつ公正な宇宙物体数管理ができるという効果がある。
また、複数のメガコンステレーション事業者と複数のSSA事業者を通信回線で接続することにより、相互監視機能が働き、客観的かつ公正な宇宙物体数管理ができるという効果がある。
軌道上物体数を制限する手段としては、物体総数が制限値を上回った事業者に対して定常運用宇宙物体数を認許した国ないし権限を有する組織が、当該事業者による後続機の打上げを許可しないことにより、軌道上物体数を制限できるという効果がある。
宇宙交通管理システム500の例5-3によれば、宇宙物体管理事業者の寿命延伸努力と同時打上げ機数増加努力、およびデオービット期間短縮努力を促す効果があり、この結果として宇宙物体総数を適正に管理できるという効果がある。
ここで、実施の形態1および実施の形態2で説明した管理事業装置40および宇宙情報レコーダー101について説明する。
宇宙交通管理装置100および宇宙交通管理システム500は、実施の形態2に記載の宇宙物体総数制限方法により、宇宙物体総数を制限する。
メガコンステレーション衛星事業装置41は、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理装置100を具備し、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理システム500に備えられる。
LEOコンステレーション事業装置42といったコンステレーション衛星事業装置は、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理装置100を具備し、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理システム500に備えられる。
衛星事業装置43は、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理装置100を具備し、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理システム500に備えられる。
SSA事業装置47は、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理装置100を具備し、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理システム500に備えられる。
国ないし権限を有する組織の管理事業装置40は、実施の形態2で説明した宇宙物体総数制限方法により、宇宙物体総数を制限する。
宇宙情報レコーダー101は、宇宙物体の飛行安全対策を表す飛行安全対策情報を具備し、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理システム500に備えられる。
宇宙情報レコーダー101は、宇宙物体の飛行安全対策を表す飛行安全対策情報を具備し、実施の形態1および実施の形態2で説明した宇宙交通管理装置100に備えられる。
以上の実施の形態1から2では、宇宙交通管理システムおよび宇宙交通管理装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、宇宙交通管理システムおよび宇宙交通管理装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。宇宙交通管理システムおよび宇宙交通管理装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、宇宙交通管理システムおよび宇宙交通管理装置は、1つの装置でも、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1から2のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、これらの実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1から2では、実施の形態1から2の部分の自由な組み合わせ、あるいは任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態1から2において任意の構成要素の省略が可能である。
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明の範囲、本発明の適用物の範囲、および本発明の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
20 衛星コンステレーション、21 軌道面、30 衛星、30a デブリ除去衛星、31 衛星制御装置、32 衛星通信装置、33 推進装置、34 姿勢制御装置、35 電源装置、36 捕獲装置、40 管理事業装置、41 メガコンステレーション事業装置、42 LEOコンステレーション事業装置、43 衛星事業装置、44 軌道遷移事業装置、45 デブリ除去事業装置、46 ロケット打ち上げ事業装置、47 SSA事業装置、51 軌道予報情報、52 衛星軌道予報情報、53 デブリ軌道予報情報、511 宇宙物体ID、512 予報元期、513 予報軌道要素、514 予報誤差、60 宇宙物体、70 地球、100 宇宙交通管理装置、110 飛行安全対策部、111 侵入警報、120 警報生成部、130 警報通知部、140 記憶部、190 デブリ除去制御装置、191 制御部、55 軌道制御コマンド、56 制御コマンド、57 捕獲コマンド、301 衛星軌道領域、500 宇宙交通管理システム、600 衛星コンステレーション形成システム、11,11b 衛星コンステレーション形成部、300 衛星群、700,701,702 地上設備、510 軌道制御コマンド生成部、520 解析予測部、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、941 表示機器、950 通信装置、101 宇宙情報レコーダー、102 危険警報装置、103 危険解析装置、104 危険回避行動支援装置、105 セキュリティー装置、112 衛星群ID、113 軌道情報、114 公開条件情報、115 飛行安全対策情報、116 宇宙物体ID。

Claims (15)

  1. 宇宙を飛行する宇宙物体を管理する事業装置に実装され、宇宙物体の軌道情報を記録する宇宙情報レコーダーを具備し、宇宙物体の飛行安全対策をする宇宙交通管理装置を備えた宇宙交通管理システムにおいて、
    前記宇宙情報レコーダーは、
    100機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるメガコンステレーション衛星事業装置、あるいは、10機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるコンステレーション衛星事業装置に実装され、
    公称軌道高度が同一の複数衛星群で連携してミッションを遂行する衛星群を識別する衛星群ID(Identifier)のカテゴリーを具備し、
    前記衛星群IDのカテゴリーは、衛星群の飛行の安全対策を表す飛行安全対策情報を含む宇宙交通管理システム。
  2. 前記飛行安全対策情報は、
    メガコンステレーション衛星群の自システム内衝突防止対策情報として、
    法線方向の異なる複数の軌道面同士の軌道高度を変えて、軌道面同士の交わる直線状であっても軌道の交点が存在せず衝突確率がゼロとなる軌道面毎の軌道高度および軌道傾斜角を変更する方式を含む請求項1に記載の宇宙交通管理システム。
  3. 前記飛行安全対策情報は、
    コンステレーション衛星群および個別衛星の密集軌道領域における衝突防止対策情報として、
    太陽同期軌道か太陽非同期軌道かを示す軌道の種別と、
    回避行動の機能有無と、
    近傍飛行宇宙物体の管理事業者との飛行安全に資する調整有無と
    の全てまたは一部を含む請求項1に記載の宇宙交通管理システム。
  4. 前記飛行安全対策情報は、
    コンステレーション衛星群および個別衛星の密集軌道領域における衝突防止対策情報として、
    太陽同期軌道のLST(Local Sun Time)と軌道高度を表示する請求項1に記載の宇宙交通管理システム。
  5. 前記飛行安全対策情報は、
    コンステレーション衛星群および個別衛星の密集軌道領域における衝突防止対策情報として、
    近傍飛行宇宙物体の管理事業者との飛行安全に資する調整有りの場合の調整内容として同一軌道面内同期制御と、極域通過タイミング管理と、回避行動ルールとの全てまたは一部を表示する請求項1に記載の宇宙交通管理システム。
  6. 宇宙を飛行する宇宙物体を管理する事業装置に実装され、宇宙物体の軌道情報を記録する宇宙情報レコーダーを具備し、宇宙物体の飛行安全対策をする宇宙交通管理装置において、
    前記宇宙情報レコーダーは、
    100機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるメガコンステレーション衛星事業装置、あるいは、10機以上の衛星コンステレーションを管理する事業装置であるコンステレーション衛星事業装置に実装され、
    公称軌道高度が同一の複数衛星群で連携してミッションを遂行する衛星群を識別する衛星群ID(Identifier)のカテゴリーを具備し、
    前記衛星群IDのカテゴリーは、衛星群の飛行の安全対策を表す飛行安全対策情報を含む宇宙交通管理装置。
  7. 前記飛行安全対策情報は、
    メガコンステレーション衛星群の自システム内衝突防止対策情報として、
    法線方向の異なる複数の軌道面同士の軌道高度を変えて、軌道面同士の交わる直線状であっても軌道の交点が存在せず衝突確率がゼロとなる軌道面毎の軌道高度および軌道傾斜角を変更する方式を含む請求項6に記載の宇宙交通管理装置。
  8. 前記飛行安全対策情報は、
    コンステレーション衛星群および個別衛星の密集軌道領域における衝突防止対策情報として、
    太陽同期軌道か太陽非同期軌道かを示す軌道の種別と、
    回避行動の機能有無と、
    近傍飛行宇宙物体の管理事業者との飛行安全に資する調整有無と
    の全てまたは一部を含む請求項6に記載の宇宙交通管理装置。
  9. 前記飛行安全対策情報は、
    コンステレーション衛星群および個別衛星の密集軌道領域における衝突防止対策情報として、
    太陽同期軌道のLST(Local Sun Time)と軌道高度を表示する請求項6に記載の宇宙交通管理装置。
  10. 前記飛行安全対策情報は、
    コンステレーション衛星群および個別衛星の密集軌道領域における衝突防止対策情報として、
    近傍飛行宇宙物体の管理事業者との飛行安全に資する調整有りの場合の調整内容として同一軌道面内同期制御と、極域通過タイミング管理と、回避行動ルールとの全てまたは一部を表示する請求項6に記載の宇宙交通管理装置。
  11. 請求項6または請求項7に記載の宇宙交通管理装置を具備し、
    請求項1に記載の宇宙交通管理システムに備えられる
    メガコンステレーション衛星事業装置。
  12. 請求項6、および請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の宇宙交通管理装置を具備し、
    請求項1、請求項4、および請求項5のいずれか1項に記載の宇宙交通管理システムに備えられる
    コンステレーション衛星事業装置。
  13. 請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の宇宙交通管理装置を具備し、
    請求項4または請求項5に記載の宇宙交通管理システムに備えられる
    衛星事業装置。
  14. 宇宙物体の飛行安全対策を表す飛行安全対策情報を具備し、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の宇宙交通管理システムに備えられる
    宇宙情報レコーダー。
  15. 宇宙物体の飛行安全対策を表す飛行安全対策情報を具備し、
    請求項から請求項10のいずれか1項に記載の宇宙交通管理装置に具備される
    宇宙情報レコーダー。
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